JP2003094665A - インクジェットヘッド及びインクジェットヘッド製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びインクジェットヘッド製造方法

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JP2003094665A
JP2003094665A JP2001285907A JP2001285907A JP2003094665A JP 2003094665 A JP2003094665 A JP 2003094665A JP 2001285907 A JP2001285907 A JP 2001285907A JP 2001285907 A JP2001285907 A JP 2001285907A JP 2003094665 A JP2003094665 A JP 2003094665A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェットノズルの吐出側表面の撥水剤
層とノズル形成部材との密着性とノズル孔の加工性とを
同時に向上可能とするインクジェットヘッドを提供す
る。 【解決手段】 インク滴を吐出する複数のノズル孔44
を有するノズル形成部材121と各ノズル孔が連通する
複数のインク液室とノズル形成部材121の表面にフッ
素系撥水剤層123を設けたノズル板43とを有し、前
記インク液室の容積を変化させてノズル孔44からイン
ク滴が吐出するインクジェットヘッドにおいて、ノズル
板43として、ノズル形成部材121とフッ素系撥水剤
層123との間に、無機酸化物の皮膜が分断形成された
島状の膜を形成しつつ、全体としては均一に前記島状の
膜が成膜される島状薄層の無機酸化物層122を形成す
る。無機酸化物層122の材料はSiO2またはTiO2
からなり、層厚さが10Å〜1000Åの範囲に、より
好適には50Å〜300Åの限定された範囲にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッド及びインクジェットヘッド製造方法に関する。特
に、インクジェットノズルの吐出側表面のフッ素系撥水
剤層とノズル形成部材との密着性とノズル孔形成の加工
性とを同時に向上せしめることを可能とするインクジェ
ットヘッド及び該インクジェットヘッド製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】特開平10−305582号公報「イン
クジェット式プリントノズルヘッド」において提示され
ている技術は、インクジェットヘッドとして、より改良
された撥インク性と耐磨耗性とを有する撥インク層を設
け、かつ、エキシマレーザ光照射によるノズル形成の改
善も図らんとするものである。即ち、ノズルヘッドの少
なくとも周辺部に、熱硬化性ポリイミド等によるフィル
ム支持基体の一方の面に、例えばテトラフルオロエチレ
ンを成分とする共重合体を含む有機樹脂層と撥水層(例
えばポリエーテルサルホン層)とを設け、その反対側の
面には、熱加塑性ポリイミド等の接着層にて構成される
撥インク層を被覆するものであり、更に、少なくとも前
記有機樹脂層にはエキシマレーザ光吸収剤(例えば二酸
化チタン)を含有せしめるインクジェットヘッドとする
ものである。
【0003】また、特開平6−87216号公報「イン
クジェット記録ヘッドのノズル形成方法」においては、
密着性が良く、かつ、耐摩擦性に優れた撥水層をノズル
形成部材上に備えるノズル形成方法が提示されている。
即ち、エキシマレーザビームによるアブレーション(蒸
発飛散)が可能なプラスチックにより形成されたノズル
形成部材の表面に、含フッ素重合体からなるコーティン
グ層を20nm乃至700nmの厚さで形成し、次い
で、該ノズル形成部材の背面側からエキシマレーザを照
射して、その部分に高濃度の励起種を生成させて、その
分解・飛散する力を利用して、ノズル孔の加工を行なう
と共に、ノズル孔上のコーティング層を除去するもので
ある。
【0004】また、特許第2914146号公報「ノズ
ルプレートの製造方法」においては、ノズル板(ノズル
プレート)の一方の面に粘着部材を貼り付け、その反対
側面からレーザビームを照射することによりノズル板
(ノズルプレート)を製造した後、前記粘着部材をはが
す際に、レーザビームによって加工されずに残った部分
を、前記粘着部材の粘着力により除去することが可能と
なり、ノズル孔の出射側に未加工の部分が残ってしまう
ことがなくなり、インク滴の飛翔方向がばらつくことを
防止することを可能としている。
【0005】また、インクジェットヘッドのインクの噴
射曲がりが少なく、撥水性が向上すると共に、継続的な
安定した吐出特性を有する耐久性を備えるように、少な
くともノズル周縁部を表面酸化処理したノズル板(ノズ
ルプレート)上に、0℃〜70℃の温度範囲で液相を示
し、かつ、加水分解可能な官能基を少なくとも一つ有す
る非晶質樹脂を、酸素を介して重ねて構成するインクジ
ェットヘッド、あるいは、撥水層の密着性・ワイピング
耐久性を向上させるために、ノズル形成部材の表面に、
耐磨耗性のある微粉末層と撥水層とを重ねて設けたイン
クジェットヘッドも提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】インクジェットヘッド
においては、ノズル孔からインク滴を吐出させて記録を
行なうために、ノズル孔の形状や形成精度が、インク滴
の噴射特性に大きく影響を与える。また、ノズル孔を形
成しているノズル形成部材の表面の特性も、インク滴の
噴射特性に影響を与えることが知られている。例えば、
ノズル形成部材の表面のノズル孔周辺部に、インクが付
着して不均一なインク溜まりが発生すると、インク滴の
吐出方向が曲げられたり、インク滴の大きさにバラツキ
が生じたり、あるいは、インク滴の飛翔速度が不安定に
なる、等の不都合が生じることが知られている。
【0007】而して、従来のインクジェットヘッドにお
いては、ノズルの吐出側表面に撥水膜を成膜して、撥水
性を持たせ、かつ、ノズル形成部材の表面の均一性を高
め、インク滴の飛翔特性の安定化を図るようにすること
が行なわれてきている。
【0008】ところで、樹脂材料をノズル形成部材とし
て使用する場合、撥水膜を樹脂材料の表面に形成するこ
とになるが、樹脂材料と撥水剤との密着性があまり良く
ないために、樹脂材料の上に撥水剤を直接塗布すること
はできない。このため、ノズル形成部材である樹脂材料
の表面をわざと粗面化して、微細な凹凸面を形成し、該
凹凸面上に撥水剤を塗布することにより、密着力を向上
させたりしているが、それでも十分な密着力が確保され
るまでには至っていない。即ち、塗布直後の初期段階に
あっては、撥水性は得られているが、ノズルプレート表
面やノズル開口部に付着したインク滴やゴミ等の除去の
ために行なわれるワイピング動作によって、撥水剤層の
表面がこすられるため、ノズル形成部材との密着性が充
分ではない分、徐々に、撥水剤層の剥離が発生し、徐々
に撥水性が劣化してくる事態が発生することになる。
【0009】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、ノズル形成部材の表面と撥水剤層との密着力
を向上し、前記ワイピング動作に対しても耐久性があ
り、撥水性能を維持することができると共に、ノズル孔
を穿設するエキシマレーザビームの加工性を向上させる
ことが可能なノズル板(ノズルプレート)を有するイン
クジェットヘッドを提供せんとするものであり、良好な
画像品質がいつまでも劣化しないインクジェットプリン
タ装置用のインクジェットヘッドと該インクジェットヘ
ッドを製造することができる製造方法とを提供すること
を目的とするものである。具体的には、本発明は、次に
示すごとき目的を有している。
【0010】(請求項1に記載の発明の目的)従来技術
のごとく、撥水膜として比較的厚い無機酸化物層を使用
する場合にあっては、エキシマレーザビームの加工性に
問題が残ると共に、撥水膜形成に要する時間も長くする
必要があった。本発明に係る請求項1に記載の発明は、
ノズル形成部材と撥水剤層との間に薄い島状の膜からな
る島状薄層の無機酸化物層を介在させることにより、ノ
ズル形成部材表面と撥水剤層との密着力を確保し、ワイ
ピング動作が繰り返し実施された場合であっても耐久性
があり、撥水性能をいつまでも維持することができると
共に、無機酸化物層の層形成時間の短時間化を図らんと
するものである。
【0011】(請求項2に記載の発明の目的)ノズル形
成部材と撥水剤層との間に介在させる島状薄層を形成す
る無機酸化物の材料の組み合わせによっては、十分な撥
水性能及び耐久性が得られない場合もある。本発明に係
る請求項2に記載の発明は、かかる無機酸化物の材料の
組み合わせを特定することにより、薄層で、かつ、より
耐久性のある無機酸化物層を得んとするものである。
【0012】(請求項3に記載の発明の目的)島状薄層
に形成する無機酸化物層の厚さが、余り薄過ぎると、ノ
ズル形成部材表面と充分な密着強度が得られない。逆
に、厚過ぎた場合も、エキシマレーザビームにてノズル
孔加工をした際に、無機酸化物層の加工が不十分とな
り、一部の無機酸化物層がノズル孔周囲に加工残として
残ってしまう恐れがある。而して、ノズル孔の出口部形
状がシャープでなくなり、インク滴の噴射特性に影響を
与えることになる。本発明に係る請求項3に記載の発明
は、良好なインク滴噴射特性を確保するシャープなノズ
ル孔出口部の形状を得ることを可能とするために、無機
酸化物層の層厚さを特定せんとするものである。
【0013】(請求項4に記載の発明の目的)島状薄層
に形成する無機酸化物の薄層形成を、加熱を伴う方法に
よって実施すると、ノズル形成部材に樹脂材料を使用し
ている場合にあっては、ノズル形成部材そのものが熱に
よってダメージを受けてしまう恐れがある。本発明に係
る請求項4に記載の発明は、無機酸化物の島状薄層の形
成に当たって、ノズル形成部材に対してほとんど熱が加
わらなく、ノズル形成部材がダメージを受けることがな
いように、実質的に加熱を伴わない非加熱蒸着プロセス
によって、無機酸化物の島状薄層を成膜せんとするもの
である。
【0014】(請求項5に記載の発明の目的)本発明に
係る請求項5に記載の発明は、ノズル孔のエキシマレー
ザビーム加工工程と、無機酸化物層と撥水剤層の形成工
程とを分離して、ノズル板(ノズルプレート)を製造す
ることとすることにより、ノズル形成部材への無機酸化
物層と撥水剤層の形成処理をした後に、エキシマレーザ
ビーム加工を実施することを可能とし、ノズル孔内部へ
の無機酸化物や撥水剤の侵入を防止することを可能にせ
んとするものである。
【0015】(請求項6に記載の発明の目的)本発明に
係る請求項6に記載の発明は、前述の請求項3に記載の
発明の目的と同様の目的を有しているものであり、エキ
シマレーザビーム加工面の反対側の撥水剤層面に粘着テ
ープを使用することにより、より確実に、よりシャープ
なノズル孔出口部の形状を得ることを可能にせんとする
ものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、インク滴を吐出する複数のノズル孔を有するノズル
形成部材と、前記各ノズル孔が連通する複数のインク液
室とを有し、かつ、前記ノズル形成部材の表面にフッ素
系撥水剤によるフッ素系撥水剤層を設けたノズル板を有
しているインクジェットヘッドであって、各前記ノズル
孔に対応するエネルギー発生手段を駆動して前記インク
液室の容積を変化させることにより、前記ノズル孔から
インク滴を吐出させるインクジェットヘッドにおいて、
前記ノズル板として、前記ノズル形成部材と前記フッ素
系撥水剤層との間に、無機酸化物の皮膜が分断形成され
た島状の膜を形成しつつ、全体としては、均一に前記島
状の膜が成膜されている島状薄層の形状からなる無機酸
化物層を形成しているインクジェットヘッドとすること
を特徴とするものである。
【0017】而して、前記ノズル形成部材と前記フッ素
系撥水剤層との間に、島状薄層の形状からなる無機酸化
物層を設けることにより、初期段階に十分な撥水性能が
得られると共に、前記フッ素系撥水剤層の前記ノズル形
成部材への密着強度が増し、ワイピング動作の繰り返し
に対する耐久性が向上するので、撥水性能の劣化がない
インクジェットヘッドを得ることができる。また、前記
無機酸化物層の形状を島状薄層としたことにより、エキ
シマレーザビームによるノズル孔加工に対しても十分な
加工性を得ることが可能となり、インク滴の噴射特性を
向上させることができる。
【0018】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のインクジェットヘッドにおいて、前記島状薄層の形状
からなる前記無機酸化物層を構成する無機酸化物の材料
が、SiO2またはTiO2であるインクジェットヘッド
とすることを特徴とするものである。
【0019】而して、前記フッ素系撥水剤層の前記ノズ
ル形成部材への密着強度の確保とエキシマレーザビーム
によるノズル孔加工性向上の両方を、同時に満足させる
ことができる。特に、TiO2は、紫外線の吸収性が良
い材料であるので、エキシマレーザビームの加工性が、
より良くなり、品質が高いノズル孔を加工することがで
きる。
【0020】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
に記載のインクジェットヘッドにおいて、前記島状薄層
の形状からなる前記無機酸化物層の層厚さが、10Å〜
1000Åの範囲に、より好ましくは、50Å〜300
Åの限定された範囲にあるインクジェットヘッドとする
ことを特徴とするものである。
【0021】而して、前記無機酸化物層の層厚さを、1
0Å〜1000Åの範囲とすることにより、前記フッ素
系撥水剤層の前記ノズル形成部材への密着強度の確保と
エキシマレーザビームによるノズル孔加工性向上の両方
を、より確実に、同時に満足させることができる。更に
は、前記無機酸化物層の層厚さを、50Å〜300Åの
範囲に限定することにより、前記無機酸化物層が適度な
大きさの島状薄層として形成することが可能となり、前
記フッ素系撥水剤層の前記ノズル形成部材への密着強度
の確保とエキシマレーザビームによるノズル孔加工性向
上の両方を、さらに良好な品質で、同時に満足させるこ
とができる。
【0022】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3
のいずれかに記載のインクジェットヘッドを製造するイ
ンクジェットヘッド製造方法において、前記ノズル形成
部材の少なくとも表面が、樹脂材料により形成されてい
る場合にあっては、島状薄層の形状からなる無機酸化物
層の該樹脂材料の表面への形成が、非加熱蒸着プロセス
によってなされるインクジェットヘッド製造方法とする
ことを特徴とするものである。
【0023】而して、前記ノズル形成部材に前記無機酸
化物層を形成する際に、非加熱蒸着プロセスを使用する
ことにより、熱がほとんど加わることなく、前記無機酸
化物層を形成することができるので、前記ノズル形成部
材への熱ダメージがなく、品質の安定したノズル板を製
造することが可能となる。
【0024】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
のインクジェットヘッド製造方法において、前記ノズル
形成部材に対して、島状薄層の形状からなる前記無機酸
化物層及び前記フッ素系撥水剤層の形成がなされた後
に、エキシマレーザビーム加工により、前記ノズル形成
部材に前記ノズル孔を形成するインクジェットヘッド製
造方法とすることを特徴とするものである。
【0025】而して、前記ノズル形成部材に前記無機酸
化物層を介して前記フッ素系撥水剤層を形成させた後
に、前記ノズル孔の加工を行なうこととするので、前記
ノズル孔の内部への無機酸化物や撥水剤の侵入付着が生
じる心配がなく、品質の高いノズル孔を穿孔加工するこ
とができる。
【0026】請求項6に記載の発明は、請求項4又は5
に記載のインクジェットヘッド製造方法において、前記
ノズル形成部材に対して島状薄層の形状からなる前記無
機酸化物層を介して接合させた前記フッ素系撥水剤層側
のノズル板面に粘着テープを貼り付けて、該粘着テープ
貼付面と反対の面側から、エキシマレーザビーム加工す
ることにより、前記ノズル形成部材に前記ノズル孔を穿
孔して、ノズル板を形成せしめた後、該ノズル板の使用
の際に、前記粘着テープを剥離して使用するインクジェ
ットヘッド製造方法とすることを特徴とするものであ
る。
【0027】而して、前記粘着テープを貼り付けた状態
で、エキシマレーザビーム加工により、前記ノズル孔を
加工穿設するので、エキシマレーザビーム加工の際に、
前記粘着テープの粘着剤が一部蒸発飛散(アブレーショ
ン)すると同時に、粘着剤に密着している前記フッ素系
撥水剤層及び無機酸化物層も、同様に飛散することとな
り、品質の良いノズル孔を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るインクジェ
ットヘッド及びその製造方法に関する実施の形態の一例
を、図面を参照しながら説明する。ここに、図3は、本
発明に係るインクジェットヘッドを搭載したインクジェ
ット記録装置の機構部の概略を示す斜視説明図であり、
図4は、同機構部の概略を示す側面説明図である。
【0029】図3及び図4に示すインクジェット記録装
置は、記録装置本体1の内部に主走査方向に移動可能な
キャリッジ13、該キャリッジ13に搭載されたインク
ジェットヘッドからなる記録ヘッド14、記録ヘッド1
4へのインクを供給するインクカートリッジ15等で構
成される印字機構部2等を収納し、給紙カセット4或い
は手差しトレイ5から給送される用紙3を取り込み、印
字機構部2によって所要の画像を記録した後、後面側に
装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0030】印字機構部2は、図示しない左右の側板に
横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイ
ドロッド12とにより、キャリッジ13を主走査方向
(図4で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャ
リッジ13には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼ
ンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出
するインクジェットヘッドからなる記録ヘッド14を、
インク滴吐出方向を下方に向けて装着し、キャリッジ1
3の上側には、記録ヘッド14に各色のインクを供給す
るための各インクタンク即ちインクカートリッジ15を
交換可能に装着している。
【0031】インクカートリッジ15は、上方に大気と
連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドからな
る記録ヘッド14へインクを供給する供給口を、内部に
はインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体
の毛管力によりインクジェットヘッド14へ供給される
インクをわずかな負圧に維持している。このインクカー
トリッジ15からインクを記録ヘッド14内に供給す
る。
【0032】ここで、キャリッジ13は後方側(用紙搬
送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装
し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド1
2に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ
13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ1
7で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19と
の間にタイミングベルト20を張装し、このタイミング
ベルト20をキャリッジ13に固定しており、主走査モ
ータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動さ
れる。
【0033】また、記録ヘッド14として、ここでは、
各色のインクジェットヘッドを用いているが、各色のイ
ンク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドとしても
よい。さらに、記録ヘッド14としては、後述するよう
に、インク流路の壁面の少なくとも一部を形成する振動
板とこれに対向する電極とを備え、静電力で振動板を変
形変位させてインクを加圧する静電型インクジェットヘ
ッドを用いている。
【0034】一方、給紙カセット4にセットした用紙3
を記録ヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセ
ット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフ
リクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材
23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ロ
ーラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられ
る搬送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り
出し角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送
ローラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して
回転駆動される。
【0035】そして、キャリッジ13の主走査方向の移
動範囲に対応して、搬送ローラ24から送り出された用
紙3を記録ヘッド14の下方側に案内する用紙ガイド部
材である印写受け部材29を設けている。この印写受け
部材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向
へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車3
2を設け、さらに、用紙3を排紙トレイ6に送り出す排
紙ローラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイ
ド部材35,36とを配設している。
【0036】記録時には、キャリッジ13を移動させな
がら、画像信号に応じて記録ヘッド14を駆動すること
により、停止している用紙3にインクを吐出して1行分
を記録し、用紙3を所定量搬送後、次の行の記録を行な
う。記録終了信号、または、用紙3の後端が記録領域に
到達した信号を受けることにより、記録動作を終了さ
せ、用紙3を排紙する。
【0037】また、キャリッジ13の移動方向右端側の
記録領域を外れた位置には、記録ヘッド14の吐出不良
を回復するための回復装置37を配置している。回復装
置37は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段
を有している。キャリッジ13は、印字待機中には、こ
の回復装置37側に移動されて、キャッピング手段で記
録ヘッド14がキャッピングされ、吐出口部(ノズル
孔)を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出
不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しな
いインクを吐出する(パージする)ことにより、全ての
吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維
持する。
【0038】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段により、記録ヘッド14の吐出口部(ノズル
孔)を密封し、チューブを通して、吸引手段で吐出口部
(ノズル孔)からインクと共に気泡等を吸い出し、吐出
口面に付着したインクやゴミ等は、クリーニング手段に
より除去され、吐出不良が回復される。また、吸引され
たインクは、記録装置本体1下部に設置された廃インク
溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収
体に吸収保持される。
【0039】次に、このインクジェット記録装置の記録
ヘッド14を構成するインクジェットヘッドについて、
図5乃至図8を参照して説明する。なお、図5は、イン
クジェットヘッドの分解斜視説明図、図6は、同ヘッド
の振動板長手方向に沿う断面説明図、図7は、同ヘッド
の振動板長手方向に沿う要部拡大断面説明図、図8は、
同ヘッドの振動板短手方向に沿う要部拡大断面図であ
る。
【0040】インクジェットヘッド40は、単結晶シリ
コン基板、多結晶シリコン基板、SOI基板などのシリ
コン基板等を用いた第一基板である流路基板41と、こ
の流路基板41の下側に設けたシリコン基板、パイレッ
クス(登録商標)ガラス基板、セラミックス基板等を用
いた第二基板である電極基板42と、流路基板41の上
側に設けた第三基板であるノズル板43とを備え、複数
のインク滴を吐出するノズル孔44、各ノズル孔44が
連通するインク流路である加圧室46、各加圧室46に
インク供給路を兼ねた流体抵抗部47を介して連通する
共通液室流路48などを形成している。
【0041】流路基板41には、加圧室46及びこの加
圧室46の壁面である底部をなす第1電極を兼ねた振動
板50を形成する凹部を形成し、ノズル板43には流体
抵抗部47を形成する溝を形成し、また流路基板41と
電極基板42には共通液室流路48を形成する貫通部を
形成している。
【0042】ここで、流路基板41は、例えば、単結晶
シリコン基板を用いた場合、予め振動板厚さにボロンを
注入してエッチングストップ層となる高濃度ボロン層を
形成し、電極基板42と接合した後、加圧室46となる
凹部をKOH水溶液などのエッチング液を用いて異方性
エッチングする。このとき、高濃度ボロン層がエッチン
グストップ層となって振動板50が高精度に形成され
る。また、多結晶シリコン基板で振動板50を形成する
場合は、液室基板上に振動板となる多結晶シリコン薄膜
を形成する方法、または、予め電極基板42を犠牲材料
で平坦化し、その上に多結晶シリコン薄膜を成膜した
後、犠牲材料を除去する方法などにより形成することが
できる。
【0043】なお、振動板50に別途電極膜を形成して
もよいが、上述したように不純物の拡散などによって振
動板が電極を兼ねるようにしている。また、振動板50
の電極基板42側の面に絶縁膜を形成することもでき
る。この絶縁膜としては、SiO2等の酸化膜系絶縁
膜、Si34等の窒化膜系絶縁膜などを用いることがで
きる。絶縁膜の成膜は、振動板50の表面を熱酸化して
酸化膜を形成したり、成膜手法を用いたりすることがで
きる。さらに、この流路基板41には共通電極を設けて
いる。この共通電極は、Al等の金属をスパッタしてシ
ンタリング(熱拡散)することにより付設しており、流
路基板41との導通を確保して、半導体基板よりなる流
路基板41とオーミックコンタクトをとっている。
【0044】また、電極基板42には酸化膜層42aを
形成し、この酸化膜層42aの部分に凹部54を形成し
て、この凹部54底面に振動板50に対向する第2電極
である電極55を設け、振動板50と電極55との間に
所定のギャップ56(ギャップ0.2μmとしてい
る。)を形成し、これらの振動板50と電極55とによ
ってアクチュエータ部(即ち、各ノズル孔44と対応す
るエネルギー発生手段)を構成している。なお、電極5
5表面には、SiO2膜などの酸化膜系絶縁膜、Si3
4膜などの窒化膜系絶縁膜からなる電極保護膜57を成
膜しているが、電極55表面に電極保護膜57を形成し
ないで、振動板50側に絶縁膜を形成することもでき
る。
【0045】これらの流路基板41と電極基板42との
接合は、接着剤による接合も可能であるが、より信頼性
の高い物理的な接合、例えば、電極基板42がシリコン
で形成される場合、酸化膜を介した直接接合法を用いる
ことができる。この直接接合法は1,000℃程度の高
温化で実施する。また、電極基板42がガラスの場合、
陽極接合を行なうことができる。電極基板42をシリコ
ンで形成して、陽極接合を行なう場合には、電極基板4
2と流路基板41との間にパイレックス(登録商標)ガ
ラスを成膜し、この膜を介して陽極接合を行なうことも
できる。さらに、流路基板41と電極基板42にシリコ
ン基板を使用して、金等のバインダーを接合面に介在さ
せた共晶接合で接合することもできる。
【0046】また、電極基板42の電極55としては、
通常、半導体素子の形成プロセスで一般的に用いられる
Al、Cr、Ni等の金属材料や、Ti、TiN、W等
の高融点金属、または、不純物により低抵抗化した多結
晶シリコン材料などを用いることができる。電極基板4
2をシリコンウエハで形成する場合には、電極基板42
と電極55との間には絶縁層(前述した酸化膜層42
a)を形成する必要がある。電極基板42にガラス等の
絶縁性材料を用いる場合には、電極55との間に絶縁層
を形成する必要はない。
【0047】また、電極基板42にシリコン基板を用い
る場合、電極55としては、不純物拡散領域を用いるこ
とができる。この場合、拡散に用いる不純物はシリコン
基板の導電型と反対の導電型を示す不純物を用い、拡散
領域周辺にpn接合を形成し、電極55と電極基板42
とを電気的に絶縁する。
【0048】ノズル板43は、多数のノズル孔44を二
列に配置して形成したものであり、吐出面には撥水処理
を施している。ここでは、このノズル板43は、後に詳
述するように、樹脂部材と金属部材との複層部材からな
る。このノズル板43は、流路基板41に接着剤にて接
合している。
【0049】このインクジェットヘッド40では、ノズ
ル孔44を二列配置し、この各ノズル孔44に対応して
加圧室46、振動板50、電極55なども二列配置し、
各ノズル孔44列の中央部に共通液室流路48を配置し
て、左右の加圧室46にインクを供給する構成を採用し
ている。これにより、簡単なヘッド構成で多数のノズル
孔44を有するマルチノズルヘッドを構成することがで
きる。
【0050】そして、インクジェットヘッド40の電極
55は、外部に延設して接続部(電極パッド部)55a
とし、これにヘッド駆動回路であるドライバIC60を
搭載したFPCケーブル61を異方性導電膜などを介し
て接続している。このとき、電極基板42とノズル板4
3との間は、図6に示すようにエポキシ樹脂等の接着剤
を用いたギャップ封止剤62にて気密封止している。
【0051】さらに、インクジェットヘッド40全体を
フレーム部材65上に接着剤で接合している。このフレ
ーム部材65には、インクジェットヘッド40の共通液
室流路48に、外部からインクを供給するためのインク
供給穴66を形成しており、また、FPCケーブル61
等はフレーム部材65に形成した穴部67に収納され
る。
【0052】このフレーム部材65とノズル板43との
間は、図6に示すようにエポキシ樹脂等の接着剤を用い
たギャップ封止剤68にて封止し、撥水性を有するノズ
ル板43表面のインクが電極基板42やFPCケーブル
61等に回り込むことを防止している。
【0053】そして、この記録ヘッド14のフレーム部
材65には、インクカートリッジ15とのジョイント部
材70が連結されて、フィルタ71を介して、インクカ
ートリッジ15からインク供給穴66を通じて共通液室
流路48にインクが供給される。
【0054】このインクジェットヘッド40において
は、振動板50を共通電極とし、ノズル孔44に対応さ
せた電極55を個別電極として、振動板50と電極55
との間にエネルギー発生手段として駆動電圧を印加する
ことによって、振動板50と電極55との間に発生する
静電力によって振動板50が電極55側に変形変位し、
この状態から振動板50と電極55間の電荷を放電させ
て、振動板50が復帰変形して、加圧室46の内容積
(体積)/圧力が変化することによって、ノズル孔44
からインク滴が吐出される。
【0055】すなわち、個別電極とする電極55にパル
ス電圧を印加すると、共通電極となる振動板50との間
に電位差が生じて、個別電極である電極55と振動板5
0の間に静電力が生じる。この結果、振動板50は、印
加した電圧の大きさに応じて変位する。その後、印加し
たパルス電圧を立ち下げることにより、振動板50の変
位が復元して、その復元力により、加圧室46内の圧力
が高くなり、ノズル孔44からインク滴が吐出される。
【0056】次に、インクジェットヘッドを形成するノ
ズル板(ノズルプレート)を加工するレーザ加工機の構
成について、図9を用いて説明する。ここに、図9は、
インクジェットヘッドを製造するレーザ加工機の構成を
示す概略構成図である。
【0057】図9において、レーザ発信器81から射出
されたエキシマレーザビーム82は、ミラー83,8
5,88によって反射され、加工テーブル90に導かれ
ている。また、ミラー83と85との間の光路には、ビ
ームエキスパンダ84が配置されており、エキシマレー
ザビーム82を所望のサイズに拡大している。ミラー8
5と88との間の光路には、マスク86とその下流側に
フィールドレンズ87が配置されている。マスク86
は、被加工物91に開けようとする穴の形状に対応した
形状にエキシマレーザビームを変形させるためのもので
あり、また、フィールドレンズ87は、マスク86を通
過してきたマスク像を結像光学系89に導くためのもの
である。
【0058】ミラー88と加工テーブル90との間に設
けられている結像光学系89は、加工テーブル90に載
置された被加工物91に、マスク86を通過してきたエ
キシマレーザビームを所定の大きさに絞り込んで結像さ
せるためのものである。ここに、ビームエキスパンダ8
4、マスク86、フィールドレンズ87、結像光学系8
9は、従来技術をそのまま適用すれば良いものであり、
ここでは個々の機能についての説明を省略する。
【0059】被加工物即ちノズル板(ノズルプレート)
91は、加工テーブル90上に載置され、エキシマレー
ザビームを受けることになる。加工テーブル90は、周
知のXYZテーブル等により3軸方向に移動可能に構成
されており、必要に応じて、被加工物91の位置を移動
し、所望の位置にエキシマレーザビームを照射すること
ができるようにされている。
【0060】次に、図1,2及び図10の各図面を用い
て、従来例及び本発明に係るインクジェットヘッドを構
成するノズル板(ノズルプレート)の詳細について説明
する。まず、インクジェットヘッドを構成するノズル板
(ノズルプレート)の従来技術の構成の一例について、
説明する。図10は、インクジェットヘッドを構成する
ノズル板(ノズルプレート)の従来技術の一例を示して
いる断面説明図である。図10に示すように、ノズル板
43は、樹脂部材101と高剛性部材102とを、熱可
塑性接着剤103によって、接合し、更に、樹脂部材1
01の表面に微粉末層104及び撥水膜105を、順次
積層形成したものである。更に、樹脂部材101に、所
要の寸法精度からなるノズル孔44を形成し、高剛性部
材102にノズル孔44に連通するノズル連通口106
を形成している。而して、かかるノズル板43を使用す
る際には、高剛性部材102側の面を、接着剤により、
図5に示す流路基板41に接合することとなる。
【0061】微粉末層104は、アンダーコート剤11
1に、耐磨耗性を有する微粉末112を混合分散してい
る。このように、樹脂部材101の表面に微粉末層10
4及び撥水膜105を順次積層することにより、ワイピ
ング耐性を向上させている。しかしながら、かかる従来
例においては、アンダーコート剤111に加える微粉末
112の粒径が、適切な範囲に入っていることが必要で
ある。
【0062】即ち、微粉末112の粒径が余りに大き過
ぎると、次工程のエキシマレーザビーム加工において、
ノズル孔44を加工した際に、ノズル外周部を形成せん
とする微粉末層104の部位に微粉末112の粒子が存
在している場合にあっては、エキシマレーザビームによ
り、該ノズル外周部を加工し切れずに、微粉末112が
凸状粒子として残ってしまうことになる。該ノズル外周
部に凸状粒子が残れば、当然のことながら、該ノズル外
周部が異形となり、インク滴の噴射特性に影響が出るこ
とになる。
【0063】逆に、微粉末112の粒径が余りに小さ過
ぎると、撥水膜105のワイピング耐性が低下してしま
い、撥水性能が、必要な所望の寿命まで維持することが
出来なくなる。また、微粉末112の粒径が小さい場合
であっても、やはり、ノズル外周部を形成せんとする微
粉末層104の部位に微粉末112の粒子が存在するこ
とになると、該ノズル外周部に微小な凸状粒子が残って
しまうために、影響が小さいとはいえ、インク滴の噴射
特性への影響がないとは言えない。
【0064】本発明に係るインクジェットヘッドを形成
するノズル板は、かかる問題を解決せんとするものであ
る。次に、本発明に係るインクジェットヘッドを形成す
るノズル板の製造工程について、図2を用いて、その一
例を説明する。ここに、図2は、本発明に係るインクジ
ェットヘッドを形成するノズル板の製造工程を模式的に
示した製造工程図である。まず、図2(A)は、ノズル
形成部材121の機材となる材料を準備する準備工程を
示しており、ここでは、ノズル形成部材121として、
樹脂フィルム(例えば、ポリイミドフィルム)を使用し
ている。かくのごとく、ノズル形成部材121の少なく
とも表面が、樹脂材料からなっているものが用いられ
る。
【0065】次に、図2(B)においては、ノズル形成
部材121である前記樹脂フィルム表面に、島状の形状
の無機酸化物からなる薄い層を形成するために、島状薄
層の形状からなる無機酸化物層122を蒸着形成する蒸
着工程を示している。ここに、無機酸化物層122をノ
ズル形成部材121である樹脂材料即ち前記樹脂フィル
ムの表面に形成するプロセスとして、熱をほとんど加え
ない非加熱蒸着プロセスが用いられる。而して、ノズル
形成部材121に無機酸化物層122を形成するプロセ
スとして、熱がほとんど加わらないこととなり、前記樹
脂フィルムからなるノズル形成部材121への熱ダメー
ジがなく、品質の安定した製造が可能となる。
【0066】更に、図2(C)は、島状薄層からなる無
機酸化物層122の表面にフッ素系撥水剤123aを塗
布する塗布工程であり、塗布方法としては、スピンコー
タ,ロールコータ,スクリーン印刷、あるいは、スプレ
ーコータなどの各種塗布方法が使用可能である。
【0067】更に、図2(D)においては、島状薄層か
らなる無機酸化物層122の表面に形成されたフッ素系
撥水剤123aの塗布後における熱乾燥工程であり、か
かる熱乾燥により、フッ素系撥水剤123aに含まれて
いる溶剤を熱によって蒸発させ、フッ素系撥水剤層12
3として、硬化安定させる。
【0068】更に、図2(E)においては、硬化安定さ
せたフッ素系撥水剤層123の表面に粘着テープ124
を貼り付ける貼付工程であり、ノズル形成部材121に
島状薄層の形状からなる無機酸化物層122を介して接
合させたフッ素系撥水剤層123側のノズル板面に粘着
テープ124を貼り付けて、後述する図2(F)のノズ
ル孔加工工程において、ノズル形成部材121のフッ素
系撥水剤層123と反対側のノズル板面側(即ち、粘着
テープ貼付面と反対の面側)から、エキシマレーザビー
ム加工をすることとする。
【0069】即ち、粘着テープ124を貼り付けた状態
で、エキシマレーザビームによるノズル孔44の加工を
する場合にあっては、エキシマレーザビームの照射によ
り、粘着テープ124の粘着剤が一部蒸発飛散(アブレ
ーション)する際に、粘着剤に密着しているフッ素系撥
水剤層123及び無機酸化物層122も、同じように、
飛散することから、品質の良いノズル孔44を得ること
ができる。
【0070】なお、図2(E)に示すように、フッ素系
撥水剤層123が塗布されている面に、粘着テープ12
4が貼り付けられるが、該粘着テープ124を貼る際に
は、貼付面内部に気泡が生じないように貼り付けること
が必要である。気泡が生じている場合には、ノズル孔4
4が丁度該気泡のある位置に穿孔された場合に、付着物
などの影響を受けて、ノズル孔44の品質が劣化してし
まうことがあるからである。
【0071】更に、図2(F)は、図9に示すごときレ
ーザ加工機を用いて、ノズル孔44を穿孔するノズル孔
加工工程であり、ノズル形成部材121である前記樹脂
フィルム(例えば、ポリイミドフィルム)側即ち粘着テ
ープ貼付面の反対の面側から、エキシマレーザビームを
照射することにより、所要の寸法精度からなるノズル孔
44を穿孔形成する。
【0072】以上に述べたごとく、島状薄層の形状から
なる無機酸化物層122及びフッ素系撥水剤層123を
形成した後、エキシマレーザビーム加工により、ノズル
孔44を形成する製造工程としている。即ち、ノズル形
成部材121に無機酸化物層122を介してフッ素系撥
水剤層123を形成する処理を施した後に、ノズル孔4
4の穿孔加工をすることとしている。而して、穿孔加工
されるノズル孔44内部への無機酸化物や撥水剤の侵入
付着が生じる心配がなく、品質の高いノズル孔44を加
工することができる。ノズル孔44の穿孔形成する加工
が終了して、ノズル板43が形成された後は、該ノズル
板43を使用する際に、フッ素系撥水剤層123の表面
から粘着テープ124を剥離して使用することになる。
【0073】なお、図2に示す製造工程においては、ノ
ズル板42の剛性を向上させるために用いられる高剛性
部材の製造工程を省略して示しているが、かかる高剛性
部材を、ノズル形成部材121である前記樹脂フィルム
の裏面側(即ち、エキシマレーザビームの照射面側)に
形成することとしても勿論構わない。かかる場合にあっ
ては、図10に示す従来技術の場合と同様に、熱可塑性
接着剤によって、ノズル形成部材121である前記樹脂
フィルムと高剛性部材とを接合し、高剛性部材には、ノ
ズル孔44に連通するノズル連通口を形成することとな
る。
【0074】次に、図2に示すごとき製造工程により製
造されたノズル板43について、図1を用いて、更に詳
細に説明する。ここに、図1は、本発明に係るインクジ
ェットヘッドに適用されるノズル板の構造の一例を示す
断面説明図である。なお、樹脂部材(即ち、樹脂フィル
ム、例えば、ポリイミドフィルム)からなるノズル形成
部材121と接合する高剛性部材125及び接着用に使
用される熱可塑性接着剤126については、前述したよ
うに、図10に示した従来技術の例と何ら変わらないも
のである。
【0075】ノズル板43は、樹脂部材からなるノズル
形成部材121と高剛性部材125とを熱可塑性接着剤
126によって接合し、樹脂部材からなるノズル形成部
材121の表面には、島状薄層の形状からなる無機酸化
物層122とフッ素系撥水剤層123とを順次積層形成
した後、ノズル孔44を穿孔加工したものであり、前述
のごとく、該ノズル板43には、フッ素系撥水剤層12
3の表面に粘着テープ124が貼付されている。
【0076】ここで、ノズル孔44の穿孔に当たって
は、フッ素系撥水剤層123の面と反対側の高剛性部材
125側から、エキシマレーザビームを照射することに
より、樹脂部材からなるノズル形成部材121に、所要
の寸法精度からなる内径寸法のノズル孔44を形成し、
一方、高剛性部材125には、ノズル孔44に連通する
ノズル連通口127を形成している。かかるノズル板4
3を使用する際には、フッ素系撥水剤層123の表面か
ら粘着テープ124を剥離して、更に、接着剤により、
高剛性部材125側の面を図5に示す流路基板41に接
合して使用することとなる。
【0077】島状薄層の形状からなる無機酸化物層12
2の形成に当たっては、比較的熱を加えない、即ち、ノ
ズル形成部材121を形成する樹脂部材に熱的影響が発
生しない温度範囲において、無機酸化物層122の成膜
が可能な非加熱蒸着方法を用いて形成する。具体的に
は、スパッタリング,イオンビーム蒸着,イオンプレー
ティング,CVD(化学蒸着法)、あるいは、P−CVD
(プラズマ蒸着法)などが適していると言うことができ
る。
【0078】また、島状薄層の形状からなる無機酸化物
層122の具体的材料としては、SiO2やTiO2など
の無機酸化物が適している。即ち、かかる材料を用いる
ことにより、ノズル形成部材121を形成する樹脂部材
に対するフッ素系撥水剤層123の密着強度確保とエキ
シマレーザビームによるノズル孔44の加工性向上との
両方が同時に満足される。特に、TiO2は、紫外線の
吸収性が良い材料であるため、エキシマレーザビームの
加工性が、より良くなり、品質が高いノズル孔44を穿
孔加工することができる。
【0079】また、島状薄層の形状からなる無機酸化物
層122の膜厚(層厚さ)は、ノズル形成部材121を
形成する樹脂部材との充分な密着力が確保できる範囲内
にあって、かつ、必要最小限の厚さとすることが、無機
酸化物層122の形成工程時間及び材料費から見て有利
である。また、島状薄層の形状からなる無機酸化物層1
22の膜厚(層厚さ)が、余り厚くなると、材料にも依
存するが、エキシマレーザビームを用いたノズル孔44
の加工に支障がでてくる場合がある。
【0080】即ち、余りに厚くなり過ぎている場合にあ
っては、たとえ、ノズル形成部材121を形成する樹脂
部材が、ノズル孔44の形状としてきれいに加工されて
いたとしても、島状薄層の形状からなる無機酸化物層1
22の一部が、エキシマレーザビームにより十分には加
工されず、加工残りが生じる場合が発生してしまう。
【0081】従って、無機酸化物層122の膜厚(層厚
さ)としては、具体的には、ノズル形成部材121を形
成する樹脂部材との充分な密着力が確保でき、かつ、エ
キシマレーザビームを用いたノズル孔44の加工に当た
って、島状薄層の形状からなる無機酸化物層122が残
らない範囲として、膜厚(層厚さ)10Å〜1000Å
の範囲が適しているといえる。かかる膜厚の無機酸化物
層122を用いることとすれば、エキシマレーザビーム
を用いたノズル孔44の加工において、島状薄層の形状
からなる無機酸化物層122が残らなくなり、ノズル孔
44の出口部の形状がシャープになり、インク滴の噴射
特性を格段に向上させることが可能となり、かつ、ノズ
ル形成部材121を形成する樹脂部材との充分な密着力
が確保できるので、良好なインク滴の噴射特性をいつま
でも維持することが可能となる。
【0082】更に、より好適には、無機酸化物層122
の膜厚(層厚さ)が、50Å〜300Åの限定された範
囲とすることが好ましい。かかる膜厚の無機酸化物層1
22を用いることとすれば、無機酸化物層122が適度
な大きさの島状薄層として形成可能となり、エキシマレ
ーザビームを用いたノズル孔44の加工において、島状
薄層の形状からなる無機酸化物層122が確実に一切残
らなくすることができる。而して、ノズル孔44の出口
部の形状がよりシャープになり、インク滴の噴射特性を
更に格段に向上させることが可能となり、かつ、ノズル
形成部材121を形成する樹脂部材との充分な密着力が
確保できるので、更に良好なインク滴の噴射特性をいつ
までも維持することが可能となる。
【0083】本発明に係るインクジェットヘッドに適用
するノズル板43においては、無機酸化物層122は、
前述のごとく、完全に一様な連続した皮膜を形成するも
のではなく、微視的(ショートレンジ)には、皮膜が分
断形成された無機酸化物層の皮膜からなるアイランド
(島)状の膜を形成しつつ、全体(ロングレンジ)とし
ては、均一にアイランド(島)状の膜が成膜されている
という島状薄層の状態を選んで使用している。かかる島
状薄層の状態が、前記したように、ノズル形成部材12
1を形成する樹脂部材との充分な密着力の確保と、エキ
シマレーザビームを用いたノズル孔44の加工性との双
方に対して、極めて良好な結果をもたらすこととなる。
【0084】無機酸化物層122の具体的材料として、
前述のごとく、SiO2やTiO2などを用いる場合にあ
っては、無機酸化物層122の膜厚(層厚さ)が50Å
〜300Åの範囲において、無機酸化物層122の島状
薄層が、より理想的に近い状態で形成され、樹脂部材と
の密着性とエキシマレーザビーム加工性の双方が格段に
改善され、その効果も一層良好なものになる。
【0085】フッ素系撥水剤層123を形成するフッ素
系撥水剤の材料については、いろいろな材料が知られて
いるが、ここでは、フッ素非晶質化合物を含むものを使
用している。かかる材料からなるフッ素系撥水剤層12
3を形成することにより、前述したSiO2やTiO2
どの無機酸化膜を用いた無機酸化物層122との組み合
わせにおいて、極めて良好な密着力が得られ、初期撥水
性能、ワイピング耐性ともに充分な性能が得られた。
【0086】なお、前述したように、島状薄層の形状か
らなる無機酸化物層122の膜厚(層厚さ)が、ある程
度厚くなってくると、エキシマレーザビームによるノズ
ル孔44の加工に支障が出てくる恐れがある。エキシマ
レーザビームの加工性に関するかかる支障の発生原因
は、ノズル形成部材121を形成する樹脂部材に比し
て、島状薄層の形状からなる無機酸化物層122の方
が、エキシマレーザビームの加工性が劣っていることに
よるものである。
【0087】而して、エキシマレーザビーム加工性が良
い粘着剤を使用した粘着テープをフッ素系撥水剤層12
3側の面に貼り付けた状態で、エキシマレーザビームに
よるノズル孔加工をすることにより、エキシマレーザビ
ームの照射を受けて、粘着テープの粘着剤が蒸発飛散
(アブレーション)する際に、エキシマレーザビームによ
る加工が不十分となる恐れがあった無機酸化物層122
の無機酸化物やフッ素系撥水剤層123のフッ素系撥水
剤も、粘着剤と密着して一緒に飛散することとなり、実
質上、無機酸化物層122が、きれいに加工されたと同
じような効果が得られる。ここで、粘着テープを形成す
る粘着剤の材質は、アクリル系の材料が適している。
【0088】図1及び図2において詳細に説明したノズ
ル板43を用いて、図5乃至図7に示すごときインクジ
ェットヘッド40を構成し、更に、かかるインクジェッ
トヘッド40を、図3に示すインクジェットプリンタ装
置1に搭載することとすれば、初期段階における画質に
優れた特性を示すのみでなく、長期に亘り、画像品質の
劣化がないインクジェットプリンタ装置を構築すること
が可能となる。
【0089】
【発明の効果】ノズル形成部材とフッ素系撥水剤層との
間に、島状薄層の形状からなる無機酸化物層を設けるこ
とにより、初期段階において十分な撥水性能が得られる
と共に、フッ素系撥水剤層のノズル形成部材への密着強
度が増し、ワイピング動作の繰り返しに対する耐久性が
向上するので、撥水性能の劣化がないインクジェットヘ
ッドを得ることができる。
【0090】また、無機酸化物層の形状を島状薄層とし
たことにより、エキシマレーザビームによるノズル孔加
工に対しても十分な加工性を得ることが可能となり、加
工精度が高いノズル孔を穿孔することができ、インク滴
の噴射特性を向上させることができる。
【0091】即ち、長期間安定したインク滴の噴射特性
が得られるノズル孔を備えたインクジェットヘッドが実
現可能となり、而して、かかるインクジェットヘッドを
採用することにより、画像品質の劣化のないインクジェ
ットプリンタ装置を提供することが可能となる。
【0092】また、無機酸化物層の材料を、SiO2
たはTiO2からなる無機酸化物により構成し、層厚さ
を10Å〜1000Åの範囲とすることにより、フッ素
系撥水剤層のノズル形成部材への密着強度確保とエキシ
マレーザビームによるノズル孔加工性の向上の両方を、
同時に満足させることができる。更に、層厚さを50Å
〜300Åの範囲に限定することにより、無機酸化物層
の適度な島状薄層が形成され、更に良好な品質を得るこ
とができる。
【0093】また、ノズル形成部材に無機酸化物層を形
成する際に、非加熱蒸着プロセスを使用することによ
り、ノズル形成部材にも熱がほとんど加わらないので、
ノズル形成部材の表面が樹脂材料で形成されている場合
であっても、該樹脂材料への熱ダメージがなく、品質の
安定したノズル板を製造することが可能となる。
【0094】また、ノズル形成部材に無機酸化物層を介
してフッ素系撥水剤層を形成した後に、ノズル孔の加工
をするので、ノズル孔内部への無機酸化物や撥水剤が侵
入付着する心配がなく、品質の高いノズル孔を加工する
ことができる。
【0095】更に、粘着テープを貼り付けた状態で、エ
キシマレーザビームによるノズル孔加工を行なうので、
エキシマレーザビームの照射により、粘着テープの粘着
剤が一部蒸発飛散(アブレーション)する際に、粘着剤
に密着しているフッ素系撥水剤層及び無機酸化物層も、
同様に飛散することから、品質の良いノズル孔を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るインクジェットヘッドに適用さ
れるノズル板の構造の一例を示す断面説明図である。
【図2】 本発明に係るインクジェットヘッドを形成す
るノズル板の製造工程を模式的に示した製造工程図であ
る。
【図3】 本発明に係るインクジェットヘッドを搭載し
たインクジェット記録装置の機構部の概略を示す斜視説
明図である。
【図4】 本発明に係るインクジェットヘッドを搭載し
たインクジェット記録装置の機構部の概略を示す側面説
明図である。
【図5】 インクジェットヘッドの分解斜視説明図であ
る。
【図6】 インクジェットヘッドの振動板長手方向に沿
う断面説明図である。
【図7】 インクジェットヘッドの振動板長手方向に沿
う要部拡大断面説明図である。
【図8】 インクジェットヘッドの振動板短手方向に沿
う要部拡大断面図である。
【図9】 インクジェットヘッドを製造するレーザ加工
機の構成を示す概略構成図である。
【図10】 インクジェットヘッドを構成するノズル板
(ノズルプレート)の従来技術の一例を示している断面
説明図である。
【符号の説明】
1…記録装置本体、2…印字機構部、3…用紙、4…給
紙カセット、5…手差しトレイ、6…排紙トレイ、11
…主ガイドロッド、12…従ガイドロッド、13…キャ
リッジ、14…記録ヘッド、15…インクカートリッ
ジ、17…主走査モータ、18…駆動プーリ、19…従
動プーリ、20…タイミングベルト、21…給紙ロー
ラ、22…フリクションパッド、23…ガイド部材、2
4…搬送ローラ、25…搬送コロ、26…先端コロ、2
7…副走査モータ、29…印写受け部材、31…搬送コ
ロ、32…拍車、33…排紙ローラ、34…拍車、3
5,36…ガイド部材、37…回復装置、40…インク
ジェットヘッド、41…流路基板、42…電極基板、4
2a…酸化膜層、43…ノズル板、44…ノズル孔(ノ
ズル)、46…加圧室、47…流体抵抗部、48…共通
液室流路、50…振動板、54…凹部、55…電極、5
5a…接続部(電極パッド部)、56…ギャップ、57
…電極保護膜、60…ドライバIC、61…FPCケー
ブル、62…ギャップ封止剤、65…フレーム部材、6
6…インク供給穴、67…穴部、68…ギャップ封止
剤、70…ジョイント部材、71…フィルタ、81…レ
ーザ発信器、82…エキシマレーザビーム、83,8
5,88…ミラー、84…ビームエキスパンダ、86…
マスク、87…フィールドレンズ、89…結像光学系、
90…加工テーブル、91…被加工物、101…樹脂部
材、102…高剛性部材、103…熱可塑性接着剤、1
04…微粉末層、105…撥水膜、106…ノズル連通
口、111…アンダーコート剤、112…微粉末、12
1…ノズル形成部材、122…無機酸化物層、123a
…フッ素系撥水剤、123…フッ素系撥水剤層、124
…粘着テープ、125…高剛性部材、126…熱可塑性
接着剤、127…ノズル連通口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C057 AF65 AF93 AG54 AG55 AN01 AP13 AP23 AP26 AP28 AP34 AP54 AP60 AQ01 AQ02 AQ03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を吐出する複数のノズル孔を有
    するノズル形成部材と、前記各ノズル孔が連通する複数
    のインク液室とを有し、かつ、前記ノズル形成部材の表
    面にフッ素系撥水剤によるフッ素系撥水剤層を設けたノ
    ズル板を有しているインクジェットヘッドであって、各
    前記ノズル孔に対応するエネルギー発生手段を駆動して
    前記インク液室の容積を変化させることにより、前記ノ
    ズル孔からインク滴を吐出させるインクジェットヘッド
    において、前記ノズル板として、前記ノズル形成部材と
    前記フッ素系撥水剤層との間に、無機酸化物の皮膜が分
    断形成された島状の膜を形成しつつ、全体としては、均
    一に前記島状の膜が成膜されている島状薄層の形状から
    なる無機酸化物層を形成していることを特徴とするイン
    クジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    において、前記島状薄層の形状からなる前記無機酸化物
    層を構成する無機酸化物の材料が、SiO2またはTi
    2であることを特徴とするインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のインクジェット
    ヘッドにおいて、前記島状薄層の形状からなる前記無機
    酸化物層の層厚さが、10Å〜1000Åの範囲に、よ
    り好ましくは、50Å〜300Åの限定された範囲にあ
    ることを特徴とするインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドを製造するインクジェットヘッド製造
    方法において、前記ノズル形成部材の少なくとも表面
    が、樹脂材料により形成されている場合にあっては、島
    状薄層の形状からなる無機酸化物層の該樹脂材料の表面
    への形成が、非加熱蒸着プロセスによってなされること
    を特徴とするインクジェットヘッド製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のインクジェットヘッド
    製造方法において、前記ノズル形成部材に対して、島状
    薄層の形状からなる前記無機酸化物層及び前記フッ素系
    撥水剤層の形成がなされた後に、エキシマレーザビーム
    加工により、前記ノズル形成部材に前記ノズル孔を形成
    することを特徴とするインクジェットヘッド製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5に記載のインクジェット
    ヘッド製造方法において、前記ノズル形成部材に対して
    島状薄層の形状からなる前記無機酸化物層を介して接合
    させた前記フッ素系撥水剤層側のノズル板面に粘着テー
    プを貼り付けて、該粘着テープ貼付面と反対の面側か
    ら、エキシマレーザビーム加工することにより、前記ノ
    ズル形成部材に前記ノズル孔を穿孔して、ノズル板を形
    成せしめた後、該ノズル板の使用の際に、前記粘着テー
    プを剥離して使用することを特徴とするインクジェット
    ヘッド製造方法。
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