JP2003073182A - 多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法及び多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼結体 - Google Patents
多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法及び多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼結体Info
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Abstract
カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 水溶性高分子のゲル化を利用して気孔率
5〜50%を有する多孔質リン酸カルシウム系セラミック
ス焼結体を製造する方法において、(1) 仮焼処理を施し
たリン酸カルシウム系セラミックス粉体と水溶性高分子
化合物とを含有するスラリーを作製し、(2) スラリーを
強く攪拌することによりリン酸カルシウム系セラミック
ス粉体を粉砕・分散し、(3) ゲル化させ、(4) 乾燥後に
焼結する方法。
Description
の培養に用いる担体や骨補填用等に好適な生体親和性を
有する人工生体材料のみならず、液体クロマトグラフィ
ー用充填剤、触媒担体、各種の電気・電子材料、原子炉
材料、セラミック発熱体等にも有用な多孔質リン酸カル
シウム系セラミックス焼結体を製造する方法及びその製
造方法により得られる多孔質リン酸カルシウム系セラミ
ックス焼結体に関し、特に高強度を有する多孔質リン酸
カルシウム系セラミックス焼結体を製造する方法及びそ
の製造方法により得られる多孔質リン酸カルシウム系セ
ラミックス焼結体に関する。
ックスは近年急速に技術革新が進み、耐熱性、機械的強
度、絶縁性、強誘電性、圧電性、半導電性、磁性等を応
用した各種の耐熱材、構造材及び機能材が開発されてい
る。なかでもリン酸カルシウム系セラミックス(例えば
ハイドロキシアパタイト)は歯や骨の無機成分と構造が
似ているために、優れた生体適合性を有し、人工歯根や
骨補填材、歯科用セメント等の生体材料として用いられ
ている。
系セラミックスは多孔質なほど、すなわち気孔率が高い
ほど良い。このため従来から多孔質リン酸カルシウム系
セラミックスを製造する方法として、水溶性高分子ゲル
化法が提案されている。水溶性高分子ゲル化法は、セラ
ミックスと水溶性高分子化合物とのスラリーを攪拌する
ことにより起泡させ、起泡したスラリーを加熱すること
によりゲル化させ、気泡を保持した状態で乾燥する方法
である(特許3058174 号)。特許3058174 号の方法によ
り得られた多孔質セラミックスは、気泡に由来する孔径
20 〜2000 μmの球形のマクロポアと、セラミックス原
料一次粒子の凝集体からなる球状二次粒子粉体の間隙に
よって形成される3次元連通孔とを有する。
ル化法により得られる多孔質リン酸カルシウム系セラミ
ックスはマトリックス部分の焼結性が弱く、高い機械的
強度を得るのが困難であり、曲げ強度等の機械的強度を
改善する必要があった。
強度を有する多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼
結体の製造方法を提供することである。
の結果、本発明者らは、仮焼処理を施したリン酸カルシ
ウム系セラミックス粉体と水溶性高分子化合物とを含有
するスラリーを強く攪拌することにより、適度な気孔率
かつ高強度を有する多孔質リン酸カルシウム系セラミッ
クス焼結体が得られることを発見し、本発明を完成し
た。
て気孔率5〜50 %を有する多孔質リン酸カルシウム系
セラミックス焼結体を製造する本発明の方法は、(1) 仮
焼処理を施したリン酸カルシウム系セラミックス粉体と
水溶性高分子化合物とを含有するスラリーを作製し、
(2) スラリーを強く攪拌することによりリン酸カルシウ
ム系セラミックス粉体を粉砕・分散し、(3) ゲル化さ
せ、(4) 乾燥後に焼結することを特徴とする。
平均長軸長(長軸方向の平均長さ)が100 nm以下のリン
酸カルシウム系セラミックスの一次粒子からなる平均粒
径が5 〜20 μmの球状の二次粒子からなるのが好まし
い。二次粒子の平均粒径を5〜20 μmとし、かつその形
状を球状とすることにより、最終的な多孔質リン酸カル
シウム系セラミックス焼結体となった時に梁となるマト
リックス部分の太い焼結体が得られ、強度が向上する
上、スラリーの攪拌性及びゲルの乾燥体であるグリーン
ブロックの成形性が向上する。リン酸カルシウム系セラ
ミックス粉体のCa/Pの重量比は1.5 〜1.7 であるのが
好ましい。
好ましい。700 〜850 ℃で行うことにより、焼結による
粒成長を伴わずにリン酸カルシウム系セラミックス粉体
の強度を向上させることができる。
カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体であ
るのが好ましい。スラリーの組成は、リン酸カルシウム
系セラミックス粉体100重量部に対して、水溶性高分子
化合物が1〜10 重量部であるのが好ましい。これによ
りゲル化が容易になり、かつスラリー粘度が適度になる
ので二次粒子の粉砕が容易になる。またスラリー中にお
けるリン酸カルシウム系セラミックス粉体+水溶性高分
子化合物の合計濃度は20〜50重量%であるのが好まし
い。これによりゲル化後の乾燥が容易になり、かつスラ
リー粘度が適度になるので二次粒子の粉砕が容易にな
る。
上の攪拌力により行うのが好ましく、1〜60 分間行う
のが好ましい。
ン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法は、特
に多孔質ハイドロキシアパタイト焼結体を製造する場合
に好ましい。
5 〜50 %の多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼
結体は、マトリックス部分が太く且つその焼結性が強い
ため、優れた機械的強度すなわち15 MPa以上の3点曲げ
強度を有する。
得られる多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼結体
について、以下詳細に説明する。
は、特に制限はないが、Ca/Pの重量比が1.5 〜1.7
のものが好ましく、例えばハイドロキシアパタイト、リ
ン酸三カルシウム及びこれらの混合物が挙げられる。Ca
/Pの重量比が1.7 超であると焼結後に酸化カルシウム
(CaO)との混在相となるため好ましくない。逆に重量
比が1.5より低くなるとリン酸カルシウム自体の分解が
起こり易くなる。本発明の製造方法を適用する多孔質リ
ン酸カルシウム系セラミックス焼結体の好ましい例は多
孔質ハイドロキシアパタイト焼結体[Ca10(PO4)6・(O
H)2]である。以下本発明の製造方法を多孔質ハイドロキ
シアパタイト焼結体を製造する場合を例にとって詳細に
説明するが、本発明は他のリン酸カルシウム系セラミッ
クス焼結体にも適用することができる。
含有するスラリーを調製する。 (a) ハイドロキシアパタイト粉体の調製 ハイドロキシアパタイト粉体は仮焼したものである必要
がある。仮焼処理を施すことによりハイドロキシアパタ
イト粉体の強度が増加し、後述の粉砕時に過度の粉砕が
行われず、粉砕度の制御が容易になるとともに、強い攪
拌に耐える粉体強度が得られる。ハイドロキシアパタイ
ト粉体は、平均長軸長が100 nm以下の一次粒子からなる
平均粒径5 〜20 μmの球状の二次粒子からなるのが好
ましい。一次粒子の平均長軸長が100 nmを超えると、一
次粒子を造粒して二次粒子にした時にその結晶粒が粗大
になり過ぎ、二次粒子の平均粒径が5 〜20 μmになり
難いのに加え、焼結も困難になる。一次粒子の平均長軸
長は5 〜80 nmであるのが好ましい。二次粒子は一次粒
子を造粒して顆粒状にする。ハイドロキシアパタイトの
一次粒子を顆粒化するには、スプレードライ法等の公知
の造粒法を利用することができる。二次粒子の平均粒径
を5 〜20 μmとし、かつその形状を球状とすることに
より、最終的な多孔質ハイドロキシアパタイト焼結体と
なった時に梁となるマトリックス部分の太い焼結体が得
られ、強度が向上する上、スラリーの攪拌性及びゲルの
乾燥体であるグリーンブロックの成形性が向上する。
が、700 〜850 ℃の温度で処理するのが好ましく、その
処理時間は4〜10時間であるのが好ましい。仮焼温度が
700℃未満であるとハイドロキシアパタイト粉体の強度
の十分な向上は達成できず、850 ℃超であると焼結が始
まるので粒成長が起こる。より好ましい仮焼温度は700
〜750 ℃である。仮焼時間が4時間未満であると、成形
性及びハンドリング性が実質的に向上しない。また10
時間を超えると焼結反応が進行してしまい、成形後の焼
結が不十分になる。なお仮焼は大気中で行うことができ
るが、酸化を防止する目的で不活性ガス中で行ってもよ
い。
又は水分散液に対して加熱等の手段を施すことによりゲ
ル化するものである。水溶液又は水分散液は、水溶液、
コロイド溶液、エマルジョン及び懸濁液のいずれも包括
する。このような水溶性高分子化合物として、例えばメ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセル
ロース誘導体、カードラン等の多糖類、ポリビニルアル
コール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビ
ニルピロリドン等の合成重合体等が挙げられ、中でもメ
チルセルロースが好ましい。またポリビニルアルコール
の場合、硼酸あるいは硼砂を添加することによりゲル化
させることができる。
0 重量部として、水溶性高分子化合物を1 〜10 重量部
にするのが好ましい。水溶性高分子化合物の添加量が1
重量部未満であるとゲル化が困難であり、また10 重量
部超であるとスラリーの粘度が高くなり過ぎるため二次
粒子の粉砕が困難になる。水溶性高分子化合物のより好
ましい添加量は1 〜5 重量部である。
ト粉体+水溶性高分子化合物の合計濃度は20 〜50 重量
%であるのが好ましい。これらの成分の合計濃度が20
重量%未満であるとゲル化後の乾燥に時間がかかり過
ぎ、また乾燥後にゲルがつぶれて多孔質形状を維持でき
ない。一方合計濃度が50 重量%超であるとスラリーの
粘度が高くなり過ぎるため、二次粒子の攪拌粉砕が困難
である。より好ましい合計濃度は25 〜40 重量%であ
る。
子すなわちハイドロキシアパタイト粉体を表面から粉砕
することができる。粉砕により粒子の球状性が向上し、
梁となるマトリックス部分の太い焼結体が得られ、その
結果焼結体の強度を向上させることができる。また粉砕
によって生じた微粉が二次粒子同士の結合剤となるた
め、焼結体の強度向上に寄与する。粉砕は、二次粒子の
平均粒径が5 〜20 μmの範囲内に収まる程度に行うの
が好ましい。これにより5 〜50 %の適度な気孔率、高
強度及び5 〜1500 μmの平均気孔径を有する焼結体を
得ることができる。上記範囲の気孔率及び平均気孔径を
有することにより、焼結体を人工生体材料として用いた
場合に細胞の生着や各種生体組織の吸着が有利になる。
二次粒子の平均粒径が5 μm未満であるとハンドリング
性が向上しない上、粒子間隙が狭くなり、粒子の密度が
上がり過ぎて5 〜50 %の気孔率が得られない。また20
μmを超えると粒子同士の単位表面積当たりの接触範囲
が減少し、互いの粒子同士の結合力が低下し、強度の点
から骨補填材としての使用に耐え難くなる。
攪拌条件を50 W/L以上とすることにより、二次粒子を効
率的に粉砕することができる。攪拌力が50 W/L未満であ
ると粉砕が不十分であり、高い強度を有する多孔質ハイ
ドロキシアパタイトが得られない。なお攪拌力は、[攪
拌機の最大出力(W)/水溶液の量(L)]×(実際の回
転数/最大回転数)により求まる。攪拌機の出力はスラ
リーの粘度が高くなる場合は、回転数を保つために見か
け上増大する。本発明の場合、スラリー中におけるハイ
ドロキシアパタイト粉体+水溶性高分子化合物の合計濃
度は20 〜50 重量%であるためスラリー粘度は仕込み時
の粘度から実質的に変化しない。従って、粘度の影響は
実質的に無視できる。
ンペラー式ホモジナイザーが挙げられる。また攪拌羽根
をディスク状にするとともに、ディスクの外周に鋸刃上
の凹凸を設け、さらに攪拌容器の内壁に邪魔板を設けた
構造の攪拌装置を使用するのが好ましい。このような構
造を有するインペラー式ホモジナイザーは、例えばエス
エムテー(株)製のPH91、PA92、HF93、FH94P、PD96、H
M10等である。
は1 〜60 分間程度が好ましい。適度な気孔率の焼結体
を得るには攪拌時に気泡を含ませるのが好ましく、気泡
を微細かつ均一化させるとともに安定化させるために、
比較的低温で攪拌を行うのが好ましい。具体的には約0
〜25 ℃、特に5 〜20 ℃の液温で行うのが好ましい。
また攪拌中のスラリーに空気、窒素、アルゴン等の不活
性ガスを注入することにより気孔率のより高い焼結体を
得ることができる。
耐水性膜を張った型に注型するのが好ましい。これによ
り乾燥時のセラミックスの収縮に伴って膜が型から剥離
するので、型と接する面でのセラミックスの崩れや内部
での割れが起こらず、優れた乾燥体が得られる。
うのが好ましい。例えば上記の型に注型した後、真空オ
ーブン等に入れて脱泡する。真空脱泡の条件が厳し過ぎ
ると焼結体の気孔率が低くなるので好ましくない。一般
的にはスラリーを40 ℃において0.1 〜1.0 torrで60 〜
180 分間脱泡すれば、緻密度と気孔率のバランスに優れ
た焼結体が得られる。
00 ℃未満に加熱すると、メチルセルロース等の水溶性
高分子化合物の作用によりゲル化する。加熱温度が80
℃未満であるとゲル化が不十分であり、また100 ℃以上
であると水分が沸騰し、ゲル構造が破壊される。
℃以上 〜100 ℃未満)に保持することにより行うのが
好ましい。ゲルは乾燥によりほぼ等方的に収縮するとと
もに、気泡に変化は起こらないため、割れ等を生ずるこ
となく、微細かつ均一な球状のマクロポアを有する強度
の高い乾燥体(グリーンブロック)となる。ほぼ水分が
なくなれば100 ℃以上にしても良い。
インダーとして作用するので、ハンドリングできる機械
的強度を有する。従ってグリーンブロックに対して仮焼
成を行うことなく、乾燥体のまま切削加工することがで
きる。
子化合物を除去するため、必要に応じて脱脂処理を行
う。脱脂処理は300 〜900 ℃に加熱することにより行う
ことができる。
中で焼結する。焼結温度が1000 ℃未満であると、十分
な強度を有する多孔質ハイドロキシアパタイト焼結体が
得られず、また1250 ℃超であるとハイドロキシアパタ
イトは燐酸三カルシウムと酸化カルシウムに分解してし
まう。焼結時間は焼結温度に応じて適宜設定すれば良
い。なお脱脂工程を省略する場合には、焼結温度に達す
るまで徐々に昇温することにより脱脂を兼ねることがで
きる。例えば室温から約10 〜100℃/時の昇温速度で約
600 ℃まで昇温し、次に約50 〜200 ℃/時の昇温速度
で焼結温度まで昇温し、この温度で保持するのが好まし
い。焼結完了後は徐冷する。
ス焼結体 本発明の製造方法により得られる多孔質ハイドロキシア
パタイト焼結体を始めとする多孔質リン酸カルシウム系
セラミックス焼結体は、適度な気孔率と高い曲げ強度を
有することを特徴とする。(1) 気孔率本発明の多孔質リ
ン酸カルシウム系セラミックス焼結体は5 〜50 %の気
孔率を有する。5 %未満では生体親和性が十分でな
く、50 %超だと機械的強度が不十分なために加工性や
ハンドリング性に劣る。
くなるに従って低下するが、本発明の多孔質リン酸カル
シウム系セラミックス焼結体はマトリックス部分が太く
且つその焼結性が強いため、気孔率50 %においても15
MPa以上の3点曲げ強度を有する。このため加工性やハ
ンドリング性に優れている。3点曲げ強度はJIS R1601
に従って測定することができる。
孔径は5 〜1500 μmであるのが好ましい。5 μm未満だ
と細胞又は血管の侵入形成が困難となり、また1500 μm
超では安定した機械的強度を得るのが困難となるため、
製品ロット毎に加工性やハンドリング性の変動幅が大き
くなり過ぎる。多孔質リン酸カルシウム系セラミックス
焼結体中の気孔径は均一であるのが好ましいので、大部
分(80%以上)の気孔が50 〜500 μmの範囲内の径であ
るのが好ましい。
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
m)からなるハイドロキシアパタイトの球状粉体(平均
粒径:10 μm)160 gを700 ℃で大気中において4時間
仮焼した。
ルシウム/リン比 1.67)150 gと、メチルセルロース
(和光純薬工業(株)製、2重量%水溶液として20℃で
測定した粘度:4000 cps )の1重量%水溶液340 gとを
配合した。得られたスラリーをホモジナイザー(エスエ
ムテー(株)製、PA92)に投入した。スラリー温度を8
℃に保ちながら、スラリーを50 W/Lの攪拌力(攪拌時の
実際の出力、5500 rpm)で15 分間強く攪拌し、分散さ
せるとともに仮焼粉体を粉砕した。
83 ℃で2 時間加熱し、ゲル化させた。得られたゲルを
83 ℃に保持することにより完全に乾燥し、グリーンブ
ロックを得た。
形状に加工した後、大気中で室温から50 ℃/時の昇温
速度で600 ℃まで昇温し、次に100 ℃/時の昇温速度で
1200℃まで昇温し、この温度で4時間焼成した後、50
℃/時の降温速度で600 ℃まで冷却し、この温度で4時
間保持した後、100 ℃/時の降温速度で室温まで冷却し
た。この焼結工程により多孔質ハイドロキシアパタイト
焼結体を作製し、得られた焼結体の気孔率及び3点曲げ
強度を測定した。また焼結体表面をフライスを用いて0.
1 mm削り、表面を走査型電子顕微鏡で観察した。気孔率
及び3点曲げ強度の測定結果を出発原料組成とともに表
1に示し、走査顕微鏡写真を図1(30倍)及び図2(20
00 倍)に示す。
セルロースの1重量%水溶液の配合量を1975 gとし、得
られたスラリーをKENMIXミキサー(攪拌時の実際の出
力:5.5 W/L、回転数150 rpm、(株)愛工舎製作所製)を
用いて撹拌した以外は実施例1と同様にして注型、ゲル
化、乾燥、加工及び焼結を行い、多孔質ハイドロキシア
パタイト焼結体を作製した。得られた焼結体の気孔率及
び3点曲げ強度を測定した。また焼結体の表面を実施例
1と同様に走査型電子顕微鏡で観察した。気孔率及び3
点曲げ強度の測定結果を出発原料組成とともに表1に示
し、走査顕微鏡写真を図3(30 倍)及び図4(2000
倍)に示す。3点曲げ強度はJIS R1601に準拠し、スパ
ン1.7 cmでの測定により求めた破壊荷重から下記式: 強度(kgf/cm2 )=(3×P×L)/(2×a×b2) P・・・破壊荷重(kgf ) L・・・スパン(cm) a・・・供試体(焼結体)の高さ(cm) b・・・供試体(焼結体)の幅(cm) により算出した。
セルロースの1重量%水溶液の配合量を250 gとし、得
られたスラリーをPA92(攪拌時の実際の出力:60 W/L、
回転数8000 rpm、エスエムテー(株)製)により1分間
撹拌した以外は実施例1と同様にして注型、ゲル化、乾
燥、加工及び焼結を行い、多孔質ハイドロキシアパタイ
ト焼結体を作製した。得られた焼結体の気孔率及び3点
曲げ強度を測定した。測定結果を出発原料組成とともに
表1に示す。
/L、回転数1000 rpm、IKA社製)により15分間攪拌した
以外は実施例2と同様にして注型、ゲル化、乾燥、加工
及び焼結を行い、多孔質ハイドロキシアパタイト焼結体
を作製した。得られた焼結体の気孔率及び3点曲げ強度
を測定した。測定結果を出発原料組成とともに表1に示
す。
と同じ条件でスラリーの攪拌を行った。次いで実施例2
と同様にして注型、ゲル化、乾燥、加工及び焼結を行
い、多孔質ハイドロキシアパタイト焼結体を作製した。
得られた焼結体の気孔率及び3点曲げ強度を測定した。
測定結果を出発原料組成とともに表1に示す。
5.5 W/L、回転数150 rpm、(株)愛工舎製作所製)を用い
た以外は実施例3と同じ条件でスラリーの攪拌を行っ
た。次いで実施例2と同様にして注型、ゲル化、乾燥、
加工及び焼結を行い、多孔質ハイドロキシアパタイト焼
結体を作製した。得られた焼結体の気孔率及び3点曲げ
強度を測定した。測定結果を出発原料組成とともに表1
に示す。
ン中40 ℃、0.1 torrで脱泡させた。脱泡後のスラリー
について実施例1と同様にして注型、ゲル化、乾燥、加
工及び焼結を行い、多孔質ハイドロキシアパタイト焼結
体を作製した。得られた焼結体の気孔率及び3点曲げ強
度を測定した。測定結果を出発原料組成とともに表1に
示す。
リン酸カルシウム系セラミックス焼結体は曲げ強度にお
いて優れている。また実施例1の多孔質ハイドロキシア
パタイト焼結体は、比較例1のものと同程度の気孔率で
あるにもかかわらず、梁となるマトリックス部分が太く
(図2及び図4参照)、また50 〜500 μmの気孔径を有
しており、比較例1のものと比べて微細な気孔が多いこ
とが分かる(図1及び図3参照)。
ウム系セラミックス焼結体を製造する本発明の方法は、
仮焼処理を施したリン酸カルシウム系セラミックス粉体
と水溶性高分子化合物との極めて粘調なスラリーを著し
く強く攪拌するものであり、その結果マトリックス部分
が太く且つその焼結性が強く、気孔サイズが揃った焼結
体が得られる。本発明の方法によれば、乾燥の際の収縮
がほぼ等方的に進行するため、乾燥工程で割れ等を生じ
ることなく、適度な気孔率と高強度の多孔質リン酸カル
シウム系セラミックス焼結体を効率的に製造することが
できる。
ックス焼結体は5 〜50 %の適度な気孔率だけでなく高
い機械的強度及び切削性を有するので、細胞及び生体組
織の培養に用いる担体や骨補填用等に好適な生体親和性
を有する人工生体材料のみならず、液体クロマトグラフ
ィー用充填剤、触媒担体、各種電気・電子材料、原子炉
材料、セラミック発熱体等にも有用である。
タイト焼結体の走査顕微鏡写真(30 倍)である。
タイト焼結体の走査顕微鏡写真(2000 倍)である。
タイト焼結体の走査顕微鏡写真(60 倍)である。
タイト焼結体の走査顕微鏡写真(2000 倍)である。
Claims (12)
- 【請求項1】 水溶性高分子のゲル化を利用して気孔率
が5〜50%の多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼
結体を製造する方法において、(1) 仮焼処理を施したリ
ン酸カルシウム系セラミックス粉体と水溶性高分子化合
物とを含有するスラリーを作製し、(2) 前記スラリーを
強く攪拌することにより前記リン酸カルシウム系セラミ
ックス粉体を粉砕・分散し、(3) ゲル化させ、(4) 乾燥
後に焼結することを特徴とする多孔質リン酸カルシウム
系セラミックス焼結体の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の多孔質リン酸カルシウ
ム系セラミックス焼結体の製造方法において、前記リン
酸カルシウム系セラミックス粉体は平均長軸長が100 nm
以下のリン酸カルシウム系セラミックスの一次粒子から
なる平均粒径5〜20 μmの球状の二次粒子であることを
特徴とする多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼結
体の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の多孔質リン酸カ
ルシウム系セラミックス焼結体の製造方法において、前
記リン酸カルシウム系セラミックス粉体のCa/Pの重量
比は1.5 〜1.7 であることを特徴とする多孔質リン酸カ
ルシウム系セラミックス焼結体の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質
リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法にお
いて、前記仮焼処理を700 〜850 ℃で行うことを特徴と
する多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製
造方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質
リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法にお
いて、前記水溶性高分子化合物はセルロース誘導体であ
ることを特徴とする多孔質リン酸カルシウム系セラミッ
クス焼結体の製造方法。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質
リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法にお
いて、前記スラリーの攪拌を50 W/L以上の攪拌力により
行うことを特徴とする多孔質リン酸カルシウム系セラミ
ックス焼結体の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質
リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法にお
いて、前記スラリーの攪拌粉砕・分散処理を1〜60 分
間行うことを特徴とする多孔質リン酸カルシウム系セラ
ミックス焼結体の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の多孔質
リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法にお
いて、前記リン酸カルシウム系セラミックス粉体100 重
量部に対して、前記水溶性高分子化合物1 〜10 重量部
を配合することを特徴とする多孔質リン酸カルシウム系
セラミックス焼結体の製造方法。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の多孔質
リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法にお
いて、前記スラリー中における前記リン酸カルシウム系
セラミックス粉体+前記水溶性高分子化合物の合計濃度
は20 〜50重量%であることを特徴とする多孔質リン酸
カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法。 - 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の多孔質
リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法にお
いて、前記リン酸カルシウム系セラミックス粉体がハイ
ドロキシアパタイト粉体であることを特徴とする多孔質
リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法。 - 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の多孔質
リン酸カルシウム系セラミックス焼結体の製造方法によ
り得られる多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼結
体。 - 【請求項12】 請求項11に記載の多孔質リン酸カルシウ
ム系セラミックス焼結体において、15 MPa以上の3点曲
げ強度を有することを特徴とする多孔質リン酸カルシウ
ム系セラミックス焼結体。
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