JP2002238581A - N−アシルアミノ酸ラセマーゼ遺伝子およびその用途 - Google Patents

N−アシルアミノ酸ラセマーゼ遺伝子およびその用途

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JP2002238581A JP2001044842A JP2001044842A JP2002238581A JP 2002238581 A JP2002238581 A JP 2002238581A JP 2001044842 A JP2001044842 A JP 2001044842A JP 2001044842 A JP2001044842 A JP 2001044842A JP 2002238581 A JP2002238581 A JP 2002238581A
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amino acid
protein
seq
naar
enzyme
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Kazuya Mihashi
和也 三橋
Shinji Tokuyama
真治 徳山
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラセミ化活性を持つラセマーゼを用いたN-ア
シルアミノ酸のラセミ化方法、および光学活性アミノ酸
の製造方法の提供。 【解決手段】 Deinococcus radiodurans に由来するN-
アシルアミノ酸ラセマーゼによるラセミ化方法と、この
方法に基づく光学活性アミノ酸の製造方法が提供され
た。N-アシルメチオニン、N-アシルトリプトファン、N-
アシルフェニルアラニンといったアシルアミノ酸におい
て、これらを基質として効率的なラセミ化を触媒するこ
とができる。更に光学活性アミノ酸の製造に応用した場
合には、医薬品原料などとして有用な光学活性アミノ酸
を効率的に得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラセマーゼによる
N-アシルアミノ酸のラセミ化方法、更にL-アミノアシラ
ーゼ、あるいはD-アミノアシラーゼを作用させてそれぞ
れに対応する光学活性アミノ酸を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年における研究の精密化に伴い、医薬
品、農薬、飼料、香料などの分野で光学活性体を扱うこ
との重要性が増している。光学異性体は生理活性をまっ
たく異にする場合があるため、それらを特異的に得るた
めの技術は重要である。たとえばサリドマイドは、D
(R)体は催奇形性を持たないが、L(S)体には強い催
奇形性がある。そのラセミ体を実用に供したことが、サ
リドマイドによる薬害事件を引き起こす原因となった。
更に対掌体の一方のみが有効な生理活性を示す場合、両
者の共存によって、もう一方の異性体が単に活性を持た
ないという問題のみならず、有効な対掌体に対して競合
阻害をもたらす。その結果、ラセミ体の生物活性が有効
な対掌体に対して1/2以下に激減してしまうこともあ
る。従って、光学的に純粋な対掌体をいかにして入手
(合成または分割)するかは、産業上重要な課題となっ
ている。
【0003】この課題に対して、ラセミ体を合成した上
で、それを効果的に光学分割する手法が広く用いられて
いる。しかし合成後の分割による手法では、常に目的と
しない対掌体を副生成物として合成することになるの
で、原料の有効利用という点では問題を残す。たとえ回
収された副生成物を原料として再生するとしても、常に
一定量の副生成物の合成を繰り返すことには変わりは無
い。したがって、副生成物や多量の廃液を生じない酵素
法による光学分割が注目されている。酵素法による光学
分割は、酵素の特異性を利用して、必要な対掌体を特異
的に生成させる方法である。不要な対掌体の合成を低く
抑えることができるので、光学的な純度に優れた生成物
を容易に得ることができる。
【0004】天然型でないアミノ酸(たとえばD-アミノ
酸やある種のL-アミノ酸があげられる)は、光学分割剤
や医薬品原料として有用な物質である。たとえばD-トリ
プトファンは、NK-1 receptor antagonist、endothelin
e antagonistなどの中間体であり、安価な製造法が望ま
れている。D-アミノ酸は、N-アシル-DL-アミノ酸にD-ア
ミノアシラーゼを作用させることにより、D-アミノ酸、
およびN-アシル-L-アミノ酸として分割することができ
る(特開平11-318442)。更に、L-アミノ酸を得る場合
には、N-アシル-DL-アミノ酸にL-アミノアシラーゼを作
用させることにより、L-アミノ酸、およびN-アシル-D-
アミノ酸として分割することができる。この方法によれ
ば、醗酵法で製造することのできない非天然型アミノ酸
を簡便に製造しうる利点があった。しかしながら、本方
法によれば、不要なN-アシルアミノ酸が残ってしまうと
いう問題があった。
【0005】原料の有効利用のためには、残存したN-ア
シルアミノ酸をさらに原料として再利用すればよい。こ
れを解決する手段として、N-アシルアミノ酸を化学的に
ラセミ化させる方法(特開平6-56775)が知られてい
る。しかしながら、化学的にラセミ化させるためには、
原料と生成物を分離し、さらに高温、強アルカリ条件化
での処理を伴う。
【0006】これに対し、不要なN-アシルアミノ酸をN-
アシルアミノ酸ラセマーゼ(以下NAARと省略する)を用
い、温和な条件でラセミ化させる方法(Biosci.Biotec
h.Biochem.,58,24-27,1994)が知られている。この方法
では、上記D-アミノアシラーゼ、もしくはL-アミノアシ
ラーゼを作用させる方法を組み合わせて利用している。
その結果、ラセミ化をともなった加水分解反応により、
ラセミ原料から目的とする光学活性な化合物を得ること
ができる。この反応は温和な条件で実施できるうえ、収
率にも優れる。このように、NAARを用いた反応は産業上
非常に有用なプロセスとなりうる。
【0007】NAARは、アミノ酸には作用せずN-アシルア
ミノ酸を特異的にラセミ化する非常に有用な酵素であ
る。ところが非常にまれな性質を有することから、限ら
れた生物に由来する酵素しか知られていない。現在のと
ころ、Streptomyces属、Amycolatopsis属、あるいはSeb
ekia属などの放線菌に由来するNAARが報告されている
(Biosci.Biotech.Biochem.,58,24-27,1994)。また、
その用途としてアミコラトプシス・スピーシーズTS-1-6
0とそれを用いた光学活性アミノ酸の製造方法(特開平6
-205668)が知られている。
【0008】更にNAARをコードする遺伝子に関しては、
アミコラトプシス・スピーシーズTS-1-60由来NAARをコ
ードする遺伝子(Appl. Microbiol. Biotechnol., 42,
884-889 (1995))と、セベキア・ベニハナ IFO 14309由
来NAARをコードする遺伝子(生物工学会大会・1999年度
大会講演要旨集p.166)が知られていた。
【0009】このように、公知のNAARは、その特異な酵
素活性により産業上たいへん有用な酵素である。したが
って、公知のNAARとは異なる性質を有する新たなNAARを
提供することができれば、NAARの利用範囲を広げること
ができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、公知
のNAARとは異なる性質を有する新たなNAARを提供するこ
とである。また本発明は、新規NAAR遺伝子、遺伝子を組
み込んだベクター、ベクターによる形質転換体、これら
を用いたN-アシルアミノ酸のラセミ化方法、およびこの
方法を利用した光学活性アミノ酸の製造方法の提供を課
題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】ある生物に由来する公知
の遺伝子の情報を元に、異なる種における相同遺伝子を
取得する方法は公知である。異なる種から得ることがで
きる相同遺伝子は、基本的な機能には共通性があるもの
の、異なる性状を示す場合が少なくない。したがって、
様々な相同遺伝子の取得とスクリーニングを繰り返せ
ば、目的とする特徴を示す遺伝子を探索することができ
る。本発明者らは、このような戦略に基づいて、新規な
NAARの取得を試みた。
【0012】ところが、公知のNAARと構造的に類似する
遺伝子に、有用な特性を有する新規な遺伝子を見出すこ
とは困難であった。そこでより探索範囲を広げるととも
に、ゲノムシーケンス情報に基づく探索を試みた。PCR
やハイブリダイズスクリーニングは、構造的に良く似た
遺伝子を取得する方法である。これに対して、ゲノムシ
ーケンス情報を利用することにより、より広い範囲の遺
伝子の探索を行うことができると考えた。
【0013】そして本発明者らは、デイノコッカス・ラ
ジオデュランス(Deinococcus radiodurans)のゲノム(A
AF09631.1、Locus AE001867)に、NAAR活性を有するタ
ンパク質をコードする遺伝子が存在することを見出し
た。驚くべきことにこの遺伝子によってコードされるア
ミノ酸配列からなるタンパク質は、公知のNAARとの相同
性が低いのにもかかわらず、十分なレベルのNAAR活性を
有していた。そしてこのNAARが、産業上有用な性状を有
することを確認して本発明を完成した。すなわち本発明
は、以下のNAAR遺伝子、NAAR酵素、遺伝子を組み込んだ
ベクター、形質転換体および形質転換体によるNAARの製
造、形質転換体によるN-アシルアミノ酸のラセミ化方
法、並びにこのラセミ化方法に基づく光学活性アミノ酸
の製造方法に関する。 〔1〕下記(a)から(e)のいずれかに記載のポリヌ
クレオチド。 (a)配列番号:1に記載の塩基配列を含むポリヌクレ
オチド、 (b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタン
パク質をコードするポリヌクレオチド、 (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1
若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸からなり、以下の理化学的性質
1)および2)を有するタンパク質をコードするポリヌ
クレオチド、 (d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌク
レオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
し、以下の理化学的性質1)および2)を有するタンパ
ク質をコードするポリヌクレオチド、 (e)配列番号:2に記載のアミノ酸配列と70%以上
の相同性を有し、以下の理化学的性質1)および2)を
有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、 1)作用:N-アシルアミノ酸に作用してラセミ化しうる 2)pH安定性:pH 6-10 の間で安定である 〔2〕〔1〕に記載のポリヌクレオチドによってコード
される蛋白質。 〔3〕〔1〕に記載のポリヌクレオチドが挿入された組
換えベクター。 〔4〕宿主を〔3〕に記載の組換えベクターにより形質
転換した形質転換体。 〔5〕宿主が微生物である〔4〕に記載の形質転換体。 〔6〕〔4〕に記載の形質転換体を培養する工程を含
む、N-アシルアミノ酸ラセマーゼの製造方法。 〔7〕デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus
radiodurans)に由来し、次に示す理化学的性質1)お
よび2)を有するN-アシルアミノ酸ラセマーゼ。 1)作用:N-アシルアミノ酸に作用してラセミ化しうる 2)pH安定性:pH 6-10 の間で安定である 〔8〕〔2〕に記載のタンパク質、〔7〕に記載のN-ア
シルアミノ酸ラセマーゼ、該タンパク質または該酵素を
産生する微生物、若しくは該微生物の処理物からなる群
から選択されるいずれかの酵素活性物質を光学活性N-ア
シルアミノ酸に作用させる工程を含む、N-アシルアミノ
酸のラセミ化方法。
〔9〕N-アシルアミノ酸が N-アシルメチオニン、N-ア
シルトリプトファン、およびN-アシルフェニルアラニン
から選択される少なくとも1つの N-アシルアミノ酸で
ある〔8〕に記載のラセミ化方法。 〔10〕D-またはL-アミノアシラーゼの共存下で、N-ア
シルアミノ酸を基質として〔8〕に記載のラセミ化方法
を行う工程を含む、D-またはL-アミノ酸の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は次の(a)〜(e)のい
ずれかに記載のポリヌクレオチドに関する。 (a)配列番号:1に記載の塩基配列を含むポリヌクレ
オチド、 (b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタン
パク質をコードするポリヌクレオチド、 (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1
若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸からなり、以下の理化学的性質
1)および2)を有するタンパク質をコードするポリヌ
クレオチド、 (d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌク
レオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
し、以下の理化学的性質1)および2)を有するタンパ
ク質をコードするポリヌクレオチド、 (e)配列番号:2に記載のアミノ酸配列と70%以上
の相同性を有し、以下の理化学的性質1)および2)を
有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、 1)作用:N-アシルアミノ酸に作用してラセミ化しうる 2)pH安定性:pH 6-10 の間で安定である
【0015】本発明において、配列番号:1に記載の塩
基配列からなるポリヌクレオチドは、デイノコッカス・
ラジオデュランス(以下、D. radioduransと記載する)
に由来し、配列番号:2に記載のアミノ酸配列をコード
している。配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパ
ク質は、前記1)および2)に記載の理化学的性質を有
する新規なNAARである。本発明のNAARは、公知のNAARと
の構造的な相同性は低い。たとえば、アミコラトプシス
・オリエンタリスTS-1-60に由来するNAARと比較した場
合、アミノ酸レベルのホモロジーが 46%、セベキア・ベ
ニハナ由来酵素とは 44%と極めて低い相同性しか見られ
ない。
【0016】一般に、アミノ酸配列の相同性が低いタン
パク質間で、活性が類似することは稀である。たとえ
ば、バシラス・サブチリス由来ytfD には、NAAR活性は
見られない(Biochemistry 38, 4252-4258 (1999))。
そのアミノ酸配列は、アミコラトプシス・オリエンタリ
スTS-1-60由来酵素と42%、セベキア・ベニハナ由来酵素
とは43%の相同性を持つ。これらのタンパク質間のアミ
ノ酸配列の相同性を次にまとめた。 これらのことから明らかなように、本発明のNAARとytfD
は、既知NAARとほとんど同じレベルの相同性を有するア
ミノ酸配列からなるタンパク質であっても、NAAR活性に
は大きな相違がある。したがって、D. radioduransのゲ
ノム(AAF09631.1、Locus AE001867)に、NAAR活性を有
するタンパク質をコードする遺伝子が存在することは、
非常に意外である。
【0017】本発明は、NAARをコードするポリヌクレオ
チドおよびそのホモログに関する。本発明において、ポ
リヌクレオチドは、DNAやRNAのような天然に存在するポ
リヌクレオチドであることもできるし、人工的に合成さ
れたヌクレオチド誘導体を含むポリヌクレオチドであっ
ても良い。
【0018】本発明のNAARをコードするポリヌクレオチ
ドは、たとえば配列番号:1に示す塩基配列を含む。配
列番号:1に示す塩基配列は、配列番号:2に示すアミ
ノ酸配列を含むタンパク質をコードしており、このアミ
ノ酸配列を含むタンパク質は、本発明によるNAARの好ま
しい態様を構成する。なお本発明のポリヌクレオチド
は、配列番号:2に記載のアミノ酸配列をコードするこ
とができるあらゆる塩基配列を含む。1つのアミノ酸に
対応するコドンは、1〜6存在することから、配列番号:
2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードす
るDNAは、配列番号:1のみとは限らず、配列番号:1
に記載されるDNAと等価とみなすことができるDNAは複数
存在する。
【0019】本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:
2に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数のア
ミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたア
ミノ酸配列を含み、かつ、前記理化学的性質(1)−
(2)を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチ
ドを含む。NAARのアミノ酸配列(配列番号:2)に対し
て、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、お
よび/または付加したアミノ酸配列からなるタンパク質
は、配列番号:2のアミノ酸配列からなるNAARに近い酵
素活性を示す可能性が高い。したがって、このようなア
ミノ酸配列からなるタンパク質の中から、本発明に利用
することができるNAAR変異体を選択することは、当業者
が日常的に行っていることである。
【0020】当業者であれば、配列番号:1記載のDNA
に部位特異的変異導入法(Nucleic Acid Res. 10,pp.64
87 (1982) , Methods in Enzymol.100,pp.448 (1983),
Molecular Cloning 2ndEdt., Cold Spring Harbor Labo
ratory Press (1989) , PCR APractical Approach IRL
Press pp.200 (1991) などを用いて、適宜置換、欠失、
挿入、および/または付加変異を導入することが可能で
ある。
【0021】また、本発明のポリヌクレオチドは、配列
番号:1に示される塩基配列からなるDNAとストリンジ
ェントな条件でハイブリダイズできるポリヌクレオチド
であって、かつ、前記理化学的性質(1)−(2)を有
するタンパク質をコードするポリヌクレオチドも含む。
ストリンジェントな条件でハイブリダイズできるポリヌ
クレオチドとは、配列番号:1に記載中の任意の少なく
とも20個、好ましくは少なくとも30個、たとえば4
0、60または100個の連続した配列を一つまたは複
数選択したDNAをプローブDNAとし、たとえばECL direct
nucleic acidlabeling and detection system (Amersh
am Pharmaica Biotech社製)を用いて、マニュアルに記
載の条件(wash:42℃、0.5x SSCを含むprimary wash b
uffer)において、ハイブリダイズするポリヌクレオチ
ドを指す。ストリンジェントな条件下で配列番号:1に
記載の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズすること
ができるポリヌクレオチドには、配列番号:1と類似す
る塩基配列を含むものが含まれる。このようなポリヌク
レオチドは、配列番号:2のアミノ酸配列からなる蛋白
質と機能的に同等な蛋白質をコードしている可能性が高
い。
【0022】さらに、本発明のポリヌクレオチドは、配
列番号:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも70
%、好ましくは少なくとも80%または90%、より好ま
しくは95%以上のホモロジーを有するタンパク質をコ
ードするポリヌクレオチドを含む。タンパク質のホモロ
ジー検索は、たとえばSWISS-PROT、PIRなどのタンパク
質のアミノ酸配列に関するデータベースやDNA Databank
of JAPAN(DDBJ)、EMBL、Gene-BankなどのDNAに関する
データベース、DNA配列を元にした予想アミノ酸配列に
関するデータベースなどを対象に、FASTA programやBLA
ST programなどを用いて、たとえば、インターネット上
で行うことができる。配列番号:2に記載のアミノ酸配
列を用いてDDBJを対象にFASTA programを用いてホモロ
ジー検索を行った結果、既知のタンパク質の中でもっと
も高いホモロジーを示したのは、Deinococcus radiodur
ans 由来 N-アシルアミノ酸ラセマーゼ(AAF12532.1)で
あり、65%のホモロジーであった。本発明の70%以上のホ
モロジーとは、たとえば、FASTA programを用いたident
ity の相同性の値を示す。
【0023】本発明において、前記理化学的性質(1)
−(2)を有するタンパク質をコードするこれらのポリ
ヌクレオチドは、特に配列番号:1の塩基配列からなる
ポリヌクレオチドに対するホモログと言う。ホモログ
は、変異の導入の他、配列番号:1に記載された塩基配
列に基づいて他の生物からPCRクローニングやハイブリ
ダイズによって単離することもできる。たとえば配列番
号:1に記載の塩基配列は、D. radioduransより単離さ
れた遺伝子のものである。この他、同属のDeinococcus
属に属する微生物等から得ることができる前記理化学的
性質(1)−(2)を有するタンパク質をコードするポ
リヌクレオチドも本発明に含まれる。本発明のポリヌク
レオチドは、本発明のNAARの遺伝子工学的な製造に有用
である。あるいは本発明のポリヌクレオチドによって、
ケトンやアルコールの製造に有用なNAAR活性を有する微
生物を遺伝子工学的に作り出すことができる。
【0024】本発明は、配列番号:2に記載のアミノ酸
配列を有するNAAR、及びそのホモログを含む。配列番
号:2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質は、本発明
によるNAARの好ましい態様を構成する。
【0025】本発明のNAARのホモログとは、配列番号:
2に記載のアミノ酸配列に1もしくは複数のアミノ酸が
欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配
列からなり、かつ前記理化学的性質(1)−(2)を有
するタンパク質を含む。たとえば、先に述べたような方
法によってDNAに変異を導入することにより、NAARのホ
モログをコードするDNAを得ることができる。そのNAAR
のホモログをコードするDNAを宿主に導入して発現させ
ることにより、配列番号:2に記載のNAARのホモログを
得ることが可能である。
【0026】さらに、本発明のNAARのホモログとは、配
列番号:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも70
%、好ましくは少なくとも80%または90%、より好ま
しくは95%以上のホモロジーを有するアミノ酸配列か
らなり、かつ前記理化学的性質(1)−(2)を有する
タンパク質をいう。タンパク質のホモロジー検索は、た
とえばSWISS-PROT、PIRなどのタンパク質のアミノ酸配
列に関するデータベースやDNA Databank of JAPAN(DDB
J)、EMBL、Gene-BankなどのDNAに関するデータベース、
DNA配列を元にした予想アミノ酸配列に関するデータベ
ースなどを対象に、FASTA programやBLAST programなど
を用いて、たとえば、インターネット上で行うことがで
きる。配列番号:2に記載のアミノ酸配列を用いてDDBJ
を対象にFASTA programを用いてホモロジー検索を行っ
た結果、既知のタンパク質の中でもっとも高いホモロジ
ーを示したのは、Deinococcus radiodurans 由来N-アシ
ルアミノ酸ラセマーゼ(AAF12532.1)であり、65%のホモ
ロジーであった。本発明の70%以上のホモロジーとは、
たとえば、FASTA programを用いたidentity の相同性の
値を示す。
【0027】配列番号:1に示す塩基配列は、D. radio
durans IFO 15346より単離されたNAARをコードするDNA
の塩基配列である。このようなDNAは、D.radioduransの
ゲノムライブラリーやcDNAライブラリーを鋳型とするPC
Rによって得ることができる。PCRに必要なプライマー
は、配列番号:1に示す塩基配列に基づいて当業者が設
計することができる。あるいは、この塩基配列から選択
された塩基配列を持つDNAプローブで、ゲノムライブラ
リーやcDNAライブラリーをスクリーニングすることによ
り得ることもできる。PCRやプローブのハイブリダイゼ
ーションによる遺伝子のクローニング方法は公知であ
り、たとえば以下の方法が挙げられる。
【0028】通常の方法(例えば J.Biol.Chem., 268,
26212-26219 (1993)、Meth.Cell.Biol., 29, 39-44 (19
75))によりゲノムDNAを調製する。微生物としては、D.
radiodurans IFO 14309を用いることができる。調製し
た染色体DNAを適当な制限酵素(HindIII,EcoRI,Ba
mHI,Sau3AIなど)により完全もしくは部分消化し、2〜
8 kb程度のDNA断片とする。このゲノムDNAに対し
て、配列番号:1に基づいて設計したプローブを用いて
サザンハイブリダイゼーションを行い、目的のDNA断片
とハイブリットを形成させる。ハイブリッドを形成した
複数のDNA断片を回収し、大腸菌の発現ベクターに導入
する。
【0029】得られた組換えプラスミドで大腸菌(Esch
erichia coli JM109株など)を形質転換してゲノムライ
ブラリーを作成する。発現ベクターとしては、pUC18
(宝酒造製)、pKK223-3(ファルマシア製)、pET誘導
体(宝酒造など)、あるいはpMAL-p2(NEB製)などを用
いることができる。ゲノムライブラリーに対し、同じプ
ローブを用いてコロニーハイブリダイゼーションによっ
て陽性コロニーを得る。陽性コロニーからプラスミドを
抽出し制限酵素切断してインサートDNAを得る。同じプ
ローブでサザンハイブリダイゼーションを行い、インサ
ートDNAとプローブをハイブリットを形成させることに
よって目的の遺伝子を確認できる。更にインサートの塩
基配列を決定して配列番号:1に示す塩基配列と照合す
れば、目的とする遺伝子が単離できたことを確認でき
る。
【0030】なお、上記クローニングに際して遺伝子源
として使用されるN-アシルアミノ酸ラセマーゼ生産能を
有する微生物としては、N-アシルアミノ酸ラセマーゼ生
産能を有するDeinococcus属に属するすべての菌株、突
然変異株、変種などを含む。それらのうち特に好ましい
菌種としては、D. radioduransなどがあげられる。ま
た、配列番号:1の塩基配列からなるDNAが由来するD.
radiodurans IFO 15346株とは異なる菌株、あるいは異
なる種を遺伝子源として用いることにより、異なる塩基
配列からなるDNAを取得できる可能性がある。なお本発
明のDNAは、以上のような方法によってクローニングさ
れたゲノムDNA、あるいはcDNAの他、合成によって得る
こともできる。
【0031】このようにして単離された、本発明による
NAARをコードするDNAを公知の発現ベクターに挿入する
ことにより、NAAR発現ベクターが提供される。また、こ
の発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するこ
とにより、本発明のNAARを組み換え体から得ることがで
きる。
【0032】更に本発明は、D. radioduransに由来し、
前記理化学的性質1)および2)を有するN-アシルアミ
ノ酸ラセマーゼに関する。本発明のN-アシルアミノ酸ラ
セマーゼは、D. radioduransを培養し、その培養物とし
て得ることができる。D. radioduransは、公知の細菌培
養法によって培養することができる。培養物からは、公
知の方法によって本発明のN-アシルアミノ酸ラセマーゼ
を精製することができる。あるいは培養物そのものや、
菌体を回収して本発明の酵素活性物質として用いること
ができる。このようにしてD. radioduransから得ること
ができるNAARも本発明のNAARに含まれる。菌体や精製酵
素、あるいは粗精製酵素は、そのまま用いることもでき
るし、固定化することもできる。
【0033】本発明におけるN-アシルアミノ酸に対する
NAAR活性は、次のようにして測定することができる。Tr
is-HCl緩衝液(pH 7.5-50 mM)、塩化コバルト−1.0m
M、N-アシル-D-アミノ酸−20 mM及び酵素を含む反応液
を、30℃で5分間反応後、100℃で5分間加熱しラセミ化
反応を停止した。さらに、L-アミノアシラーゼを加え、
30℃、30分間反応後、100℃で5分間加熱し、加水分解反
応を停止した。反応液を遠心分離(15000rpm、10分間、
4℃)し、上清中に含まれるアミノ酸をTNBS法により測
定した。1Uは、1分間に1μmolのラセミ化を行う酵素量
とする。また、定性的には薄層クロマトグラフィーによ
っても、生じたアミノ酸を確認することで、酵素活性の
有無を判断できる。また、タンパク質の定量は、バイオ
ラッド製タンパク質アッセイキットを用いた色素結合法
により行う。
【0034】ここで、TNBS法とは、TNBS(Trinitrobenz
ensulfonic acid)により、反応液中のアミノ酸含量を
測定する方法をいい、具体的には0.5mLのアミノ酸を含
むサンプルに0.5mLの100mM 四ホウ酸ナトリウムを加
え、これに20μL の110mM TNBSを加え、すばやく攪拌す
る。5分後に、1.5mM 亜硫酸ナトリウムを含む 100mMリ
ン酸二水素ナトリウムを2mL 加え、呈色反応を停止さ
せ、420nmにおける吸光度を測定することで、その定量
がなされる。
【0035】また、同様にN-アシル-L-アミノ酸を基質
としても反応を行うことができる。この場合はラセミ化
によって生じたN-アシル-D-アミノ酸をD-アミノアシラ
ーゼで加水分解し、生じたアミノ酸を定量することで酵
素量を測定することができる。
【0036】このようにして得られた、本発明における
DNAを公知の発現ベクターに挿入することにより、NAAR
発現ベクターが提供される。また、この発現ベクターで
形質転換した形質転換体を培養することにより、本発明
のDNAがコードするNAARの高発現株を得ることができ
る。本発明において、形質転換の対象となる微生物は、
NAARをコードするDNAを含む組換えベクターにより形質
転換され、NAARを発現することができる生物であれば特
に制限はない。利用可能な微生物としては、たとえば以
下のような微生物を示すことができる。
【0037】エシェリヒア(Escherichia)属 バチルス(Bacillus)属 シュードモナス(Pseudomonas)属 セラチア(Serratia)属 ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属 コリネバクテリイウム(Corynebacterium)属 ストレプトコッカス(Streptococcus)属 ラクトバチルス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系
の開発されている細菌 ロドコッカス(Rhodococcus)属 ストレプトマイセス(Streptomyces)属など宿主ベクター
系の開発されている放線菌 サッカロマイセス(Saccharomyces)属 クライベロマイセス(Kluyveromyces)属 シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属 チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属 ヤロウイア(Yarrowia)属 トリコスポロン(Trichosporon)属 ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属 ピキア(Pichia)属 キャンディダ(Candida)属などの宿主ベクター系の開発
されている酵母 ノイロスポラ(Neurospora)属 アスペルギルス(Aspergillus)属 セファロスポリウム(Cephalosporium)属 トリコデルマ(Trichoderma)属などの宿主ベクター系の
開発されているカビ
【0038】形質転換体の作製のための手順および宿主
に適合した組み換えベクターの構築は、分子生物学、生
物工学、遺伝子工学の分野において慣用されている技術
に準じて行うことができる(例えば、Sambrookら、モレ
キュラー・クローニング、Cold Spring Harbor Laborat
ories)。微生物中などにおいて、本発明のNAARの変異
体遺伝子を発現させるためには、まず微生物中において
安定に存在するプラスミドベクターやファージベクター
中にこのDNAを導入し、その遺伝情報を転写・翻訳さ
せる必要がある。そのためには、転写・翻訳を制御する
ユニットにあたるプロモーターを本発明のDNA鎖の5'
-側上流に、より好ましくはターミネーターを3'-側下流
に、それぞれ組み込めばよい。このプロモーター、ター
ミネーターとしては、宿主として利用する微生物中にお
いて機能することが知られているプロモーター、ターミ
ネーターを用いる必要がある。これら各種微生物におい
て利用可能なベクター、プロモーター、ターミネータ−
などに関して「微生物学基礎講座8遺伝子工学・共立出
版」、特に酵母に関しては、Adv. Biochem. Eng.43, 75
-102 (1990)、Yeast 8, 423-488 (1992)、などに詳細に
記述されている。
【0039】例えばエシェリヒア属、特に大腸菌エシェ
リヒア・コリ(Escherichia coli)においては、プラスミ
ドベクターとして、pBR、pUC系プラスミドを利用でき、
lac(β−ガラクトシダーゼ)、trp(トリプトファンオペ
ロン)、tac、 trc (lac、trpの融合)、λファージ P
L、PRなどに由来するプロモーターなどが利用でき
る。また、ターミネーターとしては、trpA由来、ファー
ジ由来、rrnBリボソーマルRNA由来のターミネーター
などを用いることができる。
【0040】バチルス属においては、ベクターとしてpU
B110系プラスミド、pC194系プラスミドなどが利用可能
であり、染色体にインテグレートすることもできる。ま
た、プロモーター、ターミネーターとしてapr(アルカリ
プロテアーゼ)、npr(中性プロテアーゼ)、amy(α−アミ
ラーゼ)などが利用できる。
【0041】シュードモナス属においては、シュードモ
ナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・
セパシア(Pseudomonas cepacia)などで宿主ベクター系
が開発されている。トルエン化合物の分解に関与するプ
ラスミドTOLプラスミドを基本にした広宿主域ベクター
(RSF1010などに由来する自律的複製に必要な遺伝子を含
む)pKT240などが利用可能であり、プロモーター、ター
ミネーターとして、リパーゼ(特開平5-284973)遺伝子
などが利用できる。
【0042】ブレビバクテリウム属特に、ブレビバクテ
リウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactof
ermentum)においては、pAJ43(Gene 39, 281 (1985))な
どのプラスミドベクターが利用可能である。プロモータ
ー、ターミネーターとしては、大腸菌で使用されている
プロモーター、ターミネーターがそのまま利用可能であ
る。
【0043】コリネバクテリウム属、特にコリネバクテ
リウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に
おいては、pCS11(特開昭57-183799)、pCB101(Mol. Gen.
Genet. 196, 175 (1984)などのプラスミドベクターが
利用可能である。
【0044】ストレプトコッカス(Streptococcus)属に
おいては、pHV1301(FEMS Microbiol.Lett. 26, 239 (19
85)、pGK1(Appl. Environ. Microbiol. 50, 94 (198
5))などがプラスミドベクターとして利用可能である。
【0045】ラクトバチルス(Lactobacillus)属におい
ては、ストレプトコッカス属用に開発されたpAMβ1(J.
Bacteriol. 137, 614 (1979))などが利用可能であ
り、プロモーターとして大腸菌で利用されているものが
利用可能である。
【0046】ロドコッカス(Rhodococcus)属において
は、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodoch
rous)から単離されたプラスミドベクターが使用可能で
ある (J.Gen. Microbiol. 138,1003 (1992) )。
【0047】ストレプトマイセス(Streptomyces)属にお
いては、HopwoodらのGenetic Manipulation of Strepto
myces: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Labo
ratories (1985)に記載の方法に従って、プラスミドを
構築することができる。特に、ストレプトマイセス・リ
ビダンス(Streptomyces lividans)においては、pIJ486
(Mol. Gen. Genet. 203, 468-478, 1986)、pKC1064(Gen
e 103,97-99 (1991) )、pUWL-KS (Gene 165,149-150 (1
995) )が使用できる。また、ストレプトマイセス・バー
ジニア(Streptomyces virginiae)においても、同様のプ
ラスミドを使用することができる(Actinomycetol. 11,
46-53 (1997) )。
【0048】サッカロマイセス(Saccharomyces)属、特
にサッカロマイセス・セレビジアエ(Saccharomyces cer
evisiae) においては、YRp系、YEp系、YCp系、YIp系プ
ラスミドが利用可能であり、染色体内に多コピー存在す
るリボソームDNAとの相同組み換えを利用したインテ
グレーションベクター(EP 537456など)は、多コピー
で遺伝子を導入でき、かつ安定に遺伝子を保持できるた
め極めて有用である。また、ADH(アルコール脱水素酵
素)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵
素)、PHO(酸性フォスファターゼ)、GAL(β−ガラクトシ
ダーゼ)、PGK(ホスホグリセレートキナーゼ)、ENO(エノ
ラーゼ)などのプロモーター、ターミネーターが利用可
能である。
【0049】クライベロマイセス属、特にクライベロマ
イセス・ラクティス(Kluyveromyceslactis)において
は、サッカロマイセス・セレビジアエ由来2μm系プラス
ミド、pKD1系プラスミド(J. Bacteriol. 145, 382-390
(1981))、キラー活性に関与するpGKl1由来プラスミ
ド、クライベロマイセス属における自律増殖遺伝子KARS
系プラスミド、リボソームDNAなどとの相同組み換え
により染色体中にインテグレート可能なベクタープラス
ミド(EP 537456など)などが利用可能である。また、A
DH、PGKなどに由来するプロモーター、ターミネーター
が利用可能である。
【0050】シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyc
es)属においては、シゾサッカロマイセス・ポンベ由来
のARS (自律複製に関与する遺伝子)及びサッカロマイセ
ス・セレビジアエ由来の栄養要求性を相補する選択マー
カーを含むプラスミドベクターが利用可能である(Mol.
Cell. Biol. 6, 80 (1986))。また、シゾサッカロマ
イセス・ポンベ由来のADHプロモーターなどが利用でき
る(EMBO J. 6, 729 (1987))。特に、pAUR224は、宝酒
造から市販されており容易に利用できる。
【0051】チゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyc
es)においては、チゴサッカロマイセス・ロウキシ (Zyg
osaccharomyces rouxii)由来の pSB3(Nucleic Acids R
es.13, 4267 (1985))などに由来するプラスミドベクタ
ーが利用可能であり、サッカロマイセス・セレビジアエ
由来 PHO5 プロモーターや、チゴサッカロマイセス・ロ
ウキシ由来 GAP-Zr(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱
水素酵素)のプロモーター(Agri. Biol. Chem. 54, 252
1 (1990))などが利用可能である。
【0052】ピキア(Pichia)属においては、ピキア・ア
ンガスタ(Pichia angusta、旧名:ハンゼヌラ・ポリモ
ルファ(Hansenula polymorpha))において宿主ベクター
系が開発されている。ベクターとしては、ピキア・アン
ガスタ由来自律複製に関与する遺伝子(HARS1、HARS2)
も利用可能である。この遺伝子は、比較的不安定である
ため、染色体への多コピーインテグレーションが有効で
ある(Yeast 7, 431-443 (1991))。また、メタノール
などで誘導される AOX(アルコールオキシダーゼ)、 F
DH(ギ酸脱水素酵素)のプロモーターなどが利用可能であ
る。また、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)など
にピキア由来自律複製に関与する遺伝子(PARS1、 PARS
2)などを利用した宿主ベクター系が開発されており(Mo
l. Cell.Biol. 5, 3376 (1985))、高濃度培養とメタノ
ールで誘導可能な AOX など強いプロモーターが利用で
きる(Nucleic Acids Res. 15, 3859 (1987))。
【0053】キャンディダ(Candida)属においては、キ
ャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)、キャンデ
ィダ・アルビカンス(Candida albicans)、キャンディダ
・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・
ウチルス (Candida utilis) などにおいて宿主ベクター
系が開発されている。キャンディダ・マルトーサにおい
てはキャンディダ・マルトーサ由来ARSがクローニン
グされ(Agri. Biol. Chem. 51, 51, 1587 (1987))、
これを利用したベクターが開発されている。また、キャ
ンディダ・ウチルスにおいては、染色体インテグレート
タイプのベクターは強力なプロモーターが開発されてい
る(特開平 08-173170)。
【0054】アスペルギルス(Aspergillus)属において
は、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 、
アスペルギルス・オリジー (Aspergillus oryzae) など
がカビの中で最もよく研究されており、プラスミドや染
色体へのインテグレーションが利用可能であり、菌体外
プロテアーゼやアミラーゼ由来のプロモーターが利用可
能である(Trends in Biotechnology 7, 283-287 (198
9))。
【0055】トリコデルマ(Trichoderma)属において
は、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を利
用したホストベクター系が開発され、菌体外セルラーゼ
遺伝子由来プロモーターなどが利用できる(Biotechnol
ogy 7, 596-603 (1989))。
【0056】また、微生物以外でも、植物、動物におい
て様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に蚕を
用いた昆虫(Nature 315, 592-594 (1985))や菜種、ト
ウモロコシ、ジャガイモなどの植物中に大量に異種タン
パク質を発現させる系が開発されており、好適に利用で
きる。
【0057】このような高発現株を、N-アシルアミノ酸
のラセミ化に用いることができる。NAARの発現を誘導す
る条件下で前記高発現株を培養し、酵素を発現させる。
培養菌体を集菌、破砕し、得られた上清を粗酵素液とし
酵素反応に用いることができる。前記NAAR、その高発現
株を含む培養物、あるいはそれらの処理物を、N-アシル
アミノ酸を含む反応溶液と接触させることにより、目的
とする酵素反応を行わせることができる。
【0058】本発明におけるNAARを含む微生物の処理物
には、具体的には界面活性剤やトルエンなどの有機溶媒
処理によって細胞膜の透過性を変化させた微生物、ある
いはガラスビーズや酵素処理によって菌体を破砕した無
細胞抽出液やそれを部分精製したものなどが含まれる。
一方NAARの処理物とは、NAARを公知の方法により不溶性
の担体に固定化したものが含まれる。なお、本発明にお
けるNAARは、精製酵素に限定されず、粗精製物等として
用いることもできる。本発明のNAAR、あるいはその処理
物を、酵素活性物質と言う。
【0059】本発明によるN-アシルアミノ酸のラセミ化
方法におけるN-アシルアミノ酸としては、例えば下記一
般式(1)に示すような化合物を挙げることができる。
【0060】一般式(1)
【化1】
【0061】(式中、Xは置換基を有してもよいカルボ
ン酸由来のアシル基を、Rは置換基を有しても良い炭素
数1−20のアルキル基を示す)
【0062】N-アシルアミノ酸のアシル基(X)に関
し、これらのアシル基は置換基(ハロゲン、アルキル、
アルコキシなど)を有していて良く、ホルミル、アセチ
ル、クロロアセチルなどのアルカノイル、ベンゾイル、
p-クロロベンゾイルなどのベンゾイル、フェニルアセチ
ル、フェニルプロピオニルなどのアリールアルカノイル
などのカルボン酸アシルが挙げられる。
【0063】また、Rで表わされるアルキルとして直鎖
状または分枝状のアルキル、ヒドロキシアルキル、C1-3
アルキルチオアルキル、チオール、フェニル、ヒドロキ
シフェニルもしくはインドリルで置換されたC1-4アルキ
ルおよびアミノ、カルボキシ、グアニジルもしくはイミ
ダゾリルなどで置換されたC1-4アルキルなどが挙げられ
る。
【0064】更に具体的には、特に反応性が高い、N-ア
シルメチオニン、N-アシルトリプトファン、N-アシルフ
ェニルアラニンが好適に用いられる。
【0065】本発明のラセミ化反応は、かかる酵素が反
応できる条件であれば良く、反応温度4-60℃、好ましく
は10-40℃、pH 3-11、好ましくはpH6-10、基質濃度0.01
-90%、好ましくは0.1-30%で行うことができる。反応収
率は50-100%で進行する場合が多い。また、基質は反応
開始時に一括して添加することも可能であるが、反応液
中の基質濃度が高くなりすぎないように連続的、もしく
は非連続的に添加することが望ましい。
【0066】加えて本発明は、前記NAARとL-アミノアシ
ラーゼ若しくはD-アミノアシラーゼとの組み合わせによ
る光学活性アミノ酸の製造方法に関する。すなわち先に
述べたNAAR、または該酵素を産生する微生物もしくはそ
の処理物をN-アシルアミノ酸に作用させ、原料であるN-
アシルアミノ酸のラセミ化を行い、更にL-アミノアシラ
ーゼ若しくはD-アミノアシラーゼを作用させることによ
り、反応産物である光学活性アミノ酸を製造することが
できる。
【0067】このとき、原料であるN-アシルアミノ酸
は、目的とする光学活性アミノ酸を必ずしも含んでいる
必要はなく、L-アミノ酸をアシル化したものを原料とし
て、ラセミ化、D-アミノアシラーゼによる反応を行え
ば、反応液中にはD-アミノ酸が生じてくる。
【0068】これら反応は、水中もしくは水に溶解しに
くい有機溶媒、たとえば、酢酸エチル、酢酸ブチル、ト
ルエン、クロロホルム、シクロヘキサン、n-ヘキサン
などの有機溶媒中、もしくは、水性媒体との2相混合系
により行うことができる。また、緩衝液などの水系にメ
タノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニト
リル、アセトンなどの水溶性溶媒を加えた混合溶媒系に
おいても行うことができる。また逆ミセル系での反応も
行うことができ、この場合のミセル生成界面活性剤とし
ては、たとえばエーロゾルOT(Aerosol OT)を用いたイ
ソオクタン/水逆ミセル系などがあげられる。
【0069】たとえば原料であるN-アシルアミノ酸は溶
解させるが生成物であるアミノ酸の溶解度が低いような
反応液を用いることにより、系内の平衡を生成物側に偏
らせることが可能となる。
【0070】本発明による光学活性アミノ酸製造は、固
定化酵素、膜リアクターなどを利用して行うことも可能
である。酵素、その処理物、酵素分子を含む培養物、あ
るいは酵素を生成する微生物等の形質転換体を固定化す
る場合には、含硫多糖たとえばκ-カラギーナンやアル
ギン酸カルシウム、寒天ゲル法、ポリアクリルアミドゲ
ル法、イオン交換樹脂法などの公知の方法により固定化
できる。なお、酵素と反応溶液の接触形態はこれらの具
体例に限定されるものではない。反応溶液とは、基質を
酵素活性の発現に望ましい環境を与える適当な溶媒に溶
解したものである。
【0071】本発明に基づくラセミ化方法を併用するこ
とにより、例えばアシラーゼを用いた光学活性アミノ酸
の製造における廃棄される残存原料を再利用しうること
から、工業的な利用において有利である。特に本発明に
よって提供されたNAARは、幅広いpH安定性を有する。し
たがって、幅広いpH条件において安定した酵素活性を維
持することが期待できる。工業的な利用においては、NA
ARに組み合わせる酵素の至適pH、基質の溶解性や安定性
等のpHの影響を強く受ける多くの要素を考慮しなければ
ならない。幅広いpHで安定なNAARは、条件設定を容易に
するものである。本発明のNAARは、特にアシラーゼと組
み合わせて用いる場合に有用である。アシラーゼの作用
により、N-アシルアミノ酸の一方の光学異性体が選択的
に加水分解され、反応平衡が一方へと傾く。そのため、
NAAR自身の酵素活性の強弱によらず反応が進行すること
が期待できる。本発明のNAARは幅広いpHにおいて活性を
維持できることから、様々なアシラーゼと組み合わせる
ことによって、多くのN-アシルアミノ酸のラセミ化反応
に利用することができる。
【0072】本発明による光学活性アミノ酸の製造は、
かかる酵素が反応できる条件であれば良く、反応温度4-
60℃、好ましくは10-40℃、pH 3-11、好ましくはpH6-1
0、基質濃度0.01-90%、好ましくは0.1-30%で行うことが
できる。反応収率は50-100%で進行する場合が多い。ま
た、基質は反応開始時に一括して添加することも可能で
あるが、反応液中の基質濃度が高くなりすぎないように
連続的、もしくは非連続的に添加することが望ましい。
【0073】生成する光学活性アミノ酸の精製は、菌
体、タンパク質の遠心分離、膜処理などによる分離、溶
媒抽出、晶析などを適当に組み合わせることにより行う
ことができる。たとえば、トリプトファンでは、微生物
菌体を含む反応液を遠心分離し、微生物菌体を除いた
後、限外濾過によりタンパク質を除去し、その濾液を加
熱・脱水濃縮することによって析出させ、ろ別分離する
ことで簡単に精製することができる。以下、実施例によ
り本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定
されるものではない。
【0074】
【実施例】[実施例1]N-アシルアミノ酸ラセマーゼの
クローニング D. radiodurans由来のN-アシルアミノ酸ラセマーゼ(以
下:NAAR)遺伝子と推定される塩基配列を元にNAARのサ
ブクローニングを行った。構造遺伝子5'-末、3'-末配列
をもとに、NAARのオープンリーディングフレーム部分の
みをクローニングするために、プライマー DRR-ATG(配
列番号:3)、DRR-TAA(配列番号:4)を合成した。D
einococus radiodurans IFO15346の染色体DNAを鋳型と
して、PCR(96℃, 45sec、45℃, 30sec、74℃, 1min)
を30サイクル行い、特異的な増幅DNAを得た。 DRR-ATG(配列番号:3) ACAGACTCATATGGCGCATACTGGCCGTA DRR-TAA(配列番号:4) AGAGGATCCTCACGCCCGGTGTTCCTC
【0075】得られたDNA断片をNdeIとBamHIの2種類の
制限酵素で二重消化した。プラスミドベクター pET-3c
をNdeIとBamHIで二重消化し、同酵素で二重消化したPCR
増幅DNA断片をT4 DNAリガーゼで連結し、pDR-NRを得
た。挿入DNA断片の塩基配列の解析を行なった結果、NAA
R推定遺伝子とDNA配列が一致した。得られたNAARの塩基
配列を配列番号:1に、該遺伝子がコードするタンパク
質のアミノ酸配列を配列番号:2に示す。
【0076】作製したpDR-NRを大腸菌BL21(DE3)株に
形質転換し、形質転換体でのNAARの発現を試みた。発現
タンパクの不溶化をさけるため、形質転換体を28℃、終
濃度0.01mMのIPTG誘導下で培養を行った。培養菌体を集
菌、破砕し、得られた上清を粗酵素液とし酵素反応に用
いた。酵素反応については粗酵素液、基質のN-アセチル
-D-メチオニンと共にL-アミノアシラーゼを共存させ、3
0℃でO/N反応させた。この反応系では、L-メチオニンの
生成量を測定することでNAAR活性を測定した。酵素活性
の定義は、1分間に1μmoleのL-メチオニンが生成した場
合を1Uとした。なお、メチオニンの生成の確認のみの場
合は、TLCを用いて行った。生成したアミノ酸の量をTNB
S法によっておこなった。
【0077】TNBS法とは、TNBS(Trinitrobenzensulfon
ic acid)により、反応液中のアミノ酸含量を測定する
方法をいい、具体的には0.5mLのアミノ酸を含むサンプ
ルに0.5mLの100mM 四ホウ酸ナトリウムを加え、これに2
0μL の110mM TNBSを加え、すばやく攪拌する。5分後
に、1.5mM 亜硫酸ナトリウムを含む 100mM リン酸二水
素ナトリウムを2mL 加え、呈色反応を停止させ、420nm
における吸光度を測定することで、その定量ができる。
【0078】[実施例2]形質転換体からのN-アシルア
ミノ酸ラセマーゼの精製 ・粗酵素液の調整 実施例1で作製された組換え大腸菌を液体培地(1% バク
トトリプトン、0.5%バクト-酵母エキス、1% 塩化ナトリ
ウム、上で30℃、24h(培養開始後4hで終濃度0.01mM イ
ソプロピルチオ-β-ガラクトピラノシド添加)培養させ
た。培養液を回収し得られた湿菌体15gを50mLの50mM ト
リス塩酸緩衝液(以下、Tris-HCl)(pH7.5)に懸濁し、
超音波破砕(190W、40min)を行った。菌体破砕液を遠
心分離(18,000rpm、4℃、30mim)し、得られた上清を
粗酵素液とした(53mL)。
【0079】・硫安分画-1回目 粗酵素液に硫酸アンモニウムを加え、終濃度25%飽和
(13%W/V)とした後、4℃で16h静置した。16h後、遠心
分離(8,500rpm、4℃、30mim)を行い、上清を得た。
【0080】・Butyl-Toyopearl 650M-1回目 硫安分画で得られた上清を、25%飽和(13%W/V)硫安
溶液を含む50mM Tris-HCl (pH7.5)であらかじめ平衡化
した90mLのButyl-Toyopearl 650Mカラムに通し、同buf
fer 300mLで洗浄後、硫酸アンモニウム濃度の勾配(25
%→0%)をつけながら5倍量(450mL)の50mM Tris-HCl
(pH7.5)により、吸着タンパク質を溶出した。NAAR活性
が確認できたフラクションを回収した(50mL)。
【0081】・硫安分画-2回目 Butyl-Toyopearl 650M-1回目で回収したサンプルを50mM
Tris-HCl (pH7.5)で透析し、硫酸アンモニウムを加
え、終濃度25%飽和(13%W/V)とした後、4℃で16h静
置した。16h後、遠心分離(8,500rpm、4℃、30mim)を
行い、上清を得た。
【0082】・Butyl-Toyopearl 650M-2回目 硫安分画で得られた上清を、25%飽和(13%W/V)硫安
溶液を含む50mM Tris-HCl (pH7.5)であらかじめ平衡化
した90mLのButyl-Toyopearl 650Mカラムに通し、同buf
fer 300mLで洗浄後、硫酸アンモニウム濃度の勾配(25
%→0%)をつけながら5倍量(450mL)の50mM Tris-HCl
(pH7.5)により、吸着タンパク質を溶出した。NAAR活性
が確認できたフラクションを回収した。
【0083】・DEAE-Toyopearl 650M Butyl-Toyopearl 650M-2回目で回収したサンプルを50mM
Tris-HCl (pH7.5)で透析し、44mLのサンプルを得た。
得られたサンプルを、あらかじめ50mM Tris-HCl (pH7.
5)で平衡化させた100mLのDEAE-Toyopearl 650Mカラムに
通し、同buffer200mLで洗浄後、塩化ナトリウム濃度に
勾配(0→1M)をつけながら450mLの50mMTris-HCl (pH7.
5)により、吸着タンパク質を溶出した。NAAR活性が確認
できたフラクションを回収した。
【0084】精製したNAARは、ソジウムドデシル硫酸
(SDS)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によ
り、精製度を確認した。SDS-PAGEはLaemmli法(Laemml
i, U.K.: Nature,227 ,pp680,1970)に従い、ミニゲル
スラブ電気泳動装置(日本エイドー社製)を用いて、電
気泳動をおこなった。ゲルには、ポリアクリルアミドゲ
ル(12%)を用いた。試料は、酵素液と同量の試料処理
液(4% SDS、20% グリセロール、10% 2-メルカプトエタ
ノール、0.005% ブロモフェノールブルーを含む125mM T
ris-HCl(pH 6.8))を混合し、ブロックヒーターを用
い、100℃で約5分間加熱し、室温まで冷却したもののう
ち、10μLを電気泳動に供した。検出はクーマジーブリ
リアントブルー-Rを用いた染色法によった。分子量マー
カーには、SDS-PAGE Molecular Weight Standards,Low
Range(ホスホリラーゼb:97,400、アルブミン:66,20
0、オブアルブミン:45,000、カルボニックアンヒドラ
ーゼ:31,000、トリプシンインヒビター:21,500、リゾ
チーム:14,400、BIO RAD社製)を用いた。精製前後の
電気泳動結果を図1に示す。
【0085】上記のNAARの精製の概要を表1に示した。
Butyl-Toyopearl 650Mによる2回のクロマトグラフィ
ー、DEAE-Toyopearl 650Mにおけるクロマトグラフィー
を経て、最終的にNAARをほぼ純粋なタンパク質として精
製できることが確認できた。
【0086】
【表1】
【0087】[実施例3]N-アシルアミノ酸ラセマーゼ
の酵素活性測定法 実施例2で得たNAARの酵素活性を、以下に述べる方法で
測定した。まず、以下の反応液を作製した。 N-アセチル-D-アミノ酸(100mM) 100μl(20mM) 塩化コバルト(100mM) 5μl(1mM) Tris-HCl(0.5M /pH7.5) 50μl(50 mM) 滅菌蒸留水 295μl 合計 450μl
【0088】この反応液に50μLの酵素液を加えて500μ
Lとし、30℃で5分間(活性が低い場合は数十分)反応
後、100℃で5分間加熱しラセミ化反応を停止させた。反
応停止後、3UのL-アミノアシラーゼを加え、再び30℃、
30分間反応後、100℃で5分間加熱し反応を停止した。反
応液を遠心分離(15000rpm、10分間、4℃)し、沈殿を
除去後、上清中に含まれるアミノ酸の定量は実施例1記
載のTNBS法によりおこなった。1Uは、1分間に1μmolの
ラセミ化を行う酵素量とした。
【0089】[実施例4]N-アシルアミノ酸ラセマーゼ
の至適温度及び熱安定性 作用至適温度は実施例3記載の酵素活性測定法における
反応温度を25℃〜80℃まで変化させ、その酵素活性を求
めた。本酵素の熱安定性は、酵素液を所定の温度で30分
間加熱させた後、直ちに氷冷し残存する活性を酵素活性
測定法に従って測定し求めた。酵素活性は至適温度、熱
安定性とも30℃の場合を100とした相対活性で示した。
結果は、図2(至適温度)、および図3(熱安定性)に
示した。本酵素の反応至適温度は50℃付近であると考え
られ、40から60℃の範囲で、高い活性を示した。また、
50℃の熱処理によってもその酵素活性は、30℃で処理し
たときの90%の活性を維持することがわかった。
【0090】[実施例5]N-アシルアミノ酸ラセマーゼ
の至適pH及びpH安定性 作用至適pHは実施例3記載の酵素活性測定法における緩
衝溶液として、Bis-Tris塩酸緩衝溶液(pH5.0〜7.0)、
Tris-HCl(pH 7.0〜10.0)を用いて、その酵素活性を求
めた。pH安定性は所定のpHの緩衝液(作用至適pH と同
様)に酵素液を加え(20倍希釈)、一晩4℃で静置後、
酵素活性を酵素活性測定法に従って測定し求めた。酵素
活性はそれぞれpH 6.5 の場合を100とした相対活性で示
した。結果は図4(至適pH)、および図5(pH安定性)
に示した。本酵素は、pH 6から10の範囲でpH 7.5で処理
したときの80%以上の活性をしめし、広い範囲のpHで極
めて安定であった。
【0091】[実施例6]N-アシルアミノ酸ラセマーゼ
の基質特異性 基質特異性は、実施例3記載の酵素活性測定法における
反応基質を変え、その酵素活性を求めた。酵素活性は、
N-アセチル-D-メチオニンの場合を100とした相対活性
で示した。
【0092】また、N-アセチル-D-バリン、N-アセチル-
D-ロイシン、N-アセチル-D-アラニンに対しては実質的
に、ラセミ化活性を示さなかった。この基質特異性に基
づいて、後に述べるような酵素反応条件を設定した。
【0093】[実施例7]N-アシルアミノ酸ラセマーゼ
の金属イオンの影響 金属イオンの影響は実施例3記載の酵素活性測定法にお
いて、反応液中に添加する塩化コバルト(終濃度1mM)
を除き、各種の金属塩を最終濃度1mMになるように添加
し、その酵素活性を求めた。酵素活性はCoCl2添加の場
合を100とし、相対活性で示した。結果は表2に示し
た。酵素活性にはコバルトもしくはマンガン、亜鉛、ニ
ッケルなどの2価金属が必要であった。
【0094】
【表2】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 金属イオン 相対活性(%) ─────────────────── None 2.92 CoCl2・6H2O 100 ZnCl2 19.2 MnCl2・4H2O 28.4 FeCl2・nH2O 0.614 CuCl2・2H2O 0 NiCl2・2H2O 14.7 CaCl2・2H2O 0.307 MgCl2・6H2O 3.53 NaCl 3.84 Al2(SO4)3・14-18H2O 0 KCl 1.07 BaCl2・2H2O 0 SnCl2・2H2O 1.99 FeCl3・6H2O 1.07 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0095】[実施例8]N-アシルアミノ酸ラセマーゼ
によるN-アセチルアミノ酸のラセミ化 100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.5)、NAAR 1U、0.5%
N-アセチル-L-トリプトファン若しくはN-アセチル-D-
トリプトファンを含む反応液中で、30℃で終夜反応させ
た。ラセミ化したN-アセチルトリプトファンをメチルエ
チルケトンで抽出し、脱溶媒した後、光学純度を次のよ
うにして求めた。
【0096】ダイセル化学工業株式会社製CHIRALPAK W
Hを用い、0.25mM硫酸銅水溶液を溶離液として、カラム
温度50℃で測定した。(流速:1mL/min、検出:254nm)
で定量及び光学純度を測定した。その結果、本発明によ
って生成したN-アセチルトリプトファンは、原料がN-ア
セチル-L-トリプトファンであっても、N-アセチル-D-ト
リプトファンであっても反応終了後の光学純度はほぼ0
%eeでラセミ化していた。
【0097】[実施例9]N-アシルアミノ酸ラセマーゼ
とD-アミノアシラーゼによるD-アミノ酸製造 100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.5)、NAAR 1U、D-ア
ミノアシラーゼ1U、3%N-アセチル-DL-トリプトファンを
含む反応液100mL中で、30℃で終夜反応させた。反応が
進行するにつれ生成したD-トリプトファンは水層を飽和
し、過飽和分は水層中に析出してきたが、反応は続行し
た。水層に析出してきたD-トリプトファンをろ別分離
し、水洗乾燥した。生成したD-トリプトファンの光学純
度を次のようにして求めた。
【0098】ダイセル化学工業株式会社製CHIRALPAK W
Hを用い、0.25mM硫酸銅水溶液を溶離液として、カラム
温度 50℃で測定した(流速:1mL/min、検出:254n
m)。その結果、本発明によって生成したD-トリプトフ
ァンは光学純度がほぼ100%eeであった。
【0099】[実施例10]N-アシルアミノ酸ラセマー
ゼとL-アミノアシラーゼによるL-アミノ酸製造 100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.5)、NAAR 1U、L-ア
ミノアシラーゼ(シグマ社製)1U、3% N-アセチル-DL-
トリプトファンを含む反応液100mL中で、30℃で終夜反
応させた。反応が進行するにつれ生成したL-トリプトフ
ァンは水層を飽和し、過飽和分は水層中に析出してきた
が、反応は続行した。水層に析出してきたL-トリプトフ
ァンをろ別分離し、水洗乾燥した。生成したL-トリプト
ファンの光学純度は実施例9にしたがって求めた。その
結果、本発明によって生成したL-トリプトファンは光学
純度がほぼ100%eeであった。
【0100】
【発明の効果】工業的生産に有利なN-アシルアミノ酸ラ
セマーゼが示された。本酵素を利用することにより、N-
アシルアミノ酸のラセミ化方法とD-アミノアシラーゼ、
若しくはL-アミノアシラーゼと組み合わせることによっ
て光学純度の高い光学活性アミノ酸の効率的な生産方法
が提供された。光学活性アミノ酸は、医薬品の製造にお
ける中間体として有用である。
【0101】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> DAICEL CHEMICAL INDUSTRIES, LTD. <120> A N-acylamino acid racemase gene and use of same. <130> D1-A0101 <140> <141> <160> 4 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 1128 <212> DNA <213> Deinococcus radiodurans <400> 1 atggcgcata ctggccgtat gttcaaaatt gaagctgctg aaatcgtcgt ggcgcggctg 60 ccgctcaagt tccgctttga aacgagtttc ggggtgcaaa cccacaaggt ggtgccgctg 120 ctgattctgc acggtgaggg cgtgcagggc gtcgccgagg gcaccatgga agcgcggccc 180 atgtaccgcg aggaaacgat tgccggggca ctggacctgc tgcgcggcac ctttttgccc 240 gccatcctgg ggcagacctt cgccaacccc gaagcggtgg cggacgcgct cggcagctac 300 cggggcaacc gcatggcacg ggcgatggtc gagatggcgg cctgggacct gtgggcgcgc 360 acgctggggg tgccgctcgg gacactgctc ggcggccaca aggagcaggt cgaggtgggg 420 gtcagcctcg gcattcaggc gggcgagcag gcgacggtgg acctcgtgcg aaagcatgtc 480 gagcagggct accgccgcat caagctcaag atcaagcccg gctgggacgt gcagccggta 540 cgggcgaccc gtgaagcctt tcccgacatt cgcctgacgg tggacgccaa cagcgcctac 600 accctggccg acgccgggcg gctgcggcaa ctcgacgagt acgacctgac ctacatcgag 660 cagccgctcg cctgggacga cctcgtagac cacgccgaac tcgcccggcg catccgcacg 720 ccgctgtgcc tcgacgagtc ggtggcgtcg gcggcggacg cccgcaaggc gctggcactg 780 ggcgcgggcg gcgtcatcaa cctcaaggtg gcccgcgtgg gcggacacgc cgaatcgcgg 840 cgcgtgcatg acgtggccca gagcttcggc gccccggtgt ggtgcggcgg gatgttggag 900 agcggcatcg ggcgggcgca caacatccac ctctcgacgc tgcccaactt ccgcttgccg 960 ggcgacacca gttcggccag ccgctactgg gagcgcgacc tgattcagga gccgctcgaa 1020 gccgtggacg gcctgatgcc agtgccgcag gggccgggca cgggcgtgac ccttgaccgc 1080 gagttcctgg cgaccgtcac cgaggcgcag gaggaacacc gggcgtga 1128 <210> 2 <211> 375 <212> PRT <213> Deinococcus radiodurans <400> 2 Met Ala His Thr Gly Arg Met Phe Lys Ile Glu Ala Ala Glu Ile Val 1 5 10 15 Val Ala Arg Leu Pro Leu Lys Phe Arg Phe Glu Thr Ser Phe Gly Val 20 25 30 Gln Thr His Lys Val Val Pro Leu Leu Ile Leu His Gly Glu Gly Val 35 40 45 Gln Gly Val Ala Glu Gly Thr Met Glu Ala Arg Pro Met Tyr Arg Glu 50 55 60 Glu Thr Ile Ala Gly Ala Leu Asp Leu Leu Arg Gly Thr Phe Leu Pro 65 70 75 80 Ala Ile Leu Gly Gln Thr Phe Ala Asn Pro Glu Ala Val Ala Asp Ala 85 90 95 Leu Gly Ser Tyr Arg Gly Asn Arg Met Ala Arg Ala Met Val Glu Met 100 105 110 Ala Ala Trp Asp Leu Trp Ala Arg Thr Leu Gly Val Pro Leu Gly Thr 115 120 125 Leu Leu Gly Gly His Lys Glu Gln Val Glu Val Gly Val Ser Leu Gly 130 135 140 Ile Gln Ala Gly Glu Gln Ala Thr Val Asp Leu Val Arg Lys His Val 145 150 155 160 Glu Gln Gly Tyr Arg Arg Ile Lys Leu Lys Ile Lys Pro Gly Trp Asp 165 170 175 Val Gln Pro Val Arg Ala Thr Arg Glu Ala Phe Pro Asp Ile Arg Leu 180 185 190 Thr Val Asp Ala Asn Ser Ala Tyr Thr Leu Ala Asp Ala Gly Arg Leu 195 200 205 Arg Gln Leu Asp Glu Tyr Asp Leu Thr Tyr Ile Glu Gln Pro Leu Ala 210 215 220 Trp Asp Asp Leu Val Asp His Ala Glu Leu Ala Arg Arg Ile Arg Thr 225 230 235 240 Pro Leu Cys Leu Asp Glu Ser Val Ala Ser Ala Ala Asp Ala Arg Lys 245 250 255 Ala Leu Ala Leu Gly Ala Gly Gly Val Ile Asn Leu Lys Val Ala Arg 260 265 270 Val Gly Gly His Ala Glu Ser Arg Arg Val His Asp Val Ala Gln Ser 275 280 285 Phe Gly Ala Pro Val Trp Cys Gly Gly Met Leu Glu Ser Gly Ile Gly 290 295 300 Arg Ala His Asn Ile His Leu Ser Thr Leu Pro Asn Phe Arg Leu Pro 305 310 315 320 Gly Asp Thr Ser Ser Ala Ser Arg Tyr Trp Glu Arg Asp Leu Ile Gln 325 330 335 Glu Pro Leu Glu Ala Val Asp Gly Leu Met Pro Val Pro Gln Gly Pro 340 345 350 Gly Thr Gly Val Thr Leu Asp Arg Glu Phe Leu Ala Thr Val Thr Glu 355 360 365 Ala Gln Glu Glu His Arg Ala 370 375 <210> 3 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 3 acagactcat atggcgcata ctggccgta 29 <210> 4 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 4 agaggatcct cacgcccggt gttcctc 27
【図面の簡単な説明】
【図1】 NAAR発現ベクターにより形質転換された大腸
菌から得られた粗酵素液の精製過程におけるSDS-PAGEの
結果を示す図である。レーン1:分子量マーカー、レー
ン2:粗酵素液、レーン3:DEAE-Toyopearl により精製
されたNAAR
【図2】 NAARの酵素活性の温度依存性を示す図であ
る。縦軸は相対活性を示し、横軸は温度を示す。
【図3】 NAARの熱安定性を示す図である。縦軸は残存
相対活性を示し、横軸は温度を示す。
【図4】 NAARの酵素活性のpH依存性を示す図である。
縦軸は相対活性を示し、横軸はpHを示す。図中丸印はBi
s-Tris塩酸緩衝液を、四角印はトリス塩酸緩衝液を用い
て測定を行ったことを示す。
【図5】 NAARのpH安定性を示す図である。縦軸は残存
相対活性を示し、横軸はpHを示す。図中丸印はBis-Tris
塩酸緩衝液を、四角印はトリス塩酸緩衝液を用いて測定
を行ったことを示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 13/04 C12P 41/00 A 41/00 (C12N 1/21 //(C12N 1/21 C12R 1:19) C12R 1:19) C12N 15/00 ZNAA Fターム(参考) 4B024 AA01 AA03 AA07 BA07 BA71 BA75 CA04 DA05 DA06 DA11 DA12 EA04 GA11 HA01 4B050 CC03 DD02 FF03E FF04E FF09E LL05 4B064 AE03 AE16 AE29 AE34 CA02 CA19 CA21 CB05 CB28 CC03 CC24 CD12 CD27 DA01 DA11 DA16 4B065 AA01X AA01Y AA26X AA57X AA72X AB01 BA02 BB12 CA17 CA27 CA43 CA44 CA47 CA50

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(a)から(e)のいずれかに記載の
    ポリヌクレオチド。 (a)配列番号:1に記載の塩基配列を含むポリヌクレ
    オチド、 (b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタン
    パク質をコードするポリヌクレオチド、 (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1
    若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸からなり、以下の理化学的性質
    1)および2)を有するタンパク質をコードするポリヌ
    クレオチド、 (d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌク
    レオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
    し、以下の理化学的性質1)および2)を有するタンパ
    ク質をコードするポリヌクレオチド、 (e)配列番号:2に記載のアミノ酸配列と70%以上
    の相同性を有し、以下の理化学的性質1)および2)を
    有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、 1)作用:N-アシルアミノ酸に作用してラセミ化しうる 2)pH安定性:pH 6-10 の間で安定である
  2. 【請求項2】請求項1に記載のポリヌクレオチドによっ
    てコードされる蛋白質。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のポリヌクレオチドが挿入
    された組換えベクター。
  4. 【請求項4】宿主を請求項3に記載の組換えベクターに
    より形質転換した形質転換体。
  5. 【請求項5】宿主が微生物である請求項4に記載の形質
    転換体。
  6. 【請求項6】請求項4に記載の形質転換体を培養する工
    程を含む、N-アシルアミノ酸ラセマーゼの製造方法。
  7. 【請求項7】デイノコッカス・ラジオデュランス(Deino
    coccus radiodurans)に由来し、次に示す理化学的性質
    1)および2)を有するN-アシルアミノ酸ラセマーゼ。 1)作用:N-アシルアミノ酸に作用してラセミ化しうる 2)pH安定性:pH 6-10 の間で安定である
  8. 【請求項8】請求項2に記載のタンパク質、請求項7に
    記載のN-アシルアミノ酸ラセマーゼ、該タンパク質また
    は該酵素を産生する微生物、若しくは該微生物の処理物
    からなる群から選択されるいずれかの酵素活性物質を光
    学活性N-アシルアミノ酸に作用させる工程を含む、N-ア
    シルアミノ酸のラセミ化方法。
  9. 【請求項9】N-アシルアミノ酸が N-アシルメチオニ
    ン、N-アシルトリプトファン、およびN-アシルフェニル
    アラニンから選択される少なくとも1つの N-アシルア
    ミノ酸である請求項8に記載のラセミ化方法。
  10. 【請求項10】D-またはL-アミノアシラーゼの共存下
    で、N-アシルアミノ酸を基質として請求項8に記載のラ
    セミ化方法を行う工程を含む、D-またはL-アミノ酸の製
    造方法。
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