JP2003074658A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
トロイダル型無段変速機Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 優れた伝達効率を有するトロイダル型無段変
速機を実現する。 【解決手段】 ローディングカム装置9aを構成する複
数個のローラ12aを、セラミック製とする。この結
果、これら各ローラ12aの摩擦係数を小さくできると
共に、これら各ローラ12aの慣性質量の低減による、
これら各ローラ12aに加わる遠心力の低減も図れる。
この為、これら各ローラ12aの回転抵抗の低減を図
れ、上記ローディングカム装置9aの推力を十分に確保
できる他、上記各ローラ12aを保持する保持器11a
の小型化も図れる。
速機を実現する。 【解決手段】 ローディングカム装置9aを構成する複
数個のローラ12aを、セラミック製とする。この結
果、これら各ローラ12aの摩擦係数を小さくできると
共に、これら各ローラ12aの慣性質量の低減による、
これら各ローラ12aに加わる遠心力の低減も図れる。
この為、これら各ローラ12aの回転抵抗の低減を図
れ、上記ローディングカム装置9aの推力を十分に確保
できる他、上記各ローラ12aを保持する保持器11a
の小型化も図れる。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係るトロイダル型
無段変速機は、例えば自動車の自動変速機用の変速ユニ
ットとして、或は各種産業機械用の変速機として、それ
ぞれ利用する。 【0002】 【従来の技術】自動車用変速機として、図3〜4に略示
する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究さ
れ、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速
機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示され
ている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持
し、この入力軸1と同心に配置した出力軸3の端部に出
力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速
機を納めたケーシングの内側には、上記入力軸1並びに
出力軸3に対して捻れの位置にある枢軸5、5を中心と
して揺動するトラニオン6、6を設けている。 【0003】即ち、これら各トラニオン6、6は、それ
ぞれの両端部外面に上記枢軸5、5を、互いに同心に設
けている。又、これら各トラニオン6、6の中間部には
変位軸7、7の基端部を支持し、上記枢軸5、5を中心
として上記各トラニオン6、6を揺動させる事により、
上記各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在としてい
る。上記各トラニオン6、6に支持した変位軸7、7の
周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支
持している。そして、これら各パワーローラ8、8を、
上記入力側、出力側両ディスク2、4の、互いに対向す
る内側面2a、4a同士の間に挟持している。これら各
内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5上の
点を中心とする円弧若しくはこの円弧に近似する曲線を
回転させて得られる凹面をなしている。そして、球状凸
面に形成した上記各パワーローラ8、8の周面8a、8
aを、上記内側面2a、4aに当接させている。 【0004】上記入力軸1と入力側ディスク2との間に
は、ローディングカム装置9を設け、このローディング
カム装置9によって上記入力側ディスク2を、出力側デ
ィスク4に向け弾性的に押圧しつつ回転駆動自在として
いる。このローディングカム装置9は、上記入力側ディ
スク2と同心に配置されて上記入力軸1と共に回転する
カム板10と、保持器11により転動自在に保持した複
数個(例えば4個)のローラ12、12とから構成して
いる。上記カム板10の片側面(図3〜4の左側面)に
は、円周方向に関する凹凸面である駆動側カム面13を
形成し、上記入力側ディスク2の外側面(図3〜4の右
側面)にも、同様の形状を有する被駆動側カム面14を
形成している。そして、上記複数個のローラ12、12
を、上記入力軸1の中心に関し放射方向の軸を中心とす
る回転自在に支持している。 【0005】上述の様に構成するトロイダル型無段変速
機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転
すると、駆動側カム面13が複数個のローラ12、12
を、入力側ディスク2の外側面に形成した被駆動側カム
面14に押圧する。この結果、上記入力側ディスク2
が、上記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時
に、上記駆動側、被駆動側両カム面13、14と複数個
のローラ12、12との押し付け合いに基づいて、上記
入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディ
スク2の回転が、前記複数のパワーローラ8、8を介し
て出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4
に固定の出力軸3が回転する。 【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速
比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で
減速を行なう場合には、前記各枢軸5、5を中心として
前記各トラニオン6、6を所定方向に揺動させる。そし
て、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図3
に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り
部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分と
にそれぞれ当接する様に、前記各変位軸7、7を傾斜さ
せる。反対に、増速を行なう場合には、上記枢軸5、5
を中心として上記各トラニオン6、6を反対方向に揺動
させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8
a、8aが図4に示す様に、入力側ディスク2の内側面
2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの
中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各変位
軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を図
3と図4との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間
で、中間の変速比を得られる。 【0007】又、図5〜6は、実願昭63−69293
号(実開平1−173552号)のマイクロフィルムに
記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速機
の1例を示している。入力側ディスク2と出力側ディス
ク4とは円管状の入力軸15の周囲に、それぞれニード
ル軸受16、16を介して回転自在に支持している。
又、カム板10は上記入力軸15の端部(図5の左端
部)外周面にスプライン係合させ、鍔部17により上記
入力側ディスク2から離れる方向への移動を阻止してい
る。そして、このカム板10とローラ12、12とによ
り、上記入力軸15の回転に基づいて上記入力側ディス
ク2を、上記出力側ディスク4に向け押圧しつつ回転さ
せる、ローディングカム装置9を構成している。上記出
力側ディスク4には出力歯車18を、キー19、19に
より結合し、これら出力側ディスク4と出力歯車18と
が同期して回転する様にしている。 【0008】1対のトラニオン6、6の両端部は1対の
支持板20、20に、揺動並びに軸方向(図5の表裏方
向、図6の左右方向)の変位自在に支持している。そし
て、上記各トラニオン6、6の中間部に形成した円孔2
3、23部分に、変位軸7、7を支持している。これら
各変位軸7、7は、互いに平行で且つ偏心した支持軸部
21、21と枢支軸部22、22とを、それぞれ有す
る。このうちの各支持軸部21、21を上記各円孔2
3、23の内側に、ラジアルニードル軸受24、24を
介して、回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部
22、22の周囲にパワーローラ8、8を、ラジアルニ
ードル軸受25、25を介して、回転自在に支持してい
る。 【0009】尚、上記1対の変位軸7、7は、上記入力
軸15に対して180度反対側位置に設けている。又、
これら各変位軸7、7の各枢支軸部22、22が各支持
軸部21、21に対し偏心している方向は、上記入力
側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関し同方向
(図6で左右逆方向)としている。又、偏心方向は、上
記入力軸15の配設方向に対しほぼ直交する方向として
いる。従って、上記各パワーローラ8、8は、上記入力
軸15の配設方向に若干の変位自在に支持される。この
結果、回転力の伝達状態で構成各部材に加わる大きな荷
重に基づく、これら構成各部材の弾性変形に起因して、
上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の軸方向
(図5の左右方向、図6の表裏方向)に変位する傾向と
なった場合でも、上記構成各部品に無理な力を加える事
なく、この変位を吸収できる。 【0010】又、上記各パワーローラ8、8の外側面と
上記各トラニオン6、6の中間部内側面との間には、パ
ワーローラ8、8の外側面の側から順に、スラスト玉軸
受26、26とスラストニードル軸受27、27とを設
けている。このうちのスラスト玉軸受26、26は、上
記各パワーローラ8、8に加わるスラスト方向の荷重を
支承しつつ、これら各パワーローラ8、8の回転を許容
するものである。又、上記各スラストニードル軸受2
7、27は、上記各パワーローラ8、8から上記各スラ
スト玉軸受26、26を構成する外輪28、28に加わ
るスラスト荷重を支承しつつ、前記各枢支軸部22、2
2及びこれら各外輪28、28が、前記支持軸部21、
21を中心に揺動する事を許容する。 【0011】更に、上記各トラニオン6、6の一端部
(図6の左端部)にはそれぞれ駆動ロッド29、29を
結合し、これら各駆動ロッド29、29の中間部外周面
に駆動ピストン30、30を固設している。そして、こ
れら各駆動ピストン30、30を、それぞれ駆動シリン
ダ31、31内に油密に嵌装している。 【0012】上述の様に構成されるトロイダル型無段変
速機の場合には、入力軸15の回転は、ローディングカ
ム装置9を介して入力側ディスク2に伝わる。そして、
この入力側ディスク2の回転が、1対のパワーローラ
8、8を介して出力側ディスク4に伝わり、更にこの出
力側ディスク4の回転が、出力歯車18より取り出され
る。入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比を変
える場合には、上記1対の駆動ピストン30、30を互
いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン30、
30の変位に伴って上記1対のトラニオン6、6が、そ
れぞれ逆方向に変位し、例えば図6の下側のパワーロー
ラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーローラ8が同
図の左側に、それぞれ変位する。 【0013】この結果、これら各パワーローラ8、8の
周面8a、8aと上記入力側ディスク2及び出力側ディ
スク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線
方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変
化に伴って上記各トラニオン6、6が、支持板20、2
0に枢支された枢軸5、5を中心として、互いに逆方向
に揺動する。この結果、前述の図3〜4に示した様に、
上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記各内
側面2a、4aとの当接位置が変化し、上記入力軸15
と出力歯車18との間の回転速度比が変化する。 【0014】尚、この様に上記入力軸15と出力歯車1
8との間で回転力の伝達を行なう際には、構成各部材の
弾性変形に基づいて上記各パワーローラ8、8が、上記
入力軸15の軸方向に変位し、これら各パワーローラ
8、8を枢支している前記各変位軸7、7が、前記各支
持軸部21、21を中心として僅かに回動する。この回
動の結果、前記各スラスト玉軸受26、26の外輪2
8、28の外側面と上記各トラニオン6、6の内側面と
が相対変位する。これら外側面と内側面との間には、前
記各スラストニードル軸受27、27が存在する為、こ
の相対変位に要する力は小さい。従って、上述の様に各
変位軸7、7の傾斜角度を変化させる為の力が小さくて
済む。 【0015】更に、伝達可能なトルクを増大すべく、図
7に示す様に、入力軸15aの周囲に入力側ディスク2
A、2Bと出力側ディスク4、4とを2個ずつ設け、こ
れら2個ずつの入力側ディスク2A、2Bと出力側ディ
スク4、4とを動力の伝達方向に関して互いに並列に配
置する、所謂ダブルキャビティ型の構造も、従来から知
られている。この図7に示した構造では、上記入力軸1
5aの中間部周囲に出力歯車18aを、この入力軸15
aに対する回転を自在として支持し、この出力歯車18
aの中心部に設けた円筒部の両端部に上記各出力側ディ
スク4、4を、スプライン係合させている。そして、こ
れら各出力側ディスク4、4の内周面と上記入力軸15
aの外周面との間にニードル軸受16、16を設け、こ
れら各出力側ディスク4、4を上記入力軸15aの周囲
に、この入力軸15aに対する回転、並びにこの入力軸
15aの軸方向の変位を自在に支持している。上記出力
側歯車18aの中心部に設けた円筒部はハウジングの内
側に設けた仕切壁38に、それぞれがアンギュラ型であ
る1対の玉軸受39、39により、軸方向の変位を阻止
した状態で、回転自在に支持している。 【0016】又、上記各入力側ディスク2A、2Bは、
上記入力軸15aの両端部に、この入力軸15aと共に
回転自在に支持している。この入力軸15aは、駆動軸
32により、ローディングカム装置9を介して回転駆動
する。尚、この駆動軸32の先端部(図7の右端部)外
周面と上記入力軸15aの基端部(図7の左端部)内周
面との間には、滑り軸受、ニードル軸受等のラジアル軸
受33を設けている。従って、上記駆動軸32と入力軸
15aとは、互いに同心に配置された状態のまま、回転
方向に関する若干の変位自在に組み合わされている。 【0017】又、一方(図7の右方)の入力側ディスク
2Aは、背面(図7の右面)をローディングナット34
に、大きな弾力を有する皿板ばね35を介して突き当て
る事により、上記入力軸15aに対する軸方向(図7の
左右方向)の変位を実質的に阻止している。これに対し
て、上記ローディングカム装置9を構成するカム板10
に対向する入力側ディスク2Bは、ボールスプライン3
6により上記入力軸15aに、軸方向の変位自在に支持
している。そして、この入力側ディスク2Bの背面(図
7の左面)と上記入力軸15aとの間に皿板ばね37を
設け、上記各ディスク2A、2B、4の内側面2a、4
aとパワーローラ8、8の周面8a、8aとの当接部に
予圧を付与している。 【0018】更に、上記入力軸15aの端部には上記ロ
ーディングカム装置9を構成する為のカム板10を、ア
ンギュラ型の玉軸受40により、回転自在に支持してい
る。そして、このカム板10の片面(図7の右面)に形
成した駆動側カム面13と、上記入力側ディスク2Bの
背面(図7の左面)に形成した被駆動側カム面14との
間に複数個のローラ12、12を、保持器11により保
持した状態で、転動自在に設けている。そして、上記カ
ム板10の背面に形成した被駆動突部41、41と、上
記駆動軸32の先端部に設けた駆動腕部42、42とを
係合させて、この駆動軸32により上記カム板10を回
転駆動自在としている。 【0019】この様なダブルキャビティ型のトロイダル
型無段変速機の運転時には、上記駆動軸32により上記
カム板10を回転駆動し、上記ローディングカム装置9
の作動に基づいて1対の入力側ディスク2A、2Bを、
1対の出力側ディスク4、4に押圧しつつ、互いに同期
させて回転させる。即ち、上記カム板10の回転が上記
各ローラ12、12を介して上記入力側ディスク2Bに
伝わると、この入力側ディスク2Bが、上記出力側ディ
スク4に押圧されつつ回転する。そして、この入力側デ
ィスク2Bの回転が上記入力軸15aに伝わると同時
に、上記ローディングカム装置9がこの入力軸15a
を、図7の左方に引っ張る。この結果、別の入力側ディ
スク2Aが、上記出力側ディスク4に押圧されつつ回転
する。この様にして互いに同期して回転する1対の入力
側ディスク2A、2Bの回転は、それぞれ複数個ずつの
パワーローラ8、8を介して、上記1対の出力側ディス
ク4、4に伝達する。そして、これら両出力側ディスク
4、4の回転を、前記出力歯車18aを通じて取り出
す。 【0020】尚、上述の様なトロイダル型無段変速機に
組み込むローディングカム装置9を構成するローラ1
2、12としては、例えば特開平1−299358号公
報に開示されたものが知られている。この公報に記載さ
れた各ローラ12は、図8に示す様に、幅が狭く、一端
面中央部に小径の突部43を形成したローラ素子44、
44を、軸方向に直列に組み合わせて成る。即ち、これ
ら各ローラ素子44、44を、図9に示す様に複数個ず
つ(図示の例では3個ずつ)直列に組み合わせたローラ
12、12を、保持器11の円周方向複数個所にこの保
持器11の放射方向に形成した矩形のポケット45、4
5の内側に、転動自在に保持している。ローディングカ
ム装置9の使用状態に於いて、上記各ポケット45、4
5の内側に設けた各ローラ素子44、44は、互いに独
立して回転する。この様にするのは、駆動側カム面13
及び被駆動側カム面14の内周側と外周側との速度差を
吸収する為である。 【0021】 【発明が解決しようとする課題】上述の様なローディン
グカム装置9を組み込んだトロイダル型無段変速機の運
転を行なう場合で、急加速時或は急減速時等、このトロ
イダル型無段変速機により伝達するトルクが急変動する
際に、このローディングカム装置9が発生する推力(押
圧力)が一時的に低下する事が、1990年5月に発行
された『日本機械学会論文集(C編)56巻525号』
の第204〜210頁等に記載されている様に、従来か
ら知られている。この様なローディングカム装置9の推
力の一時的な低下は、各ローラ12、12の転動面と駆
動側、被駆動側両カム面13、14との転がり摩擦や、
これら各ローラ12、12の軸方向端面と保持器11の
ポケット45、45の外径側内面との摩擦、更には、こ
れら各ローラ12、12を構成する各ローラ素子44、
44の軸方向端面同士の摩擦に基づくこれら各ローラ1
2、12の回転抵抗が原因である事も、従来から知られ
ている。特に、このうちの各ローラ12、12の端面と
保持器11のポケット45、45の外径側内面との摩
擦、並びに、上記各ローラ素子44、44の端面同士の
摩擦は、これら各ローラ12、12(各ローラ素子4
4、44)に加わる遠心力に基づいて増減する。即ち、
入力軸15、15aの回転速度の増大に伴って、上記摩
擦が大きくなり、この摩擦に基づく推力の低下を無視で
きなくなる。 【0022】上記ローディングカム装置9の推力の低下
が著しく、この推力を十分に得られない場合には、入力
側、出力側両ディスク2、2A、2B、4の内側面2
a、4aと各パワーローラ8、8の周面8a、8aとの
当接部(トラクション部)の圧力(押し付け力)が不足
する。そして、これら各当接部に滑りが発生して、トロ
イダル型無段変速機が空転し、転がり接触面の耐久性低
下の原因となる他、動力の伝達効率が悪化したり、著し
い場合には動力の伝達を行なえなくなる可能性がある。
尚、この様な当接部の圧力不足に伴う耐久性低下や伝達
効率の低下を防止する為に、上記遠心力に基づく摩擦を
考慮して、上記各当接部に付与する圧力(当接部の与
圧)を予め大きくしておく事が考えられる。例えば、上
記入力側ディスク2Bの背面と入力軸15aとの間に設
けた皿板ばね37の弾性力を大きくする事等が考えられ
る。ところが、この様に各当接部の予圧を大きくする
と、回転速度が低い状態、即ち、上記各ローラ12、1
2に加わる遠心力が小さい状態で、上記各当接部に過大
な圧力が加わる事となり、上記入力側、出力側両ディス
ク2、2A、2B、4の内側面2a、4aやパワーロー
ラ8、8の周面8a、8aの耐久性を確保しにくくな
る。 【0023】一方、前述の図8〜9に示した、軸方向一
端面に突部43を設けたローラ素子44、44を複数個
組み合わせて成るローラ12、12を組み込んだローデ
ィングカム装置9の場合には、これら各ローラ素子4
4、44の一端面と相手面との接触面積を或る程度小さ
くできる他、摩擦面の直径を小さくして、摩擦に基づく
モーメントを小さくできる。この為、これら各ローラ素
子44、44同士の接触部、並びに、これら各ローラ素
子44、44の一端面と上記保持器11のポケット4
5、45の外径側内面との接触部の摩擦を低減して、上
記推力が低下するのを或る程度抑える事ができる。但
し、この様な従来構造の場合でも、各ローラ12、12
の慣性質量が大きい事と、これら各ローラ12、12の
転動面と駆動側、被駆動側各カム面13、14との転が
り摩擦が大きい事等により、これら各ローラ12、12
の回転抵抗を十分に小さくできない可能性がある。 【0024】しかも、上記各ローラ12、12の慣性質
量が大きい分、これら各ローラ12、12を保持する保
持器11のポケット45、45の外径側内面に、これら
各ローラ12、12の遠心力に基づく大きな荷重が加わ
る。この為、この荷重によって、摩擦抵抗の増大が著し
くなる他、上記保持器11が破損する可能性もある。こ
の様な保持器11の破損を防止すべく、この保持器11
の肉厚を厚くする等により、この保持器11の強度を確
保する事が考えられる。ところが、この様に保持器11
の肉厚を厚くすると、この保持器11が大型化する為、
この保持器の慣性質量増大に基づく性能(トルク変動時
の追従性)低下の原因となる他、この保持器11自体に
加わる遠心力も増大し、この保持器11自体が遠心力に
より破損する可能性もある。本発明のトロイダル型無段
変速機用は、上述の様な事情に鑑みて、ローディングカ
ム装置を組み込んだトロイダル型無段変速機の伝達効率
を十分に確保すべく発明したものである。 【0025】 【課題を解決するための手段】本発明のトロイダル型無
段変速機は、前述した従来から知られているトロイダル
型無段変速機と同様に、入力側ディスクと、出力側ディ
スクと、トラニオンと、変位軸と、パワーローラと、ロ
ーディングカム装置とを備える。このうちの入力側ディ
スクは、回転自在に支持されている。又、上記出力側デ
ィスクは、その内側面を上記入力側ディスクの内側面に
対向させた状態でこの入力側ディスクと同心に配置さ
れ、この入力側ディスクに対する相対回転を自在とされ
ている。又、上記トラニオンは、上記入力側ディスクと
出力側ディスクとの間に設けられ、これら両ディスクの
中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動す
るもので、1対の入力側ディスク及び出力側ディスク毎
に複数個ずつ設けられている。又、上記変位軸は、上記
各トラニオンの内側面から突出したもので、これら各ト
ラニオン毎に1本ずつ設けられている。又、上記パワー
ローラは、上記各トラニオン毎に1個ずつ設けられ、上
記各変位軸に回転自在に支持された状態で、上記入力側
ディスクと出力側ディスクとの内側面同士の間に挟持さ
れている。又、上記ローディングカム装置は、上記入力
側ディスクと上記出力側ディスクとの回転伝達時に、何
れか一方のディスクを他方のディスクに向け押圧するも
のである。そして、このローディングカム装置は、上記
一方のディスクと同心に配置されて回転するカム板と、
これら一方のディスクとカム板との互いに対向する面
に、円周方向に関する凹凸として形成された1対のカム
面と、このカム面と係合する状態で、上記一方のディス
クとカム板との間に挟持された複数個のローラとを備え
たものである。特に、本発明のトロイダル型無段変速機
に於いては、上記各ローラがセラミック製である。 【0026】 【作用】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段
変速機によれば、ローディングカム装置を構成する各ロ
ーラを、摩擦係数の小さいセラミック製とする為、これ
ら各ローラの転動面と1対のカム面との当接部に作用す
る転がり摩擦抵抗を小さく抑える事ができる。しかも、
上記セラミックは密度が小さい分、上記各ローラの慣性
質量も小さくできて、これら各ローラに加わる遠心力の
低減も図れる。従って、これら各ローラと保持器のポケ
ットの外径側内面との摩擦、更にこれら各ローラを複数
個のローラ素子で構成した場合には、これら各ローラ素
子の軸方向端面同士の摩擦の低減を図れる。この為、上
記各ローラの回転抵抗の低減による、これら各ローラの
上記両カム面に対する追従性の向上を図れる。この結
果、トルクの急変動時にも、上記ローディングカム装置
の推力を十分に確保して、入力側、出力側両ディスクの
内側面と各パワーローラの周面との各当接部に滑りが発
生する事を防止できる。そして、トロイダル型無段変速
機が空転して動力の伝達効率が悪化したり、更には動力
の伝達を行なえなくなる様な事を防止できる。 【0027】又、上記各ローラの慣性質量の低減によ
り、これら各ローラを保持する保持器に加わる、これら
各ローラからの荷重も小さくできる。この為、この保持
器の肉厚を厚くする事なくこの保持器の強度を十分に確
保する事ができ、この保持器の小型化も図れる。しか
も、この保持器自体に加わる遠心力も低減できる為、回
転軸の高速化を図る場合でも、この保持器が遠心力によ
り破損する事を防止できる。 【0028】 【発明の実施の形態】図1〜2は、本発明の実施の形態
の1例を示している。尚、本発明の特徴は、ローディン
グカム装置9aを構成する各ローラ12aの摩擦係数並
びに慣性質量の低減を図る事により、トルクの急変動時
にも、入力側ディスク2A、2Bを出力側ディスク4、
4(図7参照)に押圧する力を適正に維持する点にあ
る。その他の部分の構造及び作用は、前述した従来構造
の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省
略し、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。 【0029】上記ローディングカム装置9aを構成する
為、カム板10の片面(図1の右面)に駆動側カム面1
3を、上記入力側ディスク2Bの背面(図1の左面)に
被駆動側カム面14を、それぞれ対向させた状態で設け
ている。そして、これら駆動側、被駆動側両カム面1
3、14同士の間に、上記ローディングカム装置9aを
構成する複数個(例えば4個)のローラ12aを設けて
いる。これら各ローラ12aは、幅が狭く、軸方向両端
面を凸曲面状に形成した、それぞれが窒化珪素(Si3 N
4 )等のセラミックにより造られたローラ素子44a、
44aを、軸方向に直列に組み合わせて成る。即ち、こ
れら各ローラ素子44a、44aを、図2に示す様に複
数個ずつ(図示の例では3個ずつ)直列に組み合わせた
ローラ12aを、保持器11aの円周方向複数個所(例
えば円周方向等間隔に4個所)にこの保持器11aの放
射方向に形成した矩形のポケット45の内側に、転動自
在に保持している。尚、上記カム板10は、前述の図7
に示した従来構造の場合と同様、入力軸15aの端部周
囲に、ラジアル荷重とアキシアル荷重とを支承自在な、
アンギュラ型の玉軸受40により、回転自在に支持して
いる。 【0030】上述の様に構成するローディングカム装置
9aを組み込んだ、本発明のトロイダル型無段変速機に
よれば、上記各ローラ12aを摩擦係数の小さいセラミ
ック製のものとしている為、これら各ローラ12aの転
動面と上記駆動側、被駆動側両カム面13、14との当
接部に作用する転がり摩擦抵抗を小さく抑える事ができ
る。しかも、上記セラミックは密度が小さい分、上記各
ローラ12aの慣性質量も小さくできて、これら各ロー
ラ12aに加わる遠心力の低減も図れる。この為、これ
ら各ローラ12aと上記保持器11aのポケット45の
外径側内面との摩擦、更にこれら各ローラ12aを構成
する各ローラ素子44a、44aの軸方向端面同士の摩
擦の低減を図れる。この為、上記各ローラ12aの回転
抵抗の低減による、これら各ローラ12aの上記駆動
側、被駆動側両カム面13、14に対する追従性の向上
を図れる。この結果、上記ローディングカム装置9aの
推力を十分に確保して、入力側、出力側両ディスク2
A、2B、4の内側面2a、4aと各パワーローラ8、
8の周面8a、8a(図7参照)との各当接部(トラク
ション部)に滑りが発生する事を防止でき、トロイダル
型無段変速機が空転して動力の伝達効率が悪化したり、
更には動力の伝達を行なえなくなる様な事を防止でき
る。又、トルク低減時には、このトルクに合わせて推力
の低減を円滑に行なわせて、上記各当接部の面圧が過剰
に高いままとなる事を防止できる。 【0031】しかも、上記各ローラ12aの慣性質量の
低減により、これら各ローラ12aを保持する保持器1
1aに加わる、これら各ローラ12aからの荷重も小さ
くできる。この為、この保持器11aの肉厚を厚くする
事なく、即ち、図2に示す様に保持器11aの各ポケッ
ト45同士の間部分の径方向の幅を小さくした場合で
も、この保持器11aの強度を十分に確保する事ができ
る為、この保持器11aの小型化も図れる。しかも、こ
の保持器11a自体に加わる遠心力も低減できる為、回
転軸15aの高速化を図る場合でも、この保持器11a
が遠心力により破損する事を防止できる。 【0032】尚、特開平2000−35100号公報に
は、ローディングカム装置を構成する各ローラの表面に
セラミックコーティングを施す発明が記載されている。
但しこの発明は、これら各ローラの摩擦係数を小さくす
る事を目的としている。これに対して本発明は、各ロー
ラ12aの摩擦係数を小さくできると共に、これら各ロ
ーラ12aの慣性質量の低減による、これら各ローラ1
2aに加わる遠心力の低減も図れる。この為、上記公報
に記載された発明に比べ、これら各ローラ12aの回転
抵抗をより低減できる他、これら各ローラ12aを保持
する保持器11aの小型化も図れる。 【0033】 【発明の効果】本発明は、上述の様に構成し作用するの
で、優れた伝達効率を有するトロイダル型無段変速機を
実現できる。
無段変速機は、例えば自動車の自動変速機用の変速ユニ
ットとして、或は各種産業機械用の変速機として、それ
ぞれ利用する。 【0002】 【従来の技術】自動車用変速機として、図3〜4に略示
する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究さ
れ、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速
機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示され
ている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持
し、この入力軸1と同心に配置した出力軸3の端部に出
力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速
機を納めたケーシングの内側には、上記入力軸1並びに
出力軸3に対して捻れの位置にある枢軸5、5を中心と
して揺動するトラニオン6、6を設けている。 【0003】即ち、これら各トラニオン6、6は、それ
ぞれの両端部外面に上記枢軸5、5を、互いに同心に設
けている。又、これら各トラニオン6、6の中間部には
変位軸7、7の基端部を支持し、上記枢軸5、5を中心
として上記各トラニオン6、6を揺動させる事により、
上記各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在としてい
る。上記各トラニオン6、6に支持した変位軸7、7の
周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支
持している。そして、これら各パワーローラ8、8を、
上記入力側、出力側両ディスク2、4の、互いに対向す
る内側面2a、4a同士の間に挟持している。これら各
内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5上の
点を中心とする円弧若しくはこの円弧に近似する曲線を
回転させて得られる凹面をなしている。そして、球状凸
面に形成した上記各パワーローラ8、8の周面8a、8
aを、上記内側面2a、4aに当接させている。 【0004】上記入力軸1と入力側ディスク2との間に
は、ローディングカム装置9を設け、このローディング
カム装置9によって上記入力側ディスク2を、出力側デ
ィスク4に向け弾性的に押圧しつつ回転駆動自在として
いる。このローディングカム装置9は、上記入力側ディ
スク2と同心に配置されて上記入力軸1と共に回転する
カム板10と、保持器11により転動自在に保持した複
数個(例えば4個)のローラ12、12とから構成して
いる。上記カム板10の片側面(図3〜4の左側面)に
は、円周方向に関する凹凸面である駆動側カム面13を
形成し、上記入力側ディスク2の外側面(図3〜4の右
側面)にも、同様の形状を有する被駆動側カム面14を
形成している。そして、上記複数個のローラ12、12
を、上記入力軸1の中心に関し放射方向の軸を中心とす
る回転自在に支持している。 【0005】上述の様に構成するトロイダル型無段変速
機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転
すると、駆動側カム面13が複数個のローラ12、12
を、入力側ディスク2の外側面に形成した被駆動側カム
面14に押圧する。この結果、上記入力側ディスク2
が、上記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時
に、上記駆動側、被駆動側両カム面13、14と複数個
のローラ12、12との押し付け合いに基づいて、上記
入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディ
スク2の回転が、前記複数のパワーローラ8、8を介し
て出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4
に固定の出力軸3が回転する。 【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速
比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で
減速を行なう場合には、前記各枢軸5、5を中心として
前記各トラニオン6、6を所定方向に揺動させる。そし
て、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図3
に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り
部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分と
にそれぞれ当接する様に、前記各変位軸7、7を傾斜さ
せる。反対に、増速を行なう場合には、上記枢軸5、5
を中心として上記各トラニオン6、6を反対方向に揺動
させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8
a、8aが図4に示す様に、入力側ディスク2の内側面
2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの
中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各変位
軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を図
3と図4との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間
で、中間の変速比を得られる。 【0007】又、図5〜6は、実願昭63−69293
号(実開平1−173552号)のマイクロフィルムに
記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速機
の1例を示している。入力側ディスク2と出力側ディス
ク4とは円管状の入力軸15の周囲に、それぞれニード
ル軸受16、16を介して回転自在に支持している。
又、カム板10は上記入力軸15の端部(図5の左端
部)外周面にスプライン係合させ、鍔部17により上記
入力側ディスク2から離れる方向への移動を阻止してい
る。そして、このカム板10とローラ12、12とによ
り、上記入力軸15の回転に基づいて上記入力側ディス
ク2を、上記出力側ディスク4に向け押圧しつつ回転さ
せる、ローディングカム装置9を構成している。上記出
力側ディスク4には出力歯車18を、キー19、19に
より結合し、これら出力側ディスク4と出力歯車18と
が同期して回転する様にしている。 【0008】1対のトラニオン6、6の両端部は1対の
支持板20、20に、揺動並びに軸方向(図5の表裏方
向、図6の左右方向)の変位自在に支持している。そし
て、上記各トラニオン6、6の中間部に形成した円孔2
3、23部分に、変位軸7、7を支持している。これら
各変位軸7、7は、互いに平行で且つ偏心した支持軸部
21、21と枢支軸部22、22とを、それぞれ有す
る。このうちの各支持軸部21、21を上記各円孔2
3、23の内側に、ラジアルニードル軸受24、24を
介して、回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部
22、22の周囲にパワーローラ8、8を、ラジアルニ
ードル軸受25、25を介して、回転自在に支持してい
る。 【0009】尚、上記1対の変位軸7、7は、上記入力
軸15に対して180度反対側位置に設けている。又、
これら各変位軸7、7の各枢支軸部22、22が各支持
軸部21、21に対し偏心している方向は、上記入力
側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関し同方向
(図6で左右逆方向)としている。又、偏心方向は、上
記入力軸15の配設方向に対しほぼ直交する方向として
いる。従って、上記各パワーローラ8、8は、上記入力
軸15の配設方向に若干の変位自在に支持される。この
結果、回転力の伝達状態で構成各部材に加わる大きな荷
重に基づく、これら構成各部材の弾性変形に起因して、
上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の軸方向
(図5の左右方向、図6の表裏方向)に変位する傾向と
なった場合でも、上記構成各部品に無理な力を加える事
なく、この変位を吸収できる。 【0010】又、上記各パワーローラ8、8の外側面と
上記各トラニオン6、6の中間部内側面との間には、パ
ワーローラ8、8の外側面の側から順に、スラスト玉軸
受26、26とスラストニードル軸受27、27とを設
けている。このうちのスラスト玉軸受26、26は、上
記各パワーローラ8、8に加わるスラスト方向の荷重を
支承しつつ、これら各パワーローラ8、8の回転を許容
するものである。又、上記各スラストニードル軸受2
7、27は、上記各パワーローラ8、8から上記各スラ
スト玉軸受26、26を構成する外輪28、28に加わ
るスラスト荷重を支承しつつ、前記各枢支軸部22、2
2及びこれら各外輪28、28が、前記支持軸部21、
21を中心に揺動する事を許容する。 【0011】更に、上記各トラニオン6、6の一端部
(図6の左端部)にはそれぞれ駆動ロッド29、29を
結合し、これら各駆動ロッド29、29の中間部外周面
に駆動ピストン30、30を固設している。そして、こ
れら各駆動ピストン30、30を、それぞれ駆動シリン
ダ31、31内に油密に嵌装している。 【0012】上述の様に構成されるトロイダル型無段変
速機の場合には、入力軸15の回転は、ローディングカ
ム装置9を介して入力側ディスク2に伝わる。そして、
この入力側ディスク2の回転が、1対のパワーローラ
8、8を介して出力側ディスク4に伝わり、更にこの出
力側ディスク4の回転が、出力歯車18より取り出され
る。入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比を変
える場合には、上記1対の駆動ピストン30、30を互
いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン30、
30の変位に伴って上記1対のトラニオン6、6が、そ
れぞれ逆方向に変位し、例えば図6の下側のパワーロー
ラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーローラ8が同
図の左側に、それぞれ変位する。 【0013】この結果、これら各パワーローラ8、8の
周面8a、8aと上記入力側ディスク2及び出力側ディ
スク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線
方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変
化に伴って上記各トラニオン6、6が、支持板20、2
0に枢支された枢軸5、5を中心として、互いに逆方向
に揺動する。この結果、前述の図3〜4に示した様に、
上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記各内
側面2a、4aとの当接位置が変化し、上記入力軸15
と出力歯車18との間の回転速度比が変化する。 【0014】尚、この様に上記入力軸15と出力歯車1
8との間で回転力の伝達を行なう際には、構成各部材の
弾性変形に基づいて上記各パワーローラ8、8が、上記
入力軸15の軸方向に変位し、これら各パワーローラ
8、8を枢支している前記各変位軸7、7が、前記各支
持軸部21、21を中心として僅かに回動する。この回
動の結果、前記各スラスト玉軸受26、26の外輪2
8、28の外側面と上記各トラニオン6、6の内側面と
が相対変位する。これら外側面と内側面との間には、前
記各スラストニードル軸受27、27が存在する為、こ
の相対変位に要する力は小さい。従って、上述の様に各
変位軸7、7の傾斜角度を変化させる為の力が小さくて
済む。 【0015】更に、伝達可能なトルクを増大すべく、図
7に示す様に、入力軸15aの周囲に入力側ディスク2
A、2Bと出力側ディスク4、4とを2個ずつ設け、こ
れら2個ずつの入力側ディスク2A、2Bと出力側ディ
スク4、4とを動力の伝達方向に関して互いに並列に配
置する、所謂ダブルキャビティ型の構造も、従来から知
られている。この図7に示した構造では、上記入力軸1
5aの中間部周囲に出力歯車18aを、この入力軸15
aに対する回転を自在として支持し、この出力歯車18
aの中心部に設けた円筒部の両端部に上記各出力側ディ
スク4、4を、スプライン係合させている。そして、こ
れら各出力側ディスク4、4の内周面と上記入力軸15
aの外周面との間にニードル軸受16、16を設け、こ
れら各出力側ディスク4、4を上記入力軸15aの周囲
に、この入力軸15aに対する回転、並びにこの入力軸
15aの軸方向の変位を自在に支持している。上記出力
側歯車18aの中心部に設けた円筒部はハウジングの内
側に設けた仕切壁38に、それぞれがアンギュラ型であ
る1対の玉軸受39、39により、軸方向の変位を阻止
した状態で、回転自在に支持している。 【0016】又、上記各入力側ディスク2A、2Bは、
上記入力軸15aの両端部に、この入力軸15aと共に
回転自在に支持している。この入力軸15aは、駆動軸
32により、ローディングカム装置9を介して回転駆動
する。尚、この駆動軸32の先端部(図7の右端部)外
周面と上記入力軸15aの基端部(図7の左端部)内周
面との間には、滑り軸受、ニードル軸受等のラジアル軸
受33を設けている。従って、上記駆動軸32と入力軸
15aとは、互いに同心に配置された状態のまま、回転
方向に関する若干の変位自在に組み合わされている。 【0017】又、一方(図7の右方)の入力側ディスク
2Aは、背面(図7の右面)をローディングナット34
に、大きな弾力を有する皿板ばね35を介して突き当て
る事により、上記入力軸15aに対する軸方向(図7の
左右方向)の変位を実質的に阻止している。これに対し
て、上記ローディングカム装置9を構成するカム板10
に対向する入力側ディスク2Bは、ボールスプライン3
6により上記入力軸15aに、軸方向の変位自在に支持
している。そして、この入力側ディスク2Bの背面(図
7の左面)と上記入力軸15aとの間に皿板ばね37を
設け、上記各ディスク2A、2B、4の内側面2a、4
aとパワーローラ8、8の周面8a、8aとの当接部に
予圧を付与している。 【0018】更に、上記入力軸15aの端部には上記ロ
ーディングカム装置9を構成する為のカム板10を、ア
ンギュラ型の玉軸受40により、回転自在に支持してい
る。そして、このカム板10の片面(図7の右面)に形
成した駆動側カム面13と、上記入力側ディスク2Bの
背面(図7の左面)に形成した被駆動側カム面14との
間に複数個のローラ12、12を、保持器11により保
持した状態で、転動自在に設けている。そして、上記カ
ム板10の背面に形成した被駆動突部41、41と、上
記駆動軸32の先端部に設けた駆動腕部42、42とを
係合させて、この駆動軸32により上記カム板10を回
転駆動自在としている。 【0019】この様なダブルキャビティ型のトロイダル
型無段変速機の運転時には、上記駆動軸32により上記
カム板10を回転駆動し、上記ローディングカム装置9
の作動に基づいて1対の入力側ディスク2A、2Bを、
1対の出力側ディスク4、4に押圧しつつ、互いに同期
させて回転させる。即ち、上記カム板10の回転が上記
各ローラ12、12を介して上記入力側ディスク2Bに
伝わると、この入力側ディスク2Bが、上記出力側ディ
スク4に押圧されつつ回転する。そして、この入力側デ
ィスク2Bの回転が上記入力軸15aに伝わると同時
に、上記ローディングカム装置9がこの入力軸15a
を、図7の左方に引っ張る。この結果、別の入力側ディ
スク2Aが、上記出力側ディスク4に押圧されつつ回転
する。この様にして互いに同期して回転する1対の入力
側ディスク2A、2Bの回転は、それぞれ複数個ずつの
パワーローラ8、8を介して、上記1対の出力側ディス
ク4、4に伝達する。そして、これら両出力側ディスク
4、4の回転を、前記出力歯車18aを通じて取り出
す。 【0020】尚、上述の様なトロイダル型無段変速機に
組み込むローディングカム装置9を構成するローラ1
2、12としては、例えば特開平1−299358号公
報に開示されたものが知られている。この公報に記載さ
れた各ローラ12は、図8に示す様に、幅が狭く、一端
面中央部に小径の突部43を形成したローラ素子44、
44を、軸方向に直列に組み合わせて成る。即ち、これ
ら各ローラ素子44、44を、図9に示す様に複数個ず
つ(図示の例では3個ずつ)直列に組み合わせたローラ
12、12を、保持器11の円周方向複数個所にこの保
持器11の放射方向に形成した矩形のポケット45、4
5の内側に、転動自在に保持している。ローディングカ
ム装置9の使用状態に於いて、上記各ポケット45、4
5の内側に設けた各ローラ素子44、44は、互いに独
立して回転する。この様にするのは、駆動側カム面13
及び被駆動側カム面14の内周側と外周側との速度差を
吸収する為である。 【0021】 【発明が解決しようとする課題】上述の様なローディン
グカム装置9を組み込んだトロイダル型無段変速機の運
転を行なう場合で、急加速時或は急減速時等、このトロ
イダル型無段変速機により伝達するトルクが急変動する
際に、このローディングカム装置9が発生する推力(押
圧力)が一時的に低下する事が、1990年5月に発行
された『日本機械学会論文集(C編)56巻525号』
の第204〜210頁等に記載されている様に、従来か
ら知られている。この様なローディングカム装置9の推
力の一時的な低下は、各ローラ12、12の転動面と駆
動側、被駆動側両カム面13、14との転がり摩擦や、
これら各ローラ12、12の軸方向端面と保持器11の
ポケット45、45の外径側内面との摩擦、更には、こ
れら各ローラ12、12を構成する各ローラ素子44、
44の軸方向端面同士の摩擦に基づくこれら各ローラ1
2、12の回転抵抗が原因である事も、従来から知られ
ている。特に、このうちの各ローラ12、12の端面と
保持器11のポケット45、45の外径側内面との摩
擦、並びに、上記各ローラ素子44、44の端面同士の
摩擦は、これら各ローラ12、12(各ローラ素子4
4、44)に加わる遠心力に基づいて増減する。即ち、
入力軸15、15aの回転速度の増大に伴って、上記摩
擦が大きくなり、この摩擦に基づく推力の低下を無視で
きなくなる。 【0022】上記ローディングカム装置9の推力の低下
が著しく、この推力を十分に得られない場合には、入力
側、出力側両ディスク2、2A、2B、4の内側面2
a、4aと各パワーローラ8、8の周面8a、8aとの
当接部(トラクション部)の圧力(押し付け力)が不足
する。そして、これら各当接部に滑りが発生して、トロ
イダル型無段変速機が空転し、転がり接触面の耐久性低
下の原因となる他、動力の伝達効率が悪化したり、著し
い場合には動力の伝達を行なえなくなる可能性がある。
尚、この様な当接部の圧力不足に伴う耐久性低下や伝達
効率の低下を防止する為に、上記遠心力に基づく摩擦を
考慮して、上記各当接部に付与する圧力(当接部の与
圧)を予め大きくしておく事が考えられる。例えば、上
記入力側ディスク2Bの背面と入力軸15aとの間に設
けた皿板ばね37の弾性力を大きくする事等が考えられ
る。ところが、この様に各当接部の予圧を大きくする
と、回転速度が低い状態、即ち、上記各ローラ12、1
2に加わる遠心力が小さい状態で、上記各当接部に過大
な圧力が加わる事となり、上記入力側、出力側両ディス
ク2、2A、2B、4の内側面2a、4aやパワーロー
ラ8、8の周面8a、8aの耐久性を確保しにくくな
る。 【0023】一方、前述の図8〜9に示した、軸方向一
端面に突部43を設けたローラ素子44、44を複数個
組み合わせて成るローラ12、12を組み込んだローデ
ィングカム装置9の場合には、これら各ローラ素子4
4、44の一端面と相手面との接触面積を或る程度小さ
くできる他、摩擦面の直径を小さくして、摩擦に基づく
モーメントを小さくできる。この為、これら各ローラ素
子44、44同士の接触部、並びに、これら各ローラ素
子44、44の一端面と上記保持器11のポケット4
5、45の外径側内面との接触部の摩擦を低減して、上
記推力が低下するのを或る程度抑える事ができる。但
し、この様な従来構造の場合でも、各ローラ12、12
の慣性質量が大きい事と、これら各ローラ12、12の
転動面と駆動側、被駆動側各カム面13、14との転が
り摩擦が大きい事等により、これら各ローラ12、12
の回転抵抗を十分に小さくできない可能性がある。 【0024】しかも、上記各ローラ12、12の慣性質
量が大きい分、これら各ローラ12、12を保持する保
持器11のポケット45、45の外径側内面に、これら
各ローラ12、12の遠心力に基づく大きな荷重が加わ
る。この為、この荷重によって、摩擦抵抗の増大が著し
くなる他、上記保持器11が破損する可能性もある。こ
の様な保持器11の破損を防止すべく、この保持器11
の肉厚を厚くする等により、この保持器11の強度を確
保する事が考えられる。ところが、この様に保持器11
の肉厚を厚くすると、この保持器11が大型化する為、
この保持器の慣性質量増大に基づく性能(トルク変動時
の追従性)低下の原因となる他、この保持器11自体に
加わる遠心力も増大し、この保持器11自体が遠心力に
より破損する可能性もある。本発明のトロイダル型無段
変速機用は、上述の様な事情に鑑みて、ローディングカ
ム装置を組み込んだトロイダル型無段変速機の伝達効率
を十分に確保すべく発明したものである。 【0025】 【課題を解決するための手段】本発明のトロイダル型無
段変速機は、前述した従来から知られているトロイダル
型無段変速機と同様に、入力側ディスクと、出力側ディ
スクと、トラニオンと、変位軸と、パワーローラと、ロ
ーディングカム装置とを備える。このうちの入力側ディ
スクは、回転自在に支持されている。又、上記出力側デ
ィスクは、その内側面を上記入力側ディスクの内側面に
対向させた状態でこの入力側ディスクと同心に配置さ
れ、この入力側ディスクに対する相対回転を自在とされ
ている。又、上記トラニオンは、上記入力側ディスクと
出力側ディスクとの間に設けられ、これら両ディスクの
中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動す
るもので、1対の入力側ディスク及び出力側ディスク毎
に複数個ずつ設けられている。又、上記変位軸は、上記
各トラニオンの内側面から突出したもので、これら各ト
ラニオン毎に1本ずつ設けられている。又、上記パワー
ローラは、上記各トラニオン毎に1個ずつ設けられ、上
記各変位軸に回転自在に支持された状態で、上記入力側
ディスクと出力側ディスクとの内側面同士の間に挟持さ
れている。又、上記ローディングカム装置は、上記入力
側ディスクと上記出力側ディスクとの回転伝達時に、何
れか一方のディスクを他方のディスクに向け押圧するも
のである。そして、このローディングカム装置は、上記
一方のディスクと同心に配置されて回転するカム板と、
これら一方のディスクとカム板との互いに対向する面
に、円周方向に関する凹凸として形成された1対のカム
面と、このカム面と係合する状態で、上記一方のディス
クとカム板との間に挟持された複数個のローラとを備え
たものである。特に、本発明のトロイダル型無段変速機
に於いては、上記各ローラがセラミック製である。 【0026】 【作用】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段
変速機によれば、ローディングカム装置を構成する各ロ
ーラを、摩擦係数の小さいセラミック製とする為、これ
ら各ローラの転動面と1対のカム面との当接部に作用す
る転がり摩擦抵抗を小さく抑える事ができる。しかも、
上記セラミックは密度が小さい分、上記各ローラの慣性
質量も小さくできて、これら各ローラに加わる遠心力の
低減も図れる。従って、これら各ローラと保持器のポケ
ットの外径側内面との摩擦、更にこれら各ローラを複数
個のローラ素子で構成した場合には、これら各ローラ素
子の軸方向端面同士の摩擦の低減を図れる。この為、上
記各ローラの回転抵抗の低減による、これら各ローラの
上記両カム面に対する追従性の向上を図れる。この結
果、トルクの急変動時にも、上記ローディングカム装置
の推力を十分に確保して、入力側、出力側両ディスクの
内側面と各パワーローラの周面との各当接部に滑りが発
生する事を防止できる。そして、トロイダル型無段変速
機が空転して動力の伝達効率が悪化したり、更には動力
の伝達を行なえなくなる様な事を防止できる。 【0027】又、上記各ローラの慣性質量の低減によ
り、これら各ローラを保持する保持器に加わる、これら
各ローラからの荷重も小さくできる。この為、この保持
器の肉厚を厚くする事なくこの保持器の強度を十分に確
保する事ができ、この保持器の小型化も図れる。しか
も、この保持器自体に加わる遠心力も低減できる為、回
転軸の高速化を図る場合でも、この保持器が遠心力によ
り破損する事を防止できる。 【0028】 【発明の実施の形態】図1〜2は、本発明の実施の形態
の1例を示している。尚、本発明の特徴は、ローディン
グカム装置9aを構成する各ローラ12aの摩擦係数並
びに慣性質量の低減を図る事により、トルクの急変動時
にも、入力側ディスク2A、2Bを出力側ディスク4、
4(図7参照)に押圧する力を適正に維持する点にあ
る。その他の部分の構造及び作用は、前述した従来構造
の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省
略し、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。 【0029】上記ローディングカム装置9aを構成する
為、カム板10の片面(図1の右面)に駆動側カム面1
3を、上記入力側ディスク2Bの背面(図1の左面)に
被駆動側カム面14を、それぞれ対向させた状態で設け
ている。そして、これら駆動側、被駆動側両カム面1
3、14同士の間に、上記ローディングカム装置9aを
構成する複数個(例えば4個)のローラ12aを設けて
いる。これら各ローラ12aは、幅が狭く、軸方向両端
面を凸曲面状に形成した、それぞれが窒化珪素(Si3 N
4 )等のセラミックにより造られたローラ素子44a、
44aを、軸方向に直列に組み合わせて成る。即ち、こ
れら各ローラ素子44a、44aを、図2に示す様に複
数個ずつ(図示の例では3個ずつ)直列に組み合わせた
ローラ12aを、保持器11aの円周方向複数個所(例
えば円周方向等間隔に4個所)にこの保持器11aの放
射方向に形成した矩形のポケット45の内側に、転動自
在に保持している。尚、上記カム板10は、前述の図7
に示した従来構造の場合と同様、入力軸15aの端部周
囲に、ラジアル荷重とアキシアル荷重とを支承自在な、
アンギュラ型の玉軸受40により、回転自在に支持して
いる。 【0030】上述の様に構成するローディングカム装置
9aを組み込んだ、本発明のトロイダル型無段変速機に
よれば、上記各ローラ12aを摩擦係数の小さいセラミ
ック製のものとしている為、これら各ローラ12aの転
動面と上記駆動側、被駆動側両カム面13、14との当
接部に作用する転がり摩擦抵抗を小さく抑える事ができ
る。しかも、上記セラミックは密度が小さい分、上記各
ローラ12aの慣性質量も小さくできて、これら各ロー
ラ12aに加わる遠心力の低減も図れる。この為、これ
ら各ローラ12aと上記保持器11aのポケット45の
外径側内面との摩擦、更にこれら各ローラ12aを構成
する各ローラ素子44a、44aの軸方向端面同士の摩
擦の低減を図れる。この為、上記各ローラ12aの回転
抵抗の低減による、これら各ローラ12aの上記駆動
側、被駆動側両カム面13、14に対する追従性の向上
を図れる。この結果、上記ローディングカム装置9aの
推力を十分に確保して、入力側、出力側両ディスク2
A、2B、4の内側面2a、4aと各パワーローラ8、
8の周面8a、8a(図7参照)との各当接部(トラク
ション部)に滑りが発生する事を防止でき、トロイダル
型無段変速機が空転して動力の伝達効率が悪化したり、
更には動力の伝達を行なえなくなる様な事を防止でき
る。又、トルク低減時には、このトルクに合わせて推力
の低減を円滑に行なわせて、上記各当接部の面圧が過剰
に高いままとなる事を防止できる。 【0031】しかも、上記各ローラ12aの慣性質量の
低減により、これら各ローラ12aを保持する保持器1
1aに加わる、これら各ローラ12aからの荷重も小さ
くできる。この為、この保持器11aの肉厚を厚くする
事なく、即ち、図2に示す様に保持器11aの各ポケッ
ト45同士の間部分の径方向の幅を小さくした場合で
も、この保持器11aの強度を十分に確保する事ができ
る為、この保持器11aの小型化も図れる。しかも、こ
の保持器11a自体に加わる遠心力も低減できる為、回
転軸15aの高速化を図る場合でも、この保持器11a
が遠心力により破損する事を防止できる。 【0032】尚、特開平2000−35100号公報に
は、ローディングカム装置を構成する各ローラの表面に
セラミックコーティングを施す発明が記載されている。
但しこの発明は、これら各ローラの摩擦係数を小さくす
る事を目的としている。これに対して本発明は、各ロー
ラ12aの摩擦係数を小さくできると共に、これら各ロ
ーラ12aの慣性質量の低減による、これら各ローラ1
2aに加わる遠心力の低減も図れる。この為、上記公報
に記載された発明に比べ、これら各ローラ12aの回転
抵抗をより低減できる他、これら各ローラ12aを保持
する保持器11aの小型化も図れる。 【0033】 【発明の効果】本発明は、上述の様に構成し作用するの
で、優れた伝達効率を有するトロイダル型無段変速機を
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す、ローディン
グカム装置部分の半部断面図。 【図2】保持器とローラとを取り出して図1の左方から
見た図。 【図3】従来から知られているトロイダル型無段変速機
の基本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。 【図4】同じく最大増速時の状態で示す側面図。 【図5】従来の具体的構造の第1例を示す断面図。 【図6】図6のA−A断面図。 【図7】従来の具体的構造の第2例を示す部分断面図。 【図8】従来構造のローディングカム装置に組み込むロ
ーラを構成するローラ素子の側面図。 【図9】同じくローラと保持器とを取り出して示す図。 【符号の説明】 1 入力軸 2、2A、2B 入力側ディスク 2a 内側面 3 出力軸 4 出力側ディスク 4a 内側面 5 枢軸 6 トラニオン 7 変位軸 8 パワーローラ 8a 周面 9、9a ローディングカム装置 10 カム板 11、11a 保持器 12、12a ローラ 13 駆動側カム面 14 被駆動側カム面 15、15a 入力軸 16 ニードル軸受 17 鍔部 18、18a 出力歯車 19 キー 20 支持板 21 支持軸部 22 枢支軸部 23 円孔 24、25 ラジアルニードル軸受 26 スラスト玉軸受 27 スラストニードル軸受 28 外輪 29 駆動ロッド 30 駆動ピストン 31 駆動シリンダ 32 駆動軸 33 ラジアル軸受 34 ローディングナット 35 皿板ばね 36 ボールスプライン 37 皿板ばね 38 仕切壁 39 玉軸受 40 玉軸受 41 被駆動突部 42 駆動腕部 43 突部 44、44a ローラ素子 45 ポケット
グカム装置部分の半部断面図。 【図2】保持器とローラとを取り出して図1の左方から
見た図。 【図3】従来から知られているトロイダル型無段変速機
の基本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。 【図4】同じく最大増速時の状態で示す側面図。 【図5】従来の具体的構造の第1例を示す断面図。 【図6】図6のA−A断面図。 【図7】従来の具体的構造の第2例を示す部分断面図。 【図8】従来構造のローディングカム装置に組み込むロ
ーラを構成するローラ素子の側面図。 【図9】同じくローラと保持器とを取り出して示す図。 【符号の説明】 1 入力軸 2、2A、2B 入力側ディスク 2a 内側面 3 出力軸 4 出力側ディスク 4a 内側面 5 枢軸 6 トラニオン 7 変位軸 8 パワーローラ 8a 周面 9、9a ローディングカム装置 10 カム板 11、11a 保持器 12、12a ローラ 13 駆動側カム面 14 被駆動側カム面 15、15a 入力軸 16 ニードル軸受 17 鍔部 18、18a 出力歯車 19 キー 20 支持板 21 支持軸部 22 枢支軸部 23 円孔 24、25 ラジアルニードル軸受 26 スラスト玉軸受 27 スラストニードル軸受 28 外輪 29 駆動ロッド 30 駆動ピストン 31 駆動シリンダ 32 駆動軸 33 ラジアル軸受 34 ローディングナット 35 皿板ばね 36 ボールスプライン 37 皿板ばね 38 仕切壁 39 玉軸受 40 玉軸受 41 被駆動突部 42 駆動腕部 43 突部 44、44a ローラ素子 45 ポケット
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 五井 龍彦
兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業
株式会社明石工場内
Fターム(参考) 3J051 AA03 AA08 BA03 BD02 BE09
CA05 CB07 EA06 EC08 FA02
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 回転自在に支持された入力側ディスク
と、その内側面をこの入力側ディスクの内側面に対向さ
せた状態でこの入力側ディスクと同心に配置され、この
入力側ディスクに対する相対回転を自在とされた出力側
ディスクと、これら入力側ディスクと出力側ディスクと
の間に設けられ、これら両ディスクの中心軸に対し捻れ
の位置にある枢軸を中心として揺動する、1対の入力側
ディスク及び出力側ディスク毎に複数個ずつ設けられた
トラニオンと、これら各トラニオンの内側面から突出し
た、これら各トラニオン毎に1本ずつ設けられた変位軸
と、これら各変位軸に回転自在に支持された状態で、上
記入力側ディスクと出力側ディスクとの内側面同士の間
に挟持された、上記各トラニオン毎に1個ずつのパワー
ローラと、上記入力側ディスクと上記出力側ディスクと
の回転伝達時に、何れか一方のディスクを他方のディス
クに向け押圧するローディングカム装置とを備え、この
ローディングカム装置は、上記一方のディスクと同心に
配置されて回転するカム板と、これら一方のディスクと
カム板との互いに対向する面に、円周方向に関する凹凸
として形成された1対のカム面と、このカム面と係合す
る状態で、上記一方のディスクとカム板との間に挟持さ
れた複数個のローラとを備えたものであるトロイダル型
無段変速機に於いて、これら各ローラがセラミック製で
ある事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001263507A JP2003074658A (ja) | 2001-08-31 | 2001-08-31 | トロイダル型無段変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001263507A JP2003074658A (ja) | 2001-08-31 | 2001-08-31 | トロイダル型無段変速機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003074658A true JP2003074658A (ja) | 2003-03-12 |
Family
ID=19090251
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001263507A Pending JP2003074658A (ja) | 2001-08-31 | 2001-08-31 | トロイダル型無段変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003074658A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1508724A2 (en) | 2003-08-19 | 2005-02-23 | Nsk Ltd | Toroidal type continuously variable transmission |
JP2006258228A (ja) * | 2005-03-18 | 2006-09-28 | Nsk Ltd | トロイダル型無段変速機 |
WO2017175255A1 (ja) | 2016-04-06 | 2017-10-12 | 川崎重工業株式会社 | トロイダル無段変速機 |
-
2001
- 2001-08-31 JP JP2001263507A patent/JP2003074658A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1508724A2 (en) | 2003-08-19 | 2005-02-23 | Nsk Ltd | Toroidal type continuously variable transmission |
EP1508724A3 (en) * | 2003-08-19 | 2006-05-10 | Nsk Ltd | Toroidal type continuously variable transmission |
JP2006258228A (ja) * | 2005-03-18 | 2006-09-28 | Nsk Ltd | トロイダル型無段変速機 |
JP4721040B2 (ja) * | 2005-03-18 | 2011-07-13 | 日本精工株式会社 | トロイダル型無段変速機 |
WO2017175255A1 (ja) | 2016-04-06 | 2017-10-12 | 川崎重工業株式会社 | トロイダル無段変速機 |
US11041550B2 (en) | 2016-04-06 | 2021-06-22 | Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha | Toroidal continuously variable transmission |
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