JP2003070786A - 超音波撮像装置 - Google Patents
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Abstract
超音波探触子の位置及び方向を求め、この求めた超音波
探触子の位置及び方向に基づいて、コンパウンド信号構
成部7においてディジタル整相加算回路から出力される
受信ビーム信号の被検体に対する位置関係を求め、予め
計測された他の受信ビーム信号と被検体に対する位置関
係を整合させて受信ビーム信号同士を合成し、合成受信
ビーム信号を信号処理回路8により輝度信号に変換して
画像信号を生成することにより、輝度信号に変換する前
の位相情報を有する受信ビーム信号同士を合成して干渉
を利用してノイズを低減する。
Description
撮像装置に係り、特に、いろいろな角度から走査して得
られる画像信号を合成して1つの画像として表示する、
一般にコンパウンド走査像と称される高画質の断層像を
得る技術に関する。
波探触子を当て、その探触子から被検体に超音波を送信
するとともに、被検体内部からの反射波(エコー信号)
を受信し、そのエコー信号に基づいて被検体の各部の状
態を断層像により表示することにより、診断等に供する
ものである。一般に、超音波探触子は、複数の振動子を
等間隔で直線状、曲線状あるいは面状に配列して形成さ
れている。例えば、リニア走査型の超音波撮像装置は、
口径選択スイッチにより同一時に駆動する振動子群を選
択して口径を形成し、その口径を順次移動して生体や物
体の内部を超音波ビームで走査する。また、コンベクス
走査型の超音波撮像装置においても同様である。
おいても、超音波ビームの向きを予め決めている場合
は、走査して得た複数の受信ビーム信号を各ビーム方向
に対応させて設定されたアドレスのメモリセルに記録し
て、画像を表示するようにしている。
置は、探触子を動かしながら異なる角度や位置の超音波
ビーム信号に対応する受信ビーム信号から得た画像を実
時間で合成するようにしている。この場合、超音波ビー
ムの位置や角度が変化するので、探触子の位置情報を実
時間で検出することにより、受信ビーム信号の位置と方
向を求めて合成するようにしている。このように、断層
像同士を重合することによって一方向からの断層像では
描出しにくい被検体内の超音波ビームと平行する媒質境
界を明瞭に描出できる。また、多重反射や強反射体後部
にできる暗い部位を多方向からの画像を重ねることによ
り低減する効果がある。
のコンパウンド画像の生成方法は、受信ビーム信号を輝
度信号に変換してから合成しているため、周知の開口合
成のように位相情報をもつ受信ビーム信号同士を重合す
ることにより干渉させてノイズと信号の比率(S/N
比)を向上させる効果がない。
向上させることを課題とする。
は、上記課題を解決するため、複数の振動子を内蔵した
超音波探触子と、前記複数の振動子を駆動して前記被検
体に送信する超音波ビームを生成する送波フォーカス手
段と、前記複数の振動子により受信される各エコー信号
をデジタル信号に変換して各エコー信号の位相を合わせ
て整相させた後加算して受信ビーム信号を生成するデジ
タル整相加算手段と、このデジタル整相加算手段から出
力される前記受信ビーム信号を輝度信号に変換して画像
信号を生成する信号処理手段とを有してなる超音波撮像
装置において、前記被検体に対する前記超音波探触子の
位置及び方向を求める位置検出手段と、この求めた前記
超音波探触子の位置及び方向に基づいて前記デジタル整
相加算手段から出力される前記受信ビーム信号の前記被
検体に対する位置関係を求め、予め計測された他の受信
ビーム信号と前記被検体に対する位置関係を整合させて
受信ビーム信号同士を合成するコンパウンド信号構成手
段とを設け、前記信号処理手段は合成受信ビーム信号を
輝度信号に変換して前記画像信号を生成することを特徴
とする。
換する前に合成していることから、受信ビーム信号の位
相情報が失われないため、受信ビーム信号同士を合成す
ることにより干渉させてS/N比を向上させることがで
きる。
手段は、超音波ビームの走査面に対応させてアドレスが
配列されたメモリセルを有するメモリを備え、デジタル
整相加算手段から出力される受信ビーム信号をメモリの
対応するアドレスのメモリセルに重ねて記憶させること
により、他の受信ビーム信号と合成することができる。
また、この合成をする場合に、一定の比率によってメモ
リアドレスを調整することによって、接合断層像の画角
拡大を図ることも容易に実現できる。
る複数枚の画像間の相互関係から被検体に対する超音波
探触子の位置及び方向を求める周知の方法を採用するこ
とができる。これによれば、機械式の位置検出装置に探
触子を取り付けて探触子の位置と方向を検出しながら、
被検体走査を行なうという煩雑さを回避することができ
る。なお、本発明は、機械式の位置検出装置を用いても
よく、また、周知の磁気センサを用いてもよい。
のエコー信号の相互相関に基づいて超音波走査面の媒質
の音速分布を求める音速分布計測手段を設け、コンパウ
ンド信号構成手段は、求めた音速分布に基づいて受信ビ
ーム信号と被検体との位置関係を補正することが好まし
い。これによれば、被検体内の各媒質音速の違いによる
ビームの進行距離と時間の歪によって受信ビーム信号の
位置関係が誤差を持ってくるが、その誤差を補正するこ
とができる。その結果、精密なコンパウンド信号合成が
可能となり、明暗の違いを明確に描出できる。
れる受信ビーム信号の極性を反転する信号反転手段を設
け、コンパウンド信号構成手段は、デジタル整相加算手
段から出力される受信ビーム信号と信号反転手段から出
力される反転受信ビーム信号について、それぞれ合成受
信ビーム信号を生成し、この生成された合成受信ビーム
信号同士をさらに加算するようにしてもよい。すなわ
ち、正相と逆相の受信ビーム信号を合成して高画質の高
調波断層像を得ることができ、特に同一の受信ビーム信
号を用いて高調波画像を得ることができるから、従来の
ように正相と逆相の超音波ビームをそれぞれ走査して高
調波画像を得る場合に比べて、単位時間あたりの撮像画
像の枚数(フレームレート)の低下無しに撮像すること
ができる。
段により求めた前記被検体に対する前記超音波探触子の
位置及び方向に基づいて超音波ビームの方向を制御する
機能を備えて構成することができる。これによれば、基
準となる断層像に対して異なる方向からの断層信号を重
畳することにより、精緻な断層像を描出することができ
る。また、受信ビーム信号を構成する各振動子のエコー
信号の相互相関に基づいて超音波走査面の媒質の音速層
構造を求める音速層構造計測手段を設け、コンパウンド
信号構成手段は、音速層構造に基づいて受信ビーム信号
の進行距離と時間の歪を補正することが望ましい。
て図面を用いて詳細に説明する。 (第1の実施の形態)図1は、超音波撮像装置の一実施
形態のブロック構成図である。同図において、送波回路
1から送受分離回路2と振動子選択スイッチ(SW)3
を介して探触子4を駆動する超音波パルス信号が供給さ
れる。探触子4は、複数の振動子を有して形成されてい
る。振動子選択スイッチ3はマルチプレクサ回路で形成
され、同一時に駆動する複数の振動子群(口径)を選択
して切替えるようになっている。送波回路1は、振動子
を駆動するための超音波パルス信号を発生し、口径を構
成する複数の振動子に供給するに超音波パルス信号を、
それぞれ遅延させて被検体内に送信する超音波ビームの
方向及び焦点位置等を制御するようになっている。
号(エコー信号)は探触子4の各振動子により受信され
電気信号に変換される。電気信号に変換されたエコー信
号は、振動子選択スイッチ3を介して送受分離回路2か
ら受波回路5に導かれる。つまり、送受分離回路2は、
超音波送信時には信号を送波回路1から振動子側へ通過
させ、受信時には信号を振動子側から受波回路5へ通過
させる。
てデジタル信号に変換してディジタル整相加算回路6に
出力する。ディジタル整相加算回路6は、受波回路5か
ら出力されたデジタルエコー信号の位相をそろえて加算
し、受信ビーム信号を形成してコンパウンド信号構成部
7に出力する。コンパウンド信号構成部7は、入力され
る受信ビーム信号と先に計測された他の受信ビーム信号
とを、被検体の位置関係を合わせて合成してコンパウン
ド信号を生成する。信号処理回路8は、コンパウンド信
号構成部7から出力されるコンパウンド信号を画像化す
るための処理を行う。すなわち、コンパウンド信号に対
して検波、対数圧縮、γ補正を施し、輝度信号の画像信
号を生成する。信号処理回路8により生成された画像信
号は表示部9に導かれ、ここにおいて超音波ビーム走査
と画像表示走査の変換を行い、画像を表示器に表示す
る。
4との相対的な位置変位量、及び人体のように被検体内
部の拍動などの一般に体動と呼ばれる現象を位置変位量
として検出し、コンパウンド信号構成部7へ出力する。
この断層像変位検出部10としては、例えば、連続的に
撮影された画像間の相関関係から、探触子の位置変動を
検出するものを適用できる。また、機械式の探触子位置
検出アームによるものや磁気センサーなどを使用でき
る。要は、波探触子4と被検体との位置関係を検知し得
るものであれば公知の方法を用いることができる。CP
U(中央演算ユニット)11は、上述した構成要素を統
括して制御するものである。
作を次に説明する。まず、操作者は超音波撮像装置の機
能について初期指示を行なう。例えば、検査に入る前に
装置に対してコンパウンド画像を得たい旨指示を行う。
この場合において、操作者は超音波ビーム信号からコン
パウンド画像を合成するか、輝度信号を用いて画像合成
するか、画角拡大と共にコンパウンド画像合成を行う
か、画角を拡大せずに画像合成を行うかを選択できる。
そのために、画像合成モード切り替え器をコンソールに
設け、選択したモードでコンパウンド画像合成を行わせ
るようにすることができる。
択した後、操作者が探触子4を被検者の検査部位の体表
に当て、超音波スキャン(走査)の開始指令を操作器か
ら入力する。これに応答してCPU11から口径選択、
送波遅延データ、受波遅延データがそれぞれ振動子選択
スイッチ3、送波回路1、受波回路5に設定される。ま
た、コンパウンド画像合成モードの選択指令に応答し
て、コンパウンド信号構成部7が選択されて超音波ビー
ムによるスキャンが開始される。スキャンは、送波回路
1から探触子4の口径を形成する振動子の各々に個別に
対応して、各々の遅延時間が与えられた駆動パルスが送
受分離回路2を介して振動子選択スイッチ3に入力され
る。振動子選択スイッチ3では駆動パルスを口径に対応
した各振動子に出力されるように接続切り替えがなされ
ている。これにより、振動子選択スイッチ3から出力さ
れる駆動パルスによって選択された振動子群が駆動され
る。
順に駆動されて生体内に超音波を送信する。生体内へ送
信された超音波は、予め初期設定された送波フォーカス
点に、各振動子から射出される超音波の波面が同じ位相
で同時に到達するように、送波回路1によって遅延時間
が調整されている。伝播の過程で生体内に音響インピー
ダンスの異なる組織が存在すると、その境界面で超音波
ビームの一部が反射され、反射波(エコー)が探触子方向
へ戻ってくる。エコーは生体内の浅い部位から深い部位
へと送信された超音波が伝播して行くのに応じて順次探
触子方向へ戻る。これらのエコーは、送信時に駆動され
た振動子又はそれらより小口径から大口径の振動子群へ
と時間と共に切り替え選択される振動子群で受信され、
電気信号のエコー信号に変換される。
振動子選択スイッチ3及び送受信分離回路2を介して受
波回路5に入力され、ここにおいて振動子の各素子ライ
ン(チャネル)ごとに個別に増幅処理され、チャネルごと
にデジタル信号に変換される。デジタル化されたエコー
信号はデジタル整相加算回路6へ入力される。デジタル
整相加算部6は、超音波振動子の各々に個別に対応して
各々の遅延時間が与えられてデジタル化されたエコー信
号をチャネルごとに遅延させて加算される。つまり、被
検体内のある点(受信ビーム上の各点)から反射したエコ
ーが各チャネルで同一時刻に出現したように時相を揃え
て加算し、エコーに含まれるノイズを低減する。また、
フィルタリング処理を行って、必要な帯域の信号を抽出
して受信ビーム信号を得る。受波回路5におけるこれら
の処理は、ダイナミックフォーカス方式として周知の処
理である。
は、コンパウンド信号構成部7に入力され、本発明の特
徴に係るコンパウンド合成処理がなされる。すなわち、
輝度信号に変換する前の位相情報を持つ受信ビーム信号
同士を合成し、それらの干渉によりS/N比を向上させ
ることが特徴である。そこで、コンパウンド信号構成部
7は、従来とは異なり、複素信号に対応できるように、
かつ高速に動作するようにしている。ここで、コンパウ
ンド合成画像を作成する狙いは、前述したように、被検
体内の超音波ビームと平行する媒質境界を明瞭に描出す
ること、多重反射や強反射体後部にできる暗い部位を多
方向からの画像を重ねることにより低減することにあ
る。したがって、一つの断層像に対して超音波ビームの
位置や向きが異なる他の画像を撮像し、それらの2つの
画像を合成する。この合成においては、被検体の同一部
位からの受信ビーム信号同士を合成しなければならない
から、受信ビームの方向及び受信ビーム信号と深度との
関係、及びそれらと被検体との位置関係を求め、2つの
画像に係る受信ビーム信号の位置関係を整合させて合成
しなければならない。
は、超音波ビームの走査面に対応させてアドレスが2次
元配列されたメモリセルからなる2つのRAMを有す
る。1つは今回の計測により入力される受信ビーム信号
を記憶する受信ビーム信号RAMであり、他の1つは前
回以前に計測された受信ビーム信号又は合成されたコン
パウンド信号を記憶するコンパウンド信号RAMであ
る。それらのRAMのアドレスは、それぞれの計測時の
探触子中心と、その探触子の向き(垂直方向)を基準と
する2次元走査面に対応させて設定されている。
は、断層像変位検出部10によって検出される。この断
層像変位検出部10は、例えば、連続撮影する複数枚の
画像間の相互関係から被検体に対する超音波探触子の位
置及び方向を求める周知の方法が適用されている。機械
式の位置検出装置に探触子を取り付けて探触子の位置と
方向を検出しながら、被検体走査を行なうという煩雑さ
を回避することができる。しかし、本発明はこれに限ら
ず、機械式の位置検出装置を用いてもよく、また、周知
の磁気センサを用いてもよい。
置と向きを基準とし、また媒質の音速の想定値と超音波
の送信から受信までの時間情報とに基づいて、超音波の
進行距離から受信ビーム信号と深度との関係を割り出
し、受信ビーム信号RAMの対応するアドレスのメモリ
セルに受信ビーム信号を深度方向に対応した各部の信号
を記憶する。
た受信ビーム信号RAMの場合と同様に、前回以前に計
測されて合成されたコンパウンド信号(初期状態のとき
は、受信ビーム信号)が記憶されている。したがって、
両者のRAMから被検体の同一部位に対応する信号部分
を読み出して演算することにより、受信ビーム信号とコ
ンパウンド信号とを合成できる。しかし、コンパウンド
信号RAMと受信ビーム信号RAMのアドレスは、探触
子の位置と向きが異なるので位置関係を合わせて合成す
る必要がある。次に、このコンパウンド処理につて詳し
く説明する。
して、コンパウンド信号RAMのメモリセルに重ねて記
録すべき受信ビーム信号が記録してある受信ビーム信号
RAMのメモリセルのアドレスを求める。求めたアドレ
スに対応するメモリセルに受信ビーム信号の対応する部
分が記憶されていなければ、周知の手法により適宜補間
して求める。そして、受信ビーム信号の対応する部分を
コンパウンド信号RAMのメモリセルに重ねて記録す
る。この処理をコンパウンド信号RAMの全てのメモリ
セルについて実行することにより、2つの計測に係る受
信ビーム信号をメモリ上で合成することができる。コン
パウンド信号RAMのコンパウンド信号は、信号処理回
路8に出力される。信号処理回路8では、コンパウンド
信号に対して検波、対数圧縮、γ補正を施し、輝度信号
の画像信号を生成し、表示部9を介して表示器に表示す
る。
の受信ビーム信号RAMのメモリセルのアドレスを求め
る式は、例えば、以下のようになる。 Xb={(Xc-X)cosθ+(Yc-Y)sinθ}/α Yb={(Yc-Y)cosθ+(Xc-X)sinθ}/β X:初期画像を基準とした横方向の座標軸上の探触子位
置 Y:初期画像を基準とした縦方向の座標軸上の探触子位
置 θ:初期画像の真下方向を基準としたビーム方向 Xb:受信ビーム信号RAMのアドレス(受信ビーム走査方
向) Yb: 受信ビーム信号RAMのアドレス(受信ビーム方向) Xc:コンパウンド信号RAMのアドレス(表示画面の横方
向) Yc: コンパウンド信号RAMのアドレス(表示画面の縦方
向) α:受信ビーム信号RAMからコンパウンド信号RAMへの拡
大計数(受信ビーム走査方向) β:受信ビーム信号RAMからコンパウンド信号RAMへの拡
大計数(受信ビーム方向) 上記式で、初期画像とは、コンパウンド合成を開始する
ように操作者が指示してから最初に構成した断層像又は
コンパウンド合成開始指示の如何によらず現在注目して
いる断層像の直前の画像を言う。初期画像以降に入力さ
れる断層像は、初期画像の座標軸を基準に回転、移動さ
れ、合成した後コンパウンド画像として出力される。
号処理が振動子の選択切り替え又は超音波ビームの方向
偏向を伴って繰り返し行い、その送受信の繰り返し毎に
入力してくる受信ビーム信号で画像が形成される。画像
化されたメモリ内の記憶内容は、CRT表示器等の走査
に同期して読み出され、生体内が超音波走査により画像
化される。この画像化が複数回繰り返し行われ、これら
複数の画像は順次コンパウンド信号構成部7で処理さ
れ、コンパウンド画像として表示される。
パウンド画像合成の一例を示す。図において、探触子2
0は超音波画像との位置関係を示すために模式的に示さ
れている。(a)は初期画像21で、次の超音波撮像に
よって(b)に示す超音波画像22が撮像され、さらに
次の超音波撮像によって(c)に示す超音波画像23が
撮像され、それらのコンパウンド合成により(d)のコ
ンパウンド画像24が合成される。コンベックス走査型
の場合は、図6(a)、(b)に示すように、コンベッ
クス型の探触子26により初期画像27を撮像後、探触
子26の位置をずらして超音波画像28を撮像し、それ
らをコンパウンド合成して、コンパウンド画像29が合
成される。
をRAM上で行うことは、輝度信号を扱ったものでは従
来から知られている。しかし、本実施形態では、これら
の動作を輝度信号に変換する前の整相加算後の複素信号
でコンパウンド合成を行うことを特徴とする。その結
果、受信ビーム信号の位相情報が失われないため、合成
によって干渉させてS/N比を向上させることができ
る。 (第2の実施の形態)一般に、コンパウンド操作を行う
際の問題として、何らかのエラーにより複数の受信ビー
ム信号の位置関係を正しく重畳できなかった場合、画質
劣化を招くことが知られている。例えば、ビーム位置情
報のわずかな誤差が蓄積して誤差が大きくなると重畳位
置の正確性が低下する。このようなビーム位置情報の誤
差要因として、被検体が異なる音速の媒質で構成されて
いることがあげられる。つまり、音速が異なる媒質の部
分があると、これら複数の媒質を通過する超音波ビーム
の速度が時間によって増減し、その結果、断層像が歪ん
で見えることになる。特に、探触子の角度と位置を変え
て計測した断層像は、互いにわずかに異なる歪みをもつ
ことになる。第1の実施形態のように位相情報を保存し
てコンパウンド合成を行う方式において、2箇所から撮
像した互いに歪んでいる受信ビーム信号からコンパウン
ド信号を構成すると、輝度信号を重畳する従来の方法に
対して大きな画質劣化を引き起こし、コンパウンド画像
がぼやけたようになる。そこで、重畳する受信ビーム信
号の位置情報を媒質音速の違いに応じて補正することが
有用となる。
音速の違いに応じて補正する本発明の実施形態に係る超
音波撮像装置の要部のブロック構成図を示す。同図に示
すように、本実施形態は、図1の実施形態に加えて、断
層像の各部位の音速値を推定する音速推定部17と、推
定された音速を記憶する断面音速マップ12を設け、コ
ンパウンド信号構成部7は断面音速マップ12の音速分
布データに基づいて受信ビーム信号の位置情報を補正し
てコンパウンド合成する構成としている。音速推定部1
7は、デジタル整相加算回路6において加算されてビー
ム信号になる前の各チャネルのエコー信号を取り込み、
チャネル信号を相互相関演算することによって各チャネ
ル信号間の位相差を求める。この位相差は、予め想定し
た媒質音速と実際の媒質音速が一致していれば検出され
ない。しかし、一般には想定音速と実際の媒質音速が異
なるので、位相差が検出されることになる。例えば、位
相差をチャネルごとに並べてグラフ上に表示すると、位
相差が検出できなかった場合には全てのチャネルで位相
差がゼロの直線となる。また、想定音速と実際の音速が
異なっていれば、各チャネルの位相差は傾きを持った直
線的な分布となる事がわかっている。この直線の傾き
は、想定音速と実際の媒質の音速とが隔たるほど急峻に
なる事もわかっている。この関係を用い、想定音速と実
際の媒質音速との隔たりを模擬して、各チャネルの位相
差の直線の傾きと媒質音速との関係を予め導びき出すこ
とができる。そして、この関係を媒質音速と位相差の分
布傾きとを対照させる表形式で導き出し、内部記憶とし
て保持しておけば、簡単に媒質音速を求めることができ
る。すなわち、各チャネル間の位相差を求め、全チャネ
ルの位相差分布の傾きを最小2乗誤差法等で求め、上に
述べた傾きと音速との関係の対照表を引くことでフォー
カス点までに含まれる媒質の平均音速がわかる。このよ
うにしてフォーカス点ごとに調べた音速値を断面音速マ
ップ12の記憶部上の各フォーカス点に対応する位置の
アドレスに次々と記録してゆくことで音速マップを作成
できる。
ジタル整相加算回路6から入力される受信ビーム信号に
ついて、コンパウンド信号RAMに重畳して記録する値
を求めるにあたり、被検体内の媒質音速を断面音速マッ
プ12から読み出し、媒質の音速に応じて受信ビーム信
号RAMのアドレスを補正する。そして、補正されたア
ドレスに記憶された受信ビーム信号の成分と、コンパウ
ンド信号記憶RAMに記憶している値とを重畳する演算
を行い、その結果をコンパウンド信号RAMに書き込
む。
の受信ビーム信号RAMのメモリセルのアドレスを求め
る式は、例えば、以下のようになる。なお、音速マップ
12の値を探触子に近い部位から深い方向に向かっての
平均音速とし、アドレスを受信ビーム信号RAMの受信
ビーム走査方向と受信ビーム方向共に同一のデータ間隔
を持つ(隣接アドレス間のサンプリング間隔を互いのR
AMで同じくする)構成とする。また、受信ビーム方向
には音速の異なる媒質によって上記ひずみが生じている
ので、受信ビーム信号RAMのアドレス補正を行い、ビ
ーム走査方向には振動子の配列ピッチによって決まるビ
ーム走査間隔おきに超音波受信ビームが並んでいると仮
定する。 Xv={(Xc-X)cosθ+(Yc-Y)sinθ}/α Yv={(Yc-Y)cosθ+(Xc-X)sinθ}/β Xb=Xv Yb=Yv×V/γ(Xv,Yv) X:初期画像を基準とした横方向の座標軸上の探触子位
置 Y:初期画像を基準とした縦方向の座標軸上の探触子位
置 θ:初期画像の真下方向を基準としたビーム方向 Xb:受信ビーム信号RAMのアドレス(受信ビーム走査方
向) Yb: 受信ビーム信号RAMのアドレス(受信ビーム方向) Xc:コンパウンド信号RAMのアドレス(表示画面の横方
向) Yc: コンパウンド信号RAMのアドレス(表示画面の縦方
向) Xv:音速マップRAMのアドレス(受信ビーム走査方向) Yv:音速マップRAMのアドレス(受信ビーム方向) α:ビーム信号RAMから音速マップRAMへの拡大係数(受
信ビーム走査方向) β:ビーム信号RAMから音速マップRAMへの拡大係数(受
信ビーム方向) γ(Xv,Yv):音速マップRAMの値(アドレスXv,Yvの値) V:標準媒質音速(医療用超音波断層像装置でのJIS規格
では1530m/s) (第3の実施の形態) 一般に、超音波が被検体内を通過するとき、波形は媒質
の物性によって歪み、通過距離が長くなるにつれて歪み
の程度は徐々に大きくなり、基本波成分に対する高調波
成分の割合が増加することが知られている。この高調波
成分のうち特に2次高調波を抽出して可視化することが
知られている。この方法として、例えば、正相波形によ
って振動子を駆動して被検体内に超音波を送り込み、反
射した超音波信号を受信して整相加算した位相情報を有
する受信ビーム信号を記憶しておく。次いで、送信波形
の位相を逆相にして、同様に送受信を行い整相加算した
位相情報を有する受信ビーム信号を生成し、これと前記
正相波形の受信ビーム信号との和を求めて可視化するも
のが知られている。このようにすることによって、最初
に送受信した信号から基本波をほぼ消去でき、2次高調
波はほぼ倍の大きさになるので、非常に有効な2次高調
波可視化法である。しかし、この方法は、1枚の2次高調
波画像を得るのに常に2回の送受信を行わなければなら
ず、単位時間あたりの画像枚数(フレームレート)が通常
の場合に対して半分となってしまう。そこで、フレーム
レートを低下させずに2次高調波を可視化する方法が望
まれる。
に適用した第3の実施形態の超音波撮像装置のブロック
構成図を示す。図示のように、本実施形態は、図1の実
施の形態に対して、2系統のコンパウンド信号構成部7
a,7bを設けていること、デジタル整相加算回路6か
ら出力される受信ビーム信号の位相を反転させる信号反
転部13を設けていること、及び受信ビーム信号を信号
反転部13に送るか、そのままコンパウンド信号構成部
7aに送るかを振り分ける反転非反転信号選択部14を
設けていること、さらに2系統のコンパウンド信号構成
部7a、7bでで各々合成したコンパウンド信号同士を
加算して、高調波信号を抽出する演算を行う信号重畳部
15と設けていることが相違する。
整相加算回路6から出力される受信ビーム信号は反転非
反転信号選択部14に送られ、最初に入力された1画像
分の受信ビーム信号は信号位相を反転しないでコンパウ
ンド信号構成部7aに送られる。そして、図1の場合と
同様にコンパウンド信号が合成されて信号重畳部15に
送られる。次に、反転非反転信号選択部14に入力され
る1画像分の受信ビーム信号は、信号反転部13で信号
位相が反転された後、コンパウンド信号構成部7bに送
られコンパウンド信号が合成された後、信号重畳部15
に出力される。信号重畳部15ではコンパウンド信号構
成部7aと7bから出力されるコンパウンド信号を加算
して、信号処理回路8に出力する。このようにして、次
々を入力される受信ビーム信号に対して、コンパウンド
信号構成部7aからのコンパウンド信号が出力されれ
ば、すぐさま信号重畳部15でコンパウンド信号構成部
7bからの直前の出力信号と加算して結果を出力する。
そして、コンパウンド信号構成部7bから新たなコンパ
ウンド信号が出力されれば、コンパウンド信号構成部7
aからの直前のコンパウンド信号と加算して出力する。
このようにして、最初にコンパウンド信号構成部7a、
7bにコンパウンド信号が揃えば、フレームレートを低
下させずに2次高調波信号を取り出して可視化すること
が可能となる。
反転して演算を行ったが、送信波形の位相を反転するこ
とでも同様の効果がある。また、本実施形態によれば前
記コンパウンド信号画像としての特徴も併せ持つため、
単なる高調波断層画像では得られない高品質な断層像を
描出できる。 (第4の実施の形態)上記各実施の形態によれば、コン
パウンド画像を構成しつつ超音波断層像の画角を拡大し
て表示することが可能である。画角拡大の必要がなくて
も、コンパウンド画像を表示できれば、使用者の選択の
幅が広がるだけではなく、高品位のコンパウンド画像を
提供することができるので有用である。
撮像装置のブロック構成図を示す。本実施形態は、第1
の実施形態のものに超音波の送受信ビームの方向を断層
像と超音波探触子との位置変位量によって制御する超音
波ビーム方向制御部16を加えたものである。
を基準とし、超音波ビームを常に初期画像に重ねるよう
に制御することで、さらに高品質なコンパウンド断層像
が得られる。断層像変位検出部10から出力される変位
量は、コンパウンド信号構成部7と超音波ビーム方向制
御部16に送られ、コンパウンド信号構成部7では図1
の場合と同様に変位量とデジタル整相加算回路6から出
力される受信ビーム信号とからコンパウンド信号を合成
する。一方、超音波ビーム方向制御部16では、初期画
像領域に常にビームを向けるようにビーム方向を制御す
る。例えば、図7(a)に示す初期画像21に対し、同
図(b)に示すように探触子20の位置を横にずらした
場合、超音波ビームの方向を制御して初期画像領域に常
に向けて、超音波画像30を撮像する。この場合、図8
のように初期画像21の中心に位置するビームを基準に
注目画像を構成させるためのビームを通過させたい位置
(Xp,Yp)を任意に定める。そして、以下に示す式により
ビーム方向を算出する。 κ=atan{(X-Xp)/Yp}-θ κ:初期画像のビーム方向を基準とした注目走査面を構
成するビームの方向 Xp:初期画像を基準としたビーム通過アドレス(受信ビ
ーム走査方向) Yp:初期画像を基準としたビーム通過アドレス(受信ビ
ーム方向) ここで、(Xp,Yp)はユーザーが制御卓から入力しても良
いし、自動的に表示画像の中央を選んでも良い。上記式
κを使用して図1の実施形態と同様に断層像の位置変位
情報とコンパウンド信号を合成するためのメモリアドレ
スとから元になる受信ビーム信号を記録した受信ビーム
信号RAMのアドレスを求める式は、例えば以下のよう
になる。 Xb={(Xc-X)(1+sinθ)(1-sinθ)+(Yc-Y)cosθsinθ}/
{α(1+sinθ)(1-sinθ)} Yb=(Yc-Y)cosθ/{β(1+sinθ)(1-sinθ)} X:初期画像を基準とした横方向の座標軸上の探触子位
置 Y:初期画像を基準とした縦方向の座標軸上の探触子位
置 θ:初期画像の真下方向を基準としたビーム方向 Xb:受信ビーム信号RAMのアドレス(受信ビーム走査方
向) Yb: 受信ビーム信号RAMのアドレス(受信ビーム方向) Xc:コンパウンド信号RAMのアドレス(表示画面の横方
向) Yc: コンパウンド信号RAMのアドレス(表示画面の縦方
向) α:ビーム信号RAMから音速マップRAMへの拡大係数(受
信ビーム走査方向) β:ビーム信号RAMから音速マップRAMへの拡大係数(受
信ビーム方向) 図7に示した例は、探触子を動かす例について示した
が、図9(a)〜(d)に示すように、探触子20は動
かさずに、超音波ビームの方向を斜めに傾ける制御(オ
ブリーク)してコンパウンド合成を行なうこともでき、
上述の実施形態と同一の効果が得られる。
ス探触子を用いた走査では、上記のように斜め走査を行
う方法以外に、図10(a)、(b)に示すように画角
の移動でこれを行う方法がある。この場合は、コンパウ
ンド信号合成部での変換が簡易であり、フォーカスデー
タも斜め走査用のものを事前に用意する必要が無く、開
口部正面のみのフォーカスデータがあればよいので有用
である。当然、コンベクス探触子の場合においては斜め
走査と画角移動を組み合わせて用いても良い。
の振動子による2次元断層像について示したが、本発明
はこれに限られるものではなく、リングアレーや、2次
元配列振動子を用いた2次元画像や3次元画像を表示す
る場合においても、適用することができる。
受信ビーム信号を輝度信号に変換した後の、つまり位相
情報が消失した後の受信ビーム信号を用いて、コンパウ
ンド合成を行うようにしてもよい。
うにした公知の超音波撮像装置においては、元々多重信
号のあった部位の信号を減弱させることがあり、これに
より感度低下を招くことが起こりえるが、本実施形態と
組み合わせれば効果的に低輝度部位を目立たなくでき
る。
ピーダンスの著しく異なる界面を通過するとき、この界
面よりも深い部位では超音波エネルギが散逸して減弱
(後方散乱)する現象が生ずる。この現象を補正するよう
に構成された公知の超音波撮像装置を、本実施形態と組
み合わせることにより、さらに画質を向上させることが
できる。
コンパウンド画像のS/N比を向上させることができ
る。
ブロック構成図である。
のブロック構成図である。
の形態のブロック構成図である。
施の形態のブロック構成図である。
一様式を示す図である。
査の一様式を示す図である。
す図である。
説明する図である。
他の様式を示す図である。
走査の他の様式を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 複数の振動子を内蔵した超音波探触子
と、前記複数の振動子を駆動して前記被検体に送信する
超音波ビームを生成する送波フォーカス手段と、前記複
数の振動子により受信される各エコー信号をデジタル信
号に変換して各エコー信号の位相を合わせて整相した後
加算して受信ビーム信号を生成するデジタル整相加算手
段と、このデジタル整相加算手段から出力される前記受
信ビーム信号を輝度信号に変換画像して画像信号を生成
する信号処理手段とを有してなるた超音波撮像装置にお
いて、 前記被検体に対する前記超音波探触子の位置及び方向を
求める位置検出手段と、この求めた前記超音波探触子の
位置及び方向に基づいて前記デジタル整相加算手段から
出力される前記受信ビーム信号の前記被検体に対する位
置関係を求め、予め計測された他の受信ビーム信号と前
記被検体に対する位置関係を整合させて受信ビーム信号
同士を合成するコンパウンド信号構成手段とを設け、前
記信号処理手段は合成受信ビーム信号を輝度信号に変換
して前記画像信号を生成することを特徴とする超音波撮
像装置。 - 【請求項2】 前記コンパウンド信号構成手段は、前記
超音波ビームの走査面に対応させてアドレスが配列され
たメモリセルを有するメモリを備え、前記デジタル整相
加算手段から出力される前記受信ビーム信号を前記メモ
リの対応するアドレスのメモリセルに重ねて記憶させる
ことにより、前記他の受信ビーム信号と合成することを
特徴とする請求項1に記載の超音波撮像装置。 - 【請求項3】 前記コンパウンド信号構成手段は、コン
パウンド合成に際して画角拡大処理をする機能を備えて
なることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波撮
像装置。 - 【請求項4】 前記受信ビーム信号を構成する各振動子
のエコー信号の相互相関に基づいて超音波走査面の媒質
の音速分布を求める音速分布計測手段を有し、前記コン
パウンド信号構成手段は、前記音速分布に基づいて前記
受信ビーム信号と前記被検体との位置関係を補正するこ
とを特徴とする請求項1に記載の超音波撮像装置。 - 【請求項5】 前記デジタル整相加算手段から出力され
る前記受信ビーム信号の極性を反転する信号反転手段を
設け、前記コンパウンド信号構成手段は、前記デジタル
整相加算手段から出力される前記受信ビーム信号と前記
信号反転手段から出力される反転受信ビーム信号につい
て、それぞれ前記合成受信ビーム信号を生成し、この生
成された合成受信ビーム信号同士を加算することを特徴
とする請求項1に記載の超音波撮像装置。 - 【請求項6】 前記送波フォーカス手段は、前記位置検
出手段により求めた前記被検体に対する前記超音波探触
子の位置及び方向に基づいて前記超音波ビームの方向を
制御する機能を備えてなることを特徴とする請求項1乃
至5のいずれかに記載の超音波撮像装置。 - 【請求項7】 前記受信ビーム信号を構成する各振動子
のエコー信号の相互相関に基づいて超音波走査面の媒質
の音速層構造を求める音速層構造計測手段を有し、前記
コンパウンド信号構成手段は、前記音速層構造に基づい
て前記受信ビーム信号の進行距離と時間の歪を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波撮像装置。
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