JP2003095605A - 水素の製造方法 - Google Patents
水素の製造方法Info
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Abstract
ることができ、触媒活性が長期間に亘り持続される触媒
を用い、炭化水素の転化率を向上させて高効率で水素を
製造する炭化水素の分解方法を提供する。 【解決手段】 ゼオライトにニッケルを担持させた触媒
の存在下、低級炭化水素に二酸化炭素を添加して熱分解
させる水素の製造方法である。その低級炭化水素として
はメタンを用いることが好ましい。
Description
分解による水素の製法に関するものである。
の製造原料等として化学工業分野において幅広く利用さ
れてきているが、近年における環境規制の高まりに伴
い、今後はクリーンなエネルギー源として燃料電池等の
分野にも幅広く大量に使用される方向にある。
水素の製
法としては、メタン等の炭化水素を水蒸気改質する方法
や空気により部分酸化する方法等が知られているが、こ
れらの方法は、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素
を多量に副生するという問題がある。従って、炭化水素
から二酸化炭素の副生を極力抑えて水素を製造できる方
法の開発が望まれている。
メタン等を熱分解させて水素と固体状炭素を製造する方
法がある。この方法には金属酸化物に担持されたニッケ
ル触媒が用いられることが多く、その中でも、シリカ
(Cab-O-Sil)担持触媒は最も高活性で、かつ長寿命で
あることが報告されている〔Chemistry Letters, 1179-
1180 (1999)〕。ところが、この方法では、メタンの分
解により生成するカーボンが触媒上に蓄積し、やがて触
媒活性が低下するという欠点があることから、カーボン
が生成しても長時間活性を保持できる触媒の開発が求め
られている。
における上記した実状に鑑みてなされたものである。す
なわち、本発明の目的は、炭化水素を比較的穏和な反応
条件で分解させることができ、長期間に亘り触媒活性が
持続される触媒を用い、炭化水素の転化率を向上させて
高効率で水素を製造する炭化水素の分解方法を提供する
ことにある。
の分解による水素の製法について鋭意研究を重ねた結
果、特定の固体酸性担体に担持された触媒を用いると同
時に、反応系に共存ガスを導入して反応させると、長時
間に亘り触媒活性が保持されるとともに水素が高収率で
得られることを見出し、本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明によれば、ゼオライトにニッケルを担持
させた触媒の存在下、低級炭化水素に二酸化炭素を添加
して熱分解させることを特徴とする水素の製造方法が提
供される。その際、原料の低級炭化水素としては、メタ
ンを用いることが好ましい。
酸化炭素を共存ガスとして添加し、固体酸性担体である
ゼオライトに活性成分としてニッケルを担持した触媒と
接触させて加熱条件下に反応させ、水素と炭素に分解さ
せるものである。本発明において触媒担体として用いる
ゼオライトは、通常酸性の固体状ゼオライトとして従来
公知の如何なるものも使用可能であるが、具体的にはZ
SM−5型、ベータ型、モルデナイト型、USY型、Y
型、フェリエライト型などが挙げられる。
て担持されるニッケルとしては、ニッケル金属単体及び
ニッケル化合物、ニッケル錯体のいずれも使用可能であ
るが、具体的には、硝酸ニッケル、塩基性炭酸ニッケ
ル、塩化ニッケル、蓚酸ニッケル、ニッケルアセチルア
セトナート、ニッケルカルボニル、シクロペンタジエニ
ルニッケルなどを適宜用いられるが、なかでも、硝酸ニ
ッケルを用いることが好ましい。
したニッケル成分を活性物質としてゼオライト担体に担
持させることにより行う。その担持方法としては、定法
が用いられ、含浸法、混練法、沈殿法、物理混合法、イ
ンシピエントウェットネス法などが挙げられる。担体に
対し、活性物質であるニッケルの担持量は1〜100重
量%、好ましくは5〜20重量%である。
担持させた後、100℃程度のオーブン中で乾燥させ、
その後、セラミックス等の耐熱性物質からなる焼成管
中、空気を通しながら焼成を行う。空気の流速は、得ら
れる触媒の性能に殆ど影響を及ぼすことがないため、特
に限定されない。その焼成温度としては500〜900
℃、好ましくは500〜600℃、焼成時間としては1
〜10時間、好ましくは3〜5時間である。また、昇温
速度としては100〜500℃/時、好ましくは200
〜250℃/時である。
2mmの石英などの耐熱性反応管の中央に充填して触媒
層を形成する。この場合、触媒層の下流側に石英ウール
等を充填して反応中に触媒が移動しないように配置する
ことが望ましい。また、析出したカーボンによる反応管
の閉塞を防ぐため、反応管を電気炉内に横向きに装填す
るのが望ましい。
て、予め触媒層に水素を流して触媒の還元処理を行うこ
ともできる。その還元条件には特に制限はないが、水素
流通下に5℃/分の速度で反応の最高温度まで昇温さ
せ、最高温度で2時間還元を行った後、反応を開始させ
ることが望ましい。
反応原料としては、メタン、エタン、プロパンなどの単
独或いは2種以上を混合した低級炭化水素であるが、特
にメタンを単独で使用することが好ましい。
して低級炭化水素に二酸化炭素を共存させることが必要
である。 低級炭化水素の熱分解反応系に二酸化炭素を
添加することにより触媒活性を持続させることができ
る。その二酸化炭素の添加量としては、原料ガス中に
0.1〜30容量%、好ましくは1〜20容量%、より
好ましくは3〜10容量%である。また、上記熱分解反
応系には、二酸化炭素の他に、一酸化炭素、酸素のよう
に、反応生成物である炭素と反応性を有するガスを適宜
添加することが好ましい。さらに、原料ガスには、必要
に応じて、不活性ガスが添加される。このようなガスと
しては、窒素、ヘリウム、アルゴンな等が挙げられる。
定されないが、400〜800℃の範囲、好ましくは5
50〜700℃である。反応温度が高すぎると触媒上へ
の炭素析出が顕著となって十分な量の水素が得られない
状態で触媒の失活が起こり、他方、低すぎると十分な転
化率を達成できない。
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限
定されるものではない。 実施例1〜6 硝酸ニッケル1.6516gをイオン交換水に溶解さ
せ、この中にUSY型ゼオライト(商品名:HSZ−3
30HUA、東ソ−社製、シリカ/アルミナ比:6.
3、粒径:0.5〜1μm)3gを入れて含浸させ、一
晩放置した。 その後、100℃のオーブン中で乾燥さ
せることにより前駆体を得た。この前駆体をセラミック
ス製の焼成管中、空気を通しながら700℃で3時間の
焼成を行った。これにより、ニッケルを10重量%含む
ニッケル担持ゼオライト触媒を調製した。また、実施例
2〜6については、実施例1に用いたUSY型ゼオライ
ト担体に代えて、実施例2〜4では、順にシリカ/アル
ミナ比が10.4、14.0、360のもの、また実施例
5ではシリカ/アルミナ比が29のZSM−5型ゼオラ
イト、また実施例6ではシリカ/アルミナ比が240の
モルデナイト型ゼオライト担体を用いたこと以外は、全
て実施例1と同様にして、それぞれニッケル担持ゼオラ
イト触媒を調製した。
mの石英製反応管の中央に充填した。この場合、触媒層
の下流側のみに石英ウールを充填して反応中に触媒が移
動しないようにした。析出したカーボンによる反応管の
閉塞を防ぐため、反応管を電気炉内に横向きに装填し
た。次に、触媒の前処理として、反応管内に水素ガスを
流しながら5℃/分の速度で反応の最高温度である65
0℃まで昇温し、この温度で2時間の還元を行った後、
反応を開始した。原料ガスにはメタン/二酸化炭素/窒
素の体積比が92.5/5/2.5の混合ガスを用い、
その混合ガスの流速を25cm3/分として650℃で
熱分解反応を行った。
650℃における反応において、活性の経時変化を一定
時間の経過後に逐次測定する方法を採用した。すなわ
ち、反応開始後より、30分毎に生成ガスをサンプリン
グし、ガスクロマトグラフを用いてガス組成を分析し
た。なお、メタン転化率(%)は、[(原料メタン)−
(未反応メタン)]×100/(原料メタン)で計算さ
れる。この反応のガス状生成物は、水素と一酸化炭素で
あり、エタン、エチレン、ベンゼン等の炭化水素の生成
は全く認められなかった。反応の初期には、未反応の二
酸化炭素は殆ど認められず、析出炭素によって触媒が失
活するに伴い、未反応の二酸化炭素が認められるように
なった。一方、一酸化炭素は、各段階で生成が認めら
れ、時間の経過につれて一酸化炭素の選択率は向上し
た。
いる炭素の重量を測定した。測定方法は、熱重量分析装
置(マックサイエンス、TG DTA 2000)を用い、空気を
通しながら加熱昇温を行なって、炭素の燃焼に伴う重量
減少を測定することによった。この結果から反応終了後
のサンプル中に占める、触媒や析出炭素の割合を計算
し、触媒中のニッケル担持量から求めたニッケル量と比
較し、ニッケル原子1個に蓄積した炭素原子の個数を計
算した。実施例1〜6におけるメタン転化率の経時変化
は、それぞれ表1に示した。また、熱重量分析による重
量減少及びその結果から求めた炭素/ニッケル比も、そ
れぞれ表1に示した。シリカ/アルミナ比が14.0及
び360のUSY型ゼオライト担体では、メタン転化活
性が8時間以上の長時間にわたって持続され、また、3
60のUSY型ゼオライト担体ではニッケル原子に蓄積
した炭素原子数も多くなった。これに対し、シリカ/ア
ルミナ比が6.3と10.4のUSY型ゼオライト担体及
びZSM−5型ゼオライト担体では、5時間後に失活
し、炭素の蓄積は比較的少なかった。また、モルデナイ
ト型ゼオライト担体では、4時間後に失活し、炭素の蓄
積は更に少なくなった。
用い、原料ガスに二酸化炭素を添加しないで、メタン/
窒素の体積比が95/5の混合ガスを用いたこと以外
は、同様にして反応を行った。これらの反応で得られた
結果を表2に示す。各実施例と比較例との比較から、原
料ガスに二酸化炭素を添加すると、触媒活性が長時間持
続すること及び炭素の析出量が増えることが判明した。
また、二酸化炭素の添加によって触媒活性が維持される
時間が増加する程度は、どのゼオライト担体においても
ほぼ同程度であった。すなわち、二酸化炭素が存在しな
い状態では他のゼオライト担体より活性寿命の短いゼオ
ライト担体が、二酸化炭素の添加によって他のゼオライ
ト担体より活性寿命が長くなる、という例は殆ど見られ
なかった。
い、500℃から50℃昇温させる毎に、メタン転化率
の温度変化を測定する方法により、反応ガスの違いによ
る活性の差異を検討した。得られた結果を表3に示す。
両例とも、700℃以上になるとメタンの転化率は低下
するものの、いずれの温度においてもメタンの転化率
は、実施例7が比較例7よりも高く、二酸化炭素の添加
はメタンの転化活性を向上させることが分かった。
によって水素を製造する際、その反応系に二酸化炭素を
添加することにより、炭化水素の転化率が向上し、触媒
活性を維持しながら、比較的穏和な反応条件で水素を効
率よく製造することが可能である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ゼオライトにニッケルを担持させた触媒
の存在下、低級炭化水素に二酸化炭素を添加して熱分解
させることを特徴とする水素の製造方法。 - 【請求項2】 低級炭化水素が、メタンであることを特
徴とする請求項1に記載の水素の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001283097A JP4310422B2 (ja) | 2001-09-18 | 2001-09-18 | 水素の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
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ID=19106643
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country Status (1)
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JP (1) | JP4310422B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010013712A1 (ja) | 2008-07-28 | 2010-02-04 | Nakahara Masaru | 水素の製造方法 |
WO2020090245A1 (ja) | 2018-04-01 | 2020-05-07 | 株式会社伊原工業 | 水素生成装置、固体生成物の分離方法および固体生成物の排出回収システム |
WO2021079660A1 (ja) | 2019-10-23 | 2021-04-29 | 株式会社伊原工業 | 炭化水素分解用触媒 |
-
2001
- 2001-09-18 JP JP2001283097A patent/JP4310422B2/ja not_active Expired - Lifetime
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US11332367B2 (en) | 2018-04-01 | 2022-05-17 | Ihara Co., Ltd. | Hydrogen producing apparatus, method for separating solid product and system for discharging and recycling solid product |
WO2021079660A1 (ja) | 2019-10-23 | 2021-04-29 | 株式会社伊原工業 | 炭化水素分解用触媒 |
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