JP3123704B2 - 自発分極を有する液晶を用いた液晶表示素子 - Google Patents

自発分極を有する液晶を用いた液晶表示素子

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JP3123704B2 JP24517195A JP24517195A JP3123704B2 JP 3123704 B2 JP3123704 B2 JP 3123704B2 JP 24517195 A JP24517195 A JP 24517195A JP 24517195 A JP24517195 A JP 24517195A JP 3123704 B2 JP3123704 B2 JP 3123704B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は自発分極を有する
液晶を用いた階調表示が可能で、且つ、高速動作が可能
な液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電性液晶等の自発分極を有する液晶
を用いた表示素子は、ネマティック液晶を用いるTNモ
ードの液晶表示素子と比較して、高速応答や、広い視野
角が得られる等の点で注目されている。
【0003】この種の液晶を用いた液晶表示素子の実用
化に関する研究は、主に、SS−F液晶と呼ばれる強誘
電性液晶を対象として行なわれていた。SS−F液晶
は、配向状態の双安定性(メモリ性)を有し、単純マト
リクス駆動に適した液晶である。しかし、SS−F液晶
は、透過率を段階的に変化させることができず、階調表
示を行うことができないという欠点がある。
【0004】この欠点を解決するため、SS−F液晶を
アクティブマトリクス駆動することにより、SS−F液
晶に定常的に中間電圧を印加し、白表示の領域と黒表示
の領域の面積比を制御することにより、疑似的に階調を
表示することが提案されている。しかし、このような駆
動方法では、液晶の配向が安定しないため、安定して任
意の階調を表示することが困難である。
【0005】この問題を解決するため、安定的した階調
表示が可能な強誘電性液晶表示素子が研究されており、
カイラルスメクティック相の螺旋ピッチが表示素子の基
板間隔より小さい強誘電性液晶を用いることが提案され
ている。この種の強誘電性液晶は、メモリ性を有するも
のがSBF液晶と呼ばれ、非メモリ性のものがDHF液
晶と呼ばれている(「LIQUID CRYSTALS」, 1989, Vol.
5, NO.4の第1171頁ないし第1177頁参照)。
【0006】DHF液晶は、液晶層を挟んで対向する電
極間に絶対値が十分大きい値の電圧を印加した時、印加
電圧の極性に応じて、液晶分子のダイレクタが第1の方
向にほぼ配向した第1の配向状態と液晶分子のダイレク
タが第2の方向にほぼ配向した第2の配向状態とのいず
れかになり、印加電圧の絶対値が前記第1の配向状態又
は第2の配向状態となる電圧より小さい場合、分子配列
の螺旋の歪みにより、液晶分子のダイレクタの平均的な
方向が前記第1と第2の方向の間となる中間の配向状態
になり、中間階調を表示することができる。
【0007】SBF液晶は、液晶層を挟んで対向する電
極間に絶対値が所定値以上の電圧を印加した時、印加電
圧の極性に応じて、液晶分子の長軸の方向(ダイレク
タ)が第1の方向にほぼ配向した第1の配向状態と液晶
分子のダイレクタが第2の方向にほぼ配向した第2の配
向状態とのいずれかになり、印加電圧の絶対値が前記第
1の配向状態又は第2の配向状態となる電圧より小さい
場合、ダイレクタが第1の方向に配向した液晶分子とダ
イレクタが第2の方向に配向した液晶分子が混在した中
間の配向状態になり、中間階調を表示することができ
る。
【0008】従って、DHF液晶或いはSBF液晶に、
アクティブ駆動により、非選択期間も中間電圧を印加し
続けることにより、中間階調を安定して表示することが
できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のDHF
液晶、SBF液晶等を用いた液晶表示素子は、液晶が自
発分極を有しており、自発分極と電界との相互作用によ
り液晶分子が挙動するにもかかわらず、各画素の書き込
み時間が長く、動作速度が遅いという問題があった。
【0010】液晶表示素子の動作を高速化するために
は、液晶の自発分極を大きくすればよいことが知られて
いる。しかし、本願の発明者の実験によれば、単純に液
晶の自発分極を大きくしても、各画素の書き込み時間等
が改善されず、高速応答性という自発分極を有する液晶
の特徴を十分に生かすことができないことが確認され
た。
【0011】近時、液晶テレビ及びハイビジョンの普及
にともない、より高品質の表示画像が求められており、
走査線数が増加する傾向にあり、各画素の選択期間は益
々短くなる傾向にある。しかし、前述のように、応答速
度が遅いため、十分高品質の画像を表示することができ
ない。
【0012】この発明は、上記実状に鑑みてなされたも
ので、この発明の目的は、自発分極を有する液晶を用い
且つ階調表示が可能なアクティブマトリクス型の液晶表
示素子の動作速度を向上させる点にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目標を達成するた
め、この発明の第1の観点にかかる液晶表示素子は、画
素電極と該画素電極に接続されたアクティブ素子とがマ
トリックス状に形成された一方の基板と、前記画素電極
に対向する共通電極が形成された他方の基板と、前記2
つの基板間に配置され、自発分極を有し、且つ印加され
る電圧の変化に応じてダイレクタが連続的に変化する液
晶と、から構成される液晶表示素子と、 前記アクティブ
素子を介して前記画素電極と前記共通電極に接続された
駆動回路と、より構成され、各画素の選択期間内にオン
した前記アクティブ素子を介して前記画素電極と前記共
通電極とその間の前記液晶とにより構成される容量に供
給される駆動電流が、前記液晶の配向の変化に応じて時
間と共に極大値を持つように変化する液晶表示装置にお
いて、 各画素の面積をS,単位面積当たりの自発分極を
PS、各画素の選択時間をTS、前記駆動電流の最大値
をImaxとすると、前記アクティブ素子は流れる電流の
時間的変化に近似する電流特性に基づく数3を満たすI
max以上の許容電流特性を有することを特徴とする。
【数5】4・Ps・S/TS≒Imax
【0014】前記液晶としては、例えば、第1の極性で
第1の値V1以上の電圧を印加したときに、その液晶分
子がほぼ第1の方向に配向した第1の強誘電相を示し
第2の極性で第1の値V1以上の電圧を印加したとき
に、その液晶分子がほぼ第2の方向に配向した第2の強
誘電相を示すものを使用できる。この場合、前記アクテ
ィブ素子のオン抵抗Ronとすると、このオン抵抗Ron
は、数6を満たすように設定される。
【数6】V1/Ion≧Ron
【0015】一対の偏光板の一方の光学軸は前記第1の
方向と前記第2の方向の中間の方向に設定され、前記一
対の偏光板の他方の偏光板の光学軸は前記一方の偏光板
の光学軸に垂直に設定し、各画素電極に、前記共通電極
の電圧を基準として、フレーム毎に異なった極性の電圧
を印加するように駆動することが望ましい。
【0016】前記液晶は、例えば、DHF液晶、SBF
液晶、反強誘電性液晶のいずれか1つから構成される。
【0017】また、この発明の第2の観点にかかる液晶
表示装置は、画素電極と該画素電極に接続されたアクテ
ィブ素子とがマトリックス状に形成された一方の基板
と、前記画素電極に対向する共通電極が形成された他方
の基板と、前記2つの基板間に配置され、自発分極を
、印加される電圧の変化に応じてダイレクタが連続的
に変化する液晶と、から構成される液晶表示素子と、前
記アクティブ素子を介して前記画素電極と前記共通電極
に接続された駆動回路と、より構成され、各画素の選択
期間内にオンした前記アクティブ素子を介して前記画素
電極と前記共通電極とその間の前記液晶とにより構成さ
れる容量に供給される駆動電流が、前記液晶の配向の変
化に応じて時間と共に極大値を持つように変化する液晶
表示装置において、各画素の面積をS,単位面積当たり
の自発分極をPS、各画素の選択時間をTS、前記駆動
電流の最大値をImaxとすると、前記アクティブ素子は
数3を満たすImax以上の許容電流特性を有することを
特徴とする。
【数7】4・Ps・S/TS≒Imax
【0018】このような構成によれば、自発分極Psが
大きい液晶を使用した場合でも、各画素の充電(液晶の
自発分極を反転するための充電)を選択期間TS内に完
了し、液晶表示素子の高速化を実現できる。
【0019】アクティブ素子は、例えば、数8を満たす
オン抵抗Ronを有する。ここで、Imaxは駆動電流の最
大値、Vmaxは前記駆動回路が前記画素電極と共通電極
間に印加する電圧の最大値をそれぞれ意味する。
【数8】Vmax/Imax≧Ron
【0020】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態にか
かる液晶表示素子を説明する。図1はこの発明の一実施
の形態にかかるアクティブマトリクス型液晶表示素子の
断面構成を示す。図示するように、この液晶表示素子
は、 一対の基板11、12と、基板11と12とを接
合する封止材SCと、基板11と12と封止材SCとの
間に封止された液晶17とから構成される液晶セル18
と、 液晶セル18を挟んで配置された一対の偏光板2
1と22と、から構成されている。
【0021】基板11、12はガラス等の絶縁性透明基
板から構成されている。基板11には、画素電極13と
TFT31とが図2に示すように、マトリクス状に配置
されている。
【0022】画素電極13はITO等の透明導電材料か
ら形成され、例えば、200〜100μm×200〜1
00μm程度の面積Sを有している。TFT31は、基
板11上に形成されたゲート電極34と、ゲート電極3
4を覆って、窒化シリコン(SiN)等から構成された
ゲート絶縁膜35と、ゲート電極34に対向してゲート
絶縁膜35上に形成された半導体層36と、半導体層3
6の一端に接続されたソース電極37と、半導体層36
の他端に接続されたドレイン電極38と、より構成され
る。TFT31は、ゲート電極34にゲートパルスが印
加された時にオンし、そのオン抵抗Ronは、例えば、1
50Ω程度である。
【0023】各TFT31のゲート電極34は対応する
行のゲートラインGLに接続され、ソース電極37は対
応する画素電極13に接続され、ドレイン電極38は対
応する列のデータラインDLに接続されている。各ゲー
トラインGLは行ドライバ41に接続され、各データラ
インDL及び補助容量電極CLは列ドライバ42に接続
されている。行ドライバ41は、各ゲートラインGLに
順次ゲートパルスを印加して、ゲートラインGLを走査
する。列ドライバ42は、表示階調等に対応した絶対値
を有し、極性がフレーム毎に反転する階調パルスを各デ
ータラインDLに印加する。ゲートパルスと階調パルス
の波形については、図5(A)、(B)を参照して後述
する。各画素電極13及びTFT31の上に配向膜15
が配置されている。
【0024】基板12には、画素電極13と対向し、基
準電圧Vcomが印加された共通電極14と、共通電極1
4の上に形成された配向膜16と、が設けられている。
共通電極14はITO等の透明導電材料からなる。
【0025】配向膜15、16は、例えば、ポリイミド
系配向材等の水平配向材で形成されている。配向膜1
5、16の表面には、所定方向にラビング等による配向
処理が施されている。
【0026】液晶17は、単位面積当たりPsの自発分
極を有する液晶であり、反強誘電性液晶(以下、AFL
C)を使用できる。AFLCとしては、印加電圧の変化
に対し連続的に透過率が変化し、明確な閾値を有してい
ないものを使用することが望ましい。
【0027】AFLCからなる液晶17は、その螺旋ピ
ッチが基板間隔より大きいため、螺旋構造を消失した状
態で基板11、12間に封入されている。一方の極性で
かつ絶対値がV1より大きい電圧を液晶17に印加した
時、液晶17は、ほとんど全ての液晶分子の長軸が図3
に一点鎖線で示す第1の方向17Aに向き、全ての液晶
分子の双極子がそろって、強誘電相を示す。他方の極性
でかつ絶対値がV1より大きい電圧を液晶17に印加し
た時、液晶17は、ほとんど全ての液晶分子の長軸が図
3に二点鎖線で示す第2の方向17Bに向き、全ての液
晶分子の双極子がそろって、強誘電相を示す。一方、印
加電圧が0のとき、液晶分子は層毎に第1の方向17A
と第2の方向17Bを交互に向き、双極子も互いに相殺
し合い、反強誘電相を示す。分子長軸の平均的方向(ダ
イレクタ)は、液晶17のスメクティック相の層のほぼ
法線方向、即ち、第1と第2の方向17Aと17Bのほ
ぼ中間の方向17Cとなる。
【0028】偏光板21、22のうち、一方の偏光板、
例えば、上偏光板22の透過軸22Aは、液晶17のス
メクティック相の層の法線方向とほぼ平行に設定されて
いる。下偏光板21の透過軸21Aは、上偏光板22の
透過軸22Aとほぼ直交している。
【0029】図3に示すように偏光板21、22の透過
軸21A,22Aを設定した液晶表示素子は、液晶17
のダイレクタを第1又は第2の方向17A、17Bに向
かせた第1又は第2の配向状態の時に透過率が最も高く
(表示が最も明るく)なり、液晶分子を前記スメクティ
ック相の層の法線方向とほぼ平行な中間方向17Cに配
向させた時に透過率が最も低く(表示が最も暗く)な
る。
【0030】液晶17のダイレクタは、印加電圧の極性
と電圧値(絶対値)に応じて、第1と第2の方向17A
と17Bの間で連続的に変化する。このため、この液晶
表示素子は、図4に示すように、液晶17への印加電圧
を制御することにより、各画素の透過率を連続的に変化
させることが可能である。
【0031】次に、上記構成の液晶表示素子の駆動方法
を図5(A)と(B)を参照して説明する。図5(A)
は、行ドライバ41が各行のゲートラインGLに印加す
るゲートパルスの波形、図5(B)は、列ドライバ42
が各列のTFT31に接続されたデータラインDLに印
加する階調パルスの波形を示す。
【0032】図5(A)、(B)において、TFは1フ
レーム期間、TSは第1行の画素の選択期間、TOは非
選択期間を示す。各選択期間TSは、例えば、約60μ
秒である。この駆動方法においては、図5(B)に示す
ように、各フレームの各選択期間TSに表示階調に応じ
た電圧値を有する1つの駆動電圧(書き込み電圧)VD
(又は−VD)をデータラインDLに印加する。即ち、
1つの表示データ(表示信号)について、1つの階調パ
ルスを印加する。そして、フレーム毎に印加電圧の極性
を反転する。階調パルスの極性及び電圧値は、基準電圧
Vcomに対する極性と電圧である。
【0033】書き込み電圧VD(負極性の場合はその絶
対値)は、最小値をV0とし、最大値Vmaxを透過率の
飽和が起こる電圧(図4(A)ではVsat)よりも若干
低い値として、V0乃至Vmaxの範囲で書き込み電圧V
Dを制御する。この駆動方法によれば、液晶17に印加
される電圧の直流成分は完全に0にはならないが、画像
がフレーム間で急激に変化することはまれであり、実用
上問題は生じない。
【0034】自発分極Psと、上述の画素電極13の面
積Sと、各画素の選択期間TSと、TFT31のオン電
流Ionとは数9を充足するように設定されている。
【数9】4・Ps・S/TS≦Ion
【0035】ここで、各画素の等価回路は、図6に示す
ように、列ドライバ42と、スイッチSWと、TFT3
1のオン抵抗Ronと、液晶容量(画素電極13と共通電
極14とその間の液晶17から構成される容量)CLCの
直列回路になる。この等価回路において、液晶容量CLC
のインピーダンスがTFT31のオン抵抗Ronより十分
に小さいとすると、オン電流Ionは数10で表される。
【数10】Ion=Vmax/Ron
【0036】上記のような波形のゲート信号とデータ信
号とを用いて上記液晶表示素子を駆動すると、各行の選
択期間TSに、書き込み電圧VDがゲートパルスにより
オンしているTFT31を介して画素電極13に印加さ
れ、液晶容量(画素電極13と対向電極14とその間の
液晶17から構成される容量)CLCにオン電流Ionが流
れる。ゲートパルスがオフし、非選択期間TOになる
と、TFT31がオフ状態になり、書き込み電圧VDが
画素電極13と共通電極14とその間の液晶17とで形
成される容量(液晶容量)に保持される。このため、非
選択期間TOの間、その画素の透過率が、液晶容量CLC
の保持電圧に対応する値、即ち、書き込み電圧VDに対
応した値に維持される。
【0037】この実施の形態では、液晶17として印加
電圧の変化に対する透過率が連続的に変化するものを使
用し、しかも、図3に示す光学配置を採用しているの
で、書き込み電圧VDの絶対値に対する透過率が一義的
に定まり、書き込み電圧VDの絶対値により透過率を制
御して、明確な階調表示を実現できる。
【0038】ここで、液晶分子の動きに注目すると、液
晶分子を駆動するために最も電流が必要とされるのは複
数フレームに連続して白を表示する場合である。即ち、
この駆動方法では、白を表示する場合には、液晶分子の
長軸方向を第1の方向17Aと第2の方向17Bにフレ
ーム毎に交互に設定する必要があり、液晶17の配向状
態を変更するために最も大きい電流が必要になる。
【0039】この発明によれば、数9を充足するように
各パラメータが設定されている。従って、各選択期間T
S内に各画素の充電がほぼ完全に行われる。即ち、各液
晶分子の自発分極の方向を反転するために必要な電流の
供給が選択期間TS内に完了し、任意の階調を適切に表
示することができる。また、自発分極Psが大きくなる
のに伴って数9を満たす駆動電流Ionを流す能力を有す
るアクティブ素子を用いることにより、自発分極Psを
大きくして、動作速度を向上させることができる。ま
た、数9を満足する範囲内で、TSを小さくすることに
より、各画素の選択期間を短くし、同一フレーム周波数
ならば画素の行数(ゲートラインGLの数)を増加して
解像度を向上し、同一の画素の行数ならばフレーム周波
数を向上することができる。
【0040】次に、上記構成により、各画素の充電時間
が短くなる理由を詳細に説明する。図3に示すように偏
光板21、22を配置し、図5(B)に示すように液晶
表示素子を駆動する場合、各フレームで白を表示するた
めには、フレーム毎に液晶17の分子の長軸を第1の方
向17Aと第2の方向17Bに交互に配向させる必要が
あり、分子の配向の変化量は最大である。このため、白
を表示する際の駆動電流が最も大きい。
【0041】ここで、画素電極13と共通電極14とそ
の間の液晶17により構成される各液晶容量CLCについ
て考えると、白を表示する場合には、フレーム毎に、図
7(A)と(B)の間で液晶17の自発分極を反転する
必要がある。即ち、液晶17の両表面の分子の自発分極
が液晶容量CLCの保持電荷に影響するため、自発分極P
sによる液晶容量CLCの各電極の電荷は+Q=+Ps・S
と−Q=−Ps・Sとなる。なお、液晶容量CLCの常誘
電項Q’=CVによる電荷も存在するが、自発分極Ps
による電荷Qに比較して非常に小さいため、無視可能で
ある。
【0042】このため、自発分極Psを反転するために
列ドライバ42からTFT31を介して駆動電流として
各画素に供給する必要のある電荷の量ΔQは2・Ps・
Sになる。
【0043】図5(A)に示すゲートパルスにより、T
FT31がオンした場合、各画素電極13には、図5
(B)に示すように、一定の書き込み電圧が印加され
る。しかし、駆動電流は選択期間TSの間一定値の電流
が流れるのではなく、図8に実線、破線、一点鎖線で例
示するように、液晶分子の配向の変化に応じて連続的に
変化する。
【0044】図8に示す駆動電流は図9に示すように二
等辺三角形型の電流で近似することができる。選択期間
TSの間に電荷ΔQ=2・Ps・Sを供給するために
は、二等辺三角形の電流の最大値Imaxは4・Ps・S/
TSになる。従って、TFT31のオン電流Ion(即
ち、駆動電流の最大値Imax)を4・Ps・S/TSより
大きくすることにより、選択期間TS内に液晶容量CLC
の充電を完了し、自発分極を完全に反転することができ
る。従って、複数フレームで繰り返して白を表示する場
合でも、適切に白を表示することができる。
【0045】例えば、液晶17の単位面積当たりの自発
分極Psを150nC/cm2、選択期間TSを60μm、各
画素の面積Sを1cm×1cmとするとオン電流Ionは
次式で表される。 Ion=4・Ps・S/TSは、4・150・10-9/6
0・10-6[c/s]=10-2[c/s] ここで、書き込み電圧の最大値Vmaxを10Vとする
と、Ronは10/10-2=1[kΩ]となる。
【0046】図10に書き込み電圧の最大値Vmaxと、
選択期間TSと、オン抵抗Ronとの関係を示す。この例
はPs=150nC/cm2、S=1cm2とした場合に得られ
たものである。一般に、画素の面積Sを1cm2に換算し
た場合のTFTのオン抵抗Ronは、半導体層36がアモ
ルファスシリコンから構成されたアモルファスTFTで
2.5KΩ〜4.5KΩ程度であり、半導体層36が多
結晶シリコンから構成されたポリシリコンTFTで0.
1KΩ〜1KΩ程度である。ここで、各画素の実際の面
積をScm2、個々のTFT31のオン抵抗をRとする
と、画素面積Sを1cm2に換算した場合のTFTのオン
抵抗Ronは、抵抗Rを1/Sだけ並列接続した値、即
ち、ほぼR/Sとなる。
【0047】なお、オン電流Ionは、(1)半導体層3
6に不純物を添加すること、(2)チャネル長を短くし
及び/又はチャネル幅を広くすること、(3)ゲート絶
縁膜35を薄くすること、(4)書き込み電圧VDを大
きくすること、等により増加させることができる。従っ
て、必要なオン電流Ionが得られるように、書き込み電
圧とオン抵抗Ronを設定する。
【0048】以上の説明では、自発分極を有する液晶1
7としてAFLCを用いたが、強誘電性液晶であるDH
F液晶やSBF液晶を使用してもよい。これらの液晶を
使用する場合も、偏光板21、22の光学軸は、例えば
図3に示すように、カイラルスメクティック相の法線方
向を基準に設定される。
【0049】また、図5では、液晶表示素子の駆動方法
として、1つの表示データに1つの駆動パルスを液晶1
7に印加する例を示したが、1つの表示データに対応し
て極性の異なる2つの駆動パルスを連続する2つのフレ
ームで液晶17に印加するようにしてもよい。この駆動
方法によれば、印加電圧の極性に応じて液晶17の光学
特性に差がある場合でも、その特性が平均化され、フリ
ッカ等の少ない高い品質の画像を表示できる。
【0050】なお、カイラルスメクティック相の層の法
線方向に偏光板22の透過軸22Aを一致させ、他方の
偏光板21の透過軸21Aを透過軸22Aに直交させる
ように設定してもよい。また、偏光板21と22の透過
軸21Aと22Aを平行に設定してもよい。また、TF
T31をMIM等の他のアクティブ素子に置換してもよ
い。また、この発明は、透過型液晶表示素子に限らず、
反射型液晶表示素子にも適用可能である。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、自発分極を有する液晶を用いた液晶表示素子におい
て、液晶容量を各選択期間内に充電を完了することがで
き、素子の動作速度を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかる液晶表示素子の
構造を示す断面図である。
【図2】図1に示す液晶表示素子の下基板の構成を示す
平面図である。
【図3】上下偏光板の透過軸の方向と液晶分子の配向方
向を示す平面図である。
【図4】印加電圧と透過率の関係を示すグラフである。
【図5】液晶表示素子の駆動方法を説明するための波形
図であり、(A)はゲートパルスの波形図であり、
(B)は書き込み電圧の波形を示す図である。
【図6】各画素の等価回路を示す図である。
【図7】液晶表示素子の各画素に保持される電荷と自発
分極の関係を示す図である。
【図8】画素に供給されるオン電流の波形図である。
【図9】図8に示すオン電流を近似する二等辺三角形型
の電流の波形図である。
【図10】書き込み電圧と選択時間とオン抵抗との関係
の例を示すグラフである。
【符号の説明】
11・・・基板、12・・・基板、13・・・画素電極、14・・・
共通電極、15・・・配向膜、16・・・配向膜、17・・・液
晶、18・・・液晶セル、21・・・偏光板、22・・・偏光
板、31・・・TFT、34・・・ゲート電極、35・・・ゲー
ト絶縁膜、36・・・半導体層、37・・・ソース電極、38
・・・ドレイン電極、41・・・行ドライバ、42・・・列ドラ
イバ、DL・・・データライン、GL・・・ゲートライン、C
L・・・補助容量電極

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】画素電極と該画素電極に接続されたアクテ
    ィブ素子とがマトリックス状に形成された一方の基板
    と、前記画素電極に対向する共通電極が形成された他方
    の基板と、前記2つの基板間に配置され、自発分極を有
    し、且つ印加される電圧の変化に応じてダイレクタが連
    続的に変化する液晶と、から構成される液晶表示素子
    と、 前記アクティブ素子を介して前記画素電極と前記共通電
    極に接続された駆動回路と、より構成され、各画素の選
    択期間内にオンした前記アクティブ素子を介して前記画
    素電極と前記共通電極とその間の前記液晶とにより構成
    される容量に供給される駆動電流が、前記液晶の配向の
    変化に応じて時間と共に極大値を持つように変化する液
    晶表示装置において、 各画素の面積をS,単位面積当たりの自発分極をPS、
    各画素の選択時間をTS、前記駆動電流の最大値をIma
    xとすると、前記アクティブ素子は流れる電流の時間的
    変化に近似する電流特性に基づく数3を満たすImax以
    上の許容電流特性を有することを特徴とする液晶表示装
    置。 【数3】4・Ps・S/TS≒Imax
  2. 【請求項2】前記容量に供給される駆動電流の最大値を
    Imaxとし、前記駆動回路が前記画素電極と共通電極間
    に印加する電圧の最大値をVmaxとするとき、前記アク
    ティブ素子は、数4を満たすオン抵抗Ronを有すること
    を特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。 【数4】Vmax/Imax≧Ron
  3. 【請求項3】前記第1と第2の基板を挟んで配置された
    一対の偏光板を備え、 前記液晶は、第1の極性で第1の値V1以上の電圧を印
    加したときに、その液晶分子がほぼ第1の方向に配向
    し、第2の極性で第1の値V1以上の電圧を印加したと
    きに、その液晶分子がほぼ第2の方向に配向し、 前記一対の偏光板の一方の光学軸は前記第1の方向と前
    記第2の方向の中間の方向に設定され、前記一対の偏光
    板の他方の偏光板の光学軸は前記一方の偏光板の光学軸
    に垂直に設定されている、 ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】前記駆動回路は各画素電極に、前記共通電
    極の電圧を基準として、フレーム毎に異なった極性の電
    圧を印加する、 ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】前記液晶は、反強誘電性液晶、DHF液
    晶、SBF液晶のいずれか1つから構成されていること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の液
    晶表示素子。
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