JP2003096916A - 建築金物 - Google Patents

建築金物

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隆二 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多数の固定具用孔があって汎用性が高く、使
用していない固定具用孔が塞がれたままで残る建築金物
の提供。 【解決手段】 建築金物の取付け部に設けた釘、ビスな
どの固定具用孔を、この金物の汎用性を考慮して多数設
けておき、これらを金物の表面に貼着するシートなど出
塞いでおく。使用時は必要がなくて使用しなかった固定
具用孔を塞がれた状態のまま残す。使用していない固定
具用孔が目立たず、釘孔が開けてあるのに打っていない
などの誤解を払拭することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ひら金物、かど
金物、筋交いプレート、ホールダウン金物等の建築金物
に関する。
【0002】
【従来の技術】木造住宅の構造材接合個所には、多種の
建築金物が用いられる。建築金物は、接合態様に応じた
形態を備え、取付け部を釘、ビス等の固定具で柱などに
固定する。この場合、取付け部には固定具用孔が形成し
てあり、釘、ビスなどの固定具はこの孔を利用して打ち
込まれる。ところで、建築金物を目標耐力で固定するに
は、適切な金物を選択することは勿論のこと、使用する
固定具の本数及びその配置(打ち込む位置)が適切でな
ければならない。一方、固定具の適切な本数や配置は、
接合しようとする部材(柱、筋交いなど)の寸法や角
度、要求される耐力等によって種々な選択がある。この
ため、それぞれの場合に専用の建築金物を個別に用意す
ると、その種類が非常に多くなり、現場で煩わしいばか
りでなく、製品としてコスト高になる。
【0003】そこで、同種の建築金物では、数種の寸法
や角度あるいは目標耐力に兼用できるように、選択によ
って、いずれの場合にも適合する固定具用孔を予め形成
して汎用性を高めている。このような汎用化は釘打ちの
場合とビス止めの場合を兼用するように固定具の違いに
も対応させることがある。例えば、図1は桁1a,1b
を小短冊金物2で釘打ちにより結合したものであり(釘
3)、図2は大梁4a,4bを大短冊金物5で釘打ちに
より結合したものである。桁1a,1bの結合に対して
大梁4a,4bの結合に必要とする耐力は大きいので、
大短冊金物5は長く、使用する釘(スクリュー釘3)の
本数も大きい。しかし、多少の無駄を覚悟であれば、図
3のように大梁4a,4bの結合に用いる大短冊金物5
は桁1a,1bの結合にも用いることができる。なお、
図3において符号6は固定具用孔である。
【0004】また、図4、5のコーナープレート7、8
は主として土台と柱の下端部を結合するものであり、同
じ耐力を発揮できるように設計してあるが、コーナープ
レート7は釘打ち用で、固定具用孔6が6個であるのに
対して、コーナープレート8はビス止め用であるために
固定具用孔6を9個有している。そして、釘打ち用とビ
ス止め用とで固定具用孔6の大きさをほぼ同じにし、ま
た、ビス止め用の孔の配置に釘打ち用の孔の配置を重合
させても、強度上、支障はないと考えられるので、ビス
止め用のコーナープレート8は釘打ち用のコーナープレ
ート7を兼用することができる。なお、図5では、ビス
止め用のコーナープレート8を釘打ちで使用する態様を
示しており、スクリュー釘3を差し込んだ状態としてあ
る。
【0005】しかし、このような建築金物を利用する
と、当然のことではあるが、利用する必要のない固定具
用孔6が、釘やビスなどの固定具を打たれないままに残
る事態が生じる(図3)。この状況は見る者に、作業を
急ぐあまり手抜きをしたような印象を与えることがあ
る。建物の構造・強度上では何ら問題がなく、また、完
成した建物では外装、内装の仕上げ材に隠れて建築金物
は見えず、外観上からも何ら問題がないにしても、建築
途中に施主が訪れて不必要な心配をかけたり、通りがか
りの人の目について施工者の評判が不当に傷つくことは
好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、利用しな
い固定具用孔が存在しても目立つことが少ない建築金物
の提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】取付け部に一部又は全て
を選択的に利用する複数の固定具用孔を備えた建築金物
とする。これら固定具用孔は予め塞いである。しかし、
必要があれば塞がれた状態を破って固定具を打ち込むこ
とができる。取付け部は建築金物を釘などの固定具で柱
などの部材へ固定する部分である。また、複数の固定具
用孔は、この建築金物を適用できる部材の寸法や角度あ
るいは耐力に適合するようにそれぞれの場合に応じた数
と配置を網羅的に組み合わせてある。
【0008】固定具用孔を予め塞ぐ手段はさまざまであ
る。例を上げると、建築金物に形成する金属素材にドリ
ルなどで固定具用孔を形成するとき、裏面(柱など建築
金物を取付ける部材と接する面)から表面側へ加工し、
表面がわに固定具で打ち抜きが容易な薄肉部を残す方
法、このような薄肉部をプレスで一挙に形成する方法、
あるいは、固定具用孔を貫通孔として形成した後、金属
素材の表面側にフィルムや金属箔を貼着するとか、塗布
後に柔軟性のある被膜を形成する塗料を塗るなどの手段
で皮膜を形成する方法、あるいは、固定具用孔を貫通孔
として形成した後、金属素材と同様な色彩の樹脂を充填
する方法などである。充填にはどぶ漬けや摺り込みがあ
るが、いずれにしても、固定具を打ち込むことで容易に
塞がれた状態を破れるものとする。
【0009】固定具用孔は選択して利用するが、選択に
便利なように、塞がれた状態にある固定具用孔の位置を
示す何らかの目印を付けておくことがある。目印は積極
的に付ける場合と消極的に形成される場合がある。皮膜
を形成することで塞がれた状態とするものでは、皮膜形
成時に皮膜の収縮などで固定具用孔の部分がわずかに凹
んで目印となり、消極的に皮膜が形成される。
【0010】
【発明の実施の形態】図6は、第1の実施形態を示し、
大短冊金物である。大短冊金物9は、金物本体10とそ
の表面に貼着した塩化ビニルのシート11(皮膜)とか
らなる。図は、シート11を一部引き剥がした状態で示
している。金物本体10は金属素材としての鋼板を長方
形に切取り、両端部に分けて8個ずつ16個の固定具用
孔12を打ち抜いて形成してある。固定具用孔12は釘
打ちまたはビス止めに兼用である。
【0011】シート11は延伸させた状態で金物本体1
0の上面に被せ、80℃位に短時間加熱して熱収縮させ
て貼着する。この際、適宜な接着剤を用いると剥がれ落
ちることが少ない。シート11は、黒色やシルバーなど
不透明で、貼着すると金物本体10に形成してある固定
具用孔12の見えないものが好ましい。大短冊金物9は
シート11を貼着した状態で製品となり、家屋軸組み工
程中の建築現場に運ばれる。現場では、シート11の上
からそのまま釘打ちを行なう。シート11は柔らかく、
簡単に貫通するから、何らの困難もない。このとき、金
物本体10に形成してある固定具用孔12の位置は、シ
ートが固定具用孔12の個所でわずかに凹んでいる(凹
部13)ことにより、簡単に判別することができる(図
7)。必要があれば、図6に示すように、固定具用孔1
2の位置に対応させ、簡単で目立たない目印14を付し
ておいても良い。
【0012】釘打ちは、16個ある固定具用孔12のな
かから適切なものを選択して行なう。多くの場合、この
大短冊金物9の梱包中に必要とする耐力に応じて選択す
べき固定具用孔12の数と配置が示されており、それに
従うこととなる。例えば、この大短冊金物9を桁1a,
1bの結合に用いる場合は、長手方向中央部の8個の固
定具用孔12を選択して釘打ちを行なう。そして、使用
しない固定具用孔12はそのままシート11により塞が
れた状態のまま残しておく。
【0013】この結果、大短冊金物9を小短冊金物2に
兼用しても、兼用することにより残る不要な固定具用孔
12はシート11で塞がれた状態で残っていて目立た
ず、打ち残したとか、釘打ちを間引いている等の不当な
印象を払拭することができる。また、表面に弾性のある
シート11が存在することで梱包時や搬送時に金属どう
しが擦れ合う騒音を防止したり、水まわりなど湿度の高
い個所に近接して使用されても発錆しにくいという副次
的な効果もある。
【0014】図8は、大短冊金物9に関する他の実施形
態であり、金物本体10だけからなり、固定具用孔12
の構造に特徴がある。すなわち、固定具用孔12は、ド
リル、プレスなどで裏面側から表面へ形成するときに、
金属素材を貫通させず、表面部分を薄く残して薄肉部1
5を形成する。薄肉部15は、釘打ち、ビス止めで容易
に破壊できる0.5mm以下としてある。この実施形態
では固定具用孔12を塞いでいるのが、もともとの金属
素材が残された薄肉部15なので、固定具用孔12が全
く目立たない。また、シート材など鋼板以外の素材を用
いる必要がない。
【0015】図9は、大短冊金物9に関する第3の実施
形態を示し、固定具用孔12を塞ぐ構造に特徴を有す
る。すなわち、固定具用孔12を貫通形成した金物本体
10を塗料にどぶ漬けして引き上げることにより、金物
本体10の表面を塗料で被覆すると共に固定具用孔12
に充満した塗料を乾燥させて固定具用孔12を塞ぐ充填
物とする。この充填物は固定具が容易に貫通可能であ
る。この実施形態は、固定具用孔12を塞ぐ工程が簡単
で安価に製造することができ、また、金物本体10に対
する防錆効果も高い。なお、図は模式的であって、塗膜
などを強調して記載している。
【0016】以上、実施形態を説明したが、皮膜とする
シート11は塩化ビニルに限らず塗料も含め多種の合成
樹脂を採用することができる。固定具用孔12を塞ぐ手
段としては、金物本体10に貫通形成した固定具用孔1
2に詰め込む蓋を別途用意しておき、本体金物10を固
定した後に、選択しなかった固定具用孔12へ蓋を詰め
込んで塞ぐこともできる。また、前記のどぶ漬けに替え
て固定具用孔12へ樹脂組成物を摺り込む方法も採用す
ることができる。この発明を適用できる建築金物は短冊
金物やコーナー金物に限らない。なお、釘打ちを中心に
説明したが、ビス止めやボルト止めの場合も同様であ
る。
【0017】
【発明の効果】固定具用孔を多数設けて汎用性を高めた
建築用金物において、必要がなくて使用しなかった固定
具用孔が、塞がれた状態のまま残るので、残った孔が目
立たず、手抜き工事だなどとの誤解を払拭することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例を説明するための斜視図(小短冊金物)
【図2】従来例を説明するための斜視図(大短冊金物)
【図3】従来例を説明するための斜視図(兼用状態)
【図4】従来例を説明するための斜視図(釘打ちコーナ
ー金物)
【図5】従来例を説明するための斜視図(ビス止めコー
ナー金物)
【図6】第1の実施形態を示す斜視図
【図7】図6におけるX−X線に沿った断面図
【図8】第2の実施形態を示す断面図
【図9】第3の実施形態を示す断面図
【符号の説明】
1a、1b 桁 2 小短冊金物 3 釘 4a、4b 大梁 5 大短冊金物(従来例の説明中) 6 固定具用孔(従来例の説明中) 7 釘打ち用コーナープレート 8 ビス止め用コーナープレート 9 大短冊金物 10 金物本体 11 シート 12 固定具用孔 13 凹部 14 目印 15 薄肉部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金井 宏樹 東京都足立区花畑四丁目24番地5号 株式 会社カナイ内 Fターム(参考) 2E125 AA13 AA33 AA42 AB12 AC23 AG20 BB03 BB11 BB22 BD01 BE01 BF01 EA31 EA32 3J039 AA01 BB03 GA02 GA04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取付け部に一部又は全てを選択的に利用
    する複数の固定具用孔を有し、これら固定具用孔は塞が
    れた状態とされており、利用しない固定具用孔が塞がれ
    た状態で残ることを特徴とした建築金物。
  2. 【請求項2】 固定具用孔を形成するときに、固定具に
    より打ち抜き容易な薄肉部を金物素材の表面側に残すこ
    とにより固定具用孔を塞がれた状態としてあることを特
    徴とした請求項1に記載の建築金物。
  3. 【請求項3】 金物素材を貫通する固定具用孔を形成し
    た後、金物素材の表面に皮膜を形成することにより固定
    具用孔を塞がれた状態としてあることを特徴とした請求
    項1に記載の建築金物。
  4. 【請求項4】 固定具用孔に固定具が貫通可能な充填物
    を充填することにより固定具用孔を塞がれた状態として
    あることを特徴とした請求項1に記載の建築金物。
  5. 【請求項5】 固定具用孔の位置を示す目印を表示して
    あることを特徴とした請求項1〜4のいずれか1つに記
    載の建築金物。
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