JP2003095924A - 熱ゲル化人工涙液 - Google Patents

熱ゲル化人工涙液

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JP2003095924A JP2002203683A JP2002203683A JP2003095924A JP 2003095924 A JP2003095924 A JP 2003095924A JP 2002203683 A JP2002203683 A JP 2002203683A JP 2002203683 A JP2002203683 A JP 2002203683A JP 2003095924 A JP2003095924 A JP 2003095924A
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Shuichi Suzuki
秀一 鈴木
Yukinori Ota
行則 太田
Masashi Takeuchi
正史 武内
Haruhisa Hirata
晴久 平田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】眼表面に涙液を増大させ、且つ、涙液油層を保
護する人工涙液を提供する。 【解決手段】(a)メチルセルロース及び、(b)ポリエチレ
ングリコール、クエン酸及びその薬学的に許容される塩
からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む熱ゲル化
人工涙液。さらに、コンドロイチン硫酸もしくはその薬
学的に許容される塩を含有する熱ゲル化人工涙液。熱ゲ
ル化人工涙液を点眼したとき、人工涙液が体温でゲル化
することにより涙液量を増大させ、且つ、涙液油層を保
護することを特徴とする熱ゲル化人工涙液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱ゲル化人工涙液に
関する。さらに詳しくは、ドライアイなどの治療のため
に用いられる熱ゲル化人工涙液に関する。
【0002】
【従来の技術】涙液は眼球表面上に広がり、眼球表面の
水分を保持し、潤滑させる。このような涙液の供給が低
下すると目の水分が脱水し、不快となるドライアイ症状
を示す。このドライアイ治療を目的とする組成物が市販
されている。これらの組成物は、涙液を補う水性物質で
ある。
【0003】ドライアイの最も一般的な治療としては、眼表
面に多量の水分を添加するという人工涙液の局所適用に
よりドライアイ症状を一時的に緩和することが挙げられ
る。一般的な人工涙液としては、無機塩類を添加した水
性点眼剤が挙げられる。しかしながら、このような水性
点眼剤は点眼後速やかに眼表面から排出されるため、眼
表面の水分を維持するためには頻繁に人工涙液を点眼し
なければならず、ドライアイの患者にとっては非常に苦
痛である。
【0004】このような人工涙液の眼表面からの排出遅延
と、さらに大量の水分を補給することを目的として水溶
性ポリマーを配合した人工涙液が市販されている。この
ような水溶性ポリマーの例としては、ポリビニルアルコ
ール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカル
ボキシメチルセルロースが挙げられる。このような水溶
性ポリマーの配合により、人工涙液の眼表面からの排出
は若干遅延したが、まだ充分ではなく、さらなる人工涙
液の眼表面上での滞留性が求められている。
【0005】点眼剤の眼表面からの排出を遅延させる製剤の
一つとしてゲル状点眼剤が考案されている。しかしなが
ら、このようなゲル状点眼剤は粘性が高く投与するのが
困難であるばかりか、点眼後不快な感触があり、投与時
に苦痛を伴うことが知られている。
【0006】ゲル状点眼剤のこのような欠点を克服するため
に、最近ゲル点眼剤の中でも特に眼表面上のトリガーに
応答して、眼表面上で組成物がゾル状態からゲル状態に
相転移する点眼剤がいくつか開示されている。米国特許
第4188373号にはプルロニック(商品名PLURONIC)の水
性組成物が熱によってゲル化し、プルロニックの濃度を
調整することによって希望のゾルーゲル転移温度が得ら
れる熱ゲル化水性医薬組成物が開示されている。特公平
6-67853には涙液のイオン強度増加効果をトリガーにし
たゾル−ゲル相転移を示す組成物が開示されている。特
許2729859号では、薬理的治療または診断に用いられる
有効量の薬剤を含有する可逆性熱ゲル化水性医薬組成物
であって、メチルセルロース(メトキシル基の含有率が
26〜33%の範囲であるもの)0.2〜2W/V%、クエン酸1.2〜
2.3W/V%及びポリエチレングリコール0.5〜13W/V%と組成
物のpHを3〜10の範囲に調整するために十分な量の医薬
的に容認し得るpH調整剤を含有することを特徴とする組
成物について開示している。ところで、眼表面には水分
蒸発を防ぐため、油層が存在する。この油層が何らかの
原因で乱れると眼表面から水分が消失しドライアイの原
因となることが知られている。この油層を保護するため
の技術として、米国特許第4,914,088号の発明では、帯
電したリン脂質を目に投与すると、眼球表面に分散し脂
質層に相当する膜を形成し、油層を保護することが提案
されている。また、特開平7-2647には、炭化水素油と膜
形成蝋をゲル化させることにより形成されたゲル化油
を、好ましくは水中油型エマルションの状態で、眼に投
与する方法が提案されている。しかしながら、既存の人
工涙液では涙液油層を保護する作用がなく、また既存の
涙液油層を保護する技術では涙液増大作用がないなど、
未だ改良の余地が多く残されているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の現状
に鑑み、眼表面の涙液を増大させ、且つ、角膜表面上に
ある涙液油層を保護することができる人工涙液を提供す
ることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは眼表面の涙
液を増大させ、且つ、涙液油層を保護する人工涙液の開
発に向けて鋭意検討した。その結果、(a)メチルセルロ
ース及び、(b)ポリエチレングリコール、クエン酸及
びその薬学的に許容される塩からなる群より選ばれる少
なくとも1種を含む熱ゲル化人工涙液(以下人工涙液と
呼ぶ)を眼に点眼した場合、眼表面の熱によりゲルを形
成し、長時間眼表面で滞留し、且つ、眼表面上にゲル状
の膜を長時間にわたり形成するため、涙液を増大させ、
且つ涙液油層を保護することが明らかとなった。また、
本発明の人工涙液は点眼時には液体状態であるため、初
めからゲル状製剤を投与する場合に比較して、投与しや
すく点眼時の不快感も大幅に減少させることが可能にな
った。また、コンドロイチン硫酸もしくはその薬学的に
許容される塩を上記人工涙液に配合することで、ゲル化
する温度が低下することも見出した。コンドロイチン硫
酸もしくはその塩が熱ゲル化製剤のゲル化温度を低下さ
せることは今まで全く知られていない。これらの配合に
より、より眼表面でゲルを形成しやすくなり、涙液を増
大させる効果、且つ涙液油層の保護効果をより一層高め
ることが可能になったことより、コンドロイチン硫酸も
しくはその薬学的に許容される塩からなる群より選ばれ
た少なくとも1種を含有する人工涙液も本発明に含まれ
る。
【0009】すなわち本発明は(a)メチルセルロース及び、
(b)ポリエチレングリコール、クエン酸及びその薬学的
に許容される塩からなる群より選ばれる少なくとも1種
を含む人工涙液、並びにさらにコンドロイチン硫酸もし
くはその薬学的に許容される塩からなる群より選ばれた
少なくとも1種を含む人工涙液である。また本発明の人
工涙液を点眼したとき、人工涙液が眼表面の温度でゲル
化することにより涙液量を増大させ、且つ、涙液油層を
保護することができる。また、本発明の人工涙液は各成
分の配合によって人工涙液の熱ゲル化温度を眼表面の温
度に調整することが可能である。これにより、点眼時に
眼表面でゲルを形成しやすくなり、涙液の増大と涙液油
層の保護効果を高めることができる。また、本発明の人
工涙液は点眼時には液体であるため、初めからゲル状製
剤を投与する場合に比較して、投与しやすく点眼時の不
快感も大幅に減少させることが可能である。
【0010】
【発明の実施形態】本発明に用いられるメチルセルロー
ス(以下、MCと略称する)は特に限定されず、いずれの
MCでも単独または混合して使用することができるが、2W
/V%水溶液の20℃における粘度が3〜12000ミリパスカル
・秒の範囲のものが好ましい。メトキシル基の含有率は
水に対する溶解性の観点から26〜33%の範囲が好まし
い。さらにMCはその水溶液の粘度により区別され、例え
ば、市販品の品種には表示粘度4、15、25、100、400、1
500、8000(数字は 2W/V%水溶液の20℃粘度のミリパス
カル・秒)のものがあり、容易に入手可能である。特に
表示粘度4のMCが眼表面で良好にゲル化し、且つ、調製
した眼科用剤の粘度が小さく、使用しやすいため好まし
い。MCの概要、規格、用途、使用量及び商品名などにつ
いては医薬品添加物事典(日本医薬品添加物協会編集、
薬事日報社発行)に詳細に記載されている。
【0011】本発明に用いられるポリエチレングリコール
(以下、PEGと略称する)は特に制限は無いが、重量平
均分子量は300〜50000が好ましく、1000〜20000が特に
好ましい。重量平均分子量が300以上の場合には眼表面
の温度による液体-ゲル相転移を起こしやすく、重量平
均分子量が50000以下の場合には液体状態での粘度が高
くなりすぎないため好ましい。また、2種以上のPEGを混
合して重量平均分子量を上記の至適範囲内に調整するこ
とも可能である。例えばPEG-200、-300、-600、-1000、
-1540、-2000、-4000、-6000、-20000、-50000、-50000
0、-2000000及び-4000000の商品名で和光純薬工業
(株)から、またマクロゴール-200、-300、-400、-60
0、-1000、-1540、-4000、-6000、-20000の商品名で日
本油脂(株)から販売されている。PEGの概要、規格、
用途、使用量及び商品名などについては医薬品添加物事
典(日本医薬品添加物協会編集、薬事日報社発行)に詳
細に記載されている。
【0012】本発明の人工涙液に用いられるクエン酸の薬学
的に許容し得る塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩
などを例示できる。
【0013】本発明の人工涙液に用いられるコンドロイチン
硫酸の薬学的に許容し得る塩としては、ナトリウム塩、
カリウム塩などを例示できる。
【0014】本発明の人工涙液の実施態様として、MCにPEG
及びクエン酸を添加する場合、以下の濃度範囲が以下の
理由により好ましい範囲である。MCの使用濃度は0.2〜
9.0W/V%であることが好ましい。MCの濃度が0.2W/V%以上
の場合、眼表面の温度でゲル化しやすいので好ましい。
また、MCの濃度が9.0W/V%以下の場合、粘度が取り扱い
やすい範囲に調整できるため好ましい。より好ましくは
0.5W/V%以上、さらに好ましくは1.0W/V%以上である。ま
た、より好ましくは8.0W/V%以下、さらに好ましくは7.0
W/V%以下である。特に本発明の人工涙液がMCとコンドロ
イチン硫酸のほか、ポリエチレングリコール、並びにク
エン酸及び/又はその薬学的に許容される塩を含有する
場合、メチルセルロースの配合量は、1.0W/V%以上が好
ましく、5.0W/V%以下が好ましく、さらに4.0W/V%以下が
好ましい。
【0015】PEGの好ましい使用濃度は通常0.1〜13.0W/V%で
ある。PEGの濃度が0.1W/V%以上の場合は眼表面の温度に
よる液体-ゲル相転移を起こしやすく、13.0W/V%以下の
場合は基剤の粘度が取り扱いやすい範囲にあるので好ま
しい。クエン酸及びその塩の好ましい使用濃度は通常0.
1〜4.0W/V%である。クエン酸の濃度が0.1W/V%以上の場
合、眼表面の温度による液体-ゲル相転移を起こしやす
いので好ましい。また、4.0W/V%以下の場合、眼刺激が
小さいので好ましい。より好ましくは1.0W/V%以上であ
る。また、より好ましくは2.3W/V%以下である。
【0016】コンドロイチン硫酸の好ましい使用濃度は0.01
〜10W/V%である。コンドロイチン硫酸の濃度が0.01〜10
W/V%の範囲内では、人工涙液のゲルか温度を眼表面の温
度付近に調整することが容易になるため好ましい。より
好ましくは0.1W/V%以上、さらに好ましくは0.3W/V%以上
である。またより好ましくは2.0W/V%以下、さらに好ま
しくは1.0W/V%以下である。特に本発明の人工涙液がM
C、クエン酸及び/又はその薬学的に許容される塩、並び
にPEGのほかにコンドロイチン硫酸を含有する場合、、
コンドロイチン硫酸の使用濃度は0.1W/V%以上が好まし
く、1.0W/V%以下が好ましい。本発明の人工涙液は、室
温またはそれ以下では液体であり、ヒト等の哺乳類の眼
表面でゲル化することが所望されることから、本発明の
人工涙液のゲル化温度(液体-ゲル相転移を起こす温
度)は16〜40℃であることが好ましい。より好ましくは
20℃以上であり、さらに好ましくは25℃以上である。ま
た、より好ましくは36℃以下であり、さらに好ましくは
34℃以下である。
【0017】本発明の人工涙液にはドライアイに対する有効
成分として、上記したコンドロイチン硫酸ナトリウムの
他に、ブドウ糖などの糖類、L-アスパラギン酸もしくは
その薬学的に許容される塩やアミノエチルスルホン酸等
のアミノ酸類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロ
リドン、ヒドロキシエチルセルロース等の高分子化合物
を配合しても良い。これら有効成分の配合量は期待され
る薬効が得られる濃度であれば特に制限はない。
【0018】本発明の人工涙液は通常pH3〜10に調整され、
特に眼刺激の点よりpH5〜8で調整されることが好まし
い。本発明の人工涙液のpHを調整するために、通常添加
される種々のpH調整剤が使用される。酸類としては、例
えば、アスコルビン酸、塩酸、グルコン酸、酢酸、乳
酸、ホウ酸、リン酸、硫酸、クエン酸などが挙げられ
る。塩基類としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化
カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミンなどが挙げられる。その他のpH調整剤とし
て、グリシン、ヒスチジン、イプシロンアミノカプロン
酸などのアミノ酸類なども挙げられる。
【0019】本発明の人工涙液を調製するにあたって、薬学
的に許容し得る等張化剤、可溶化剤、保存剤及び防腐剤
などを必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で
本発明の人工涙液に添加することができる。等張化剤と
してはキシリトール、マンニトール、ブドウ糖等の糖
類、プロピレングリコール、グリセリン、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウムなどが挙げられる。可溶化剤として
は、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ
油及びシクロデキストリンが挙げられる。保存剤として
は塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及びグル
コン酸クロルヘキシジンなどの逆性石鹸類、パラヒドロ
キシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピ
ル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル等のパラベン類、ク
ロロブタノール、フェニルエチルアルコール及びベンジ
ルアルコールなどのアルコール類、デヒドロ酢酸ナトリ
ウム、ソルビン酸及びソルビン酸カリウムなどの有機酸
及びその塩類が使用できる。また、その他の添加剤とし
てヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリド
ン、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、ジ
エチレングリコールもしくはポリアクリル酸ナトリウム
等の増粘剤、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)及びそれ
らの薬学的に許容される塩、トコフエロール及びその誘
導体、亜硫酸ナトリウムなどの安定化剤が挙げられる。
【0020】本発明の人工涙液の製法を例示する。MCと、必
要に応じてPEGを70℃以上の熱水に分散させ、氷冷す
る。ここに必要に応じてクエン酸ナトリウム、コンドロ
イチン硫酸ナトリウム、NaCl、その他の有効成分、添加
剤などを添加溶解し良く混合する。pHを調整し、滅菌精
製水でメスアップし本発明の人工涙液を調製する。調製
した本発明の人工涙液をメンブランフィルターによるろ
過滅菌後、プラスチック製点眼ボトルに充填する。
【0021】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】実施例1 メチルセルロース(信越化学工業(株)製、メトローズ
(登録商標)SM-4)およびPEG4000(マクロゴール400
0、日本油脂(株)製)を所定量混合し、ここに85℃に
加熱した滅菌精製水を添加し、攪拌することで分散させ
た。均一に分散したことを確認後、攪拌しながら氷冷し
た。全体が澄明になったことを確認し、クエン酸ナトリ
ウム、コンドロイチン硫酸ナトリウムもしくはNaClを所
定量徐々に添加し、溶解後均一に混合した。さらに、1N
のNaOHもしくは1NのHClでpHを7.0に調整後、滅菌精製水
で所定の容量にし、本発明の人工涙液を調製した。次
に、調製した本発明の人工涙液の温度と粘度の関係を検
討した。本発明の人工涙液の粘度測定は次のように行っ
た。調製した本発明の人工涙液をB型粘度計用のステン
レス製容器に入れ、所定の温度に保持した水槽に容器ご
と5分間静置した。静置後直ちに、B型粘度計を用いて粘
度を測定した。各温度における人工涙液の粘度を測定
し、ゲル化温度を求めた。表-1に調製した製剤の処方と
ゲル化温度を示した。
【0023】
【表1】
【0024】何れの処方でも体温付近で本発明の人工涙液は
ゲル化することが示された。特に、コンドロイチン硫酸
ナトリウムを添加した処方はゲル化温度が低く眼球表面
温度でゲル化しうることが示された。
【0025】試験例1 0.7gのメチルセルロース(SM-15)、0.7gのメチルセル
ロース(SM-400)および2.0gのPEG4000を混合し、ここ
に85℃に加熱した滅菌精製水を添加し、攪拌することで
分散させた。均一に分散したことを確認後、攪拌しなが
ら氷冷した。全体が澄明になったことを確認し、3.53g
のクエン酸ナトリウムを徐々に添加し、溶解後均一に混
合した。さらに、1NのHClでpHを7.8に調整後、滅菌精製
水で100mLにし、本発明の人工涙液を調製した。この人
工涙液のゲル化温度は32℃であった。比較用人工涙液と
して、4.0gのD-マンニトール(東和化成工業(株))を90
℃の滅菌精製水70mLに溶解した。ここに0.6gのジェラン
ガム(Gelrite(R)、和光純薬工業(株))を添加し、90
℃で20分間攪拌分散した。その後室温まで放冷し、ここ
に滅菌精製水を添加し全量を100mLにした。健常人ボラ
ンティアの片眼に本発明の人工涙液を50μL点眼、対測
眼に比較用の人工涙液を50μL点眼した。それぞれの人
工涙液を点眼後の涙液油層の状態を涙液油層観察装置
(興和株式会社製、ドライアイ観察装置DR−1)で測
定した。本発明の人工涙液を点眼した眼の涙液油層は形
態を維持しており、本発明の人工涙液が涙液油層を保護
していることを示している。一方、比較用人工涙液を点
眼した場合は、点眼直後から涙液油層が破壊され、油分
が丸く分離してしまう様子が観測された。比較用人工涙
液は眼の陽イオンでゲル化する製剤である。比較用人工
涙液は水分の補給という面からは有用であるが、涙液油
層を破壊してしまう製剤である。それに比較して本発明
の人工涙液は同じように眼表面の刺激=熱に反応して眼
表面でゲル化する製剤であり、涙液の増大と涙液油層の
保護に有効な製剤であることが示された。 試験例2 2.0gのメチルセルロース(SM-4)および2.0gのPEG4000
を混合し、ここに85℃に加熱した滅菌精製水を添加し、
攪拌することで分散させた。均一に分散したことを確認
後、攪拌しながら氷冷した。全体が澄明になったことを
確認し、2.8gのクエン酸ナトリウム、さらに0.01gグル
コン酸クロルヘキシジンを20w/v%水溶液で徐々に添加
し、溶解後均一に混合した。さらに、1NのHClでpHを7.4
に調整後、滅菌精製水で100mLにし、本発明の人工涙液
を調製した。この人工涙液のゲル化温度は34℃であっ
た。比較用人工涙液として、市販のマイティア(登録商
標)(千寿製薬製)を使用した。マイティア(登録商
標)及び本発明の人工涙液に、フルオレセインナトリウ
ム(和光純薬製)を0.5%となるように加えた溶液を調
整し試料溶液とした。白色家兎(7羽、体重2kg前後)
を用い、点眼量は50μLとした。涙液量の測定を、点
眼前、点眼後5分、15分、30分及び60分に行っ
た。涙液量は結膜嚢内にシルマー試験紙を1分間挿入
し、フルオレセインにより染色された部分の長さを測定
し求めた。マイティア(登録商標)及び本発明の人工涙
液点眼前の涙液量に差は認められなかった。点眼後5か
ら60分まで本発明の人工涙液はマイティア(登録商
標)点眼群に対し結膜嚢内における涙液量の増加が認め
られ、特に15分及び60分ではシルマーテストスコア
(mm/min)がそれぞれ1.5倍以上となり優位な増加で
あった。
【0026】
【発明の効果】本発明は、上述の構成よりなるので、眼
表面に涙液を増大させ、且つ、涙液油層を保護する人工
涙液を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 27/04 A61P 27/04 (72)発明者 平田 晴久 東京都中央区日本橋室町1丁目5番3号わ かもと製薬株式会社内 Fターム(参考) 4C076 AA12 BB24 DD43Z EE23X EE32P EE37X FF57 FF61

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)メチルセルロース及び、(b)ポリエ
    チレングリコール、クエン酸及びその薬学的に許容され
    る塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む熱ゲ
    ル化人工涙液。
  2. 【請求項2】さらに、コンドロイチン硫酸もしくはその
    薬学的に許容される塩を含有する請求項1記載の熱ゲル
    化人工涙液。
  3. 【請求項3】熱ゲル化人工涙液を点眼したとき、人工涙
    液が体温でゲル化することにより涙液量を増大させ、且
    つ、涙液油層を保護することを特徴とする請求項1〜2に
    記載の熱ゲル化人工涙液。
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