JP2003072289A - 字消し - Google Patents
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Abstract
とともに、エネルギーの節約を可能とし、且つ優れた消
字性を有しブリードしない字消しを提供する。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂に、可塑剤としてエポ
キシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステルを配合したことを
特徴とする字消し。
Description
詳しくは、低温でゲル化し、生産性を大巾に向上させる
とともに、エネルギーの節約を可能とし、優れた消字性
を有し且つブリードしない字消しに関する。
字性、消字作業中の感触及び装飾性から広く使用されて
いる。塩化ビニル系樹脂製字消しは、塩化ビニル系樹脂
に可塑剤を配合し、更に必要に応じて、安定剤、着色
料、香料等の字消し材料を配合し、プレス成形、射出成
形、押出成形等の成形方法により成形され製品とされて
いる。
は、可塑剤の使用が必須であるため、例えば、特公昭4
4−25905号、特公昭46−42018号、特公昭
57−22948号、特許第2655278号に記載さ
れているような可塑剤のブリード(移行)の防止等が研
究されている。またエポキシ系可塑剤を配合した字消し
が提案され、特開昭61−29597号ではフタル酸、
アジピン酸系可塑剤にエポキシ化大豆油を併用すること
により、消字性、透明性に優れ、削りカスが字消しから
容易に分離する字消しが、また、最近では特開平9−6
6699号のように、エポキシ化脂肪酸エステル、エポ
キシ化脂肪酸トリグリセリドを添加して消し屑の散乱を
防止した消しゴムが提案されている。更に、特開200
1−81259号では、4,5−エポキシヘキサヒドロ
フタル酸ジ−2−エチルヘキシルの添加により、ブリー
ドを起こさず、弾性強度に優れた字消しが提案されてい
る。
安定性が良好で、低揮発性であり、移行性、耐油性、熱
老化性に優れているが、一般にゲル化速度が遅く、加工
性に劣るため、特に大量配合には適していない。ところ
で、使用する可塑剤のゲル化速度が遅い場合は、成形の
際に高温を必要とし、所定の温度まで昇温するのに時間
が掛り、省エネルギーの観点からも生産性の視点からも
好ましいものではない。一方、ゲル化速度が速い場合
は、上記のような問題は解消される反面、温度の管理が
シビアとなり、一定の品質の製品が得られにくくなるば
かりでなく、得られた製品において可塑剤がブリードす
る場合があるという問題を孕んでいる。
ゲル化速度が速く、且つブリードし難い可塑剤が待望さ
れるが、従来、この問題については殆ど研究がなされて
いないのが実情である。勿論、上記した従来技術も、こ
の問題については一切言及されていない。
させることなく、ゲル化温度が低く、低温での成形が可
能であり、省エネルギー及び生産性の向上を図るととも
に、ブリードのない字消しを提供するものである。
の本発明の請求項1は、塩化ビニル系樹脂に、可塑剤と
してエポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステルを配合し
たことを特徴とする字消しを内容とする。
脂肪酸ブチルエステルが、塩化ビニル系樹脂100重量
部に対し4〜160重量部である請求項1記載の字消し
を内容とする。
脂肪酸ブチルエステルが、塩化ビニル系樹脂100重量
部に対し20〜140重量部である請求項1記載の字消
しを内容とする。
アマニ油脂肪酸ブチルエステル以外の可塑剤を配合して
なる請求項1〜3のいずれか1項に記載の字消しを内容
とする。
脂肪酸ブチルエステル以外の可塑剤がフタル酸系可塑
剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑
剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、アジピ
ン酸系可塑剤、セバシン酸系可塑剤、アゼライン酸系可
塑剤、リン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤から選ばれる
請求項4記載の字消しを内容とする。
00重量部に対し、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエ
ステルが4〜160重量部、エポキシ化アマニ油脂肪酸
ブチルエステル以外の可塑剤が196〜40重量部であ
る請求項4又は5記載の字消しを内容とする。
樹脂としては、従来用いられている塩化ビニル系樹脂が
全て用いられ、例えば、重合度400〜3000程度の
ポリ塩化ビニルの他、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これ
らは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いら
れる。
化アマニ油脂肪酸ブチルエステルは、例えば「アデカサ
イザーD−178」(商品名、旭電化工業株式会社製)
として市販されている。本発明においては、このエポキ
シ化アマニ油脂肪酸ブチルエステルのみが特異的にゲル
化促進効果を示し、後記するように、その他のエポキシ
系可塑剤にはゲル化促進効果が認められない。
の配合量は、ゲル化速度を速くする観点からは塩化ビニ
ル系樹脂100重量部に対し、4〜160重量部が好ま
しく、より好ましくは20〜140重量部である。4重
量部未満ではゲル化促進効果が十分でなく、一方、14
0重量部を越えるとブリードし易くなる傾向がある。
尚、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステルを単独で
使用する場合は、ブリード回避の観点からは、140重
量部以下が好ましく、より好ましくは130重量部以下
である。
は、優れたゲル化促進効果を示すので、他の可塑剤と併
用することにより、他の可塑剤のゲル化を促進すること
ができる。併用する可塑剤としては、例えば、ジ−2−
エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチ
ルフタレート(n−DOP)、ジイソノニルフタレート
(DINP)、ジノニルフタレート(DNP)、ジイソ
デシルフタレート(DIDP)、ジトリデシルフタレー
ト(DTDP)、ジウンデシルフタレート(DUP)等
のフタル酸系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトリメ
リテート(TOTM)、トリイソデシルトリメリテート
(TIDTM)、トリイソオクチルトリメリテート(T
IOTM)、トリイソノニルトリメリテート等のトリメ
リット酸系可塑剤;トリオクチルピロメリット酸(TO
PM)等のピロメリット酸系可塑剤;分子量1000以
上のポリエステル系可塑剤;エポキシ化トリグリセリ
ド、エポキシ化脂肪酸モノエステル、エポキシ化大豆
油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸エステル、
エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル
(E−PS)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−n−
オクチル(nE−PS)、エポキシヘキサヒドロフタル
酸ジエポキシステアリル(E−PO)等のエポキシヘキ
サヒドロフタル酸エステル等のエポキシ系可塑剤;ジ−
2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソノニ
ルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジペート
(DIDA)等のアジピン酸系可塑剤;ジ−2−エチル
ヘキシルセバケート(DOS)、ジブチルセバケート
(DBS)等のセバシン酸系可塑剤;ジ−2−エチルヘ
キシルアゼレート(DOZ)等のアゼライン酸系可塑
剤;トリクレジルフォスフェート(TCP)、トリ−2
−エチルヘキシルフォスフェート(TOP)等のリン酸
系可塑剤; トリエチルシトレート、アセチルトリ−n−
ブチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセ
チルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチ
ルヘキシル)シトレート等のクエン酸系可塑剤が挙げら
れる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わ
せて用いられる。
ステルは、特異的にゲル化促進効果を示すものの、消し
屑の散乱防止(以下、消し屑のまとまり性と記す)には
全く効果を示さない。そこで、上記した可塑剤のうち、
フタル酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリ
ット酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可
塑剤、アジピン酸系可塑剤、セバシン酸系可塑剤、アゼ
ライン酸系可塑剤、リン酸系可塑剤を併用することによ
り、他の可塑剤のゲル化促進とともに、エポキシ化アマ
ニ油脂肪酸ブチルエステルの消し屑のまとまり性を改善
することができる。これらは単独で又は必要に応じ2種
以上組み合わせて用いられる。
とその他の可塑剤とを併用する場合、可塑剤の合計量
は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し200重量部
以下が好ましく、併用する可塑剤の使用量の割合は、エ
ポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステルが4〜160重
量部、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステル以外の
可塑剤が196〜40重量部の範囲が好ましい。可塑剤
の合計量が200重量部を越えると、字消し本体の硬さ
が柔らかくなりすぎたり、ブリードがし易く、消し能力
も低下する。
ム、軽質炭酸カルシウム、シリカ、珪藻土、酸化マグネ
シウム、タルク、セリサイト、石英粉末、モンモリロナ
イト、ホタテ、カキ、しじみなどの貝殻粉末などの充填
剤、有機中空粒子、無機中空粒子及び有機・無機顔料、
染料などの着色材、香料、安定剤、滑剤、紫外線吸収
剤、防カビ剤などの他の添加物も適宜任意に使用するこ
とも可能である。また、更にインキ等を溶解する溶剤を
内包したマイクロカプセルや、インキ筆跡などを摩消す
る研磨剤を添加することにより、鉛筆筆跡以外の消去も
可能な字消しを提供することができる。
混練され、プレス成形、射出成形、押出成形等により成
形され、所定の寸法に裁断されて製品とされる。
基づいて本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発
明の範囲を何ら制限するものではない。
び安定剤を表2に示す割合にて配合し、ゾル粘度を測定
することによりゲル化促進効果の有無についてテストし
た。 (1)使用材料
ールサーモー(温度調節器)(TOHOELECTRO
NIC製)、マグネチックスターラー、300mlビーカ
ー、水銀温度計、BH型粘度計(東京計器製)
し、マグネチックスターラーでオイルを攪拌しながら昇
温させた。 表2のように配合したゾルをいれた300mlビーカー
をオイルバスに浸し、ゾルの温度が60℃、70℃、8
0℃、85℃、90℃、100℃、110℃、120
℃、130℃、140℃になるごとにゾル粘度を測定し
た。 ゾルの温度が測定温度に達したことを水銀温度計で確
認し、ゾルの粘度をBH型粘度計(東京計器製)4号ロ
ーター・6rpm で測定した。 測定粘度が100000cps に達するか、又はゾルの
粘度が140℃に達した時点で測定を終了した。
表4及び図2にDOPとE−PSを組み合わせた場合、
表5及び図3にDOPとE−2000Hを組み合わせた
場合、表6及び図4にDOPとE−4030を組み合わ
せた場合、表7及び図5にDOPとE−6000を組み
合わせた場合、表8及び図6にDOPとE−9000H
を組み合わせた場合、表9及び図7にDOPとD−55
を組み合わせた場合、表10及び図8にDOPとD−3
2を組み合わせた場合の測定結果をそれぞれ示した。
化アマニ油脂肪酸ブチルエステル(D−178)は配合
割合のいかんを問わずDOPよりもゲル化が促進され、
また配合割合が多くなるにつれてゲル化が促進されるこ
とがわかる。一方、他のエポキシ系可塑剤は、図2〜図
8から明かなように、DOPよりもゲル化速度が遅いこ
とがわかる。
す。また、「部」は特に断らない限り「重量部」を表
す。
×10m/m内寸の金型を用いて、130℃、135
℃、140℃、145℃、150℃の各温度条件で26
分間加熱した後、冷却して成形した。この成形品が、字
消しとして一番よい物性を示す成形温度を考察する目的
で、JIS−S−6050に示された方法に基づいて、
消字率の測定を行った。結果を表12及び図9に示す。
より) (1)試料を厚さ5m/mの板状に切り、試験紙との接
触部分を半径6m/mの円弧に仕上げたものを試験片と
した。 (2)試験片を着色紙に対して垂直に、しかも着色線に
対して直角になるように接触させ、試験片におもりとホ
ルダの質量の和が0.5kgとなるようにおもりを載せ、
150±10cm/min の速さで着色部を4往復摩消させ
た。 (3)濃度計(DENSITOMETER PDA65
sakura社製)によって、着色紙の非着色部分の
濃度を0として、着色部及び摩消部の濃度をそれぞれ測
定した。 (4)消字率は次の式によって算出した。 消字率(%)=(1−(摩消部の濃度÷着色部の濃
度))×100
の場合、消字率の最大となる成形温度は145℃であ
り、一方、4部、5部の場合は140℃である。従っ
て、十分なゲル化促進効果(成形温度の低下効果)を得
るには、4部以上の添加が必要である。一方、135℃
成形品同士を比べると、段階的に消字率が上がっている
ことから、低温成形品においては消字率の観点からは
1.5部でも効果が認められる。5部以上添加すること
が好ましい。尚、他のエポキシ系可塑剤にもD−178
と同様の効果が見られるかを調べるために、エポキシ化
大豆油(E−2000)をテストした。しかし、20部
添加したにもかかわらず、無添加の場合に比べて、低い
成形温度で消字能力に優れる字消し(消字率の最大値)
を得ることはできなかった(比較例2)。
内寸の金型を用い、115℃、120℃、125℃、1
30℃、135℃の各温度条件で26分間加熱した後、
冷却して成形した。この成形品が、字消しとして一番よ
い物性を示す成形温度を考察する目的で、JIS−S−
6050に示された方法に基づいて、消字率の測定を行
った。結果を表13及び図10に示す。
5部、10部の場合は消字率の最大となる成形温度が1
30℃であり、添加量が増すごとに125℃における消
字率の値が上昇する。また、D−178の添加量が20
部、30部の場合には消字率の最大値は125℃となっ
た。このことより、D−178の添加量が増加するごと
に消字率の最大値は、より低温側に移動する傾向にあ
る。よって、D−178の添加量を増やすと、より低い
温度で消字能力に優れる字消しが得られることがわか
る。
た後、この字消し材料を130℃に保温した100×1
00×10m/mの内寸の金型に流し込み26分間加熱
した後冷却し、型より取り出して字消しサンプルを得
た。得られたサンプルを用いて、消字率及びブリードの
有無をテストした。結果を表14に示す。表14より、
ブリードの面からはD−178の添加量は140部以下
が好ましく、より好ましくは130部以下である。 (ブリードの試験方法)画用紙の上に、接する面積が
5.6cm2 となるように裁断した字消しを置き、その上
に重さ20gの重りを置いて、70℃の恒温層で4時間
放置した後、画用紙に油分のにじみがあるかどうかを、
目視で確認した。結果を表14に示す。
字消しサンプルを得て、消し屑のまとまり性テストを行
った。尚、比較のために、本発明においてD−178を
単独使用した場合を参考例1として、またDOPを単独
使用した場合を参考例2として示した。結果を表15に
示す。 (消し屑のまとまり性の試験方法)特開平9−6669
9号公報に準じ、消去荷重500gfで10往復させ
て、最も大きな消し屑の重量を試験片が減量した重量で
割った値に100を乗じたものを屑のまとまり率(%)
として算出した。尚、1配合につき4回ずつ屑の重量を
測定し、それらの平均をとった。 屑のまとまり率(%)=〔最大の屑の重量/(テスト前
の試験片の重量−テスト後の試験片の重量部)〕×10
0
に、D−178を単独で使用した場合は消し屑のまとま
り性は悪く、DOPよりも悪い。しかし、実施例16〜
21に示すように、D−178を他の可塑剤と併用する
ことにより、消し屑のまとまり性を高めることが可能で
ある。
ゲル化し、生産性を大巾に向上させるとともに、エネル
ギーの節約を可能とし、且つ消し能力に優れ、ブリード
しない字消しを提供することができ、その有用性は頗る
大である。
る。
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂に、可塑剤としてエポ
キシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステルを配合したことを
特徴とする字消し。 - 【請求項2】 エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステ
ルが、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し4〜160
重量部である請求項1記載の字消し。 - 【請求項3】 エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステ
ルが、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し20〜14
0重量部である請求項1記載の字消し。 - 【請求項4】 さらに、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチ
ルエステル以外の可塑剤を配合してなる請求項1〜3の
いずれか1項に記載の字消し。 - 【請求項5】 エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステ
ル以外の可塑剤がフタル酸系可塑剤、トリメリット酸系
可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、ポリエステル系可塑
剤、エポキシ系可塑剤、アジピン酸系可塑剤、セバシン
酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、リン酸系可塑剤、
クエン酸系可塑剤から選ばれる請求項4記載の字消し。 - 【請求項6】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、
エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステルが4〜160
重量部、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステル以外
の可塑剤が196〜40重量部である請求項4又は5記
載の字消し。
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