JPH09129053A - 酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材の製造方法

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JPH09129053A
JPH09129053A JP7280934A JP28093495A JPH09129053A JP H09129053 A JPH09129053 A JP H09129053A JP 7280934 A JP7280934 A JP 7280934A JP 28093495 A JP28093495 A JP 28093495A JP H09129053 A JPH09129053 A JP H09129053A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化物超電導線材の膨れ防止を図ることので
きる酸化物超電導線材の製造方法を提供する。 【解決手段】 酸化物超電導体の原料となる仮焼粉末が
充填されたシース材を、部分溶融温度まで加熱して徐冷
することにより結晶化させる酸化物超電導線材の製造方
法において、真空中で昇温することにより上記シース材
内部の脱ガス処理を行い、その後部分溶融融温度までの
加熱を富酸素雰囲気中で行うことを特徴とする。酸化物
超電導体がBi−2212酸化物超電導体である場合に
は、真空中での昇温における到達温度を750℃以下で
可及的に高い温度とすることが推奨される。更に、富酸
素雰囲気中での加熱に際し、780〜840℃の温度範
囲の保持を行うことにより前記シース材からの二酸化炭
素ガスの除去を促進することができ、その後、780〜
840℃の温度範囲から部分溶融温度までを、富酸素雰
囲気中で徐々に昇温することにより、酸素ガスの除去を
行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】酸化物超電導体は、Nb3
n等の様な金属系超電導体に比較して、超電導遷移温度
(以下Tcと言う)と上部臨界磁場(以下Hc2 と言
う)が高いという実用上の利点を有するため、様々な応
用が期待されている。該酸化物超電導体の中でも、Bi
系酸化物超電導体はTcが80K程度の低Tc相(Bi
−2212相)と110K程度の高Tc相(Bi−22
23相)が存在し、共にHc2 が100Tを超えること
が予想されている。
【0002】従って、これらの結晶相を用いて次の様な
応用が検討されている。第1に、Bi系酸化物超電導体
では両相共にTcが高い為、従来の金属系超電導体を冷
却する上で不可欠であった液体ヘリウムの代わりに液体
窒素を使用して超電導マグネット(酸化物超電導線材と
それを冷却するクライオスタットを含めた装置)を製造
することが可能である。極低温の液体ヘリウムは取扱い
に熟練した技術を要するうえに高価である。さらに室温
部との断熱状態を良好に保つために冷却システムが複雑
になるという欠点を有している。Bi系酸化物超電導体
を用いる液体窒素による冷却系ではこのような大掛かり
な制約から解放され、超電導マグネットを簡便に冷却保
持することが可能となる。さらに、冷凍機等で冷却する
場合にはランニングコストも大幅に軽減できる。
【0003】第2の応用として、Hc2 が高いというこ
とを利用することによって、従来の金属系超電導マグネ
ットよりも強い磁場を発生する超電導マグネットを提供
することができる。例えば複雑な高分子量タンパク質の
分子構造を決定するために非常に重要な役割を担ってい
るNMR分析装置では、磁場が強くなればなる程得られ
る情報量が増加し、より詳細な分子構造の決定が可能と
なる。Bi系酸化物超電導体はHc2 が高く、これを用
いた超電導マグネットが得られれば、より強い磁場を発
生させる高性能NMR分析装置の開発が期待できる。
【0004】本発明は、上記の様な酸化物超電導体を用
いた酸化物超電導線材及びその製造方法に関し、詳細に
は特にBi−2212酸化物超電導線材の熱処理時に発
生する線材膨れを防止する製造方法に関するものであ
る。
【0005】
【従来の技術】Bi−2212酸化物超電導線材の代表
的な製造方法は、次の通りである。まず、Bi23
SrCO3 ,CaCO3 ,CuO等の原料粉末を秤量混
合し、熱処理を行ってBi−2212仮焼粉末を作製す
る。そのBi−2212仮焼粉末を銀パイプや銀ビレッ
ト等のシース材に充填した後、伸線・圧延して銀シース
線材を作製し、それをコイル状に巻いて熱処理を行う
(Wind & React法)か、或いは先に熱処理を行ってから
巻線を行う(React & Wind法)ことによって超電導線材
が得られている。上記熱処理は、一般的に大気中で行わ
れており、非超電導酸化物の固相と液相が共存する部分
溶融温度まで昇温し、その後徐冷することによりBi−
2212酸化物超電導体を配向性良く結晶化することが
できることが知られている。
【0006】この様にして作製される酸化物超電導線材
は、その形状からテープ線材や平角線材及び丸線材に区
別される。上記テープ線材では、圧延により酸化物部分
の結晶性及び配向性が向上し、臨界電流(以下Icと記
す)を単位面積当りの値に換算した臨界電流密度(以下
Jcと記す)が高いという特徴を有しており、パンケー
キコイルの作製に用いられている。一方、前記平角線材
及び丸線材は、テープ線材に比較すると一般的にJcは
低いものの、磁場均一度や超電導接続に関する制約が少
ないという点から超電導マグネットとして有利なソレノ
イドコイルの作製に利用されている。
【0007】ところで上記テープ線材に熱処理を行う
と、図1に示す様にテープ線材が膨れる現象(以下、線
材膨れという)が発生していた。この線材膨れが生じた
部分では、常電導酸化物の生成が多くなり、Bi−22
12結晶の配向性を損なうので、Jcが著しく低下する
という重大な問題が生じる。この線材膨れの原因として
は、仮焼粉末から放出されるガスであると考えられてい
る。即ちBi−2212仮焼粉末は、シース材に充填さ
れる前に、水分や酸素ガスを吸着しており、上記シース
材に充填した後に熱処理が施されると昇温過程で気体成
分が脱離して線材内部で体積を増加させようとすること
から、線材内部の圧力が高まり線材膨れという現象にな
るものである。
【0008】一方、平角線材や丸線材の場合には、前記
テープ線材に比較すると銀シース部分が厚いので、線材
内部からのガス圧に耐えることができ、線材膨れが生じ
ることは少ない。但し、Bi−2212仮焼粉末からガ
スが脱離するという点では、前記テープ線材の場合と同
じであり、線材内部を観察してみると、脱離したガスが
Bi−2212酸化物超電導体層内に残存して空孔を形
成していることが分かる。平角線材や丸線材の場合で
も、この空孔の存在によりJcが著しく低下するという
問題を有する点では、テープ線材の場合と同様であっ
た。
【0009】そこで、上記の問題を解決することを目的
として、仮焼粉末に水分や酸素ガスが付着することを防
止するという観点から、シース材に充填するまでの間、
仮焼粉末を湿度20%以下の雰囲気に保つという方法
(特開平4−292813)や、低酸素雰囲気中で仮焼
粉末を作製する方法(特開平4−233110)等が提
案されている。
【0010】しかしながら大気中で伸線加工や圧延加工
を行う場合には、線材膨れの原因が、仮焼粉末に吸着さ
れた水分や酸素ガスだけではなく、熱処理前の加工工程
においてシース材に侵入する窒素ガスや酸素ガスも含ま
れており、これらのガスが熱処理途中で膨張し、やはり
線材膨れが生じていた。
【0011】そこで、特開平5−159641号公報に
は、熱処理前の圧延加工を減圧下または不活性ガス雰囲
気中で行い、圧延加工を施す線材の長手方向に沿って、
線材内部に残留するガスを追い出すという方法が開示さ
れている。しかしながら、この方法を用いても、まだ線
材膨れを完全に防止できるものではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであって、酸化物超電導線材の膨れ
防止を図ることのできる酸化物超電導線材の製造方法を
提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決した本
発明の製造方法とは、酸化物超電導体の原料となる仮焼
粉末が充填されたシース材を、部分溶融温度まで加熱し
て徐冷することにより結晶化させる酸化物超電導線材の
製造方法において、真空中で昇温することにより上記シ
ース材内部の脱ガス処理を行い、その後部分溶融融温度
までの加熱を富酸素雰囲気中で行うことを要旨とするも
のである。
【0014】酸化物超電導体がBi−2212酸化物超
電導体である場合には、真空中での昇温における到達温
度を750℃以下で可及的に高い温度とすることが推奨
される。更に、富酸素雰囲気中での加熱に際し、780
〜840℃の温度範囲の保持を行うことにより前記シー
ス材からの二酸化炭素ガスの除去を促進することがで
き、その後、780〜840℃の温度範囲から部分溶融
温度までを、富酸素雰囲気中で徐々に昇温することによ
り、酸素ガスの除去を行うことができる。このようにし
て製造されたBi−2212酸化物超電導線材であれ
ば、臨界電電流密度で105 A/cm2 以上を達成する
ことも可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者らは、鋭意研究を重ねた
結果、上記線材膨れの原因が、上記以外にも存在するこ
とを見出した。
【0016】図2は、Bi−2212仮焼粉末を加熱し
た場合に発生するガスの量(イオン強度換算)を質量分
析法により測定した結果である。図2(a)は、酸素ガ
スの放出量を調べたチャートであり、830〜840℃
付近に酸素ガスの放出量が最大となるピークが確認でき
る。840℃前後はBi−2212仮焼粉末の中で部分
溶融反応が始まる温度であり、部分溶融状態になるとB
i−2212仮焼粉末から酸素ガスが放出され、これが
Bi−2212銀シーステープ線材に膨れを生じさせる
別の原因となっていたものである。
【0017】また図2(b)は、二酸化炭素ガスの放出
量を調べたチャートであり、780〜840℃の温度領
域において多くの二酸化炭素ガスがBi−2212仮焼
粉末から放出されたことが分かる。この二酸化炭素ガス
は、Bi−2212仮焼粉末中に未反応で残存していた
SrCO3 ,CaCO3 等の炭酸塩の原料粉末が分解し
て生じたものであると考えられる。この二酸化炭素ガス
の放出も、Bi−2212銀シーステープ線材の膨れの
一因となっていたのである。
【0018】さらに本発明者らは、テープ線材内部に残
留している炭素も線材膨れの原因となることを見出し
た。即ち、線材熱処理中に残留炭素が酸素と反応して二
酸化炭素となり、この二酸化炭素ガスが線材内部で膨張
して膨れの原因となっていたのである。
【0019】尚本発明者らは、上記残留炭素が、Bi−
2212仮焼粉末を作製する際の仮焼時間を延長するこ
とにより低減できることを見出している(Cryogenics,V
ol.35,P127,1995)。但し更なる研究の結果、Bi−22
12仮焼粉末中に炭素が微量(例えば0.1mass%) でも残
存している場合には、Bi−2212銀シーステープ線
材は、通常の熱処理を施すだけでは線材膨れを防止する
ことができないことが判明した。
【0020】ここで、Bi−2212銀シーステープ線
材の膨れの原因を整理すると、以下の通りとなる。即
ち、 仮焼粉末に吸着している水分や酸素ガス、 シース材の内部に残存している大気中の窒素ガスや酸
素ガス、 仮焼粉末が部分溶融する際に発生する酸素ガス、 SrCO3 ,CaCO3 等の炭酸塩の原料粉末が分解
して生じる二酸化炭素ガス、 仮焼粉末中の残留炭素と酸素が反応して生じる二酸化
炭素ガス、である。
【0021】Bi−2212銀シーステープ線材の内部
に存在するガスは、線材外部におけるそのガスの分圧が
内部の分圧に比べて低い場合、熱処理中の再結晶化した
銀の粒界または銀粒内を通じて、外部に拡散する。従っ
て、上記及びの原因による水分,酸素ガス,窒素ガ
スは、Bi−2212銀シーステープ線材を真空中で昇
温することにより、十分に追い出すことができる。
【0022】従って本発明の製造方法では、シース材に
熱処理を施すにあたって、まず真空中で昇温を行う。具
体的には、例えば600〜750℃の温度領域まで、1
〜10℃/hの速度で昇温すればよい。尚、熱処理炉内
の圧力が低ければ低い程、Bi−2212銀シーステー
プ線材外部へのガスの放出速度は速くなる。真空度につ
いては、10-2Torr以下が好ましく、10-3Torr以下で
あればより好ましい。の酸素ガスについては後述す
る。
【0023】の二酸化炭素ガスは、図2(b)で得ら
れる結果からおよそ780〜840℃の温度範囲で放出
されることが分かる。従って、所定の時間、この温度領
域で保持することにより、線材外部に徐々に放出され、
線材膨れが防止できる。保持時間としては、20時間以
上が好ましく、40時間以上であればより好ましい。
【0024】の残留炭素に起因する二酸化炭素ガス
は、部分溶融時に仮焼粉末から放出される酸素ガスが多
い温度領域で発生する頻度が高い。ここで、発生した酸
素がBi−2212銀シーステープ線材外部に除去され
ない間に残留炭素と十分に反応させることが必要であ
り、それには真空中の炉内に酸素ガスを導入して熱処理
の雰囲気を真空中から富酸素雰囲気に変えておくことが
望まれる。真空中の炉内に酸素ガスを導入する温度とし
ては、750℃以下であることが望ましい。その理由
は、750℃を超える高い温度において酸素分圧が0.
1atm以下であると、酸素量が欠乏してBi−221
2酸化物超電導体が非超電導酸化物に分解し、後の熱処
理で必ずしも良好な結晶化が期待できないからである。
【0025】図2(a)より、酸素ガス放出のピークの
温度領域はおよそ830〜840℃であることが分か
り、この温度範囲は前述の780〜840℃の温度領域
に含まれる。即ち、上記、の原因により発生する二
酸化炭素は、いずれも780〜840℃において富酸素
雰囲気中で所定時間保持することによりシース材から除
外することができる。
【0026】また図2(a),(b)のチャートを比較
すると、酸素ガスの放出温度領域は、二酸化炭素ガスの
放出温度領域よりも広く、高温側でも放出していること
が分かる。従って前記に起因する酸素ガスについて
は、890℃前後の部分溶融温度まで徐々に昇温しなが
ら酸素ガスを除去することが推奨される。即ち、上記
の原因による酸素ガスを十分に除去するという観点から
は、昇温速度は遅い方が望ましい。該昇温速度は、Bi
−2212銀シーステープ線材のシース部分の厚さに応
じて設定することが望ましく、例えば、銀シースの厚さ
が70μmの場合では、60℃/h以下の速度で昇温す
ることが望ましい。
【0027】本願発明において、これらの熱処理工程
は、大気中で行われることなく連続して行う必要があ
る。その理由は、途中でBi−2212銀シーステープ
線材を大気中に取り出すと、大気中の窒素ガスや酸素ガ
スがテープ線材中に侵入し、これらが線材膨れの原因に
なるからである。
【0028】尚、テープ線材について説明してきたが、
平角線材や丸線材の場合も同様であり、一般的に、Bi
−2212銀シース平角線材やBi−2212銀シース
丸線材の場合は、Bi−2212銀シーステープ線材よ
りも銀シース部分が厚いので、真空中での昇温速度及び
富酸素雰囲気中での部分溶融温度までの昇温の速度を緩
和することによって、Bi−2212銀シーステープ線
材の時と同様に脱ガスの作用が期待できる。
【0029】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0030】
【実施例】従来例1 Bi23 ,SrCO3 ,CaCO3 ,CuO,Agの
原料粉末を、それぞれBi,Sr,Ca,Cu,Agの
モル比が、それぞれ2.1:2:1:1.9:0.1 となる様にグロー
ブボックス内の湿度20%以下の雰囲気中で秤量混合し
た。得られた混合粉末を酸素分圧1atmの雰囲気内に
おいて、770℃で8時間,820℃で60時間熱処理
して、Bi−2212仮焼粉末を作製した。このBi−
2212仮焼粉末を銀パイプに充填した後、伸線・圧延
して、厚さ200μm(銀シースの厚さ70μm),幅
8mm,長さ10mの単芯Bi−2212銀シーステー
プ線材を作製した。このテープ線材をアルミナ絶縁テー
プと一緒にセラミックス製巻枠に巻いた後、図3に示す
パターンで熱処理した。即ち、大気中において300℃
/hの速度で890℃まで昇温し、10分間その温度で
保持した後、2℃/hの速度で840℃まで冷却し、そ
の後はヒータのスイッチを切って急冷した。尚、ここで
840℃から急冷したのは、非超電導酸化物であるBi
−2201相(Bi,Sr,Ca,Cuのモル比が2:2:
0:1 である相)の析出を抑制するためである。
【0031】得られたテープ線材の膨れ度(長さ5mm
以上の膨れ部分の数)と、テープ線材の端部から端部ま
でのJcを0.1μV/cmを電圧の基準として用いて
4.2Kで外部磁場0T中において測定した。その結
果、膨れ度は150、Jcは2.5×104 A/cm2
であった。
【0032】実施例1 原料粉末を秤量混合し、熱処理を施す工程を、大気中で
おこなったこと以外は従来例1と同様にしてBi−22
12仮焼粉末を作製した。次いで従来例1と同様にして
Bi−2212銀シーステープ線材を作製して巻枠に巻
つけ、図4に示すパターンで熱処理を行った。即ち、真
空中(3×10-4Torr)において300℃/hの速度で
750℃まで昇温し、真空ポンプを止め酸素ガスを導入
して炉内を酸素分圧1atmの雰囲気に変えた後、30
0℃/hの速度で890℃まで昇温し10分間同一温度
を保持した。その後、酸素分圧1atmの雰囲気内で従
来例1と同様にして冷却した。得られたテープ線材の膨
れ度は53、Jcは6.8×104 A/cm2 であっ
た。
【0033】実施例2 実施例1と同様にして、Bi−2212銀シーステープ
線材を作製して巻枠に巻つけ、図5に示すパターンで熱
処理を行った。即ち、真空中(3×10-4Torr)におい
て300℃/hの速度で750℃まで昇温し、真空ポン
プを止め酸素ガスを導入して炉内を酸素分圧1atmの
雰囲気に変えた後、300℃/hの速度で830℃まで
昇温しその温度で20時間保持した。次いで酸素分圧1
atmの雰囲気内で300℃/hの速度で890℃まで
昇温し10分間同一温度で保持した。その後は実施例1
と同様にして冷却した。得られたテープ線材の膨れ度は
21、Jcは10.5×104 A/cm2 であった。
【0034】実施例3 実施例1と同様にして、Bi−2212銀シーステープ
線材を作製して巻枠に巻つけ、図6に示すパターンで熱
処理を行った。即ち、実施例2の熱処理パターンと比較
して、830℃から890℃までの昇温速度を300℃
/hから60℃/hに変更した以外の条件は同じであ
る。得られたテープ線材の膨れ度は0、Jcは22.1
×104 A/cm2 であった。
【0035】従来例2 従来例1と同様にして、Bi−2212仮焼粉末を作製
し、このBi−2212仮焼粉末を銀パイプに充填した
後、伸線・圧延して、厚さ0.5mm(銀シースの厚さ
0.15mm)、幅2.5mm,長さ10mの単芯Bi
−2212銀シーステープ平角線材を作製した。その平
角線材をアルミナ絶縁スリーブに通し、セラミックス製
巻枠に巻いた後、図3に示すパターンで熱処理した。得
られた平角線材の膨れ度は0.5、Jcは1.8×10
4 A/cm2 であった。
【0036】実施例4 実施例1と同様にして、Bi−2212仮焼粉末を作製
し、このBi−2212仮焼粉末を銀パイプに充填した
後、伸線・圧延して、従来例2と同一サイズの単芯Bi
−2212銀シース平角線材を作製した。その平角線材
をアルミナ絶縁スリーブに通し、セラミックス製巻枠に
巻いた後、図7に示すパターンで熱処理した。即ち、実
施例3の熱処理パターンと比較して、830℃から89
0℃までの昇温速度を60℃/hから30℃/hに変更
した以外の条件は同じである。得られた平角線材の膨れ
度は0、Jcは15.1×104 A/cm2 であった。
上記の結果を表1に整理して示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1から明らかな様に、本発明で規定する
要件を満足する実施例のBi−2212銀シース線材
は、従来例と比較して線材膨れの発生が、抑制または防
止されており、且つJcも105 A/cm2 以上という
従来のコイル材では達成できなかった高い値となってい
る。
【0039】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、Bi−2212酸化物超電導線材の膨れを防止して
高いJcを得ることのできるBi−2212酸化物超電
導線材の製造方法が提供できることとなった。これによ
り、超電導応用に極めて有利な高品質のBi−2212
パンケーキコイル及びBi−2212ソレノイドコイル
の作製が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来法によって作製されたBi−2212銀シ
ーステープ線材であって、膨れが生じた部分を示す斜視
断面図である。
【図2】Bi−2212仮焼粉末を加熱した場合に発生
するガスの量(イオン強度換算)を質量分析法により測
定したチャートであり、(a)は酸素ガス、(b)は二
酸化炭素ガスの結果である。
【図3】従来例1及び従来例2で用いた熱処理パターン
を示すグラフである。
【図4】実施例1で用いた熱処理パターンを示すグラフ
である。
【図5】実施例2で用いた熱処理パターンを示すグラフ
である。
【図6】実施例3で用いた熱処理パターンを示すグラフ
である。
【図7】実施例4で用いた熱処理パターンを示すグラフ
である。
【符号の説明】
1 Bi−2212超電導体 2 銀シース 3 膨れ部分

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物超電導体の原料となる仮焼粉末が
    充填されたシース材を、部分溶融温度まで加熱して徐冷
    することにより結晶化させる酸化物超電導線材の製造方
    法において、 真空中で昇温することにより上記シース材内部の脱ガス
    処理を行い、その後部分溶融融温度までの加熱を富酸素
    雰囲気中で行うことを特徴とする酸化物超電導線材の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 酸化物超電導体がBi−2212酸化物
    超電導体である請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 真空中での昇温における到達温度を75
    0℃以下とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 富酸素雰囲気中での加熱に際し、780
    〜840℃の温度範囲での保持を行うことにより、前記
    シース材からの二酸化炭素ガスの除去を促進する請求項
    3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 780〜840℃の温度範囲から部分溶
    融温度までを、富酸素雰囲気中で徐々に昇温することに
    より、酸素ガスの除去処理を行う請求項3または4のい
    ずれかに記載の製造方法。
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