JP2002088698A - パルプモールド成形体の乾燥型 - Google Patents

パルプモールド成形体の乾燥型

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JP2002088698A
JP2002088698A JP2000273946A JP2000273946A JP2002088698A JP 2002088698 A JP2002088698 A JP 2002088698A JP 2000273946 A JP2000273946 A JP 2000273946A JP 2000273946 A JP2000273946 A JP 2000273946A JP 2002088698 A JP2002088698 A JP 2002088698A
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Kenichi Otani
憲一 大谷
Shingo Odajima
信吾 小田嶋
Tokihito Souya
時人 惣野
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に転写痕を残さずに効率の高い乾燥を行
うことができるパルプモールド成形体の乾燥型を提供す
ること。 【解決手段】 パルプスラリーより成形された湿潤状態
の成形体を押圧及び乾燥させるために用いられるパルプ
モールド成形体の乾燥型である。成形体と嵌合し得る形
状の凹状部11を有し、凹状部11の表面に多数の蒸気
逃げ溝12を凹設すると共に、蒸気逃げ溝12から外部
へ通じる多数の蒸気逃げ孔14を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルプスラリーよ
り成形された湿潤状態の成形体を乾燥させるための乾燥
型及びこれを用いたパルプモールド成形体の乾燥方法に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】パルプ
モールド法において成形される湿潤状態の成形体を乾燥
させるために用いられる乾燥型に関する従来技術として
は、例えば、特開2000−34699に記載の技術が
知られている。この技術は、乾燥型の表面に上記を型外
へ排出するためのスリット溝を形成し、乾燥時の水蒸気
の排出効率を高めて水蒸気爆発を回避するようにしたも
のである。しかし、この従来の乾燥型を用いた場合に
は、乾燥後の成形体の外表面にスリット溝の転写痕が残
って成形体の外観を損ねたり、成形体と接触する乾燥型
の接触面積が小さいため乾燥効率が低くならざるを得な
かった。
【0003】一方、特開平8−49200号公報には、
吸水孔を設けた剛性体における成形面の側表面に、該吸
水孔への導水通路(分散媒案内路)を形成するととも
に、該側表面の一部又は全体に網状体を敷設し、抄造時
の吸水効率を高めた抄造型が開示されている。しかし、
この抄造型を用いて繊維成形体を抄造した後に、該繊維
成形体とともに抄造型を乾燥型内に納め、さら吸水孔及
び導水通路を通じた脱気を行いつつ該抄造型で該繊維成
形体を押圧・乾燥させて乾燥を行うと、吸水孔や導水通
路に対応する部分における押圧力が他の部分に比べて低
くなり、繊維成形体を乾燥した後おいて、該繊維成形体
の当該吸水孔や導水通路に対応する部分における内・外
表面に、それぞれ凸・凹状となる不要な転写痕が残って
しまい、成形体の美観を損ねる問題があった。
【0004】従って本発明の目的は、表面に転写痕を残
さずに効率の高い乾燥を行うことができるパルプモール
ド成形体の乾燥型及び乾燥方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、パルプスラリ
ーより成形された湿潤状態の成形体を押圧及び乾燥させ
るために用いられるパルプモールド成形体の乾燥型であ
って、前記成形体と嵌合し得る形状の凹状部又は凸状部
を有し、該凹状部又は該凸状部の表面に多数の蒸気逃げ
溝を凹設すると共に、該蒸気逃げ溝から外部へ通じる多
数の蒸気逃げ孔を設けたパルプモールド成形体の乾燥型
を提供することにより上記目的を達成したものである。
また、本発明は、パルプスラリーより成形された湿潤状
態の成形体を、前記成形体と嵌合し得る形状の凹状部又
は凸状部を有する乾燥型へ装填し、該乾燥型内で該成形
体を押圧及び乾燥させるパルプモールド成形体の乾燥方
法であって、前記凹状部又は前記凸状部の表面に多数の
蒸気逃げ溝を凹設すると共に、該蒸気逃げ溝から外部へ
通じる多数の蒸気逃げ孔を設けておき、該蒸気逃げ溝及
び該蒸気逃げ孔を通じて水分を排出するパルプモールド
成形体の乾燥方法を提供するものである。さらに、本発
明は、上記本発明のパルプモールド成形体の乾燥方法で
成形体を乾燥した後に、該成形体を表面が平滑な凹状部
又は突状部を有する仕上げ型へ装填し、該仕上げ型内で
該成形体を押圧及び乾燥させるパルプモールド成形体の
乾燥方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明のパルプモールド成形
体の乾燥型(以下、単に乾燥型ともいう)を、その好ま
しい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図
1及び図2は、本発明の乾燥型の第1実施形態を示した
ものである。本実施形態の乾燥型1は、パルプスラリー
より成形された湿潤状態の成形体であって、口頸部にネ
ジ部を有する円筒ボトル形状の成形体を乾燥させるため
に用いられるものである。
【0007】本実施形態の乾燥型1は、これと対応する
別の乾燥型を用い、これら一対の乾燥型の2つの凹状部
によって形成されるキャビティ内に湿潤状態の成形体を
収容した状態で、それぞれの分割面同士を突き合わせて
該成形体の乾燥する際に用いられる。
【0008】キャビティプレート10は、直方体状の金
属製ブロックから構成されており、その上面側には、所
定の方法により成形された湿潤状態の成形体の縦半分と
嵌合し得る形状の凹状部11が凹設されており、この凹
状部11内に成形体が収容される。キャビティプレート
10の上面は平坦になっており、該面が乾燥型1の分割
面(突き合わせ面)となる。なお、本実施形態では、キ
ャビティプレート10は、2つの部材10a,bが組み
付けられて構成されている。
【0009】凹状部11の内面には多数の蒸気逃げ溝1
2が格子状に凹設されている。蒸気逃げ溝12は、凹状
部11において、乾燥すべき成形体の胴部及び底部に対
応する部分に凹設されている。蒸気逃げ溝12によって
取り囲まれている部分は角柱状ないし立ち上がり角度が
直角に近い截頭四角錐状の凸状部13を形成している。
【0010】蒸気逃げ溝12の幅は、蒸気の逃げ効率の
向上、並びに蒸気の逃げムラ、パルプ繊維の加熱ムラ、
及び後述の第2実施形態(図3参照)のように網状体3
0を配設する場合の網状体の変形防止の点から0.1〜
10mm、特に0.1〜5.0mmであることが好まし
い。また、蒸気逃げ溝12のピッチは、蒸気逃げ溝12
の幅及び配設する網状体30から適宜設定することがで
きる。蒸気逃げ溝12の深さは、深い方が蒸気の逃げ効
率は向上するが、あまり深くすると乾燥型の熱容量が少
なくなり乾燥効率が低下するため、0.1mm以上であ
ることが好ましく、3mm以上であることがより好まし
い。
【0011】蒸気逃げ溝12は、その端部12aが凹状
部11の周縁に達しないように形成されており、これに
より、抄造型(図示せず)と連携させて乾燥に供する湿
潤状体の成形体を圧縮空気のパージ・負圧吸引により行
う場合にも、空気の漏れや吸引力の低下が起きないよう
になっている。
【0012】図2(b)に示すように、蒸気逃げ溝12
には、凹状部11の法線方向に向けて外部に通じる蒸気
逃げ孔14が且つ規則的に形成されている。蒸気逃げ孔
14の内径は、蒸気の逃げ効率の向上、並びに蒸気の逃
げムラ、パルプ繊維の加熱ムラ及び網状体30を配設し
た場合におけるその変形防止の点から0.1〜10mm
であることが好ましく、1〜5mmであることがより好
ましい。蒸気逃げ孔14は、全ての蒸気逃げ溝12が外
部に通じるように形成されている。尚、蒸気逃げ孔14
は、凹状部11において、乾燥すべき成形体の口頸部に
対応する部分にも形成されている。
【0013】蒸気逃げ孔14の内径は、湿潤状体の成形
体を乾燥する際に、成形体表面のパルプ繊維が蒸気逃げ
溝12を塞ぐ等の目詰まりを防止し、乾燥ムラを抑える
点から、前記蒸気逃げ溝12の幅よりも大きくすること
が好ましい。また、蒸気逃げ穴14は、パルプ繊維の目
詰まりをより防止する点からは、蒸気逃げ溝12の底面
部のみならず、側面部からも外部に通じるように深く形
成することが好ましい。
【0014】キャビティプレート10の内部には、その
長手方向に沿って且つ蒸気逃げ孔14と連通するように
貫通孔15が形成されている。その結果、キャビティプ
レート10の内部には、蒸気逃げ孔14と貫通孔15と
によって、蒸気逃げ溝12と乾燥型1の外部とを連通す
る連通路が形成される。そして、湿潤した成形体の乾燥
により発生した蒸気は、該連通路を通じて乾燥型1の外
部に排出される。
【0015】キャビティプレート10の下面側には、キ
ャビティプレート10と同形の金属製ブロックからなる
バックプレート20が、所定手段によりキャビティプレ
ート10に固定されている。また、バックプレート20
には、その長手方向に沿って複数の貫通孔が形成されて
おり、該貫通孔に所定の加熱手段、例えば電熱ヒーター
等の発熱体21が嵌挿されている。バックプレート20
に加熱手段を配する場合、成形体の形状に応じて他の乾
燥型のバックプレートと共有することで、型部品の共有
化ができ、型の制作費の低減が図れ、型交換を容易にで
きるようになっている。
【0016】図3及び図4は、本発明の乾燥型の第2実
施形態を示したものである。これらの図において、前記
第1実施形態の乾燥型1と共通する部分については、同
一符号を付しその説明は省略する。したがって、特に説
明のない部分については、前記第1実施形態における説
明が適宜適用される。
【0017】本実施形態の乾燥型1’は、キャビティプ
レート10の凹状部11の周縁部に、平面視U字状の段
差部16が形成されている。そして、この段差部16に
網状体30の周縁部を配設し、その上から押さえ板40
をキャビティプレート10にネジ41で取り付けること
で、網状体30を固定できるようになっている。
【0018】網状体30は、キャビティプレート10の
凹状部11と嵌合する3次元形状に加工されている。網
状体30は、押圧・乾燥時の押圧力を均一に受けてその
変形に耐え、網状体自身の網目及び蒸気逃げ溝12の成
形体への転写を防止できる点から、その曲げ強度(変形
強度)が0.4〜10MPaであることが好ましく、1
〜6MPaであることが好ましい。ここで曲げ強度は、
曲げ試験機(ORIENTEC社製、商品名TENSI
LON)を用い、蒸気逃げ溝12の幅に合わせた所定の
スパンで網状体を支持し、ロードセルを20mm/分で
移動させた場合の最大荷重を、5個のサンプルについて
測定し、平均した値である。
【0019】網状体30は、具体的には、銅、ステンレ
ス等の金属や、ケブラー、テフロン等の合成樹脂繊維、
植物繊維、羊毛等の動物繊維からなる線材(繊維)を編
み込むか又は接合したネットからなり、これをプレス加
工して乾燥すべき成形体の形状に対応した3次元形状に
形成したものである。網状体30は、キャビティプレー
ト10の凹状部11に嵌合する形状の凹陥部31及び凹
陥部31の周縁から水平方向に延出したフランジ32を
有している。網状体30は、平織り、綾織り、畳織りが
好ましく、1重織り、1.5重織り、2重織り等とする
こともできる。
【0020】網状体30は、例えば、金属繊維からなる
場合には、凹陥部31における網目が10〜200メッ
シュ(JIS G3555、以下同じ。)、特に20〜
100メッシュであることが、蒸気逃げ溝を通じた蒸気
の逃げ易さ、網状体30とキャビティプレート10との
密着による熱伝導の効率向上、パルプ繊維の目詰まり防
止、網目の転写による成形体の表面性等の点から好まし
い。
【0021】網状体30は、その凹陥部31がキャビテ
ィプレート10の凹状部11に嵌合した状態下に、網状
体30のフランジ32と同形の押さえ板40によって押
さえ付けられる。詳細には、押さえ板40と、キャビテ
ィプレート10の凹状部11の周縁に形成された段差部
16とによってフランジ32が挟持され、更にネジ41
によって押さえ板40及び網状体30が、キャビティプ
レート10に着脱可能に固定される。このように、網状
体30が着脱可能に固定されているので、網状体30の
網目にパルプ繊維の目詰まりが起こっても取り外して容
易に洗浄できるようになっており、乾燥型1はその保守
性にも優れている。また、成形体の内側から当該成形体
を乾燥型の凹状部11に押圧しながら乾燥する場合で
も、成形体の外面に蒸気逃げ溝の跡が残ることがない。
【0022】本発明のパルプモールド成形体の乾燥方法
をその好ましい実施形態として、前記第1実施形態の乾
燥型1を用いた乾燥方法に基づいて、図5を参照しなが
ら説明する。尚、図5においては簡便のため、乾燥型1
の構造及び形状等は簡略化してある。
【0023】本発明により乾燥に供されるパルプモール
ド成形体は、下記のパルプスラリーを原料とし、一組の
割型を組み付けてキャビティを形成する抄紙型を用い、
該キャビティ内面を所定の抄紙ネットで覆った状態で該
キャビティ内に該スラリーを所定圧の加圧注入により供
給しつつ、該抄紙型の外部から負圧吸引してキャビティ
内面に所定のパルプ繊維積層体を形成し、スラリー加圧
注入後に該パルプ繊維積層体の内側に弾性中子を挿入し
て該中子内に圧縮空気を圧入して該パルプ繊維積層体を
その内側から該中子で所定圧力で押圧して脱水したもの
が好ましい。
【0024】湿潤状態の成形体を抄紙・成形するパルプ
スラリーは、特に制限されないが、パルプ繊維と水とか
らなるものでもよく、或いはこれらに加えてタルクやカ
オリナイト等の無機物、ガラス繊維やカーボン繊維等の
無機繊維、ポリオレフィン等の合成樹脂の粉末又は繊
維、非木材又は植物質繊維、多糖類等の成分を含有して
いてもよい。これらの成分の配合量は、前記パルプ繊維
及び該成分の合計量に対して1〜70重量%、特に5〜
50重量%であることが好ましい。パルプ繊維は、針葉
樹または広葉樹等の木材パルプや竹、わら等の非木材パ
ルプであるのが好ましい。また、パルプ繊維は、肉厚が
均一で、表面性に優れた成形体を抄紙し得る点から、平
均繊維長が0.8〜2.0mmであることが好ましく、
また、平均繊維分布で0.4〜4.0mmの繊維長のも
のが全体の20〜90%、1.4〜3.0mmの繊維長の
ものが5〜50%であることが好ましい。
【0025】また、本発明の乾燥型において押圧・乾燥
する湿潤状態の成形体は、含水率が20〜95重量%、
好ましくは40〜80重量%である。
【0026】先ず、図5(a)に示すように、2つの乾
燥型1,1の分割面同士を突き合わせることにより、2
つの凹状部11で形成されるキャビティ内に、所定の抄
造方法により成形されたパルプモールド成形体2を収容
する。両乾燥型1はバックプレートに配された発熱体に
よって予め所定温度に加熱されている。
【0027】次に、図5(b)に示すように、中空の袋
状の中子3を成形体2内に挿入する。中子3は、弾性を
有し伸縮自在であることが好ましい。また中子3は、引
張強度、反発弾性及び伸縮性等に優れたウレタン、フッ
素系ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマ等によって
形成されていることが好ましい。
【0028】次に、図5(c)に示すように、中子3内
に加圧流体を供給して中子3を膨張させ、膨張した中子
3により湿潤状態の成形体2を凹状部11の内面に配さ
れた上記網状体(図示せず)に押圧する。成形体2は、
膨張した中子3によって網状体の内面に押し付けられ、
成形体2の乾燥が進行すると共に網状体の形状が成形体
2に転写される。この際、網状体の曲げ強度を上記範囲
とすることにより、網状体が蒸気逃げ溝及び蒸気逃げ孔
を跨ぐ部分においても変形を受けずに、中子3による押
圧力を均一に受けて成形体の蒸気逃げ溝及び蒸気逃げ孔
への落ち込みを防ぎ、自身の網目及び蒸気逃げ溝の転写
痕が乾燥後の成形体2の外表面につきにくくなる。ま
た、成形体2の内部からの押圧により成形体2が上記網
状体に均一に押し付けられるとともに、該網状体が凹状
部11の内面に密着して当接することから、成形体2の
形状が複雑であっても、均一に熱伝導が行われ高い乾燥
効率で成形体2の乾燥が行われる。乾燥時に成形体から
発せられる蒸気は、蒸気逃げ溝12、蒸気逃げ孔14及
び貫通孔15を通じて外部に効率よく排気される。中子
3を膨張させるために用いられる加圧流体としては、例
えば圧縮空気(加熱空気)、油(加熱油)、その他各種
の液が使用される。また、加圧流体を供給する圧力は、
0.01〜5MPa、特に0.1〜3MPaであること
が好ましい。
【0029】成形体2を所定の含水率まで十分に乾燥で
きたら、図5(d)に示すように、中子3内の加圧流体
を抜き、中子3を収縮させる。次いで、収縮した中子3
を成形体2内より取り出し、両乾燥型1,1を開いて成
形体2を取り出す。
【0030】成形体の表面の仕上げ性(平滑性)をより
高めたい場合には、成形体2を表面が平滑な凹状部又は
突状部を有する仕上げ型へ装填し、該仕上げ型内で該成
形体を押圧及び乾燥させる。これには、成形体と接する
面にテフロン(米国デュポン社の登録商標)等のフッ素
樹脂コートを施すとともに必要に応じて水蒸気逃げ溝、
蒸気逃げ孔等を適宜の配置形態で配設した仕上げ型を用
い、前記同様の中子により成形体2の内側から押圧しな
がら乾燥を行う。この仕上げ型を用いた仕上げ乾燥は、
表面の仕上げ性及び生産性を高める点から金型温度が1
50〜250℃であることが好ましく、180〜230
℃であることがより好ましい。同様に該中子による押圧
力は、0.01〜10MPaであることが好ましく、
0.1〜5MPaであることがより好ましい。このよう
な仕上げ型を用いた仕上げ乾燥を行う場合には、前記乾
燥型1を用いた乾燥時における含水率は、10〜35重
量%とすることが好ましく、15〜25重量%とするこ
とがより好ましい。含水率が低すぎると、仕上げ効果十
分に得られにくくまた、含水率が高すぎると、水蒸気爆
発が生じたり、仕上げ型に蒸気逃げ孔を設けた場合にそ
の跡が残り易くなる。
【0031】このようにして製造された成形体は、口頸
部、胴部及び底部の何れにもにつなぎ目が無く、また、
その外表面に上記気逃げ溝等の転写痕が殆どない平滑な
ものであり、外観の印象がよいものである。また、成形
体は、口部の直径が胴部の直径よりも小さい円筒形状の
ボトル型容器であり、粉状体や粒状体等の内容物の収容
に特に好適に使用される。
【0032】このように、本実施形態によれば、外表面
に蒸気逃げ溝の転写痕のない成形体を効率よく製造でき
る。
【0033】本発明は前記実施形態に制限されない。例
えば、凹状部の表面に凹設する蒸気逃げ溝は、前記実施
形態におけるように縦横の格子状に設けることが好まし
いが、乾燥すべき成形体の寸法、形状等に応じて、縦溝
のみ、横溝のみとすることもできる。また、蒸気逃げ溝
は、乾燥すべき成形体の形状等に応じて種々のパターン
とすることもできる。
【0034】また、凹状部に網状体を配設する場合に
は、前記第2実施形態の乾燥型1’のような、成形体の
肩部、胴部及び底部に対応する部分のみならず、口頸部
に対応する部分にも配設することができることはいうま
でもない。また、例えば、図6に示す乾燥型1’におけ
るように、乾燥後に、成形体の胴部外周面にラベル等を
貼着させる場合に合わせて、当該ラベル等の貼着部位に
対応する部分にのみ網状体30’を配設し、当該部位の
表面性を高めることもできる。この場合には、網状体の
配設部位に網状体を配設した状態において、凹状部1
1’における網状体30’の配設部位を低くして段差を
設け、網状体30’の配設部位以外の部分の上面と網状
体30’の上面とが面一になるように配設することが好
ましい。また網状体30’を配設する部位には、蒸気逃
げ溝12に通じ蒸気逃げ孔14と同形の孔14’を穿設
することが好ましい。
【0035】また、乾燥すべき成形体の形状によって
は、乾燥型1におけるキャビティプレート10として、
図7に示すように乾燥すべき成形体と嵌合し得る形状の
凸状部11’が凸設された乾燥型1を用い、凸状部1
1’の表面に蒸気逃げ溝12を設けることもできる。
【0036】また、蒸気逃げ孔は、前記実施形態の乾燥
型におけるように、円形断面とすることが好ましいが、
他の断面形状とすることもできる。また、蒸気逃げ溝を
縦溝のみ、横溝のみとする場合には、キャビティプレー
ト10の部材(10b)の裏側からこれらの各溝に交差
するように矩形の蒸気逃げ孔を設けることもでき、ま
た、これらの蒸気逃げ孔を、各溝と交差するように連通
させて溝状に形成することもできる。何れの場合にも、
蒸気逃げ孔の内径(溝状に連通させた場合には幅)は蒸
気逃げ溝の幅よりも大きくすることが好ましく、また、
上述のように、パルプ繊維の目詰まりをより防止する点
から蒸気逃げ溝の底面部のみならず側面部からも外部に
通じるように蒸気逃げ孔を形成することが好ましい。
【0037】また、バックプレート20に加熱手段を配
することに代えて、キャビティプレート10に加熱手段
を配設することもできる。
【0038】また、上記実施形態においては、2つの乾
燥型を突き合わせて使用したが、成形体の形状によって
は1つの乾燥型又は3つ以上の乾燥型を組み合わせて用
いることもできる。
【0039】また、本発明のパルプモールド成形体の乾
燥型は、抄紙型のキャビティにパルプスラリーを注入し
て抄紙した湿潤状態の成形体はもちろんのほか、パルプ
スラリーに抄紙型を浸漬して抄紙した湿潤状態の成形体
等、成形体の成形方法は特に限定されないことはいうま
でもない。
【0040】
【実施例】図1及び図2に示す乾燥型を用い、下記のパ
ルプモールド法により製造した湿潤状態の成形体を下記
の条件で図5に示す手順で加熱乾燥させた。 <抄紙条件> スラリー配合組成:新聞古紙1重量%スラリー(CSF
=350ml) スラリー供給圧:最大0.1MPa 弾性中子押圧力、押圧時間:なし <抄紙ネット> 素材:ポリエテチレンテレフラレート製 網目寸法:#50(目開き0.31mm、線径0.3m
m(カタログ値)) <成形体の寸法形状等> 成形体の寸法形状:最大径80mm、高さ238mmの
ボトル容器 成形体の乾燥前の含水率:77重量% <乾燥型> 蒸気逃げ溝12:幅0.5mm、深さ10mm、格子幅
20mm 蒸気逃げ孔14:孔内径4mm、ピッチ20mm <網状体> 素材:ステンレス鋼線製織金網 網目寸法:#50(目開き0.28mm、線径0.23
mm(カタログ値)) <乾燥条件> 金型温度:230℃ 加熱時間:30秒 中子による加圧力:1MPa
【0041】乾燥後の成形体の平均含水率は4.61で
あり、成形体表面は蒸気逃げ溝の転写痕がなく表面性に
優れていることが確認された。
【発明の効果】本発明のパルプモールド成形体の乾燥型
によれば、表面に転写痕を残さずに効率の高い乾燥を行
うことができる。また、本発明のパルプモールド成形体
の乾燥方法によれば、表面に転写痕のないパルプモール
ド成形体を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパルプモールド成形体の乾燥型の第1
実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】同実施形態の乾燥型を示す概略図であり、
(a)は正面図及び(b)は(a)のa−a線断面図で
ある。
【図3】本発明のパルプモールド成形体の乾燥型の第2
実施形態を示す概略の分解斜視図である。
【図4】同実施形態の乾燥型を示す概略図であり、
(a)は一部を破断視した正面図及び(b)は(a)の
b−b線断面図である。
【図5】本発明のパルプモールド成形体の乾燥方法の一
実施形態における概略工程を示したものであり、(a)
は乾燥型内に成形体を配置した状態、(b)は中子の挿
入状態、(c)は押圧・乾燥状態、(d)は脱型状態を
示す図である。
【図6】本発明のパルプモールド成形体の乾燥型の他の
実施形態を示す概略図であり、(a)は正面図及び
(b)は(a)のc−c線断面図である。
【図7】本発明のパルプモールド成形体の乾燥型の他の
実施形態を示す概略断面図〔図2(b)相当図〕であ
る。
【符号の説明】
1,1’ 乾燥型 2 パルプモールド成形体 3 中子 10 キャビティプレート 11 凹状部 11’凸状部 12 蒸気逃げ溝 13 凸状部 30 網状体 31 凹陥部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 惣野 時人 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 Fターム(参考) 4L055 BF08 CJ06 EA13 EA15 EA19 FA11 FA22 GA05 GA50

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプスラリーより成形された湿潤状態
    の成形体を押圧及び乾燥させるために用いられるパルプ
    モールド成形体の乾燥型であって、前記成形体と嵌合し
    得る形状の凹状部又は凸状部を有し、該凹状部又は該凸
    状部の表面に多数の蒸気逃げ溝を凹設すると共に、該蒸
    気逃げ溝から外部へ通じる多数の蒸気逃げ孔を設けたパ
    ルプモールド成形体の乾燥型。
  2. 【請求項2】 前記溝の深さが、0.1〜5mmである
    請求項1記載のパルプモールド成形体の乾燥型。
  3. 【請求項3】 前記溝の幅が0.1〜10mmである請
    求項1記載のパルプモールド成形体の乾燥型。
  4. 【請求項4】 前記凹状部又は前記凸状部の表面に、所
    定強度の網状体を配設した請求項1〜3の何れかに記載
    のパルプモールド成形体の乾燥型。
  5. 【請求項5】 前記網状体の変形強度が0.4〜10M
    Paである請求項4記載のパルプモールド成形体の乾燥
    型。
  6. 【請求項6】 パルプスラリーより成形された湿潤状態
    の成形体を、前記成形体と嵌合し得る形状の凹状部又は
    凸状部を有する乾燥型へ装填し、該乾燥型内で該成形体
    を押圧及び乾燥させるパルプモールド成形体の乾燥方法
    であって、前記凹状部又は前記凸状部の表面に多数の蒸
    気逃げ溝を凹設すると共に、該蒸気逃げ溝から外部へ通
    じる多数の蒸気逃げ孔を設けておき、該蒸気逃げ溝及び
    該蒸気逃げ孔を通じて水分を排出するパルプモールド成
    形体の乾燥方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のパルプモールド成形体
    の乾燥方法で成形体を乾燥した後に、該成形体を表面が
    平滑な凹状部又は突状部を有する仕上げ型へ装填し、該
    仕上げ型内で該成形体を押圧及び乾燥させるパルプモー
    ルド成形体の乾燥方法。
  8. 【請求項8】 前記仕上げ型へ装填する際の前記成形体
    の含水率が30〜35重量%である請求項7記載のパル
    プモールド成形体の乾燥方法。
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