JP2003073470A - 酸分解性ポリアゾメチン - Google Patents

酸分解性ポリアゾメチン

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JP2003073470A
JP2003073470A JP2001263324A JP2001263324A JP2003073470A JP 2003073470 A JP2003073470 A JP 2003073470A JP 2001263324 A JP2001263324 A JP 2001263324A JP 2001263324 A JP2001263324 A JP 2001263324A JP 2003073470 A JP2003073470 A JP 2003073470A
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azomethine
aryl group
polyazomethine
acid
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Kimihisa Yamamoto
公寿 山元
Masayoshi Higuchi
昌芳 樋口
Atsushi Kimoto
篤志 木本
Hirohiko Kanazawa
洋彦 金澤
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Keio University
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Keio University
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 高い耐熱性を有し、且つ、室温で希薄酸
性溶液中で低分子量体に加水分解可能な新規ポリアゾメ
チンの提供。 【解決手段】 四塩化チタン、パラトルエンスルホン酸
などの酸存在下にアゾメチンモノマーに芳香族ジカルボ
ン酸、芳香族塩化カルボニル又はジフェニルジカルボン
酸を反応させる方法によって、ポリアゾメチンポリマー
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規の酸分解性ア
ゾメチンポリマーに関する。また、本発明は、耐熱性と
分解性を兼ね備えたエンジニアリングプラスチックとし
て利用性、有用性の高いアゾメチンポリマーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に配慮した、分解性のあ
る高機能エンジニアリングプラスチックの開発と実用化
が望まれている。しかしながら、従来のエンジニアリン
グプラスチックは、高機能、高性能を追求し、長期の使
用にも分解しない安定さが望まれ、その結果として、芳
香族ポリアミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリ
アミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂やポ
リエーテルケトン樹脂などの耐熱性、耐候性や高強度の
樹脂が開発されたが、最近、これらの樹脂は、環境上問
題あるものとされるようになった。これらの樹脂では、
その高い安定性の故に使用後の処分方法が強酸加圧中な
ど、厳しい条件下でのみ分解されるため、高コスト化、
公害化していることから、特に最近は、分解性を有する
プラスチックが希求されている。
【0003】従来、アゾメチン系のポリマーの中では、
アゾメチン結合の炭素原子がフェニル置換したポリフェ
ニルアゾメチンは、高い耐熱性と酸水溶液中での容易な
分解性を兼ね備えた高分子として公知である。しかし、
このポリフェニルアゾメチンは溶解性が極めて低く、高
分子材料としての利用はほとんどされてこなかった。そ
こで、この公知のポリフェニルアゾメチンを溶解させる
方法としては、分岐型構造の導入もしくは他の骨格を有
するモノマーとの共重合体が考えられたが、現実には分
解性プラスチックを目的としたアゾメチン結合を含むポ
リマーの合成はこれまで報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の状況
に鑑みてなされたものであり、従来の汎用プラスチック
の厳しい条件の下でのみでしか分解できないという問題
点を解消し、高性能を維持したまま、室温下で、酸分解
性の高分子材料であるアゾメチン重合体を提供すること
を課題とする。
【0005】
【課題を解決する手段】本発明者らは、前記の課題を解
決すべく、鋭意研究を重ね、エンジニアリングプラスチ
ック骨格へのイミン結合の導入により、耐熱性の向上と
ともに、室温で希薄酸性溶液中で低分子量体に加水分解
されることを見い出し、本出願の発明に至った。すなわ
ち、本発明では、上記の課題を解決するものとして、イ
ミン結合を含む、下記の一般式(1)〜(3)で示され
る、耐熱性で、且つ易分解性のアゾメチンポリマーを提
供するものである。
【0006】
【化4】 一般式1 (ただし、R1はアミド結合、エステル結合、エーテル結
合を含むアルキルまたはアリール基であり、いくつかの
官能基が組み合わさっても良い。R2はアルキル基または
アリール基であり、ハロゲン置換基などを含んでも良
い。nは、10〜1000である。)
【0007】
【化5】 一般式2 (ただし、R3はアミド結合、エステル結合、エーテル結
合を含むアルキルまたはアリール基であり、いくつかの
官能基が組み合わさっても良い。R4はアルキル基または
アリール基であり、ハロゲン置換基などを含んでも良
い。nは、10〜1000である。)
【0008】
【化6】 一般式3 (ただし、R5はアミド結合、エステル結合、エーテル結
合を含むアルキルまたはアリール基であり、いくつかの
官能基が組み合わさっても良い。R6はアルキル基または
アリール基であり、ハロゲン置換基などを含んでも良
い。nは、10〜1000である。)
【0009】本発明の酸分解性ポリアゾメチンは、従来
のエンジニアリングプラスチックに比べ、耐熱性が格段
と向上しており、その用途が一段と広がるとともに、一
方では、酸性溶液中で選択的に加水分解されて、再利用
可能な低分子化合物へ変換されるため、社会的に求めら
れているリサイクル性能のプラスチックとに利用性が高
いものと大いに期待される。本発明のポリアゾメチン
は、アゾメチンポリアミドポリマーの例で示すと、その
生成・分解の反応は、図1のとおりである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、酸分解性プラスチック
として、下記一般式(1)〜(3)で示されるイミン結
合含有のポリアゾメチンを提供するものである。
【0011】
【化7】 一般式1 (ただし、R1はアミド結合、エステル結合、エーテル結
合を含むアルキルまたはアリール基であり、いくつかの
官能基が組み合わさっても良い。R2はアルキル基または
アリール基であり、ハロゲン置換基などを含んでも良
い。nは、10〜1000である。)
【0012】
【化8】 一般式2 (ただし、R3はアミド結合、エステル結合、エーテル結
合を含むアルキルまたはアリール基であり、いくつかの
官能基が組み合わさっても良い。R4はアルキル基または
アリール基であり、ハロゲン置換基などを含んでも良
い。nは、10〜1000である。)
【0013】
【化9】 一般式3 (ただし、R5はアミド結合、エステル結合、エーテル結
合を含むアルキルまたはアリール基であり、いくつかの
官能基が組み合わさっても良い。R6はアルキル基または
アリール基であり、ハロゲン置換基などを含んでも良
い。nは、10〜1000である。)
【0014】上記一般式のポリアゾメチンは、容易に簡
単な方法で重合が可能で、種々の公知の重合法が適用で
きる。例えば、塩化リチウム存在下にアゾメチンアミン
に対して芳香族ジカルボン酸、芳香族塩化カルボニル又
はジフェニルジカルボン酸を反応させる方法によって、
容易に目的とするポリアゾメチンアミドポリマーを製造
することができる。重合時の反応を例示すると、図2に
示すとおりである。
【0015】上記アゾメチンポリマー製造のためのモノ
マーも容易に合成し得る[日本化学会第78回春季年会
(神奈川大学、1999年3月)、1999年5月高分子学会年次
大会(国立京都国際会館、1999年5月)、The 5th Intern
ational on Polymers for Admanced Technologies(PAT9
9、早稲田大学) 、The 8th Polyimide Conference(東京
工業大学、1999年5月)、The SPSJ International Polym
er Conference(IPC99)(1999年10月、横浜プリンスホテ
ル)、日本化学会第79回春季年会(日本大学船橋キャン
パス、2000年3月)]。例えば、二官能のものはアミノ
置換ジフェニルケトンにジアミノベンゼンを加えて、四
塩化チタン及び1,4-ジアザビスシクロオクタン(DABC
O)触媒を用いて、クロロベンゼン中で、加熱反応させ
る方法又はジアミノ置換ジフェニルケトンにアミノ置換
ジフェニルケトンを加えて、四塩化チタン及びDABCO触
媒を用いてテトラヒドロフラン中で加熱反応させる方法
によって容易に製造することができる(図3)。また、
三官能のものは、ジアミノ置換ジフェニルケトンを四塩
化チタン及びDABCO触媒を用いてテトラヒドロフラン中
で加熱反応さえて製造する(図4)。
【0016】以下、実施例を示し、この発明の実施の形
態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明
は以下の例に限定されるものではなく、細部については
様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【0017】
【実施例1】ポリアゾメチンアミドの合成(1);以下
の化学式に従って、ポリアゾメチンアミドを合成した。
【0018】
【化10】 (poly OPA-B)
【0019】OPA(0.200g, 0.696mmol) 、4,4'-オキシビ
ス(安息香酸)(0.180g,0.696mmol)及び塩化リチウム(0.0
98g)を窒素雰囲気下にN-メチル-2-ピロリドン(2.0ml)と
ピリジン(1.5ml) の混合液に溶解させた。トリフェニル
フォスフェート(TPP)(0.432g、1.39mmol)を加え、95
℃で3時間撹拌した。反応が進行するにつれて、溶液の
色が赤色から黄色に変化した。反応終了後、反応溶液を
メタノール(200ml)中で再沈殿させ、ろ過によって単離
し、120℃で、15時間減圧乾燥させることで、目的物のp
olyOPA-B(0.350mg,99%)を得た。得られた目的物を、NMR
スペクトル、赤外吸収スペクトル、及び元素分析によ
り同定した。
【0020】1H NMR (400 MHz, CDCl3, 30 °C, TMS) d
10.92-10.02 (m, amide), 8.26-6.60(m, phenyl) IR (KBr, cm-1) 3309 (nNH), 1654 (nC=N, nC=O), 159
5, 1494 (phenyl), 1239,844, 759, 700 Anal. Calcd for (C33H23N3O3)n: C, 77.78; H, 4.55;
N, 8.25; Found: C, 77.41; H, 4.53; N, 8.32.
【0021】
【実施例2】ポリアゾメチンアミドの合成(2);以下
の化学式に従って、ポリアゾメチンアミドを合成した。
【0022】
【化11】 (poly CPA2-B)
【0023】窒素下において CPA2 (0.150g, 0.264mmo
l), 4,4'ーオキシビス(安息香酸)(0.068g, 0.264mmol)
及び塩化リチウム(0.705g)を、N-メチル-2-ピロリドン
(10.0ml)とピリジン(7.5ml) 混合溶液に溶解させた。TP
P(0.164g、0.528mmol) を上記溶液に加え、95℃で3時間
撹拌した。反応が進行するにつれ、溶液の色が、赤色よ
り黄色の変化した。重合反応終了後に、反応溶液をメタ
ノール(400ml)中で再沈殿させ、ろ過によって単離し、1
20℃で15時間減圧乾操させることで、目的とするpolyCP
A2-B (0.184mg, 88%) が得られた。
【0024】得られた目的物を、NMR スペクトル、赤外
吸収スペクトル及び元素分析により同定した。1 H NMR (400 MHz, CDCl3, 30 °C, TMS) d 10.44-10.00
(m, amide), 8.28-6.20(m, phenyl) IR (KBr, cm-1) 3340 (nNH), 1657 (nC=N, nC=O), 159
3, 1493 (phenyl), 1312,1236, 845, 700. Anal. Calcd for (C53H35N5O3)n: C, 80.59; H, 4.47;
N, 8.87; Found: C, 80.21; H, 4.61; N, 8.94.
【0025】
【実施例3】ポリアゾメチンアミド(3)の合成;以下
の化学式に従って、ポリアゾメチンアミドを合成した。
【0026】
【化12】 (poly OPA3-A)
【0027】窒素下において、CPA3 (0.200g, 0.343mmo
l)、 テレフタール酸 (0.057g, 0.343mmol)及び塩化リ
チウム(0.306g) をN-メチル-2-ピロリドン(5.0ml)及び
ピリジン-(3.7ml) に溶かした。得られた溶液にTPP(0.2
13g, 0.686mmol) を添加し、80℃で1.5時間撹拌し
た。反応が進行するにつれて、溶液の色が、赤から黄色
に変化した。反応終了後、反応溶液をメタノール (400m
l)中で再沈殿させ、ろ過によって単離し、85℃で、1
2時間減圧乾操することによって目的とするpolyCPA3-A
(0.179mg, 79%) を得た。
【0028】得られた目的物を、NMR スペクトル、赤外
吸収スペクトル、及び元素分析により同定した。1 H NMR (400 MHz, CDCl3, 30 °C, TMS) d 10.27 (br,
amide), 8.13-6.25 (m,phenyl) IR (KBr, cm-1) 3337 (nNH), 3216 (nNH), 1661 (nC=N,
nC=O), 1591, 1523 (phenyl), 1313, 845, 689. Anal. Calcd for (C51H33N6O3)n: C, 78.75; H, 4.28;
N, 10.80; Found: C, 78.55; H, 4.51; N, 10.79.
【0029】
【試験例】ポリアゾメチンアミドの分解;以下の化学式
に従って、ポリアゾメチンアミドを分解させた。
【0030】
【化13】
【0031】polyOPA(4.0×10-5M/imine unit)のジ
メチルホルムアミド:テトラヒドロフラン混合溶液(1:
1)3mlに、硫酸0.2mlを加えたところ、アゾメチンの分
解によって、紫外線可視吸収スペルトルにおいて、400n
m付近のアゾメチンのπ−π*遷移に基づく吸収が減少
した。その減少度から分解速度を求めたところ、6.5×1
0-2 sec-1 と求められた。また、3種類の分解物をTOF
-msスペルトルにより確認した。
【0032】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、本発明では、
高い耐熱性を有し、室温で希薄酸性溶液中で低分子量体
に加水分解されるという、選択的な酸分解性能を有する
ポリアゾメチンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリアゾメチンの分解機構
【図2】本発明のポリアゾメチンの重合反応
【図3】二官能モノマーの合成
【図4】三官能モノマーの合成
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木本 篤志 神奈川県横浜市港北区日吉3−14−1 慶 応義塾大学理工学部内 (72)発明者 金澤 洋彦 神奈川県横浜市港北区日吉3−14−1 慶 応義塾大学理工学部内 Fターム(参考) 4J001 DA01 DB01 DC06 DC16 EB37 EB55 EB57 EC69 EC74 EC75 FD01 GA13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アゾメチン結合を含むポリマーであっ
    て、次の一般式1で表されるアゾメチンポリマー。 【化1】 一般式1 (ただし、R1はアミド結合、エステル結合、エーテル結
    合を含むアルキルまたはアリール基であり、いくつかの
    官能基が組み合わさっても良い。R2はアルキル基または
    アリール基であり、ハロゲン置換基などを含んでも良
    い。)
  2. 【請求項2】 アゾメチン結合を含むポリマーであっ
    て、次の一般式(2)で表されるアゾメチンポリマー。 【化2】 一般式2 (ただし、R3はアミド結合、エステル結合、エーテル結
    合を含むアルキルまたはアリール基であり、いくつかの
    官能基が組み合わさっても良い。R4はアルキル基または
    アリール基であり、ハロゲン置換基などを含んでも良
    い。nは、10〜1000である。)
  3. 【請求項3】 アゾメチン結合を含むポリマーであっ
    て、次の一般式(3)で表されるアゾメチンポリマー。 【化3】 一般式3 (ただし、R5はアミド結合、エステル結合、エーテル結
    合を含むアルキルまたはアリール基であり、いくつかの
    官能基が組み合わさっても良い。R6はアルキル基または
    アリール基であり、ハロゲン置換基などを含んでも良
    い。nは、10〜1000である。)
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