JP2003073127A - ニッケル−マンガン化合物、その製造方法及びこれを用いた用途 - Google Patents

ニッケル−マンガン化合物、その製造方法及びこれを用いた用途

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JP2003073127A
JP2003073127A JP2001260382A JP2001260382A JP2003073127A JP 2003073127 A JP2003073127 A JP 2003073127A JP 2001260382 A JP2001260382 A JP 2001260382A JP 2001260382 A JP2001260382 A JP 2001260382A JP 2003073127 A JP2003073127 A JP 2003073127A
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manganese
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mol
manganese compound
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Yasuhiro Fujii
康浩 藤井
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はリチウム二次電池正極活物質の前駆
体として構成原子の均一性、固溶性を向上させることに
より、優れた電気化学特性を有する正極活物質製造用前
駆体を提供することを目的とする。 【解決手段】一般式Ni1-xMnx(OH)y(COO)z
・nH2O(0≦x≦0.55、y+z=2、0.5≦
z≦1.5、n≧0)で表されるニッケル−マンガン化
合物、及び、ニッケル塩、マンガン塩、シュウ酸アンモ
ニウムとを反応させるに際してA/B値(A=ニッケル
とマンガンのモル数の和、B=シュウ酸アンモニウムの
モル数)を0.25以上0.75以下で反応させること
を特徴とする当該ニッケル−マンガン化合物の製造方
法、並びに、当該ニッケル−マンガン化合物を二次電池
正極活物質製造用前駆体に用いる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は二次電池用正極活物
質等に使用されるニッケル−マンガン化合物、その製造
方法とその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、AV機器、携帯電話、パソコンな
どの小型化、コードレス化が急速に進んでおり、これら
の駆動用電源としてLiCoO2,LiNiO2,LiM
24などが研究されてきた。しかしながら、いずれも
容量、コスト、安全性全てを満足する材料とは言い難い
ものがあり、最近ではLiNi1-xMnx2(0≦X≦
0.55)のようなLi−Ni−Mn複合酸化物が高エ
ネルギー密度、高電圧、コスト、安全性を満足する材料
として期待されている。
【0003】従来、このようなLi−Ni−Mn複合酸
化物の合成には、NiO,MnO,LiOH・H2Oな
どの粉末を混合して得られる乾式混合法(例えばE.R
ossenらSolid State Ionics
57 (1992) 311−318参照)が多く用い
られてきた。しかしながらMn含有量が高い場合、原子
の拡散、均一性が不十分なため不純物相を含有し結晶性
が低く十分な電気化学特性が得られなかった。また、M
n酸化物などの粉末とニッケル溶液、Li溶液などをス
ラリー状にして混合、焼成する湿式スラリーを用いる方
法においては、乾式法に比し結晶性、電気化学特性等の
面で改善はみられるものの、窒素酸化物などの腐食性ガ
スの発生などの課題を有している。さらには、構成原子
の均一分散性が高い手法の一つである共沈法において
は、沈殿剤としてNaOHなどの強塩基を選択すること
により仕込み組成と同一の沈殿が得られるが、アルカリ
金属の残存が問題となる。また、アンモニア、炭酸アン
モニウム、シュウ酸などの金属カチオンを含有しない沈
殿剤では仕込み組成と沈殿組成とが必ずしも一致しない
場合が多い。
【0004】したがって、結晶性、電気化学特性が十分
で、かつ任意の組成を制御可能なLiNi1-xMnx2
もしくはその前駆体の合成方法の確立が急務であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フェライト
などの磁性材料、セラミック材料にも展開可能で、特に
リチウム二次電池の正極活物質であるLi−Mn−Ni
複合酸化物やLi−Ni−Mn複合リン酸塩等のリチウ
ム二次電池の正極活物質を製造する場合に、殊に十分な
結晶性と優れた電気化学特性を有する正極活物質を得る
ことが可能な、その原料として有効な構成原子の均一
性、固溶性を向上させることができるニッケル−マンガ
ン化合物、その製造方法及びその用途を提供するもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を達成
することを目的として鋭意検討した結果、ニッケル塩、
マンガン塩、シュウ酸アンモニウムとを反応させるに際
してA/B値(A=ニッケルとマンガンのモル数の和、
B=シュウ酸アンモニウムのモル数)を0.25以上
0.75以下で反応させることにより一般式Ni1-x
x(OH)y(COO)z・nH2O(0≦x≦0.5
5、y+z=2、0.5≦z≦1.5、n≧0)で表さ
れる均一性の高い任意組成のニッケル−マンガン化合物
を得るに至った。また、前記ニッケル−マンガン化合物
を正極活物質製造用前駆体として用いることにより、十
分な結晶性と電気化学特性を有したリチウム二次電池の
正極活物質、例えばLi−Ni−Mn複合酸化物などを
得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0007】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明のニッケル−マンガン化合物は、一
般式Ni1-xMnx(OH)y(COO)z・nH2Oで表
され、xの範囲は0≦x≦0.55、yおよびzの範囲
はy+z=2、0.5≦z≦1.5、nの範囲はn≧0
である。
【0009】また前記ニッケル−マンガン化合物は、ニ
ッケル塩、マンガン塩、シュウ酸アンモニウムとを反応
させるに際してA/B値(A=ニッケルとマンガンのモ
ル数の和、B=シュウ酸アンモニウムのモル数)を0.
25以上0.75以下で反応させることにより得られ
る。この場合、A/B値は0.50が最適である。
【0010】A/B値が前記範囲外であると、仕込み組
成と得られるニッケル−マンガン化合物組成に相違が生
じる為、望ましくない。
【0011】また、前記ニッケル塩およびマンガン塩は
水溶性化合物である硝酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩等
を用いることができる。また、前記シュウ酸アンモニウ
ムは無水塩の他、水和物を用いてもよい。さらには、ニ
ッケル塩とマンガン塩、シュウ酸アンモニウムはいずれ
も水溶液にした後、混合、攪拌、熟成を行うのが望まし
い。この際の反応温度は0℃から80℃の範囲で行うの
が望ましい。必要によっては高温、加圧下、水熱処理を
行うことも可能である。
【0012】また、本発明のニッケル−マンガン化合物
は、原子の均一性が高く反応性に富む為、特にリチウム
二次電池の正極活物質、例えばLi−Ni−Mn複合酸
化物などを得る二次電池正極活物質製造用前駆体に用い
るのに適している。目的の正極活物質としては層状岩塩
構造酸化物、スピネル型複合酸化物、オリビン型化合物
などのリチウム二次電池正極活物質を製造するための前
駆体、もしくはニッケル−水素二次電池正極活物質を製
造するための前駆体などに用いることができる。また電
池材料以外にも、フェライトなどの磁性材料、セラミッ
ク材料などにも展開可能である。
【0013】さらに、本発明のリチウム−ニッケル−マ
ンガン化合物の製造方法は、前記ニッケル−マンガン化
合物を用いリチウム化合物とC/A値(A=ニッケルと
マンガンのモル数の和、C=リチウムのモル数)が0.
95以上1.10以下で混合し、有酸素雰囲気下750
℃以上1050℃以下で焼成することを特徴とする。こ
の際、リチウム化合物は水酸化物、酢酸塩、炭酸塩、シ
ュウ酸塩、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、アルコキシドなど
を用いることができる。この場合、前記ニッケル−マン
ガン化合物に分解や酸化等の反応を生じさせないリチウ
ム化合物(例えば酢酸塩)を用いることが望ましい。混
合方法としては乾式混合法の他、リチウム塩を水もしく
はアルコール等に溶解させてニッケル−マンガン化合物
に含浸させた後、乾燥、焼成する湿式スラリーを用いる
方法も有効である。
【0014】なお、前記スラリーはスプレーにて噴霧、
乾燥してもよい。また、前記C/A値は0.95以上
1.10以下が必須で望ましくは1.00以上1.05
以下である。これらの範囲を外れると単相は得られ難
い。
【0015】この傾向はMn含有率が高いほど顕著に表
れる。焼成温度は有酸素雰囲気下750℃以上1050
℃以下、好ましくは800℃以上1000℃以下である
ことが望ましい。何故ならば、750℃未満であると結
晶は未発達で、1050℃を超えるとリチウムの揮散や
Cation Mixingなど組成、結晶構造が目的
のものに離反する傾向がある為である。また、窒素やア
ルゴンなど無酸素雰囲気下で焼成すると還元が生じる
為、目的とする生成物は得られない。ここで有酸素雰囲
気とは、空気もしくは純酸素など空気より酸素分圧の高
い雰囲気を表す。
【0016】また、前記のリチウム−ニッケル−マンガ
ン化合物の製造方法において予めニッケル−マンガン化
合物を有酸素雰囲気下で焼成し、複合酸化物に変化させ
ることも可能である。沈殿組成に比し変性の少ない酸化
物を用いることにより最終組成を正確に合わせることが
容易であり、他のリチウム化合物に比し反応性の高い水
酸化リチウムとの混合にも適している。
【0017】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に沿って説明
する。
【0018】実施例1 1.0mol/Lの硝酸ニッケル水溶液に0.65mo
l/Lのシュウ酸アンモニウム水溶液を添加、25℃に
て1日間攪拌混合した。その後、沈殿物をろ過分離して
60℃にて1日間乾燥した。前記沈殿物に1.0mol
/L酢酸リチウム水溶液をリチウム/遷移金属(モル
比)が1.00となるように含浸した後、酸素気流中7
50℃にて10時間焼成しLiNiO2を得た。
【0019】このようにして得られた沈殿物の組成はN
i(OH)0.85(COO)1.15・0.05H2Oで表さ
れた。また、前記LiNiO2のX線回折パターンを図
1に示した。図1の通り、R3mまたはその類縁構造を
示した。
【0020】また、これを電池の正極材料として、導電
剤のポリテトラフルオロエチレンとアセチレンブラック
との混合物(商品名:TAB−2)重量比で2:1の割
合で混合し、1ton/cm2の圧力でメッシュ(SU
S316製)上にペレット状に成型した後、150℃で
減圧乾燥し電池用正極を作製した。得られた電池用正極
と、金属リチウム箔(厚さ0.2mm)からなる負極、
およびプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート
との混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムを1mol/d
3の濃度で溶解した電解液を用いて電池を構成した。
このようにして作製した電池を用いて0.1mA/cm
2の定電流で電池電圧が4.3Vから2.5Vの間で充
放電特性の測定を行った。(これら一連の試験を電池試
験とする)その結果、約185mAh/gの初期放電容
量を示した。
【0021】実施例2 0.2molの塩化マンガン、0.8molの塩化ニッ
ケルと0.45molのシュウ酸アンモニウムに水2L
を添加、25℃にて1日間攪拌混合した。その後、沈殿
物をろ過分離して60℃にて1日間乾燥した。前記沈殿
物に1.0mol/Lシュウ酸リチウム水溶液をリチウ
ム/遷移金属(モル比)が1.1となるように含浸した
後、1000℃にて空気流中10時間焼成しLi1.1
0.8Mn 0.22を得た。
【0022】このようにして得られた沈殿物の組成はほ
ぼNi0.8Mn0.2(OH)1.1(COO)0.9・0.12
2Oで表された。したがって、沈殿物の組成は仕込み
組成と同一であった。また、前記Li1.1Ni0.8Mn
0.22のX線回折パターンを図2に示した。図2に示す
通りLiNiO2と同様のR3mまたはその類縁構造を
示した。また実施例1記載の電池試験を行った結果、約
175mAh/gの初期放電容量を示した。
【0023】実施例3 0.5mol/Lの硫酸マンガンと0.5mol/Lの
硫酸ニッケルとの混合水溶液に0.5mol/Lのシュ
ウ酸アンモニウム水溶液を添加、25℃にて1日間攪拌
混合した。その後、沈殿物をろ過分離して60℃にて1
日間乾燥した。前記沈殿物に1.0mol/L酢酸リチ
ウム水溶液をリチウム/遷移金属(モル比)が1.00
となるように含浸した後、1050℃にて空気流中10
時間焼成しLiNi0.5Mn0.52を得た。
【0024】このようにして得られた沈殿物の組成はN
0.5Mn0.5(OH)1.0(COO)1.0で表された。し
たがって、沈殿物の組成は仕込み組成と同一であった。
また、前記LiMn0.5Ni0.52のX線回折パターン
は図3に示すようにLiNiO2と同様のR3mまたは
その類縁構造を示した。また実施例1記載の電池試験を
行った結果、約145mAh/gの初期放電容量を示し
た。
【0025】実施例4 0.5mol/Lの硝酸マンガンと0.5mol/Lの
硝酸ニッケルとの混合水溶液に0.5mol/Lのシュ
ウ酸アンモニウム水溶液を添加、25℃にて1日間攪拌
混合した。その後、沈殿物をろ過分離して60℃にて1
日間乾燥した。前記沈殿物を空気流中800℃で12時
間焼成した。得られた酸化物に1.0mol/L水酸化
リチウム水溶液をリチウム/遷移金属(モル比)が1.
00となるように含浸した後、1000℃にて空気流中
10時間焼成しLiNi0.5Mn0 .52を得た。X線回
折パターンは図4に示すようにLiNiO2と同様のR
3mまたはその類縁構造を示した。また実施例1記載の
電池試験を行った結果、約151mAh/gの初期放電
容量を示した。
【0026】比較例1 0.6mol/Lの硝酸マンガンと0.4mol/Lの
硝酸ニッケルとの混合水溶液に0.78mol/Lのシ
ュウ酸アンモニウム水溶液を添加、25℃にて1日間攪
拌混合した。その後、沈殿物をろ過分離して60℃にて
1日間乾燥した。このようにして得られた沈殿物につき
Ni/Mn(モル比)は0.43であり仕込み組成と異
なるものとなった。なお、z値は1.51であった。ま
た、ろ液中にもNi、Mn両イオンが多く残存する結果
となった。
【0027】比較例2 0.5mol/Lの硝酸マンガンと0.5mol/Lの
硝酸ニッケルとの混合水溶液に0.22mol/Lのシ
ュウ酸アンモニウム水溶液を添加、25℃にて1日間攪
拌混合した。その後、沈殿物をろ過分離して60℃にて
1日間乾燥した。このようにして得られた沈殿物につき
Ni/Mn(モル比)は1.6であり仕込み組成と異な
るものとなった。なお、z値は0.45であった。ま
た、ろ液中にもNi、Mn両イオンが多く残存する結果
となった。
【0028】比較例3 0.58mol/Lの硝酸マンガンと0.42mol/
Lの硝酸ニッケルとの混合水溶液に0.5mol/Lの
シュウ酸アンモニウム水溶液を添加、25℃にて1日間
攪拌混合した。その後、沈殿物をろ過分離して60℃に
て1日間乾燥した。前記沈殿物を空気流中800℃で1
2時間焼成した。得られた酸化物に1.0mol/L水
酸化リチウム水溶液をリチウム/遷移金属(モル比)が
1.00となるように含浸した後、1000℃にて空気
流中10時間焼成しLiNi0.42Mn0.582を得た。
X線回折パターンは図5に示す通り、結晶性が低くLi
2MnO3などの不純物相を含有する結果となった。また
実施例1記載の電池試験を行った結果、約15mAh/
gの初期放電容量を示した。
【0029】比較例4 リチウム/遷移金属(モル比)が0.90とした以外は
実施例3と同様に行った。得られたLi0.9Ni0.5Mn
0.52のX線回折パターンは図6に示す通り、結晶性が
低いものとなった。また実施例1記載の電池試験を行っ
た結果、約31mAh/gの初期放電容量を示した。
【0030】比較例5 リチウム/遷移金属(モル比)が1.15とした以外は
実施例3と同様に行った。得られたLi1.15Ni0.5
0.52のX線回折パターンは図7に示す通り、結晶性
の低いものとなった。また実施例1記載の電池試験を行
った結果、約81mAh/gの初期放電容量を示した。
【0031】比較例6 焼成温度を700℃とした以外は実施例1と同様に行っ
た。得られたLiNiO2のX線回折パターンは図8の
如くR3mであった。しかしながら、実施例1のものに
比し結晶性は低いものとなった。また、電池試験を行っ
た結果、約140mAh/gの初期放電容量を示した。
【0032】比較例7 焼成温度1100℃とした以外は実施例3と同様に行っ
た。得られたLiNi 0.5Mn0.52のX線回折パター
ンは図9に示すように単相であったが、(003)面と
(104)面の強度比が実施例3に比べ逆転したことか
ら3aサイトと3bサイトとの間の原子交換が生じたこ
とが示唆された。実施例1記載の電池試験を行った結
果、約100mAh/gの初期放電容量を示した。
【0033】比較例8 0.5molの酸化マンガン、0.5molの酸化ニッ
ケルとを窒素雰囲気下、乳鉢にて1時間混合した後、空
気流中900℃で10時間焼成した。得られた焼成物に
1.0molの炭酸リチウムを添加し、乳鉢にて1時間
混合した後、空気流中1000℃で10時間焼成した。
得られた焼成物のX線回折パターンは図10に示すよう
に結晶性が低くLi2MnO3などの不純物相を多く含有
する結果となった。また実施例1記載の電池試験を行っ
た結果、約48mAh/gの初期放電容量を示した。
【0034】比較例9 0.5molの電解二酸化マンガンを0.5mol/L
の硝酸ニッケル水溶液1Lに含浸した後、空気流中80
0℃で10時間焼成した。その後、得られた焼成物を
1.0mol/Lの硝酸リチウム水溶液1Lに含浸し空
気流中1000℃で10時間焼成した。得られた焼成物
のX線回折パターンを図11に示した。その結果、結晶
性が低いものとなった。また、実施例1記載の電池試験
を行った結果、約95mAh/gの初期放電容量を示し
た。
【0035】比較例10 0.5molの硝酸マンガン、0.5molの硝酸ニッ
ケルとを混合した後、空気流中800℃で10時間焼成
した。得られたニッケル−マンガン酸化物と1.0mo
lの硝酸リチウムとを混合し空気流中1000℃で10
時間焼成した。図12に示す通り得られた焼成物のX線
回折パターンはR3mまたはその類縁構造を示したが、
実施例1記載の電池試験での初期放電容量は約110m
Ah/gであった。
【0036】比較例11 シュウ酸アンモニウムをシュウ酸と置き換えた以外は実
施例3と同様に行った。得られた沈殿物につきNi/M
n(モル比)は1.6であり仕込み組成と異なるものと
なった。また、ろ液中にもNi、Mn両イオンが多く残
存する結果となった。
【0037】比較例12 0.5mol/Lの硝酸マンガンと0.5mol/Lの
硝酸ニッケルとの混合水溶液1Lに1Nの水酸化リチウ
ム水溶液1Lを添加、25℃にて1日間攪拌混合した。
その後、沈殿物をろ過分離した後、10Lの水で洗浄し
た。前記沈殿物に1.0mol/L水酸化リチウム水溶
液をリチウム/遷移金属(モル比)が1.00となるよ
うに含浸した後、1000℃にて10時間焼成しLiN
0.5Mn0.52を得た。
【0038】このようにして得られた沈殿物の組成は仕
込み組成と同一であった。また、前記LiNi0.5Mn
0.52のX線回折パターンは図13に示す通りLiNi
2と同様のR3mまたはその類縁構造を示した。しか
しながら、実施例1記載の電池試験を行った結果、約1
27mAh/gの初期放電容量を示した。
【0039】本発明の実施例および比較例の電池試験結
果を表1に示した。
【0040】
【表1】
【発明の効果】本発明のニッケル−マンガン化合物を用
いることにより、任意の組成を制御可能であり、かつ構
成原子の均一性が高い化合物を得ることが可能である。
また、前記化合物をリチウム二次電池の正極活物質の前
駆体として用いることにより、優れた電気化学特性を有
する二次電池を作製可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1に従って得られたLiNiO2
の粉末X線回折図を示す。
【図2】本発明実施例2に従って得られたLi1.1Ni
0.8Mn0.22の粉末X線回折図を示す。
【図3】本発明実施例3に従って得られたLiNi0.5
Mn0.52の粉末X線回折図を示す。
【図4】本発明実施例4に従って得られたLiNi0.5
Mn0.52の粉末X線回折図を示す。
【図5】比較例3に従って得られたLiNi0.42Mn
0.582の粉末X線回折図を示す。
【図6】比較例4に従って得られたLi0.9Ni0.5Mn
0.52の粉末X線回折図を示す。
【図7】比較例5に従って得られたLi1.15Ni0.5
0.52の粉末X線回折図を示す。
【図8】比較例6に従って得られたLiNiO2の粉末
X線回折図を示す。
【図9】比較例7に従って得られたLiNi0.5Mn0.5
2の粉末X線回折図を示す。
【図10】比較例8に従って得られたLiNi0.5Mn
0.52の粉末X線回折図を示す。
【図11】比較例9に従って得られたLiNi0.5Mn
0.52の粉末X線回折図を示す。
【図12】比較例10に従って得られたLiNi0.5
0.52の粉末X線回折図を示す。
【図13】比較例12に従って得られたLiNi0.5
0.52の粉末X線回折図を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式Ni1-xMnx(OH)y(COO)z
    ・nH2O(0≦x≦0.55、y+z=2、0.5≦
    z≦1.5、n≧0)で表されるニッケル−マンガン化
    合物。
  2. 【請求項2】ニッケル塩、マンガン塩、シュウ酸アンモ
    ニウムとを反応させるに際してA/B値(A=ニッケル
    とマンガンのモル数の和、B=シュウ酸アンモニウムの
    モル数)を0.25以上0.75以下で反応させること
    を特徴とする請求項1記載のニッケル−マンガン化合物
    の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載のニッケル−マンガン化合物
    を二次電池正極活物質製造用前駆体に用いる方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載のニッケル−マンガン化合物
    とリチウム化合物とをC/A値(A=ニッケルとマンガ
    ンのモル数の和、C=リチウムのモル数)が0.95以
    上1.10以下で混合し、有酸素雰囲気下750℃以上
    1050℃以下で焼成することを特徴とするリチウム−
    ニッケル−マンガン化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】ニッケル−マンガン化合物を有酸素雰囲気
    にて焼成することを特徴とする請求項4記載のリチウム
    −ニッケル−マンガン酸化物の製造方法。
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