JP3136134B2 - パルプモールド成形体の製造方法 - Google Patents
パルプモールド成形体の製造方法Info
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Description
を短縮し得るパルプモールド成形体の製造方法に関す
る。
モールド成形体の製造には、雄型と雌型とからなる一対
の割型を用い、両割型間にパルプスラリーを導入し、該
パルプスラリーを脱水して、浅底のトレーや皿等を製造
する方法や、同じく一対の割型を用いて割り子を成形
し、二つの割り子を貼り合わせることでボトル等を製造
する方法が知られている。
成形体を製造することは容易でなく、また、表面に貼り
合わせによるつなぎ目が生じてしまい強度や外観を損ね
てしまう。更に、抄紙工程の他に貼り合わせ工程が必要
なため、製造サイクル時間が長くなってしまう。
を、表面に貼り合わせによるつなぎ目を生じさせること
なく、短時間で製造し得るパルプモールド成形体の製造
方法を提供することを目的とする。
割型を突き合わせて形成されるパルプモールド成形体に
対応したキャビティ形状を有する金型のキャビティ内に
パルプスラリーを注入し、該キャビティ内を脱水して該
キャビティの内面にパルプ層を形成し、該パルプ層を乾
燥させてパルプモールド成形体を得る、パルプモールド
成形体の製造方法であって、上記キャビティ内の体積を
十分に減少させるに足る体積を有する棒状体からなる挿
入部材を該キャビティ内に挿入した後、上記パルプスラ
リーを該キャビティ内に注入して上記パルプ層を形成
し、上記パルプ層の形成後、上記挿入部材を引き抜き、
次いで上記キャビティ内に中空状又は袋状をなす中子を
挿入し、該中子内に加圧流体を供給して該中子を膨張さ
せ、膨張した該中子によって該パルプ層を該キャビティ
の内面に押圧するパルプモールド成形体の製造方法を提
供することにより上記目的を達成したものである。
の説明に先立ち、本発明の参考例としてのパルプモール
ド成形体の製造方法を図1を参照しながら説明する。図
1には、本発明の参考例としてのパルプモールド成形体
の製造工程うちの抄紙工程を示す模式図が示されてい
る。先ず、図1(a)に示すように、一対の割型2,3
を突き合わせることにより成形すべきパルプモールド成
形体(以下、単に成形体ともいう)の外形に対応した形
状のキャビティ4が形成される金型1を用意する。各割
型2,3には、その外側面よりキャビティ4に連通する
複数の連通孔5がそれぞれ設けられている。また、各割
型2,3の内面は、所定の大きさの網目を有するネット
(図示せず)によってそれぞれ被覆されている。
1(a)に示すように、金型1の上部にキャビティ4に
通じる口部6が形成される。この状態下に、口部6を通
じてキャビティ4内に挿入部材7を挿入する。挿入部材
7は、コア8と、コア8が挿入される中空状又は袋状の
被覆部材9とを備えており、両者共に固定板11に所定
の手段によって固定されている。コア8は円筒状をして
おり、その側面に多数の孔10を有している。コア8の
一端8aは固定板11を貫通して外部に露出しており、
図示しない加圧流体の供給源に接続されている。その結
果、挿入部材7には、コア8の一端8aからコア8の内
部を経由して、コア8側面の孔10を通じ、被覆部材9
の内部に至る連通路が形成される。被覆部材9は、膨張
収縮可能な中空状の弾性体や、伸縮しない袋状体から構
成されている。被覆部材9が弾性体から構成される場
合、該弾性体はコア8の有無にかかわらず弾性力を有す
るので、後述する予備膨張の際に、該弾性体をキャビテ
ィ4の内面に接触しないようにすることが容易にでき
る。一方、被覆部材9が伸縮しない袋状体から構成され
ている場合、コア8内を減圧にしてコア8表面に該袋状
体を貼り付かせることで、後述するパルプ層13の形成
時に該袋状体をキャビティ4の内面に接触させないよう
にすることが可能となる。本実施形態においては被覆部
材9として弾性体を用いている。該弾性体は、引張強
度、反発弾性及び伸縮性等に優れたウレタン、フッ素系
ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマー等によって形
成されている。一方、伸縮しない袋状体は、例えばポリ
エチレンやポリプロピレン等から形成されている。
固定板11によって口部6を閉塞した状態下に、図1
(b)に示すように、上記連通路を通じて、加圧流体の
供給源から所定の加圧流体を被覆部材9の内部に供給す
る。これにより被覆部材9を所定の大きさに予備膨張さ
せる。予備膨張した被覆部材9の形状は略扁平な板状と
なる。被覆部材9を膨張させるために用いられる加圧流
体としては、例えば圧縮空気(加熱空気)、油(加熱
油)、その他各種の液が使用される。ここで、「膨張」
とは、被覆部材9が伸長してその体積が増加する場合
(例えば、被覆部材9が伸縮可能な弾性体から構成され
ている場合)と、被覆部材9自体は伸張しないがその体
積が増加する場合(例えば、被覆部材9が、伸縮しない
袋状体から構成されており、該袋状体が減圧状態のコア
8の表面に貼り付いている場合)の双方を包含する
(尚、以後「膨張」とある場合は、これと同様の意味で
ある)。
る場合、上記予備膨張によって挿入部材7の体積が増加
し、これに伴いキャビティ4内の体積が減少する。その
結果、キャビティ4内に注入されるパルプスラリー中の
水分量を減少させることができ、挿入部材7が挿入され
ていない場合に比して高濃度のパルプスラリーを注入す
ることができ、短時間でキャビティ4内をパルプスラリ
ーで充満させることができる。よって、パルプスラリー
の注入時間等の製造サイクル時間を短縮することができ
る。しかも、挿入部材7の体積をキャビティ4内で増加
させるので、開口部の横断面積が胴部の横断面積に比し
て小さいボトル状の成形体を成形する場合にも、挿入部
材7は有効に使用できる。予備膨張によって、キャビテ
ィ4の体積は、挿入部材7の挿入前の5〜90%、特に
40〜75%減少することが好ましい。
は、図1(b)に示すように挿入部材7の何れの部位も
キャビティ4の内面に接触していない。これによって後
述するパルプ層13の肉厚のばらつきを抑えることがで
きる。この状態下に、固定板11に設けられたパルプス
ラリーの注入部12からキャビティ4内にスラリーを注
入する。これにより、パルプスラリーの水分が連通孔5
を通じて金型1の外部に排出されれると共にパルプ繊維
がキャビティ4の内面に堆積される。その結果、キャビ
ティ4の内面には、パルプ繊維が堆積されたパルプ層1
3が形成される。
その注入を停止しキャビティ4内を完全に吸引・脱水す
る。引き続き、図1(c)に示すように、被覆部材9内
に加圧流体を更に供給して、更に膨張させた被覆部材9
によってパルプ層13をキャビティ4の内面に押圧す
る。その結果、パルプ層13は、キャビティ4の内面に
押し付けられ、パルプ層13にキャビティ4の内面形状
が転写されると共に加圧脱水が進行する。上記吸引・脱
水で含水率が70〜80重量%となった状態のパルプ層
13は、被覆部材9による押圧でその含水率が55〜7
0%となることが好ましい。このように、キャビティ4
の内部からパルプ層13がキャビティ4の内面に押し付
けられるために、キャビティ4の内面の形状が複雑であ
っても、精度良くキャビティ4の内面の形状がパルプ層
13に転写されることになる。また、スラリー注入後に
注入ノズルを抜き、その後加圧脱水用の弾性体を挿入す
る場合に比して、キャビティ4内にパルプスラリー注入
後ただちに加圧脱水できるため、機械動作時間を短縮で
き、製造サイクル時間を短縮できる。その上、従来の製
造方法と異なり、貼り合わせ工程を用いる必要が無いの
で、得られる成形体には貼り合わせによるつなぎ目及び
肉厚部は存在しない。その結果、得られるパルプモール
ド成形体の強度が高まると共に外観の印象が良好とな
る。しかも、抄紙工程の他に別途貼り合わせ工程を行う
必要が無いので、製造サイクル時間を短縮し得る。加圧
脱水時の加圧流体の供給圧力は、0.01〜5MPa、
特に0.1〜3MPaとすることが好ましい。
が十分に転写され且つパルプ層13を所定の含水率まで
脱水できたら、図1(d)に示すように、被覆部材9内
の加圧流体を抜く。すると、被覆部材9が縮んで元の大
きさに戻る。次いで、挿入部材7をキャビティ4内より
取出し、更に金型1を開いて所定の含水率を有する湿潤
した状態のパルプモールド成形体の中間体14を取り出
す。
工程に付される。加熱・乾燥工程では、抄紙・脱水を行
わない以外は、図1に示す抄紙工程とほぼ同様の操作が
行われる。即ち、先ず、一対の割型を突き合わせること
により成形すべきパルプモールド成形体の外形に対応し
た形状のキャビティが形成される加熱乾燥用金型を所定
温度に加熱し、加熱された状態の該金型の該キャビティ
内に湿潤した状態の中間体を装填する。
と共に、中空状又は袋状をなす中子を上記キャビティ内
に挿入する。そして、中子内に加圧流体を供給して中子
を膨張させ、膨張した中子により上記中間体を上記キャ
ビティの内面に押圧する。中子の材質及び加圧流体の供
給圧力は、抄紙工程と同様とすることができる。即ち、
中子としては弾性を有し且つ伸縮自在な弾性体からなる
中空体や、ポリプロピレンや、ポリエチレン等のフィル
ムから成る袋状体を用いることができる。この状態下
に、上記中間体を加熱乾燥させる。中間体が、十分に乾
燥したら、中子内の加圧流体を抜き、中子を縮ませて取
り出す。更に加熱乾燥用金型を開いて、成形されたパル
プモールド成形体を取り出す。
形体20は図2に示すように開口部21、胴部22及び
底部23を有し、且つ胴部22の周囲に亘り凹状部24
が形成された中空体であり、粉状体や粒状体等の内容物
の収容に好適な中空容器として用いられる。またこのパ
ルプモールド成形体20においては、底部23の接地面
と胴部22の側壁の外面とのなす角が、胴部22を構成
する前後壁及び左右壁の何れにおいても略90°となっ
ている。また高さが50mm以上、好ましくは100m
m以上となっている。このように深底の容器であり且つ
凹状部24が形成されているにもかかわらず、上記の方
法で製造されているので、この成形体20のは、胴部2
2に貼り合わせによるつなぎ目が存在していない。ま
た、その外面及び内面が平滑になっている。特に、中心
線平均粗さ(Ra)が50μm以下で、且つ最大高さ
(Ry)が500μm以下となる。
参照しながら説明する。図3には、本実施形態の工程う
ちの抄紙工程を示す模式図が示されている。本実施形態
は、挿入部材の構成及びパルプ層の押圧・脱水工程が異
なる以外は上述した参考例と同様であり、特に説明しな
い点については参考例の説明が適宜適用される。また、
図3において図1と同じ部材には同じ符号を付してあ
る。
型2,3を突き合わせてなる金型1に形成されるキャビ
ティ4内に挿入部材7を挿入する。本実施形態の挿入部
材7は、一端が固定板11に固定されている厚みのある
棒状体からなる。図3(a)においては、この棒状体を
側面からみた状態が示されている。この棒状体として
は、キャビティ4内に挿入したときに、キャビティ4の
体積を十分に減少させるに足る程度の体積を有するもの
が用いられる。好ましくは、キャビティ4の体積を5〜
90%、更に好ましくは40〜75%減少させるに足る
体積を有するものを用いることが、製造サイクル時間短
縮等の効率化の点から好ましい。このようなものであれ
ば、棒状体は中実体及び中空体の何れでもよい。挿入部
材7が挿入された状態においては、上述の参考例と同様
に、挿入部材7の何れの部位もキャビティ4の内面に接
触していない。
材7を挿入し且つ口部6を閉塞した状態下に、パルプス
ラリーの注入部12からキャビティ4内にパルプスラリ
ーを注入する。これにより、パルプスラリー中の水分が
連通孔5を通じて金型1の外部に排出されると共にパル
プ繊維がキャビティ4の内面に堆積され、パルプ層13
が形成される。この場合、挿入部材7がキャビティ4内
に挿入されているので、キャビティ4の体積が減少し、
キャビティ4内に注入させるパルプスラリー中の水分量
を、挿入部材が挿入されていない場合に比して減少させ
ることができる。即ち、高濃度のパルプスラリーを注入
することができるので、パルプスラリーの注入時間等を
短縮することができ上述の参考例と同様の効果が奏され
る。尚、上記パルプスラリーを、挿入部材7の内部を通
じて注入してもよい。
その注入を停止しキャビティ4内を完全に吸引・脱水す
る。引き続き、図3(c)に示すように、挿入部材7を
キャビティ4内から引き抜く。
ティ4内を吸引・減圧すると共に、弾性を有し伸縮自在
で且つ中空状をなす中子15をキャビティ4内に挿入す
る。この中子15としては、上述の参考例における加熱
乾燥工程で用いられるものと同様のものを用いることが
できる。
内に加圧流体を供給して中子15を膨張させ、膨張した
中子15によりパルプ層13をキャビティ4の内面に押
圧して、パルプ層13にキャビティ4の内面形状を転写
させると共にパルプ層13の脱水を更に進行させる。加
圧流体の種類及び供給圧力は、上述の参考例における加
熱乾燥工程における供給圧力と同様とすることができ
る。
が十分に転写され且つパルプ層13を所定の含水率まで
脱水できたら、図3(f)に示すように、中子15内の
加圧流体を抜き、中子15を元の大きさに収縮させる。
そして、収縮した中子15をキャビティ4内より取出
し、更に金型1を開いて所定の含水率を有する湿潤した
状態のパルプモールド成形体の中間体14を取り出す。
乾燥工程と同様の工程が行われる。
例えば、上記実施形態における挿入部材の形状は、成形
すべきパルプモールド成形体の形状に応じて種々の形状
のものを用いることができる。また、成形体20の成形
後、その外面及び/又は内面にプラスチック層や塗工層
等を設け、成形体20の強度を一層高めたり、内容物の
漏れ出し等を効果的に防止したり、或いは加飾を施して
もよい。また、成形体20の使用に際して負荷がかかる
部分、例えば開口部21や底部23にプラスチック等か
らなる補強部材を配して、成形体20の耐久性を向上さ
せるようにしてもよい。また、これらの部分の一部をプ
ラスチック等から形成してもよい。また、本発明の成形
体は、開口部の開口面積が、胴部の断面積よりも小さい
ボトル型の容器となしてもよい。また、本発明の製造方
法を、内容物の収容に用いられる中空体(中空容器)の
製造方法以外に、置物等のオブジェ等の製造方法に適用
してもよい。
法によれば、複雑な形状の成形体を、表面に貼り合わせ
によるつなぎ目を生じさせることなく、短時間で製造す
ることができる。
の製造工程うちの抄紙工程を示す模式図である。
を示す斜視図である。
程を示す模式図(図1相当図)である。
Claims (3)
- 【請求項1】 一対の抄紙用割型を突き合わせて形成さ
れるパルプモールド成形体に対応したキャビティ形状を
有する金型のキャビティ内にパルプスラリーを注入し、
該キャビティ内を脱水して該キャビティの内面にパルプ
層を形成し、該パルプ層を乾燥させてパルプモールド成
形体を得る、パルプモールド成形体の製造方法であっ
て、 上記キャビティ内の体積を十分に減少させるに足る体積
を有する棒状体からなる挿入部材を該キャビティ内に挿
入した後、上記パルプスラリーを該キャビティ内に注入
して上記パルプ層を形成し、上記パルプ層の形成後、上
記挿入部材を引き抜き、次いで上記キャビティ内に中空
状又は袋状をなす中子を挿入し、該中子内に加圧流体を
供給して該中子を膨張させ、膨張した該中子によって該
パルプ層を該キャビティの内面に押圧するパルプモール
ド成形体の製造方法。 - 【請求項2】 上記棒状体が、上記キャビティ内の体積
を5〜90%減少させるに足る体積を有する請求項1記
載のパルプモールド成形体の製造方法。 - 【請求項3】 上記パルプスラリーが、上記挿入部材の
内部を通じて上記キャビティ内に注入される請求項1又
は2記載のパルプモールド成形体の製造方法。
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-
1999
- 1999-02-08 JP JP11030535A patent/JP3136134B2/ja not_active Expired - Lifetime
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