JP2003064528A - ポリケトン繊維およびその製造方法 - Google Patents

ポリケトン繊維およびその製造方法

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JP2003064528A JP2001253114A JP2001253114A JP2003064528A JP 2003064528 A JP2003064528 A JP 2003064528A JP 2001253114 A JP2001253114 A JP 2001253114A JP 2001253114 A JP2001253114 A JP 2001253114A JP 2003064528 A JP2003064528 A JP 2003064528A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 繰り返し単位の95モル%以上が化学式
(1)で示されるポリケトンからなる、強度が12cN
/dtex以上のポリケトン繊維であって、透過型光学
顕微鏡により400倍で単繊維を観察したときに、繊維
長さ50μm当たりに少なくとも1本の横縞が存在する
ことを特徴とするポリケトン繊維。 【化1】 【効果】 本発明のポリケトン繊維は、撚糸後の強力保
持率が高いため、タイヤコード、ベルトなどのゴム補強
材として好適であり、中でも、耐疲労性を特に要求され
る分野に最適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撚糸したときの強
力利用率が高いポリケトン繊維およびその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一酸化炭素と、エチレンやプロピレンの
ようなオレフィンとをパラジウムやニッケル等の遷移金
属錯体を触媒として用いて重合させることにより、一酸
化炭素とオレフィンが実質完全に交互共重合したポリケ
トンが得られることが知られている(工業材料、12月
号、第5頁、1997年)。ポリケトンを産業資材用繊
維として応用する検討が多くの研究者によってなされ、
ポリケトン繊維のもつ高強度、高弾性率、高温での高い
寸法安定性、優れた接着性、耐クリープ特性等を生かし
て、タイヤコード、ベルト等の補強用繊維、コンクリー
トの補強用繊維といった複合材料用繊維への応用が期待
されている。
【0003】特に、エチレンと一酸化炭素の繰り返し単
位からなるポリケトン(以下、ECO、という)は結晶
性や融点も高いために、高強度および高弾性率を有する
繊維やフィルムが最も得やすく、高温下での物性変化や
収縮率が小さい等、熱安定性が最も優れている。ECO
繊維の製造方法としては、溶融紡糸が困難であるため、
溶剤にECOを溶解して乾式または湿式紡糸法により繊
維化が行われており、例えば、特開平2−112413
号公報、特開平4−228613号公報、特表平4−5
05344号公報、特表平7−508317号公報、特
表平8−507328号公報、国際公開99/1814
3号パンフレット、国際公開00/09611号パンフ
レット、特開2001−293928号公報等にその製
造法が開示されている。
【0004】いずれの方法においても、繊維を10倍以
上の高倍率に熱延伸して一軸方向に高配向させることに
より、高強度および高弾性率を有するポリケトン繊維を
得ている。しかしながら、タイヤコード用途のように、
撚糸して使用されるような場合、上記のように高倍率に
熱延伸された高配向のECO繊維は、撚糸前の強力に対
する撚糸後の強力の比率(以下、撚糸強力利用率、とい
う)が低くなることがわかった。
【0005】一般に、高配向された繊維は、繊維軸方向
に引っ張る力に対しては強い耐性を示すが、曲げ等によ
る圧縮される力が加わると、繊維の赤道方向の結合力が
弱いために結晶のすべりやフィブリル間のはがれ等が起
こり、破壊されやすくなる。ECO繊維にも同様な現象
がおこることが考えられ、撚糸された繊維を引っ張った
場合、繊維軸方向に引っ張る力以外に曲げの力が加わる
ため、高配向されたECO繊維は撚糸強力利用率が低く
なるものと考えられる。
【0006】タイヤコードの耐疲労性を向上させる目的
で撚糸数を多くした場合、この問題は顕著になる。これ
までに開示されたポリケトン繊維の製造方法によると、
高配向で強度や弾性率の高い繊維を得るためには、適正
な温度および倍率で延伸を行うことが示されているのみ
であり、延伸方法により撚糸強力利用率に与える影響に
ついて何ら開示されていない。特表平7−508317
号公報には、1段目の熱延伸における最適な延伸温度と
延伸速度との組み合わせが示されているが、強度と伸度
の積が大きいECO繊維を製造するために適した延伸方
法が示されているのみであり、延伸方法により撚糸強力
利用率に与える影響についての記載は全く見られない。
【0007】以上のように、これまでECO繊維の製造
法は、ECO繊維の強度や弾性率を高かめるための技術
を追求するのみで、タイヤコードとして利用する際に重
大な問題となる撚糸強力利用率を向上させる技術に関す
る開示は見られない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、撚糸
後の強力保持率の高いポリケトン繊維およびその製造法
を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、ポリケトン繊維の構造と撚糸強力利
用率の関係を詳細に検討した結果、透過型光学顕微鏡に
より400倍で単繊維を観察したときに、単繊維表面に
横縞が存在すると撚糸強力利用率が向上することを見い
だし、本発明に到達した。すなわち、本発明は、繰り返
し単位の95モル%以上が化学式(1)で示されるポリ
ケトンからなる、強度が12cN/dtex以上のポリ
ケトン繊維であって、透過型光学顕微鏡により400倍
で単繊維を観察したときに、繊維長さ50μm当たりに
少なくとも1本の横縞が存在することを特徴とするポリ
ケトン繊維、および繰り返し単位の95モル%以上が化
学式(1)で示されるポリケトンからなるドープを紡糸
口金から凝固浴へ押し出して凝固させ、得られた繊維状
物を洗浄して乾燥した後、2段以上の多段で8倍以上に
熱延伸を行い、次いで、数式(1)で示すひずみ速度
0.05〜0.50秒-1で熱延伸することを特徴とする
ポリケトン繊維の製造方法である。
【0010】
【化3】
【0011】
【数2】
【0012】(式中、V1は延伸のフィード速度(m/
秒)、V2は延伸の引取り速度(m/秒、Lは加熱長
(m)) 本発明のポリケトン繊維は、繰り返し単位の95モル%
以上が化学式(1)で示されるポリケトンである。5モ
ル%未満の範囲で例えば、化学式(2)に示したもの等
を含有していてもよい。
【0013】
【化4】
【0014】式中、Rはエチレン以外の炭素数1〜30
の有機基であり、プロピレン、ブチレン、1−フェニル
エチレン等が例示される。有機基の水素原子の一部また
は全部が、ハロゲン基、エステル基、アミド基、水酸
基、エーテル基等で置換されていてもよい。もちろん、
Rは2種以上であってもよく、例えば、プロピレンと1
−フェニルエチレンが混在していてもよい。高強度およ
び高弾性率が達成可能で、高温での強度および弾性率の
保持性が優れるという観点から、繰り返し単位の97モ
ル%以上が化学式(1)で示されるポリケトンであるこ
とが好ましく、より好ましくは100モル%である。
【0015】本発明のポリケトン繊維は、12cN/d
tex以上の強度を有する。ここで強度とは、引っ張り
強度のことをいう。タイヤコード等のゴム補強材料とし
てポリケトン繊維を使用した場合、使用する繊維の割合
を少なくすることが可能になるという点から、強度は1
5cN/dtex以上が好ましく、17cN/dtex
以上がより好ましい。本発明のポリケトン繊維は、透過
型光学顕微鏡により400倍で単繊維を観察したとき
に、繊維長さ50μm当たりに少なくとも1本の横縞が
存在することが必要である。本発明でいう横縞は、図1
に示すように、透過型顕微鏡を用い400倍の倍率で単
繊維を観察したときに繊維軸と垂直方向に観察される線
のことである。強度が12cN/dtex以上であるポ
リケトン繊維において、上述の横縞が観察されたとき
に、撚糸強力利用率や結節強度を高める効果がある。
【0016】横縞は、ポリケトン繊維を製造する際の熱
延伸時に生じるミクロボイド等の小さな欠陥であると考
えられる。しかし、この横縞の存在によってポリケトン
繊維の強度が急激に低下することはなく、むしろ、繊維
を曲げたときの応力集中による破壊の伝搬を抑制するた
めに、高い強度を維持したまま、撚糸強力利用率や結節
強度を高める効果を得ることが可能となる。横縞は、繊
維長さ50μmあたりに少なくとも1本存在すれば前述
の効果が得られるが、効果を一層発揮させる上から2以
上が好ましく、3本以上がより好ましい。30本を越え
ても効果の向上は見られず、強度が低くなる傾向が見ら
れることから、30本以下が好ましい。
【0017】本発明のポリケトン繊維は、示差走査熱量
計(DSC)を用いて20℃/分の昇温速度で測定した
ときに、100〜120℃にピークトップが観察される
吸熱ピークに対応した熱量(結晶転移熱量)が9.5J
/g以上であることが好ましく、より好ましくは10.
0J/g以上、最も好ましくは10.5J/g以上であ
る。結晶転移熱量は、後述する方法により測定される。
結晶転移熱量は、結晶形が、結晶の緻密性が高いα型か
ら低いβ型へ結晶転移するときに吸熱される熱量で、D
SCを用いて20℃/分の速度で昇温したときに100
〜120℃に吸熱ピークのトップが観察されることが知
られている(J.Polym.Sci.:Part
B:Polym.Phys.,33,315−326
(1995))。
【0018】結晶転移熱量が9.5J/g以上の場合、
ポリケトン繊維の弾性率はより高くなり、高温での寸法
安定性が一層向上する。すなわち、結晶転移熱量が9.
5J/g以上になると、α型の結晶の比率が多くなるた
めに、結晶の緻密性の向上により弾性率が高くなり、高
温での寸法変化も小さくなるものと考えられる。タイヤ
コード用途としてポリケトン繊維を使用する場合、タイ
ヤに加工するときの加硫工程で170〜200℃の加熱
を受けたり、高速走行によるタイヤの発熱による加熱を
受ける可能性があり、上記の効果は重要である。
【0019】本発明のポリケトン繊維の製造方法につい
て限定はない。以下に本発明のポリケトン繊維の製造方
法の一例について説明する。本発明で使用するポリケト
ンの極限粘度[η]は、高強度のポリケトン繊維が得ら
れるという点で、2dl/g以上が好ましい。ただし、
[η]が大きすぎると溶解性や紡糸性が悪くなる傾向が
見られることから、20dl/g以下であることが好ま
しく、より好ましくは3〜15dl/g、最も好ましく
は4〜10dl/gである。
【0020】ポリケトンは融点以上になるとポリマーの
化学架橋反応が起こりやすく、溶融紡糸が困難になるた
め、ポリケトンを溶剤に溶解してポリケトンからなるド
ープを製造し、このドープを用いて湿式紡糸法または乾
式紡糸することが好ましい。溶剤としては、特開平2−
112413号公報、特開平4−228613号公報、
特表平4−505344号公報、特表平7−50831
7号公報、特表平8−507328号公報等に記載の溶
剤、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール、m−ク
レゾール、クロロフェノール、レゾルシン/水、等の有
機溶剤を用いて行うこともできるが、安価で、毒性が低
いまたは引火性がない等の利点から、国際公開99/1
8143号パンフレット、国際公開00/09611号
パンフレット、特開2001−293928号公報等に
開示された金属塩水溶液をポリケトンの溶剤として用い
ることが好ましい。
【0021】金属塩としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨ
ウ化亜鉛、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化カ
ルシウム、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸リチ
ウム、塩化リチウム、臭化リチウム、臭化鉄、ヨウ化
鉄、塩化鉄等があり、単独または複数を混合して使用す
る。金属塩水溶液の塩濃度は50〜80質量%であるこ
とが好ましい。50質量%未満の場合およびは80質量
%を越える高い塩濃度では紡糸が不安定になる傾向があ
る。塩濃度は、以下の式で定義される。 塩濃度(質量%)=[塩の質量/(塩の質量+水の質
量)]×100
【0022】溶剤に溶解するポリケトンのポリマー濃度
は0.1〜40質量%であることが好ましい。ポリマー
濃度が0.1質量%未満では濃度が低すぎて、凝固浴中
で繊維状に形成することが困難になる傾向がある。ポリ
マー濃度が40質量%を越えるとポリケトン溶液の粘度
が高くなり、紡糸が不安定となる傾向がある。ポリマー
濃度は、以下の式で定義される。 ポリマー濃度(質量%)=[ポリマー質量/(ポリマー
質量+金属塩水溶液の質量)]×100 ポリケトンドープを、必要に応じてフィルターで濾過し
た後、紡糸口金から凝固浴へ押し出して凝固させ、繊維
状に成形する。凝固浴に使用する凝固剤としては、ポリ
ケトンドープを凝固させることが可能であれば限定はな
く、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、水、
前述の金属塩の水溶液や硫酸、塩酸、リン酸の水溶液等
が用いられる。押し出し時のポリケトンドープの温度と
凝固浴の温度の差が大きいときは、紡糸口金を空気中に
設置し、紡糸口金から吐出された繊維状物が空気相を経
て凝固浴に導く方法、いわゆるエアギャップ法が好まし
い。
【0023】凝固後、凝固浴外へ引き上げられた繊維状
物は、必要に応じて溶媒の抽出剤、例えば、水、メタノ
ール、アセトン等を用いて洗浄し、ホットロール、ホッ
トプレート、熱風炉等公知の方法を用いて乾燥し、繊維
から溶剤を実質的に除去する。次いで、実質的に溶剤が
除去された繊維を熱延伸する。熱延伸は延伸温度を徐々
に高くして2段以上で行う多段延伸法を採用し、8倍以
上熱延伸した繊維をさらに0.05〜0.50秒-1のひ
ずみ速度で熱延伸することが必要である。ひずみ速度は
数式(1)で定義される。
【0024】
【数3】
【0025】(式中、V1は延伸のフィード速度(m/
秒)、V2は延伸の引取り速度(m/秒)、Lは加熱長
(m)) 熱延伸は、フィードロールと引取りロールの速度規制ロ
ール間において繊維を加熱することにより行うことがで
きる。この組み合わせの数が熱延伸の段数である。2段
以上の多段で延伸を行う方法として、速度規制ロールと
繊維を加熱する装置を並べて連続的に行う方法、延伸後
に一旦巻き取り、さらに延伸する非連続的な方法等があ
る。繊維を加熱する方法としては、ホットロールまたは
ホットプレート上、あるいは加熱炉を用いて加熱気体中
を走行させる方法や、繊維にレーザー、マイクロ波また
は赤外線を照射して加熱する方法等、公知の方法をその
まままたは改良して採用することができる。加熱長と
は、上述の方法により繊維が加熱されている長さであ
る。
【0026】8倍以上の延伸を1段で行った場合、透過
型光学顕微鏡により400倍で単繊維を観察したとき
に、繊維長さ50μm当たりに少なくとも1本の横縞が
存在するポリケトン繊維が得られず、したがって撚糸強
力利用率や結節強度に優れた高強度ポリケトン繊維を得
ることができない。8倍以上の熱延伸を行った後に、ひ
ずみ速度が0.05秒-1未満の熱延伸を行った場合、ま
たは8倍未満の熱延伸を行った後にひずみ速度が0.0
5秒-1以上の熱延伸を行った場合にも、繊維長さ50μ
m当たりに少なくとも1本の横縞が存在するポリケトン
繊維を得られず、したがって撚糸強力利用率や結節強度
に優れた高強度ポリケトン繊維を得ることができない。
【0027】8倍以上の熱延伸を行った後、ひずみ速度
が0.50秒-1越える熱延伸を行った場合には、単糸切
れが発生し、強度が12cN/dtex以上のポリケト
ン繊維が得られない。より高い強度および弾性率を有
し、撚糸強力利用率および結節強度を高める上で、ひず
み速度は0.10〜0.40秒―1が好ましく、より好
ましくは0.20〜0.30秒-1である。0.05〜
0.50秒-1のひずみ速度の熱延伸は、8倍以上の熱延
伸を行った後にすぐに行ってもよく、0.05秒-1未満
のひずみ速度の熱延伸を行った後でもよい。8倍以上熱
延伸した繊維を0.05〜0.50秒-1のひずみ速度で
熱延伸した後に、0.05秒-1未満のひずみ速度の熱延
伸を行ってもよい。0.05〜0.50秒-1のひずみ速
度の熱延伸を2段以上行ってもよい。
【0028】熱延伸に際して、延伸温度は100〜30
0℃であることが好ましい。100℃未満では延伸倍率
を高めることが困難になり、300℃を越えると延伸時
に糸が溶融して糸の切断がおこりやすい。延伸のしやす
さから150℃以上が好ましく、より好ましくは180
〜280℃である。熱延伸終了後に、好ましく0.2〜
2.0cN/dtex、より好ましくは0.5〜1.5
cN/dtexの張力を加えながら、好ましくは230
〜280℃、より好ましくは250〜260℃の範囲
で、好ましくは0.01〜60秒間、より好ましくは
0.1〜30秒間熱処理することにより、ポリケトン繊
維の弾性率がより高くなり、高温での寸法安定性が一層
向上する。
【0029】熱処理温度が230℃未満では熱処理の効
果が現れず、280℃を越えると単糸間の融着が起こる
場合がある。張力が0.2cN/dtex未満になると
配向緩和が起こり弾性率の低下を引き起こす場合があ
り、2.0cN/dtexを越えても効果が殆ど向上し
ない。熱処理処理時間が0.01秒未満では熱処理の効
果が小さく、60秒を越えると効果の増加率が小さくな
るとともに熱劣化が生じやすくなる。張力を加えながら
熱処理する方法は限定されないが、前述の熱延伸と同様
な装置をそのまま用いて行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明を実施例により具体的に説
明するが、それらは本発明の範囲を限定するものではな
い。本発明に用いられる各測定値の測定方法は次の通り
である。 (1)極限粘度[η] 極限粘度[η]は、次の式により求める。 式中のtおよびTは、純度98%以上のヘキサイソプロ
パノールおよびヘキサフルオロイソプロパノールに溶解
したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時
間である。Cは上記100ml中のグラム単位による溶
質質量値である。 (2)繊維の強度、伸度、弾性率 繊維の強伸度は、JIS−L−1013に準じ、サンプ
ル長:20cm、引張り速度:20cm/分で測定し、
10回測定したときの平均値とする。
【0031】(3)横縞の本数 任意に単繊維を5本採取し、それぞれの単繊維につい
て、単繊維をスライドグラス上に乗せてカバーグラスで
挟んだ状態でオリンパス光学工業(株)社製の透過型顕
微鏡BX50を用いて400倍の倍率で観察し、写真撮
影を行う(図1に繊維軸に対して垂直方向の線が存在す
る単糸の一例を示す)。繊維サンプルと同じ条件で写真
撮影したスケール(1目盛りが10μm)写真を用い
て、単繊維の任意の位置における繊維長50μmの範囲
内に存在する繊維軸に対して垂直方向に存在する線を数
え、5本の単繊維における横縞の本数を平均する。 (4)結晶転移熱量 長さ2mm程度に切断したポリケトン繊維2mgを、窒
素雰囲気下、20℃/分の昇温速度で、PERKIN
ELMER社製の示差走査熱量計Pyrisー1(商
標)を用いて測定する。結晶転移熱量は、図2に示すよ
うに、100〜120℃にピークトップが観察される吸
熱ピークと点線のベースラインで囲まれた面積に対応し
た熱量であり、示差走査熱量計Pyrisー1に付属し
た解析ソフト「Pyris Data Analysi
s」を使用して計算する。
【0032】(5)撚糸強力利用率 撚糸強力利用率(%)=(撚糸後の強力/撚糸前の強
力)×100 撚糸後の強度は、張力0.44cN/dtex、撚り数
1200回/mの条件で撚糸したものを(2)の方法で
測定する。 (6)熱収縮率 ポリケトン繊維を150℃、30分間、無緊張状態で熱
処理したときの繊維長の変化を測定し、以下に示す式よ
り熱収縮率を計算する。 熱収縮率(%)=[(熱処理前の繊維長−熱処理後の繊
維長)/熱処理前の繊維長]×100
【実施例1】62質量%の塩化カルシウムと塩化亜鉛の
混合塩(塩化カルシウム/塩化亜鉛の質量比は64.5
/35.5)水溶液に、極限粘度[η]が5.7で、実
質的に繰り返し単位の100モル%が化学式(1)で示
されるポリケトンが7質量%となるように30℃で混合
し、1.33kPaまで減圧した。泡の発生が無くなっ
た後、減圧のまま密閉し、これを90℃で2時間攪拌す
ることにより均一で透明なポリケトン溶液を得た。
【0033】得られたポリケトン溶液を20μmのフィ
ルターを通過させた後、直径0.15mmの孔が50個
ある紡口口金からプランジャー型押出機を用いて、80
℃、5m/分の速度で押し出し、エアギャップ長10m
mを通過させ、そのまま2℃の水からなる凝固浴中を通
した後、5m/分の速度でネルソンロールを用いて引き
上げた。次いで、そのネルソンロール上で水を吹きかけ
て洗浄し、1質量%の塩酸浴を通してネルソンロールで
引き上げた後、ネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄
した。次いで、220℃のホットプレート上を通して乾
燥した後に巻き取り、未延伸糸を得た。
【0034】この未延伸糸を2台のネルソンロールと加
熱長が1mのホットプレートを用いて、225℃で7.
0倍、240℃で1.5倍、250℃で1.3倍、25
7℃で1.3倍の4段による熱延伸を行った。1段目は
フィード速度が1m/分でひずみ速度が0.12秒-1
2段目はフィード速度が2m/分でひずみ速度が0.0
2秒-1、3段目はフィード速度が2m/分でひずみ速度
が0.01秒-1、で延伸を行った。3段目までの延伸倍
率は13.7倍であった。4段目のフィード速度は20
m/分で、ひずみ速度が0.10秒-1の熱延伸を行っ
た。
【0035】得られた繊維の物性は、繊度が58.9d
tex、強度が16.8cN/dtex、伸度が4.8
%、弾性率が349cN/dtexで、横縞の本数は1
3本、結晶転移熱量は9.1J/g、熱収縮率は1.8
%であった。撚糸強力利用率は76%であり良好であっ
た。
【0036】
【実施例2】乾燥して未延伸糸を得るまでは実施例1と
同様に行った。この未延伸糸を、ネルソンロールを用い
て2m/分でフィードし、加熱長が1mで温度が225
℃のホットプレート上を通した後、ネルソンロールを用
いて14m/分で引取って(延伸倍率=7.0倍)、そ
のままフィードして加熱長が1mで温度が240℃のホ
ットプレート上を通した。次いで、ネルソンロールを用
いて21m/分で引取った(延伸倍率1.5倍)。さら
にそのままフィードして加熱長が1m、温度が255℃
のホットプレート上を通し、ネルソンロールを用いて2
8.4m/分で引取り(延伸倍率=1.35倍)、連続
3段の熱延伸を行った。このとき、2段目までの延伸倍
率は10.5倍であり、3段目のひずみ速度は0.12
-1であった。
【0037】得られた繊維の物性は、繊度が73.9d
tex、強度が15.3cN/dtex、伸度が5.1
%、弾性率が329cN/dtexで、横縞の本数は1
9本、結晶転移熱量が8.8J/g、熱収縮率が1.6
%であった。撚糸強力利用率は79%であり良好であっ
た。
【0038】
【実施例3】実施例1で得られた繊維を、ネルソンロー
ルを用いて4m/分の速度でフィードし、温度が255
℃のホットプレート上を通した後にネルソンロールで
4.2m/分の速度で引取る方法で熱処理を行った。こ
のときのネルソンロール間の繊維に加わった張力は0.
9cN/dtex、処理時間は15秒であった。得られ
た繊維の物性は、繊度が58.1dtex、強度が1
6.9cN/dtex、伸度が4.3%であった。弾性
率は399cN/dtexであり、高い弾性率を示し
た。横縞の本数は12本、撚糸強力利用率は77%であ
った。また、結晶転移熱量は10.8J/gであった。
熱収縮率は0.5%であり、加熱時の寸法安定性は良好
であった。
【0039】
【実施例4】実施例1で得られた繊維を、ネルソンロー
ルを用いて4m/分の速度でフィードし、温度が250
℃のホットプレート上を通した後にネルソンロールで
4.2m/分引取り方法で熱処理を行った。このときの
ネルソンロール間の繊維に加わった張力は0.9cN/
dtexであり、処理時間は15秒であった。得られた
繊維の物性は、繊度が73.5dtex、強度が15.
8cN/dtex、伸度が4.3%であった。弾性率が
375cN/dtexであり、高い弾性率を示した。横
縞の本数は12本であり、撚糸強力利用率は78%であ
った。また、結晶転移熱量は10.2J/gであった。
熱収縮率は0.6%であり、加熱時の寸法安定性は良好
であった。
【0040】
【比較例1】4段目のフィード速度を2m/分、ひずみ
速度を0.01秒-1とした以外は実施例1と同じ方法で
行い、ポリケトン繊維を製造した。得られた繊維の物性
は、繊度が58.2dtex、強度が17.8cN/d
tex、伸度が4.4%、弾性率が402cN/dte
xであり、横縞の本数は0本、結晶転移熱量は11.2
J/g、熱収縮率は0.8%であった。撚糸強力利用率
は66%であり、低い値であった。
【0041】
【発明の効果】本発明のポリケトン繊維は、高い強度及
び弾性率を有し、撚糸後の強力保持率が高い。そのた
め、本発明のポリケトン繊維は、タイヤコード、ベルト
などのゴム補強材として好適であり、中でも、耐疲労性
を特に要求される分野に最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリケトン繊維を400倍の透過型顕
微鏡で観察した写真。
【図2】結晶転移熱量を求めるためのDSC曲線図。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰り返し単位の95モル%以上が化学式
    (1)で示されるポリケトンからなる、強度が12cN
    /dtex以上のポリケトン繊維であって、透過型光学
    顕微鏡により400倍で単繊維を観察したときに、繊維
    長さ50μm当たりに少なくとも1本の横縞が存在する
    ことを特徴とするポリケトン繊維。 【化1】
  2. 【請求項2】 示差走査熱量計を用いて20℃/分の速
    度で昇温したときに、100〜120℃にピークトップ
    が観察される吸熱ピークに対応した熱量が9.5J/g
    以上であることを特徴とする請求項1記載のポリケトン
    繊維。
  3. 【請求項3】 繰り返し単位の95モル%以上が化学式
    (1)で示されるポリケトンからなるドープを紡糸口金
    から凝固浴へ押し出して凝固させ、得られた繊維状物を
    洗浄して乾燥した後、2段以上の多段で8倍以上に熱延
    伸を行い、次いで、数式(1)で示すひずみ速度0.0
    5〜0.50秒-1で熱延伸することを特徴とするポリケ
    トン繊維の製造方法。 【化2】 【数1】 (式中、V1は延伸のフィード速度(m/秒)、V2は延
    伸の引取り速度(m/秒、Lは加熱長(m))
  4. 【請求項4】 熱延伸が終了後、0.2〜2.0cN/
    dtexの張力を加えながら、230〜280℃で、
    0.01〜60秒間熱処理することを特徴とする請求項
    3記載のポリケトン繊維の製造方法。
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