JP2003081950A - L−チアゾリルアラニンの製造方法 - Google Patents

L−チアゾリルアラニンの製造方法

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JP2003081950A
JP2003081950A JP2001276482A JP2001276482A JP2003081950A JP 2003081950 A JP2003081950 A JP 2003081950A JP 2001276482 A JP2001276482 A JP 2001276482A JP 2001276482 A JP2001276482 A JP 2001276482A JP 2003081950 A JP2003081950 A JP 2003081950A
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hydantoin
acid
thiazolylmethylene
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hydroxy
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JP2001276482A
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English (en)
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Kazuhisa Kono
和久 河野
Kenji Tokuhisa
賢治 徳久
Hitoshi Kakiya
均 柿谷
Satoshi Hanzawa
敏 半澤
Masatake Oe
正剛 大江
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Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 【解決手段】チアゾールアルデヒドとヒダントインを2
−アミノエタノール存在下に反応させて5−(チアゾリ
ルメチレン)ヒダントインを製造し、該製造した5−
(チアゾリルメチレン)ヒダントインを塩基存在下に加
水分解して2−ヒドロキシ−3−チアゾリルアクリル酸
及び/又はその塩を製造し、こうして得た2−ヒドロキ
シ−3−チアゾリルアクリル酸及び/又はその塩を、酵
素による天然型アミノ酸からのアミノ基転移反応に供す
ることを特徴とする、L−チアゾリルアラニンの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、チアゾールアルデヒ
ドとヒダントインを用いる5−(チアゾリルメチレン)
ヒダントインの製造方法、新規化合物である5−(4−
チアゾリルメチレン)ヒダントイン、5−(チアゾリル
メチレン)ヒダントインを用いる2−ヒドロキシ−3−
チアゾリルアクリル酸及び/又はその塩の製造方法、新
規化合物である2−ヒドロキシ−3−(4−チアゾリル
アクリル)酸又はその塩、そして、チアゾールアルデヒ
ドとヒダントインから5−(チアゾリルメチレン)ヒダ
ントインを製造し、これを用いて2−ヒドロキシ−3−
チアゾリルアクリル酸及び/又はその塩を製造し、これ
を原料としてL−チアゾリルアラニンを製造する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】チアゾールアルデヒドは種々の有機化合
物を合成するための原料として有用な化合物である。そ
の製造法として、トリブロモアセトンとチオホルムアミ
ドを反応させて4−(ジブロモメチル)チアゾールを製
造し、これを加水分解する4−チアゾールアルデヒドの
製造方法が知られている(J.Org.Chem.,V
ol.38,No.19,p.3316,1973年参
照)。しかし、この方法では、チオホルムアミドを製造
するために毒物である五硫化リンを使用しなければなら
ず、工業的に不利であった。
【0003】上記以外には、メチルチアゾールのメチル
基をハロゲン化した後、酸化的に脱ハロゲン化する方法
が考えられる。メチル基のハロゲン化にはラジカル反応
を利用することが提案されている(例えば特開平11−
130708号公報参照)が、芳香環が求電子反応に対
して高い反応性を示す場合は芳香環のハロゲン化が生
じ、場合によっては芳香環のハロゲン化がメチル基のハ
ロゲン化に優先してしまうという課題がある(J.Or
g.Chem.,Vol.59,No.16,p.44
73,1994年参照)。実際のところ、メチルチアゾ
ールのメチル基をハロゲン化しようとすると、反応性の
高いチアゾール環のハロゲン化が副反応として進行し、
チアゾールアルデヒドの収率は低くなってしまう(WO
99/45000号参照)。
【0004】アルデヒドをヒダントインと反応させて得
られるヒダントイン誘導体は、ピルビン酸誘導体や2−
ヒドロキシアクリル酸誘導体の製造に有用である(特開
平6−165687号公報、特開昭61−43136号
公報参照)。これらピルビン酸誘導体や2−ヒドロキシ
アクリル酸誘導体はまた、アミノトランスフェラーゼや
アミノ酸脱水素酵素を用いる医・農薬の合成用中間体と
して有用な、例えばL−フェニルアラニンやL−2−ナ
フチルアラニン等の光学活性非天然型アミノ酸を製造す
るための原料となる(欧州公開581250号公報や特
願平11-329334号参照)。L−チアゾリルアラ
ニンもまた、医薬品の合成原料としての要望が高い非天
然型アミノ酸であるが、チアゾールアルデヒドを高収率
で製造するための好適な方法がないために、それから誘
導されるべき5位がチアゾリルメチレン基で置換された
ヒダントイン誘導体や3位がチアゾリル基で置換された
アクリル酸誘導体等の上記酵素反応に供すべき中間体を
供給できないという課題があった。
【0005】本願出願人は、上記課題に鑑みて、先に、
メチルチアゾールのメチル基を選択的にハロゲン化して
ハロメチル化チアゾールを製造する方法であって、無溶
媒又は溶媒存在下で、酸を添加し、触媒として過酸化ジ
アルキル、過酸化ジアシル及びアゾ化合物からなる群よ
り選ばれた一種又は二種以上を用い、ハロゲン化剤とし
てハロゲン、N−ブロモサクシンイミド、N−クロロサ
クシンイミド及び1,3−ジブロモ−5,5−ジメチル
ヒダントインからなる群より選ばれた一種又は二種以上
を用い、ここで前記触媒及び/又は前記ハロゲン化剤の
全部又は一部を、ハロゲン化反応開始後に1回もしくは
2回以上に分けて添加し及び/又は少量ずつ連続して添
加することを特徴とする、ハロメチル化チアゾールの製
造方法を提案した(特願2001−215274号)。
【0006】また本願出願人は、メチルチアゾールに対
して無溶媒又は溶媒存在下で、酸を添加し、触媒として
過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル及びアゾ化合物から
なる群より選ばれた一種又は二種以上を用い、ハロゲン
化剤としてハロゲン、N−ブロモサクシンイミド、N−
クロロサクシンイミド及び1,3−ジブロモ−5,5−
ジメチルヒダントインからなる群より選ばれた一種又は
二種以上を用い、ここで前記触媒及び/又は前記ハロゲ
ン化剤の全部又は一部を、ハロゲン化反応開始後に1回
もしくは2回以上に分けて添加し及び/又は少量ずつ連
続して添加することにより、そのメチル基を選択的にハ
ロゲン化したジハロメチル化チアゾールを製造し、続い
て製造したハロメチル化チアゾールを精製することなく
酸存在下で加水分解することを特徴とする、チアゾール
アルデヒドの製造方法を提案した(特願2001−21
5274号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本願発明の第1の目的
は、チアゾールアルデヒドとヒダントインを用いる、新
規化合物である5−(チアゾリルメチレン)ヒダントイ
ンの製造方法を提供することにある。本願発明の第2の
目的は、チアゾールアルデヒドとヒダントインから5−
(チアゾリルメチレン)ヒダントインを製造し、これを
用いて2−ヒドロキシ−3−チアゾリルアクリル酸及び
/又はその塩を製造する方法を提供することにある。そ
して本願発明の第3の目的は、チアゾールアルデヒドと
ヒダントインから5−(チアゾリルメチレン)ヒダント
インを製造し、これを用いて2−ヒドロキシ−3−チア
ゾリルアクリル酸及び/又はその塩を製造し、これを原
料としてL−チアゾリルアラニンを製造する方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るためになされた本願請求項1の発明は、チアゾールア
ルデヒドとヒダントインを、2−アミノエタノール存在
下に反応させることを特徴とする、5−(チアゾリルメ
チレン)ヒダントインの製造方法である。また前記第2
の目的を達成するためになされた本願請求項3の発明
は、チアゾールアルデヒドとヒダントインを2−アミノ
エタノール存在下に反応させて5−(チアゾリルメチレ
ン)ヒダントインを製造し、該製造した5−(チアゾリ
ルメチレン)ヒダントインを、塩基存在下に加水分解す
ることを特徴とする、2−ヒドロキシ−3−チアゾリル
アクリル酸及び/又はその塩の製造方法である。そして
前記第3の目的を達成するためになされた本願請求項5
の発明は、チアゾールアルデヒドとヒダントインを2−
アミノエタノール存在下に反応させて5−(チアゾリル
メチレン)ヒダントインを製造し、該製造した5−(チ
アゾリルメチレン)ヒダントインを塩基存在下に加水分
解して2−ヒドロキシ−3−チアゾリルアクリル酸及び
/又はその塩を製造し、こうして得た2−ヒドロキシ−
3−チアゾリルアクリル酸及び/又はその塩を、酵素に
よる天然型アミノ酸からのアミノ基転移反応に供するこ
とを特徴とする、L−チアゾリルアラニンの製造方法で
ある。
【0009】本願請求項6の発明は、前記請求項5の発
明に係り、前記酵素がアミノトランスフェラーゼである
ことを特徴とする。
【0010】また本願請求項2の発明は、従来知られて
いない新規な化合物である、5−(4−チアゾリルメチ
レン)ヒダントインであり、本願請求項4の発明は、従
来知られていない新規な化合物である、2−ヒドロキシ
−3−(4−チアゾリルアクリル)酸又はその塩であ
る。以下、本願発明を詳細に説明する。
【0011】本願発明に用いるチアゾールアルデヒド
は、例えば、メチルチアゾールに対して無溶媒又は溶媒
存在下で、酸を添加し、触媒として過酸化ジアルキル、
過酸化ジアシル及びアゾ化合物からなる群より選ばれた
一種又は二種以上を用い、ハロゲン化剤としてハロゲ
ン、N−ブロモサクシンイミド、N−クロロサクシンイ
ミド及び1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダント
インからなる群より選ばれた一種又は二種以上を用い、
ここで前記触媒及び/又は前記ハロゲン化剤の全部又は
一部を、ハロゲン化反応開始後に1回もしくは2回以上
に分けて添加し及び/又は少量ずつ連続して添加するこ
とにより、そのメチル基を選択的にハロゲン化したジハ
ロメチル化チアゾールを製造し、続いて製造したハロメ
チル化チアゾールを精製することなく酸存在下で加水分
解することにより、得ることができる(特願2001−
215274号参照)。
【0012】上記において、メチルチアゾールのハロゲ
ン化によるハロメチル化チアゾールの製造は、0から2
00℃の範囲、好ましくは40から100℃の範囲で反
応を生じさせることが好ましい。ハロゲン化反応に供す
るメチルチアゾールとしては、例えば、2−メチルチア
ゾール、4−メチルチアゾール、5−メチルチアゾール
等を例示することができるが、最終的に4−チアゾリル
アラニンを製造しようとする場合には、4−メチルチア
ゾールが特に好ましい。
【0013】メチルチアゾールは常温で液体であるか
ら、ハロゲン化反応は無溶媒条件で実施しても良いが、
より円滑に反応を進行させるため必要に応じて溶媒を用
いることもできる。溶媒として例えば、(1)クロロベ
ンゼン、o−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ニト
ロベンゼン等のメチル基を有しない芳香族化合物、
(2)n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ペンタン等の
飽和脂肪族炭化水素、(3)シクロヘキサン、シクロヘ
プタン、シクロペンタン等の環状炭化水素、(4)n−
プロピルブロマイド、n−ブチルクロライド、n−ブチ
ルブロマイド、ジクロロメタン、ジブロモメタン、ジク
ロロプロパン、ジブロモプロパン、ジクロロエタン、ジ
ブロモエタン、ジクロロプロパン、ジブロモプロパン、
ジクロロブタン、クロロホルム、ブロモホルム、四塩化
炭素、四臭化炭素、トリクロロエタン、テトラクロロエ
タン、ペンタクロロエタン等の飽和脂肪族ハロゲン化炭
化水素、(5)クロロシクロヘキサン、クロロシクロペ
ンタン、ブロモシクロペンタン等のハロゲン化環状炭化
水素、そして(6)酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブ
チル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロ
ピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、
酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル等のエステル、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン等のケトン、等を例示することができる。なお溶媒を
使用する場合には、例えば上記例示した溶媒を単独で使
用しても良いし、上記例示した溶媒を二種類以上混合し
て使用しても良い。
【0014】メチルチアゾールのハロゲン化反応におい
て添加する酸としては、例えばギ酸、酢酸又はプロピオ
ン酸等の炭素数1から6の低級カルボン酸や、メチルス
ルホン酸又はベンゼンスルホン酸等のスルホン酸類を例
示することができる。これら酸は、メチルチアゾール1
モルに対して0.5から10.0モルとなるように添加
すれば良いが、好ましくは1.0から2.0モルとなる
ように添加する。なおこれら酸は、前記例示したものを
単独で使用しても良いし、前記例示したものを二種類以
上混合して使用しても良い。
【0015】ハロゲン化反応の触媒としては、過酸化ジ
アルキル、過酸化ジアシル及びアゾ化合物からなる群よ
り選ばれた一種又は二種以上を用いる。ここで過酸化ジ
アルキルとしては具体的に、過酸化ジ−t−ブチル、過
酸化ジクミル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−
ビス(t−ブチルパーオキシ−i−プロピル)ベンゼ
ン、過酸化−t−ブチルクミル、トリス−(t−ブチル
パーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパー
オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,
1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、4,4−ジ−t
−ブチルパーオキシ吉草酸ブチルエステル又は2,2−
ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ
ル)プロパン等を例示することができる。また過酸化ジ
アシルとしては具体的に、過酸化ベンゾイル、過酸化
2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化o−クロロベンゾ
イル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化イソ
ブチリル又は過酸化ビス−3,5,5−トリメチルヘキ
サノイルを例示することができる。そしてアゾ化合物と
しては具体的に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−
メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロ
ヘキサン−1−カルボニトリル)、2−フェニルアゾ−
4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,
2’−アゾビス(2−メチルプロパン)又はジメチル−
2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等を
例示することができる。
【0016】触媒は、メチルチアゾール1モルに対して
0.1から50.0モル%となるように添加すれば良い
が、好ましくは2.0から20.0モル%となるように
添加する。なお触媒は、前記例示したものを単独で使用
しても良いし、前記例示したものを二種類以上混合して
使用しても良い。
【0017】ハロゲン化剤としては、例えば塩素や臭素
等のハロゲン、N−ブロモサクシンイミド、N−クロロ
サクシンイミド及び1,3−ジブロモ−5,5−ジメチ
ルヒダントインからなる群より選ばれた一種又は二種以
上を用いる。ハロゲン化剤は、ハロゲン、N−ブロモサ
クシンイミド又はN−クロロサクシンイミドであればメ
チルチアゾール1モルに対して0.5から10.0モル
となるように添加すれば良いが、好ましくは1.0〜
2.0モルとなるように添加する。一方、1,3−ジブ
ロモ−5,5−ジメチルヒダントインではメチルチアゾ
ール1モルに対して0.25から5.0モルとなるよう
に添加すれば良いが、好ましくは0.5から1.0モル
となるように添加する。なおハロゲン化剤は、前記した
ものを単独で使用しても良いし、二種類以上混合して使
用しても良い。
【0018】上記においては、(1)前記触媒及び/又
は前記ハロゲン化剤の全部又は一部を、ハロゲン化反応
開始後に1回もしくは2回以上に分けて添加し及び/又
は少量ずつ連続して添加する、及び、(2)反応を酸の
共存下で生じさせる、ことによりそのメチル基を選択的
にハロゲン化することが可能である。
【0019】触媒及び/又は前記ハロゲン化剤の添加
は、例えば(1)触媒又はハロゲン化剤の一方のみをハ
ロゲン化反応開始後に1回もしくは2回以上に分けて添
加し及び/又は少量ずつ連続して添加する、又は、
(2)触媒及びハロゲン化剤の両方をハロゲン化反応開
始後に1回もしくは2回以上に分けて添加し及び/又は
少量ずつ連続して添加することにより実施する。(1)
及び(2)の場合とも、(a)その全部をハロゲン化反
応開始後に1回もしくは2回以上に分けて添加し及び/
又は少量ずつ連続して添加するか、又は、(b)その一
部をハロゲン化反応開始後に1回もしくは2回以上に分
けて添加し及び/又は少量ずつ連続して添加すれば良
い。
【0020】具体的に例えば、上記(1)かつ(a)の
場合であれば、触媒又はハロゲン化剤の一方を予め反応
液に添加しておき、他方をハロゲン化反応開始後、
(i)一回で添加し、(ii)二回以上に分けて添加
し、(iii)少量ずつ連続的に添加し、(iv)一部
を一回又は二回以上に分けて添加した後、残りを少量ず
つ連続的に添加し、又は、(v)一部を少量ずつ連続的
に添加した後、残りを一回又は二回以上に分けて添加す
る、ことが例示できる。また具体的に例えば、上記
(1)かつ(b)の場合であれば、触媒又はハロゲン化
剤の一方の全部と他方の一部を予め反応液に添加してお
き、該他方の残りをハロゲン化反応開始後、(i)一回
で添加し、(ii)二回以上に分けて添加し、(ii
i)少量ずつ連続的に添加し、(iv)更にその一部を
一回又は二回以上に分けて添加した後、残りを少量ずつ
連続的に添加し、又は、(v)更にその一部を少量ずつ
連続的に添加した後、残りを一回又は二回以上に分けて
添加する、ことが例示できる。なお上記(2)の場合に
は、触媒及びハロゲン化剤のそれぞれについて上記
(1)(a)の場合又は(1)(b)の場合に沿って添
加することが可能である。操作性の向上又はハロメチル
化チアゾールの収率の向上という観点からは、中でも、
触媒を予め添加しておき、ハロゲン化反応開始後にハロ
ゲン化剤を少量ずつ連続的に添加するか、又は、ハロゲ
ン化反応開始後に触媒及びハロゲン化剤少量ずつ連続的
に添加することが特に好ましい。
【0021】上記したような、ハロゲン化反応開始後の
触媒及び/又はハロゲン化剤の添加は、ハロゲン化反応
に要する時間の1/2から2/3の時間に渡ってほぼ均
一量の触媒及び/又はハロゲン化剤を添加することが好
ましいが、これは単なる例示で厳密なものではなく、実
際の製造工程においては種々の条件を検討して最適な条
件を設定するべきである。例えばハロゲン化反応に要す
る時間はメチルチアゾールの仕込み量により異なるが、
1g程度の仕込み量であってもハロゲン化反応は15時
間程度が好適であった。このように、ハロゲン化反応に
3時間以上を要する場合には、3時間以上に渡って触媒
及び/又はハロゲン化剤を添加することが好ましい。な
おハロゲン化剤は、前記した溶媒を用いて溶液とし、添
加することが操作性の向上という観点から好ましい。ま
た触媒についても、固体の状態で添加することも可能で
あるが、前記した溶媒を用いて溶液とし、添加すること
が操作性の向上という観点から好ましい。
【0022】以上に説明した方法により、芳香環の求電
子反応に対する反応性が高いメチルチアゾールのメチル
基が選択的かつ収率良くハロゲン化され、ジハロメチル
化チアゾールを含むハロメチル化チアゾールを高収率で
製造することが可能となる。製造されたハロメチル化チ
アゾールのうちジハロメチル化チアゾールは、ハロゲン
化終了後、必要に応じて後処理や溶媒留去を行うのみ
で、即ち他の合成物等から分離・精製する必要なしにチ
アゾールアルデヒドの製造に用いることが可能である。
【0023】これは、具体的には例えば、上記ハロゲン
化反応の終了後、必要に応じて溶媒留去等を行い、水を
溶媒とし、酸を添加することで加水分解反応を生じさせ
れば良い。添加する酸としては例えば、塩酸、臭化水素
酸、硝酸もしくは硫酸等の鉱酸、ギ酸、酢酸、プロピオ
ン酸もしくはトリフルオロ酢酸等の炭素数1から6の低
級カルボン酸、又は、p−トルエンスルホン酸、メチル
スルホン酸もしくはベンゼンスルホン酸等のスルホン酸
類を例示することができる。これらの酸は上記例示した
ものを単独で添加しても良いし、上記例示したものを2
種以上混合して添加しても良い。酸の添加量は、溶媒で
ある水に対して0.1から50重量%であれば良いが、
好ましくは5から20重量%である。また加水分解は、
50から150℃の温度範囲、好ましくは80から11
0℃の温度範囲で生じさせれば良く、また反応時間は数
分から1日程度、好ましくは2から10時間程度とすれ
ば良い。
【0024】本願発明の製造方法は、例えばこのように
して製造したチアゾールアルデヒドを、ヒダントインと
2−アミノエタノール存在下で反応させるものである。
本願発明の製造方法によれば、5−(2−チアゾリルメ
チレン)ヒダントイン、5−(4−チアゾリルメチレ
ン)ヒダントイン、5−(5−チアゾリルメチレン)ヒ
ダントインを含む、5−(チアゾリルメチレン)ヒダン
トインを容易に製造することができる。特に、チアゾー
ルアルデヒド1モルに対して1〜50モル、好ましくは
1〜5モルのヒダントインを用いることにより、効率の
良い製造工程を実施できる。またエタノールアミンは、
チアゾールアルデヒド1モルに対して0.1〜10モ
ル、より好ましくは1〜5モルを使用することにより、
効率の良い製造工程を実施できる。また反応は50〜2
00℃、より好ましくは80〜120℃の温度条件下
で、数分〜1日、好ましくは2〜12時間実施する。こ
の反応は水だけを溶媒として使用しても良いが、水溶性
の有機溶媒を添加しても良い。水溶性有機溶媒として
は、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアル
コールもしくはt−ブチルアルコール等の低級アルコー
ル、アセトン、メチルエチルケトンもしくはメチルイソ
ブチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド、テ
トラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド又はジオキサ
ン等を例示することができる。むろんこれらの水溶性有
機溶媒は、単独で水に添加しても良いし、2種類以上を
任意の割合で混合して添加しても良い。
【0025】本願発明における2−ヒドロキシ−3−チ
アゾリルアクリル酸及び/又はその塩の製造方法は、上
記のようにして製造した5−(チアゾリルメチレン)ヒ
ダントインを塩基存在下に加水分解するものである。本
願発明の製造方法によれば、2−ヒドロキシ−3−(2
−チアゾリル)アクリル酸、2−ヒドロキシ−3−(4
−チアゾリル)アクリル酸及び2−ヒドロキシ−3−
(5−チアゾリル)アクリル酸を含む、2−ヒドロキシ
−3−チアゾリルアクリル酸及び/又はこれらの塩を製
造することができる。この反応では、各種の塩基が特に
制限なく使用できるが、アルカリ金属又はアルカリ土類
金属の水酸化物を好ましい塩基として例示できる。中で
も、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが経済的に有
利であり、特に水酸化ナトリウムが好適である。またこ
の反応は0〜200℃、より好ましくは50〜150℃
の温度条件下で、数分〜1日、好ましくは5分〜1時間
実施すると良い。反応は窒素又は不活性ガス雰囲気下
で、酸素が存在しない状況下で行うことで目的物(2−
ヒドロキシ−3−チアゾリルアクリル酸及び/又はその
塩)の分解を抑制することができる。また反応は水だけ
を溶媒として使用しても良いが、水溶性の有機溶媒を添
加しても良い。水溶性有機溶媒としては、例えばメタノ
ール、エタノール、イソプロピルアルコールもしくはt
−ブチルアルコール等の低級アルコール、アセトン、メ
チルエチルケトンもしくはメチルイソブチルケトン等の
ケトン類、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラ
ン、ジメチルホルムアミド又はジオキサン等を例示する
ことができる。むろんこれらの水溶性有機溶媒は、単独
で水に添加しても良いし、2種類以上を任意の割合で混
合して添加しても良い。
【0026】このようにして製造された2−ヒドロキシ
−3−チアゾリルアクリル酸及び/又はその塩は、有機
溶媒抽出、結晶化又はカラムクロマトグラフィー等の公
知方法で精製することができる。
【0027】本願発明の製造方法では、以上のようにし
て製造した2−ヒドロキシ−3−チアゾリルアクリル酸
及び/又はその塩を、アミノトランスフェラーゼやアミ
ノ酸脱水素酵素を用いてL−チアゾリルアラニンの医・
農薬の合成用中間体を製造する際に使用するものであ
る。この反応の詳細については、本願出願人による先の
特許出願(特願平11−329334号)を参照するこ
とができるが、光学特異性の高さや副原料の入手しやす
さから、酵素としてアミノトランスフェラーゼを用いる
ことが好ましい。超好熱菌由来のアミノトランスフェラ
ーゼとして極めて耐熱性の高い酵素が知られており、取
り扱いが容易である等、特に好ましい酵素である。
【0028】かかる特に好ましい酵素としては、具体的
に例えば、サーモコッカス(Thermococcu
s)属の古細菌であるサーモコッカス・プロファンダス
(Thermococcus profundus)
JCM9378株(Kobayashi,T.,(19
97) The 5th Anniversary N
ovo Nordisk Enzyme Sympos
ium要旨集21−26)、サーモコッカス・リトラリ
ス DSM5473株(Andreotti et a
l. (1994) Eur. J. Bioche
m.220、543−549)又はパイロコッカス(P
yrococcus)属の古細菌であるパイロコッカス
・フリオサス(Pyrococcus furiosu
s) DSM3638株(Andreotti et
al. (1995) Biochim. Bioph
ys. Acta 1247, 90−96)が産生す
る、耐熱性の高いアミノトランスフェラーゼを例示でき
る。
【0029】上記例示した酵素そのもの以外にも、例え
ば上記例示した微生物の培養液から遠心分離等の方法で
回収した微生物菌体をそのまま触媒(酵素)として使用
したり、微生物菌体を浸透圧ショックや超音波処理、フ
レンチプレス処理又はマントン・ゴーリン・ホモジナイ
ザー処理等の既知の方法で破砕して得た菌体抽出液を使
用することもできる。むろん硫安塩析法、溶媒分画法、
イオン交換や疎水相互作用を利用したカラムクロマトグ
ラフィー法等既存の方法で抽出液から精製した酵素を使
用することもできる。また更には、これらの酵素の遺伝
子を大腸菌、枯草菌又は酵母等の大量培養に適した微生
物に導入し、組換え体微生物を用いて大量発現させた組
換え酵素を使用することもできる。例えばサーモコッカ
ス・プロファンダスに由来するアミノトランスフェラー
ゼの場合、その遺伝子配列は一般に公開されているため
(GenBank Accession numbe
r;AB027131)、その情報を基に遺伝子を入手
するのは容易である。パイロコッカス・フリオスサス及
びエアロパイラム・ペルニクス等のゲノム情報が公開さ
れている超好熱菌に関しても、この情報を基にしてアミ
ノトランスフェラーゼと考えられる遺伝子領域を見出
し、入手することができる。組換え体を用いる場合で
も、微生物菌体をそのまま使用したり、上記の方法で菌
体を破砕・抽出したものや更には抽出液より通常の方法
で精製した酵素を使用することができる。
【0030】上記酵素反応では、天然型のアミノ酸を特
に制限なく副原料として使用することができる。中で
も、食品添加物として世界中で大量に生産されているグ
ルタミン酸又はその一ナトリウム塩は、原料の価格の点
のみならず、水溶性が高い点でも好ましく、さらにその
一ナトリウム塩は緩衝液としての作用を有する点で好ま
しい。グルタミン酸一ナトリウムを副原料として利用す
れば、特に他の緩衝液を用いたり、アルカリや酸を添加
して調整する事無く、反応の間を通じて反応液のpHを
6−9付近に保つことができるからである。副原料であ
る天然型のアミノ酸は、主原料となる2−ヒドロキシ−
3−チアゾリルアクリル酸1モルに対して1〜100モ
ル、好ましくは1〜10モル使用する。反応液に原料、
副原料及び酵素を投入する順番にも特に制限はなく、す
べてを同時に溶媒である水に添加することもできるし、
原料をまず加熱して溶解した後に副原料、酵素を順次投
入して反応を開始しても良い。反応温度は0〜120
℃、好ましくは50〜100℃である。この様にして酵
素反応を行うことにより、L−チアゾリルアラニンを製
造することができるが、生成物のL−チアゾリルアラニ
ンは結晶化やカラムクロマトグラフィー等の公知の方法
で精製して医・農薬合成のための中間体して供するする
ことが可能であるばかりか、アシル誘導体やカルバモイ
ル誘導体等の種々の誘導体として種々の目的に供するこ
とも可能である。
【0031】以上に本願発明の製造方法について説明し
たが、前述の5−(チアゾリルメチレン)ヒダントイン
の中で、少なくとも5−(4−チアゾリルメチレン)ヒ
ダントインは従来知られていない新規な化合物である。
また前述の2−ヒドロキシ−3−チアゾリルアクリル酸
の中で、少なくとも2−ヒドロキシ−3−(4−チアゾ
リル)アクリル酸及び/又はその塩も新規化合物であ
る。これらの新規化合物は、例えば前記した本願発明の
製造方法により、それぞれ製造し得るものである。
【0032】
【発明の実施の形態】次に本願発明を実施例によって詳
細に説明するが、本願発明はこの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0033】実施例1 4−(ブロモメチル)チアゾー
ルの合成 4−メチルチアゾール182μL、酢酸120μL、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル33.5mg、
クロロホルム20mLを混合し、アルゴン雰囲気下、こ
の混合物を攪拌しつつ、100℃のオイルバスで加熱還
流した。続いて、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチル
ヒダントイン574mgを少量ずつ10時間かけて添加
した。更に5時間加熱を続け、放冷後濃縮し、NMRを
測定したところ、4−(ブロモメチル)チアゾールと4
−(ジブロモメチル)チアゾールを主成分とする混合物
であり、それぞれの収率はモノブロモ体20%、ジブロ
モ体60%であった。
【0034】比較例1 4−メチルチアゾール999mg、2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル85mg、クロロホルム20mLを
混合し、アルゴン雰囲気下、この混合物を攪拌しつつ、
100℃のオイルバスで加熱還流した。続いて、1,3
−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン2.00g
を少量ずつ6時間かけて添加した。途中3時間経過時に
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル92mgを添加
した。更に2時間加熱を続け、放冷後GC−MSにより
分析したところ、4−メチルチアゾール由来の成分とし
て、4−メチルチアゾール17%、2−ブロモ−4−メ
チルチアゾール74%、4−(ブロモメチル)チアゾー
ル9%を含んでいた。すなわち、ハロゲン化がチアゾー
ル環に対して優先的に進行した。
【0035】実施例2 5−(4−チアゾリルメチレ
ン)ヒダントインの合成 4−メチルチアゾール1.85mL、酢酸1.15m
L、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル170m
g、四塩化炭素200mLを混合し、アルゴン雰囲気
下、この混合物を攪拌しつつ、110℃のオイルバスで
加熱した。続いて、N−ブロモサクシンイミド8.55
gを少量ずつ30時間かけて添加した。途中、10時間
経過時と20時間経過時に2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル170mgづつを添加した。更に5時間加熱
を続け、放冷後沈殿を濾別後濃縮し、NMRを測定した
ところ、4−(ブロモメチル)チアゾールと4−(ジブ
ロモメチル)チアゾールを主成分とする混合物であり、
その比はモノブロモ体:ジブロモ体=1:2であった。
【0036】この取上げ品混合物の半量を10%硫酸水
溶液10mLと混合しアルゴン雰囲気下2時間加熱還流
し、放冷後飽和重曹水33mLで中和した。中和した水
溶液よりクロロホルム40mLで4回抽出し、集めた有
機層を常圧で濃縮するとチアゾール−4−カルボキシア
ルデヒドを主成分とする2.55gの油状物が得られ
た。この油状物とヒダントイン1.52g、エタノール
アミン0.65g、H2O 10mLを混合し、攪拌し
つつ100℃のオイルバスで8時間加熱した。放冷後、
冷蔵して沈殿物を熟成し吸引濾過すると、ほぼ純品の5
−(4−チアゾリルメチレン)ヒダントイン880mg
が得られた。4−メチルチアゾールからの収率45%で
あった。
【0037】5−(4−チアゾリルメチレン)ヒダント
イン物性値 NMR(500MHz,DMSO−d6):11.25
(1H,m),9.80(1H,m),9.237(1
H,dd,J=1Hz,2Hz),8.044(1H,
dd,J=1Hz,2Hz),6.564(1H,s) IR(KBr,cm-1)3150,3050,176
0,1740,1720,1660,1410,137
0 融点 216〜217℃ 以上に示したように、メチルチアゾールのメチル基を高
い選択性でハロゲン化する事によって、収率良くチアゾ
ールカルボキシアルデヒドを製造し、更に収率良く5−
(4−チアゾリルメチレン)ヒダントインを製造する事
ができる。
【0038】実施例3 2−ヒドロキシ−3−(4−チ
アゾリル)アクリル酸の合成 5N水酸化ナトリウム水溶液12mLをアルゴン雰囲気
下130℃のオイルバスで20分還流し、5−(4−チ
アゾリルメチレン)ヒダントイン781mgを添加して
1時間加熱還流した。放冷後吸引濾過で少量の沈殿物を
取り除き、氷冷下濃塩酸5.3mLでpH2に調整し
た。水溶液よりジエチルエーテル50mLで4回抽出し
集めた有機層を飽和食塩水60mLで洗浄して硫酸ナト
リウムで乾燥後濃縮すると淡黄色油状物の2−ヒドロキ
シ−3−(4−チアゾリル)アクリル酸313mgを得
た。放置すると固化し、収率46%であった。
【0039】2−ヒドロキシ−3−(4−チアゾリル)
アクリル酸物性値 NMR(500MHz,DMSO−d6):10.30
(1H,m),9.192(1H,d,J=2Hz),
7.915(1H,d,J=2Hz),6.667(1
H,s) IR(KBr,cm-1)3120,3070,300
0,2600,1700,1680,1630,144
0,1420,1340,1270,1110 融点 155〜156℃ 実施例4 酵素法による3−(4−チアゾリル)−L−
アラニンの合成 プラスミドベクターpUC118をBamHIで消化
し、平滑末端化後、サーモコッカス・プロファンダス由
来のアミノトランスフェラーゼ遺伝子とライゲーション
し、大腸菌HB101株に導入した。この形質転換体を
50μg/mlのカルベニシリンを含むLB培地(1%
バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキストラ
クト、0.5%NaCl)で37℃、15時間試験管に
て振とう培養し、この培養液の一部を500ml容のバ
ッフル付3角フラスコ10本に分けた50μg/mlの
アンピシリンを含むTG培地(5%トリプチケースペプ
トン、3.5%グリセロール、0.7%リン酸2ナトリ
ウム0、0.3%リン酸1カリウム、0.1%塩化アン
モニウム、0.05%塩化ナトリウム、0.074%硫
酸マグネシウム7水和物、0.00732%硫酸第一鉄
7水和物、0.00436%塩化カルシウム2水和物、
pH7.2)1リットルに植菌し、37℃で約51時間
振とう培養した。
【0040】この培養物から常法に従って菌体を集め、
200mlの50mMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.
8)にて洗浄後、同じ緩衝液200mlで再度懸濁し、
超音波で菌体の破砕を行い、この菌体破砕物にピリドキ
サールリン酸を1mMの濃度になるよう加えた。この溶
液を70℃の湯浴に30分間浸し熱処理を行い、生じた
沈殿物を8,000回転、30分間の遠心分離により除
去し、上清を回収した。得られた上清に等量の冷アセト
ンを0℃にてゆっくり添加し、生じた沈殿を8,000
回転、20分間の遠心分離により回収した。この沈殿物
を100mlの50mMのトリス−塩酸緩衝液(pH
7.8)を用いて溶解し、80℃の湯浴にて20分間浸
し、生じた沈殿を遠心分離により除去、上清を回収し
た。
【0041】得られた上清中の酵素活性は、10mMの
3−(2−ナフチル)−2−オキソプロピオン酸及び1
0mMのグルタミン酸を基質として、70℃、pH7.
1という条件下で反応を行った場合、1分間に1μmo
lの3−(2−ナフチル)−アラニンを生成する活性を
1Uとして表すと2000U/mlであった。
【0042】上記酵素液を用いて以下の実験を行った。
等量の苛性ソーダで中和した2−ヒドロキシ−3−(4
−チアゾリル)アクリル酸100mM水溶液100マイ
クロリットル、100mMグルタミン酸ナトリウム水溶
液800マイクロリットル、水80マイクロリットル、
前記アミノトランスフェラーゼ溶液20マイクロリット
ルを混合し、70℃で加熱放置した。2時間加熱後、氷
冷し、高速液体クロマトグラフィーを用いて2−ヒドロ
キシ−(4−チアゾリル)アクリル酸から3−(4−チ
アゾリル)−L−アラニンへの変換率を求めたところ8
3%であった。反応後の溶液から疎水クロマトグラフィ
ーを用いて3−(4−チアゾリル)−L−アラニンの精
製を行った。精製された溶液をそのまま用いてキラルカ
ラムによる液体クロマトグラフィーを行い、光学純度の
検定を行ったところ、%ee≧99.7%であった。
【0043】なお、L−4−チアゾリルアラニンの合成
において変換率測定の際のHPLCの条件は表1の通り
であり、L−4−チアゾリルアラニンの合成において目
的物の精製を行った際のHPLC条件は表2の通りであ
り、L−4−チアゾリルアラニンの合成において光学純
度測定を行った際のHPLCの条件は表3の通りであ
る。
【0044】
【表1】
【表2】
【表3】
【発明の効果】本願発明によれば、チアゾールアルデヒ
ドとヒダントインを用いる、新規な5−(チアゾリルメ
チレン)ヒダントインの製造方法、該製造方法により製
造される5−(チアゾリルメチレン)ヒダントインを用
いる、新規な2−ヒドロキシ−3−チアゾリルアクリル
酸及び/又はその塩の製造方法、そして、このようにし
て製造される2−ヒドロキシ−3−チアゾリルアクリル
酸及び/又はその塩を原料としてL−チアゾリルアラニ
ンを製造する新規な方法が提供提供される。
【0045】本願発明の製造方法によれば、それぞれ、
5−(チアゾリルメチレン)ヒダントイン、2−ヒドロ
キシ−3−チアゾリルアクリル酸及び/又はその塩、又
は、L−チアゾリルアラニンを効率よく製造することが
可能となる。このL−チアゾリルアラニンは医薬品等の
合成原料としての供給が臨まれている非天然型アミノ酸
であり、従って本願発明は、かかる非天然型アミノ酸を
安価かつ安定的に提供することを可能とするものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大江 正剛 神奈川県横浜市青葉区奈良5−6−7 Fターム(参考) 4B024 AA03 BA10 CA02 DA06 EA04 GA11 4B064 AE02 CA21 CB30 CD12 DA16 4C033 AB01 4C063 AA01 BB03 CC62 DD26 EE05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チアゾールアルデヒドとヒダントインを、
    2−アミノエタノール存在下に反応させることを特徴と
    する、5−(チアゾリルメチレン)ヒダントインの製造
    方法。
  2. 【請求項2】5−(4−チアゾリルメチレン)ヒダント
    イン。
  3. 【請求項3】チアゾールアルデヒドとヒダントインを2
    −アミノエタノール存在下に反応させて5−(チアゾリ
    ルメチレン)ヒダントインを製造し、該製造した5−
    (チアゾリルメチレン)ヒダントインを、塩基存在下に
    加水分解することを特徴とする、2−ヒドロキシ−3−
    チアゾリルアクリル酸及び/又はその塩の製造方法。
  4. 【請求項4】2−ヒドロキシ−3−(4−チアゾリルア
    クリル)酸又はその塩。
  5. 【請求項5】チアゾールアルデヒドとヒダントインを2
    −アミノエタノール存在下に反応させて5−(チアゾリ
    ルメチレン)ヒダントインを製造し、該製造した5−
    (チアゾリルメチレン)ヒダントインを塩基存在下に加
    水分解して2−ヒドロキシ−3−チアゾリルアクリル酸
    及び/又はその塩を製造し、こうして得た2−ヒドロキ
    シ−3−チアゾリルアクリル酸及び/又はその塩を、酵
    素による天然型アミノ酸からのアミノ基転移反応に供す
    ることを特徴とする、L−チアゾリルアラニンの製造方
    法。
  6. 【請求項6】前記酵素はアミノトランスフェラーゼであ
    ることを特徴とする、請求項5に記載のL−チアゾリル
    アラニンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011507864A (ja) * 2007-12-19 2011-03-10 エイボン プロダクツ インコーポレーテッド 非タンパク質性アミノ酸を含む局所用組成物及び皮膚を処置する方法

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