JP2003100162A - 酸化物超電導線材の熱処理方法 - Google Patents
酸化物超電導線材の熱処理方法Info
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Abstract
材の熱処理時におけるシース内部からのガス放出に伴う
シースの膨れや割れ及び酸化物超電導物質内に発生する
大きな気泡を防止し、なお且つ確実にBi−2212粒
子の結晶を配向し、高い臨界電流を得る。 【解決手段】 まず、昇温時にシース内部から酸素ガス
放出する温度より高く、且つBi−2212粒子の融点
よりも低い温度範囲に前記酸化物超電導線材を晒して、
十分ガスを放出させた後、一旦Bi−2212粒子の融
点よりも高温に高速で急熱した後、Bi−2212酸化
物超電導粒子の凝固点以下で且つBi−2212粒子の
結晶が成長する温度よりも高い温度範囲に急冷し、その
温度範囲においてBi−2212粒子の結晶成長とその
配向を揃えた後、常温まで降温させる。
Description
からなるシースの中にBi系酸化物超電導体を充填した
酸化物超電導線材を熱処理し、シースの中で酸化物超電
導体粒子の結晶を所定の方向に配向させる酸化物超電導
線材の熱処理方法に関する。
めの研究が最も多くなされている材料であり、実用化に
近い線材として研究が進められている。これは、Bi系
酸化物超電導体が、圧延加工や熱処理による溶融凝固と
いった比較的容易なプロセスで結晶配向が容易であり、
酸化物に特有の弱結合による特性の劣化という問題点
を、比較的容易に改善することができたことによる。
212)超電導体は、部分溶融−徐冷プロセスが開発さ
れ、Bi系特有の鱗片状の結晶の成長と配向化が容易に
達成されるようになってから、線材への応用が格段に進
んだ。このBi−2212超電導体は、臨界温度(T
c)が85Kと、(BiPb)2Sr2Ca2Cu3Oν
(Bi−2223)起電導体に比べて低い。しかし部分
溶融により結晶成長するため、粒界の接合性は良い。そ
のため、30K以下の低温では磁場特性が良く、低温・
高磁界で使用されるコイル用の線材としての応用が検討
されている。
も一般的なものはシース法である。これは、まず図16
に示すように銀或いはその合金の常電導体製のパイプに
Bi−2212粒子を充填し、伸線加工を施した後、さ
らに常電導体製のパイプに嵌め込んで伸線を行う。その
後、圧延によってテープ形状にすることが一般的であ
る。この後、部分溶融−徐冷プロセスによって熱処理を
施す。このときBi−2212粒子は、そのC軸が常電
導体の表面に対して垂直方向に配向され、シースの長手
方向にわたって結晶のab面を揃えることができる。因
みに、完全溶融温度以上に上げて熱処理をするとBi−
2212の超電導結晶ができづらくなる。
化物超電導線材を前記のような部分溶融−凝固プロセス
によって熱処理を施したとき、酸化物超電導体粒子がシ
ースによって密閉された形で熱処理されるため、シース
や酸化物超電導粉末から放出されるガスによって大きな
気泡、シースの膨れ、或いは割れ等が発生することがあ
る。この放出ガスによるシースの膨れや割れ、更には酸
化物超電導体中に発生する大きな気泡は、長尺な酸化物
超電導線材の特性を決定する重要な問題となる。
料に含まれるカーボンが原因となって発生するCO2 、
超電導粉末に吸着した水分、線材内部に存在するN2 ガ
スに加え、部分溶融時にBi−2212粒子の分解に伴
い発生するO2 ガス等が挙げられる。熱処理時に発生す
るCO2 ガスは酸化物超電導粉末製造時にカーボンが混
入しているためであり、それはシース管に充填する前に
粉を熱処理してCO2ガスにして放出することにより除
去することができる。さらに、水分と吸着CO 2 ガスは
真空中で熱処理することにより除去できる。
ガスは熱処理時に必ず発生するものであって除去でき
ず、しかもそのO2 ガスの発生量が多い。このため、B
i−2212酸化物超電導線材における前記のシースの
割れや膨れ、更には酸化物超電導物質中に発生する大き
な気泡の問題はBi−2223線材等に比べてより深刻
である。
結晶成長を大きく阻害し、超電導電流れを阻害ししま
う。また、ガス圧によるシースの膨れは、幾何学的な不
連続性となって、結晶成長の方向性がシースの長手方向
に揃わなくさせる。さらに、シース割れは、Bi−22
12の部分溶融物が沁み出してしまう原因になるという
問題があった。
uシ−スBi(2212)37芯線の熱重量分析曲線で
あり、O2 ガス放出並びに吸収特性を示す。昇温過程に
おいては800℃近傍からO2 ガスの放出により、芯線
の重量が減少し始める。また、降温過程においては、放
出されたO2 ガスの一部が820℃に至るまでに吸収さ
れ、芯線の重量が増加する。この熱重量分析の結果によ
れば、昇温過程において860℃近傍から870℃程度
にかけて部分溶融が始まり、また降温過程において87
0℃から860℃近傍で凝固が終了すると見られる。
したAgCu/Agシ−スBi(2212)単芯テープ
材のテープ面に垂直にX線を照射した場合の透視像を示
す。図15はそのX線ビームの照射方向を示す図であ
る。このテープ材では、透視像の濃淡が明らかに異なる
領域が不均一に存在し、酸化物の存在密度が不均一であ
り、大きな気泡が不均一に分布していることを示してい
る。
中で熱処理すれば、O2 放出を抑制し、酸化物コア中の
気泡を細かく分散し、臨界電流Icも向上することが知
られている。しかし、このようなO2 の加圧酸化雰囲を
形成することができる雰囲気炉はかなり高価であり、酸
化物超電導線材の製造工程のコストアップの原因とな
る。
の通り部分溶融−徐冷プロセスが採用されており、その
一般的な熱処理プロセスは、図5の通りである。例え
ば、本件発明者らは、φ1.00で、両端開放状態の長
さ12cmのAgCuシース37芯線材を、この熱処理
プロセスに従い、ピーク温度902℃を15min間保
持したプロセスで熱処理したところ、200Aを超える
4.2K,14Tの臨界電流(Ic)を得た。
り絶縁した10mの線材を用いて10mコイルを試作
し、この10mコイル線材の両端を開放しても密封した
状態でも、コイルを巻き付け加工後に熱処理をする、い
わゆるワインド・アンド・リアクト(Wind&Rea
ct)法により、同じくピーク温度902℃を15mi
n間保持したプロセスで熱処理を試みた。その結果、シ
ースが破け、そこから融けたBi−2212がしみ出
し、これがコイル全体を覆ってしまった。それらの原因
により、このコイルでの臨界電流Ic(4.2K,1
T)は0であり、超電導性能がまったく出ないと言う結
果になった。
こっていることが判明した。一つはシースから超電導物
質がしみ出したことによって、シース内に超電導物質の
結晶が出来なくなった事によるものであり、もう一つは
シース内に過剰な気泡発生と集合によってシース内の超
電導物質の結晶が分断されることによるものである。本
件発明者らは、この図5に示す熱処理プロセスにおい
て、シースが破けた原因について検討したところ、その
原因は次の通りであるという結論に達した。すなわち、
750℃の温度からBi−2212粒子の融点を超える
ピーク温度の902℃まで3時間で急熱し、その昇温速
度は50℃/hrを越えるため、部分溶融時にシース内
部からガス放出が急激に行われ、それに伴うシースの内
圧上昇が起こると同時に、AgCuシースの結晶粒が粗
大化し、シースの強度低下を招くものである。また、B
i−2212粒子の部分溶融開始温度である、860℃
〜870℃よりも高いピーク温度付近に線材を長時間晒
すので、Bi−2212粒子の液相状態での粘性が低下
し、これがシースの結晶粒界に入り込み、ハンダ脆性に
似た現象を起こし、シース強度を低下させシース破損を
招くものである。 また同時にO2 ガス放出により酸化
物内に気泡が発生しそれが部分溶融により気泡が集合し
て大きくなる。これにより配向が乱されるものである。
物超電導線材の熱処理方法の課題に鑑み、Bi−221
2粒子を用いた酸化物超電導線材の熱処理時におけるシ
ース内部からのガス放出に伴うシースの膨れや割れ及び
シース内部の大きな気泡発生を防止し、なお且つ確実に
Bi−2212粒子の結晶を配向し、高い臨界電流を得
ることが出来る熱処理方法を提供することを目的とす
る。
を達成するため、Bi−2212粒子の融点を超える温
度に線材を昇温させる前に、線材内部のBi−2212
粒子からO2 ガス放出が起こる温度範囲に線材を予め長
時間晒し、ゆっくりならばAgシースはO2 ガスを透過
するので、このAgシースを通じてO2 ガスを放出し、
線材内部から急激なガス放出が起こるのを防止した。さ
らに、Bi−2212粒子の融点を超える温度には、で
きるだけ短時間に晒し、その後は、Bi−2212粒子
の融点以下の温度で、且つBi−2212粒子の結晶が
成長し、配向する温度に維持し、Bi−2212粒子の
結晶が十分配向した後、常温に戻すようにしたものであ
る。これにより、ガス放出に伴うシースの膨れや割れ及
びシース内部の大きな気泡を起こさず、Bi−2212
粒子の結晶が確実に配向するようにし、高い臨界電流を
得ることができるようにしたものである。
の熱処理方法は、まず、昇温時にシース内部から酸素ガ
ス放出する温度より高く、且つBi−2212粒子の融
点よりも低い温度範囲に前記酸化物超電導線材を晒し
て、十分ガスを放出させた後、一旦Bi−2212粒子
の融点よりも高温に高速で急熱した後、Bi−2212
酸化物超電導粒子の凝固点以下で且つBi−2212粒
子の結晶が成長する温度よりも高い温度範囲に急冷し、
その温度範囲においてBi−2212粒子の結晶成長と
その配向を揃えた後、常温まで降温させる。
てより具体的に説明すると、線材の温度を、810℃の
温度より高く、Bi−2212粒子の融点より低い温度
まで昇温させる。具体的には810〜860℃の温度域
まで昇温させる。酸化物超電導線材の温度を前記の温度
範囲に保持するかまたは緩やかに昇温させ、シース内部
の十分ガスを放出させる。これに要する時間は、少なく
とも10時間である。
−2212粒子の結晶を配向させるため、線材の温度を
前記温度域内からBi−2212粒子の融点以上の88
5〜895℃のピーク温度まで上昇させる。これによ
り、Bi−2212粒子が一度部分溶融する。ただ、こ
の温度に線材を長時間晒すのは好ましくはなく、その昇
温時間は、5〜120分(昇温速度20〜500℃/h
r)がよく、またこのピーク温度からBi−2212粒
子の融点以下の温度への降温も、10〜120分(冷却
速度20〜200℃/hr)がよい
2粒子の融点より低い前記の790〜860℃の温度域
まで急冷した後、線材の温度を、この790〜860℃
の温度域で一定の温度を保持するかまたは緩やかに降温
させる。これにより、Bi−2212粒子の結晶が成長
し、その結晶が配向する。Bi−2212結晶の配向を
完全にするためには、10時間以上を要する。そして、
最後に線材の温度を、常温まで冷却し、熱処理を終了す
る。
明の実施の形態について、具体的且つ詳細に説明する。
図1〜図4にBi−2212粒子を使用した酸化物超電
導線材の熱処理プロセスの時間−温度パターンの各例を
示す。
常温から加熱し始め、シース内部からガス放出が始まる
810℃より高く、Bi−2212粒子の融点の860
℃より低い温度範囲に5時間程かけて加熱する。その
後、この温度範囲の中で酸化物超電導線材を10時間以
上(図13参照)保持するか、或いは緩やかな温度勾配
で徐熱する。
温から5時間かけて820℃の温度まで加熱し、その後
10時間以上をかけて酸化物超電導線材を850℃まで
緩い温度勾配で徐熱する加熱パターンを示している。こ
れに対して、図3の例は、酸化物超電導線材を810〜
860℃の温度範囲の中の10時間以上一定の温度に保
持する加熱パターンを示している。
電導線材のシース内部からの急激なガス放出を防止しな
がら、シース内部からのガス放出を促し、Bi−221
2粒子の部分溶融させる前に、ガス放出をほぼ完了させ
てしまうことを目的とするものである。従って、その最
低限の温度は、シース内部からガス放出が始まる810
℃であり、その最上限の温度は、Bi−2212粒子の
部分溶融が始まる860℃である。また、この温度範囲
での酸化物超電導線材の徐熱時間を10時間以上とした
のは、緩やかなガス放出の状態のなかで、シース内部か
らのガス放出を完全ならしめるために必要な時間が最低
10時間だからである。
り、酸化物超電導線材のシース内部からほぼ完全にガス
放出をした後、Bi−2212粒子を部分溶融するため
に、その融点以上の温度まで急熱する。具体的には、こ
の温度は890℃を中心とし、その±5℃の885〜8
95℃である。これによってBi−2212粒子を部分
溶融させ、冷却時に配向した超電導結晶を得るものであ
る。
212粒子を一旦部分溶融させることを目的とするもの
であり、この温度に酸化物超電導線材を長い時間さらす
ことは、Bi−2212粒子の液相状態での粘性が低下
し、これがシースの結晶粒界に入り込み、ハンダ脆性に
似た現象を起こし、シース強度を低下させるので好まし
くない。そこで、前記第一段階の徐熱プロセスから5〜
120minの時間で急熱し、再びBi−2212粒子
の融点以下の温度に10〜120minの時間で急冷す
る。特に、この昇温及び降温時間は、30〜60min
が最も良い。
より、Bi−2212粒子を一旦部分溶融させた後、B
i−2212粒子の融点より低い温度まで短時間で急冷
した後、第三段階の加熱プロセスとして、酸化物超電導
線材の温度を、この790〜860℃の温度域で一定の
温度を保持するか、或いは緩やかに徐冷する。これによ
り、Bi−2212粒子の結晶が成長し、その結晶が配
向する。
を、810〜860℃の温度域で10時間以上(図10
参照)をかけて緩やかに徐熱させるパターンの例であ
り、図2と図3は、酸化物超電導線材の温度を、790
〜870℃の温度範囲の中の一定の温度で10〜80時
間保持するパターンの例である。さらに、図4の例は、
ピーク温度890℃からX=880〜840℃に急冷し
た後、このXの温度から、そのXの温度より30℃低い
X−30℃の温度に40時間かけて緩やかに徐冷するパ
ターンの例である。急冷温度の冷却速度は40℃/hr
に固定してあり、徐冷開始温度Xが840℃〜880℃
の範囲において、ピーク温度890℃から徐冷開始温度
Xまでの急冷時間は15〜75分と異なっている。
部分溶融されたBi−2212が、その融点以下の温度
で、且つBi−2212の結晶が成長し、それが配向す
るのに必要な温度は、790〜860℃である。そし
て、この温度域において、Bi−2212の結晶の配向
が完全にさなれるためには、10時間以上を要する。こ
の第三段階の加熱プロセスの後、最後に線材の温度を、
常温まで冷却し、熱処理を終了する。
値を挙げて詳細に説明する。なお、本件発明者はコイル
用の酸化物超電導線材として通常10m長程度のものを
使用し、その両端を開放した状態で熱処理を行なってい
る。しかし、10m長の酸化物超電導線材コイルは、試
作に手数がかかり、多くの条件下で試験を行うには不向
きである。そこで、以下に説明する実施例では、10m
長の両端開放の酸化物超電導線材に代えて、加熱時にそ
れと同等の内圧がかかるテストピースとして、12cm
長の両端を溶接によってシールした酸化物超電導線材を
使用し、熱処理試験を行った。
炉に配置し、常温から5時間かけて820℃の温度まで
昇温した後、40時間かけて850℃の温度まで加熱
し、その後T分かけて890℃まで急熱した後、直ちに
T分かけて850℃の温度まで急冷し、その後40時間
かけて820℃まで降温し、その後常温まで炉内で冷却
した。ここで、890℃のピーク温度への昇温及び降温
時間Tについて、T=5分、T=15分、T=30分と
3通りの熱処理をそれぞれ6本ずつのテストピースで行
った。
し、外観を観察したところ、何れも溶融したBi−22
12がシースから浸み出した形跡は全くなかった。図1
4(b)は前述のような方法で熱処理したAgシ−スB
i(2212)単芯テープ材のテープ面に垂直にX線を
照射した場合の透視像を示す。図15はそのX線ビーム
の照射方向を示す図である。このテープ材では、透視像
の濃淡はテープ材の縦方向に比較的均一であり、酸化物
の存在密度が比較的均一で、小さな空隙が比較的均一に
分布していることを示している。
ース6本を熱処理炉に配置し、常温から5時間かけて7
50℃の温度まで昇温した後、3時間かけて890℃の
温度まで加熱し、その温度を15分保持した後、50時
間かけて820℃まで降温し、その後常温まで炉内で冷
却した。
し、外観を観察したところ、一部のテストピースに溶融
したBi−2212がシースから浸み出した形跡が見ら
れた。図14(a)は前述のような方法で熱処理したA
gシ−スBi(2212)単芯テープ材のテープ面に垂
直にX線を照射した場合の透視像を示す。このテープ材
では、透視像の濃淡が明らかに異なる領域が不均一に存
在し、酸化物の存在密度が不均一であり、大きな空隙が
不均一に分布していることを示している。
炉に配置し、常温から5時間かけて820℃の温度まで
昇温した後、40時間かけて850℃の温度まで加熱
し、その後T分かけてピーク温度X℃まで急熱した後、
直ちにT分かけて850℃の温度まで急冷し、その後4
0時間かけて820℃まで降温し、その後常温まで炉内
で冷却した。このテストピースを熱処理炉から取り出
し、臨界電流Icを測定した。その結果を図6に示す。
び降温時間T=30として、ピーク温度XをそれぞれX
=880℃、X=885℃、X=890℃、X=895
℃及びX=902℃の5通りに変えてそれぞれ6本のテ
ストピースについて熱処理をした結果である。また、破
線の折線は、昇温及び降温時間T=60分として、ピー
ク温度XをX=890℃とX=895℃の2通りに変え
てそれぞれ6本ずつのテストピースに熱処理した結果で
ある。
ース6本を熱処理炉に配置し、常温から5時間かけて7
50℃の温度まで昇温した後、3時間かけて890℃の
温度まで加熱し、その温度を15分保持した後、50時
間かけて820℃まで降温し、その後常温まで炉内で冷
却した。
し、一部シースからBi−2212が浸み出したテスト
ピースを除き、その臨界電流Icを測定した。その結
果、臨界電流Icの平均値を一点鎖線で図6に示した。
この結果から、臨界電流Icの平均値において、比較例
と同等或いはそれ以上の臨界電流Icが得られたのは、
ピーク温度Xが885℃〜895℃においてであること
が分かる。
炉に配置し、常温から5時間かけて820℃の温度まで
昇温した後、40時間かけて850℃の温度まで加熱
し、その後T分かけてピーク温度890℃まで急熱した
後、直ちにT分かけて850℃の温度まで急冷し、その
後40時間かけて820℃まで降温し、その後常温まで
炉内で冷却した。このテストピースを熱処理炉から取り
出し、臨界電流Icを測定した。その結果を図7に示
す。
ク温度890℃までの昇温時間を1時間に固定し、この
ピーク温度890℃から850℃までの降温時間Tを、
T=5分、T=15分、T=30分及びT=60分の4
通りの熱処理について、それぞれ6本ずつのテストピー
スで試験を行った結果である。また、破線の折線は、ピ
ーク温度890℃への昇温時間及び降温時間Tを、共に
T=5分、T=15分、T=30分、T=60分及びT
=120分の5通りの熱処理について、それぞれ6本ず
つのテストピースで試験を行った結果である。
ース6本を熱処理炉に配置し、常温から5時間かけて7
50℃の温度まで昇温した後、3時間かけて890℃の
温度まで加熱し、その温度を15分保持した後、50時
間かけて820℃まで降温し、その後常温まで炉内で冷
却した。
し、一部シースからBi−2212が浸み出したテスト
ピースを除き、その臨界電流Icを測定した。その結
果、臨界電流Icの平均値を一点鎖線で図7に示した。
この結果から、前述した本発明による熱処理試験では、
臨界電流Icの平均値において、比較例と同等或いはそ
れ以上の臨界電流Icが得られたことが分かる。
炉に配置し、常温から5時間かけて820℃の温度まで
昇温した後、40時間かけて850℃の温度まで加熱
し、その後1時間かけてピーク温度890℃まで急熱し
た後、冷却速度40℃/hrの速度でXの温度まで急冷
し、その後40時間かけてXより30℃低いX−30℃
まで徐冷し、その後常温まで炉内で冷却した。
し、臨界電流Icを測定した。その結果を図8に示す。
この図8において、実線の折線は、前記の徐冷開始温度
XをそれぞれX=840℃、X=850℃、X=860
℃、X=870℃及びX=880℃の5通りに変えてそ
れぞれ6本のテストピースについて熱処理をした結果で
ある。
ース6本を熱処理炉に配置し、常温から5時間かけて7
50℃の温度まで昇温した後、3時間かけて890℃の
温度まで加熱し、その温度を15分保持した後、50時
間かけて820℃まで降温し、その後常温まで炉内で冷
却した。
し、一部シースからBi−2212が浸み出したテスト
ピースを除き、その臨界電流Icを測定した。その結
果、臨界電流Icの平均値を一点鎖線で図8に示した。
この結果から、本発明の実施例では、臨界電流Icの平
均値において、比較例と同等或いはそれ以上の臨界電流
Icが得られた。
炉に配置し、常温から5時間かけて820℃の温度まで
昇温した後、40時間かけて850℃の温度まで加熱
し、その後1時間分かけてピーク温度890℃まで急熱
した後、冷却速度120℃/hrでX℃の温度まで急冷
し、このX℃の温度を40時間保持し、その後常温まで
炉内で冷却した。このテストピースを熱処理炉から取り
出し、臨界電流Icを測定した。その結果を図9に示
す。
790℃、X=800℃、X=810℃、X=820
℃、X=840℃、X=850℃、X=855℃、X=
860℃及びX=870℃の9通りの熱処理について、
それぞれ6本ずつのテストピースで試験を行った結果で
ある。この結果から、臨界電流Icの平均値がIc=1
20Aと高い値が得られたのは、X=790〜860℃
であることが分かる。なお、図9において一点鎖線で示
した臨界電流は、前述の実施例4と同様にして熱処理し
た比較例のものである。
炉に配置し、常温から5時間かけて820℃の温度まで
昇温した後、40時間かけて850℃の温度まで加熱
し、その後1時間かけてピーク温度890℃まで急熱し
た後、直ちに15分かけて860℃の温度まで急冷し、
この860℃の温度をT時間保持した後、常温まで炉内
で冷却した。このテストピースを熱処理炉から取り出
し、臨界電流Icを測定した。その結果を図10に示
す。
時間TをT=10分、T=20分、T=40分、T=6
0分及びT=80分の5通りの熱処理について、それぞ
れ6本ずつのテストピースで試験を行った結果である。
この結果から、前述した本発明による熱処理試験では、
臨界電流Icの平均値において、何れも、120A以上
の臨界Icが得られたことが分かる。
炉に配置し、常温から5時間かけてX℃の温度まで昇温
した後、脱ガスのためそのX℃の温度を40時間保持
し、その後1時間分かけてピーク温度890℃まで急熱
した後、15分かけて860℃の温度まで急冷し、この
860℃の温度を40時間保持し、その後常温まで炉内
で冷却した。このテストピースを熱処理炉から取り出
し、臨界電流Icを測定した。その結果を図11に示
す。
=810℃、X=840℃及びX=860℃の3通りの
熱処理について、それぞれ6本ずつのテストピースで試
験を行った結果である。この結果から、何れも臨界電流
Icの平均値がIc=120Aと高い値が得られた。な
お、図11において一点鎖線で示した臨界電流は、前述
の実施例4と同様にして熱処理した比較例のものであ
る。
炉に配置し、常温から5時間かけて840℃の温度まで
昇温した後、脱ガスのためその840℃の温度をT時間
保持し、その後1時間かけてピーク温度890℃まで急
熱した後、直ちに15分かけて860℃の温度まで急冷
し、この860℃の温度をT時間保持した後、常温まで
炉内で冷却した。このテストピースを熱処理炉から取り
出し、臨界電流Icを測定した。その結果を図12に示
す。
時間TをT=10分、T=40分及びT=80分の3通
りの熱処理について、それぞれ6本ずつのテストピース
で試験を行った結果である。この結果から、前述した本
発明による熱処理試験では、臨界電流Icの平均値にお
いて、何れも、120A以上の臨界Icが得られたこと
が分かる。なお、図12において一点鎖線で示した臨界
電流は、前述の実施例4と同様にして熱処理した比較例
のものである。
超電導ケースブルの熱処理方法では、Bi−2212粒
子を用いた酸化物超電導線材の熱処理時におけるシース
内部からのガス放出に伴うシースの膨れや割れ及び酸化
物超電導物質内に発生する大きな気泡を防止し、なお且
つ確実にBi−2212粒子の結晶を配向し、高い臨界
電流を得ることが出来る。
時間−温度パターンの例を示すグラフである。
時間−温度パターンの他の例を示すグラフである。
時間−温度パターンの他の例を示すグラフである。
時間−温度パターンの他の例を示すグラフである。
ターンの従来例を示すグラフである。
おける最高加熱温度とそれにより得られた線材の臨界電
流Icとの関係を示すグラフである。
おける最高加熱温度への昇温及び降温時間とそれにより
得られた線材の臨界電流Icとの関係を示すグラフであ
る。
おいて結晶配向を目的として徐冷を開始した温度とそれ
により得られた線材の臨界電流Icとの関係を示すグラ
フである。
おいて結晶配向を目的として40時間一定に保持した徐
冷温度と温度それにより得られた線材の臨界電流Icと
の関係を示すグラフである。
において結晶配向を目的として一定の徐冷温度を保持し
た時間とそれにより得られた線材の臨界電流Icとの関
係を示すグラフである。
にいて脱ガスを目的として最高加熱温度まで加熱する前
に徐熱した温度とそれにより得られた線材の臨界電流I
cとの関係を示すグラフである。
にいて脱ガスを目的として最高加熱温度まで加熱する前
に一定の温度を保持した時間とそれにより得られた線材
の臨界電流Icとの関係を示すグラフである。
の熱重量及び示差熱分析曲線である。
本発明の実施形態により熱処理した酸化物超電導線材の
テープ面に垂直にX線を照射したときの透視像である。
線材のテープにX線ビームを照射した方向を示す図であ
る。
示す概略図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 常電導体からなるシースの内部に酸化物
超電導粒子としてBi−2212粒子を充填した酸化物
超電導線材を熱処理し、前記酸化物超電導粒子の結晶を
配向させる酸化物超電導線材の熱処理方法において、昇
温時にシース内部から酸素ガス放出する温度より高く、
且つBi−2212粒子の融点よりも低い温度範囲に前
記酸化物超電導線材を晒して、十分ガスを放出させた
後、一旦Bi−2212粒子の融点よりも高温に急熱し
た後、Bi−2212酸化物超電導粒子の凝固点以下で
且つBi−2212粒子の結晶が成長する温度よりも高
い温度範囲に急冷し、その温度範囲においてBi−22
12粒子の結晶成長とその配向を揃えた後、常温まで降
温させることを特徴とする酸化物超電導線材の熱処理方
法。 - 【請求項2】 常電導体からなるシースの内部に酸化物
超電導粒子としてBi−2212粒子を充填した酸化物
超電導線材を熱処理し、前記酸化物超電導粒子の結晶を
配向させる酸化物超電導線材の熱処理方法において、線
材の温度を、Bi−2212粒子の融点より低い810
〜860℃の温度域まで昇温させ、その後、線材の温度
を、前記温度域内にて10時間以上の時間をかけて一定
の温度を保持するかまたは緩やかに昇温させ、その後、
線材の温度を、前記温度域内からBi−2212粒子の
融点以上の885〜895℃のピーク温度まで5〜12
0分の時間で急熱し、次いで、このピーク温度からBi
−2212粒子の凝固点より低い前記の790〜860
℃の温度域まで10〜120分の時間で急冷し、その
後、線材の温度を、この790〜860℃の温度域で1
0〜80時間をかけて一定の温度を保持するかまたは緩
やかに降温させ、最後に線材の温度を、常温まで冷却す
ることを特徴とする酸化物超電導線材の熱処理方法。 - 【請求項3】 熱処理を大気中で行うことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の酸化物超電導線材の熱
処理方法。
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JP2001288652A JP4741762B2 (ja) | 2001-09-21 | 2001-09-21 | 酸化物超電導線材の熱処理方法 |
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JP4741762B2 JP4741762B2 (ja) | 2011-08-10 |
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JP (1) | JP4741762B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04249812A (ja) * | 1991-01-08 | 1992-09-04 | Furukawa Electric Co Ltd:The | テープ状セラミックス超電導線材の製造方法 |
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JPH1186654A (ja) * | 1997-06-12 | 1999-03-30 | Alcatel Alsthom Co General Electricite | Htc超伝導性導体のテクスチャー化方法及びかかる方法によって製造される導体 |
-
2001
- 2001-09-21 JP JP2001288652A patent/JP4741762B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (4)
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