JP2003093552A - ゴルフクラブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘッドの金属製ホーゼル部に開口側が
大径部、内部側が小径部になった差し込み穴が設けられ
ていて、大径部には円錐台形のキャップ部の底面に円筒
状足部が一体的に突設されたフェルールの円筒状足部が
差し込まれ、小径部にはフェルールの円筒状足内部を貫
通したシャフトが差し込まれたゴルフクラブにおいて、
ヘッドのシャフトからの抜けを防止し、かつ、ヘッドと
シャフトとの接着直後の接着剤硬化前のシャフトの動き
易さを防止したゴルフクラブを提供する。 【解決手段】 フェルールを円錐台形のキャップ部だ
けのものにして、ホーゼル部差し込み穴の大径部には合
成樹脂製の円筒状スリーブを差し込み、固着した後、円
筒状スリーブ内部と差し込み穴の小径部とにシャフトを
差し込んで、両者の内面に接着剤で固着した。合成樹脂
製の円筒状スリーブは内面にシャフトを保持する突起を
設けるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シャフト先端部とヘッ
ドとの接合面積を拡大して、ヘッドのシャフトからの抜
け防止を図り、かつ、ヘッドとシャフトとの接合直後の
接着剤硬化前のシャフトの動き易さを防止したゴルフク
ラブに関する。

【０００２】

【従来技術】ゴルフクラブのヘッド１とシャフト２との
接合は、ヘッド１のホ−ゼル部３にシャフト２の先端部
を差し込んだままであると、接合境界が段状になり、外
観的に見苦しいので、図３に示すように、両者の接合部
に外径がシャフト２の太さからホ−ゼル部３の太さに曲
線的または直線的に変化するセルロイド製のフェルール
４を装着して、両者の接合部が滑らかになるようにして
いる。このフェルール４には種々のものがあるが、従来
のものはいずれも図４のように中心部にシャフト差し込
み穴５を有する円錐台形のキャップ部６の底面に、中心
部に前記同様のシャフト差し込み穴５を有する円筒状足
部７を同心円状に一体的に突設したもので、キャップ部
６は上面直径をシャフト２に等しく、底面直径をヘッド
１のホーゼル部３に等しくしている。

【０００３】このフェルール４のゴルフクラブへの装着
は、ヘッド１のホーゼル部３に開口側が大径部８、内部
側が小径部９になった差し込み穴１０を設けて、大径部
８にフェルール４の円筒状足部７を差し込んで、そこに
接着剤１１で固着し、小径部９にはキャップ部６のシャ
フト差し込み穴５を貫通させたシャフト２の先端を差し
込んで接着剤１１でそこに固着している。

【０００４】この装着では、差し込み穴１０の大径部８
や小径部９の内周面に接着剤１１を予め塗布して、シャ
フト２とフェルール４とを差し込むのであるが、フェル
ール４は接着剤１１がシャフト２にきつく嵌まるように
シャフト差し込み穴５の内径を調整してあるので、手順
としては、まず、フェルール４のシャフト差し込み穴５
にシャフト２の先端部をキャップ部６側から差し込ん
で、円筒状足部７から先端部を小径部９の長さ程突出さ
せた後、円筒状足部７と突出した先端部に接着剤１１を
塗布して、これらを内周面に予め接着剤１１を塗布して
ある差し込み穴１０の大径部８と小径部９とに差し込
み、その後、シャフト２の軸回り方向とヘッド１の向き
とを調整して、接着剤１１を放置硬化させている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、フェルール
４の円筒状足部７は、キャップ部６をヘッド１に係止す
るだけのものであるので、従来長さは精々２〜３ｍｍ程
度にしていたが、最近は数ｍｍ以上にしている。これは
近年ゴルフクラブのヘッド１がメタルヘッドやアイアン
ヘッドの場合、ヘッド１の大型化とシャフト２の軽量
化、薄肉化が図られ、ヘッド１とシャフト２との境界部
分に加わる曲げ応力と衝撃が大きくなってきたため、打
球時にシャフト２が金属のホ−ゼル部３内部の円筒状足
部７の先端が位置している部分近傍から折れることがあ
ったからである。そこで、ヘッド１とシャフト２との境
界部分に加わる曲げ応力と衝撃を緩和するため、円筒状
足部７の長さを数ｍｍ以上にして、シャフト２の折損を
防止していた。

【０００６】しかし、円筒状足部７を長くすると、ホー
ゼル部３にあけられる差し込み穴１０の深さには限界が
あるため、小径部９が短くなる。このため、シャフト２
が接着剤１１でヘッド１に固着される面積が減少して、
ゴルフクラブの使用時にシャフト２が抜けてしまうこと
があった。シャフト２のヘッド１への接着面積を大きく
するには、円筒状足部７のシャフト差し込み穴５内径を
若干大きくして、内周面に接着剤１１を塗布することも
考えられるが、そこに接着剤１１を塗布しても、シャフ
ト差し込み穴５にシャフト２を差し込む際、シャフト２
により拭い去られ、円筒状足部７のシャフト差し込み穴
５には接着できない。また、キャップ部６の内径を同様
に若干大きくして、内周面に接着剤１１を塗布すること
も考えられるが、接着剤１１が露出してしまうため、外
観が低下してしまう。

【０００７】また、前記のようなフェルール４の装着方
法では、接着剤１１が硬化するまでシャフト２やフェル
ール４は動き易いので、小径部９の接着剤１１は片側に
押し潰され、シャフト２が小径部９に対して偏心した状
態で固着されてしまうこともあった。かかる対策とし
て、接着剤１１に鉄粉などの骨材を混合したり、接着剤
１１を塗布した隙間にナイロン糸などを噛ませたりし
て、接着剤１１が押し潰されるのを防止していたが、作
業が繁雑になるという欠点があった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、ヘッドのシャ
フトからの抜けを防止し、かつ、ヘッドとシャフトとの
接合直後の接着剤硬化前のシャフトの動き易さを防止し
たゴルフクラブを提供するもので、ヘッドの金属製ホー
ゼル部に開口側が大径部、内部側が小径部になった差し
込み穴が設けられて、大径部には円錐台形のキャップ部
の底面に円筒状足部が一体的に突設されたフェルールの
円筒状足部が差し込まれ、小径部にはフェルールの円筒
状足内部を貫通したシャフトが差し込まれたゴルフクラ
ブにおいて、フェルールを円錐台形のキャップ部だけの
ものにして、ホーゼル部差し込み穴の大径部には合成樹
脂製の円筒状スリーブを差し込み、固着した後、円筒状
スリーブ内部と差し込み穴の小径部とにシャフトを差し
込んで、両者の内面に接着剤で固着したことを特徴とし
ている。ここで、合成樹脂製の円筒状スリーブは内面に
シャフトを保持する突起を設けるのが好ましい。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１は、本発明のゴルフクラブの
ヘッド１とシャフト２の接合部を示したもので、ヘッド
１のホーゼル部３には従来と同様に開口側が大径部８、
内部側が小径部９になった差し込み穴１０が設けられて
いて、大径部８には中心部をシャフト差し込み穴５が貫
通した合成樹脂製の円筒状スリーブ１２が強く差し込ま
れ、固着されている。この固着には接着剤を用いても、
ビスのような止め具を用いてもよい。円筒状スリーブ１
２は全長が同じ肉厚になっていて、両端面は中心線に対
して垂直になっていて、図１での上端はホーゼル部３の
大径部８開口端とほぼ一致している。円筒状スリーブ１
２の長さは図２の（Ａ）や（Ｂ）のように上端をホーゼ
ル部３より突出させたり、上端が内側が高くなるように
傾斜させたりすると、シャフト２の折損防止に有効であ
る。円筒状スリーブ１２の材質としては、ナイロン等の
ようなポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のようなオレフィン系樹脂、フッ素樹脂、セルロイ
ド等の熱可塑性樹脂、あるいは、フェノール樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂
等の熱硬化性樹脂でもよい。

【００１０】円筒状スリーブ１２のシャフト差し込み穴
５は、内径がシャフト２の外径より若干大きくなってい
て、内周面にはシャフト２を保持するための線状突起１
３が内周方向にリング状に設けられている。この線状突
起１３は全長がほぼ同じ高さに突出しているが、高さは
０.０１〜０.５ｍｍにするのが好ましい。また、線状突
起１３部分の内径はシャフト２の外径と同等もしくはそ
れより若干小さくするのが好ましい。突出が低くすぎ
て、内径がシャフト２の外径より大きくなると、シャフ
ト２がシャフト差し込み穴５と同心円状になるように保
持できず、偏ってしまう。線状突起１３の伸長方向は長
さ方向でもよく、本数は１本でも複数本でもよい。線状
突起１３は不連続な点状のものでもよい。

【００１１】円筒状スリーブ１２のシャフト差し込み穴
５とホーゼル部３の差し込み穴１０の小径部９とには、
シャフト２が差し込まれて、その外側に充填された接着
剤１１で円筒状スリーブ１２とホーゼル部３に固着され
ている。また、ホーゼル部３の端面は中心線に対して垂
直になっていて、上側に円錐台形のフェルール４がシャ
フト２に差し込まれた状態で配置されている。このフェ
ルール４は中心部に設けられたシャフト差し込み穴５が
シャフト２ときつく嵌合していて、その摩擦でシャフト
２の長さ方向への移動が防止されている。フェルール４
の材料は特に限定はなく、外観上の観点から選択すれば
よく、透明性の高い非結晶性の合成樹脂材料あるいは光
沢性の金属材料も使用可能である。なお、フェルール４
は図２の（Ａ）や（Ｂ）のように円筒状スリーブ１２の
上端がホーゼル部３より突出している場合は底面に窪み
を設ける。

【００１２】このゴルフクラブの製造では、まず、ヘッ
ド１のホーゼル部３の大径部８に円筒状スリーブ１２を
差し込んで、固着した後、円筒状スリーブ１２のシャフ
ト差し込み穴５とホーゼル部３の小径部９に接着剤１１
を塗布する。その後、シャフト２の先端部をフェルール
４のシャフト差し込み穴５に差し込んで、シャフト２を
貫通させ後、先端部にも接着剤１１を塗布して、円筒状
スリーブ１２のシャフト差し込み穴５に差し込み、シャ
フト２の軸回り方向やヘッド１の向きを調整して、放置
することにより接着剤１１を硬化させる。接着剤１１は
鉄粉などの骨材を含有しないものでもよい。

【００１３】

【発明の効果】本発明のゴルフクラブは、ヘッドの金属
製ホーゼル部に開口側が大径部、内部側が小径部になっ
た差し込み穴が設けられていて、大径部には円錐台形の
キャップ部の底面に円筒状足部が一体的に突設されたフ
ェルールの円筒状足部が差し込まれ、小径部にはフェル
ールの円筒状足内部を貫通したシャフトが差し込まれた
ゴルフクラブにおいて、フェルールを円錐台形のキャッ
プ部だけのものにして、ホーゼル部大径部には合成樹脂
製の円筒状スリーブを差し込み、固着した後、円筒状ス
リーブ内部と差し込み穴の小径部とにシャフトを差し込
んで、両者の内面に接着剤で固着したものであるので、
接着剤によるシャフトのヘッドへの接着面積は従来の差
し込み穴の小径部だけでなく、円筒状スリーブ内部にも
拡大するので、シャフトは抜け難くなる。また、フェル
ールに差し込んだシャフトには従来のように接着剤を使
用しないので、フェルールとシャフトの接合境界の外観
が損なわれない。

【００１４】さらに、円筒状スリーブ内面には、シャフ
トを保持する突起を設けてあるので、内径をシャフト外
径より大きくして、シャフトを差し込み易くしても、シ
ャフトを円筒状スリーブの内部穴に差し込んだ場合、シ
ャフトをその内部穴の中心線方向に保持できる。このた
め、接着剤に通常のものを使用しても、隙間にナイロン
糸などを噛ませたりしなくても、接着剤が硬化するま
で、シャフトをその軸回り方向やヘッドの向きを調整し
た位置に維持できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のゴルフクラブのヘッドとシャフトの接
合部分の断面図である。

【図２】本発明の他のゴルフクラブのヘッドとシャフト
の接合部分の断面図である。

【図３】従来のゴルフクラブのヘッドとシャフトの接合
部分の斜視図である。

【図４】図３に示したゴルフクラブの拡大断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ヘッド ２ シャフト ３ ホーゼル部 ４ フェルール ５ シャフト差し込み穴 ６ キャップ部 ７ 円筒状足部 ８ 大径部 ９ 小径部 １０ 差し込み穴 １１ 接着剤 １２ 円筒状スリーブ １３ 線状突起

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヘッドの金属製ホーゼル部に開口側が大
   径部、内部側が小径部になった差し込み穴が設けられて
   いて、大径部には円錐台形のキャップ部の底面に円筒状
   足部が一体的に突設されたフェルールの円筒状足部が差
   し込まれ、小径部にはフェルールの円筒状足内部を貫通
   したシャフトが差し込まれたゴルフクラブにおいて、フ
   ェルールを円錐台形のキャップ部だけのものにして、ホ
   ーゼル部差し込み穴の大径部には合成樹脂製の円筒状ス
   リーブを差し込み、固着した後、円筒状スリーブ内部と
   差し込み穴の小径部とにシャフトを差し込んで、両者の
   内面に接着剤で固着したことを特徴とするゴルフクラ
   ブ。
2. 【請求項２】 合成樹脂製の円筒状スリーブ内面にシャ
   フトを保持する突起を設けたことを特徴とする請求項１
   に記載のゴルフクラブ。