JP2003102431A - ザクロエキス - Google Patents

ザクロエキス

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モアィエディ アザム
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ザクロエキスに用いる品種を特定し、種ごと搾
汁することにより、良質食品によって健康を維持、改善
しようとする志向に適った、品質の高いザクロエキス
を、安定供給することを目的とする。 【解決手段】イラン産ザクロの品種である「シアヘ・ダ
ネドロシュティ・シラーズィ」と「マラセ・シリン」と
「トゥク・ガルダン・シャハワール」と「タボラルズ・
ドロシュティ・シラーズィ」の4品種を、種ごと圧搾し
た果汁を原料とし、綿密に濃縮混合したことを特徴とす
るザクロエキスである「ルビアン ペルシャザクロ」を
得ることによって、本課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する分野】本発明は、イラン産ザクロの品種
であるところの「シアヘ・ダネドロシュティ・シラーズ
ィ」と「マラセ・シリン」と「トゥク・ガルダン・シャ
ハワール」と「タボラルズ・ドロシュティ・シラーズ
ィ」の4品種の完熟ザクロ果実を、種ごと搾汁した果汁
を原料とし、綿密な濃縮混合過程を経て得られるザクロ
エキス「ルビアン ペルシャザクロ」に関するものであ
り、有効成分の高度な含有と、品質の安定に適した性質
を有する。 【0002】 【従来の技術】ザクロは学名を「ピューニカ・グラナー
ツム」(Punica guranatum)といい原
産はイランであり、古代より食用、薬用として広く利用
され、古代ギリシャのヒポクラテスの医学書、古代ロー
マのプリニウスの『博物誌』、また『聖書』にもその記
載がある。中国から平安時代にシルクロード経由で伝来
した我が国では、あまり積極的な利用はなされなかっ
た。上記古典中に記載されたザクロの効能には、胃腸の
強化、滋養強壮、血液浄化、肝機能強化、胆汁分泌促
進、皮膚病、咳止め、口内炎利尿作用、婦人病などがあ
り、1966年以降、ザクロの種子には、ヒトと同じ化
学構造式を有し、同じ働きを行う、卵胞ホルモンである
エストロンならびにエストラジオールを含有することが
アメリカ、エジプト、日本で確認された。これにより、
卵胞ホルモン減少による女性の不快症状や骨量の低下、
コレステロール値や血圧の不安定あるいは、通風、また
男性の前立腺肥大などの改善にも有効であることが確認
されている。最近では、本来は秋の果実であるザクロ
の、果汁を濃縮してエキス状にしたものが、年間を通し
て利用できる利点を認められ、健康維持や改善を目的に
食品として普及してきた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来のザクロエキス
は、落下ザクロや、樹上で果裂したザクロなど、商品価
値の低いものが用いられたり、あるいは200種を超え
るザクロの品種を、ひとくくりにザクロ科ザクロとして
とらえ、有効成分が低いか、あるいは含まないもの、ま
たは食用に適さないものも、健康食品原料として濃縮果
汁やジュースなどの加工食品として流通してきたが、昨
今、良質な食品によって健康を維持、改善しようとする
志向が強くなり、健康食品、自然食品、食品一般はその
品質が大きく問われている。この需要に応えるために
は、種子にエストロン、エストラジオールを含む品種で
あること、種ごと搾汁したうえにも、美いルビー色や風
味を損なわないこと、果汁含有量が多いこと、生産量が
安定していることなどが求められる。しかし、国産のザ
クロは、果汁が25%と、果汁含有量が極端に少なく、
食用に不向きである。また収穫期が9月、10月である
ため台風の被害に会いやすい欠点がある。さらに国内生
産、出荷量とも少なく、ほとんどを輸入に依存してお
り、したがって適切なザクロ果汁やザクロエキスが得に
くい欠点もある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の目的は、上述の
事情に鑑み、原料とするザクロ品種を限定し、種ごと搾
汁することにより、良質食品によって健康を維持、改善
しようとする志向に適った、高品質のザクロエキスを安
定して提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための形態】本発明者は、ザクロエキ
スに用いるザクロの品種、とくに果汁が豊富な上にも、
種子が充実し、種ごと搾汁した果汁を得やすい品種、か
つ果汁色が美しい品種について、比較検討を行った結
果、世界で最も多く年間60万トンを生産する、イラン
産220品種のザクロのうち、「シアヘ・ダネドロシュ
ティ・シラーズィ」と「マラセ・シリン」と「トゥク・
ガルダン・シャハワール」と「タボラルズ・ドロシュテ
ィ・シラーズィ」の4品種の完熟ザクロ果実を、種ごと
搾汁した果汁を原料とし、綿密な濃縮混合過程を経て得
たザクロエキス「ルビアン ペルシャザクロ」に、有効
成分の高度な含有と品質の安定に適した性質を有し、安
定的に提供できることを見出し、本発明を完成した。 【0006】すなわち、本発明は、イラン産ザクロの品
種であるところの「シアヘ・ダネドロシュティ・シラー
ズィ」と「マラセ・シリン」と「トゥク・ガルダン・シ
ャハワール」と「タボラルズ・ドロシュティ・シラーズ
ィ」の4品種の完熟ザクロ果実を、種ごと搾汁した果汁
を原料とし、綿密な濃縮混合過程を経て得られることを
特徴とするザクロエキス「ルビアンペルシャザクロ」で
ある。以下、本発明を詳細に説明する。 【0007】本発明のザクロエキスの原料とするザクロ
の品種は、「シアヘ・ダネドロシュティ・シラーズィ」
と「マラセ・シリン」と「トゥク・ガルダン・シャハワ
ール」と「タボラルズ・ドロシュティ・シラーズィ」で
あり、これらの産地はイランである。当該4品種は以下
のような特徴を持つ。 「シアヘ・ダネドロシュティ・シラーズィ」 (1) 熟期は8月末から9月末で、樹上での果裂は認
められない。 (2) 成熟に平行して果皮、果実とも黒化し、落下し
ない。 (3) 種皮は非常にうすく、種子の密度がもっとも高
く種子がやわらかい。種子エキスの抽出に適している。 (4) 糖度、酸度とも高く、多汁で果実の中の一つ一
つが大ぶりである。 (5) 果汁は暗紅色。イランの南、シラーズ原産であ
る。 「マラセ・シリン」 (1) 酸度は平均的で、糖度はもっとも高く、熟期は
8月末から10月。樹上での果裂は認められない。 (2) 種子密度は「シアヘ・ダネドロシュティ・シラ
ーズィ」と同程度で種子エキスの抽出は容易である。 (3) 果皮、果実、果汁は真紅を呈す。 (4) イラン西南部、ザグロス山脈が原産である。 「トゥク・ガルダン・シャハワール」 (1) 甘酸適和で果汁が豊富、水分が多い。 (2) 果実は巨大で、成熟したものは最大直径20c
m、重量が1.5kgに達することもある。 (3) 熟期は9月上旬から10月で、果皮、果実、果
汁は真紅を呈す。 (4) 種自体は「シアヘ・ダネドロシュティ・シラー
ズィ」「マラセ・シリン」に比較すると小さいが、種皮
が柔らかく、種子エキスの抽出は容易である。 (5) イラン西南部、ザグロス山脈が原産である。 「タボラルズ・ドロシュティ・シラーズィ」 (1) 甘酸適和で果汁が豊富、水分が多い。 (2) 果実は大きく、「トゥク・ガルダン・シャハワ
ール」に準じ、成熟したもので最大直径18cmに達す
ることもある。 (3) 熟期は9月上旬から10月で、樹上での果裂は
認められない。 (4) 果皮、果実、果汁は真紅を呈し、落下がない。 (5) 種子自体は「シアヘ・ダネドロシュティ・シラ
ーズィ」「マラセ・シリン」に比較すると小さいが、種
皮が薄く、種子エキスの抽出は容易である。 (6) イラン南部シラーズが原産である。 【0008】これらのザクロは果実が完全に熟したもの
を用いる。さらに、完熟したものであっても、落下もし
くは裂果、ザクロの王冠が割れて開いたものは用いな
い。これらは、種子が硬化し、または酸化し、良質な種
子のエキスが得られない。 【0009】製造の工程は下記のように行う。 (1) ザクロ果実は、品種別に工場搬入後、最終の不
適格選別を行い除去して、品種ごとのラインへ配置す
る。 (2) 水圧洗浄後、果実皮を剥く工程を経て、破砕機
に送る。 (3) 種ごと破砕したザクロはポンプで、搾汁機に送
り、搾汁する。 (4) 搾汁後、振動篩にかけた後、遠心分離機にか
け、種子を搾ったあとの残留物を除去する。 (5) (4)で得た果汁を、酵素処理タンク送り、沈
殿ろ過する。 (6) (5)でろ過工程が終わったものを、真空濃縮
装置に送り、第一次濃縮を行ったのち、急速冷却する。 (7) (6)により濃縮冷却された結果、生ずる果糖
の結晶を、沈殿ろ過し、除去する。 (8) (7)で得たエキスを、真空濃縮装置に送り、
第二次濃縮を行う。 (9) 真空混合槽に送り、4種のエキス混合を行う。 (10)110℃で10分殺菌後、急速冷却し、充填槽
に送る。 (11)充填工程は、真空パックまたはビン詰めとも可
能である。真空パックの場合、真空状態の中でアセプテ
ィックシステムを使用し、充填、栓締めを行う。ビン詰
めの場合は、あらかじめ洗浄殺菌したビンに充填する。 (12)最終検査を通過し、出荷まで冷蔵倉庫に保管す
る。 【0010】 【試験例】(試験例1)本発明に用いたイラン産ザクロ
「シアヘ・ダネドロシュティ・シラーズィ」と「マラセ
・シリン」と「トゥク・ガルダン・シャハワール」と
「タボラルズ・ドロシュティ・シラーズィ」の4品種
と、これ以外の比較的産業利用されているイラン産ザク
ロ、その他の産地の輸入ザクロ、日本産のザクロについ
て、完熟生果の可食部比率、廃棄率の検査を行った。結
果を以下に示す。 【0011】 【表1】【0012】 【試験例】(試験例2)本発明に用いたイラン産ザクロ
「シアヘ・ダネドロシュティ・シラーズィ」と「マラセ
・シリン」と「トゥク・ガルダン・シャハワール」と
「タボラルズ・ドロシュティ・シラーズィ」の4品種
と、これ以外の比較的産業利用されているイラン産ザク
ロ、その他の産地の輸入ザクロ、日本産のザクロについ
て、果重、直径の検査を行った。検査には、完熟した生
果、それぞれ10個ずつを用い、その平均値をとった。
その結果を以下の表2に示す。 【0013】 【表2】 【0014】 【試験例】(試験例3)本発明に用いたイラン産ザクロ
「シアヘ・ダネドロシュティ・シラーズィ」と「マラセ
・シリン」と「トゥク・ガルダン・シャハワール」と
「タボラルズ・ドロシュティ・シラーズィ」の4品種
と、これ以外の比較的産業利用されているイラン産ザク
ロ、その他の産地の輸入ザクロ、日本産のザクロについ
て、その種皮を除いた種子、すなわち胚と胚乳の重量を
計測した。種は、それぞれ100gを用い、種皮を除い
たあとの種子、すなわち胚と胚乳の重量の計測結果を以
下の表3に示す。 【0015】 【表3】【0016】 【実施例1】以下のザクロを原料に、「ルビアン ペル
シャザクロ」を製造したところ、約720gを得た。 シアヘ・ダネドロシュティ・シラーズィ 8.5kg マラセ・シリン 11.0kg トゥク・ガルダン・シャハワール 24.0kg タボラルズ・ドロシュティ・シラーズィ 18.0kg 【0017】 【試験例】(試験例4)成人男女各10名、かつ女性は
閉経後であることを条件とし、総コレステロールがその
基準値より高く、HDLコレステロール(善玉コレステ
ロール)がその基準値より低く、改善を要する者を対象
に、3ケ月間、実施例1で得た「ルビアンペルシャ ザ
クロ」を与えた。調査項目は、総コレステロール、HD
Lコレステロールとし、投与前と投与後に計測し、平均
値をとった。ただし、HDLコレステロール値は一般
に、女性より男性が高いため、男女別に調査した。以
下、投与後は、被験者のHDLコレステロール平均値は
増加したにもかかわらず、総コレステロール平均値は減
少した結果を示す。 【0018】 【表4】 【0019】 【試験結果】総コレステロールの正常域は120〜22
0mg/dl、平均値は180mg/dlである。また
HDLコレステロールは、男性の正常域40〜60mg
/dl、平均値は45mg/dlであり、女性は50〜
70mg/dl、平均値は60mg/dlである。上
記、表4のごとく、本発明の「ルビアン ペルシャザク
ロ」を与えることにより、男女ともHDLコレステロー
ル平均値は増加したにもかかわらず、総コレステロール
平均値は減少した結果を示す。 【0020】 【試験例】(試験例5)成人男女各10名、かつ女性は
閉経後であることを条件とし、骨強度がその相応する平
均より低く、かつ中性脂肪値がその基準値より高く、改
善を要する者を対象に、3ケ月間、実施例1で得た「ル
ビアンペルシャ ザクロ」を与えた。調査項目は、骨強
度と中性脂肪値とし、投与前と投与後に計測した平均値
をとった。以下、投与後は、骨強度の平均値が増加し、
中性脂肪平均が減少した結果を示す。 【0021】 【表5】 【0022】 【試験結果】骨強度の各年齢の標準偏差の平均値は、
0.27986であるが、本発明の「ルビアン ペルシ
ャザクロ」を与えることにより、平均値を上回る骨強度
の増加を示した。また、中性脂肪の正常域は55〜15
0mg/dlであり、平均値は115mg/dlである
が、本発明の「ルビアン ペルシャザクロ」を与えるこ
とにより、正常域まで中性脂肪平均値が減少したことを
示した。閉経後、卵胞ホルモンの分泌が減少した状態で
あっても、骨強度が増加し、これの意味するところは、
本発明の「ルビアン ペルシャザクロ」が、卵胞ホルモ
ン作用を示していると判断できる。 【0024】 【発明の効果】本発明の課題は、原料とするザクロ品種
を限定し、種ごと搾汁することにより、良質食品によっ
て健康を維持、改善しようとする志向に適った、高品質
のザクロエキスを、安定提供することにあり、これまで
は収穫期が短く、品質も不安定であったが、本発明によ
り、優れた品質と安定した提供が可能になる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】本発明は、ザクロエキス「ルビアン ペル
    シャザクロ」に関するものである。「ルビアン ペルシ
    ャザクロ」とは、イラン産ザクロの品種であるところの
    「シアヘ・ダネドロシュティ・シラーズィ」と「マラセ
    ・シリン」と「トゥク・ガルダン・シャハワール」と
    「タボラルズ・ドロシュティ・シラーズィ」の4品種の
    完熟ザクロ果実を、種ごと搾汁した果汁を原料として、
    綿密な濃縮混合過程を経て得られるザクロエキスの名称
    である。
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