JP2003098529A - 液晶表示装置の作製方法 - Google Patents

液晶表示装置の作製方法

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JP2003098529A JP2002206367A JP2002206367A JP2003098529A JP 2003098529 A JP2003098529 A JP 2003098529A JP 2002206367 A JP2002206367 A JP 2002206367A JP 2002206367 A JP2002206367 A JP 2002206367A JP 2003098529 A JP2003098529 A JP 2003098529A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の単安定化方法では単安定化後に配向不
良、例えば電圧無印加時の二つの状態が出現する配向不
良が出現してしまうという問題がある。本発明は上記問
題を解決するものであり、配向不良をなくす単安定化方
法を提供することを目的とする。 【解決手段】 上記問題を解決するために本発明は、単
安定化処理を行う際、図1に示すようにキラルネマティ
ック相または等方相から第1の電圧を印加し、キラルネ
マティック相とキラルスメクティック相、例えばキラル
スメクティックC相との相転移を開始する温度より高い
温度で第1の電圧とは逆極性で大きさの等しい第2の電
圧を印加することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、液晶表示装置の作製方
法に関する。より詳細にはスメクティック相を有する液
晶、例えば強誘電性液晶を用いた液晶表示装置の作製方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、薄型、軽量で低消費電
力駆動が可能であるという利点から、フラットパネルデ
ィスプレイとしての需要が伸びてきている。これまで、
ネマティック液晶を利用したTNモードを採用したアク
ティブマトリックス型の液晶表示装置では視野角の狭さ
と応答速度の遅さという問題があった。
【0003】近年、視野角の問題に対しては、観測者が
表示を見たときに、広範囲に同じ屈折率の媒体をとうし
て映像を観察するように調整するフィルムを付加し、階
調反転や色ズレ等の視野角特性の改善を図ったり、液晶
の配向方向を複数分割して視野特性を改善する等の方法
が実用化され、効果を上げている。
【0004】しかしながら、ネマティック液晶の応答速
度に関しては十分な特性が得られていない。液晶材料の
粘性等の見直しにより十数ms程度までの改善が図られて
いるが、まだ動画等への応用には改良を要する。
【0005】ネマティック液晶より応答速度の速い液晶
モードとして、クラーク及びラガーヴァルにより提案さ
れた強誘電性液晶(Ferroelectric Liquid Crystal:FL
C)を用いた液晶表示装置(特開昭56-107216)がある。
このFLCは図12(A)に示すように液晶分子201の長
軸方向に垂直な自発分極202を有しており、この自発
分極が応答に寄与するため、誘電率異方性を利用してい
るネマティック液晶よりも一桁から二桁応答速度が速い
ことが知られている。
【0006】さらに、FLCは電圧の印加によって仮想的
なコーン上を運動することから面内運動が可能となる。
したがって視野角特性においても、IPS(In Plane Swit
ching)モードと同様に、特別な工程の追加や、フィル
ム等の付加物を用いなくても良好な特性が得られる。
【0007】このFLCをディスプレイとして応用する場
合、2枚の基板の間隔を薄くすることにより、基板間のF
LC分子は基板の上側から見たとき、コーンの左右どちら
かに安定状態をもつ性質、つまり双安定性を利用して表
面安定化強誘電性液晶(Surface Stabilized FLC:SSFL
C)ディスプレイとして使用できる。このときのFLC分子
のポテンシャルエネルギーは横軸をc-ダイレクター20
3の方位角Ψ204とすると図12(B)のようにな
る。このように、2箇所でポテンシャルエネルギーが最
小値を持つので2つの安定状態、つまり双安定状態をと
る。
【0008】しかしながら、この双安定状態では2状態
間でのスイッチングしか行えないので片方の安定状態に
偏光子を合わせ、それに垂直に検光子を置いたときの電
圧に対する透過光は白黒の2値表示しか行うことができ
ず、中間調の表示が困難という問題があった。
【0009】この問題を解決する方法として2つの方法
が報告されている。例えば駆動方法を変える方法で、画
素面積分割階調、時分割階調など、あるいはこれらの組
み合わせによるデジタル階調表示法の方法である。
【0010】デジタル階調表示による方法は、グレー表
示における強誘電性あるいは反強誘電性液晶材料の温度
変化による光学特性の変化の影響を受け難い駆動方式と
いえる。画素面積分割階調方式では、重みをつけ分割し
た面積からなる画素電極を選択することにより階調を実
現するためであり、時分割階調方式では重みをつけて画
素を通過する光の時間を制御するためである。
【0011】しかし、この反面、画素面積分割階調方式
では、1画素を複数の領域に分けるため制御する回路や
占有面積が増加する。このため実現できる階調数に限界
があり、高精細化が困難でもある。時分割階調方式で
は、光を透過させる時間を変化させて階調を得るため、
1枚の映像を表示する時間内に、複数のサブフレームを
用意し制御する必要がある。このため映像を制御するた
めの周辺回路は高速に動作することが要求される。
【0012】デジタル駆動方式では、どちらの方法にお
いても映像を分割するための複雑なハードウェアやソフ
トウェアが必要となり、回路の増加、動作周波数の高速
化が要求され、消費電力の増加となるだけでなくコスト
の増加につながる。
【0013】もう1つの方法は単安定性のFLCを用いるこ
とである。この方法の1つに相系列が、等方‐キラルネ
マティック相‐キラルスメクティックC相を示すFLCを
用いる方法が報告されている。図13はこのFLCの相系
列と液晶分子の配向との関係を示したものである。この
液晶では図13に示すように等方相211またはキラル
ネマティック相212からキラルスメクティックC相2
13へと冷却させると、電圧無印加時ではキラルスメク
ティックC相へ転移すると層構造が形成されると同時に
FLC分子が傾く。そのとき層の法線214、215はラ
ビング方向216に対し左右対称の二つの状態をとり、
FLC分子217はラビング方向から左右わずかに傾いた
ところで安定状態となる。一方、少なくともキラルネマ
ティック相からキラルスメクティックC相へと相転移を
するときに図14に示すような直流電圧を印加する単安
定化処理を施すことによって一様配向が得られ、層の法
線218は1方向に向き、FLC分子219は安定方向がほ
ぼラビング方向216となる単安定性を示す。このよう
に、少なくともキラルネマティック相からキラルスメク
ティックC相への相転移において直流電圧を印加しなが
ら冷却し、単安定化する処理の方法は特開2001−8
1466に記載されている。
【0014】このような単安定FLCモードは、FLC分子の
ポテンシャルエネルギーが図15に示すように安定状態
が1つしかないので、単安定化処理時の直流電圧と逆極
性の電圧を印加すると液晶分子は傾き、電圧を除去する
と元の安定状態へ戻る。この傾き角は印加電圧の強度に
より制御できるのでアナログ階調が可能である。一方、
単安定化処理方向に電圧を印加するとコーンのほぼ端が
安定状態なので液晶分子はほとんど動くことはない。
【0015】したがってFLC分子の単安定方向に偏光子
を合わせ、これに垂直な方向に検光子を置いた状態での
電圧-透過率特性は図16に示すような片方の極性では
暗状態を示し、逆の極性では印加電圧の大きさに応じて
透過光強度が大きくなるHalf-V字型の曲線となる。この
ようなHalf-V字型の単安定FLCモードはCDR(Continuous
Director Rotation)-FLCモードと言われている。
【0016】このCDR-FLCモードは広視野角で高速応答
を有する液晶表示装置となることが期待されている。ま
た、高速応答という利点を活かしてカラー表示方式の一
つである、人間の目が感知できない程度の時間間隔で、
R、G、Bを順次点滅させる時間混合法を用いたフィール
ドシーケンシャル方式での応用も期待されている。
【0017】この方式はグレー表示等の階調表示を実現
する場合、デジタル階調表示方式に比べて、強誘電性あ
るいは反強誘電性液晶材料の温度変化による光学特性の
変化の影響を受け易い欠点はあるが、構成が簡単となり
回路規模が小さくできることや、映像データの加工も簡
単で、比較的高精細の表示装置が安価にできるという特
徴がある。
【0018】さらに、Half-V字形の電気光学応答特性を
利用し、映像表示期間と黒表示期間を繰り返し表示する
ことにより、動画表示をする場合に動画ボケといわれる
移動するものの輪郭が不明瞭になる不具合に対して有効
である。従来の液晶の表示パネルが次のフレームの表示
サイクルまで同一の映像をホールドしているのに対し
て、この方式では、映像の表示の間に黒が表示され前の
表示がリセットされるためである。
【0019】このため、表示のちらつきを抑えるため
に、この方式では少なくても2倍程度の周波数で動かす
必要がある。通常1フレームを16.6msで表示する
とすると、この方式では、映像表示に8.3msのサブ
フレームと、黒表示に8.3msのサブフレームで動か
すとよい。
【0020】つまり、液晶の応答速度は、画素への書き
込み時間も考慮すると4ms以下、より好ましくは1m
s以下が必要となる。これは、現在のネマティック系の
液晶材料での実現は困難である。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】高精細化を含めて、動
画に対する対応を考えた場合、上記のHalf−V字特
性を利用することが望ましい。これを実現するためには
配向制御の難しい自発分極を有する液晶材料を、欠陥な
く均一に配向させ、かつ単安定化する必要がある。
【0022】しかしながら、単安定化をするときに液晶
に直流電圧を加えると、配向膜と液晶の界面に電荷が蓄
積されて、液晶の配向に悪影響を及ぼす。とくに、FLC
などの自発分極を有する液晶は、電荷の蓄積による配向
への影響が大きい。
【0023】したがって、図14に示すような従来の単
安定化方法では単安定化後に配向不良、例えば図13に
示す電圧無印加時の二つの状態が出現する配向不良が出
現してしまうという問題がある。本発明は上記問題を解
決するものであり、配向不良をなくす単安定化方法を提
供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に本発明は、単安定化処理を行う際、図1に示すように
キラルネマティック相または等方相から第1の電圧を印
加し、キラルネマティック相とキラルスメクティック
相、例えばキラルスメクティックC相との相転移を開始
する温度より高い温度で第1の電圧とは逆極性で大きさ
の等しい第2の電圧を印加することを特徴としている。
【0025】つまり、本発明は以下の構成を有する。
【0026】キラルスメクティック相を有する液晶を注
入後、前記液晶に電圧を印加し前記液晶の配向を単安定
化する工程を有する液晶表示装置の作製方法において、
キラルネマティック相-キラルスメクティック相転移を
開始する温度より高い温度において第1の電圧を印加
し、その後前記第1の電圧を前記第1の電圧と異なる極性
の第2の電圧を印加し、前記第2の電圧を印加したままキ
ラルスメクティック相を示す温度まで冷却することを特
徴とする液晶表示装置の作製方法。
【0027】キラルスメクティックC相を有する液晶を
注入後、前記液晶に電圧を印加し前記液晶の配向を単安
定化する工程を有する液晶表示装置の作製方法におい
て、キラルネマティック相-キラルスメクティックC相転
移を開始する温度より高い温度において第1の電圧を印
加し、その後前記第1の電圧を前記第1の電圧と異なる極
性の第2の電圧を印加し、前記第2の電圧を印加したまま
キラルスメクティックC相を示す温度まで冷却すること
を特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【0028】相系列が高温側から等方相-キラルネマテ
ィック相-キラルスメクティックC相を有する液晶を用
い、キラルネマティック相-キラルスメクティックC相転
移を開始する温度より高い温度において第1の電圧を印
加し、その後前記第1の電圧を前記第1の電圧と異なる極
性の第2の電圧を印加し、前記第2の電圧を印加したまま
キラルスメクティックC相を示す温度まで冷却すること
を特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【0029】キラルスメクティック相を有する液晶を注
入後、前記液晶に電圧を印加し前記液晶の配向を単安定
化する工程を有する液晶表示装置の作製方法において、
等方相もしくはキラルネマティック相を示す温度で第1
の電圧を印加しながら前記液晶を冷却し始め、キラルネ
マティック相-キラルスメクティック相転移を開始する
温度より高い温度で前記第1の電圧を前記第1の電圧と異
なる極性の第2の電圧を印加し、キラルスメクティック
相を示す温度まで冷却することを特徴とする液晶表示装
置の作製方法。
【0030】キラルスメクティックC相を有する液晶を
注入後、前記液晶に電圧を印加し前記液晶の配向を単安
定化する工程を有する液晶表示装置の作製方法におい
て、等方相もしくはキラルネマティック相を示す温度で
第1の電圧を印加しながら前記液晶を冷却し始め、キラ
ルネマティック相-キラルスメクティックC相転移を開始
する温度より高い温度で前記第1の電圧を前記第1の電圧
と異なる極性の第2の電圧を印加し、キラルスメクティ
ックC相を示す温度まで冷却することを特徴とする液晶
表示装置の作製方法。
【0031】相系列が高温側から等方相-キラルネマテ
ィック相-キラルスメクティックC相を有する液晶を用
い、等方相もしくはキラルネマティック相を示す温度で
第1の電圧を印加しながら前記液晶を冷却し始め、キラ
ルネマティック相-キラルスメクティックC相転移を開始
する温度より高い温度で前記第1の電圧を前記第1の電圧
と異なる極性の第2の電圧を印加し、キラルスメクティ
ックC相を示す温度まで冷却することを特徴とする液晶
表示装置の作製方法。
【0032】前記各構成において、前記第1の電圧と前
記第2の電圧とは直流電圧であることを特徴とする液晶
表示装置の作製方法。
【0033】前記各構成において、前記第1の電圧と前
記第2の電圧の絶対値は、電圧-透過率特性において透過
率の最大値の50%以上となる電圧値であることを特徴
とする液晶表示装置の作製方法。
【0034】前記各構成において、前記第1の電圧と前
記第2の電圧の絶対値は、電圧-透過率特性において透過
率の最大値の90%以上となる電圧値であることを特徴
とする液晶表示装置の作製方法。
【0035】前記各構成において、少なくとも前記キラ
ルスメクティック相または前記キラルスメクティックC
相への相転移が終了した後に、前記第2の電圧の絶対値
を小さくすることを特徴とする液晶表示装置の作製方
法。
【0036】前記各構成において、少なくとも前記相転
移が終了する温度から室温に冷却するまでに前記第2の
電圧の絶対値を零にすることを特徴とする液晶表示装置
の作製方法。
【0037】前記各構成において、前記液晶表示装置
は、マトリクス状に配置された画素電極と、前記画素電
極に接続するトランジスタと、前記画素電極と前記液晶
を介して配置された共通電極とを有し、前記画素電極と
前記共通電極の間にて前記第1の電圧及び前記第2の電
圧を付与することを特徴とする液晶表示装置の作製方
法。
【0038】この結果、液晶中の電荷の偏りをなくすこ
とができ、良好な配向を得ることができる。
【0039】以上に示す本発明について、以下に示す実
施例、実施形態にて詳細に説明する。なお、実施例、実
施形態は適宜に組み合わせることが可能である。
【発明の実施形態】以下に本発明の実施形態の例を示
す。
【0040】対向基板には遮光膜が形成されており、遮
光膜上に透明導電膜が形成されている。透明導電膜は酸
化インジウム錫(ITO)膜を用いることができる。
【0041】アクティブマトリクス基板と対向基板とに
配向膜を形成し、配向処理をする。プレチルトが低い配
向膜を用いると、強誘電性液晶の配向欠陥を抑えること
ができるので、プレチルトの値は2.0°以下、より好
ましくは1.0°以下が好ましい。
【0042】ここではポリイミドもしくはポリアミック
酸系の配向膜材料を印刷法により形成、ベーク後、ラビ
ング処理を採用したが、光配向処理を用いたり、無機膜
を斜方蒸着したり、誘電体膜にイオンビームを照射して
配向制御をしても良い。
【0043】散布スペーサは、ランダムに散布されるた
め、画素電極上にも配置される。このスペーサの周辺で
は、液晶の配向が乱れ、配向欠陥ができやすく光漏れの
原因となる。したがって、所定の位置、たとえばTFT、
ゲート配線またはソース配線の上方に感光性の樹脂をパ
ターニングして設けることが好ましい。 これにより、
液晶の欠陥が抑えられるだけなく、黒レベルの表示が改
善される。
【0044】さらに、良好な白レベルを得るためには、
透過型表示装置の場合は、液晶材料の屈折率異方性の値
にもよるが、スペーサの高さはセルギャップが1.4〜
2.0μmとなるように形成する。ここではセルギャッ
プを1.8μmとした。散布スペーサやフォトリソ技術
によるスペーサは欠陥の原因にもなるので、パネルの表
示領域のサイズが1インチ以下程度であれば使用しない
でセルギャップを形成しても良い。
【0045】次に、シール剤により対向基板とアクティ
ブマトリクス基板を貼り合せる。貼り合わせたときに、
対向基板とアクティブマトリクス基板のラビング方向が
互いに平行または反平行になるようにする。シール剤が
硬化した後に、対向基板とアクティブマトリクス基板と
を分断する。
【0046】続いて、液晶材料を注入する。本実施形態
において使用する液晶材料は、等方相-キラルネマティ
ック相-キラルスメクティックC相系列を有する強誘電
性液晶材料である。この材料は、粘性率の低い材料が高
速応答という点で望ましい。
【0047】液晶材料が注入されたことを確認し、UV
硬化型の封止剤で注入口を封止する。なお、この封止
は、この後に行う単安定化処理の後に行っても良い。
【0048】その後、強誘電性液晶の単安定化処理を図
1のように行う。図1において横軸は温度であり、縦軸は
印加電圧である。液晶の相系列は高温側から等方相、キ
ラルネマティック相、キラルスメクティックC相であ
る。
【0049】したがって、冷却していくうちに相転移が
起こる。ここで相転移とは、温度などの変化によって物
質が異なる相に移る現象をいい、数℃に渡って起こる。
この相転移は示差走査熱量計や偏光顕微鏡観察などによ
って決定できる。示差走査熱量計で測定した場合、相転
移時に発生する吸熱量、発熱量の差がピークとして表れ
る。このピークの温度幅は相転移の温度幅を示してい
る。また、相転移を開始する温度とは、示差走査熱量測
定において横軸を温度T、縦軸を吸熱量または発熱量qと
したときに、Δq/ΔT<0またはΔq/ΔT>0となる最初
の温度である。本実施形態では、単安定化処理を冷却し
ながら行うため、相転移を開始する温度は相転移温度の
うち高温側の温度となる。
【0050】単安定化処理を行う上での最低限守るべき
条件は、第2の電圧を印加する温度範囲と、第2の電圧
の大きさである。
【0051】キラルネマティック相からキラルスメクテ
ィックC相への相転移する期間を経てキラルスメクティ
ックC相の状態となる温度範囲において第2の電圧を印加
する。なお、第2の電圧を印加する期間はできるだけ狭
くするのが望ましい。これは液晶に直流電圧を長時間印
加することを避けるためである。
【0052】また、第2の電圧の大きさは、単安定化を
行うのに充分な電圧を印加する必要がある。この電圧が
小さいと、層の法線はラビング方向に対し左右対称の二
つの状態をとり、FLC分子はラビング方向から左右わず
かに傾いたところで安定状態となるため液晶分子が一方
向に配向できない。したがって、第2の電圧の大きさは
電圧-透過率特性において透過率の最大値の少なくとも
50%以上の透過率を示す電圧値、より好ましくは90
%以上の透過率を示す電圧値とするとよい。実際のパネ
ルでは液晶に印加する電圧の大きさは0〜10V程度である
ので、単安定化処理に印加する電圧もその間の電圧値と
考えてよい。
【0053】単安定化処理は、キラルネマティック相ま
たは等方相から第1の電圧を印加しながら冷却を始め
る。第1の電圧を印加する温度は、等方相またはキラル
ネマティック相の温度であれば特に制限はない。ただ
し、第1の電圧を印加する温度範囲も、第2の電圧を印
加する温度範囲と同様に、できるだけ狭い方がよい。か
つ、液晶にかかる直流成分の偏りを抑えるため、第1の
電圧を印加する温度範囲と第2の電圧を印加する温度範
囲とは同程度が好ましい。
【0054】冷却時の温度勾配が大きいと欠陥の発生原
因となるので、温度勾配は-3.0℃/min以下が好まし
く、-1.0℃/min前後が特に好ましい。
【0055】第1の電圧の大きさは特に制限はないが、
第2の電圧と同じ大きさの電圧が好ましい。
【0056】続いてキラルネマティック相-キラルスメ
クティックC相転移を開始する温度より高い温度で第1
の電圧と異なる極性の第2の電圧を印加する。第2の電
圧の印加をはじめる温度は、液晶に直流電圧を長時間印
加することを避けるため、できるだけ相転移を開始する
温度に近い温度が好ましい。例えば、キラルネマティッ
ク相とキラルスメクティックC相との相転移を開始する
温度より高い温度、より好ましくは0.1℃〜1℃高い
温度から、第2の電圧の印加を開始するのが好ましい。
そして、相転移後すぐに第2の電圧を除去する。このよ
うにして、第2の電圧を印加する温度範囲をできるだけ
狭くする。
【0057】このとき、イオン性の不純物がパネルに混
在していた場合、第2の電圧を突然除去すると逆起電力
の影響によって配向不良を招く恐れがある。したがっ
て、第2の電圧は相転移後、電圧を徐々に下げながら電
圧を0Vにするのが好ましい。このようにして、良好な
配向性を得る。
【0058】本実施形態では、第1の電圧を印加する温
度範囲と、第2の電圧を印加する温度範囲をできるだけ
狭くして、直流電圧を印加することによる不純物イオン
の界面への蓄積等に起因する配向への影響を抑える。ま
た、冷却時に液晶に印加する第1の電圧、第2の電圧の
大きさを等しくすることで、液晶にかかる直流成分の偏
りを打ち消すことができる。
【0059】
【実施例】〔実施例1〕本実施例では液晶材料にクラリ
アントジャパン社製の強誘電性液晶R2402を用い
た。この液晶の相転移温度は、等方相/キラルネマティ
ック相=88.6〜85.9℃、キラルネマティック相/
キラルスメクティックC相65.8℃(カタログ値)で
ある。
【0060】アクティブマトリクス基板に液晶材料を、
毛細管現象を利用し注入し、UV硬化型の封止剤で注入
口を封止した。
【0061】その後、図2に示すように単安定化処理を
行った。単安定化処理開始温度は75.0℃で、この状
態で180秒維持した後に冷却速度-1.2℃/minで冷
却を開始した。冷却開始と同時に強誘電性液晶R240
2に第1の電圧である+6Vの直流電圧を印加した。な
お、ここで使用した温度調節器はMettler社のMettler F
P80を使用した。
【0062】その後、キラルネマティック相-キラルス
メクティックC相転移を開始する温度よりも1.0℃高
い66.8℃で第2の電圧である-6Vの直流電圧を印加
し、相転移させた。キラルスメクティックC相に転移し
てから62.0℃まで一定の大きさの直流電圧を印加し
ながら冷却した後に直流電圧を徐々に除去し、室温まで
冷却することにより良好な配向性を得た。
【0063】〔比較例〕本比較例では、実施例1で用い
た液晶パネルを、単一極性の直流電圧を加えながら単安
定化処理をしたときの、液晶の配向状態を説明する。
【0064】CDR-FLCは一旦、単安定化処理を行った後
に昇温し、キラルスメクティックC相より高温側の相、
例えば等方相またはキラルネマティック相に転移させた
後、電圧無印加で冷却させキラルスメクティックC相ま
で転移させると図13に示すようにFLC分子がラビング
方向216に対して対称に傾いた2つの状態217をと
ってしまい、単安定状態が得られなくなってしまう。し
かし、再度単安定化処理を施すことによって再び元の単
安定状態を取り戻すことが可能である。
【0065】そこで、実施例1で使用した液晶表示装置
を用いて、図3に示すような一方の極性の電圧だけを冷
却時に加える単安定化処理を行うことにより、本発明に
よる方法との比較を行った。
【0066】温度調節器はMettler社のMettler FP80を
使用し、一旦キラルネマティック相75.0℃で180
秒維持した後に冷却速度-1.2℃/minで冷却を開始し
た。なお、この時点では電圧は印加していない。
【0067】次に、キラルネマティック相-キラルスメ
クティックC相転移を開始する温度よりも1.0℃高い
66.9℃で-6Vの直流電圧を印加し、相転移させた。
そして、キラルスメクティックC相に転移後62.0℃
で直流電圧を徐々に除去してから室温まで冷却し、単安
定化処理を終了した。
【0068】この一方の極性の電圧だけを冷却時に加え
る単安定化処理後の液晶の配向を調べた。2枚の偏光板
に液晶パネルを挟んだ構成で、偏光板の光軸のなす角度
を調節して、配向不良を目立ちやすくして、実施例1に
示す本発明の単安定化処理後の配向との比較を行い、配
向不良の画素数が多いことを確認した。
【0069】〔実施例2〕本実施例では本発明の構成に
ついて図4〜図6を用い、画素マトリクス回路とその周
辺に設けられるドライバー回路の基本形態であるCMO
S回路を同時に形成したアクティブマトリクス基板の作
製方法を述べ、図7を用いてアクティブマトリクス基板
から、アクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する
工程を説明する。
【0070】最初に、基板301上に下地膜として窒化
酸化シリコン膜302aを50〜500nm、代表的に
は100nmの厚さに形成した。窒化酸化シリコン膜3
02aは、SiH4とN2OとNH3を原料ガスとして作
製されるものであり、含有する窒素濃度を25atomic%
以上50atomic%未満となるようにした。その後、窒素
雰囲気中で450〜650℃の熱処理を施し、窒化酸化
シリコン膜302aを緻密化した。
【0071】さらに窒化酸化シリコン膜302bを10
0〜500nm、代表的には200nmの厚さに形成
し、連続して非晶質半導体膜(図示せず)を20〜80
nmの厚さに形成した。本実施例では非晶質半導体膜と
しては非晶質シリコン膜を用いたが、微結晶シリコン膜
や非晶質シリコンゲルマニウム膜を用いても良い。
【0072】そして特開平7−130652号公報(米
国特許番号5,643,826号に対応)に記載された
結晶化手段により非晶質シリコン膜を結晶化し、結晶質
シリコン膜(図示せず)を形成した。同公報記載の技術
は、非晶質シリコン膜の結晶化に際して、結晶化を助長
する触媒元素(ニッケル、コバルト、ゲルマニウム、
錫、鉛、パラジウム、鉄、銅から選ばれた一種または複
数種の元素、代表的にはニッケル)を用いる結晶化手段
である。具体的には、非晶質シリコン膜表面に触媒元素
を保持させた状態で加熱処理を行い、非晶質シリコン膜
を結晶質シリコン膜に変化させるものである。
【0073】こうして結晶質シリコン膜を形成したら、
エキシマレーザー光を照射することにより残存した非晶
質成分の結晶化を行い、全体の結晶性を向上させる。な
お、エキシマレーザー光はパルス発振型でも連続発振型
でも良いが、ビーム形を線状に加工して照射することで
大型基板にも対応できる。
【0074】次に、結晶質シリコン膜をパターニングし
て、活性層303〜306を形成し、さらにそれらを覆
ってゲート絶縁膜307を形成した。ゲート絶縁膜30
7は、SiH4とN2Oとから作製される窒化酸化シリコ
ン膜であり、ここでは10〜200nm、好ましくは5
0〜150nmの厚さで形成した。(図4(A))
【0075】次に、活性層303、306の全面と、活
性層304、305の一部(チャネル形成領域を含む)
を覆うレジストマスク308〜311を形成した。そし
て、フォスフィン(PH3)を用いたイオンドープ法で
n型を付与する不純物元素(本実施例ではリン)を添加
して後にLov領域またはLoff領域となるn-領域312
〜314を形成した。この工程では、ゲート絶縁膜30
7を通してその下の活性層にリンを添加するために、加
速電圧は65keVに設定した。活性層に添加されるリ
ンの濃度は、2×1016〜5×1019atoms/cm3の範囲
にするのが好ましく、ここでは1×1018atoms/cm3
した。(図4(B))
【0076】次に、第1の導電膜315を、スパッタ法
により窒化タンタル(TaN)で形成した。続いて、ア
ルミニウム(Al)を主成分とする第2の導電膜316
を、100〜300nmの厚さに形成した。(図4
(C))
【0077】そして、第2の導電膜をエッチングして配
線317を形成した。本実施例の場合、第2の導電膜が
Alであるので、リン酸溶液により下地であるTaN膜
との選択比が良好であった。さらに、第1の導電層31
5と配線317の上に第3の導電膜318をタンタル
(Ta)で100〜400nm(本実施例では200n
m)の厚さに形成した。なお、このタンタル膜の上にさ
らに窒化タンタル膜を形成しても構わない。(図4
(D))
【0078】次に、レジストマスク319〜324を形
成し、第1の導電膜と第3の導電膜の一部をエッチング
除去して、低抵抗な接続配線325、pチャネル型TF
Tのゲート配線326、画素マトリクス回路のゲート配
線327を形成した。なお、導電膜328〜330はn
チャネル型TFTとなる領域上に残しておく。また、こ
の接続配線325は、配線抵抗を極力小さくした部分
(例えば、外部信号の入出力端子からドライバー回路の
入出力端子までの配線部分)に形成する。但し、構造
上、配線幅がある程度太くなってしまうので、微細な配
線を必要とする部分には不向きである。
【0079】上記第1の導電膜(TaN膜)と第2の導
電膜(Ta膜)のエッチングはCF4とO2の混合ガスに
より行うことができた。そして、レジストマスク319
〜324をそのまま残して、pチャネル型TFTが形成
される活性層303の一部に、p型を付与する不純物元
素を添加する工程を行った。ここではボロンをその不純
物元素として、ジボラン(B26)を用いてイオンドー
プ法(勿論、イオンインプランテーション法でも良い)
で添加した。ボロンの添加濃度は5×1020〜3×10
21atoms/cm3(本実施例では2×1021atoms/cm3)とし
た。そして、ボロンが高濃度に添加されたp++領域33
1、332を形成した。(図5(A))
【0080】なお、この工程において、レジストマスク
319〜324をマスクとしてゲート絶縁膜307をエ
ッチングし、活性層303の一部を露出させた後、ボロ
ンを添加する工程を行っても良い。その場合、加速電圧
が低くて済むため、活性層に与えるダメージも少ない
し、スループットも向上する。
【0081】次に、レジストマスク319〜324を除
去した後、新たにレジストマスク333〜338を形成
した。これはnチャネル型TFTのゲート配線を形成す
るためのものであり、ドライエッチング法によりnチャ
ネル型TFTのゲート配線339〜341が形成され
た。このときゲート配線339、340はn-領域31
2〜314の一部と重なるように形成した。(図5
(B))
【0082】次に、レジストマスク333〜338を除
去した後、新たにレジストマスク342〜346を形成
した。レジストマスク344、346はnチャネル型T
FTのゲート配線340、341とn-領域の一部を覆
う形で形成した。
【0083】そして、n型を付与する不純物元素(本実
施例ではリン)を1×1020〜1×1021atoms/cm
3(本実施例では5×1020atoms/cm3)の濃度で添加し
て活性層304〜306にn+領域347〜353を形
成した。(図5(C))
【0084】なお、この工程において、レジストマスク
342〜346を用いてゲート絶縁膜307をエッチン
グ除去し、活性層304〜306の一部を露出させた
後、リンを添加する工程を行っても良い。その場合、加
速電圧が低くて済むため、活性層に与えるダメージも少
ないし、スループットも向上する。
【0085】次に、レジストマスク342〜346を除
去し、画素マトリクス回路のnチャネル型TFTとなる
活性層306にn型を付与する不純物元素(本実施例で
はリン)を添加する工程を行った。こうして前記n-
域の1/2〜1/10の濃度(具体的には1×1016
5×1018atoms/cm3)でリンが添加されたn--領域3
54〜357を形成した。
【0086】また、この工程ではゲート配線で隠された
不純物領域358〜360を除いて全ての不純物領域に
--の濃度でリンが添加された。実際、その濃度は非常
に低濃度であるため無視して差し支えない。但し、厳密
には359、360で示される領域がn-領域であるの
に対し、361、362で示される領域は(n-
--)領域となり、前記n-領域359、360よりも
若干高い濃度でリンを含む。(図6(A))
【0087】次に、100〜400nm厚の保護絶縁膜
363をプラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3
原料とした窒化酸化シリコン膜で形成した。この窒化酸
化シリコン膜中の含有水素濃度は1〜30atomic%とな
るように形成することが望ましかった。保護絶縁膜34
4としては、他にも酸化シリコン膜、窒化シリコン膜ま
たはそれらを組み合わせた積層膜を用いることができ
る。
【0088】その後、それぞれの濃度で添加されたn型
またはp型を付与する不純物元素を活性化するために熱
処理工程を行った。この工程はファーネスアニール法、
レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニール
法(RTA法)で行うことができる。ここではファーネ
スアニール法で活性化工程を行った。加熱処理は、窒素
雰囲気中において300〜650℃、好ましくは400
〜550℃、ここでは450℃、2時間の熱処理を行っ
た。
【0089】さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気
中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行
い、活性層を水素化する工程を行った。この工程は熱的
に励起された水素により半導体層のダングリングボンド
を終端する工程である。水素化の他の手段として、プラ
ズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)
を行っても良い。(図6(B))
【0090】活性化工程を終えたら、保護絶縁膜363
の上に0.5〜1.5μm厚の層間絶縁膜364を形成
した。前記保護絶縁膜363と層間絶縁膜364とでな
る積層膜を第1の層間絶縁膜とした。
【0091】その後、それぞれのTFTのソース領域ま
たはドレイン領域に達するコンタクトホールが形成さ
れ、ソース配線365〜368と、ドレイン配線369
〜372を形成した。なお、図示されていないがCMO
S回路を形成するためにドレイン配線369と370は
同一配線として接続されている。また、入出力端子間、
回路間を結ぶ接続配線373、374も同時に形成し
た。なお、図示していないが本実施例ではこの電極を、
Ti膜を100nm、Tiを含むアルミニウム膜300
nm、Ti膜150nmをスパッタ法で連続して形成し
た3層構造の積層膜とした。
【0092】次に、パッシベーション膜375として、
窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、または窒化酸化シリ
コン膜で50〜500nm(代表的には200〜300
nm)の厚さで形成した。パッシベーション膜375は
プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から形成さ
れる窒化酸化シリコン膜、またはSiH4、N2、NH3
から作製される窒化シリコン膜で形成すれば良い。
【0093】まず、膜の形成に先立ってN2O、N2、N
3等を導入してプラズマ水素化処理により水素化の工
程を行った。プラズマ処理により励起された水素は第1
の層間絶縁膜中に供給され、基板を200〜400℃に
加熱しておけば、その水素を下層側にも拡散させて活性
層を水素化することができた。このパッシベーション膜
の作製条件は特に限定されるものではないが、緻密な膜
とすることが望ましい。
【0094】また、パッシベーション膜を形成した後
に、さらに水素化工程を行っても良い。例えば、3〜1
00%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1
〜12時間の熱処理を行うと良く、あるいはプラズマ水
素化法を用いても同様の効果が得られた。なお、ここで
後に画素電極とドレイン配線を接続するためのコンタク
トホールを形成する位置において、パッシベーション膜
375に開口部を形成しておいても良い。
【0095】その後、有機樹脂からなる第2の層間絶縁
膜376を約1μmの厚さに形成した。有機樹脂として
は、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドア
ミド、BCB(ベンゾシクロブテン)等を使用すること
ができる。有機樹脂膜を用いることの利点は、成膜方法
が簡単である点や、比誘電率が低いので、寄生容量を低
減できる点、平坦性に優れる点などが上げられる。なお
上述した以外の有機樹脂膜や有機系SiO化合物などを用
いることもできる。ここでは、基板に塗布後、熱重合す
るタイプのポリイミドを用い、300℃で焼成して形成
した。
【0096】次に、画素マトリクス回路となる領域にお
いて、第2の層間絶縁膜376上に遮蔽膜377を形成
した。遮蔽膜377はアルミニウム(Al)、チタン
(Ti)、タンタル(Ta)から選ばれた元素またはい
ずれかを主成分とする膜で100〜300nmの厚さに
形成した。なお、第2の層間絶縁膜376上に酸化シリ
コン膜等の絶縁膜を5〜50nm形成しておくと、この
上に形成する遮蔽膜の密着性を高めることができた。ま
た、有機樹脂で形成した第2の層間絶縁膜376の表面
にCF4ガスを用いたプラズマ処理を施すと、表面改質
により膜上に形成する遮蔽膜の密着性を向上させること
ができた。
【0097】また、遮蔽膜だけでなく、他の接続配線を
形成することも可能である。例えば、ドライバー回路内
で回路間をつなぐ接続配線を形成できる。但し、その場
合は遮蔽膜または接続配線を形成する材料を成膜する前
に、予め第2の層間絶縁膜にコンタクトホールを形成し
ておく必要がある。
【0098】次に、遮蔽膜377の表面に陽極酸化法に
より10〜100nm(好ましくは15〜75nm)の
厚さの陽極酸化膜378を形成した。本実施例では遮蔽
膜377としてアルミニウム膜またはアルミニウムを主
成分とする膜を用いたため、陽極酸化膜378として酸
化アルミニウム膜(アルミナ膜)が形成された。
【0099】陽極酸化処理に際して、まず十分にアルカ
リイオン濃度の小さい酒石酸エチレングリコール溶液を
作製した。これは15%の酒石酸アンモニウム水溶液と
エチレングリコールとを2:8で混合した溶液であり、
これにアンモニア水を加え、pHが7±0.5となるよ
うに調節した。そして、この溶液中に陰極となる白金電
極を設け、遮蔽膜377が形成されている基板を溶液に
浸し、遮蔽膜377を陽極として、一定(数mA〜数百
mA)の直流電流を流した。電流密度は、1.0mA/
cm2〜20.0mA/cm2の範囲に制御しながら、陽
極酸化を行うことが好ましい。
【0100】本実施例では、1枚の基板に100mAの
電流を流し、単位時間あたりの電圧値を87〜430V
/minとした。溶液中の陰極と陽極との間の電圧は酸
化膜の成長に従い時間と共に変化するが、電流が一定と
なるように電圧を調整し、35Vとなったところで終了
した。本実施例の陽極酸化工程時間は7秒であった。
【0101】このようにして遮蔽膜377の端部側面に
は厚さ20〜30nmの陽極酸化膜378を形成するこ
とができた。なお、ここで示した陽極酸化法に係わる数
値は一例にすぎず、作製する素子の大きさ等によって当
然最適値は変化しうるものである。
【0102】また、ここでは遮蔽膜表面のみに絶縁膜を
設ける構成としたが、絶縁膜をプラズマCVD法、熱C
VD法またはスパッタ法などの気相法によって形成して
も良い。その場合も膜厚は30〜150nm(好ましく
は50〜75nm)とすることが好ましい。また、酸化
シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、D
LC(Diamond like carbon)膜または有機樹脂膜を
用いても良い。さらに、これらを組み合わせた積層膜を
用いても良い。
【0103】次に、第2の層間絶縁膜376、パッシベ
ーション膜375にドレイン配線372に達するコンタ
クトホールを形成し、画素電極379を形成した。な
お、画素電極380、381はそれぞれ隣接する別の画
素の画素電極である。画素電極379〜381は、透過
型液晶表示装置とする場合には透明導電膜を用い、反射
型の液晶表示装置とする場合には反射性を有する金属膜
(例えば、アルミニウム、銀、Al−Ag合金等)を用
いれば良い。ここでは透過型の液晶表示装置とするため
に、酸化インジウム・スズ(ITO)膜を100nmの
厚さにスパッタ法で形成した。
【0104】また、この時、画素電極379と遮蔽膜3
77とが陽極酸化膜378を介して重なった領域382
が保持容量を形成した。
【0105】こうして同一基板上に、ドライバー回路と
なるCMOS回路と画素マトリクス回路とを有したアク
ティブマトリクス基板が完成した。なお、ドライバー回
路にはpチャネル型TFT501、nチャネル型TFT
502、503が形成され、画素マトリクス回路にはn
チャネル型TFTでなる画素TFT504が形成され
た。(図6(C))
【0106】CMOS回路のpチャネル型TFT501
には、チャネル形成領域401、ソース領域402、ド
レイン領域403がそれぞれp+領域で形成された。
【0107】また、nチャネル型TFT502には、チ
ャネル形成領域404、ソース領域405、ドレイン領
域406、そしてチャネル形成領域の片側にLov領域4
07が形成された。この時、ソース領域405は、(n
--+n+)領域、ドレイン領域406は(n--+n-+n
+)領域でそれぞれ形成され、Lov領域407はn-領域
で形成された。また、Lov領域407はゲート配線と全
部重なって形成された。
【0108】また、nチャネル型TFT503には、チ
ャネル形成領域408、ソース領域409、ドレイン領
域410、そしてチャネル形成領域の両側にLov領域4
11a、412aおよびLoff領域411b、412bが形
成された。この時、ソース領域409、ドレイン領域4
10は(n--+n-+n+)領域、Lov領域411a、4
12aはn-領域、Loff領域411b、412bは(n--
+n-)領域でそれぞれ形成された。なお、この構造で
はLDD領域の一部がゲート配線と重なるように配置さ
れたために、Lov領域とLoff領域が実現されている。
【0109】また、画素TFT504には、チャネル形
成領域413、414、ソース領域415、ドレイン領
域416、Loff領域417〜420、Loff領域41
8、419に接したn+領域421が形成された。この
時、ソース領域415、ドレイン領域416はそれぞれ
(n--+n+)領域で形成され、Loff領域417〜42
0はn--領域で形成された。
【0110】本実施例では、画素マトリクス回路および
ドライバー回路が要求する回路仕様に応じて各回路を形
成するTFTの構造を最適化し、半導体装置の動作性能
および信頼性を向上させることができた。具体的には、
nチャネル型TFTは回路仕様に応じてLDD領域の配
置を異ならせ、Lov領域またはLoff領域を使い分ける
ことによって、同一基板上に高速動作またはホットキャ
リア対策を重視したTFT構造と低オフ電流動作を重視
したTFT構造とを実現した。
【0111】例えば、アクティブマトリクス型液晶表示
装置の場合、nチャネル型TFT502は高速動作を重
視するシフトレジスタ回路、分周波回路、信号分割回
路、レベルシフタ回路、バッファ回路などのロジック回
路に適している。即ち、チャネル形成領域の片側(ドレ
イン領域側)のみにLov領域を配置することで、できる
だけ抵抗成分を低減させつつホットキャリア対策を重視
した構造となっている。これは上記回路群の場合、ソー
ス領域とドレイン領域の機能が変わらず、キャリア(電
子)の移動する方向が一定だからである。但し、必要に
応じてチャネル形成領域の両側にLov領域を配置するこ
ともできる。
【0112】また、nチャネル型TFT503はホット
キャリア対策と低オフ電流動作の双方を重視するサンプ
リング回路(サンプルホールド回路)に適している。即
ち、Lov領域を配置することでホットキャリア対策と
し、さらにLoff領域を配置することで低オフ電流動作
を実現した。また、サンプリング回路はソース領域とド
レイン領域の機能が反転してキャリアの移動方向が18
0°変わるため、ゲート配線を中心に線対称となるよう
な構造としなければならない。なお、場合によってはL
ov領域のみとすることもありうる。
【0113】また、nチャネル型TFT504は低オフ
電流動作を重視した画素マトリクス回路、サンプリング
回路(サンプルホールド回路)に適している。即ち、オ
フ電流値を増加させる要因となりうるLov領域を配置せ
ず、Loff領域のみを配置することで低オフ電流動作を
実現している。また、ドライバー回路のLDD領域より
も低い濃度のLDD領域をLoff領域として用いること
で、多少オン電流値が低下しても徹底的にオフ電流値を
低減する対策を打っている。さらに、n+領域321は
オフ電流値を低減する上で非常に有効であることが確認
されている。
【0114】また、チャネル長3〜7μmに対してnチ
ャネル型TFT502のLov領域407の長さ(幅)は
0.5〜3.0μm、代表的には1.0〜1.5μmと
すれば良い。また、nチャネル型TFT503のLov領
域411a、412aの長さ(幅)は0.5〜3.0μ
m、代表的には1.0〜1.5μm、Loff領域411
b、412bの長さ(幅)は1.0〜3.5μm、代表的
には1.5〜2.0μmとすれば良い。また、画素TF
T504に設けられるLoff領域417〜420の長さ
(幅)は0.5〜3.5μm、代表的には2.0〜2.
5μmとすれば良い。
【0115】さらに、pチャネル型TFT501は自己
整合(セルフアライン)的に形成され、nチャネル型T
FT502〜504は非自己整合(ノンセルフアライ
ン)的に形成されている点も特徴の一つである。
【0116】続いてアクティブマトリクス基板から、ア
クティブマトリクス型液晶表示装置を作製する工程を説
明する。
【0117】図7に示すように、図6(C)の状態の基
板に対し、配向膜601を形成する。通常液晶表示素子
の配向膜にはポリイミド樹脂が多く用いられている。対
向側の基板602には、透明導電膜からなる対向電極6
03と、配向膜604とを形成した。配向膜を形成した
後、ラビング処理を施して液晶分子がある一定のプレチ
ルト角を持って配向するようにした。そして、画素マト
リクス回路と、CMOS回路が形成されたアクティブマ
トリクス基板と対向基板とを、公知のセル組み工程によ
ってシール材やスペーサ(共に図示せず)などを介して
貼りあわせる。その後、両基板の間に液晶材料605を
注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止した。
液晶材料には公知のスメクティック相を有する液晶材料
を用いれば良い。本実施例では液晶材料にクラリアント
ジャパン社製の強誘電性液晶R2402を用いた。
【0118】続いて、図2に示すように単安定化処理を
行った。単安定化処理開始温度は75.0℃で、この状
態で180秒維持した後に冷却速度-1.2℃/minで冷
却を開始した。冷却開始と同時に強誘電性液晶R240
2に第1の電圧である+6Vの直流電圧を印加した。な
お、液晶への電圧印加は駆動回路を用いて、画素すべて
に同時に直流電圧を印加できるようにした。
【0119】その後、キラルネマティック相-キラルス
メクティックC相転移を開始する温度よりも1.0℃高
い66.8℃で第2の電圧である-6Vの直流電圧を印加
し、相転移させた。キラルスメクティックC相に転移し
てから62.0℃まで一定の大きさの直流電圧を印加し
ながら冷却した後に直流電圧を徐々に除去し、室温まで
冷却することにより良好な配向性を得た。このようにし
て図7に示すアクティブマトリクス型液晶表示装置が完
成した。
【0120】本実施例では保持容量の誘電体として比誘
電率が7〜9と高いアルミナ膜を用いたことで、保持容
量を大きくすることが可能である。したがって、液晶材
料に自発分極を有するスメクティック液晶を用いても自
発分極の反転に伴う電圧の降下量を小さくすることがで
きる。
【0121】〔実施例3〕実施例2で作製した液晶表示
装置の斜視図を図8に示す。尚、図8は、図4〜図6の
断面構造図と対応付けるため、共通の符号を用いてい
る。
【0122】アクティブマトリクス基板は、ガラス基板
301上に形成された、画素マトリクス回路1401
と、走査(ゲート)線駆動回路1402と、信号(ソー
ス)線駆動回路1403で構成される。画素マトリクス
回路の画素TFT504はnチャネル型TFTであり、
周辺に設けられるドライバー回路はCMOS回路を基本
として構成されている。走査(ゲート)線駆動回路14
02と、信号(ソース)線駆動回路1403はそれぞれ
ゲート配線341とソース配線368で画素マトリクス
回路1401に接続されている。また、FPC1404
が接続された外部入出力端子1405からドライバー回
路の入出力端子までの接続配線1407、1408が設
けられている。
【0123】〔実施例4〕上記実施例1乃至3のいずれ
か一を実施して形成された液晶表示装置は様々な電気光
学装置に用いることができる。即ち、それら電気光学装
置を表示部に組み込んだ電子機器全てに本発明を適用で
きる。
【0124】その様な電子機器としては、ビデオカメ
ラ、デジタルカメラ、プロジェクター、ヘッドマウント
ディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲ
ーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携
帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電
子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図9、図
10及び図11に示す。
【0125】図9(A)はパーソナルコンピュータであ
り、本体2001、画像入力部2002、表示部200
3、キーボード2004等を含む。本発明を表示部20
03に適用することができる。
【0126】図9(B)はビデオカメラであり、本体2
101、表示部2102、音声入力部2103、操作ス
イッチ2104、バッテリー2105、受像部2106
等を含む。本発明を表示部2102に適用することがで
きる。
【0127】図9(C)はモバイルコンピュータ(モー
ビルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2
202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示
部2205等を含む。本発明は表示部2205に適用で
きる。
【0128】図9(D)はゴーグル型ディスプレイであ
り、本体2301、表示部2302、アーム部2303
等を含む。本発明は表示部2302に適用することがで
きる。
【0129】図9(E)はプログラムを記録した記録媒
体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであ
り、本体2401、表示部2402、スピーカ部240
3、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含
む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(D
igtial Versatile Disc)、CD
等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネッ
トを行うことができる。本発明は表示部2402に適用
することができる。
【0130】図9(F)はデジタルカメラであり、本体
2501、表示部2502、接眼部2503、操作スイ
ッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。本発明
を表示部2502に適用することができる。
【0131】図10(A)はフロント型プロジェクター
であり、投射装置2601、スクリーン2602等を含
む。本発明は投射装置2601の一部を構成する液晶表
示装置2808に適用することができる。
【0132】図10(B)はリア型プロジェクターであ
り、本体2701、投射装置2702、ミラー270
3、スクリーン2704等を含む。本発明は投射装置2
702の一部を構成する液晶表示装置2808に適用す
ることができる。
【0133】なお、図10(C)は、図10(A)及び
図10(B)中における投射装置2601、2702の
構造の一例を示した図である。投射装置2601、27
02は、光源光学系2801、ミラー2802、280
4〜2806、ダイクロイックミラー2803、プリズ
ム2807、液晶表示装置2808、位相差板280
9、投射光学系2810で構成される。投射光学系28
10は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施
例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単
板式であってもよい。また、図10(C)中において矢
印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機
能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィル
ム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0134】また、図10(D)は、図10(C)中に
おける光源光学系2801の構造の一例を示した図であ
る。本実施例では、光源光学系2801は、リフレクタ
ー2811、光源2812、レンズアレイ2813、2
814、偏光変換素子2815、集光レンズ2816で
構成される。なお、図10(D)に示した光源光学系は
一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に
実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィル
ムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光
学系を設けてもよい。
【0135】ただし、図10に示したプロジェクターに
おいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示して
おり、反射型の電気光学装置での適用例は図示していな
い。
【0136】図11(A)は携帯電話であり、本体29
01、音声出力部2902、音声入力部2903、表示
部2904、操作スイッチ2905、アンテナ2906
等を含む。本発明を表示部2904に適用することがで
きる。
【0137】図11(B)は携帯書籍(電子書籍)であ
り、本体3001、表示部3002、3003、記憶媒
体3004、操作スイッチ3005、アンテナ3006
等を含む。本発明は表示部3002、3003に適用す
ることができる。
【0138】図11(C)はディスプレイであり、本体
3101、支持台3102、表示部3103等を含む。
本発明は表示部3103に適用することができる。
【0139】以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広
く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能であ
る。また、本実施例の電子機器は実施例1〜3のどのよ
うな組み合わせからなる構成を用いても実現することが
できる。
【0140】以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広
く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能であ
る。そして本発明を用いることにより、動画ボケ、表示
ちらつきを抑えた良好な表示状態が得ることができる。
【0141】〔実施例5〕本実施例においては、実施例
1〜実施例3により単安定化した液晶表示パネルにおい
て、第1の電圧に対する液晶の配向の様子を示す。図1
7は、第1の電圧を変化させたときの液晶パネルを光学
顕微鏡で観察したときの表面写真(画素数42×31、
なお、全体の画素数は320×240である。)を示
す。これらの液晶パネルは、単安定化処理開始温度を7
5.0℃とし、この状態で180秒維持した後に冷却速
度-1.2℃/minで冷却を開始し、冷却開始と同時に強
誘電性液晶R2402に第1の電圧を印加した。なお、
図17(A)、図17(B)及び図17(C)の液晶パネ
ルは、それぞれ第1の印加電圧を+1V、+2V及び+5
Vとした。その後、キラルネマティック相―キラルスメ
クティックC相転移を開始する温度よりも0.7℃高い
66.5℃で第2の電圧であるー6Vの直流電圧を印加
し、相転移させた。その後、キラルスメクティックC相
に転移してから61.0℃まで一定の大きさの直流電圧
を印加しながら冷却した後に直流電圧を徐々に除去して
作製したものである。
【0142】図17において、白色の縞の部分が、配向
不良の部分である。第1の電圧の絶対値が第2の電圧の
絶対値に近づくほど、配向不良を示す白色縞が減少して
いることがわかる。
【0143】次に、図18について説明する。図18
は、図17(A)〜図17(C)に示した液晶パネルの
配向不良の画素数を示す。図17より、第1の電圧の絶
対値が第2の電圧の絶対値に近づくほど、すなわち、第
1の電圧と第2の電圧のそれぞれの絶対値の差が0に近
いほど、液晶の配向不良が減少していることがわかる。
このことから、本発明の単安定化を行うことにより、従
来の単安定化において不純物イオン等の存在により界面
に蓄積された電荷由来の、液晶の配向不良を減少するこ
とができる。好ましくは、第1の電圧の絶対値と第2の
電圧の絶対値とを等しくすることにより、更に配向不良
を減少させることができる。以上のことにより、実施例
1〜実施例3により作製した液晶表示装置を、実施例4
の電子機器に応用することにより、動画ボケや表示ちら
つきを抑えた良好な表示状態を有する電子機器を得るこ
とができる。
【発明の効果】本発明は、単安定化時の冷却の際に少な
くともキラルスメクティックC相の相転移が始まる直前
までに印加する直流電圧を、キラルスメクティックC相
への相転移が始まる直前から印加する直流電圧の極性と
異なるものにすることによって、良好な配向性を実現し
た液晶表示装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単安定化処理の方法を示す図。
【図2】単安定化処理の方法を示す図。
【図3】単安定化処理の方法を示す図。
【図4】AM-LCDの作製工程を示す図。
【図5】AM-LCDの作製工程を示す図。
【図6】AM-LCDの作製工程を示す図。
【図7】アクティブマトリックス型液晶表示装置の断面
構造図。
【図8】AM-LCDの外観を示す図。
【図9】電子機器の一例を示す図。
【図10】電子機器の一例を示す図。
【図11】電子機器の一例を示す図。
【図12】強誘電性液晶の説明と双安定性を示す図。
【図13】CDR-FLCの相系列と液晶分子の配向を示す
図。
【図14】単安定化処理の方法を示す図(従来例)。
【図15】単安定ポテンシャルを示す図。
【図16】HALF-V字型の電圧-透過率特性を示す図。
【図17】本発明により作製した液晶パネルの表示写真
を示す図。
【図18】本発明により作製した液晶パネルの配向不良
の数を示す図。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キラルスメクティック相を有する液晶を注
    入後、前記液晶に電圧を印加し前記液晶の配向を単安定
    化する工程を有する液晶表示装置の作製方法において、
    キラルネマティック相-キラルスメクティック相転移を
    開始する温度より高い温度において第1の電圧を印加
    し、その後前記第1の電圧を前記第1の電圧と異なる極性
    の第2の電圧を印加し、前記第2の電圧を印加したままキ
    ラルスメクティック相を示す温度まで冷却することを特
    徴とする液晶表示装置の作製方法。
  2. 【請求項2】キラルスメクティックC相を有する液晶を
    注入後、前記液晶に電圧を印加し前記液晶の配向を単安
    定化する工程を有する液晶表示装置の作製方法におい
    て、キラルネマティック相-キラルスメクティックC相転
    移を開始する温度より高い温度において第1の電圧を印
    加し、その後前記第1の電圧を前記第1の電圧と異なる極
    性の第2の電圧を印加し、前記第2の電圧を印加したまま
    キラルスメクティックC相を示す温度まで冷却すること
    を特徴とする液晶表示装置の作製方法。
  3. 【請求項3】相系列が高温側から等方相-キラルネマテ
    ィック相-キラルスメクティックC相を有する液晶を用
    い、キラルネマティック相-キラルスメクティックC相転
    移を開始する温度より高い温度において第1の電圧を印
    加し、その後前記第1の電圧を前記第1の電圧と異なる極
    性の第2の電圧を印加し、前記第2の電圧を印加したまま
    キラルスメクティックC相を示す温度まで冷却すること
    を特徴とする液晶表示装置の作製方法。
  4. 【請求項4】キラルスメクティック相を有する液晶を注
    入後、前記液晶に電圧を印加し前記液晶の配向を単安定
    化する工程を有する液晶表示装置の作製方法において、
    等方相もしくはキラルネマティック相を示す温度で第1
    の電圧を印加しながら前記液晶を冷却し始め、キラルネ
    マティック相-キラルスメクティック相転移を開始する
    温度より高い温度で前記第1の電圧を前記第1の電圧と異
    なる極性の第2の電圧を印加し、キラルスメクティック
    相を示す温度まで冷却することを特徴とする液晶表示装
    置の作製方法。
  5. 【請求項5】キラルスメクティックC相を有する液晶を
    注入後、前記液晶に電圧を印加し前記液晶の配向を単安
    定化する工程を有する液晶表示装置の作製方法におい
    て、等方相もしくはキラルネマティック相を示す温度で
    第1の電圧を印加しながら前記液晶を冷却し始め、キラ
    ルネマティック相-キラルスメクティックC相転移を開始
    する温度より高い温度で前記第1の電圧を前記第1の電圧
    と異なる極性の第2の電圧を印加し、キラルスメクティ
    ックC相を示す温度まで冷却することを特徴とする液晶
    表示装置の作製方法。
  6. 【請求項6】相系列が高温側から等方相-キラルネマテ
    ィック相-キラルスメクティックC相を有する液晶を用
    い、等方相もしくはキラルネマティック相を示す温度で
    第1の電圧を印加しながら前記液晶を冷却し始め、キラ
    ルネマティック相-キラルスメクティックC相転移を開始
    する温度より高い温度で前記第1の電圧を前記第1の電圧
    と異なる極性の第2の電圧を印加し、キラルスメクティ
    ックC相を示す温度まで冷却することを特徴とする液晶
    表示装置の作製方法。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6のいずれか一項において、前
    記第1の電圧と前記第2の電圧とは直流電圧であることを
    特徴とする液晶表示装置の作製方法。
  8. 【請求項8】請求項1乃至7のいずれか一項において、
    前記第1の電圧と前記第2の電圧の絶対値は、電圧-透過
    率特性において透過率の最大値の50%以上となる電圧
    値であることを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
  9. 【請求項9】請求項1乃至7のいずれか一項において、
    前記第1の電圧と前記第2の電圧の絶対値は、電圧-透過
    率特性において透過率の最大値の90%以上となる電圧
    値であることを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
  10. 【請求項10】請求項1乃至9のいずれか一項におい
    て、少なくとも前記キラルスメクティック相または前記
    キラルスメクティックC相への相転移が終了した後に、
    前記第2の電圧の絶対値を小さくすることを特徴とする
    液晶表示装置の作製方法。
  11. 【請求項11】請求項10において、少なくとも前記相
    転移が終了する温度から室温に冷却するまでに前記第2
    の電圧の絶対値を零にすることを特徴とする液晶表示装
    置の作製方法。
  12. 【請求項12】請求項1乃至11のいずれか一項におい
    て、前記液晶表示装置は、マトリクス状に配置された画
    素電極と、前記画素電極に接続するトランジスタと、前
    記画素電極と前記液晶を介して配置された共通電極とを
    有し、前記画素電極と前記共通電極の間にて前記第1の
    電圧及び前記第2の電圧を付与することを特徴とする液
    晶表示装置の作製方法。
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