JP2003092794A - 水中音響放射装置、水槽用水中音響放射装置及び船舶用水中音響放射装置 - Google Patents
水中音響放射装置、水槽用水中音響放射装置及び船舶用水中音響放射装置Info
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Abstract
音響放射装置、水槽用水中音響放射装置及び船舶用水中
音響放射装置を提供する。 【解決手段】 プール1の側壁面の裏面に複数のアクチ
ュエータ200を一定間隔で設ける。該アクチュエータ
200に水中に伝播すべき音響に対応した電気信号が供
給されると、該電気信号は該アクチュエータ200によ
り機械的振動信号に変換され、振動を発生する。アクチ
ュエータ200は、接着剤等によりプール1の側壁面の
裏面に直接固定されているため、該アクチュエータ20
0において発生した振動は、プール1の側壁面を通じて
プール内側の水中に音響として放射される。
Description
ール等の水中において音響を放射する水中音響放射装
置、水槽用水中音響放射装置及び船舶用水中音響放射装
置に関する。
レーの練習等に使用されるプール等においては、水中に
BGM(Back Ground Music)を流したり水中で演技等
を行う選手に種々の指示を与えるべく、水中スピーカが
利用されている。図32及び図33は、該プール等にお
ける水中スピーカの設置状態を例示した図である。図3
2及び図33に示すプールのコーナ2箇所に配設された
水中スピーカに、例えばBGM用の楽音信号を与える
と、水中スピーカから該楽音信号に対応する音が出力さ
れ、水を媒体として選手の耳に伝播する。水の中では選
手の外耳は水に遮られるため、鼓膜による聴力はなくな
るが、音が頭蓋骨を介して内耳に直接導かれる、いわゆ
る骨伝導により聴力を得ることができる。すなわち、水
中で演技等を行う選手は、かかる骨伝導により水中スピ
ーカから出力される音を聞き取ることが可能となる。
た従来の水中スピーカにおいては、広帯域(特に、低周
波帯域)の音の再生が極めて困難であり(詳細は後
述)、また、各水中スピーカから出力される音の周波数
特性ばらつきが大きいという問題(詳細は後述)があっ
た。また、水中スピーカを該プールに設置する場合に
は、例えば図33に示すように該水中スピーカを吊り下
げるための設備を設けるか(練習プールが仮設備の場合
等)、若しくは該水中スピーカを所定箇所に設置するた
めの図示せぬ専用ボックス及び保護部材等を設ける必要
があり(練習プールが固定設備の場合等)、さらには、
当該水中スピーカの指向特性を考慮して設置位置を決め
なければならいという問題があった。また、このような
水中スピーカは、仕様の特殊性から種類が限定され、コ
ストも高いという問題があった。本発明は、以上説明し
た事情を鑑みてなされたものであり、水中において広帯
域の音の再生が可能な水中音響放射装置、水槽用水中音
響放射装置及び船舶用水中音響放射装置を提供すること
を目的とする。
ため、本発明は、水中に音響を放射する装置であって、
水との境界面を形成し、振動可能な壁面と、前記壁面に
おける同一面上に設けられ、入力される電気信号を機械
的振動信号に変換して前記壁面を振動させる複数の振動
手段と、前記水中に放射すべき音響に対応した電気信号
を前記各振動手段に供給する振動制御手段とを具備する
ことを特徴とする。
における同一面上に設けられた複数の振動手段は、水中
に放射すべき音響に対応した電気信号を受け取ると、該
壁面を振動させ、水中に音響を放射する。本発明は、振
動可能な壁面を有する水槽や船舶等において、複数の振
動手段が該壁面自体を振動させるため、振動面積は水中
スピーカにおける振動板の面積等と比較して大きくな
る。このため、水中において広帯域(特に、低周波帯
域)の音の再生が可能となる。また、振動可能な壁面に
振動手段を設けるようにしたので、壁面自体は一体とな
って振動することになり、当該壁面で位相反転した音響
反射が生ずることもない。この結果、水中において、特
に低周波帯域の音を打ち消さずに明瞭に再生することが
可能となる。
(プール)に設けられ、当該水槽(プール)の水中に音
響を放射する装置であって、同一壁面に設けられ、入力
される電気信号を機械的振動信号に変換して当該壁面を
振動させる複数の振動手段と、前記水中に放射すべき音
響に対応した電気信号を前記各振動手段に供給する振動
制御手段とを具備することを特徴とする。
成する複数の壁面のうちの少なくともいずれかの壁面に
設けられた複数の振動手段は、水中に放射すべき音響に
対応した電気信号を受け取ると、該壁面を振動させ、水
中に音響を放射する。一般に、スピーカにおける振動面
積を大きくすることで、波長の長い低周波帯域の音を良
好に再生できることが知られているが(詳細は後述)、
本発明においては、水槽(プール)の壁面自体を振動さ
せるため、振動面積は水中スピーカ等と比較して大きく
なる。このため、水中において広帯域(特に、低周波帯
域)の音の再生が可能となる。また、振動可能な水槽
(プール)の壁面に振動手段を設けるようにしたので、
壁面自体は一体となって振動することになり、当該水槽
(プール)の壁面で位相反転した音響反射が生ずること
もない。この結果、水中において、特に低周波帯域の音
を打ち消さずに明瞭に再生することが可能となる。
舶から水中に音響を放射する装置であって、前記船舶の
船底部に設けられ、入力される電気信号を機械的振動信
号に変換して前記船底部を振動させる振動手段と、前記
水中に放射すべき音響に対応した電気信号を前記振動手
段に供給する振動制御手段とを具備することを特徴とす
る。
られた振動手段は、水中に放射すべき音響に対応した電
気信号を受け取ると、該壁面を振動させ、水中に音響を
放射する。一般に、スピーカにおける振動面積を大きく
することで、波長の長い低周波帯域の音を良好に再生で
きることが知られているが(詳細は後述)、本発明にお
いては、船舶の船底部自体を振動させるため、振動面積
は水中スピーカ等と比較して大きくなる。このため、水
中において広帯域(特に、低周波帯域)の音の再生が可
能となる。
くするため、シンクロナイズド・スイミング等に利用さ
れるプールに本発明を適用した実施の形態について説明
する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すもの
であり、本発明の技術的思想の範囲で任意に変更可能で
ある。
の分解斜視図であり、図2は、側壁ユニット2と床ユニ
ット3との結合部分を示す斜視図、図3は、図2におけ
るI−I線視断面図である。プール1は、例えば水泳選手
権大会開催時等に設置される仮設プールであり、FRP
(Fiberglass Reinforced Plastic;繊維強化プラスチ
ック)によって形成した側壁ユニット2、床ユニット
3、ガータユニット4等により構成されている。本実施
形態においては、水との境界面を形成するプールの壁面
部材を水中に放射する音響の振動板として機能させるた
め、できるだけ軽く、また剛性を保つ材料から構成する
ことが望ましい。かかる材料には、上記FRPのほか、
ステンレス、アルミニウム、銅等があり、これらの材料
により構成された壁面は、振動する際に壁面自体が薄板
として振動することになる。
うに、上下方向に延びる縦壁5と、この縦壁5の下端か
らプール内側へ略水平に延びる底壁6と、前記縦壁5の
上端からプール外側へ延びるコーピング7とが一体に形
成されている。図1に示すように、前記縦壁5とコーピ
ング7にはプール外側へ延びる多数のフランジ8が一体
に形成され、また、図1及び図3に示すように縦壁5の
水平方向の両端部には結合用のフランジ8aが設けられ
ている。
平面視長方形の板状に形成され、枠状に組立てた側壁ユ
ニット2の内側に敷き詰めるように多数配設されてい
る。ガータユニット4は、プール1内の水を図示せぬ排
水装置に導くためのもので、図1に示すように、上方に
向けて開口する断面コ字状に形成したガータ4aと、こ
のガータ4aの開口部に取付けたスリット付きカバー4
bとにより構成されている。
って形成した各ユニット2〜4をリベットやボルト等の
締結部材によって互いに締結して組み立てたものであ
る。かかるプール1の構成等については本願発明の趣旨
とは直接関係がないため、これ以上の説明は省略する。
なお、FRPによって形成した複数のユニットを締結し
て組み立てたプール(以下、適宜FRPプールという)
の構成等については、例えば特開2001−98781
号公報に詳記されている。
は、側壁ユニット2をプール外側(図2参照)から見た
本実施形態に係る水中音響放射装置100を説明するた
めの模式図であり、図5は、図4における側壁ユニット
2のII−II線視断面図である。図4に示すように、水中
音響放射装置100は、プール1の側壁ユニット2の裏
面(プール外側の面)に直接取り付けた振動源たる複数
のアクチュエータ200、発生すべき音響に対応した電
気信号を該アクチュエータ200に供給する振動制御装
置300等により構成されている。
2の裏面に一定間隔毎に設けられたフランジ8と該フラ
ンジ8と直交する方向に延びる板状部材9によって形成
された幅500(mm)、高さ1500(mm)の裏面
ユニット10のほぼ中心位置に設けられている。図5に
示すように、FRP及びアクリル発泡材等により形成さ
れた裏面ユニット10のほぼ中心位置には、該アクリル
発泡材等を切り欠いて形成したアクチュエータ取り付け
用の切り欠き部11が設けられており、該切り欠き部1
1にはアクチュエータ200が接着剤等によって直接固
定(密着固定)されている(図5参照)。
アクチュエータ200を図5に示す矢印方向から見た図
であり、図7は図6におけるアクチュエータ200のII
I−III線視断面図である。アクチュエータ200は、円
筒状のカバー210と、該カバー210とネジ等により
固着された振動伝達可能なフレーム220とにより閉容
器を構成している。図6に示すように、このアクチュエ
ータ200は、フレーム220の裏面に塗布された接着
剤等により、裏面ユニット10の切り欠き部11に直接
固定されている。フレーム220は、アルミニウム、ス
テンレスなど振動伝達可能な種々の材質によって形成さ
れており、図7に示すように該フレーム220のほぼ中
央内側には、一端が固定され、他端側外周にボイスコイ
ル230が巻かれた円筒形状の管部材が設けられてい
る。
ドーナツ板状のプレート(第1の極片)240と、該プ
レート240に一端が固定された永久磁石250と、該
永久磁石250の他端に一端が固定され、中心からフレ
ーム220側に延びた円柱部を有するボトム(第2の極
片)260と、一端が該ボトム260の他端と固定さ
れ、他端がカバー210の上面内側に固定されたダンパ
ー270が設けられている。
は、上記第1の極片240と上記第2の極片260とを
介してボイスコイル230に交差するように閉磁路を形
成している。このボイスコイル230に振動制御装置3
00からケーブル280を介して水中に伝播すべき音響
に対応した電気信号が供給されると、該電気信号は上記
第1の極片240、第2の極片260、ボイスコイル2
30により機械的振動信号に変換され、振動伝達可能な
フレーム220を振動させる。前述したように、フレー
ム220は、接着剤等により裏面ユニット10の切り欠
き部11と直接固定されているため、該フレーム220
において発生した振動は、フランジ8で囲まれた裏面ユ
ニット10全体、すなわち薄板に伝達され、プール内側
の水中に音響として放射されることとなる(図5参
照)。
200の配置例を模式的に示した図である。図8に示す
長さ50(m)、幅25(m)、深さ3(m)のプール
1には、96個のアクチュエータ200が飛び込み側の
側壁面の裏面(プール外側)に設けられている。詳述す
ると、飛び込み側の側壁面を形成する複数の側壁ユニッ
ト2の裏面には、センターラインから左方向(約12
(m))の上段に24個のアクチュエータ200が一定
間隔で設置され、同数(すなわち、24個)のアクチュ
エータ200が同間隔で下段に設置されている。
(m))についても同様に、上段には24個のアクチュ
エータ200が一定間隔で設置され、同数のアクチュエ
ータ200が同間隔で下段に設置されている。ここで、
側壁ユニット2の裏面には、幅500(mm)、高さ1
500(mm)の裏面ユニット10が多数形成されてい
る(図4参照)。アクチュエータ200を取り付ける際
には、該裏面ユニット10のほぼ中心位置を定め、該中
心位置にアクチュエータ200を取り付けることで、側
壁面の裏面に一定間隔で複数のアクチュエータ200を
設置することが可能となる。このように、飛び込み側の
側壁面を形成する複数の側壁ユニット2の裏面に設けら
れた複数のアクチュエータ200は、ケーブル280を
介して振動制御装置300に接続されている。
動制御装置300の構成を示す図である。振動制御装置
300は、ミキサー310と、コンプレッサー320−
1、320−2と、アンプ330−1〜330−4とを
具備している。なお、以下の説明において、2台のコン
プレッサー320−1、320−2及び4台のアンプ3
30−1〜330−4を特に区別する必要がない場合に
は、単にコンプレッサー320及びアンプ330とい
う。
ら入力される音声信号や、図示せぬ楽音生成/再生装置
において生成若しくは再生されるBGM等の楽音信号等
を入力し、ミキシング処理等を施した後、コンプレッサ
ー320に出力する。このミキサー310は、イコライ
ジング機能、レベル調整機能を備え、ミキシングした後
の1チャンネル(CH)の信号を4CHに分岐し、分岐
後の各信号に対してイコライジング処理、レベル調整処
理等を施し、コンプレッサー320に出力する。
CH出力仕様となっており、アクチュエータ200に入
力される信号が過大にならないよう、ミキサー310か
らの入力信号を制御し、アンプ330に出力する。アン
プ330は、1CH入力/4CH出力仕様となってお
り、ミキサー310からコンプレッサー320を介して
入力される1CHの信号を増幅し、4CHに分岐し、当
該アンプ330に接続された複数のアクチュエータ20
0に出力する。詳述すると、アンプ330−1、330
−2、330−3、330−4の各々は、前掲図8に示
す左側上段、左側下段、右側上段、右側下段の各々に設
置された24個のアクチュエータ200にそれぞれ接続
されている。
330との接続例を示す図である。図10に示す6個の
アクチュエータ200−1〜200−6は、前掲図8に
示すブロックAに設けられたアクチュエータであり、ア
ンプ330−1の1CH正端子にはアクチュエータ20
0−2、200−4、200−6が接続され、アンプ3
30−1の1CH負端子にはアクチュエータ200−
1、200−3、200−5が接続され、アクチュエー
タ200−2とアクチュエータ200−1、アクチュエ
ータ200−4とアクチュエータ200−3、アクチュ
エータ200−6とアクチュエータ200−5とがそれ
ぞれ直列に接続されている。
につきアンプ1CHを使用することで、1台のアンプ3
30−1で左側上段に設置された24個のアクチュエー
タ200を駆動することが可能となる。なお、その他の
アンプ330−2、330−3、330−4とアクチュ
エータ200との接続については、同様に説明すること
ができるため、説明を割愛する。
0は、前述した楽音生成/再生装置等からBGM等の楽
音信号等を受け取ると、該楽音信号にイコライジング処
理、レベル調整処理等を施し、増幅した後の電気信号を
アクチュエータ200に出力する。ここで、例えば側壁
面の裏面に設けられた複数のアクチュエータ200を同
期して同相で駆動する場合には、ミキサー310におい
て分岐された1CH〜4CHの各信号に対して同様のイ
コライジング処理、レベル調整処理等を施す。
壁面の裏面に設けられた複数のアクチュエータ200に
同一レベルの電気信号が供給され、この結果、各アクチ
ュエータ200は同期して同相で駆動され、プール内側
の水中に音響として放射されることとなる。以下、従来
技術の項において説明した水中スピーカを比較例とし、
本実施形態に係る水中音響放射装置100から得られる
種々の効果について説明を行う。
水中スピーカを用いて周波数特性評価実験を行った場合
の実験結果を示す図である。なお、図11に示す横軸
は、水中スピーカから出力される音響の周波数(Hz)
を示し、縦軸は、測定器の精度を入力電圧1.0(V)
=0(dB)になるように設定し、その基準からの相対
的な水中内の音圧レベル(dB)を示す。 a)実験条件 ・FRPプールの側壁に水中スピーカ(寸法;直径20
(cm)×高さ6(cm))を設置し、該水中スピーカ
から3.5(m)離間した地点に水中マイクを設置し、
測定した。
に、水中スピーカによって低周波帯域(特に、250
(Hz)以下の帯域)の音が再生された場合に得られる
音圧レベルは、中〜高周波帯域の音が再生された場合に
得られる音圧レベルに比べ、非常に小さい。これは、水
中(音速;約1460(m/s))における音の波長が
空気中(空気中での音速;340(m/s))における
波長よりも長く、この波長の長い低周波域の音を再生す
るのに十分なスピーカの振動面積を有していないことに
起因する。換言すれば、この波長の長い低周波域の音を
再生するには、スピーカの振動面積を十分に広くする必
要がある。なお、音響分野においては、振動面積を広く
することで、音響放射効率が高められると共に、広い領
域において均等な音圧分布が得られることが知られてい
る(以下、周知事項という)。
果を示す図であり、図13は、本実験において使用した
スピーカアレイを説明するための図である。かかる実験
では複数の平板スピーカ(寸法;縦150(mm)×横
335(mm))により大、小、2種のスピーカアレイ
を形成し、各スピーカアレイを用いて周波数特性評価を
行った。実験条件に関する詳細は次の通りである。
横1005(mm) b)大スピーカアレイSP8・・・縦600(mm)×
横8040(mm) なお、実験では小スピーカアレイSP1を平板スピーカ
12枚(縦4枚×横3枚)により形成し、大スピーカア
レイSP8を平板スピーカ96枚(縦4枚×横24枚)
により形成した(図13参照)。また、実験ではスピー
カアレイSP1、SP8から種々の周波数帯域の音を再
生し、各スピーカアレイSP1、SP8から10
(m)、20(m)、30(m)離間した地点(測定
点)において音圧レベルSPF1、SPF8を測定し
た。
に、スピーカアレイFPS1、FPS8を用いて低周波
帯域の音を再生した場合に各測定点において測定される
音圧レベルは、小スピーカアレイFPS1を用いたとき
よりも大スピーカアレイFPS8を用いたときの方が高
くなっている。このように、スピーカにおける振動面積
(スピーカアレイの寸法に対応)を大きくすることで、
波長の長い低周波帯域の音を良好に再生できることが実
証された。なお、図12に示す実験結果は空気中におい
て実験を行った結果を示すものであるが、空気以外の媒
質(水等)についても、スピーカにおける振動面積を大
きくすることで、波長の長い低周波帯域の音を良好に再
生できるといった効果が得られる。
示すように、側壁ユニット2の裏面には幅500(m
m)、高さ1500(mm)の裏面ユニット10が多数
形成され、各裏面ユニット10の中心位置には当該裏面
ユニット10を振動させるアクチュエータ200が設け
られている。本実施形態では、各裏面ユニット10に設
けたアクチュエータ200を同期して同相で駆動するた
め、上述した振動面積は24(m)×3(m)、すなわ
ち該アクチュエータ200が設けられた面積となる。こ
の振動面積は、水中スピーカの振動面積(直径20(c
m)×高さ6(cm))に比して大きい。従って、本実
施形態に係る水中音響放射装置100を採用することに
より、波長の長い低周波帯域の音を良好に再生できると
いった効果を得ることができる。
ピーカの指向特性は、公知文献(電気音響振動学、電気
通信学会編、コロナ社、p52〜p54)等に記載され
ている円形平面音源の理論より、振動面の直径と波長の
比により決定される。ここで、該指向特性は振動面の直
径が大きいほど鋭くなるため、振動面積が大きい水中音
響放射装置100の指向特性は、振動面積が小さい水中
スピーカの指向特性より鋭くなる。一般に、低周波帯域
の音は無指向性を示すのに対して中〜高周波帯域の音は
鋭い指向性を示すため、プール内に水中スピーカを数個
設置した場合には、場所によって周波数特性変化が大き
く異なってしまう。これに対し、本実施形態に係るプー
ルには1の側壁面の裏面ほぼ全面に複数のアクチュエー
タ200が一定間隔で設置されているため、当該アクチ
ュエータ200の設置幅に対応したエリアにおいて遠方
でも均一な音圧と周波数特性を実現することができる。
ら放射された音波が反射する場合を説明するための図で
あり、図14(a)は壁面がコンクリートにより形成さ
れたコンクリートプールにおいて水中スピーカから放射
された音波が反射する場合を説明するための図、図14
(b)は、本実施形態が対象とするFRPプールにおい
てスピーカから放射された音波が反射する場合を説明す
るための図である。
プールのコンクリート側壁面近傍に水中スピーカ(コン
クリート側壁と水中スピーカとの間の距離;L1)が設
置された状態において、該水中スピーカから音波が出力
された場合、該音波はコンクリート側壁面で反射する
が、コンクリート側壁の外側は、例えばコンクリートや
土などによって固定されているため、コンクリート側壁
は固定端としてふるまうこととなり、固定端反射した音
波には反射による位相のずれ(位相の反転)は発生しな
い。詳述すると、図14(a)に示す鏡像位置には、水
中スピーカと同相の音波(すなわち、位相ずれが生じて
いない音波)を出力する音源(鏡像音源)が設置されて
いると仮想することができ、特に水中スピーカとコンク
リート側壁との間の距離L1が該水中スピーカから放射
される音波の波長に比して小さい場合には、該水中スピ
ーカから放射される音波が鏡像音源から放射される音波
(すなわち、固定端反射した音波)によって打ち消され
ることはほとんどない。
プールのFRP側壁面近傍(FRP側壁と水中スピーカ
との間の距離;L1)に水中スピーカが設置された状態
において、水中スピーカらから音波が出力された場合、
該音波はFRP側壁面で反射するが、コンクリート側壁
と異なりFRP側壁は柔らかく、また、側壁面外側には
自由な空間として空気層が存在しているため壁自体が自
由に振動できる状態にある。従って、反射の際には該側
壁面自体が振動し、自由端としてふるまうこととなり、
自由端反射した音波には反射による位相のずれ(位相ず
れ量はπ)が生じてしまう。詳述すると、図14(b)
に示す鏡像位置には、位相がπずれた音波(位相反転し
た音波)を出力する鏡像音源が設置されていると仮想す
ることができ、該水中スピーカから放射される音波は鏡
像音源から放射される音波(すなわち、自由端反射した
音波)により打ち消され、音が小さくなってしまうとい
う不具合が生じる。特に、水中スピーカから波長の長い
低周波帯域の音波が放射された場合には、上記不具合が
顕著に現れる。以上説明したFRPプールに特有の現象
は、本願出願人が実験等により新たに得た知見である。
射装置100は、プール1の側壁面の裏面ほぼ全面に設
置したアクチュエータ200により、側壁面そのものを
振動させて水中に音響を放射する(図8参照)。このた
め、上述した問題、すなわち鏡像音源から出力される位
相反転した音波の発生等は原理上もなく、周波数特性上
位相反転した音波の発生により打ち消される音もないた
め、広帯域の音を明瞭に再生することができる。
クチュエータ200は、プール1の側壁面の裏面ほぼ全
面に設置されている。すなわち、上述した水中スピーカ
と異なり水中に設置する必要がないため、プール1の内
側に水中スピーカを設置するためのスペースや、該プー
ル1の内側に水中スピーカを設置するための設備(具体
的には、該水中スピーカを吊り下げるための設備や、専
用ボックス及び保護部材等)を設ける必要がない。ま
た、水中スピーカにおいては、設置可能な水深が規制
(例えば、水深10(m)以下等)されているが、該ア
クチュエータ200はプール1の側壁面の裏面に設置さ
れるため、例えば水深10(m)以上の深いプール等に
も設置することができる。
水中スピーカを設置する場合には、上述した水中スピー
カの指向特性を考慮して設置位置を決定する必要があっ
たが、本実施形態に係るアクチュエータ200は、プー
ル1の側壁面の裏面ほぼ全面に一定間隔で設置すれば良
く、細かい調整等は不要である。
水中スピーカを設置する場合には、競泳、シンクロナイ
ズド・スイミング等の競技別、用途別に水中スピーカを
設置したり、撤去したりしなけれればならないが、本実
施形態に係るアクチュエータ200はプール1の外側に
設置するため、当該アクチュエータ200の電源をON
/OFFすることのみにより対応することができる。こ
れにより、常設することができ、競技別、用途別に設
置、若しくは撤去するといった煩雑な操作を行う必要が
なくなる。
の特殊性から種類が限定され、コストも高いという問題
があったが、アクチュエータ200やアンプ330等
は、既存のアクチュエータやアンプ等を用いることがで
きるため、低廉なコストで水中音響放射装置100を構
成することができる。
中に設置されるため、水の侵入等を防止する防水構造
や、該水中スピーカに内蔵されたアンプ等の漏電を検出
し、自動遮断する安全回路等を備える必要があったが、
本実施形態に係るアクチュエータ200は、プール1の
側壁面の裏面(すなわち、空気層側)に設置されるた
め、これらの設備は一切不要となり、コストを抑制する
ことが可能となる。
施形態はあくまで例示であり、上記実施形態に対して
は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加
えることができる。変形例としては、例えば以下のよう
なものが考えられる。
RPによって形成した複数のユニットを締結して組み立
てたプール1を例に説明を行ったが、例えばステンレス
板、アルミニウム板、銅板等によって構成されたプール
1にも適用可能である。すなわち、本発明は、アクチュ
エータ200による振動伝達が可能な物質にって構成さ
れたあらゆるプール1に適用可能である。また、本実施
形態では、仮設プールを例に説明を行ったが、固定設備
のプールに適用することができるのは勿論である。
てFRP等の薄板で構成されているプール(FRPプー
ル)を例に説明したが、周囲が固定のコンクリート壁に
よって構成されているプール(コンクリートプール)に
本発明を適用することも可能である。具体的には、該コ
ンクリートプールにFRPによって形成されたしきり板
(FRPしきり板)を設け、該FRPしきり板にアクチ
ュエータ200を密着固定して音響放射を行う。該FR
Pしきり板の設置に関して詳述すると、長さ50
(m)、幅25(m)、深さ3(m)のコンクリートプ
ールであれば、該コンクリートプールの適当な位置(長
さ方向3(m)地点等)に、例えば幅25(m)、深さ
3(m)のFRPしきり板を設ける。このように、従来
のコンクリートプールに本発明を適用することも可能で
ある。
クチュエータ200として、動電型のアクチュエータを
例に説明を行ったが、水中音響放射装置100の設計等
に応じて圧電型、電磁型、静電型等の種々のアクチュエ
ータを採用することができる。ただし、多数のアクチュ
エータ200を使用することを鑑みれば、小型で高出力
のものが望ましく、圧電型や動電型等のコンパクトなア
クチュエータが望ましい。
は、プール1の側壁面の裏面ほぼ全面に一定間隔でアク
チュエータ200を設置した場合について説明を行った
が、当該側壁面の所定エリア(例えば、図8に示すセン
ターラインから左右10(m)の範囲等)にのみアクチ
ュエータ200を設置しても良い。また、該アクチュエ
ータ200を設置する側壁面は1面に限らず、例えば該
側壁面と隣接する側壁面、あるいは該側壁面と対向する
側壁面等に該アクチュエータ200を設ける等、複数の
側壁面にアクチュエータ200を設置するようにしても
良い。また、本実施形態では、側壁面の裏面の上下2段
にアクチュエータ200を設置したが、上段のみに該ア
クチュエータ200を設置しても良く、また水深の深い
プール等においては側壁面の裏面を複数段(例えば、
上、中、下段等)に分割し、各段毎にアクチュエータ2
00を設置しても良い。
ール1に対するアクチュエータ200の配置例を模式的
に示した図である。図15に示すように、変形例4に係
るプール1の側壁面の裏面下段には48個のアクチュエ
ータ200が一定間隔L1(本実施形態と同様の間隔)
で設けられ、プール1の側壁面の裏面上段には24個の
アクチュエータ200が一定間隔L2(=2*L1)で
設けられている。このように、側壁面の裏面上段にアク
チュエータ200を設ける間隔と該側壁面の裏面下段に
アクチュエータ200を設ける間隔とを異ならせるよう
にしても良い。また、本実施形態において説明した種々
の効果(周波数特性等)が得られるのであれば、該側壁
面の裏面に一定間隔でアクチュエータ200を設けるこ
となく、ランダムな間隔でアクチュエータ200を設け
るようにしても良い。
エータ200の配置例とは異なる配置例を模式的に示し
た図である。図16に示すように、プール1の側壁面の
裏面には、48個のアクチュエータ200が千鳥状に配
置されている。詳述すると、プール1の側壁面の裏面上
段及び下段には、それぞれ24個のアクチュエータ20
0が一定間隔L2で設けられ、各アクチュエータ200
が上段と下段との間において互い違いに配置されてい
る。
クチュエータ200を千鳥状(図16参照)に配置し、
各アクチュエータ200を駆動したときの側壁面の振動
加速度レベルを実測した結果を示す図であり、図18
は、図16に示すプール1の側壁面の部分拡大図であ
る。なお、振動加速度レベルを実測する際には、振動を
検知するための振動ピックアップをプール1の側壁面の
表面(プール内側)の所定箇所(地点A〜D;図18参
照)にそれぞれ取り付け、測定を行った。
z)程度までの振動加速度レベルは、アクチュエータ2
00−kの設置背後の地点Bと、その他の地点A、C、
Dとの間において大きな差は認められない。これに対
し、600(Hz)以上の周波数域においては、地点
A、C、Dにおける振動加速度レベルが、地点Bにおけ
る振動加速度レベルよりも低くなる傾向が認められる。
また、全周波数帯域において、A地点における振動加速
度レベルとD地点における振動加速度レベルとの間に大
きな差は認められない。
である。まず、A地点に取り付けられた振動ピックアッ
プは、アクチュエータ200−kによる振動を主に検出
する。一方、D地点に取り付けられた振動ピックアップ
は、アクチュエータ200−kによる振動及びアクチュ
エータ200−lによる振動を主に検出する。そして、
このA地点に取り付けられた振動ピックアップによって
検出される振動加速度レベルとD地点に取り付けられた
振動ピックアップによって検出される振動加速度レベル
との間に大きな差が認められていない。よって、アクチ
ュエータ200の配置は、図16等に示すように一定間
隔L2で千鳥状に配置することが必要十分な配置といえ
る。
ル1の側壁面の裏面に一定間隔L2で千鳥状に配置する
ことにより、振動特性の劣化を招くことなく、必要なア
クチュエータ200の数を減らすことができ、これによ
り水中音響放射装置100の製造コストを低減すること
が可能となる。
は、プール1の側壁面の裏面に複数のアクチュエータ2
00を設置した場合について説明を行ったが、例えばプ
ール1の側壁面の表面(水中側)に複数のアクチュエー
タ200を設けるようにしても良い。この場合、該アク
チュエータ200には、水の侵入等を防止する防水機構
や、該水中スピーカに内蔵されたアンプ等の漏電を検出
し、自動遮断する安全回路等を適宜設ける必要はある
が、波長の長い低周波域の音を良好に再生でき、かつア
クチュエータ200の設置幅に対応したエリアにおいて
遠方でも均一な音圧と周波数特性を実現することができ
るといった効果(第1の効果)や、広帯域の音を明瞭に
再生することができるといった効果(第2の効果)等を
得ることができる。従って、プール1の側壁面の裏面に
該アクチュエータ200を設置するスペースがない場合
等においては、プール1の側壁面の表面(水中側)に該
アクチュエータ200を設置することも可能である。
は、プール1の側壁面の裏面に設置した複数のアクチュ
エータ200を同期して同相で駆動する場合について説
明を行ったが、例えば該側壁面の裏面上段に設けたアク
チュエータ200を使用して中〜高周波帯域の音を再生
する一方、該側壁面の裏面下段に設けたアクチュエータ
200を使用して低周波帯域の音を再生したり、該側壁
面の裏面上段に設けたアクチュエータ200を駆動する
タイミングと該側壁面の裏面下段に設けたアクチュエー
タ200を駆動するタイミングをずらすように制御して
も良い。また、該側壁面を介して水中に放射される音響
に種々の効果(リバーブ等)を付加すべく、本実施形態
において説明した振動制御装置300の代わりにエフェ
クト機能、音質調整機能等を備えた振動制御装置300
を設けるようにしても良い。
は、前掲図10に示すように1台のアンプ330(4C
H出力)で24個のアクチュエータ200を駆動(アン
プ1CHで6個のアクチュエータを駆動)する構成であ
ったが、アンプ1台で何個のアクチュエータ200を駆
動するか等については、振動制御装置300の設計等に
応じて適宜変更可能である。
ール1に水中音響放射装置100を設けた場合について
説明を行ったが、例えば水中植物や観賞魚の育成等に使
用する水槽、貯蔵タンク、浴槽、いけすや、酒、醤油、
みそ等の醸造に使用する容器等の液状媒質を蓄えるもの
に水中音響放射装置100を設け、水中植物等の育成を
促すべく、該水槽等の内部にBGM等の音響を放射する
ようにしても良い。すなわち、特許請求の範囲に記載の
水槽とは、上記液状媒質を蓄えることが可能なあらゆる
ものをいう。
は、プール1の側壁面の裏面にアクチュエータ200を
取り付けた場合について説明したが、プール1の底壁面
の裏面にアクチュエータ200を取り付けるようにして
もよい。図19は、変形例9に係るプール1に対するア
クチュエータ200の配置例を模式的に示した図であ
り、図20及び図21はプール1を上から見た図であ
る。
は、コンクリート等の剛性部材によって形成された複数
の凸部500によって支持されている。そして、プール
1の底壁面における各凸部500の間には、上述した本
実施形態等と同様、複数のアクチュエータ200が取り
付けられられており、これにより底壁面から水面に向か
って音響が放射される。なお、アクチュエータ200の
配置位置に関し、例えば図20に示すように、底壁面の
競技エリアに対応する底壁面に複数のアクチュエータ2
00を所定間隔L3で配置しても良いが、例えば図21
に示すように該底壁面に複数のアクチュエータ200を
所定間隔L4で千鳥状に配置しても良い。
なく、底壁面の裏面にアクチュエータ200を取り付け
た理由は、次の通りである。すなわち、水中に放射され
た音響は、水面と水底面(底壁面)との間を繰り返し反
射しながらある距離を伝搬(いわゆる“浅海”伝搬)し
ていくが、この“浅海”伝搬においては、放射された音
響(音)の周波数が低く、水深がこの音の波長と同程度
になると、下記式(1)によって表される遮断周波数f
0以下の信号が伝搬されない現象が生ずるようになる
(なお、遮断周波数に関する詳細は、I.Tolstoy and C.
S.Clay,“OCEAN ACOUSTICS:Theory and Experiment in
Underwater Sound”,1987等に詳記されている)。
の距離による周波数特性変化をシュミレーションしたと
きの条件等を示す説明図であり、図23は、シュミレー
ション結果を示す図である。図22に示すように、音源
となる水中スピーカを水深2m地点に配置すると共に、
水深1m地点であって、該水中スピーカから1m、2
m、5m、10m、15m離間した各地点a〜eに水中
マイクを配置した場合を想定してシュミレーションを行
った。
近い地点においては、上記式(4)を利用して求めた遮
断周波数f0(=128(Hz))以下の周波数の音の
減衰は小さいものの、音源から遠い地点においては、距
離が離れるほど、遮断周波数f0以下の周波数の音の減
衰は大きくなることが明らかになった。
Pによって形成)を利用して上記周波数特性変化を実測
したときの条件等を示す説明図であり、図25は、実測
結果を示す図である。図24に示すように、音源となる
水中スピーカを水底(水深3m地点)に配置すると共
に、水深1.5m地点であって、該水中スピーカから5
m、20m離間した各地点a’、b’に水中マイクを配
置して実験を行った。
遮断周波数f0’以下の周波数の減衰は、音源から近い
地点a’における遮断周波数f0’以下の周波数の減衰
よりも大きくなることが明らかになった。なお、かかる
実測結果では、図25に示すb’のカーブの60Hz近
傍においてピークが認められるが、これは同図に示すB
GN(電源周波数によるハム)の影響によるものと考え
られる。かかる周波数における特性を無視して減衰量
(図25に示す、a’とb’の差)に注目すれば、遮断
周波数f0’以下の周波数帯域で一様に減衰しており、
これはシュミレーション結果を裏付けるものである。
測結果から明らかなように、音源から距離が離れると音
の減衰は大きくなるため、例えば図8に示すようにプー
ル1の側壁面の裏面にアクチュエータ200を配置した
場合には、該側壁面から離れた位置(水中)で演技等を
行う競技者に遮断周波数f0近傍の周波数の音が伝搬さ
れない等の問題が生じてしまう。
の裏面にアクチュエータ200を取り付け、底壁面から
水面に向かって音響を放射することで、上記遮断周波数
f0近傍の周波数の音が競技者に伝搬されないといった
問題を回避している。
の距離(水深)は、1〜3m程度であるため、底壁面に
取り付けたアクチュエータ200(音源)から競技者ま
での距離は、この水深程度の距離に収まる。このよう
に、プール1の底壁面の裏面にアクチュエータ200を
取り付けることにより、音響を伝搬すべき距離は短くな
り、この結果、音源から競技者までの距離が離れていた
ために遮断周波数f0近傍の周波数の音が競技者に伝搬
されないといった問題を回避することが可能となる。
1の側壁面の裏面にアクチュエータ200を取り付ける
代わりに、底壁面の裏面にアクチュエータ200を取り
付けた場合について説明したが、両者を併用してプール
1の側壁面及び底壁面の裏面に、それぞれアクチュエー
タ200を取り付けるようにしても良い。
チュエータ200については、音源からの距離によら
ず、減衰が小さい中・高周波帯域の音を水中に放射さ
せ、一方底壁面に取り付けたアクチュエータ200につ
いては、音源からの距離に応じて大きく減衰する低周波
帯域の音を水中に放射させるように構成しても良い。
コンクリート等の剛性部材によって形成された複数の凸
部500によって支持すると共に、各凸部500の間に
複数のアクチュエータ200を取り付けた場合について
説明したが、例えば図26のA、B、Cに示すようにプ
ール1の底壁面自体に複数の凸部600を設け、各凸部
600にアクチュエータ200を1つ(若しくは複数)
取り付けるようにしても良い。
では、アクチュエータ200を接着剤等によって側壁面
に直接固定(図5参照)した場合について説明したが、
側壁面とアクチュエータ200とをさらに強固に固着さ
せるべく、図27に示すように、該側壁面にアクチュエ
ータ200密着用の梁Hを設けるようにしても良い。
では、プール1に水中音響放射装置100を設けた場合
について説明を行ったが、例えば大型、小型等の船舶や
潜水艦等に上述した水中音響放射装置100を設けるこ
とも可能である。図28は、本変形例に係る船舶400
の外観を示す図であり、図29は図28に示す船底部4
10のIV−IV線視断面図である。図28に示す船舶40
0の船底部410は、上述したFRP等によって形成さ
れ、該船底部410の内側平面部410a(図29参
照)には、複数のアクチュエータ200が設けられ、各
アクチュエータ200はケーブル等を介して振動制御装
置300に接続されている。
る船長等は、図示せぬマイク等を使用して、海中で海底
調査等を行っているダイバーに指示等を与える。振動制
御装置300は、マイクを介して該指示内容に対応する
音声信号等を受け取ると、該音声信号にイコライジング
処理、レベル調整処理等を施し、増幅した後の電気信号
を平面部410aに一定間隔で設置された複数のアクチ
ュエータ200に出力する。アクチュエータ200は、
受け取った電気信号を機械的振動信号に変換して平面部
410aを振動させ、これにより該指示内容に対応した
音声が放射される。海中で海底調査等を行っているダイ
バーは、船舶400の平面部410aから放射される音
声を聴取すると、該音声の指示内容に基づき調査エリア
の変更等を行う。
平面部410aに複数のアクチュエータ200を一定間
隔で設置することも可能であるが、例えば図30及び図
31に示すように、船底部410の内側曲面部410b
や、船底部410の内側全面部410cに複数のアクチ
ュエータ200を一定間隔で設けることも可能である。
このように、船底部410の内側全面部410cに複数
のアクチュエータ200を一定間隔で設けた場合には、
該船舶400を中心としてあらゆる方向にBGM、音声
等の音響を放射することが可能となる。なお、本変形例
に上述した各変形例を適用することができるのは勿論で
ある。
水中において広帯域の音の再生が可能となる。
る。
との結合部分を示す図である。
ある。
す図である。
図である。
を行った場合の実験結果を示す図である。
験を行った場合の実験結果を示す図である。
説明するための図である。
ータの配置例を示す図である。
ータの配置例を示す図である。
果を示す図である。
る。
ータの配置例を示す図である。
る。
る。
レーションしたときの条件等を示す説明図である。
す図である。
ときの条件等を示す説明図である。
ータの取り付け方法を例示した図である。
梁を説明するための図である。
る。
置状態を例示する図である。
置状態を例示する図である。
面ユニット、100・・・水中音響放射装置、200・
・・アクチュエータ、300・・・振動制御装置、31
0・・・ミキサー、320・・・コンプレッサー、33
0・・・アンプ、400・・・船舶、410・・・船底
部、410a・・・平面部、410b・・・曲面部、4
10c・・・全面部。
Claims (12)
- 【請求項1】 水中に音響を放射する装置であって、 水との境界面を形成し、振動可能な壁面と、 前記壁面における同一面上に設けられ、入力される電気
信号を機械的振動信号に変換して前記壁面を振動させる
複数の振動手段と、 前記水中に放射すべき音響に対応した電気信号を前記各
振動手段に供給する振動制御手段とを具備することを特
徴とする水中音響放射装置。 - 【請求項2】 前記壁面は、軽量かつ剛性を保つ材料か
らなる薄板により構成されることを特徴とする請求項1
に記載の水中音響放射装置。 - 【請求項3】 複数の壁面を有する水槽に設けられ、当
該水槽の水中に音響を放射する装置であって、 同一壁面に設けられ、入力される電気信号を機械的振動
信号に変換して当該壁面を振動させる複数の振動手段
と、 前記水中に放射すべき音響に対応した電気信号を前記各
振動手段に供給する振動制御手段とを具備することを特
徴とする水槽用水中音響放射装置。 - 【請求項4】 前記水槽は、プールであることを特徴と
する請求項3に記載の水槽用水中音響放射装置。 - 【請求項5】 前記同一壁面におけるプールの外側の面
に、前記複数の振動手段を設けたことを特徴とする請求
項4に記載の水槽用水中音響放射装置。 - 【請求項6】 前記同一壁面におけるプールの外側の面
に、前記複数の振動手段を一定間隔毎に設け、 前記振動制御手段は、前記電気信号を前記各振動手段へ
同期して供給することを特徴とする請求項4に記載の水
槽用水中音響放射装置。 - 【請求項7】 前記同一壁面は、プールの側壁面であっ
て、 前記側壁面におけるプールの外側の面に、前記複数の振
動手段を千鳥状に設けたことを特徴とする請求項6に記
載の水槽用水中音響放射装置。 - 【請求項8】 複数の壁面によって構成される水槽に設
けられ、当該水槽の水中に音響を放射する装置であっ
て、 前記水槽の底壁面に設けられ、入力される電気信号を機
械的振動信号に変換して当該底壁面を振動させる振動手
段と、 前記水中に放射すべき音響に対応した電気信号を前記振
動手段に供給する振動制御手段とを具備することを特徴
とする水槽用水中音響放射装置。 - 【請求項9】 船舶に設けられ、当該船舶から水中に音
響を放射する装置であって、 前記船舶の船底部に設けられ、入力される電気信号を機
械的振動信号に変換して前記船底部を振動させる振動手
段と、 前記水中に放射すべき音響に対応した電気信号を前記振
動手段に供給する振動制御手段とを具備することを特徴
とする船舶用水中音響放射装置。 - 【請求項10】 前記船底部は、曲面部を有し、当該曲
面部に前記振動手段を複数設けたことを特徴とする請求
項9に記載の船舶用水中音響放射装置。 - 【請求項11】 前記曲面部に前記各振動手段を一定間
隔毎に設け、 前記振動制御手段は、前記電気信号を前記各振動手段へ
同期して供給することを特徴とする請求項10に記載の
船舶用水中音響放射装置。 - 【請求項12】 前記複数の振動手段を、前記船舶内側
の前記曲面部に設けたことを特徴とする請求項10また
は11のいずれかに記載の船舶用水中音響放射装置。
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