JP2003082559A

JP2003082559A - ストレッチ織物

Info

Publication number: JP2003082559A
Application number: JP2001276223A
Authority: JP
Inventors: Masamichi Ueki; 正通植木; Yoshinori Wada; 芳典和田; Yoshio Kohama; 義雄小浜
Original assignee: Toray Industries Inc
Current assignee: Toray Industries Inc
Priority date: 2001-09-12
Filing date: 2001-09-12
Publication date: 2003-03-19

Abstract

(57)【要約】【課題】ポリウレタン弾性糸を使用することなく、ポリ
アミド系合成繊維フィラメント糸の優れた特性を維持し
つつ、織物がフカツキ、シボのない平面平滑性のある表
面感であり、さらには織物のタテ、ヨコに優れた適度な
ストレッチ性を有する安価なポリアミド・ストレッチ織
物を提供する。【解決手段】ポリアミド系合成重合体の溶融紡糸時に高
融点ワックス配合の収束平滑剤を付与されたポリアミド
系合成繊維フィラメント糸の仮撚加工糸からなることを
特徴とするストレッチ織物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、経方向および／ま
たは緯方向に優れた適度なストレッチ性を有し、平面平
滑性のある表面感を有するポリアミド・ストレッチ織物
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、繊維製品では機能性、快適性の高
度化が求められている。例えば吸湿、保温、透湿防水、
消臭など様々な機能が要求されているが、ストレッチ性
においてはアウタ−素材等で求められるようになってい
る。これまでのストレッチ素材は、編物やポリウレタン
弾性繊維、すなわちスパンデックスのカーバーリング糸
使用の織物が主流であった。また、スパンデックス使い
では原糸、高次加工費のコスト高の問題があった。

【０００３】また、原糸および高次加工費の低コストを
目的に仮撚加工糸を用いてストレッチ素材を製造する手
法は、高クリンプ、高トルクを得るために先撚／仮撚／
追撚等の工夫が行われている。しかし、生産工程におい
て、先撚を施した後仮撚は、仮撚時に糸切れを発生し、
時として生産効率を落とすことになっている。さらに製
織する上において、高トルクの糸だけに取り扱いに高度
の技術を要し、製織時の停台回数も多く、ビリの折り込
みもあり、高品質の織物を安定して生産することに難が
ある。また強撚を施しているにも関わらず、仮撚加工を
行うが十分なストレッチが得られず、風合いもフカツ
キ、シボが発生し、生地表面がプレーンでないという問
題があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、ポリウレタン弾性糸を使用することなく、ポリ
アミド系合成繊維フィラメント糸の優れた特性を維持し
つつ、織物がフカツキ、シボのない平面平滑性のある表
面感であり、さらには織物のタテ、ヨコに優れた適度な
ストレッチ性を有する安価なポリアミド・ストレッチ織
物を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、ポリアミド系合成重合体の溶融紡糸時に高融点ワ
ックス配合の収束平滑剤を付与されたポリアミド系合成
繊維フィラメント糸の仮撚加工糸からなることを特徴と
するストレッチ織物である。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明においては、ポリアミド系
合成繊維フィラメント糸としては、ナイロン６，ナイロ
ン６６などを代表するポリアミド重合体を製糸して得ら
れるものであり、他のアミド化合物やカルボン化合物な
どの共重合されたものであっても良い。

【０００７】以下本発明を詳細に説明する。

【０００８】本発明は、ポリアミド系合成重合体の溶融
紡糸時に、高融点ワックス配合の収束平滑剤を付与され
たポリアミド系合成繊維フイラメント糸の未延伸糸ある
いは延伸糸を延伸仮撚あるいは仮撚することにより得ら
れる高トルク伸縮性仮撚加工糸を使用した、タテ、ヨコ
に優れた適度なストレッチ性を有するストレッチ織物で
ある。

【０００９】さらに、本発明に用いるポリアミド系合成
繊維フィラメント糸は、ポリアミド合成重合体、硫酸相
対粘度２．６のナイロン６チップ、もしくは硫酸相対粘
度２．７のナイロン６６を溶融紡糸時に、高融点ワック
ス配合の収束平滑剤を付与させ製造することができる。

【００１０】なお、高融点ワックスとしては融点９０℃
以上のワックスであり、ポリエチレン・ワックス、ポリ
プロピレン・ワックス、酸化パラフィン・ワックス、ミク
ロクリスタル・ワックスなどを挙げることができる。

【００１１】さらに高融点ワックス配合の収束平滑剤と
しては、上記高融点ワックスが３重量％以上配合されて
いることが好ましく、８重量％以上配合されていること
がより好ましい。この他に乳化剤、制電剤を配合しても
よいし、また、高融点ワックスの付着性を向上させるた
めに鉱物油を配合することもできる。

【００１２】また、本発明に係るポリアミド系合成繊維
フィラメント糸は、紡出糸条を高速で引き取り、実質的
に延伸することなく巻き取られた高速紡糸糸条、また紡
糸糸条を引き取り、続いて延伸して高速で巻き取る直接
紡糸延伸糸、あるいは紡糸糸条を実質的に配向させるこ
となく未延伸糸として巻き取り、当該糸を延伸して得ら
れる未延伸−延伸糸条いずれであってもかまわない。糸
条に高融点ワックス配合の収束平滑剤を付与するもので
ある。

【００１３】高融点ワックス成分は糸条表面上に存在
し、各フィラメント相互を接着している働きがあるがこ
の後仮撚加工によってフィラメント相互の接着がはずさ
れ、ワックス成分は適度に流動し仮撚加工後のフィラメ
ント相互の滑りを良くし、好ましい伸縮性を発揮するの
に寄与する。そして仮撚加工後にも残存する。しかし、
仮撚加工後に高融点ワックスを付与したのではフィラメ
ント相互の付着をはずす作用がなく、織物の風合いは粗
硬となり伸縮性も向上しない。

【００１４】また、ワックス成分は融点が９０℃以上の
高融点のものであるがこれは、精練、洗濯等の作用を受
けたときのワックス成分の残留率が高いからであり、融
点９０℃未満のワックス、例えばパラフィン・ワック
ス、エステル系ワックスなどは精練後の残留率はきわめ
て低い。

【００１５】次に使用される仮撚加工機としては、高伸
縮加工糸を得るにはピン仮撚加工機が好ましいが、セラ
ミックディスク、あるいはウレタンディスクを施撚体と
する多軸外接型摩擦仮撚加工機やベルトニップ式仮撚加
工機等の仮撚加工機が挙げられる。

【００１６】また、仮撚条件は撚係数の程度等によって
も変わりうるが、一般には、特にピン仮撚加工機を使用
した場合には、加工速度５０〜１５０ｍ／分、スピン回
転数２８００００〜４５００００ｒｐｍ、仮撚数２８０
０Ｔ／Ｍ〜４５００Ｔ／Ｍ程度、ヒータ温度１６０〜２
２０℃、糸条張力０．０５〜０．５ｇ／ｙａｒｎ程度を
採用するのが好ましい。

【００１７】なお、仮撚数Ｔは仮撚加工糸の繊度Ｄとの
関連において、Ｔ・Ｄ^1/2≧２８，０００を満足してい
るものである。仮撚数の増加とともに加工糸の捲縮サイ
ズが小さくなるのは良く知られているが、十分な高トル
ク伸縮性を得るには、Ｔ・Ｄ^1/2は２８，０００以上で
あることが好ましい。２８，０００未満では捲縮は粗く
好ましい高伸縮性は得られない。

【００１８】また、構成総繊度は３３ｄｔｅｘから２３
５ｄｔｅｘを用いることができ、特に５６ｄｔｅｘから
７８ｄｔｅｘのものが衣料用途から好ましい。

【００１９】さらに、本発明の織物の織り組織として
は、サテン組織、ヒラ組織に限らず、ツイル組織やその
他の各種の変化組織を広い範囲から採用することができ
る。また、製織の方法としては、従来公知の方法がいず
れも使用できる。織機としてはフライシャットル式、エ
アージット式、ウォーター式、レピア式、スルザー式の
何れの方式の織機を使用しても良い。

【００２０】本発明の織物は、経方向または緯方向に、
もしくは好ましくは経方向および緯方向にストレッチ率
５〜６０％、好ましくは１０〜５０％、さらに好ましく
１０％〜４０％のストレッチ性を有する織物であり、ス
トレッチ率が１０％未満では、織物の組織変形が少なく
伸縮効果が発現しなくストレッチ性が乏しく、また、ス
トレッチ率が６０％を超えると、風合いもフカツキシボ
が発生し生地表面がプレ−ンにならない。

【００２１】本発明のポリアミド・ストレッチ織物は前
記仮撚加工糸を好ましくは織物の経糸および緯糸に用い
るものであるが、経糸のみ、あるいは緯糸のみに用いて
も良く、記仮撚加工糸を用いて製織した後、精練・リラ
ックス工程およびプレセット工程を施し、酸性染料によ
る染色加工しいずれもこの分野で慣用されている方法に
従って所望の風合い、色等が得られるように行える。

【００２２】本発明においては、好ましくは前記仮撚ポ
リアミド系合成繊維フィラメント糸１００％からなるも
のであり、ポリウレタン弾性糸を組み合わせているスト
レッチ織物と比較し、いとも簡単であり、かつ価格的に
も安価である。

【００２３】なお、本発明のポリアミド・ストレッチ織
物は、使用用途によっては生地裏面にコーティングを施
す場合もあるが、コーティング加工品にも優れたストレ
ッチ性を有している。

【００２４】かかる本発明の織物用途は、スポ−ツ衣料
全般（ジャケット、ベスト、スカート、スラックスな
ど）、衣料全般の作業衣、もしくは裏地全般が本発明の
効果を発揮できることから好ましい。

【００２５】

【実施例】以下、本発明を実施例で説明する。

【００２６】なお、示す評価は次の方法で実施した。

【００２７】［１］ナイロン相対粘度試料を９８％硫酸で濃度１重量％に溶解し、オストワル
ド粘度計により２５℃の恒温下で測定した。［２］ソフト性ソフト性を官能で比較評価し、極めてソフトなものを
◎、ソフトなものを○、ほとんどソフトでないものを×
とした。［３］フカツキ性フカツキ性を官能で比較評価し、極めてフカツキ感なも
のを◎、フカツキ感なものを○、ほとんどフカツキ感の
ないものを×とした。［４］ストレッチ性の測定法引張試験機（オリエンテック社製テンシロンＵＴＭ−I
I I 型）を使用し、試料長２００ｍｍ、引張スピード２
００ｍｍ／ｍｉｎ．で歪みが５％となるまで引き伸ば
し、１分間放置後、上記スピ−ドと同じ速度で除重し、
３分放置後、再び上記と同じ引張スピ−ドで引き伸ば
す。その荷重−伸長曲線から残留伸びを測定し伸長弾性
率を算出する。初荷重は０．２ｇ／ｄである。

【００２８】伸長弾性率＝［（Ｌ−Ｌ１）／Ｌ］×１００上記式中、Ｌは一定伸び（ｍｍ）を、Ｌ１は残留伸び
（ｍｍ）を、それぞれ示す。

【００２９】または、ＪＩＳ１０７９化学繊維織物試験
法に記載の「伸長弾性率」測定方法に基づき測定する。［６］表面平滑性目風を１０人の風合い判定者で表面平滑性を判定し、 ◎ ：極めて良好（シボ感ない） ○ ：良好（シボ感ない） △ ：やや良好（シボが若干ある） × ：不良（シボが発生）の４段階で評価した。

【００３０】［実施例１］＜製糸＞ポリアミド合成重合体、硫酸相対粘度２．６〜
２．７のナイロン６チップおよびナイロン６６チップを
溶融紡糸時に、高融点ワックス配合の収束平滑剤を付与
させ、５６ｄｔｅｘ、２４フィラメントおよび７８ｄｔ
ｅｘ、１２フィラメントの仮撚加工糸用原糸を紡糸し
た。

【００３１】＜仮撚り＞高トルク伸縮性仮撚加工糸は、
ピン仮撚機を使用し、糸速度：１００ｍ／ｍｉｎ、スピ
ンドル回転数：４３００００ｒｐｍ、仮撚数：４３００
Ｔ／ｍ、１ｓｔフィード：−１０％、ヒーター温度：２
００℃の仮撚条件で５６ｄｔｅｘの高トルク伸縮性仮撚
加工糸を製造した。

【００３２】＜織り・染め＞得られた高トルク伸縮性仮
撚加工糸を経糸および緯糸に用い、ウォータージェット
織機で製織した。この時の織物組織はヒラ織、織物密度
は、経密度１１６本／２．５４ｃｍ、緯密度８４本／
２．５４ｃｍに設定した。得られた生機を常法により生
機セット、精練をし、液流染色機で酸性染料で仕上げ密
度経１４１本／２．５４ｃｍ、緯密度９８本／２．５４
ｃｍのブルー色に染色加工し仕上げた。

【００３３】［比較例１］従来のポリアミド合成繊維フ
ィラメント仮撚加工糸を用いて、実施例１と同様な方法
で製織した。この時の織物組織、織物密度も実施例と同
様に設定した。得られた生機を実施例１と同様の処理、
方法により染色加工し仕上げた。以上の結果をまとめて
表１に示す。

【００３４】

【表１】

【００３５】［評価結果］このように本発明は、ポリア
ミド系合成繊維フィラメント糸条の溶融紡糸時に高融点
ワックス配合の収束平滑剤を付与されたポリアミド配向
糸を仮撚することにより得られる高トルク伸縮性仮撚加
工糸を使用した織物で、本来のポリアミド長繊維が持っ
ている美しい光沢感、ドレープ性、風合い等を損なうこ
となく、ソフトで高ストレッチ性に優れ、フカツキ、シ
ボのない平面平滑性のある表面感の衣料用途などで広く
使用できるブル−の織物が得られた。また、染色性も優
れていた。

【００３６】なお、比較例１ではポリアミドフィラメン
ト繊維の特徴である優れた織物特性を有するが、ストレ
ッチ性に乏しく、フカツキ感あり、ヌメリ感を有し、さ
らに、加工反表面にシボが発生し平面平滑性の乏しい織
物であった。

【００３７】

【発明の効果】本発明は、ポリアミド系合成繊維フィラ
メント糸条の溶融紡糸時に高融点ワックス配合の収束平
滑剤を付与されたポリアミド配向糸を仮撚することによ
り得られる高トルク伸縮性仮撚加工糸を使用した織物
で、従来のポリウレタン弾性糸を使用せず、本来のポリ
アミドフィラメント繊維糸が持っている美しい光沢感、
ドレープ性、風合い等を損なうことなく、ソフトで高ス
トレッチ性に優れたポリアミド・ストレッチ織物を提供
するもので衣料用途などで広く使用できるものである。
しかも、従来のポリウレタン弾性糸を使用したストレッ
チ織物に比べ安価に製造でき、かつ取り扱いも良好なポ
リアミド・ストレッチ織物であり、かつ染色性に優れて
いる素晴らしい織物が得られる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続きＦターム(参考） 4L048 AA24 AA46 AA47 AA56 AB07 AB21 AC07 AC12 BA01 BA02 CA00 CA04 CA15 DA01 DA03 DA06 EA01 EB00 EB05

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ポリアミド系合成重合体の溶融紡糸時に高
融点ワックス配合の収束平滑剤を付与されたポリアミド
系合成繊維フィラメント糸の仮撚加工糸を用いてなるこ
とを特徴とするストレッチ織物。
【請求項２】経方向および／または緯方向にスレッチ率
５〜６０％のストレッチ性を有することを特徴とする請
求項１に記載のストレッチ織物。
【請求項３】用途がスポーツ衣料、衣料、もしくは裏地
であることを特徴とする請求項１または２のいずれかに
記載のストレッチ織物。