JP2003073519A - 酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョン - Google Patents

酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョン

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JP2003073519A
JP2003073519A JP2001263143A JP2001263143A JP2003073519A JP 2003073519 A JP2003073519 A JP 2003073519A JP 2001263143 A JP2001263143 A JP 2001263143A JP 2001263143 A JP2001263143 A JP 2001263143A JP 2003073519 A JP2003073519 A JP 2003073519A
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vinyl acetate
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odor
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Masashi Sasaki
雅志 佐々木
Tetsuya Takada
鉄也 高田
Yutaka Shibata
裕 柴田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酢酸、酢酸ビニル、ホルムアルデ
ヒド、硫黄酸化物などの臭気成分が与える臭気を低減せ
しめた、酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョン、な
らびに、臭気の低減された水性エマルジョンの製造方法
を提供する。 【解決手段】 酢酸ビニル系重合体含有水性エマ
ルジョンにおける酢酸の含有量が、該水性エマルジョン
(不揮発分)100重量部に対して0.11重量部以下
であることを特徴とする水性エマルジョン、ならびに、
酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョンを半透膜で膜
分離することを特徴とする臭気の低減された水性エマル
ジョンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、臭気が低減され
た、酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョンおよびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酢酸ビニルをモノマー原料とする酢酸ビ
ニル系重合体含有水性エマルジョンは、接着剤、建材、
化粧材、壁装材、不織布、含浸紙、コート紙、ラミネー
ト紙、紙おしぼり、ペーパータオルなどに幅広く利用さ
れている。最近、該水性エマルジョンを用いた紙おしぼ
りや壁装材などの製品について、低臭気の製品が求めら
れており、酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョンに
ついても低臭気化が求められている。一方、酢酸ビニル
単独重合体含有水性エマルジョンにケイ酸アルカリ金属
塩を添加することにより、該水性エマルジョンの不揮発
分100重量部に対して酢酸含有量0.260〜0.3
54重量部(該水性エマルジョン見かけ100重量部に
対して、酢酸含有量0.13〜0.177重量部)の水
性エマルジョンが得られることが開示されている(特開
平5−287153号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下、本
発明者らが市販のエチレン・酢酸ビニル系共重合体含有
水性エマルジョンについて検討したところ、該水性エマ
ルジョンの不揮発分100重量部に対して酢酸の含有量
は0.18重量部(該水性エマルジョン見かけ100重
量部に対して、酢酸含有量0.1重量部)であるが、そ
の臭気は十分に低減されていないことが明らかになっ
た。また、酢酸ビニル系重合体には一般に、酢酸ビニ
ル、ホルマリン、硫黄酸化物などの臭気成分が含まれて
おり、これらの臭気成分についても低減が求められてい
る。本発明の目的は、臭気を低減せしめた酢酸ビニル系
重合体含有水性エマルジョン、および、臭気の低減され
た水性エマルジョンの製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、酢酸ビニル系
重合体含有水性エマルジョンにおける酢酸の含有量が、
該水性エマルジョン(不揮発分)100重量部に対して
0.11重量部以下であることを特徴とする水性エマル
ジョン、ならびに、酢酸ビニル系重合体含有水性エマル
ジョンを半透膜で膜分離することを特徴とする臭気の低
減された水性エマルジョンの製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、詳細に説
明する。本発明に用いられる酢酸ビニル系重合体含有水
性エマルジョンとは、酢酸ビニルがモノマー原料である
酢酸ビニル系重合体を含有する水性エマルジョンであ
り、酢酸ビニル系重合体としては、例えば、酢酸ビニル
単独重合体、酢酸ビニルと酢酸ビニルに対して共重合可
能なモノマーとを原料として得られる共重合体などが挙
げられる。
【0006】ここで、酢酸ビニルに対して共重合可能な
モノマーとしては、例えば、エチレン;プロピレン、1
−ブテンなどのα−オレフィン;酪酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、イ
ソノナン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのアルキ
ル酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸、(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)
アクリル酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチル
メタアクリレート、グリシジルメタアクリレート等の
(メタ)アクリル酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、
コハク酸、イタコン酸等のα,β-不飽和ジカルボン酸
類;塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル;
塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;ビニルホ
スホン酸およびそれらの塩;ビニルスルホン酸およびそ
れらの塩;スチレン、αーメチルスチレン、クロロスチ
レン等の芳香族ビニル;(メタ)アクリロニトリル等の
ニトリル類;N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシ
メチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;ブタジエ
ン、イソプレン等の共役ジエン類;スルホン酸アリル、
ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリア
リルイソシアヌレートなどのアリル化合物等が挙げられ
る。
【0007】共重合可能なモノマーとして、2種類以上
のモノマーを用いてもよい。モノマーの中でも、エチレ
ン、塩化ビニル、アルキル酸ビニルエステル、(メタ)
アクリル酸類が好ましく、とりわけ、エチレンが好適で
ある。
【0008】本発明に用いられる酢酸ビニル系重合体含
有水性エマルジョンにいて、下記一般式(1) で表される酢酸ビニル単位の含有量としては、該水性エ
マルジョン100重量%に対して、通常、40〜100
重量%程度であり、好ましくは、50〜100重量%程
度である。
【0009】本発明に用いられる水性エマルジョンに含
有される酢酸ビニル系重合体の平均粒径は、通常、0.
1〜1.5μm程度であり、好ましくは0.2〜1.3
μm程度である。なお、粒径分布のピークが二つ以上存
在していてもよい。
【0010】本発明に用いられる、臭気が低減される前
の水性エマルジョンは、通常、酢酸ビニルと、必要に応
じて、共重合可能なモノマーとを界面活性剤や保護コロ
イドなどの乳化剤存在下、還元剤ないしレドックス触媒
等により乳化重合せしめることにより得ることができ
る。また、乳化重合によって得られた酢酸ビニル系重合
体含有水性エマルジョンに、(メタ)アクリル酸類など
を共重合させて得られる水性エマルジョンについても本
発明に用いることができる。
【0011】本発明に用いられる臭気が低減される前の
水性エマルジョンとして、パンフレックス OM−40
00、OM−4200(クラレ(株)製)、ポリゾール
S−5、S−6、S−5500(昭和高分子(株)
製)、ボンド CH2、CH3、CH5、CH7、CH
18(コニシ(株)製)などの酢酸ビニル系重合体含有
水性エマルジョン;スミカフレックス400、401、305、4
55、410、500、510、700、751、900(以上、住友化学工
業(株)製)などのエチレン・酢酸ビニル系共重合体含
有水性エマルジョン;S-900、S-920(住友化学工業
(株)製)などのエチレン・酢酸ビニル・(メタ)アク
リル酸類系共重合体含有水性エマルジョン;S-850、S-8
30(住友化学工業(株)製)などのエチレン・酢酸ビニ
ル・塩化ビニル系共重合体含有水性エマルジョン等、市
販の酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョンを使用し
ても良い。
【0012】臭気が低減される前の水性エマルジョンに
おける酢酸の含有量は、水性エマルジョン(不揮発分)
100重量部に対して、通常、0.2〜0.5重量部程
度である。
【0013】本発明の水性エマルジョンは、酢酸ビニル
系重合体含有水性エマルジョンにおける酢酸の含有量
が、該水性エマルジョン(不揮発分)100重量部に対
して0.11重量部以下、好ましくは0.09重量部以
下の水性エマルジョンである。本発明の水性エマルジョ
ンの製造方法としては、例えば、臭気が低減される前の
酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョンを半透膜で膜
分離する方法、陰イオン交換樹脂中に該水性エマルジョ
ンを透過せしめる方法、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニ
ウム、陰イオン交換樹脂などを該水性エマルジョンに添
加する方法等が挙げられる。中でも半透膜で膜分離する
方法が好適である。
【0014】以下、半透膜で膜分離する、臭気を低減せ
しめた水性エマルジョンの製造方法について詳細に説明
する。膜分離による方法としては、例えば、透析または
浸透現象を利用した半透膜を用いて、臭気成分を膜分離
する方法などが挙げられる。ここで、臭気成分として
は、例えば、酢酸;酢酸ビニル;水性エマルジョンの原
料として用いられた共重合可能なモノマーがビニルエス
テルである場合、炭素数2〜6程度のビニルエステル;
共重合可能なビニルエステルあるいは酢酸ビニル系重合
体等が加水分解された炭素数2〜6程度のカルボン酸;
ホルマリン、硫黄酸化物などの該共重合体製造に用いら
れる重合触媒由来の低分子量化合物;アンモニア、エチ
ルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの水
性エマルジョンの中和剤;低分子量の界面活性剤、保護
コロイドなどの乳化剤等が挙げられる。臭気成分の主成
分としては酢酸である。
【0015】膜分離における透析現象を利用した膜分離
としては、例えば、半透膜として透析膜を使用し、その
膜の両側の濃度差を推進力とし、酢酸ビニル系重合体含
有す水性エマルジョンから臭気成分を分離する透析法
や、半透膜としてイオン交換膜を使用し、その膜の両側
に電位差を印加してイオン交換膜の両側の濃度差を生じ
せしめ、臭気成分を分離する電気透析法などが挙げられ
る。透析法としては、例えば、透析膜を隔てて、酢酸ビ
ニル系重合体水性エマルジョンと水などを存在させ、臭
気成分を水側に透析せしめる方法、酢酸ビニル系重合体
水性エマルジョンに水を加え、透析膜を経て臭気成分を
排出せしめる方法などが挙げられる。
【0016】浸透現象を利用した膜分離としては、例え
ば、半透膜としてナノ濾過分離膜、逆浸透膜、限外濾過
膜、精密濾過膜などを使用し、その膜の片側に加圧し
て、酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョンから臭気
成分を分離する方法などが挙げられる。中でも、限外濾
過膜や精密濾過膜を用いた膜分離方法が好適である。
【0017】半透膜により膜分離する方法の中でも、
0.1〜5MPa程度に加圧して実施する浸透現象を利用し
た膜分離方法が好適である。この際、酢酸ビニル系重合
体の水性エマルジョンの不揮発分濃度は、通常、1〜5
0重量%程度である。また、臭気成分とともに、半透膜
から水を排出して水性エマルジョンの不揮発分濃度を所
望の濃度まで上昇せしめてもよい。
【0018】酢酸ビニル系重合体の水性エマルジョンか
ら臭気成分を膜分離する際に、水性エマルジョンに水を
添加して臭気成分を膜分離する方法が好ましく、とりわ
け、水を連続的に添加しながら臭気成分を膜分離する方
法が好適である。ここで添加する水の量としては、通
常、酢酸ビニル系重合体の水性エマルジョンの重量に対
して約10倍以下程度、好ましくは5倍以下程度が好適
である。添加する水の量が10倍以下であると臭気成分
を低減するために要する時間が短くなる傾向にあること
から好ましい。また、水を連続的に添加して臭気成分を
膜分離する方法において、処理中の酢酸ビニル系重合体
の水性エマルジョンにおける固形分の濃度を、通常、約
5〜50重量%程度、とりわけ、約10〜30重量%程
度になるように水の添加速度を調整することが好まし
い。該固形分濃度が5〜50重量%であると、臭気成分
を低減する時間が短くなる傾向があることから好まし
い。
【0019】膜分離に使用される半透膜は、通常、天
然、合成、半合成などの有機膜や、セラミックス、金属
などの無機膜等が使用される。具体的には、有機膜とし
ては、セルロース、アセチル化セルロース、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ
化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコ
ール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミドな
どが例示される。中でも、ポリアクリロニトリル、ポリ
フッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリアミド、ポリイミドなどが好ましい。また、無
機膜としては、ガラス、アルミナ、ステンレス、ジルコ
ニア、炭化ケイ素などが例示される。本発明で用いられ
る半透膜の形態としては、例えば、非対称形・多孔質相
転換膜、非対称相転換膜、複合膜、延伸膜、焼結膜、飛
跡浸食膜などが挙げられる。中でも好ましくは、非対称
形・多孔質相転換膜、非対称相転換膜、複合膜である。
【0020】本発明に用いる半透膜の、分画分子量とし
ては、通常10,000〜10,000,000程度で
あり、好ましくは100,000〜4,000,000
程度である。分画分子量が10,000以上であると、
臭気成分を膜分離するのに要する時間が短縮される傾向
にあることから好ましく、分画分子量が10,000,
000以下であると、酢酸ビニル系重合体が半透膜を透
過する割合が低減する傾向にあることから好ましい。
【0021】ここで、ある分子量(分子量既知)を有す
るポリエチレングリコールなどの溶質を、半透膜で膜分
離したときに、下記一般式(1) R=[1−(Cf/C0)]×100 (1) (式中、C0は半透膜で分離される溶液の溶質濃度(重
量%)を表し、Cfは半透膜で分離された溶液の溶質濃
度(重量%)を表す。)で表される阻止率R(%)が9
0%程度を与えるならば、該溶質の分子量が、該半透膜
の分画分子量である。分画分子量および阻止率について
詳しくは「基礎化学工学」(化学工学会編、第160
頁、培風館発行)に説明されている。
【0022】本発明に用いられる半透膜の具体例として
は、マイクローザ(登録商標)のUF APシリーズ、
LGVシリーズ、AVシリーズ、SPシリーズ;マイク
ローザ(登録商標)のMF PVシリーズ(以上、旭化
成(株)製)、SNKシリーズ、Gシリーズ、Pシリー
ズ、E−500、Jシリーズ、Kシリーズ(以上、
(株)サンコーより入手可能)、キャラクター(登録商
標)−U Cシリーズ((株)クラレ製)、プロセップ
(登録商標)のMH5−200Sシリーズ、PV31
3、PW303、MUシリーズ、NTM9002−M4
3、SFシリーズ、AHP−3013、NTUシリー
ズ、FPMシリーズ、FUS−4081、DUSシリー
ズ(以上、栗田工業(株)製)、HFシリーズ、Vシリ
ーズ、MPS−U20シリーズ、MPT−U20、CA
RB0−COR(登録商標)メンブレンC005、C0
10、C050、C080、C140(日本アブコー
(株)製)、ザルトブランEL2シリーズ、ザルトブラ
ンPHシリーズ、PH2シリーズ、ピノザルトシリー
ズ、ザルトフロルLGシリーズ、ザルトフロルGAシリ
ーズ、ザルトクリーンGF、ザルトクリーンCA、ザル
トプロ、マキシザルトカプセル、ザルトベントPP、ザ
ルトベントT、ジャンボシリーズ(以上、ザルトリウス
(株)製)、MOLSEP(登録商標)03シリーズ、
10シリーズ、15シリーズ、50シリーズ、DUYM
010、DUYL010、DUS0410、DUS10
10;NADIR(登録商標)PA50H、PES2
0、PES30H、PES50H、C100(以上、ダ
イセン・メンブレン・システムズ(株)製)、TSK−
TAMIセラミック膜シリーズ(月島機械(株)製)、
CP20シリーズ(東レ(株)製)、NTMシリーズ、
NTUシリーズ(以上、日東電工(株)製)、ヘリコン
UFモジュール CDUFシリーズ(日本ミリポアリミ
テッド製)、ヘロンUFシリーズ、ヘロンMFシリーズ
(以上、日鉄加工機(株)製)などが挙げられる。
【0023】膜分離は、通常、10〜70℃程度、好ま
しくは20〜60℃の温度で実施される。膜分離の温度
が10℃以上であると、臭気成分を低減する時間が短く
なる傾向があることから好ましく、該温度が70℃以下
であると半透膜の耐久性が向上する傾向にあることか
ら、好ましい。また、膜分離する際の水性エマルジョン
のpHとしては、通常、2〜8程度であり、好ましく
は、3〜5程度である。
【0024】本発明で使用される膜分離装置としては、
例えば、全濾過型濾過形、クロスフロー型濾過形などの
形状を有する膜分離装置が挙げられる。
【0025】膜分離を、酢酸ビニル系重合体含有水性エ
マルジョンにおける不揮発分100重量部に対して、通
常、酢酸が0.11重量部以下、好ましくは0.09重
量部以下に低減されるまで実施することにより著しく臭
気が低減された水性エマルジョンを得ることができる。
また、膜分離により得られる水性エマルジョンにおける
酢酸ビニルの含有量は、酢酸ビニル系重合体(不揮発
分)100重量部に対して、通常、0〜0.1重量部程
度である。
【0026】かくして得られた、臭気が低減された酢酸
ビニル系重合体含有水性エマルジョンは、通常、5〜5
0重量%程度の不揮発分濃度であり、必要に応じて、希
釈又は蒸発濃縮する。蒸発濃縮は、常圧下あるいは減圧
下でも行うことができるが、好ましくは、減圧下(7〜
20kPaA程度)、40〜65℃程度で実施する。さ
らに、酢酸ビニル系重合体の水性エマルジョンは、必要
により、塩酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸等の酸や、ア
ンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
カルシウム、水酸化バリウム等の塩基を加えてpH2〜
9程度、好ましく、pH3〜8程度に調整される。
【0027】本発明の水性エマルジョンに、さらに、例
えば、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸
含有水性エマルジョン、ポリブタジエンエマルジョン、
スチレン・ブタジエン共重合体エマルジョン、アクリロ
ニトリル・ブタジエン共重合体エマルジョン、ポリ(メ
タ)アクリル酸エステルエマルジョン、ポリ塩化ビニル
エマルジョン、ポリクロロプレンエマルジョン、ポリ塩
化ビニリデンエマルジョンなどの酢酸ビニル系重合体含
有水性エマルジョンとは異なる熱可塑性樹脂のエマルジ
ョン;尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などの
熱硬化性樹脂;クレー、カオリン、タルク、炭酸カルシ
ウムなどの充填剤;防腐剤、防錆剤、消泡剤、発泡剤、
増粘剤、粘度調整剤、難燃剤、酸化チタンなどの顔料な
どの配合剤等を含有せしめてもよい。
【0028】かくして得られた水性エマルジョンは、例
えば、紙おしぼりやペーパータオルのバインダー、紙、
木工用接着剤、木工用塗料、壁紙などに使用し得る。ま
た、臭気が著しく低減されていることから、例えば、集
成化粧単板、構造用集成材、造作用集成材などといった
木質積層体、複合フロアなどの床材、断熱パネルなどと
いった木質複合材のほか、紙、繊維、木材、金属類、無
機質材、各種プラスチックス等の複合材などの建材等、
臭気の低減が求められている接着剤、塗料として使用し
得る。中でも、木材同士を接着した集成材等の木質積層
体に好適に使用される。また、膜分離により水性エマル
ジョンの保存安定性を損なわない範囲で低分子量の乳化
剤が除去されることにより、水性エマルジョンを乾燥し
て得られる接着剤および塗料の耐水性を向上せしめるこ
とができる。さらに、本発明の水性エマルジョンは耐着
色性に優れる。
【0029】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらによって限定されるもので
はない。例中の部および%は、特に断らないかぎり重量
基準を意味する。また、不揮発分は、予め乾燥させたア
ルミボードに水性エマルジョン約1gを正確に採取し、
精秤した後、105℃の恒温乾燥器に入れて2時間乾燥
し、採取された水性エマルジョンに対する得られた乾燥
物の重量比率(%)で求めた。
【0030】<水性エマルジョンにおける酢酸および酢
酸ビニルの含有量の測定例>酢酸、酢酸ビニルの定量方
法:試料を水で10倍に希釈し、遠心分離機で5000
rpm×30分間処理して上澄み液を採取し、該液のガ
スクロマトグラフィ(絶対検量線法)法により、試料中
における酢酸および酢酸ビニルの含有量を求めた。
【0031】<臭気の測定例>不揮発分を30%に調整
した試料200gを250mL広口瓶(材質:ポリエチ
レン、寸法:内径×胴径×高さ=φ30×φ63×12
5(mm)、大科工業(株)製)に添加し、密栓して、
室温にて1時間放置する。その後、蓋を開け、3人の評
価者が直ちに匂いを嗅ぎ、下記の指標によって臭気を評
価した。 ○:臭気を感じない。 △:臭気をかすかに感じる。 ×:臭気を感じる。
【0032】<水性エマルジョンの製造例> (比較例1)エチレン・酢酸ビニル系共重合体含有水性
エマルジョン(スミカフレックスS−700、不揮発分
55.8%、該水性エマルジョンの不揮発分100部に
対する酢酸ビニル単位の含有量67部、酢酸モノマー含
有量0.18部[水性エマルジョン見かけ100部に対
して0.1部]、酢酸ビニルモノマー含有量3.6×1
-5部[水性エマルジョン見かけ100部に対して0.
002部])を不揮発分30%となるようイオン交換水
にて希釈し、酢酸含量分析と臭気の測定を前述の方法に
て行った。結果を表1に示す。
【0033】(比較例2)次に、不揮発分30%に調整
された水性エマルジョン150部をポリフッ化ビニリデ
ン製精密濾過膜(商品名:SNKCV−0.1m、
(株)サンコーより入手)を装着した全濾過型濾過装置
(商品名:RO−3型 逆浸透/限外濾過試験器、NG
Kフルテック(株)製)を用いて、室温、0.25 MP
a の加圧下で膜分離し、透過液25部と、透過しなか
った水性エマルジョン125部とを得た。得られた水性
エマルジョンにイオン交換水を添加して不揮発分が30
%となるように調整、酢酸含量分析と臭気の測定を行っ
た。結果を表1に示す。
【0034】(比較例3)比較例2で得られた水性エマ
ルジョンを用いて、比較例2と同様の膜分離操作を行
い、透過液25部、透過しなかった水性エマルジョン1
25部を得た。得られた水性エマルジョンにイオン交換
水を添加して不揮発分を30%に調整し、酢酸含量分析
と臭気の測定を行った。結果を表1に示す。
【0035】(実施例1)比較例3で得られた水性エマ
ルジョンを用いて、比較例2と同様の膜分離操作を行
い、透過液25部、透過しなかった水性エマルジョン1
25部を得た。得られた水性エマルジョンにイオン交換
水を添加して不揮発分を30%に調整し、酢酸含量分析
と臭気の測定を行った。結果を表1に示す。
【0036】(実施例2)実施例1で得られた水性エマ
ルジョンを用いて、比較例2と同様の膜分離操作を行
い、透過液25部、透過しなかった水性エマルジョン1
25部を得た。得られた水性エマルジョンにイオン交換
水を添加して不揮発分を30%に調整し、酢酸含量分析
と臭気の測定を行った。結果を表1に示す。
【0037】(実施例3)実施例2で得られた水性エマ
ルジョンを用いて、比較例2と同様の膜分離操作を行
い、透過液25部、透過しなかった水性エマルジョン1
25部を得た。得られた水性エマルジョンにイオン交換
水を添加して不揮発分を30%に調整し、酢酸含量分析
と臭気の測定を行った。結果を表1に示す。
【0038】(実施例4)実施例3で得られた水性エマ
ルジョンを用いて、比較例2と同様の膜分離操作を行
い、透過液25部、透過しなかった水性エマルジョン1
25部を得た。得られた水性エマルジョンにイオン交換
水を添加して不揮発分を30%に調整し、酢酸含量分析
と臭気の測定を行った。結果を表1に示す。
【0039】
【表1】 1)エチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する水性エマ
ルジョンにおいて、水性エマルジョン不揮発分を100部
に対する各成分の含有量
【0040】
【発明の効果】本発明は、酢酸、酢酸ビニル、ホリマリ
ン、硫黄酸化物などの臭気成分が与える臭気を低減せし
めた酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョンであり、
臭気の低減が求められるバインダー、接着剤などに使用
し得る。さらに、本発明の水性エマルジョンを使用した
製品もまた低臭気であることから、臭気の低減が求めら
れる紙おしぼり、建材、化粧板、壁装板などに使用し得
る。そして、得られた製品は耐水性および耐着色性に優
れる。また、本発明の水性エマルジョンの製造方法によ
れば、容易に臭気成分を低減せしめた水性エマルジョン
を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 裕 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住 化ケムテックス株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BF021 BF031 FD010 FD090 GF00 GH01 GJ01 GK00 GK02 GK04 GL00 4J100 AA02Q AA03Q AA04Q AB02Q AB03Q AB08Q AC03Q AC04Q AC12Q AG02Q AG04P AG05Q AG70Q AJ02Q AJ08Q AJ09Q AK32Q AL03Q AL04Q AL09Q AL10Q AM02Q AM21Q AP01Q AQ19Q AQ20Q AS02Q AS03Q BA03Q BA04Q BA56Q BA58Q CA01 CA04 GC35 GC37 JA03 JA11 JA13 JA67

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョン
    における酢酸の含有量が、該水性エマルジョン(不揮発
    分)100重量部に対して0.11重量部以下であるこ
    とを特徴とする水性エマルジョン。
  2. 【請求項2】酢酸ビニル系重合体が、エチレン・酢酸ビ
    ニル共重合体または酢酸ビニル単独重合体であることを
    特徴とする請求項1に記載の水性エマルジョン。
  3. 【請求項3】酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョン
    を半透膜で膜分離することを特徴とする臭気の低減され
    た水性エマルジョンの製造方法。
  4. 【請求項4】酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョン
    がpH2〜9であることを特徴とする請求項3に記載の
    製造方法。
  5. 【請求項5】半透膜の分画分子量が10,000〜1
    0,000,000であることを特徴とする請求項3又
    は4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】半透膜が、限外濾過膜又は精密濾過膜であ
    ることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の製
    造方法。
  7. 【請求項7】半透膜での膜分離を5MPa 以下の加圧下で
    実施することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記
    載の製造方法。
  8. 【請求項8】酢酸ビニル系重合体含有水性エマルジョン
    に水を添加して膜分離することを特徴とする請求項3〜
    7のいずれかに記載の製造方法。
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