JP2003082448A - Snめっき極細銅線及びそれを用いた撚線並びにSnめっき極細銅線の製造方法 - Google Patents

Snめっき極細銅線及びそれを用いた撚線並びにSnめっき極細銅線の製造方法

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JP2003082448A
JP2003082448A JP2001274969A JP2001274969A JP2003082448A JP 2003082448 A JP2003082448 A JP 2003082448A JP 2001274969 A JP2001274969 A JP 2001274969A JP 2001274969 A JP2001274969 A JP 2001274969A JP 2003082448 A JP2003082448 A JP 2003082448A
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Takao Ichikawa
貴朗 市川
Hiroyuki Akutsu
裕幸 阿久津
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 撚線性およびハンダ付性が良好なSnめっき
極細銅線及びそれを用いた撚線並びにSnめっき極細銅
線の製造方法を提供するものである。 【解決手段】 本発明に係るSnめっき極細銅線11
は、線径が0.1mm以下のSnめっき極細銅線におい
て、銅又は銅合金からなる極細銅線12の外周に、Sn
−0.2〜7.0mass%Cu−0.002〜0.0
5mass%Feめっき層13を、0.05μm以上の
層厚で形成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Snめっき極細銅
線及びそれを用いた撚線並びにSnめっき極細銅線の製
造方法に係り、特に、電子機器のケーブル用導体として
用いられるSnめっき極細銅線及びそれを用いた撚線並
びにSnめっき極細銅線の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型・軽量化の要求が
高まっていることから、電子機器のケーブル用導体にお
いては、線径が0.1mm以下の極細銅線が主流となり
つつある。この極細銅線の1つに、表面にSnめっきを
有するSnめっき極細銅線がある。
【0003】Snめっき極細銅線の従来の製造方法とし
て、dip法(溶融めっき法)と電気めっき法の二つが
主に挙げられる。
【0004】溶融めっき法は、極細銅線の表面をフラッ
クス又は還元ガスを用いて活性化した後、その極細銅線
を純Snめっき液中に浸漬し、極細銅線の外周に溶融S
nめっき層を形成するものである。また、電気めっき法
は、表面を活性化した極細銅線を純Snめっき液中に浸
漬すると共に、極細銅線と純Snめっき液との間に電圧
を印加して、極細銅線の外周に電気Snめっき層を形成
するものである。
【0005】これらのめっき法の内、溶融めっき法の方
が簡便で、経済性に優れていることから、Snめっき極
細銅線の製造には、一般的に、溶融めっき法が用いられ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、得られたS
nめっき極細銅線を複数本撚り合わせて撚線を製造する
際、撚線時に、Snめっき極細銅線同士が摺動すること
で、各線の表面でSnめっきカスが発生する。このSn
めっきカスが、撚線製造時に用いる治具であるニップル
に堆積することで、撚線に断線が生じるおそれがあり、
撚線性が良好でないという問題があった。
【0007】また、極細銅線のCuとSnめっき層のS
nが反応し、それらの界面にSn−Cu系金属間化合物
が形成されるが、Snめっき層の層厚が十分でないと、
Snめっき層全体がSn−Cu系金属間化合物層となっ
てしまう。このSn−Cu系金属間化合物は、ハンダ濡
れ性が良好でないため、結果的に、撚線のハンダ付性が
悪くなるという問題があった。
【0008】以上の事情を考慮して創案された本発明の
目的は、撚線性およびハンダ付性が良好なSnめっき極
細銅線及びそれを用いた撚線並びにSnめっき極細銅線
の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明に係るSnめっき極細銅線は、線径が0.1mm以
下のSnめっき極細銅線において、軟質銅或いは硬質銅
よりなる銅又は銅合金からなる極細銅線の外周に、Sn
−0.2〜7.0mass%Cu−0.002〜0.0
5mass%Fe(Cr,Ni)めっき層を、0.05
μm以上の層厚で形成したものである。
【0010】以上の構成によれば、めっき層の層硬度が
十分に高いSnめっき極細銅線が得られる。
【0011】一方、本発明に係るSnめっき極細銅線を
用いた撚線は、線径が0.1mm以下で、軟質銅或いは
硬質銅よりなる銅又は銅合金からなる極細銅線の外周
に、Sn−0.2〜7.0mass%Cu−0.002
〜0.05mass%Fe(Cr,Ni)めっき層を
0.05μm以上の層厚で形成したSnめっき極細銅線
を、複数本撚り合わせて形成したものである。
【0012】以上の構成によれば、撚線が容易で、ハン
ダ付け性が良好なSnめっき極細銅線を用いた撚線(S
nめっき極細銅撚線)が得られる。
【0013】また、本発明に係るSnめっき極細銅線の
製造方法は、軟質銅或いは硬質銅よりなる銅又は銅合金
からなる線径が0.1mm以下の極細銅線の外周に、溶
融Snめっき層を形成するSnめっき極細銅線の製造方
法において、めっき浴槽内にCu濃度が0.2〜7.0
mass%、Fe,Cr,又はNi濃度が0.002〜
0.05mass%の溶融Sn−Cu系めっき浴を形成
すると共に、その溶融Sn−Cuめっき系浴中に上記極
細銅線を浸漬し、極細銅線の外周に、0.05μm以上
の層厚の溶融Sn−Cu系めっき層を形成するものであ
る。
【0014】以上の方法によれば、撚線性およびハンダ
付性が良好なめっき極細銅線を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適一実施の形態
を添付図面に基いて説明する。
【0016】第1の実施の形態に係るSnめっき極細銅
線の断面図を図1に、第2の実施の形態に係るSnめっ
き極細銅線の断面図を図2に示す。ここで、図2(b)
は、図2(a)の要部Aの拡大図である。
【0017】図1に示すように、第1の実施の形態に係
るSnめっき極細銅線11は、線径が0.1mm以下の
Snめっき極細銅線であり、軟質銅或いは硬質銅よりな
る銅又は銅合金からなる極細銅線12の外周に、Sn−
0.2〜7.0mass%Cu−0.002〜0.05mass%Fe(Cr,
Ni)めっき層(以下、Sn−Cu−Xめっき層と示
す)13を0.05μm以上の層厚で、好ましくはSn
−0.3〜3.0mass%Cu−0.005〜0.03mass%Fe(C
r,Ni)めっき層13を、0.5μm以上の層厚で形
成したものである。
【0018】また、図2(a),図2(b)に示すよう
に、第2の実施の形態に係るSnめっき極細銅線21
は、軟質銅或いは硬質銅よりなる銅又は銅合金からなる
極細銅線12の外周に、層中に直径が2μm以下、好ま
しくは1μm以下のSn−Cu系金属間化合物24が均
一分散したSn−Cu−Xめっき層23を、0.05μ
m以上、好ましくは0.5μm以上の層厚で形成したも
のである。
【0019】一方、本実施の形態に係るSnめっき極細
銅線を用いた撚線31は、図3に示すように、Snめっ
き極細銅線11,21を複数本(図3中では7本を図
示)撚り合わせて形成したものである。ここで言う撚線
は、撚線導体及び撚線導体を用いた電線・ケーブルの総
称である。
【0020】次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0021】極細銅線12の外周にSn−Cu−Xめっ
き層13,23を形成することで、従来のSnめっき極
細銅線の純Snめっき層と比べて層硬度が十分に高いS
nめっき極細銅線11,21が得られる。この銅線1
1,21は、Sn−Cu−Xめっき層13,23の層硬
度が高いことから、この銅線11,21を用いて撚線を
製造する際、撚線の素線同士が摺動して生じるSnめっ
きカスの量が少なくなる。特に、Snめっき極細銅線2
1の場合、Snめっきカスの量が非常に少なくなる。そ
の結果、本実施の形態に係るSnめっき極細銅線11,
21を撚線する時に、断線が生じるおそれがなくなり、
従来のSnめっき極細銅線と比較して、撚線性が向上す
る。
【0022】また、撚線時に発生するSnめっきカスの
量が少ないことから、銅線11,21を用いて得られた
撚線は、Sn−Cu−Xめっき層13,23の表面が平
滑又は略平滑で、表面状態が良好となる。このため、こ
れらの撚線のハンダ濡れ性は、従来のSnめっき極細銅
線を用いて得られた撚線のそれよりも、良好となる。そ
の結果、本実施の形態に係るSnめっき極細銅線11,
21を用いて得られた撚線においては、良好なハンダ付
性が得られる。
【0023】さらに、Sn−Cu−Xめっき層13,2
3が、Fe(Cr,Ni)を0.002〜0.05mass%含有し
ていることから、Fe(Cr,Ni)を含有しないSn
−Cu系めっき層を有するSnめっき極細銅線と比較し
て、めっき層中に均一分散するSn−Cu系金属間化合
物24のサイズが更に小さくなり、その結果、銅線1
1,21を用いて撚線を製造する際、撚線の素線同士が
摺動して生じるSnめっきカスの量を更に少なくするこ
とができる。
【0024】Snめっき極細銅線11,21において、
Sn−Cu−Xめっき層13,23の層厚を、0.05
μm以上、好ましくは0.5μm以上と規定したのは、
以下の理由によるものである。
【0025】一般に、銅線にSnめっきを施す場合、銅
線表面のCuとSnめっき層のSnが反応し、それらの
界面に、Cu3SnやCu6Sn5のSn−Cu系金属間
化合物層が形成される。ここで、Snめっき層の層厚が
0.05μm未満であると、Snめっき層自体がSn−
Cu系金属間化合物層となってしまう。このSn−Cu
系金属間化合物は、硬くて脆いと共に、ハンダ濡れ性が
良好でないことから、Snめっき層自体がSn−Cu系
金属間化合物層になると、めっき導体(Snめっき極細
銅線)の機械的特性、例えば屈曲特性が低下すると共
に、Snめっき極細銅線と各種電子部品のハンダ付け時
に不具合が生じてしまう。このため、Sn−Cu−Xめ
っき層13,23の層厚を0.05μm以上と規定し
た。
【0026】また、Snめっき極細銅線11,21にお
いて、Sn−Cu−Xめっき層13,23のCu濃度
を、0.2〜7.0mass%、好ましくは0.3〜
3.0mass%、より好ましくは0.3〜0.7ma
ss%と規定したのは、Cu濃度が0.2mass%未
満だと、Sn−Cu−Xめっき層13,23の硬度が、
純Snめっき層とあまり変わらないためである。また、
Cu濃度が7.0mass%を超えると、Sn−Cu−
Xめっき層13,23自体がSn−Cu系金属間化合物
層になり易くなるためである。
【0027】Sn−Cu−Xめっき層13,23のFe
(Cr,Ni)濃度を、0.002〜0.05mass
%、好ましくは0.005〜0.03mass%、より
好ましくは0.01mass%前後と規定したのは、F
e(Cr,Ni)濃度が0.002mass%未満だ
と、Sn−Cu系金属間化合物24を微細にする効果が
得られないためである。また、Fe,Cr,又はNi濃
度が0.05mass%を超えると、Sn−Cu系金属
間化合物24の微細効果が飽和し、コスト的に好ましく
ないためである。
【0028】Snめっき極細銅線21において、Sn−
Cu−Xめっき層23中に均一分散させるSn−Cu系
金属間化合物(Cu3SnやCu6Sn5)24の直径を
2μm以下、好ましくは1μm以下と規定したのは、以
下の理由によるものである。
【0029】Sn−Cu系金属間化合物24の晶出サイ
ズを2μm以下、好ましくは1μm以下に規定したの
は、2μmを超えるとSn−Cu−Xめっき層23の表
面の平滑性が損なわれるためであり、また、Sn−Cu
−Xめっき層23の層厚の調整を行うために絞りダイス
を用いる場合、金属間化合物24がダイス部に堆積し、
Snめっき極細銅線21の断線の原因となるためであ
る。
【0030】次に、本発明に係るSnめっき極細銅線の
製造方法を、図4に基いて説明する。
【0031】図4に示すように、先ず、極細銅線12を
送出ボビン41から送出すると共に還元炉42内を走行
させ、極細銅線12に還元処理を施し、表面の酸化層の
除去を行う。
【0032】次に、酸化層の除去後の極細銅線12を、
ガイドプーリ43a,43b間において、浸漬棒46に
よりめっき浴槽44内の溶融Sn−Cu系めっき浴45
中に浸漬させる。この時、溶融Sn−Cu系めっき浴4
5のCu濃度を0.2〜7.0mass%、Fe(C
r,Ni)濃度を0.002〜0.05mass%に予
め調整しておく。
【0033】めっき浴45に浸漬した後の極細銅線12
の外周にはSn−Cu系めっき液が不均一に付着してい
るため、この極細導線12を、絞りダイス47に挿通さ
せ、極細導線12の外周に付着するSn−Cu系めっき
液の量を均一にし、Sn−Cu−Xめっき層13,23
の層厚が0.05μm以上、好ましくは0.5μm以上
となるように調整する。
【0034】その後、極細導線12の外周に付着したS
n−Cu系めっき液が冷却(空冷)されて凝固すること
で、極細銅線12の外周に溶融Sn−Cu−Xめっき層
13,23を有するSnめっき極細銅線11,21が得
られ、この銅線11,21が巻取ボビン49に巻き取ら
れる。
【0035】ここで、極細銅線12をめっき浴槽44内
の溶融Sn−Cu系めっき浴45中に浸漬させる際、銅
の溶解度が飽和に達しているめっき浴45の浴温度を低
下させると、それに伴って銅の溶解度が低下する。その
結果、溶解しきれなくなった余剰の銅が金属間化合物
(例えば、Cu6Sn5)の形で晶出するようになる。こ
の時、溶融Sn−Cu系めっき浴45中に、Fe(C
r,Ni)を規定範囲で含有させていることから、Fe
(Cr,Ni)がめっき浴45中に晶出する金属間化合
物を微細化すると共に、そのサイズを2μm以下に制御
することができる。つまり、このSn−Cu系めっき浴
45中に極細銅線12を浸漬することで、Sn−Cu−
Xめっき層23中に、直径が2μm以下、好ましくは1
μm以下のSn−Cu系金属間化合物24が均一分散し
たSnめっき極細銅線21を得ることができる。
【0036】
【実施例】(実施例1)直径がφ0.03mmの極細銅
線に還元処理を施し、表面の酸化層の除去を行う。その
後、この極細銅線を、めっき浴槽内の溶融Sn−Cu系
めっき浴中に浸漬させ、めっき層厚が0.7μm、0.
8μm、0.7μmのSnめっき極細銅線を作製する
(試料1〜3)。この時、溶融Sn−Cu系めっき浴の
Cu濃度及びFe濃度は、それぞれ0.3mass%及
び0.006mass%,0.7mass%及び0.0
1mass%,1.0mass%及び0.02mass
%に、また、溶融Sn−Cu系めっき浴の温度は、一律
350℃に調整した。
【0037】(実施例2)溶融Sn−Cu系めっき浴
が、Feの代わりにCrを0.006mass%,0.
01mass%,0.02mass%含有している以外
は実施例1と同様にして、めっき層厚が0.7μm、
0.8μm、0.7μmのSnめっき極細銅線を作製す
る(試料4〜6)。
【0038】(実施例3)溶融Sn−Cu系めっき浴
が、Feの代わりにNiを0.007mass%,0.
01mass%,0.02mass%含有している以外
は実施例1と同様にして、めっき層厚が0.7μm、
0.8μm、0.7μmのSnめっき極細銅線を作製す
る(試料7〜9)。
【0039】(比較例1)溶融Sn−Cu系めっき浴
が、Fe,Cr,及びNiを含有していない以外は実施
例1〜3と同様にして、めっき層厚が0.8μm、0.
8μm、0.7μmのSnめっき極細銅線を作製する
(試料10〜12)。
【0040】(比較例2)溶融Sn−Cu系めっき浴の
Cu濃度及びFe濃度が、0.7mass%及び0.0
01mass%である以外は、実施例1の試料2と同様
にして、めっき層厚が0.8μmのSnめっき極細銅線
を作製する(試料13)。
【0041】(比較例3)溶融Sn−Cu系めっき浴の
Cu濃度及びCr濃度が、0.7mass%及び0.0
01mass%である以外は、実施例2の試料5と同様
にして、めっき層厚が0.8μmのSnめっき極細銅線
を作製する(試料14)。
【0042】(比較例4)溶融Sn−Cu系めっき浴の
Cu濃度及びNi濃度が、0.7mass%及び0.0
01mass%である以外は、実施例3の試料8と同様
にして、めっき層厚が0.8μmのSnめっき極細銅線
を作製する(試料15)。
【0043】(比較例5)溶融Sn−Cu系めっき浴の
Cu濃度が0.01mass%である以外は比較例1と
同様にして、めっき層厚が0.5μmのSnめっき極細
銅線を作製する(試料16)。
【0044】試料1〜16の諸元(Sn−Cu系めっき
層のCu,Fe,Cr,Ni濃度(mass%)、めっき層
の層厚(μm)、Sn−Cu系金属間化合物の平均サイ
ズ(μm))を表1に示す。また、各試料の表面状態の
評価を行った。ここで、Sn−Cu系めっき層の層厚の
測定は、コクール法(JIS8610-8619)により行った。表
面状態の評価は、電子顕微鏡(SEM)を用いて行っ
た。
【0045】
【表1】
【0046】表1に示すように、試料1〜9の各Snめ
っき極細銅線の表面状態はいずれも良好であり、また、
各Snめっき極細銅線のSn−Cu系めっき層の表面に
は、直径約0.5μmの微細な金属間化合物(Cu6
5等)が均一に分散していた。また、これらのSnめ
っき極細銅線は、はんだ濡れ性や耐食性などの表面特性
において、実用上の問題は全くなかった。
【0047】これに対して、試料10〜15のSn−C
u系めっき層の表面には、直径約1.0〜1.5μmの
粗大な金属間化合物(Cu6Sn5等)が均一に分散して
いた。また、試料16のSn−Cu系めっき層の表面は
平滑であり、めっき層表面に金属間化合物は観察されな
かった。
【0048】次に、各試料1〜16を、7本ずつ、ピッ
チ3.3mmで同心撚りして、10,000mの長さの
撚線を製造する。この時の、各撚線の表面状態、めっき
カスの発生状況の評価を行った。その評価結果を表2に
示す。ここで、めっきカスの発生状況は、撚線のニップ
ル部に堆積するめっきカスの量で評価を行った。
【0049】
【表2】
【0050】表2に示すように、実施例である試料1〜
9を用いた撚線の表面状態はいずれも良好であり、めっ
きカスの発生はなかった。即ち、撚線工程中、めっきカ
スによる断線はなかった。また、これらの撚線は、はん
だ濡れ性や耐食性などの表面特性において、実用上の問
題は全くなかった。
【0051】これに対して、試料10〜15を用いた撚
線においては、撚線時にめっきカスの発生が見受けられ
たが、その量は少なく、断線は生じなかった。
【0052】また、試料16を用いた撚線は、Sn−C
u系めっき浴中の、Cu濃度が規定範囲よりも少ないと
共に、Fe,Cr,及びNiを含有していないことか
ら、めっき層の硬度が純Snめっき層と殆ど変わりがな
く、即ちめっき層の硬度が低い。このため、撚線時に発
生するめっきカスの量が多いと共に、このめっきカスが
断線の原因となった。
【0053】以上、本発明の実施の形態は、上述した実
施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のもの
が想定されることは言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を発揮する。 (1) めっき層の層硬度が十分に高いSnめっき極細
銅線が得られる。 (2) 撚線作業が容易で、ハンダ付け性が良好なSn
めっき極細銅撚線が得られる。 (3) 撚線性およびハンダ付性が良好なめっき極細銅
線を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るSnめっき極細銅線の
断面図である。
【図2】第2の実施の形態に係るSnめっき極細銅線の
断面図である。
【図3】本発明に係るSnめっき極細銅線を用いた撚線
の断面図である。
【図4】Snめっき極細銅線の製造装置の概略図であ
る。
【符号の説明】
11,21 Snめっき極細銅線 12 極細銅線 13,23 Sn−Cu−Xめっき層(Sn-0.2〜7.0mas
s%Cu-0.002〜0.05mass%Feめっき層) 24 Sn−Cu系金属間化合物 31 撚線 44 めっき浴槽 45 溶融Sn−Cu系めっき浴

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線径が0.1mm以下のSnめっき極細
    銅線において、銅又は銅合金からなる極細銅線の外周
    に、Sn−0.2〜7.0mass%Cu−0.002
    〜0.05mass%Feめっき層を、0.05μm以
    上の層厚で形成したことを特徴とするSnめっき極細銅
    線。
  2. 【請求項2】 線径が0.1mm以下のSnめっき極細
    銅線において、銅又は銅合金からなる極細銅線の外周
    に、Sn−0.2〜7.0mass%Cu−0.002
    〜0.05mass%Crめっき層を、0.05μm以
    上の層厚で形成したことを特徴とするSnめっき極細銅
    線。
  3. 【請求項3】 線径が0.1mm以下のSnめっき極細
    銅線において、銅又は銅合金からなる極細銅線の外周
    に、Sn−0.2〜7.0mass%Cu−0.002
    〜0.05mass%Niめっき層を、0.05μm以
    上の層厚で形成したことを特徴とするSnめっき極細銅
    線。
  4. 【請求項4】 上記めっき層中に直径が2μm以下のS
    n−Cu系金属間化合物を均一分散させた請求項1から
    3いずれかに記載のSnめっき極細銅線。
  5. 【請求項5】 請求項1から4いずれかに記載のSnめ
    っき極細銅線を複数本撚り合わせて形成したことを特徴
    とするSnめっき極細銅線を用いた撚線。
  6. 【請求項6】 銅又は銅合金からなる線径が0.1mm
    以下の極細銅線の外周に、溶融Snめっき層を形成する
    Snめっき極細銅線の製造方法において、めっき浴槽内
    にCu濃度が0.2〜7.0mass%、Fe,Cr,
    又はNi濃度が0.002〜0.05mass%の溶融
    Sn−Cu系めっき浴を形成すると共に、その溶融Sn
    −Cu系めっき浴中に上記極細銅線を浸漬し、極細銅線
    の外周に、0.05μm以上の層厚の溶融Sn−Cu系
    めっき層を形成することを特徴とするSnめっき極細銅
    線の製造方法。
JP2001274969A 2001-09-11 2001-09-11 Snめっき極細銅線及びそれを用いた撚線並びにSnめっき極細銅線の製造方法 Pending JP2003082448A (ja)

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