JP3862544B2 - 繊維成形体製造用の雄型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維成形体、特に、パルプモールド成形体の製造に用いて好適な繊維成形体製造用の雄型及びこれを用いた繊維成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
パルプモールド成形体の製造型に関する従来技術としては、例えば、特開2001−55699号公報に記載のパルプモールド成形体製造用抄紙型が知られている。
【0003】
この抄紙型は、成形体の外形に対応した凹状の収容部を有する雌型の該収容部に、外表面にパルプ層が形成された抄紙型を、該パルプ層の底部が前記収容部の底部と最初に当接するように挿入し、該抄紙型を前記収容部の内面形状に追随するように押圧変形させ、前記パルプ層に前記収容部の内面形状を転写させると共に該パルプ層に含まれる水分を前記抄紙型の内部を通じて吸引し該抄紙型の外部へ排出して成形体となすものである。
【0004】
ところで、この抄紙型では、脱水成形後に得られる前記成形体の内周面と、当該抄紙型の外周面との間に隙間が生じるため、脱水成形後に該抄紙型で当該成形体を吸着させて乾燥工程等の次工程へ移行させようとした場合、吸引力が十分に働かずに雌型内に当該抄紙型が留まってしまい、次工程への移行に失敗する場合があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、脱水成形や加熱成形後、成形体を次工程へスムーズに移行させることができる繊維成形体製造用の雄型及び繊維成形体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、繊維積層体が配される凹状の収容部を有する雌型とともに用いられ、該収容部に配された繊維積層体を該収容部の内面に向けて押圧し成形する凸状の押圧部を備え、前記押圧部が、前記押圧成形後に前記繊維積層体との間に隙間を有するように形成された繊維成形体製造用の雄型であって、
前記押圧成形時には前記押圧部に接するように弾性変形し、該押圧成形後の前記繊維積層体の脱型時にはその弾性復元力を該繊維積層体の内面に作用させて該繊維積層体を内側より保持する弾性部材を備えている繊維成形体製造用の雄型を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0007】
また、本発明は、前記本発明の繊維成形体製造用の雄型と、繊維積層体が配される凹状の収容部を有する雌型とを用いた繊維成形体の製造方法であって、
前記収容部に配された繊維積層体をその内側より前記押圧部で該収容部の内面に向けて押圧して該繊維積層体を成形する成形工程と、前記弾性部材の弾性復元力で前記繊維積層体をその内側より保持しながら前記雄型を該繊維積層体とともに前記雌型の前記収容部から離間させる脱型工程とを具備する繊維成形体の製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、本発明の繊維成形体製造用の雄型を、底部に向けて漸次縮径する有底筒状の飲食品用のパルプモールド製容器の製造型に適用した、第1実施形態を模式的に示すものである。図1において、符号1は製造型を示している。
【0010】
図1に示すように、製造型1は、繊維積層体が配される凹状の収容部20を有する雌型2と、収容部20に配された該繊維積層体を収容部20の内面に押圧する凸状の弾性押圧部30を有する雄型3とを備えている。
【0011】
前記雌型2は、アルミニウム等の金属材料(剛性材料)から構成されており、収容部20の内面形状は、成形する繊維成形体の外形形状に対応した形状となしてある。
【0012】
雌型2は、収容部20の内面において開口し、収容部20と外部とを連通する多数の流体流通孔200を有している。収容部20表面には、流体流通孔200を通じた排水がスムーズに行われるように通水溝を形成することが好ましい。雌型2は、取り扱い性の点からは一体的に形成されているものを用いることが好ましいが、収容部20の形状が複雑となる場合には、一組の割型が組み合わされて構成されるものを用いることが好ましい。必要に応じて流体流通孔200は省略することもできる。
【0013】
前記雄型3は、前記繊維積層体を湿式により形成する湿式の抄造型である。
前記弾性押圧部30は弾性押圧部30の外周面300が、前記脱水成形(押圧成形)後に前記繊維積層体(繊維成形体)との間に隙間を有するように、繊維積層体の外形よりもやや小さな外形をしており、その高さが成形する食品容器の高さ(深さ)よりも大きくなるように形成されている。なお、弾性押圧部30の外周面の上方にはフランジ部301が形成されている。
【0014】
弾性押圧部30は、先端に進むについれて胴部が次第に先細る形態に形成されている。弾性押圧部30の内部には、上方に向けて開口し、後述の基台32の連通孔320に通じる中空室302が形成されている。弾性押圧部30の内部には、また、外部からこの中空室302に直線的に通じる多数の流体流通孔303を有している。雄型3の使用時、中空室302は、基台32の連通孔320を介して真空ポンプ又はコンプレッサーに通じる管路(図示せず)に接続される。
【0015】
流体流通孔303は、中空室302の周部からは略水平方向に伸びるように形成され、中空室302の底部からは放射状に拡がるように形成されている。
【0016】
流体流通孔303の断面積は、繊維積層体の抄造時におけるスラリーの吸引効率、脱水時における脱水効率、脱水時に弾性押圧部30で繊維積層体を押圧するときの強度の点から7.8×10-3〜0.2cm2であることが好ましく、0.03〜0.1cm2であることがより好ましい。流体流通孔303は、同様の点から、弾性押圧部30の外面において開口部が4cm2当たり1〜20個、特に5〜10個形成されるように設けることが好ましい。
【0017】
弾性押圧部30の表面には、排水・排気性を高める上で、流体流通孔303を結ぶように排水・排気用の溝を格子状に形成することもできる。
【0018】
流体流通孔303は、雌型2の収容部20と弾性押圧部30との間で繊維積層体を脱水成形(押圧成形)する弾性押圧部30の押圧状態においても排水経路が十分に確保されるようになしてある。
【0019】
弾性押圧部30には、弾性変形可能な材質のものを特に制限なく用いることができるが、耐久・耐熱性等の点から、天然ゴム、ウレタンゴム、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマー等の合成ゴムからなる弾性材で構成されたものを用いることが好ましい。
【0020】
雄型3は、弾性押圧部30による前記押圧成形時には前記弾性押圧部30に接するように弾性変形し、該押圧成形後の前記繊維積層体の脱型時にはその弾性復元力を該繊維積層体の内面に作用させて該繊維積層体を内側より保持する弾性部材31を備えている。
【0021】
前記弾性部材31は、雄型3のように、抄造型である場合には、弾性を有する袋状の網状体で構成され、弾性押圧部30とともに基台32を被覆するように配され、弾性押圧部30における外周面300と前記収容部20の開口部201に対応する部分との間に隙間Sを有するように被覆されている。
【0022】
弾性部材31は、これを弾性押圧部30の外面に密着被覆させた状態での平均開孔面積率が10〜80%、特に20〜40%であることが吸水性、通気性及び強度の点から好ましい。
【0023】
弾性部材31は、弾性押圧部30及び後述の被覆部37を被覆した状態における延伸性(伸長性)が、5〜100%、特に10〜60%であることが好ましい。
また、弾性部材31は、当該弾性部材31に対する繊維スラリー中の固形成分の通過や目詰まりを抑えつつ確実に繊維積層体の抄造を行う上で、平均最大開孔幅が0.1〜1.5mmであるものが好ましく、0.3〜1.0mmであるものがより好ましい。
【0024】
雄型3においては、弾性部材31は、繊維スラリー中の水分は通過させるが繊維は通過させない程度の網目を有する。この網目の大きさは20〜100メッシュ、特に40〜60メッシュであることが、繊維積層体の成形性及び繊維の目詰まり防止の点から好ましい。
【0025】
以上の点を総合的に勘案すると、弾性部材31は、弾性押圧部30の弾性変形に対応した充分な延伸性(収縮性)、通水性、通気性、耐熱性、繊維の抄造性を備えたものであれば、その形態、材質には特に限定されないが、編物、織布及び不織布等の形態を有する合成樹脂製等の材質のものが挙げられ、特に延伸性(伸縮性)の点から、ナイロン、ポリウレタン等の合成樹脂繊維製の編物を用いることが好ましい。
【0026】
雄型3は、弾性押圧部30を固定する基台32と、弾性押圧部30の外表面を覆う流体透過性材料33〜35とを具備している。
【0027】
前記基台32は、剛性材料から構成されている。基台32には、前記中空室302に通じる連通路320が形成されている。また、基台32の側面部には、ハンドリングロボット等で雄型3の移動、回転(反転)などを行う際に利用される係合部(図示せず)が形成されている。
【0028】
流体透過性材料33は、前記弾性押圧部30の外表面を被覆している。
該流体透過性材料は、前記弾性押圧部30の流体流通孔303の跡を成形後の繊維成形体の内表面に残さないように配されたものである。
上記液体透過性材料33には、ステンレス、銅製の金属ネット、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製の剛性ネット等が用いられる。液体透過性材料33には、空隙確保の観点から、目開きが20〜70メッシュのものが好ましく、30〜60メッシュのものがより好ましい。
流体透過性材料33は必要に応じて省略することができる。
【0029】
流体透過性材料34、35は、同素材から構成される袋状の網状体であり、前記流体透過性材料33をその外面において密着被覆している。
流体透過性材料34、35は、これらを弾性押圧部30の外面に密着被覆させた状態での平均開孔面積率が10〜80%、特に20〜40%であることが吸水性、通気性及び強度の点から好ましい。
【0030】
流体透過性材料34、35は、弾性押圧部30の外面を被覆した状態における延伸性(伸長性)が、5〜50%、特に10〜30%であることが好ましい。
さらに、流体透過性材料34、35は、当該流体透過性材料34、35に対する繊維スラリー中の固形成分の通過や目詰まりを抑えつつ確実に繊維積層体の抄造を行う上で、平均最大開孔幅が0.1〜1.5mmであるものが好ましく、0.3〜1.0mmであるものがより好ましい。
【0031】
雄型3においては、流体透過性材料34、35は、繊維スラリー中の水分は通過させるが繊維は通過させない程度の網目を有する。この網目の大きさは20〜100メッシュ、特に40〜60メッシュであることが、繊維積層体の成形性及び繊維の目詰まり防止の点から好ましい。
【0032】
以上の点を総合的に勘案すると、流体透過性材料34、35は、弾性押圧部30の弾性変形に対応した充分な延伸性(収縮性)、通水性、通気性、繊維の抄造性を備えたものであれば、その形態、材質には特に限定されないが、編物、織布及び不織布等の形態を有し、天然繊維、合成繊維素材、金属素材等の材質のものが挙げられ、特に延伸性(伸縮性)の点から、合成樹脂繊維製の編物を用いることが好ましい。
流体透過性材料34、35は必要に応じて一方又は両方を省略することができる。
【0033】
弾性押圧部30は、前記フランジ部301を覆うように金属製のリング状の押さえ部材36を配設し、押さえ部材36を前記基台32の下面の所定位置にボルトで固定することで、当該基台32に固定されている。押さえ部材36は、シリコーン樹脂製の被覆部材37で被覆されている。
【0034】
雄型3が組み立てられた状態においては、前記連通孔320、中空室302、流体流通孔303、流体透過性材料33〜35及び前記弾性部材31が連通して、雄型3の外部より内部へ連通する流体流通路が形成される。雄型3においては、弾性部材31は、その弾性力に反して繊維層の堆積に前記隙間Sがほぼなくなるように押圧部30側に吸引され前記流体透過性材料35にほぼ密着した状態となり、被覆部材37を覆う部分にも吸引力が働いて繊維層が抄造されるようになっている。そして、この繊維層が、弾性部材31における弾性押圧部30の外面を覆う部分に抄造される繊維層に連なり、全体としてフランジ部を有するカップ状の繊維積層体が抄造されるようになっている。
【0035】
製造型1は、従来からこの種のパルプモールド成形体(繊維成形体)の製造に用いられている通常の湿式の製造装置、例えば、レシプロタイプやロータリータイプの湿式の製造装置に装着されて使用される。
【0036】
次に、製造型1を用いた繊維成形体の製造方法について、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、図2では便宜上、雄型3は一部の構成を略して示している。
【0037】
先ず、図2(a)に示すように、スラリーを湛えたプール4内に前記雄型3を浸漬した後、前記流体流通路を通じて該スラリーを吸引し、前記弾性部材31の表面にスラリー中の固形分を堆積させることによって、弾性部材31の外表面に湿潤状態の繊維積層体10を形成する。前述のように、雄型3においては、弾性部材31は、繊維層の堆積に伴ってその弾性力に反して次第に前記隙間Sがほぼなくなるように押圧部30側に吸引され、前記流体透過性材料35にほぼ密着した状態で繊維積層体10が形成される。
【0038】
スラリーは、パルプ繊維と水のみからなるものが好ましく用いられる。また、パルプ繊維と水に加え、タルクやカオリナイト等の無機物、ガラス繊維やカーボン繊維等の無機繊維、ポリオレフィン等の熱可塑性合成樹脂の粉末又は繊維、非木材又は植物質繊維、多糖類等の成分を含有していてもよい。これらの成分の配合量は、パルプ繊維及び該成分の合計量に対して1〜70重量%、特に5〜50重量%であることが好ましい。パルプ繊維は、針葉樹または広葉樹等の木材パルプや竹、わら等の非木材パルプであるのが好ましい。また、パルプ繊維の長さと太さは、それぞれ0.1mm以上10mm以下、0.01mm以上0.05mm以下であるのが好ましい。
【0039】
スラリーには、パルプ繊維の分散剤、成形助剤、着色料、着色助剤、サイズ剤、定着剤等の従来からこの種の繊維成形体に用いられている通常の添加剤を適宜添加することができる。
【0040】
弾性部材31に所定の繊維積層体10が抄造されたところで、雄型3をスラリーから引き上げる。そして、前記流体流通路を通じて引き続き繊維積層体10の水分を吸引脱水して所定の含水率とした後、図2(b)に示すように、雄型3と前記雌型2とを突き合わせる。
【0041】
雌型2と雄型3とを突き合わせる際には、図1に示すように、収容部20を伸縮自在なシート5でによって覆っておくことが好ましい。シート5は、収容部20の周縁部において所定手段によって固定されている。固定箇所は、周縁部の全域でもよく、或いは周縁部における相対向する2箇所又はそれ以上の箇所でもよい。シート5は、所定の伸縮性を有していれば、その構成材料に特に制限は無い。例えば、シート5として、流体透過性の観点から編物、織布、不織布等を用いることができ、特に十分な伸縮性を有する点から、編物を用いることが好ましい。
【0042】
シート5の伸縮性の程度は、10%又は20%伸張応力の値が500〜5000Pa、特に500〜1000Paであることが、弾性押圧部30の収容部20内への挿入時に繊維積層体10が損傷を受けないこと、及び弾性押圧部30の収容部20からの取り出し時に繊維成形体10が収容部20から離型し易いことから好ましい。
【0043】
このようなシート5として平滑なものを用いるか又は細かい網目のものを用いることで、成形体の表面が極めて平滑となり、該成形体の外観が非常に良好になる。シート5は必要に応じて省略することもできる。
【0044】
雄型3を雌型2と突き合わせる際には、弾性押圧部30が、前記シート5を伸張変形させながら収容部20内に挿入される。弾性押圧部30は、高さが成形体の高さ(深さ)よりも大きく、テーパー状に形成されているので、弾性押圧部30を挿入し続けると、繊維積層体10の底部が、シート5とともに雌型2の収容部20の底面部202と最初に当接する。弾性押圧部30による繊維積層体10の押圧は、雄型3の前記基台32を所定の押圧手段(図示せず)で押し付けて行われる。
【0045】
そして、さらなる押圧により、図2(b)に示すように、弾性押圧部30は、雌型2の収容部20の形状に追随するように変形して収容部20の空間を完全に埋める。
その結果、雄型3の弾性部材31の表面に形成された繊維積層体10が更に加圧脱水され、且つ繊維積層体10に収容部20の内面形状が転写される。また、前記被覆部材37の下面側に形成された繊維層は、該下面と雌型2の上面とに挟まれて押圧され、この部分が、得られる繊維成形体のフランジ部となる。
【0046】
上述の雄型3による押圧状態を保ちつつ、雄型3における前記流体流通孔302を通じて繊維積層体10の水分を吸引する。弾性押圧部30の押圧状態下においては、弾性押圧部30の外面における前記流体流通孔303の開口部及び弾性押圧部30の外面を被覆する弾性部材31は潰れることなく流体を流通させ得るので、この吸引によって繊維積層体10に含まれている水分は、弾性部材31、流体透過性材料33〜35及び弾性押圧部30の内部(即ち弾性押圧部30に形成された流体流通孔303及び中空室302)を通じて雄型3の外へ、また、前記シート5及び前記流体流通孔200を通じて雌型2の外へそれぞれ排出される。繊維積層体10の乾燥によって発生した水蒸気も、同様の経路を通じて両型外へ排出される。
【0047】
繊維積層体10の脱水・乾燥時における押圧力は、脱水・乾燥効率を高めて高密度化を図る観点から、0.2〜3MPaであることが好ましく、0.3〜1.5MPaであることがより好ましい。また、金型温度(雌型2の温度)は、押圧乾燥による焦げ防止、乾燥効率等の点において、150〜230℃であることが好ましく、170〜220℃であることがより好ましい。
【0048】
所望の含水率の繊維成形体10が得られたところで雄型3の押圧を停止し、雄型3を上方に引き上げると、図2(c)に示すように、弾性押圧部30が押圧前の形状に弾性復元する。これに伴って繊維成形体10との間には隙間が生じるが、前記弾性部材31も外側に弾性復元してその当該弾性復元力が繊維成形体10の内面に作用し、当該繊維成形体10を内側より保持する。これにより、雄型3を上方に退避させて雌型2から成形体10を離型させた場合にも、当該成形体10が雌型2内に留まることが無く、次工程への移行を雄型3とともに行うことができる。
また、本実施形態では、弾性部材31の弾性復元力に加えて、前記シート5の伸縮力が作用するため、繊維成形体10の収容部20からの離型もスムーズに行われる。
これらに加えて、必要応じて前記弾性押圧部30内の流体流通路を通じて繊維成形体10を弾性部材31の表面に吸着せることで、脱型をより確実にスムーズに行うこともできる。
【0049】
得られた繊維成形体10は、必要に応じて、樹脂フィルム等による内層形成、トリミング、塗装、印刷等の後工程に雄型3とともに移行され、該工程で所定の処理が施された後、製造が完了される。
【0050】
このように、本実施形態の雄型3は、弾性部材31の弾性復帰力を押圧成形後の繊維成形体10の内面に作用させて当該成形体10を雄型3とともに雌型2から離間させるようにしたので、成形後の後工程に成形体10を雄型3とともにスムーズに移行させることができる。
【0051】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0052】
本発明の繊維成形体製造用の雄型は、前記実施形態におけるように、抄造型として用いた当該雄型をそのまま脱水・乾燥成形に用い、その後の後工程に当該雄型でそのまま搬送する場合に特に好適であるが、例えば別の抄紙型で抄紙された湿潤状態の繊維積層体を脱水・乾燥成形する場合にも用いることができ、また、脱水成形のみ行った後、他の乾燥装置による乾燥工程に搬送する場合や、脱水成形済みの繊維積層体を乾燥成形し、その後の工程に搬送する場合にも用いることができる。
【0053】
本発明の繊維成形体製造用の雄型は、前記実施形態におけるように、抄造型として用いる場合には、前記弾性部材に前記抄紙ネットとしての機能を要するが、抄紙型として用いない場合には、前記弾性を有していれば、抄紙ネットとしての機能は不要である。したがって、この場合には、弾性部材は、網状体のような形態に限られず、弾性を有する複数の紐状体、帯状体等で構成することもできる。
【0054】
また、本発明の繊維成形体製造用の雄型は、前記実施形態のように、押圧部全体が弾性変形可能な材料で構成されていることが好ましいが、繊維積層体を弾性変形可能な部材で押圧することが可能であれば良いので、押圧部全体を弾性変形可能な部材で構成する必要はなく、押圧部内部又は繊維積層体を直接押圧しない部位は、金属、セラミックス、硬質樹脂等の剛性材で構成することもできる。
【0055】
また、本発明の繊維成形体製造用の雄型は、前記実施形態のように、一軸回転対称体となる繊維成形体の製造に特に好ましいが、繊維成形体の形状は一軸回転対称体以外の成形体にも特に制限無く適用することができ、例えば、広い開口部を有する箱形のカートン状成形体、置物等の他の形態の成形体に適用することができる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、脱水成形や加熱成形後、成形体を次工程へスムーズに移行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維成形体製造用の雄型を適用した製造型の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】同製造型を用いた繊維成形体の製造工程の一部を模式的に示す断面図であり、(a)は繊維積層体の抄造工程を示す図、(b)は脱水乾燥工程を示す図、(c)は脱型工程を示す図である。
【符号の説明】
1 製造型
2 雌型
20 収容部
3 雄型
30 弾性押圧部(押圧部)
31 弾性部材
10 繊維成形体
Claims (5)
- 繊維積層体が配される凹状の収容部を有する雌型とともに用いられ、該収容部に配された繊維積層体を該収容部の内面に向けて押圧し成形する凸状の押圧部を備え、前記押圧部が、前記押圧成形後に前記繊維積層体との間に隙間を有するように形成された繊維成形体製造用の雄型であって、
前記押圧成形時には前記押圧部に接するように弾性変形し、該押圧成形後の前記繊維積層体の脱型時にはその弾性復元力を該繊維積層体の内面に作用させて該繊維積層体を内側より保持する弾性部材を備えている繊維成形体製造用の雄型。 - 前記押圧部が弾性変形可能な部材で構成されている請求項1記載の繊維成形体製造用の雄型。
- 前記弾性部材が弾性を有する袋状の網状体で構成され、前記押圧部が、その外周面と前記収容部の開口部に対応する部分との間に隙間を有するよう該弾性部材で被覆されているとともに、該押圧部の内部に繊維スラリーを吸引して前記網状体の外表面に繊維を堆積させる吸引路を有している請求項1又は2記載の繊維成形体製造用の雄型。
- 請求項1記載の繊維成形体製造用の雄型と、繊維積層体が配される凹状の収容部を有する雌型とを用いた繊維成形体の製造方法であって、
前記収容部に配された繊維積層体をその内側より前記押圧部で該収容部の内面に向けて押圧して該繊維積層体を成形する成形工程と、前記弾性部材の弾性復元力で前記繊維積層体をその内側より保持しながら前記雄型を該繊維積層体とともに前記雌型の前記収容部から離間させる脱型工程とを具備する繊維成形体の製造方法。 - 前記繊維積層体が湿式抄造体であり、該繊維積層体を前記成形工程で脱水成形又は加熱成形する請求項4記載の繊維成形体の製造方法。
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