JP2003066202A - 光学フィルム及びその製造方法 - Google Patents

光学フィルム及びその製造方法

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JP2003066202A
JP2003066202A JP2001261378A JP2001261378A JP2003066202A JP 2003066202 A JP2003066202 A JP 2003066202A JP 2001261378 A JP2001261378 A JP 2001261378A JP 2001261378 A JP2001261378 A JP 2001261378A JP 2003066202 A JP2003066202 A JP 2003066202A
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film
cellulose ester
layer
temperature
atmosphere
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Takashi Murakami
隆 村上
Kazuhiro Fukuda
和浩 福田
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温高湿においても、経時劣化しない光学フ
ィルム及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 大気圧もしくはその近傍の圧力下、対向
電極間の反応ガス雰囲気内で発生させた放電プラズマに
より、常温常湿の雰囲気におけるフィルムの機械方向
(流延方向)または幅方向の寸法を基準とし、高温で5
時間加熱後、該常温常湿の雰囲気に戻した時の寸法変化
率が±0.2%未満であり、高温高湿雰囲気下で50時
間放置後、該常温常湿の雰囲気に戻した時の変化率が±
0.3%以内であるセルロースエステルフィルム上に、
直接または他の層を介して金属化合物層を形成すること
を特徴とする光学フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温高湿下の経時
でも劣化することのない光学フィルム及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、テレビジョン、カーナビゲーショ
ン、携帯電話、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等の
液晶画像表示装置、EL画像表示装置、PDPプラズマ
ディスプレイ等に金属化合物薄膜を有する光学フィルム
が使用されている。このような光学フィルムには光学異
方性のほとんどないセルロースエステルフィルムが基材
フィルムとして使用されている。
【0003】従来、このような金属化合物薄膜は、塗布
に代表される湿式製膜法か、あるいは、スパッタリング
法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の真空を用
いた乾式製膜法によって、形成されている。
【0004】塗布は、生産性が高い点で有用であるが、
薄膜を構成する材料を溶媒に溶解あるいは分散した塗布
液としなければならないため、当該溶媒が薄膜中に残存
したり、膜厚の均一性を保つことが難しい等、高機能の
薄膜形成にあり、向いているとは言えない。また、塗布
後の乾燥工程において、塗布液から蒸発した有機溶剤等
の溶媒が環境に負荷を与えるという問題も含んでいる。
【0005】一方、上記真空を用いた乾式製膜法は、高
精度の薄膜が形成出来るため、高性能の薄膜を形成する
には好ましい方法である。しかし、乾式製膜法に用いる
真空装置は、被処理基材フィルムが大きくなると、装置
が非常に大型化し、値段も高額になる他、バッチ単位の
生産のため1ロットごとに解放するのに真空にするにも
排気するにも膨大に時間を費やし、生産性が上げられな
いデメリットが大きい。
【0006】上記、塗布による薄膜では得にくいデメリ
ット、および、真空装置を用いることによる低生産性の
デメリットを克服する方法として、大気圧または大気圧
近傍の圧力下で放電し、反応ガスをプラズマ励起し、基
材フィルム上に薄膜を形成する方法が特開平11−13
3205号、特開2000−185362号、特開平1
1−61406号、特開2000−147209号、同
2000−121804号公報に記載されている(以
下、大気圧プラズマ法とも称することがある)。これら
公報に開示される大気圧プラズマ法は、対向する電極間
に、パルス化され、周波数が0.5〜100kHzであ
り、且つ、電界の強さが1〜100V/cmの電界を印
加し、放電プラズマを発生させるというものである。
【0007】しかしながら、上記公報に開示される大気
圧プラズマ法を適用しても、微少面積への薄膜形成は可
能であるが、大面積への均一製膜は困難であることがわ
かった。また、金属化合物薄膜に要求される性能を十分
に満たしているとは言えないことがわかった。そこで、
上記記載のような種々の薄膜形成に関する問題点の解決
が要望されていた。
【0008】更に、上記のような方法で、セルロースエ
ステルフィルムを基材フィルムとして用い、その上に金
属化合物薄膜が形成され、これらの画像表示装置に使用
されている光学フィルムは経時で性能が劣化するという
問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の課題について、
検討した結果、高温高湿下において、基材フィルムのセ
ルロースエステルフィルムの伸縮が原因であることと薄
膜を形成する方法にも原因があることもわかって来た。
【0010】本発明の目的は、上記問題点に鑑み、高温
高湿においても、経時劣化しない光学フィルム及びその
製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成より
なる。
【0012】(1) 23±3℃、55±3%RHの常
温常湿の雰囲気におけるフィルムの流延方向または幅方
向の寸法をL0(mm)とし、105±3℃で5時間加
熱後、該常温常湿の雰囲気に戻した時の該寸法をL
1(mm)とした時、下記式の寸法変化率(H5h)が
機械方向(流延方向)と幅手方向(横方向)何れも±
0.2%未満であり、且つ80±3℃、90±3%RH
の高温高湿雰囲気下で50時間放置後、該常温常湿の雰
囲気に戻した時の該寸法をL2(mm)とした時、下記
式の寸法変化率(S50h)が機械方向(流延方向)と
幅手方向(横方向)何れも±0.3%以内であるセルロ
ースエステルフィルム上に、直接または他の層を介して
少なくとも1層の金属化合物層を設けたことを特徴とす
る光学フィルム。
【0013】 H5h(%)={(L1−L0)/L0}×100 S50h(%)={(L2−L0)/L0}×100 (2) 前記セルロースエステルフィルムが機械方向
(流延方向)と幅手方向(横方向)何れも引張弾性率が
3.60kN/mm2以上であることを特徴とする
(1)に記載の光学フィルム。
【0014】(3) 前記金属化合物層の炭素含有量が
0.2〜10質量%であり、膜厚が1〜1000nmで
あることを特徴とする(1)または(2)に記載の光学
フィルム。
【0015】(4) 前記金属化合物層が大気圧もしく
はその近傍の圧力下、対向電極間の反応ガス雰囲気内で
プラズマ放電処理により設けられたものであることを特
徴とする(1)乃至(3)の何れか1項に記載の光学フ
ィルム。
【0016】(5) 対向する電極間に高周波電圧を印
加し、1W/cm2以上の電力を供給して、大気圧もし
くはその近傍の圧力下、対向電極間の反応ガス雰囲気内
で発生させた放電プラズマにより光学フィルムを製造す
る方法において、23±3℃、55±3%RHの常温常
湿の雰囲気におけるフィルムの機械方向(流延方向)ま
たは幅方向(横方向)の寸法をL0(mm)とし、10
5±3℃で5時間加熱後、該常温常湿の雰囲気に戻した
時の該寸法をL1(mm)とした時、下記式の寸法変化
率(H5h)が機械方向(流延方向)と幅手方向(横方
向)何れも±0.2%未満であり、且つ80±3℃、9
0±3%RHの高温高湿雰囲気下で50時間放置後、該
常温常湿の雰囲気に戻した時の該寸法をL2(mm)と
した時、下記式の寸法変化率(S50h)が機械方向
(流延方向)と幅手方向(横方向)何れも±0.3%以
内であるセルロースエステルフィルム上に、直接または
他の層を介して少なくとも1層の金属化合物層を形成す
ることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0017】 H5h(%)={(L1−L0)/L0}×100 S50h(%)={(L2−L0)/L0}×100 (6) 対向する電極間に100kHzを超える高周波
電圧を印加することを特徴とする(5)に記載の光学フ
ィルムの製造方法。
【0018】本発明を詳述する。本発明に使用するセル
ロースエステルフィルムが、上記H5hが±0.2%未
満且つS50hが0.3%以内で、好ましくは引張弾性
率が3.60kN/mm 2以上有するセルロースエステ
ルフィルムを基材フィルムに使用し、光学フィルムの高
温高湿状況下に長時間曝しても変化しないという効果を
得ることが出来る。より好ましくは引張弾性率は機械方
向(流延方向)と幅手方向(横方向)とも3.70kN
/mm2以上であり、更に好ましくは3.80kN/m
2以上である。上限は6.00kN/mm2であること
がセルロースエステルフィルムの取り扱い性の点から好
ましい。
【0019】かかる性質を有する光学フィルムを形成す
るためのセルロースエステルフィルムの高温、高温高湿
における性質、更に好ましくは上記の引張弾性率を与え
ることの出来る方法で作製されたものであれば特に限定
ないが、特に、セルロースエステルフィルムを溶液流延
製膜方法で製膜する際、機械方向(流延方向)と幅手方
向(横方向)の何れかの方向、または何れの方向に1.
01〜1.50倍延伸して乾燥し、下記式の残留溶媒量
が0.02質量%以下に仕上げる(巻き取る)ことによ
って得られる。
【0020】 残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100 式中、Mはセルロースエステルフィルム製造中の任意の
時点で採取したウェブまたはフィルムの質量、NはMで
用いた試料を110℃で3時間加熱乾燥した時の絶乾試
料の質量である。
【0021】ここで、本発明に使用するセルロースエス
テルフィルムの原材料〜製造について述べる。
【0022】本発明に用いられるセルロースエステルの
原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リ
ンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることが出来
る。またそれらから得られたセルロースエステルはそれ
ぞれを単独であるいは任意の割合で混合使用することが
出来るが、綿花リンターを50質量%以上使用すること
が好ましい。
【0023】本発明に係わるセルロースエステルは、セ
ルロース原料のアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水
プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のよう
な有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫
酸のようなプロトン性触媒を用いて反応が行われる。ア
シル化剤が酸クロライド(CH3COCl、C25CO
Cl、C37COCl)の場合には、触媒としてアミン
のような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的
には特開平10−45804号公報に記載の方法で合成
することが出来る。セルロースエステルはアシル基がセ
ルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグ
ルコースユニットが多数連結したものからなっており、
グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の
水酸基にアシル基が誘導された数を置換度という。例え
ば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの
3個の水酸基全てにアセチル基が結合している。
【0024】本発明に係るセルロースエステルフィルム
に用いることが出来るセルロースエステルには特に限定
はないが、総アシル基の置換度が2.40から2.98
で、アシル基のうちアセチル基の置換度が1.4以上が
好ましく用いられる。
【0025】アシル基の置換度の測定方法はASTM−
D817−96に準じて測定することが出来る。
【0026】本発明に係わるセルロースエステルは、セ
ルローストリアセテートやセルロースジアセテート等の
セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオ
ネート、セルロースアセテートブチレート、またはセル
ロースアセテートプロピオネートブチレートのようなア
セチル基の他にプロピオネート基あるいはブチレート基
が結合したセルロースエステルであることが好ましい。
なお、ブチレートは、n−の他にiso−も含む。プロ
ピオネート基の置換度が大きいセルロースアセテートプ
ロピオネートは耐水性が優れる。
【0027】本発明に係るセルロースエステルの数平均
分子量Mn(測定法は下記)は、70,000〜25
0,000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が
強く、且つ適度のドープ粘度となり好ましい。更に8
0,000〜150,000が好ましい。また、重量平
均分子量Mwとの比Mw/Mnは1.0〜5.0のセル
ロースエステルが好ましく使用され、更に好ましくは
1.5〜4.5である。
【0028】《セルロースエステルの数平均分子量の測
定》高速液体クロマトグラフィーにより下記条件で測定
する。
【0029】 溶媒 :アセトン カラム :MPW×1(東ソー(株)製) 試料濃度 :0.2(質量/体積)% 流量 :1.0mL/分 試料注入量:300μL 標準試料 :ポリメチルメタクリレート(重量平均分子
量188,200) 温度 :23℃。
【0030】また、セルロースエステルを製造中に使用
する、または使用材料に微量ながら混在しているセルロ
ースエステル中の金属は出来るだけ少ない方が好まし
く、Ca、Mg、Fe、Na等の金属の総含有量は10
0ppm以下が好ましい。
【0031】セルロースエステルを溶解しセルロースエ
ステル溶液またはドープ形成に有用な有機溶媒として、
塩素系有機溶媒のメチレンクロライド(塩化メチレン)
を挙げることが出来、セルロースエステル、特にセルロ
ーストリアセテートの溶解に適している。非塩素系有機
溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸
アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオ
キソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ
酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,
2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,
3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノー
ル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プ
ロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1
−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来
る。これらの有機溶媒をセルローストリアセテートに対
して使用する場合には、常温での溶解方法も使用可能で
あるが、高温溶解方法、冷却溶解方法、高圧溶解方法等
の溶解方法を用いることにより不溶解物を少なくするこ
とが出来るので好ましい。セルローストリアセテート以
外のセルロースエステルに対しては、メチレンクロライ
ドを用いることも出来るが、メチレンクロライドを使用
せずに、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく
使用することが出来る。特に酢酸メチルが好ましい。本
発明において、上記セルロースエステルに対して良好な
溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主
たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主
(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
【0032】本発明に係るドープには、上記有機溶媒の
他に、全有機溶媒に対して1〜40質量%の炭素原子数
1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これ
らはドープを金属支持体に流延後溶媒が蒸発をし始めア
ルコールの比率が多くなるとウェブがゲル化し、ウェブ
を丈夫にし金属支持体から剥離することを容易にするゲ
ル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時
は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進
する役割もある。炭素原子数1〜4のアルコールとして
は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−
ブタノール、tert−ブタノールを挙げることが出来
る。これらのうちドープの安定性に優れ、沸点も比較的
低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からエタノ
ールが好ましい。これらの有機溶媒は単独ではセルロー
スエステルに対して溶解性を有していないので、貧溶媒
という。
【0033】本発明において、反射防止膜を有する基材
フィルムとして上記セルロースエステルフィルムを用い
る場合、このセルロースエステルフィルムには可塑剤、
紫外線吸収剤、酸化防止剤、微粒子(マット剤)等を含
有するのが好ましい。
【0034】可塑剤としては特に限定はないが、リン酸
エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメ
リット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、
グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポ
リエステル系可塑剤などを好ましく用いることが出来
る。リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェー
ト、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホ
スフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェ
ニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系で
は、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレー
ト、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブ
チルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、
ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフ
タレート、ジシクロヘキシルイソフタレート、ブチルベ
ンジルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤として、
トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテー
ト、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エス
テル系可塑剤として、テトラブチルピロメリテート、テ
トラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテ
ート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、
トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メ
チルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチ
ルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤として、
トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、
アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブ
チルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキ
シル)シトレート等を好ましく用いることが出来る。
【0035】その他のカルボン酸エステルの例には、オ
レイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシ
ン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれ
る。
【0036】ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基
酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグ
リコールの共重合体を用いることが出来る。脂肪族二塩
基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシ
ン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシ
ルジカルボン酸などを用いることが出来る。グリコール
としては、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレ
ングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−
ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールなど
を用いることが出来る。これらの二塩基酸及びグリコー
ルはそれぞれ単独で用いても良いし、二種以上混合して
用いても良い。
【0037】本発明において、上記可塑剤のうち、特に
非リン酸エステル系の可塑剤を用いるのが好ましい。
【0038】これらの可塑剤の使用量は、フィルム性
能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜
20質量%であることが好ましい。
【0039】本発明において、基材フィルムには、紫外
線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤として
は、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ
良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可
視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。好まし
く用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオ
キシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化
合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系
化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化
合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、これ
らに限定されない。又、特開平6−148430号公報
記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
【0040】本発明に有用な紫外線吸収剤の具体例とし
て、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−
3′,5′−ジ−tert−ブチル−フェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ter
t−ブチル−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−te
rt−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,
5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′
−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メ
チレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチ
ル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フ
ェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert
−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−
イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチル−
フェノール《チヌビン(TINUVIN)171》、2
−オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−
イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル
−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)
フェニル〕プロピオネートの混合物《チヌビン(TIN
UVIN)109》、2−(2H−ベンゾトリアゾール
−2イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニル
エチル)フェノール《チヌビン(TINUVIN)23
4》、チヌビン(TINUVIN)1577FF等を挙
げることが出来るが、これらに限定されない。また、上
記のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン32
6、チヌビン1577FF等チヌビンは何れもチバ・ス
ペシャリティ・ケミカルズ社製の市販品で、好ましく使
用出来る。ベンゾフェノン系化合物の具体例として、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒ
ドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス
(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェ
ニルメタン)等を挙げることが出来るが、これらに限定
されない。
【0041】また、本発明に係る支持体に用いることの
出来る紫外線吸収剤は特願平11−295209に記載
されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤を含む
ことが、プラズマ処理工程の汚染が少なく、また、各種
塗布層の塗布性にも優れる為好ましく、特に分配係数が
10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
【0042】可塑剤や紫外線吸収剤吸収剤を含むセルロ
ースエステルフィルムを基材フィルムとして用いた場
合、これらがブリードアウトするなどによって、プラズ
マ処理部に付着するなどして工程を汚染し、これがフィ
ルムに付着する可能性が考えられる。この問題を解決す
るためには、支持体がセルロースエステルと可塑剤を有
し、80℃、90%RHで48時間処理した前後の質量
変化が±2質量%未満である支持体を用いることが好ま
しい(保留性)。このようなセルロースエステルフィル
ムは特願2000−338883記載のセルロースエス
テルフィルム等が好ましく用いられる。また、この目的
のために特開平6−148430号公報及び特願200
0−156039記載の高分子紫外線吸収剤(または紫
外線吸収性ポリマー)が好ましく用いることが出来る。
高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚
化学(株)製)などが市販されている。特開平6−14
8430号の一般式(1)あるいは一般式(2)あるい
は特願2000−156039の一般式(3)(6)
(7)記載の高分子紫外線吸収剤が特に好ましく用いら
れる。
【0043】また、酸化防止剤としては、ヒンダードフ
ェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,
6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリ
チル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレ
ングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,
6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、
2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,
5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ト
リス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)−イソシアヌレイト等を挙げることが出来る。特
に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエ
リスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリ
エチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤や
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファ
イト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの
化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割
合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000p
pmが更に好ましい。この酸化防止剤は劣化防止剤とも
いわれ、高湿高温の状態に液晶画像表示装置などがおか
れた場合、セルロースエステルフィルムの劣化が起こる
場合があり、例えば、セルロースエステルフィルム中に
含まれるハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等によりセ
ルロースエステルフィルムが分解するのを遅らせたり、
防いだりする役割を有するので前記セルロースエステル
フィルム中に含有させるのが好ましい。
【0044】セルロースエステルフィルム中に添加され
る微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪
素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレ
イ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カ
ルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及
びリン酸カルシウムを挙げることが出来る。中でもケイ
素を含むものが濁度が低くなる点、また、フィルムのヘ
イズを小さく出来るので好ましく、特に二酸化珪素が好
ましい。二酸化珪素のような微粒子は有機物により表面
処理されている場合が多いが、このようなものはフィル
ムのヘイズを低下出来るため好ましい。表面処理で好ま
しい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン
類、シラザン、シロキサンなどを挙げることが出来る。
二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下
であり、且つ見かけ比重が70g/L以上であるものが
好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmがより好ま
しく、5〜12nmが更に好ましい。1次粒子の平均径
が小さい方がヘイズが低く好ましい。見かけ比重は90
〜200g/Lが好ましく、100〜200g/Lがよ
り好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の微粒子分
散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が発生せ
ず好ましい。本発明において、リットルをLで表すこと
とする。
【0045】微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型
電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子を観察を
行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって、1
次平均粒子径とした。
【0046】本発明において、上記記載の見掛比重は二
酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時
の重さを測定し、下記式で算出した。
【0047】見掛比重(g/L)=二酸化珪素質量
(g)/二酸化珪素の容積(L) 本発明における微粒子の添加量は、セルロースエステル
フィルム1m2当たり0.01〜1.0gが好ましく、
0.03〜0.3gがより好ましく、0.08〜0.1
6gが更に好ましい。ただし、共流延等による積層構造
のセルロースエステルフィルムの表層のみに微粒子を添
加する場合は、単位面積当たり添加量を減らすことが出
来る。
【0048】本発明に好ましい二酸化珪素の微粒子とし
ては、例えば、日本アエロジル(株)製のアエロジルR
972、R972V、R974、R812、200、2
00V、300、R202、OX50、TT600(以
上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されている
ものを挙げることが出来、アエロジル200V、R97
2、R972V、R974、R202、R812を好ま
しく用いることが出来る。酸化ジルコニウムの微粒子と
しては、例えば、アエロジルR976及びR811(以
上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されてお
り、何れも使用することが出来る。
【0049】ポリマーの微粒子の例として、シリコーン
樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることが出来
る。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造
を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、
同105、同108、同120、同145、同3120
及び同240(東芝シリコーン(株)製)を挙げること
が出来る。
【0050】これらの中でアエロジル200V、アエロ
ジルR972V、アエロジルTT600が本発明のセル
ロースエステルフィルムの濁度を低くし、且つ摩擦係数
を下げる効果が大きいため特に好ましい。
【0051】二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた
四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜120
0℃にて空気中で燃焼させることで得ることが出来る。
【0052】本発明に係わる基材フィルムとしてのセル
ロースエステルフィルムの製膜方法について述べる。セ
ルロースエステルフィルムは溶液流延製膜方法により作
製する。
【0053】溶解工程:セルロースエステル(フレー
ク状の)に対する良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中
で該セルロースエステル、ポリマーや添加剤を攪拌しな
がら溶解しドープを形成する工程、あるいはセルロース
エステル溶液にポリマー溶液や添加剤溶液を混合してド
ープを形成する工程である。セルロースエステルの溶解
には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、
主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95
544号、同9−95557号または同9−95538
号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11
−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々
の溶解方法を用いることが出来るが、本発明において
は、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好まし
い。ドープ中のセルロースエステルの濃度は10〜35
質量%が好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を
加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送
液ポンプで次工程に送る。
【0054】流延工程:ドープを送液ポンプ(例え
ば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液
し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレ
ススティールベルト、あるいは回転する金属ドラム等の
金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドー
プを流延する工程である。ダイの口金部分のスリット形
状を調製出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好まし
い。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があ
るが、何れも好ましく用いられる。金属支持体の表面は
鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを
金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層
してもよい。あるいは、複数のドープを同時に流延する
共流延法により積層構造のセルロースエステルフィルム
とすることも出来る。
【0055】溶媒蒸発工程:ウェブ(金属支持体上に
ドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとす
る)を金属支持体上で加熱し金属支持体からウェブが剥
離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を
蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/
または金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方
法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏
面液体伝熱の方法が乾燥効率がよく好ましい。またそれ
らを組み合わせる方法も好ましい。裏面液体伝熱の場合
は、ドープ使用有機溶媒の主溶媒または最も低い沸点を
有する有機溶媒の沸点以下で加熱するのが好ましい。
【0056】剥離工程:金属支持体上で溶媒が蒸発し
たウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離され
たウェブは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブ
の残留溶媒量があまり大き過ぎると剥離し難かったり、
逆に金属支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、
途中でウェブの一部が剥がれたりする。
【0057】製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来
るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが
出来る)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)があ
る。それは、ドープ中にセルロースエステルに対する貧
溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支
持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持
体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことに
よって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来るので
ある。金属支持体上でのウェブの乾燥条件、金属支持体
の長さ等により5〜150質量%の範囲で好ましく剥離
することが出来るが、残留溶媒量がより多い時点で剥離
する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損な
ったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易く、経
済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量を決め
られる。従って、本発明においては、該金属支持体上の
剥離位置における温度を10〜40℃、好ましくは15
〜30℃とし、且つ該剥離位置におけるウェブの残留溶
媒量を10〜120質量%とすることが好ましい。
【0058】乾燥及び延伸工程:剥離後、ウェブを乾
燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する
乾燥装置及び/またはクリップでウェブの両端をクリッ
プして搬送するテンター装置を用いてウェブを乾燥す
る。前述のように本発明において、クリップ間の幅手方
向に対して1.01〜1.50倍延伸する方法としてテ
ンター装置を用いて延伸する方法、また機械方向に対し
て1.0〜1.05倍延伸する方法として、回転数が次
々と早くなる(初めのロールより1.01〜1.50倍
に早くなる)密間ロール群(ロール間隔が狭く、ほとん
ど接近しているロール群)の延伸装置を用いて延伸する
方法により前述の高温高湿下における寸法変化率が小さ
いフィルムを得ることが出来る。上記機械方向及び幅手
方向の延伸方法を組み合わせて2軸延伸してもよい。例
えば、2軸延伸テンターも好ましく用いることも出来
る。乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一
般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて
加熱する手段もある。あまり急激な乾燥は出来上がりの
フィルムの平面性を損ね易い。全体を通して、通常乾燥
温度は40〜250℃の範囲で行われる。巻き取り時の
残留溶媒量を目標の値にするには、使用する溶媒によっ
て、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶
媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選ぶことが重
要である。巻き取り時のセルロースエステルフィルム中
の残留溶媒量は0.02質量%以下が望ましい。本発明
においては、好ましくは膜厚10〜1000μm、より
好ましくは20〜200μmのセルロースエステルフィ
ルムが用いられる。
【0059】本発明においては、特に大気圧もしくはそ
の近傍の圧力下、対向電極間の反応ガス雰囲気内で基材
フィルムをプラズマ放電処理する装置を用いて、金属化
合物層を基材の上に直接または他の層を介して、形成す
る。
【0060】前述の性質を有するセルロースエステルフ
ィルムを基材フィルムとして使用することにより、高温
高湿下で長時間経時でも金属化合物層が、セルロースエ
ステルフィルムの高温高湿下での寸法の変化に起因する
寸法変化により、平面性の劣化、接着性の劣化等が少な
い均一で安定な光学フィルムを得ることが出来る。
【0061】本発明の光学フィルムは、形成された金属
化合物層中の炭素含有量が0.2〜10質量%であるよ
うに金属化合物薄膜層を形成する方法であれば、制限な
く使用出来るが、特に大気圧もしくはその近傍の圧力
下、対向電極間の反応ガス雰囲気内で基材フィルムをプ
ラズマ放電処理し形成する方法により、金属化合物層を
得ることが出来る。本発明に係るプラズマ放電処理する
装置を用いて金属化合物層を形成する際、金属化合物層
中に炭素含有率0.2〜10質量%、好ましくは0.2
〜8質量%、更に好ましくは0.2〜5質量%の炭素を
含有させることによって、金属化合物層の膜強度を向上
させ、金属化合物層にクラックが入りにくくなり、金属
化合物層を積層しても剥がれず、優れた金属化合物層を
得ることが出来る。炭素含有量が0.2質量%未満だと
クラックが入りやすかったり、積層が剥がれ易くなり、
また、10質量%を超えると膜に傷が入り易くなる。
【0062】本発明に係わる金属化合物層としては、金
属酸化物層、金属窒化物層、金属酸窒化物層等を挙げる
ことが出来るが、特に金属酸化物層が好ましい。
【0063】本発明における大気圧プラズマ放電処理
は、例えば、特願2001−127649あるいは同2
001−131663に記載されている処理方法及び装
置を用いて行うことが出来る。
【0064】ここで、大気圧もしくはその近傍の圧力
下、対向電極間の反応ガス雰囲気内で基材フィルムをプ
ラズマ放電処理する装置及びそれを用いたプラズマ放電
処理方法について述べる。
【0065】対向する電極間に、100kHzを超えた
高周波電圧で、1W/cm2以上の電力を供給し、反応
ガスを励起してプラズマを発生させる。このようなハイ
パワーの電界を印加することによって、緻密で、膜厚均
一性の高い金属化合物層を、生産効率高く得ることが出
来る。本発明において、対向する電極間に印加する高周
波電圧の周波数は、好ましくは100kHzを超え15
0MHz以下である。より好ましくは200kHz〜1
50MHz、更に好ましくは800kHz〜150MH
zである。また、対向する電極間に供給する電力は、好
ましくは1.2W/cm2以上であり、好ましくは1.
2〜50W/cm2以下、更に好ましくは1.2〜20
W/cm2以下である。尚、対向する電極における電圧
の印加面積(/cm2)は、放電が起こる範囲の面積の
ことを指す。対向する電極間に印加する高周波電圧は、
断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっ
ても構わないが、本発明の効果を高く得るためには、連
続したサイン波であることが好ましい。
【0066】図1は、本発明に係わる大気圧近傍の圧力
下でのプラズマ放電処理装置の一例を示す図である。図
2は図1で用いられているロール回転電極を示す斜視図
であり、図3は図1で用いられている角筒型固定電極を
示す斜視図である。
【0067】図1はプラズマ放電処理装置30、ガス充
填手段50、電圧印加手段40、及び電極温度調節手段
60から構成されている。基材フィルムFは図示されて
いない元巻きから巻きほぐされて搬送して来るか、また
は前工程から搬送されて来てガイドロール64を経てニ
ップロール65で基材フィルムに同伴して来る空気等を
カットし、ロール回転電極25に接触したまま巻き回さ
れながら複数の角筒型固定電極36との間を移送され、
ニップロール66、ガイドロール67を経て、図示して
ない巻き取り機で巻き取られるか、次工程に移送する。
反応ガスはガス充填手段50で、ガス発生装置51で発
生させた反応ガスGを、流量制御して給気口52よりプ
ラズマ放電処理容器31内に入れ、該プラズマ放電処理
容器31内を反応ガスGで充填し、放電処理部32へと
均一に送られる。処理排ガスG′は排気口53より排出
するようにする。図では、給気口52、排気口53は一
つしか示してないが、各角筒型固定電極3の間に設ける
ことがより均一にガスの供給排気をすることが出来好ま
しい。次に電圧印加手段40で、高周波電源41により
角筒型固定電極36に電圧を印加し、ロール回転電極2
5にはアースを接地し、放電プラズマを発生させる。図
では、省略してあるが、各々の角筒型固定電極36には
それぞれ電圧印加手段40により高周波電源41から同
じ高周波電圧が供給されるようになっている。ロール回
転電極25または角筒型固定電極36にはそれぞれ電極
温度調節手段60を用いて媒体を加熱または冷却し電極
に送液することが出来る。電極温度調節手段60で温度
を調節した媒体を送液ポンプPで配管61を経てロール
回転電極25または角筒型固定電極36の内部から温度
を調節する。図1では、ロール回転電極用の電極温度調
節手段を別々に示してあるが、調節機能は同様なもので
ある。プラズマ放電処理の際、基材フィルムの温度によ
って得られる薄膜の物性や組成は変化することがあり、
これに対して適宜制御することが好ましい。熱媒体とし
ては、空気等の気体を用いることが出来るが、蒸留水、
シリコンオイルの様な油等の絶縁性材料が好ましく用い
られる。基材フィルムの温度は処理条件によって異なる
が、通常室温〜350℃の温度が用いられる。プラズマ
放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材フィ
ルムの温度ムラが出来るだけ生じないようにロールを用
いた回転電極の内部の温度を制御することが望まれる。
温度ムラは±10℃以内であることが好ましく、更に好
ましくは±5℃以内であり、より好ましくは±1℃以内
であり、最も好ましくは±0.1℃以内である。
【0068】なお、68及び69はプラズマ放電処理容
器31と外界を仕切る仕切板である。
【0069】図2は、図1で用いられているロール回転
電極を示す斜視図であり、図2において、ロール回転電
極25の構成は、金属の導電性を有する母材25Aに対
しセラミックス溶射後、無機物質により封孔処理した誘
電体25Bを被覆した組み合わせになっている。また誘
電体はライニングによるものでもよい。
【0070】図3は、図1で用いられている角筒型固定
電極を示す斜視図であり、図3において、角筒型固定電
極36は上記ロール回転電極と同様に、または金属の導
電性を有する母材36Aに対しセラミックス溶射後、無
機物質により封孔処理した誘電体36Bを被覆した組み
合わせになっている。また誘電体はライニングによるも
のでもよい。固定電極は円柱(円筒)型であってもよ
い。固定電極として角筒型固定電極36は、円柱型に比
べ放電範囲を広げる効果があり、好ましい。
【0071】高周波電源41より複数の角筒型固定電極
36に印加される電圧の値は適宜決定されるが、例え
ば、電圧が0.5〜10kV程度で、電源周波数は10
0kHzを越えて150MHz以下に調整される。それ
ぞれの固定電極に対し同じ放電条件となるように高周波
電圧を供給することが好ましい。ここで電圧の印加法に
関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続
発振モードとパルスモードと呼ばれるON/OFFを断
続的に行う断続発振モードのどちらを採用しても良いが
連続モードの方がより緻密で良質な薄膜が得られる。対
向する電極間に電圧を印加する電源としては、特に限定
はないが、パール工業製高周波電源(200kHz)、
パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製
高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波
電源(150MHz)等を使用することが出来る。
【0072】プラズマ放電処理容器31はパイレックス
(R)ガラス製あるいはプラスティック製の処理容器等
を好ましく用いることが出来るが、電極との絶縁がとれ
れば金属の容器を用いることも可能である。例えば、ア
ルミまたは、ステンレススティールのフレームの内面に
ポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレーム
にセラミックス溶射を行い絶縁性としても良い。
【0073】本発明に使用する対向する電極は、金属母
材の上に誘電体を有していることが望ましい。
【0074】図1において、放電処理部32の電極間隙
は、電極の固体誘電体(図示してない)の厚さ、印加電
圧や周波数、放電プラズマを利用する目的等を考慮して
決定される。上記ロール回転電極の一方に固体誘電体群
を設置した場合の固体誘電体群とロール回転電極との最
短距離として、何れの場合も均一な放電を行う観点から
0.5〜20mmが好ましく、よい好ましくは0.5〜
5mmであり、特に好ましくは1mm±0.5mmであ
る。
【0075】本発明において、上記のプラズマ放電処理
が大気圧または大気圧近傍で行われるが、ここで大気圧
近傍とは、20〜200kPaの圧力を表すが、本発明
に記載の効果を好ましく得るためには90〜110kP
a、特に93〜104kPaが好ましい。
【0076】また、本発明に使用する電極において、電
極の少なくとも基材フィルムと接する側の表面がJIS
B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rm
ax)が10μm以下になるように調整することが好ま
しいが、更に好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以
下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整すること
である。
【0077】金属等の導電性の母材の上に被覆されてい
る固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリエチレンテレフタレート等のプラスティック、ガラ
ス、二酸化珪素、酸化アルミニウム(Al23)、ホワ
イトアルミナ、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チ
タン(TiO2)等の金属酸化物、チタン酸バリウム等
の複酸化物等を挙げることが出来る。特に好ましくは、
ホワイトアルミナのようなセラミックスを溶射後、有機
金属化合物を用いて封孔処理して無機質化したセラミッ
ク被覆処理誘電体であることが望ましい。ここで、金属
等の導電性母材としては、銀、白金、ステンレススティ
ール、アルミニウム、鉄等の金属等を挙げることが出来
るが、加工の観点からステンレススティールが好まし
い。また、ライニングの場合、ライニング材としては、
ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラ
ス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アル
ミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用い
られるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いの
で、更に好ましく用いられる。
【0078】本発明において、電極は、その内側から、
加熱あるいは冷却することが出来るように熱媒体の流路
になっていることが好ましい。電極がベルトの場合に
は、その裏面より気体で冷却または加熱することも出来
るが、ロールを用いた回転電極では内部に媒体を供給し
て電極表面の温度及び基材フィルムの温度を制御するこ
とが好ましい。
【0079】次に本発明の光学フィルムの金属化合物層
を形成する方法について説明する。ここで、本発明に係
わる金属化合物層は、次のような画像表示装置の様々な
機能性層の部材として使用し得る。例えば、反射防止
層、帯電防止層、電極膜、誘電体保護膜、透明導電膜、
エレクトロクロミック膜、磁気記録膜等である。なお、
本発明において、薄膜の膜厚としては、0.1〜100
0nmの範囲の薄膜が好ましい。
【0080】これらに使用する金属化合物の金属として
は、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、C
a、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、
Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、N
b、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、B
a、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、
Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu等を挙げることが出来る。原料と
しては、これらの金属を含む有機金属化合物、金属水素
化物、金属錯体等が用いられるが、有機基部分は、アル
キル基、アルコキシ基、β−ジケトン類が好ましく用い
られ、その他、ハロゲン化合物も好ましく用いられる。
【0081】上記の機能性層のうち、反射防止層を有す
る光学フィルムについて本発明の代表例として説明する
ことにする。反射防止層には、酸化錫、酸化チタン及び
酸化珪素または酸化珪素とフッ素化合物との混合物等の
金属化合物層が用いられる。
【0082】本発明において、例えば、酸化錫を含有す
る金属化合物層は、金属化合物層中に主として酸化錫を
含有している金属化合物層をいい、主としてとは金属化
合物層の80質量%以上を含有し、有機物から来る炭素
やその他の有機物も含有していることを表している。従
って、本発明において、以降、酸化錫を含有する金属化
合物層、酸化チタンを含有する金属化合物層、また酸化
珪素を含有する金属化合物層のように表現する。単に酸
化錫層、酸化チタン層あるいは酸化珪素層と略すことも
ある。
【0083】反射防止層は、屈折率の異なる層を積層し
て構成したものであるので、それぞれの屈折率の主要の
金属化合物層について以下に説明する。
【0084】反射防止層は、高屈折率層を形成するチタ
ン化合物等の層と低屈折率層を形成する珪素化合物、あ
るいは珪素化合物とフッ素化合物の混合物の、あるいは
フッ素系化合物の層を積層することにより構成されてい
る。本発明者らは、先に特願2001−237684に
おいて、中屈折率層を形成する錫化合物を見出し、高屈
折率層として酸化チタン層、中屈折率層として酸化錫
層、それに低屈折率層として酸化珪素層または酸化珪素
とフッ素化合物の混合物の層を積層することにより幅広
い可視光波長領域において反射率が非常に低い反射防止
フィルムを開発した。本発明において、酸化錫層を用い
た場合について説明する。
【0085】屈折率が1.60〜1.90の酸化錫層を
中屈折率層、屈折率が2.00〜2.35の酸化チタン
層を高屈折率層、また、屈折率が1.40〜1.48の
酸化珪素層とし、それらを積層することによって反射防
止層が形成されるが、好ましくは酸化錫層の上に、酸化
チタン層、更にその上に酸化珪素層を積層することによ
って可視光波長領域での反射率が極めて低い反射防止フ
ィルムを得ることが出来る。好ましい例として、酸化錫
層は屈折率が1.70で且つ膜厚67nmであり、酸化
チタン層は屈折率が2.14で且つ膜厚110nmであ
り、酸化珪素層は屈折率が1.44で且つ膜厚が87n
mの組み合わせを挙げることが出来る。
【0086】本発明において、使用する反応ガスは、基
材フィルム上に設ける薄膜の種類によって異なるが、基
本的に、不活性ガスと、薄膜を形成するための反応性ガ
スが混合された反応ガスである。反応性ガスは、反応ガ
スに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ま
しく、より好ましくは0.1〜5体積%である。
【0087】上記不活性ガスとは、周期表の第18属元
素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプ
トン、キセノン、ラドン等が挙げられるが、本発明に記
載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴンが好まし
く用いられる。
【0088】反応性ガスとして、酸化錫の中屈折率層に
用いる錫化合物としては、有機錫化合物、錫水素化合
物、ハロゲン化錫等であり、有機錫化合物としては、テ
トラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル
錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキ
シ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、
トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル
錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジ
メトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジ
ブチラート、ジブチル錫アセトナート、錫ジアセトアセ
トナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫ア
セトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナート
等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化
錫、四塩化錫等を挙げることが出来、何れも本発明にお
いて、好ましく用いることが出来る。また、これらの反
応性ガスを2種以上同時に混合して使用してもよい。な
お、このようにして、形成された酸化錫層は反射防止フ
ィルムの表面比抵抗値を1012Ω/cm2以下に下げる
ことが出来るため、帯電防止層としても有用である。
【0089】高屈折率層に使用するチタン化合物をして
は、有機チタン化合物、チタン水素化合物、ハロゲン化
チタン等があり、有機チタン化合物としては、トリエチ
ルチタン、トリメチルチタン、トリイソプロピルチタ
ン、トリブチルチタン、テトラエチルチタン、テトライ
ソプロピルチタン、テトラブチルチタン、トリエトキシ
チタン、トリメトキシチタン、トリイソプロポキシチタ
ン、トリブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テト
ライソプロポキシチタン、メチルジメトキシチタン、エ
チルトリエトキシチタン、メチルトリイソプロポキシチ
タン、テトラジメチルアミノチタン、ジメチルチタンジ
アセトアセトナート、エチルチタントリアセトアセトナ
ート等、チタン水素化合物としてはモノチタン水素化合
物、ジチタン水素化合物等、ハロゲン化チタンとして
は、三塩化チタン、四塩化チタン等を挙げることが出
来、何れも本発明において好ましく用いることが出来
る。またこれらの反応性ガスを2種以上を同時に混合し
て使用することが出来る。
【0090】低屈折率層に使用する珪素化合物として
は、有機珪素化合物、珪素水素化合物、ハロゲン化珪素
化合物等を挙げることが出来、有機珪素化合物として
は、テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトラ
イソプロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエト
キシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブト
キシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエ
トキシシラン、ジエチルシランジアセトアセトナート、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン等、珪素水素化合物とし
ては、テトラ水素化シラン、ヘキサ水素化ジシラン等を
挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用い
ることが出来る。またこれらの反応性ガスを2種以上を
同時に混合して使用することが出来る。
【0091】上記の金属化合物、特に有機錫化合物、有
機チタン化合物または有機珪素化合物は、取り扱い上の
観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好まし
く、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなど
も少ないことから、金属アルコキシドが好ましく用いら
れる。また、上記の有機錫化合物、有機チタン化合物ま
たは有機珪素化合物を放電空間である電極間に導入する
には、両者は常温常圧で、気体、液体、固体何れの状態
であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間
に導入出来るが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超
音波照射等の手段により気化させて使用される。有機錫
化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物を加熱
により気化して用いる場合、金属テトラエトキシド、金
属テトライソプロポキシドなどの常温で液体で、且つ沸
点が200℃以下である金属アルコキシドが反射防止膜
の形成に好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、
溶媒によって希釈して使用されても良く、この場合、希
ガスでバブリングして反応ガスに使用すればよい。溶媒
としては、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、ブタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれ
らの混合溶媒が使用出来る。
【0092】低屈折率層に、有機珪素化合物の他に有機
フッ素化合物を用いてもよい。また低屈折率層に有機珪
素化合物と有機フッ素化合物の混合物として使用するこ
とが出来る。有機フッ素化合物としては、フッ化炭素ガ
スあるいはフッ化炭化水素ガスであってもよく、例え
ば、四フッ化メタン、六フッ化エチレン、六フッ化プロ
ピレン、八フッ化シクロブタン、二フッ化メタン、四フ
ッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレ
ン、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二
塩化四フッ化シクロブタン、ヘキサフルオロアセトン、
トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタノール、ペンタフ
ルオロエタノール、1−ヒドロ−1,2,3−ヘキサフ
ルオロプロパノール等を挙げることが出来る。反応ガス
に有機フッ素化合物を混合させる場合、反応ガス中の有
機フッ素化合物は、0.01〜5体積%、更に0.1〜
0.5体積%であることが好ましい。また、有機フッ素
化合物を反応ガスに混合して用いると、薄膜表面のエネ
ルギーが低下し、撥水性あるいは防汚性も付与すること
が出来、また、有機フッ素化合物より形成される薄膜も
低屈折率層とすることが出来る。上記有機フッ素化合物
が常温、常圧で気体である場合は、反応ガスの構成成分
として、そのまま使用出来るので最も容易に本発明にお
いて使用することが出来る。しかし、有機フッ素化合物
が常温・常圧で液体または固体である場合には、加熱、
減圧等の方法により気化して使用すればよく、また、適
切な溶剤に溶解して希ガスをバブリングして用いてもよ
い。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、ブタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及
びこれらの混合溶媒が使用出来る。
【0093】これらの各層の形成に用いられる反応ガス
中に酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭
素、水素、窒素等を反応性ガスとして使用してもよく、
好ましくは0.01〜10体積%、より好ましくは0.
1〜5体積%含有させることにより、反応促進され、且
つ、薄膜の硬度を著しく向上させたり、緻密で良質な薄
膜を形成することが出来る。特に、酸素または水素を添
加することが好ましい。
【0094】本発明の光学フィルムにおいて、反射防止
フィルムのように金属化合物層を積層する場合、積層が
複数層の場合、図1で示したようなプラズマ放電処理装
置を基材フィルムの移送方向に直列に、薄膜の積層の数
の装置を直列につなげてプラズマ放電処理を連続して行
うことが好ましいが、同じまたは別々の装置で逐次処理
を行ってもよい。
【0095】本発明の光学フィルムにおいて、金属化合
物層を基材フィルムに直接形成させてもよいが、他の層
を少なくとも1層設けた上に形成させてもよい。本発明
において、他の層としては、防眩層やクリアハードコー
ト層等を挙げることが出来、これらの層が紫外線等の活
性線により硬化する活性線硬化樹脂層であることが好ま
しい。このような紫外線で硬化された樹脂層の上に本発
明に係る金属化合物層を形成させることによって耐擦り
傷性に優れた反射防止フィルムを得ることが出来る。
【0096】防眩層あるいはクリアハードコート層等の
活性線硬化樹脂層は、エチレン性不飽和モノマーを含む
成分を重合させて形成した樹脂層であることが好まし
い。ここで、活性線硬化樹脂層とは、紫外線や電子線の
ような活性線照射により架橋反応などを経て硬化する樹
脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂として
は紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表的な
ものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線
照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化性樹脂
としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹
脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫
外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型
ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エ
ポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
【0097】紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、
一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマ
ー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物
に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート(以下アクリレートと記載し
た場合、メタクリレートを包含するものとする)、2−
ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するア
クリレート系のモノマーを反応させることによって容易
に得ることが出来る(例えば、特開昭59−15111
0号等を参照)。
【0098】紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系
樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系
のモノマーを反応させることによって容易に得ることが
出来る(例えば、特開昭59−151112号を参
照)。
【0099】紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂
の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマー
とし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反
応させたものを挙げることが出来る(例えば、特開平1
−105738号)。この光反応開始剤としては、ベン
ゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン
誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もし
くは2種以上を選択して使用することが出来る。
【0100】また、紫外線硬化型ポリオールアクリレー
ト系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパント
リアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアク
リレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタ
エリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出
来る。
【0101】これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に
使用される。また上記光反応開始剤も光増感剤としても
使用出来る。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェ
ノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、
α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれ
らの誘導体を挙げることが出来る。また、エポキシアク
リレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、
トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増
感剤を用いることが出来る。塗布乾燥後に揮発する溶媒
成分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応
開始剤また光増感剤は該組成物の通常1〜10質量%添
加することが出来、2.5〜6質量%であることが好ま
しい。
【0102】樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二
重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニ
ル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来
る。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとし
て、エチレングリコールジアクリレート、プロピレング
リコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−
シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシ
ルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプ
ロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
アクリルエステル等を挙げることが出来る。
【0103】例えば、紫外線硬化樹脂としては、アデカ
オプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−
410、KR−550、KR−566、KR−567、
BY−320B(以上、旭電化工業株式会社製)、ある
いはコーエイハードA−101−KK、A−101−W
S、C−302、C−401−N、C−501、M−1
01、M−102、T−102、D−102、NS−1
01、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−
106、M−101−C(以上、広栄化学工業株式会社
製)、あるいはセイカビームPHC2210(S)、P
HC X−9(K−3)、PHC2213、DP−1
0、DP−20、DP−30、P1000、P110
0、P1200、P1300、P1400、P150
0、P1600、SCR900(以上、大日精化工業株
式会社製)、あるいはKRM7033、KRM703
9、KRM7130、KRM7131、UVECRYL
29201、UVECRYL29202(以上、ダイセ
ル・ユーシービー株式会社)、あるいはRC−501
5、RC−5016、RC−5020、RC−503
1、RC−5100、RC−5102、RC−512
0、RC−5122、RC−5152、RC−517
1、RC−5180、RC−5181(以上、大日本イ
ンキ化学工業株式会社製)、あるいはオーレックスN
o.340クリヤ(中国塗料株式会社製)、あるいはサ
ンラッドH−601(三洋化成工業株式会社製)、ある
いはSP−1509、SP−1507(昭和高分子株式
会社製)、あるいはRCC−15C(グレース・ジャパ
ン株式会社製)、アロニックスM−6100、M−80
30、M−8060(以上、東亞合成株式会社製)ある
いはこの他の市販のものから適宜選択して利用出来る。
【0104】本発明に用いられる活性線硬化樹脂層は公
知の方法で塗設することが出来る。例えば、紫外線硬化
性樹脂を光硬化反応により硬化するための光源として
は、紫外線を発生する光源であれば何れでも使用出来
る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超
高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドラン
プ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件
はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20
〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましく
は、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域
〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増
感剤を用いることによって使用出来る。
【0105】活性線硬化樹脂層を塗設する際の溶媒とし
ては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、
エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中
から適宜選択し、あるいはこれらを混合し利用出来る。
好ましくは、プロピレングリコールモノ(炭素数1〜4
のアルキル基)アルキルエーテル出来はプロピレングリ
コールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエー
テルエステルを5質量%以上、更に好ましくは5〜80
質量%以上含有する溶媒が用いられる。
【0106】紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法
としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイ
ヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコータ
ー、押し出しコーター、エアードクターコーター等公知
の方法を用いることが出来る。塗布量はウェット膜厚で
0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15
μmである。塗布速度は通常5〜100m/分で行われ
る。
【0107】紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥された
後、紫外線を光源より照射するが、照射時間は0.5秒
〜5分がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率
とから3秒〜2分がより好ましい。また、硬化を助ける
ための雰囲気の酸素濃度を1体積%以下、好ましくは
0.1体積%以下とすることが好ましい。
【0108】硬化皮膜層には、ブロッキングを防止する
ため、また対擦り傷性等を高めるために無機あるいは有
機の微粒子を加えることが好ましい。例えば、無機微粒
子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウ
ム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げること
が出来、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸
メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂
粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系
樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート
樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹
脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹
脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉
末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げるこ
とが出来、紫外線硬化性樹脂組成物に加えることが出来
る。これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.00
5μm〜1μmが好ましく0.01〜0.1μmである
ことが特に好ましい。
【0109】紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割
合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10
質量部となるように配合することが望ましい。
【0110】このようにして形成された紫外線硬化樹脂
を硬化させた層は中心線平均粗さRaが1〜50nmの
クリアハードコート層であっても、Raが0.1〜1μ
m程度の防眩層であってもよい。本発明では、これらの
層の上にプラズマ放電処理で金属化合物層を形成するこ
とが出来る。特に本発明の方法によれば、表面の凹凸の
ある基材フィルム上に均一な低屈折率層あるいは中屈折
率層、高屈折率層等の光学干渉層を設けることが出来
る。特に、JIS B 0601で規定される中心線平
均粗さ(Ra)が0.1〜0.5μm、また平均山谷間
隔10〜80μmの防眩層上に均一にプラズマ処理出来
るために好ましい。
【0111】本発明においては、上記のような基材フィ
ルム面に対して本発明に係わる薄膜を設ける場合、平均
膜厚に対する膜厚偏差を±10%になるように設けるこ
とが好ましく、更に好ましくは±5%以内であり、特に
好ましくは±1%以内になるように設けることが好まし
い。
【0112】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。
【0113】実施例1 〔ドープの調製〕下記ドープ組成物(ドープA〜C)
を、それぞれ別々に、密閉容器に投入し、加圧下で80
℃に保温・攪拌しながらセルロースエステルを完全に溶
解させた。別にアエロジル200Vを予め添加するエタ
ノールの一部と混合して分散しておき、これを密閉容器
に投入した。これを流延する温度まで、冷却した後、静
置して、脱泡操作を施した。その後セルロースエステル
溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用
して濾過し、ドープA〜Cを得た。
【0114】 〈ドープ組成物〉 《ドープA》 セルローストリアセテート(アセチル基置換度2.89) 85kg メチレンクロライド 290L エタノール 25L アエロジル200V 0.12kg チヌビン171 0.5kg チヌビン109 0.5kg チヌビン326 0.3kg フタル酸ジシクロヘキシル 10kg 《ドープB》 セルロースアセテートプロピオネート (アセチル基置換度2.0、プロピオニル基置換度0.8) 85kg メチレンクロライド 290L エタノール 25L アエロジル200V 0.12kg チヌビン171 0.5kg チヌビン109 0.5kg チヌビン326 0.3kg エチルフタリルエチルグリコレート 4kg 《ドープC》 セルローストリアセテート(アセチル基置換度2.89) 85kg メチレンクロライド 290L エタノール 25L アエロジル200V 0.12kg チヌビン171 0.5kg チヌビン109 0.5kg チヌビン326 0.3kg トリフェニルホスフェート 11kg 〔セルロースエステルフィルムの作製〕 〈セルロースエステルフィルム1の作製〉30℃に温度
調整したドープAを用いて、無限移行する無端のステン
レススティールベルトの上に均一にダイから流延した。
ステンレススティールベルトを裏面から35℃の温水で
加熱し、また該ベルト上のドープ膜(以降ウェブとい
う)の空気側の面に44℃の温風をあてて乾燥させた。
剥離部の該ベルトの温度を11℃とし、流延から90秒
後にウェブを剥離した。剥離されたウェブを50℃に設
定した第1乾燥ゾーンを1分間搬送させた後、85℃に
設定した第2乾燥ゾーンではテンター乾燥装置により延
伸を行ない、延伸倍率を1.05倍とし、30秒搬送し
た。更に115℃に設定した第3ゾーンで20分間搬送
させて、乾燥を行い巻き取り、セルロースエステルフィ
ルム1を得た。
【0115】〈セルロースエステルフィルム2の作製〉
延伸倍率を1.1倍にした以外はセルロースエステルフ
ィルム1と同様にして、セルロースエステルフィルム2
を得た。
【0116】〈セルロースエステルフィルム3の作製〉
ドープAをドープBに変更した以外はセルロースエステ
ルフィルム1と同様にして、セルロースエステルフィル
ム3を得た。
【0117】〈セルロースエステルフィルム4の作製〉
第2乾燥ゾーンでテンター乾燥装置での延伸を行わず、
ただ乾燥させた以外は、セルロースエステルフィルム1
と同様にして、セルロースエステルフィルム4を得た。
【0118】〈セルロースエステルフィルム5の作製〉
ドープAをドープCに変更した以外はセルロースエステ
ルフィルム4と同様にして、セルロースエステルフィル
ム5を得た。
【0119】何れのセルロースエステルフィルムも巻き
取り時の残留溶媒量は0.01質量%未満であった。
【0120】〔評価項目〕 〈レターデーション値R0の測定〉各セルロースエステ
ルフィルムから試料を切り出し、各試料につき、自動複
屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)
製)を用いて、波長が590nmで3次元屈折率測定を
行い、屈折率Nx、Ny、Nzを測定し、下式によりレ
ターデーション値R0を算出した。
【0121】R0=(Nx−Ny)×d 式中、Nxはフィルムの面内で最も大きい屈折率の方向
の屈折率、NyはNxに直角な面内方向でのフィルムの
屈折率、dはフィルムの厚み(nm)である。
【0122】〈高温寸法変化率H5h(%)の測定〉各
セルロースエステルフィルム試料を幅手方向150mm
×長手方向120mmサイズに裁断し、該セルロースエ
ステルフィルム表面に、幅手方向及び長手方向それぞれ
に100mm間隔で2カ所カミソリで十文字型の印を付
ける。該セルロースエステルフィルムを23±3℃、5
5±3%RHの環境下で24時間以上調湿し、測定顕微
鏡で十文字の印の間隔の距離L0を測定した。次に該試
料を電気恒温槽中で、105℃の環境下に5時間曝し
た。この高温に曝した試料を、再び前記23±3℃、5
5±3%RHの環境下で24時間以上調湿し、測定顕微
鏡で十文字の印の間隔の距離L1を測定した。下記式に
より高温寸法変化率H5h(%)を求めた。
【0123】 H5h(%)={(L1−L0)/L0}×100 〈高温高湿寸法変化率S50h(%)の測定〉各セルロ
ースエステルフィルム試料を幅手方向150mm×長手
方向120mmサイズに裁断し、該セルロースエステル
フィルム表面に、幅手方向及び長手方向それぞれに10
0mm間隔で2カ所カミソリで十文字型の印を付ける。
該セルロースエステルフィルムを23±3℃、55±3
%RHの環境下で24時間以上調湿し、光学顕微鏡で十
文字の印の間隔の距離L0を測定した。次に該試料をイ
ンキュベーター中で、80±3℃、90±3%RHの環
境下に50時間曝した。この高温高湿に曝した試料を、
再び前記23±3℃、55±3%RHの環境下で24時
間以上調湿し、光学顕微鏡で十文字の印の間隔の距離L
2を測定した。下記式により高温高湿寸法変化率S50
h(%)を求めた。
【0124】 S50h(%)={(L2−L0)/L0}×100 〈引張弾性率の測定〉JIS K 7127に準じて行
った。試料を23±3℃、55±3%RHの環境下で、
24時間以上調湿し、機械方向及び幅手方向別に200
mm×10mmの試験片を用いて、チャック間隔100
mm、引張速度1mm/分で測定した。
【0125】表1にセルロースエステルフィルム1〜5
の膜厚、レターデーション値R0、高温寸法変化率、高
温高湿寸法変化率及び引張弾性率の結果を示した。
【0126】
【表1】
【0127】なお、表1において、寸法変化率及び引張
弾性率の欄のMDは機械方向、TDは幅手方向の略であ
る。
【0128】(結果)延伸したセルロースエステルフィ
ルムNo.1〜3については、H5hが0.2%未満、
S50hが0.3%以内、更に引張弾性率が3.60k
N/mm2以上であり、本発明に使用するセルロースエ
ステルフィルムを得ることが出来た。延伸しなかったセ
ルロースエステルフィルムNo.4及び5は上記の特性
の数値から外れたものが得られた。
【0129】実施例2 〔基材フィルム1〜15の作製〕実施例1で作製したセ
ルロースエステルフィルム1〜5に、表2に示すよう
に、下記のごときバックコート層(以降、BC層という
こともある)を塗設し、以下のクリアハードコート層
(以降、CHC層ということもある)及び防眩層(以
降、AG層ということもある)を塗設しない基材フィル
ム1〜5を、また別にBC層を塗設した反対面に下記ク
リアハードコート層を塗設した基材フィルム6〜10、
またBC層の反対面に防眩層を塗設した基材フィルム1
1〜15を作製した。
【0130】〈BC層の塗設〉クリアハードコート層や
防眩層を塗設する前に、下記BC層塗布組成物をセルロ
ースエステルフィルム1〜5のA面(流延製膜の際、ス
テンレスティールベルト上でウェブが空気に接していた
面)にウェット膜厚13μmとなるように押出コーター
で塗布し、乾燥温度80℃で乾燥させ、バックコート層
(BC層)を塗設した基材フィルム1〜5及び次のCH
C層またはAG層を塗布するためのBC層塗設済み基材
フィルムを作製した。
【0131】 《BC層塗布組成物》 アセトン 30質量部 酢酸エチル 45質量部 イソプロピルアルコール 10質量部 セルロースジアセテート 0.5質量部 2質量%アエロジル200Vのアセトン分散液 0.1質量部 〈CHC層の塗設〉BC層を塗設したセルロースエステ
ルフィルム1〜5(基材フィルム1〜5と同じ)のB面
(流延製膜の際、ステンレススティールベルト上でウェ
ブが該ベルトに接していた面)に下記CHC層塗布組成
物をウェット膜厚で13μmとなるように押出コーター
で塗布し、次いで、85℃に設定した乾燥部で乾燥した
後、115mJ/cm2の紫外線を照射し、乾燥膜厚で
4μm、中心線平均粗さ(Ra)11nmのCHC層を
塗設し、基材フィルム6〜10を作製した。
【0132】 《CHC層塗布組成物》 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部 ジメトキシベンゾフェノン光反応開始剤 4質量部 プロピレングリコールモノメチルエーテル 75質量部 メチルエチルケトン 75質量部 〈AG層の塗設〉BC層を塗設したセルロースエステル
フィルム1〜5(基材フィルム1〜5と同じ)のB面に
下記AG層塗布組成物をウェット膜厚で13μmとなる
ように押出コーターで塗布し、次いで80℃に設定した
乾燥部で乾燥した後、115mJ/cm2で紫外線照射
し、乾燥膜厚で4μm、中心線平均粗さ(Ra)0.2
7μmのAG層を塗設し、基材フィルム11〜15を作
製した。
【0133】 《AG層塗布組成物》 酢酸エチル 50質量部 メチルエチルケトン 50質量部 イソプロピルアルコール 50質量部 サイリシア431(富士シリシア化学(株)製、平均粒径2.5μm) 2.5質量部 アエロジルR972V 2質量部 以上を高速撹拌機(TKホモミキサー、特殊機化工業
(株)製)で撹拌し、その後、衝突分散機(マントンゴ
ーリン、ゴーリン(株)製)で分散した後、下記成分を
添加しAG層塗布組成物を調製した。
【0134】 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部 ジメトキシベンゾフェノン光反応開始剤 4質量部 〔光学フィルム1〜15の作製〕表2に記載した基材フ
ィルム1〜15のB面側に(基材フィルム1〜5にはセ
ルロースエステルフィルム面に直接に、また基材フィル
ム6〜15にはCHC層またはAG層の上に)を介して
下記のように、図1に示した大気圧もしくはその近傍の
圧力下、対向電極間の反応ガス雰囲気内で基材をプラズ
マ放電処理する装置を用いて、表2に記載した光学フィ
ルム1〜15を作製した。
【0135】〈プラズマ放電処理〉図1のプラズマ放電
処理する装置に使用するロール回転電極として、冷却水
による冷却機能を有するステンレススティール製ジャケ
ットロール母材にセラミックス溶射によりアルミナを1
mm被覆した後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで
希釈した溶液を塗布して乾燥後、紫外線照射により硬化
させて封孔処理を行った誘電体を有するものを使用し
た。一方、該プラズマ放電処理装置に使用する角筒型固
定電極群として、複数の中空のステンレススティール角
形のパイプ母材に上記と同様に誘電体を作製したものを
使用した。プラズマ放電発生に使用する電源として、日
本電子(株)製の高周波電源を使用し、連続周波数を1
3.56MHz、15W/cm2の電力を供給した。基
材フィルムはロール回転電極の周囲に接しながら巻き回
すように該ロール回転電極の回転と同期しながら移送す
るようにした。放電処理部には反応ガスを流しながら常
に満たすようにした。反射防止層としての中屈折率層、
高屈折率層及び低屈折率層をそれぞれプラズマ放電処理
するために、図1のプラズマ放電処理装置を三つ連続し
て処理出来るように、同様の装置を3基つなげて設置し
た。なお、ロール回転電極と固定電極の間隙を1.0m
m、反応ガスの圧力を103kPaとしてプラズマ放電
処理を行った。
【0136】プラズマ放電処理に用いた反応ガスの組成
を以下に記す。 《酸化錫層(中屈折率層)形成用反応ガス》 不活性ガス(アルゴン) 98.7体積% 反応性ガス(水素ガス) 1体積% 反応性ガス(テトラブチル錫蒸気) 0.3体積% 《酸化チタン層(高屈折率層)形成用反応ガス》 不活性ガス(アルゴン) 98.7体積% 反応性ガス(水素ガス) 1体積% 反応性ガス(テトライソプロポキシチタン蒸気) 0.3体積% 《酸化珪素層(低屈折率層)形成用反応ガス》 不活性ガス(アルゴン) 98.7体積% 反応性ガス(水素ガス) 1体積% 反応性ガス(テトラエトキシシラン蒸気) 0.3体積% 連続的に大気圧プラズマ処理して、順に酸化錫層(屈折
率1.7、膜厚67nm)、酸化チタン層(屈折率2.
14、膜厚110nm)、酸化珪素層(屈折率1.4
4、膜厚87nm)の3層を設けた。
【0137】また、炭素含有量は、酸化珪素層0.3質
量%、酸化チタン層0.4%質量、酸化錫層0.5質量
%であった。
【0138】〔評価〕 〈紫外線に対する耐久性試験〉アイスーパーUVテスタ
ー(岩崎電気(株)製)を用いて、メタルハライドラン
プで1500mW/cm2の紫外線を反射防止層側から
96時間照射した。照射後のフィルムについて着色の度
合いと、二つに折り曲げたときの光学フィルムの割れの
様子を観察し、下記のようなランクづけで評価した。
【0139】 ◎:着色は認められず、折り曲げても割れない ○:着色はごく僅か認められるものの、折り曲げてもわ
れない △:若干着色が認められ、折り曲げるとクラックが入る ×:着色がハッキリ認められ、折り曲げると折れる。
【0140】〈反射率の測定、平均反射率の変化の評
価〉反射防止層の分光反射率を分光光度計1U−400
0型(日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件で反
射率の測定を行った。測定は、観察側の裏面(反射防止
層側と反対側の面)を粗面化処理をした後、黒色のスプ
レーを吹きつけて光吸収処理を行い、光学フィルム裏面
での光の反射を防止して、反射率(400〜650nm
の波長について)の測定を行い、平均反射率を求め下記
のようなレベルで評価した。
【0141】 ◎:平均反射率が0.1%未満の変化 ○:平均反射率が0.1%以上、0.2%未満の変化 △:平均反射率が0.2%以上、0.4%未満の変化 ×:平均反射率が0.4%以上の変化。
【0142】以上、光学フィルム1〜15について、紫
外線に対する耐久性、最低反射率の変化についての評価
結果を表2に示した。なお、図4は光学フィルムの反射
スペクトルを示したグラフであり、この図は光学フィル
ム6の反射スペクトルを示したものである。
【0143】
【表2】
【0144】(結果)セルロースエステルフィルムN
o.1〜3を使用した基材フィルムNo.1〜3、6〜
8、また11〜13からの光学フィルムNo.1〜3、
6〜8、また11〜13は平均反射率の変化もほとんど
なく、また紫外線耐久性も優れていた。これに対して、
セルロースエステルフィルムNo.4及び5を使用した
基材フィルムNo.4、9、10、14及び15からの
光学フィルムNo.4、9、10、14及び15は平均
変化率の変化も大きく、また紫外線耐久性も劣ってい
た。
【0145】実施例3 実施例2で作製した光学フィルム6及び基材フィルム6
を偏光板用保護フィルムとしてこの二枚を用いて偏光板
6を作製した。
【0146】〔偏光板の作製〕 〈偏光膜の作製〉厚さ、120μmのポリビニルアルコ
ールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5
倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム
5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次
いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100g
からなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥
し偏光膜を得た。
【0147】次いで、下記工程1〜5に従って偏光膜と
偏光板用保護フィルムを貼り合わせて偏光板試料6及び
10を作製した。
【0148】〈偏光板の作製〉 工程1:基材フィルム6を長手方向30cm、幅手方向
18cmのサイズに裁断して取り出し、60℃の2mo
l/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次い
で水洗し乾燥して鹸化した基材フィルムを得た。一方、
光学フィルム6の反射防止層の面を剥離性のポリエステ
ルフィルムを貼り付けアルカリから保護しながら上記鹸
化処理を行った。
【0149】工程2:前記偏光膜を長手方向30cm、
幅手方向18cmのサイズに裁断し、固形分2質量%の
ポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
【0150】工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の
接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した基材フ
ィルム6の上にのせて、更に光学フィルム6の反射防止
層が外側になるように積層し、配置した。
【0151】工程4:ハンドローラーで工程3で積層し
た偏光膜と偏光板用保護フィルム試料との積層物の端か
ら過剰の接着剤及び気泡を取り除き貼り合わせた。ハン
ドローラーの圧力は20〜30N/cm2、ローラース
ピードは約2m/分とした。
【0152】工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製
した偏光膜と偏光板用保護フィルムを貼り合わせた試料
を2分間乾燥し、偏光板6を作製した。
【0153】ついで、基材フィルム6と光学フィルム6
に代えて基材フィルム10及び光学フィルム10を用い
て、偏光板6と同様に偏光板10を作製した。
【0154】〔評価〕 〈目視による反射防止性能の評価〉作製した偏光板を、
温度80℃、90%RHの雰囲気下で500時間高温加
湿処理を行った後、目視により処理後の反射防止性能と
比較し評価した。
【0155】 ◎:全く変化が認められない ○:ごく僅か変化が認められる △:若干変化が認められる ×:明らかに変化が認められる。
【0156】偏光板の反射防止性能の評価を行い下記表
3に結果を示した。
【0157】
【表3】
【0158】(結果)光学フィルムNo.6を使用した
偏光板No.6は高温高湿における反射防止性能が優れ
ているのに対して、光学フィルムNo.10からの偏光
板No.10は高温高湿における反射防止性能が非常に
劣っていることがわかった。
【0159】
【発明の効果】高温高湿の環境下に長時間曝しても劣化
しない安定した光学フィルムを提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】大気圧もしくはその近傍の圧力下でのプラズマ
放電処理装置の一例を示す図である。
【図2】図1で用いられているロール回転電極を示す斜
視図である。
【図3】図1で用いられている角筒型固定電極を示す斜
視図である。
【図4】本発明の光学フィルムの反射スペクトルを示し
たグラフである。
【符号の説明】
25 ロール回転電極 25A、36A 母材 25B、36B 誘電体 30 プラズマ放電処理装置 31 プラズマ放電処理容器 32 放電処理部 36 角筒型固定電極 40 電圧印加手段 50 ガス充填手段 51 ガス発生装置 52 給気口 53 排気口 60 電極温度調節手段 64、67 ガイドロール 65、66 ニップロール 68、69 仕切板 F 基材フィルム G 反応ガス G′ 処理排ガス P 送液ポンプ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05H 1/46 H05H 1/46 M G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2H049 BA02 BB13 BB49 BB51 BB65 BB67 BC09 BC22 2K009 AA02 AA12 AA15 BB28 CC03 CC06 CC09 CC12 CC42 DD02 DD17 EE00 4F100 AA17B AA28 AA37B AJ04A BA02 BA07 EH90 EH90A EJ61B GB48 JK07A JL04 JL04A YY00A YY00B 4G075 AA24 BA05 BC07 CA47 CA80 DA02 EC21 FB02 FB12 4K030 AA11 BA44 BA45 BA46 CA07 CA12 FA01 JA06 JA11 JA18 LA18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 23±3℃、55±3%RHの常温常湿
    の雰囲気におけるフィルムの流延方向または幅方向の寸
    法をL0(mm)とし、105±3℃で5時間加熱後、
    該常温常湿の雰囲気に戻した時の該寸法をL1(mm)
    とした時、下記式の寸法変化率(H5h)が機械方向
    (流延方向)と幅手方向(横方向)何れも±0.2%未
    満であり、且つ80±3℃、90±3%RHの高温高湿
    雰囲気下で50時間放置後、該常温常湿の雰囲気に戻し
    た時の該寸法をL2(mm)とした時、下記式の寸法変
    化率(S50h)が機械方向(流延方向)と幅手方向
    (横方向)何れも±0.3%以内であるセルロースエス
    テルフィルム上に、直接または他の層を介して少なくと
    も1層の金属化合物層を設けたことを特徴とする光学フ
    ィルム。 H5h(%)={(L1−L0)/L0}×100 S50h(%)={(L2−L0)/L0}×100
  2. 【請求項2】 前記セルロースエステルフィルムが機械
    方向(流延方向)と幅手方向(横方向)何れも引張弾性
    率が3.60kN/mm2以上であることを特徴とする
    請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 【請求項3】 前記金属化合物層の炭素含有量が0.2
    〜10質量%であり、膜厚が1〜1000nmであるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィル
    ム。
  4. 【請求項4】 前記金属化合物層が大気圧もしくはその
    近傍の圧力下、対向電極間の反応ガス雰囲気内でプラズ
    マ放電処理により設けられたものであることを特徴とす
    る請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学フィルム。
  5. 【請求項5】 対向する電極間に高周波電圧を印加し、
    1W/cm2以上の電力を供給して、大気圧もしくはそ
    の近傍の圧力下、対向電極間の反応ガス雰囲気内で発生
    させた放電プラズマにより光学フィルムを製造する方法
    において、23±3℃、55±3%RHの常温常湿の雰
    囲気におけるフィルムの機械方向(流延方向)または幅
    方向(横方向)の寸法をL0(mm)とし、105±3
    ℃で5時間加熱後、該常温常湿の雰囲気に戻した時の該
    寸法をL1(mm)とした時、下記式の寸法変化率(H
    5h)が機械方向(流延方向)と幅手方向(横方向)何
    れも±0.2%未満であり、且つ80±3℃、90±3
    %RHの高温高湿雰囲気下で50時間放置後、該常温常
    湿の雰囲気に戻した時の該寸法をL2(mm)とした
    時、下記式の寸法変化率(S50h)が機械方向(流延
    方向)と幅手方向(横方向)何れも±0.3%以内であ
    るセルロースエステルフィルム上に、直接または他の層
    を介して少なくとも1層の金属化合物層を形成すること
    を特徴とする光学フィルムの製造方法。 H5h(%)={(L1−L0)/L0}×100 S50h(%)={(L2−L0)/L0}×100
  6. 【請求項6】 対向する電極間に100kHzを超える
    高周波電圧を印加することを特徴とする請求項5に記載
    の光学フィルムの製造方法。
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