JP2003064449A - 耐熱用低合金鋼管およびその製造方法 - Google Patents
耐熱用低合金鋼管およびその製造方法Info
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Abstract
合金鋼管とその製造方法の提供。 【解決手段】所定量のC、Si、Mn、P、S、Cr、Ti、
V、Nb、B、Al、Ca、N、ならびにMoおよびWのうちの
いずれか一方または両方、さらに必要に応じてCuおよび
Niのうちのいずれか一方または両方を含み、残部がFeお
よび不純物で、下記(a)式および(c)式、更には(d)式を
満足し、金属組織がベイナイト主体の耐熱用低合金鋼
管。前記化学組成の溶鋼を連続鋳造して得られた鋳片を
素材として製管した後、その組織を連続式の熱処理炉内
でベイナイトに変態させる耐熱用低合金鋼管の製造方
法。 DF=TA−TB≦250 ・・・・(a)、 EB>0 ・・・・・・・・・(c) 1≦(Ni/Cu)<5 ・・・・(d) ただし、TA、TBおよびEBは鋼の組成元素から決定
される定数。
Description
とその製造方法に係り、より詳しくは、特別な製造設備
を使用せずに製造でき、疵の発生がなく高温強度が高い
ベイナイト組織を有する耐熱用低合金鋼管とその製造方
法に関する。
熱鋼は、大別して、Cr含有量が数%以下の低Crフェラ
イト鋼、Cr含有量が 9〜12%の高Crフェライト鋼、お
よびオーステナイト鋼の3種類の鋼に分けられる。こ
れらの鋼は温度、圧力などの使用環境や経済性を考慮に
入れた上、適宜選定される。
に低合金鋼と呼ばれ、高Crフェライト鋼やオーステナイ
ト鋼に比べて、低コストで製造が可能であり、しかも熱
膨張率が小さく、かつ熱伝導性が優れていることから、
発電用ボイラや化学プラントなど多岐の分野で耐熱鋼と
して用いられる。例えば、このような低合金鋼の代表例
としては、JIS G 3462に規定されるSTBA22(1Cr-0.5M
o)、STBA23(1.25Cr-0.5Mo)、STBA24(2.25Cr-1Mo)および
火力技術基準に規定される火STBA21(1Cr-0.3Mo)などが
挙げられる。
高温強度は極めて重要な特性の一つである。ボイラや化
学プラントなどに用いられる低合金鋼で作製された鋼管
(以下、低合金鋼管という)は、特に厳しい使用環境下
で用いられることからその素材の高温強度は高いことが
好ましい。これらの環境下で使用される低合金鋼管の肉
厚は、その使用環境、素材の高温強度に応じて決定され
るが、高温強度には限界があるため、一定の制限下のも
とに肉厚設計をせざるを得ない。
めるため、固溶強化や析出強化による素材の改善が図ら
れてきた。固溶強化を利用した高温強度の改善は、鋼に
適正量のCrやMoを含有させることによって行われる。ま
た、析出強化を利用した高温強度の改善は、低合金鋼に
V、Nb、Tiなどを添加し、微細な炭化物や窒化物を析出
させることによって行われる。例えば、特開平8-158022
号公報には、析出物を凹凸面を有する形状にし、その量
を特定することによってクリープ強度を向上させた低合
金鋼とその製造方法が記載されている。
は、例えば、ボイラ、化学工業などの分野で使用する鋼
管用の材料に用いられる。鋼管の製造に当たっては、高
温における強度特性などを考慮に入れた材料設計やコス
トパフォーマンスの観点から製造条件が検討される。
ンネスマン穿孔するか、または熱間押出することによっ
て行われる。鋼片を鋳造により作製した場合、鋼片の外
殻から凝固が進み、鋼片の中心部が最後に凝固するた
め、得られた鋼片の中心部には、ポロシティ、偏析など
の欠陥が生成しやすい。また、鋳造の際には、凝固収縮
により鋼片の中心部には外殻から引張応力が作用する。
引張応力が鋼片の強度に比べて大きい場合、中心部に割
れ、いわゆる軸心割れが生じる。
伸圧延や押出加工の工程で解消される場合もあるが、鋼
片に欠陥や軸心割れが多く発生した場合、製管後の鋼管
内面にこの欠陥が引き継がれることがあり、また、新た
に表面疵などの欠陥が発生する場合がある。
には、熱間にて鋼片を鍛造あるいは圧延し、鋼片内部の
欠陥や軸心割れをあらかじめ圧着消滅させておく方法が
あるが、コスト、製造時間を考慮すると、鍛造、圧延工
程を経ずに穿孔および延伸圧延を行うこと、言いかえれ
ば、鋳造、具体的には連続鋳造したままの鋼片がその中
心部に欠陥、軸心割れを有していないことが好ましい。
ィなどを低減させるようにした連続鋳造方法としては、
例えば、特開平8-332556号公報、特開2001-62550号公報
および特許第2856068号公報に示される方法があるが、
これらの公報に示される方法いずれも鋼の変態温度につ
いては全く考慮していない。
でも、穿孔および延伸圧延や押出加工により鋼管内面に
欠陥が発生する場合がある。この欠陥は鋼片の組成に依
存するため、鋳造を行う前の溶鋼組成の成分調整が必要
となる。
低合金鋼管とそのような鋼管を疵の発生なく製造する方
法を提供することにある。
造により作製された鋼片の中心部に欠陥や軸心割れが生
じない条件、または最終製品に影響を及ぼさない程度の
軽微な欠陥や軸心割れしか生じない条件について検討し
た。
た後の冷却過程に起こる収縮により発生する。鋳造工程
では、冷却過程において、δフェライトが最初に析出
し、それがオーステナイトγ(以下、単にγと記す)に
変態する。δフェライトがγに変態(A4変態)する際
には、収縮が起こり体積が減少するため、δフェライト
が、先に変態が完了して生成したγの拘束を受け、引張
応力が発生する。
ェライトとγの粒界部でポロシティなどの欠陥が生じ
る。ポロシティなどが発生しないようにするには、本出
願人が先に特許出願(特願 2001-128947号)した明細書
に詳述したように、溶鋼が粒界部へスムーズに供給され
るようにγの変態が速やかに行われればよい。
かに行うには、液相から変態したδフェライトが短時間
のうちにγに変態すればよい。言い換えれば、液相から
δフェライトへの変態点とδフェライトからγへの変態
点の温度差が小さければ小さいほどよい。そこで、この
温度差を簡易に求めるために、凝固形態を単相凝固と仮
定した場合の変態温度差DFを利用した。
とδフェライトからγへの変態点の温度差(DF)を概念
的に表した図である。図1においてDFは液相Lからδフ
ェライトへの変態点TAとδフェライトからγへの変態
点TBの差で与えられる。すなわち、DF=TA−TBで
ある。
含まれる元素の量と平衡分配係数などにより算出できる
ことが認識されており、これらの知見と発明者らによる
実験結果によりTAおよびTBを下記のとおり定義し
た。なお、下記式の右辺に含まれる元素記号は各元素の
含有量(質量%)である。
6Mn+1.01P+1.15S+0.04Cr+0.12Mo+0.01W+0.18Cu+0.13
Ni)。 TB=100000/(60.06-4.51C+3.84Si-0.19Mn+0.98P+
0.25S+1.01Cr+0.55Mo+1.29W-1.49Cu-1.34Ni)。
続鋳造して得られる鋼片に発生するポロシティなどの欠
陥を抑制できることを知得した。
が或る範囲内にあるときに鋳片を一定の水量密度で強制
冷却すると、上記のDFが大きい場合でも、鋼片に発生す
るポロシティなどの欠陥を抑制できることも知得した。
も、熱間にて製管した後の鋼管に表面疵が発生すること
があった。そこで、その原因について調べたところ、こ
の表面疵はCu添加鋼の場合に限って発生しており、粒界
に偏析したCuが製管時に融解するために表面疵(いわゆ
る、「Cuチェッキング」)になることを知得した。さら
に、鋼片に含有されるNiとのバランスを調整し、Cuを母
相へ固溶させることで、Cuチェッキングの発生を抑制す
ることができることもわかった。
度を高めるため、炉内に冷却帯が設けられた高能率の連
続式の熱処理炉を用い、鋼管の金属組織をベイナイトが
主体の組織となるような熱処理を施すことを考え、その
熱処理の条件について検討した。その結果、ベイナイト
主体の組織を得るには、B含有量、特に窒素と結合して
いないフリーのB含有量を規制するとともに、特定の冷
却速度で冷却する必要があることも知得した。鋼管の金
属組織をベイナイト主体の組織とすれば、炭化物が高密
度かつ均一に分散することにより高温強度を確保でき
る。
たものであり、その要旨は下記(1)〜(4)の耐熱用
低合金鋼管、および下記(5)〜(7)の耐熱用低合金
鋼管の製造方法にある。
0.01〜0.7%、Mn:0.01〜1.5%、P:0.020%以下、
S:0.008%以下、Cr:0.5〜2.7%、Ti:0.005〜0.02
%、V:0.01〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、B:0.0020〜
0.0100%、Al:0.02%以下、Ca:0.005%以下および
N:0.0100%以下、ならびにMo:0.01〜1%およびW:
0.01〜2%のうちの1種以上を含有し、残部がFeおよび
不純物からなり、下記(a)式および(c)式を満足し、金属
組織がベイナイト主体の組織である耐熱用低合金鋼管。
1.15S+0.04Cr+0.12Mo+0.01W) TB=100000/(60.06-4.51C+3.84Si-0.19Mn+0.98P+
0.25S+1.01Cr+0.55Mo+1.29W) EB=B-{(11/14)×N-(11/48)×Ti} ここで、上記の各式中の元素記号は鋼中に含まれる各元
素の含有量(質量%)を意味する。
0.01〜0.7%、Mn:0.01〜1.5%、P:0.020%以下、
S:0.008%以下、Cr:0.5〜2.7%、Ti:0.005〜0.02
%、V:0.01〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、B:0.0020〜
0.0100%、Al:0.02%以下、Ca:0.005%以下および
N:0.0100%以下、ならびにMo:0.01〜1%およびW:
0.01〜2%のうちの1種以上、さらにCu:0.01〜0.5%お
よびNi:0.01〜0.5%のうちの1種以上を含有し、残部
がFeおよび不純物からなり、下記(a)式および(c)式を満
足し、金属組織がベイナイト主体の組織である耐熱用低
合金鋼管。
1.15S+0.04Cr+0.12Mo+0.01W+0.18Cu+0.13Ni) TB=100000/(60.06-4.51C+3.84Si-0.19Mn+0.98P+
0.25S+1.01Cr+0.55Mo+1.29W-1.49Cu-1.34Ni) EB=B-{(11/14)×N-(11/48)×Ti} ここで、上記の各式中の元素記号は鋼中に含まれる各元
素の含有量(質量%)を意味する。
W:0.01〜2%をともに含む場合、下式(d)を満足する上
記(2)に記載の耐熱用低合金鋼管。
%、Mn:0.3〜1.5%、P:0.015%以下、S:0.005%以
下、Cr:0.5〜2%、Mo:0.01〜1%、Ti:0.005〜0.02
%、V:0.01〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、B:0.0020〜
0.0100%、Cu:0.01〜0.5%、Ni:0.01〜0.5%、Al:0.
01%以下、Ca:0.005%以下およびN:0.0100%以下を
含有し、残部がFeおよび不純物からなり、下記(b)式、
(c)式および(d)式を満足し、金属組織がベイナイト主体
の組織である耐熱用低合金鋼管。
1.15S+0.04Cr+0.12Mo+0.18Cu+0.13Ni) TB=100000/(60.06-4.51C+3.84Si-0.19Mn+0.98P+
0.25S+1.01Cr+0.55Mo-1.49Cu-1.34Ni) EB=B-{(11/14)×N-(11/48)×Ti} ここで、上記の各式中の元素記号は鋼中に含まれる各元
素の含有量(質量%)を意味する。
かに記載の耐熱用低合金鋼管の製造方法であって、連続
鋳造により断面積が1018cm2以下の鋼片を作製し、この
鋼片を素材として熱間で穿孔および延伸圧延を施して継
目無鋼管とした後、この鋼管を連続式の熱処理炉に装入
して加熱するとともに炉内において冷却する際、冷却速
度を500℃/h以上とする耐熱用低合金鋼管の製造方法。
管の製造方法であって、連続鋳造により断面積が1018cm
2以下の鋼片を作製し、この鋼片を素材として熱間で穿
孔および延伸圧延を施して継目無鋼管とした後、この鋼
管を連続式の熱処理炉に装入して加熱するとともに炉内
において冷却する際、冷却速度を500〜3000℃/hとする
耐熱用低合金鋼管の製造方法。
下の鋼片を作製する際、溶鋼を断面積が1018cm2以下の
モールドに鋳込み、鋳片中心部の固相率が0.1〜0.8にな
る位置から0.99以上になる位置までの間を水量密度25〜
300リットル/min・m2で強制冷却する上記(5)または
(6)に記載の耐熱用低合金鋼管の製造方法。
は、例えば、JIS G 3462に規定されるSTBA22、STBA23、
STBA24およびこれらの相当鋼、火力技術基準に規定され
る火STBA21およびその相当鋼などの低合金鋼を使用して
作製された鋼管のことをいう。以下では、本発明に係る
耐熱用低合金鋼管および耐熱用低合金鋼管の製造方法に
関し、鋼管の化学組成と鋼管の製造条件についてそれぞ
れ詳細に述べる。
下の%はすべて質量%を示す。
を高める効果を有する。しかし、Cの含有量が低いと炭
化物が十分析出せず、焼入れ能が低下するため、C含有
量は0.03%以上とする。一方、Cの含有量が0.10%を超
えると、溶接施工性が低下し、さらに連続鋳造の際にモ
ールド内に添加されるパウダの選択が困難になる。した
がって、C含有量は0.03〜0.10%とする。
高める効果も有する。これらの効果は、Si含有量が0.01
%以上で得ることができる。しかし、Siを過剰に含有さ
せると靱性が劣化し、クリープ強度も低下するので、Si
含有量の上限は0.7 %とする。
く強度を向上させる効果を有する。これらの効果は0.01
%以上で得られ、0.3 %以上の場合に特に顕著になる。
一方、過剰に含有させると、クリープ強度の低下を招く
ことがあるので、Mn含有量の上限は1.5 %とする。好ま
しいのは0.3〜1.5%である。
含有量が0.020 %を超えると溶接特性が著しく悪くなる
ので、P含有量は0.020 %以下とする。好ましいのは0.
015 %以下、より好ましいのは0.010 %以下である。な
お、P含有量は低ければ低いほどよい。
量が0.008 %を超えるとクリープ延性が著しく低下する
ので、S含有量は0.008 %以下とする。好ましいのは0.
005 %以下、より好ましいのは0.003 %以下である。な
お、P含有量も低ければ低いほどよい。
する。これらの効果は0.5 %以上の含有量で得られる。
しかし、2.7 %を超えると溶接施工性が低下するので、
Cr含有量の上限は2.7 %とする。好ましい上限は2%で
ある。
化に寄与し、特にフリーの窒素を固定するのに効果的に
作用する。また、焼入れ性を向上させる効果も有する。
これらの効果は0.005 %以上の含有量で得られるが、0.
02%を超えると靱性が低下するので、Ti含有量は0.005
〜0.02%とする。
ため析出強化に寄与する。この効果は0.01%以上の含有
量で得られるが、0.5 %を超えると靱性が低下するの
で、V含有量は0.01〜0.5 %とする。
せるため析出強化に寄与する。この効果は0.01%以上の
含有量で得られるが、0.5 %を超えると靱性が低下する
ので、Nb含有量は0.01〜0.5 %とする。
する熱処理により鋼管の金属組織をベイナイトに変態さ
せるために不可欠な元素である。これらの効果が発揮さ
れるのは、B含有量が0.0020%以上のときである。しか
し、Bを過剰に含有させると、靱性が低下するので、B
含有量の上限は0.0100%とする。
きる。脱酸効果を十分に発揮されるには、Al含有量を0.
001 %以上とするのが望ましい。しかし、Al含有量が過
剰になると、鋼中に非金属介在物量が増加し、クリープ
強度が劣化するのでAl含有量の上限は0.02%とする。好
ましいのは0.01%以下である。なお、前述したSiやMnな
どによって脱酸が十分に行われ場合には、Alは必ずしも
積極的に添加しなくてもよい。
は鋳造時に溶鋼内より浮上分離させる作用をもつ。ま
た、連続鋳造の際に注湯ノズルの詰まりを防止する。し
たがって、必要に応じて含有させることができる。これ
らの効果が十分に発揮されるのは、Ca含有量が0.0001%
以上のときである。しかし、Caを過剰に含有させると、
浮上分離されずに鋼中に残留する球状のCa系介在物量が
増加し、クリープ強度が劣化するので、Ca含有量の上限
は0.005 %とする。
量に含有していると、焼入れ性が低下してベイナイト組
織の確保が困難になるだけでなく、Nを固定するために
Tiなど他の元素を多量に含有させる必要があるため、N
含有量は0.0100%以下であることが好ましい。
析出させるため析出強化にも寄与し、クリープ強度を向
上させる効果を有する。これらの効果は0.01%以上の含
有量で得られる。一方、Moは高価な元素で、過剰な添加
は製造コストの上昇を招くためその含有量はできるだけ
低く抑えるのが好ましいので、Mo含有量の上限は1%と
する。
に、MX型の窒炭化物を析出させるため析出強化にも寄
与し、クリープ強度を向上させる効果を有する。これら
の効果は0.01%以上の含有量で得られる。一方、Wも高
価な元素で、過剰な添加は製造コストの上昇を招くため
その含有量はできるだけ低く抑えるのが好ましいので、
W含有量の上限は2%とする。
必要はなく、いずれか一方を含有させれるだけでもよ
い。
質的にFeからなるものである。本発明の鋼管の他の一つ
は、上記の成分に加えて更に下記の成分のうちのいずれ
か一方または両方を含むものである。
DFを小さくする作用を有し、鋼片を連続鋳造する際に発
生する軸心割れを軽減させるだけでなく、鋼管の熱伝導
性をも向上させる。これらの効果は、0.01%以上の含有
量で得られる。しかし、0.5 %を超えると、連続鋳造時
に通常のポーラスなスケールとは異なり、緻密でしかも
鋳片との密着性が高くて熱伝導性が良好なスケールを形
成し、これが原因で過冷却を招いてγ→σ変態が起こ
り、鋳片の中心部に割れが発生しやすくなる。このた
め、添加する場合のCu含有量は0.01〜0.5 %とした。
とともに、DFを小さくする作用を有し、鋼片を連続鋳造
する際に発生する軸心割れを軽減させるだけでなく、靱
性をも向上させる。これらの効果は、0.01%以上の含有
量で得られるが、Niは高価な元素であるから過剰な添加
は製造コストの上昇を招く。このため、添加する場合の
Ni含有量は0.01〜0.5 %とした。
述べた。本発明の鋼管では、さらに各成分が前述の(a)
式〜(d)式、特に(a)式、(b)式および(c) 式を満たさな
ければならない。(a)式〜(d)式については、鋼管の製造
条件と密接に関係するものであるので、以下の「鋼管の
製造条件」で説明する。
製管用のビレット径に等しいように成形された砂型や鋼
製の鋳型に鋳込んで製造された鋳込みままの鋼片、また
は通常の造塊法により得られたインゴットに分塊圧延な
どを施して所定のビレット径に成形した鋼片を用いて製
造することもできるが、溶鋼を連続鋳造して鋼片を作製
することが好ましい。連続鋳造法では、製造コストを低
く抑えることができるからである。このとき、鋼片(以
下においては鋳片ということもある)は、鋳片中心部の
固相率が0.1〜0.8になる位置から0.99以上になるまでの
間を水量密度25〜300リットル/min・m2で強制冷却する
のが好ましい。その理由は後述するとおりである。
続鋳造したままの鋳片を用いて製造する方法について述
べる。この製造方法では、まず、溶鋼を連続鋳造により
鋳込み、断面積が1018cm2以下の鋳片(鋳片が丸ビレッ
トの場合、直径360mm以下)を作製する。
断面積は1018cm2以下であることを必要とするのは、こ
の面積を超える断面積を有する鋳片を連続鋳造で鋳込む
と、鋳片の中心部の冷却が充分に行われず、半溶融部の
体積が大きくなって、凝固した鋳片の外殻が半溶融部を
支えることができなくなり、連続鋳造が行えなくなるか
らである。
続鋳造した後に熱間で行われる穿孔および延伸圧延を考
慮に入れると、丸形状であることが望ましい。すなわ
ち、連続鋳造では丸ビレットを作製することが好まし
い。
その鋳片の中心部に欠陥が発生している場合には、穿孔
および延伸圧延して鋼管にしたとき、鋼管内面に欠陥が
生じる場合がある。鋳片の断面積が1018cm2以下である
ことを前提として、鋼管内面の欠陥の発生を抑制するた
めには、鋼の化学組成に応じて下記(a)式を満たすこと
が必要である。
1.15S+0.04Cr+0.12Mo+0.01W)、または TA=100000/(55.25+2.35C+0.37Si+0.16Mn+1.01P+
1.15S+0.04Cr+0.12Mo+0.01W+0.18Cu+0.13Ni) TB=100000/(60.06-4.51C+3.84Si-0.19Mn+0.98P+
0.25S+1.01Cr+0.55Mo+1.29W)、または TB=100000/(60.06-4.51C+3.84Si-0.19Mn+0.98P+
0.25S+1.01Cr+0.55Mo+1.29W-1.49Cu-1.34Ni) ここで、上記各式の右辺中の元素記号は鋼中に含まれる
各元素の含有量(質量%)を意味する。
鋼が凝固する際、鋼片の中心部には欠陥が発生し、この
欠陥が最終製品である鋼管に引き継がれる。
鋼片をそのまま熱間で穿孔および延伸圧延して鋼管とす
る。その際、上記のようにDFを250 以下とすることによ
り、鋼管にはポロシティなどの欠陥や軸心割れに起因す
る欠陥は発生しないか、発生したとしても軽微なものと
なる。
相率が0.1〜0.8になる位置から0.99以上になるまでの間
を鋳片表面における水量密度が25〜300 リットル/min・
m2になる条件で強制冷却するのが好ましい。このよう
に強制冷却すると、DFを250以下としたこととの相乗作
用により、鋳片の中心部にポロシティなどの欠陥や軸心
割れがより一層発生しにくくなる。
定めたのは次の理由による。鋳片中心部の固相率が0.1
未満の位置で強制冷却を開始したのでは、冷却開始が早
すぎて鋳片中心部の収縮代が大きくなるときに表面の収
縮代を大きく保てなくなって中心部の内質改善がなされ
ない。また、固相率が0.8 を超える位置で強制冷却を開
始したのでは、最終の凝固位置に近すぎて中心部の内質
改善に必要な時間が確保できない。さらに、固相率が0.
99未満の位置で強制冷却を終了すると、中心部が完全に
凝固していないのに加え、鋳片表面の復熱によって中心
部に引張応力が作用するために逆に中心部の内質が悪化
する。一方、水量密度が25リットル/min・m2未満で
は、強制冷却したことにならず、300リットル/min・m2
を超えると鋳片表面が過冷却となり、鋳片の曲がりが発
生するなどの問題が生じる。
は、鋳片が丸ビレットの場合、例えば、次のようにして
求めることができる。すなわち、下記(e) 式で表される
円柱座標熱伝導微分方程式を解き、時間t経過後の半径
rの位置における鋳片の温度θを求め、求めた温度θと
状態図とから鋳片中心部の固相率を求める。そして、固
相率が0.1〜0.8および0.99となるときの経過時間tと鋳
造速度に基づいてメニスカスからの距離を求めることに
より、固相率が0.1〜0.8および0.99となる位置を知る。
λd)dθ」、 r:半径(m)、 θ:鋳片の温度(K)、 Qi:鋳片の内部発生熱(J/m3・sec)。
で、強制冷却は図中の最終冷却手段7を用いて行えばよ
い。なお、図中、1は一次冷却手段を兼ねる水冷鋳型、
2は浸漬ノズル、3は溶鋼、4は凝固殻、5は鋳型直下
に設けられた二次冷却手段、6は凝固が完了した鋳片
(丸ビレット)、8はピンチロール、9は切断トーチで
ある。
DFは180 以下とするのが望ましい。
には、前述したように、Cuチェッキングが生じて鋼管表
面に疵が発生する。なお、Cuチェッキングとは、Cuが粒
界に偏析し、そのCuが製管時に溶解し、表面疵となる現
象である。
下であれば顕著には生じないが、Cuとともに下記(d) 式
を満たすNiを添加することでその発生を確実に防ぐこと
ができる。したがって、Cuを添加する場合はNiと複合で
添加するのがよい。
ングが生じて表面疵が発生する。このため、1≦(Ni/C
u)を満たす必要がある。一方、(Ni/Cu)の値を大きくす
ることはCuチェッキングの発生防止には効果があるが、
Ni含有量がCu含有量の5倍以上、すなわち(Ni/Cu)≧
5ではその効果は飽和する。高価なNiの含有量を抑制す
るためには、(Ni/Cu)<5とするのが好ましい。
理炉を用いて熱処理を行う。熱処理により鋼管組織をベ
イナイト主体の組織に変態させることで高温強度の高い
耐熱用低合金鋼管を得る。ベイナイトは所定の温度で一
定時間以上保持した後、急冷することによって得ること
ができる。冷却履歴によって羽根状ベイナイト(上部ベ
イナイト)や針状ベイナイト(下部ベイナイト)といっ
た特性の異なるベイナイトが得られるが、本発明で変態
させて得るベイナイトはその種類を問わない。
た後、500 ℃/h以上の速度で冷却する。連続型焼鈍
炉、例えば、ハースローラ式光輝焼鈍炉では、冷却速度
は焼鈍炉内での送管速度に比例する。送管速度が遅い場
合、すなわち冷却速度が遅い場合、生産性は低下する。
そのため、加熱保持した後の冷却速度は500 ℃/h以上
とする。なお、冷却速度は速ければ速いほどよいので上
限は特定しない。しかし、処理能力や経済性など考慮し
て設計された既存のハースローラ式光輝焼鈍炉の冷却能
の上限がおよそ3000℃/h程度であることからその上限
は3000℃/hとするのが好ましい。
合、下記(c)式を満たすことが必要である。
素の含有量(質量%)を意味する。
な役割を果たす。上記 (d)式のEBは、焼入れ指数を表
し、焼入れに有効なB含有量を表す。Bは窒素と容易に
化合してBNを形成する。窒素と化合したBは焼入れに
は有効に働かない。そのため、焼入れに有効なBは、全
B量からBNとなるB量を差し引いたものとなる。一
方、チタンが存在すれば、優先的にTiNが形成されるた
め、NはTiNとして消費され、BNとなるN量は減少す
る。したがって、EBは窒素と化合してBNを形成しな
いフリーのB含有量を表す。
管中に含有していれば、冷却による焼入れが適切に行わ
れ、ベイナイト組織を得ることができる。
記の条件で冷却すれば、ベイナイトの変態量を100%近
くにすることができる。熱処理を施すことにより鋼管の
内外面にフェライトの脱炭層が形成されることを考慮す
れば、ベイナイトの変態量は80%を超える量とするのが
望ましい。また、脱炭層を除く鋼管のベイナイトの変態
量は100%であることが好ましい。保持温度はあらかじ
め作製した冷却変態図(CCT 図)を参照して決定すれば
よい。
を溶製し、図2に示す湾曲型連続鋳造装置を用いて表2
に示す種々の条件で外径が191〜360mmの11種類の丸ビレ
ットを作製した。その際、強制冷却は図2に示す最終冷
却手段7で行った。
象に浸透探傷試験を行ってセンターポロシティの発生面
積率を調べた後、マンネスマン・マンドレルミル方式の
継目無鋼管製造設備に供し、表2に示す種々の寸法の継
目無鋼管に仕上げた。なお、穿孔圧延は温度1200℃、穿
孔比(穿孔圧延後の管の長さ/ビレット長さ)2.5 で行
い、引き続いてマンドレルミルで延伸圧延した。
される超音波探傷試験(人工疵の種類:N-12.5に供し、
管内面の疵発生率(本数比率)を調べ、その結果を表2
に併せて示した。
で規定する範囲内の条件で作製された試験番号1〜8の
丸ビレットは、センターポロシティの発生面積率が0.06
%以下と小さく、管内面の疵発生率が0.6 %以下と低
い。
る試験番号9の丸ビレットはセンターポロシティの発生
面積率は0.10%と低いものの、管内面の疵発生率が5%
と高い。また、強制冷却の終了位置が早すぎる試験番号
10の丸ビレットは、センターポロシティの発生面積率が
1.00%と高く、管内面の疵発生率も60%と著しく高い。
なお、強制冷却の水量密度が高すぎる試験番号12の丸ビ
レットは、センターポロシティの発生面積率が1.20%と
高いのに加えて、大きな曲がりが発生し、製管には供し
得なかった。
置を用い、表3に示す条件で、表4と表5に示す化学組
成を有する15種類の鋼からなる丸ビレットを作製した。
その際、強制冷却は実施例1の場合と同様に、図2に示
す最終冷却手段7で行った。
同様の方法により、センターポロシティの発生面積率を
調べた後、マンネスマン・マンドレルミル方式の継目無
鋼管製造設備に供し、外径50.8mm、肉厚8.0 mmの継目無
鋼管に仕上げ、実施例1の場合と同じ条件の超音波探傷
試験に供して管内面の疵発生率を調べた。なお、穿孔圧
延は1200℃、いずれのビレットも穿孔比2.5 で行い、引
き続いてマンドレルミルで延伸圧延した。
スローラ式光輝焼鈍炉に装入して975 ℃に30分保持した
後に表6に示す冷却速度で炉冷する焼きならし処理と、
720℃に1時間保持する焼戻し処理を施した。熱処理後
の継目無鋼管は、その金属組織を調べる一方、各鋼管か
らクリープ試験片を採取してクリープ試験に供し、550
℃、1万時間のクリープ強度を調べた。以上の調査結果
を、表6に併せて示した。
成および熱処理の冷却速度が本発明で規定する範囲内の
鋼No. 1〜10の継目無鋼管は、センターポロシティの発
生面積率が0.05%以下と小さく、管内面の疵発生率が0.
8 %以下と低く、しかも金属組織がいずれもベイナイト
単相で、クリープ強度も175MPa以上と高い。
範囲を外れる鋼No. 11〜15の継目無鋼管は、センターポ
ロシティの発生面積率が0.04%以下と小さく、管内面の
疵発生率も0.3 %以下と低いものの、金属組織がいずれ
もフェライトとパーライトの混合組織で、クリープ強度
が102MPa以下と低い。なお、鋼No. 12の丸ビレットは中
心部に軸心割れが発生しており、製管には供し得ないも
のであった。
有する13種類の鋼を溶製し、その溶鋼を逆円錐台形状の
鋳型に鋳込んで上端の直径が250 mm、下端の直径が210
mm、高さが500 mmの重さ180 kgの小型インゴットをそれ
ぞれ2つ作製した。
ゴットは、その中央部を横断面に沿って切断し、鋳造に
より生成した欠陥や軸心割れを確認するのに用いた。も
う一方のインゴットは、熱間鍛造を施して外径190 mmの
丸ビレットにした後、熱間押出法により、押出温度1150
℃で外径50.8mm、肉厚8.0 mmの継目無鋼管とした。
にするために、各鋼管をハースローラ式光輝焼鈍炉に装
入して975 ℃に30分保持した後に1000℃/時間で炉冷す
る焼きならし処理と、720 ℃に1時間保持する焼戻し処
理を施した。
光学顕微鏡で確認した後、実施例1の場合と同様の超音
波深傷試験に供して管内面の疵発生率を調べる一方、各
鋼管からクリープ試験片を採取してクリープ試験を行
い、550℃、1万時間のクリープ強度を調べた。以上の
調査結果を、表9にまとめて示した。
供した溶鋼は鋳造性が悪く、いずれのインゴットにも軸
心割れが生じた。しかし、化学組成が本発明で規定する
範囲内の鋼No. 16〜25のインゴットは、軸心割れが14mm
以下と小さくて管内面の疵発生率も3%以下と少なく、
金属組織もベイナイト単相で、クリープ強度が154MPa以
上と高い。
範囲を外れる鋼No. 26〜28のインゴットのうち、本発明
で規定する範囲内ではあるが、DFが凝固時に強制冷却を
行わない場合における好まし上限の180 を超える鋼No.
26および27のインゴットは、軸心割れが25mm以上と極め
て大きく、製管用の素材としては使用できなかった。
は12mmで製管用の素材として使用できたが、Ni含有量が
少なすぎるためにCuチェキングが生じ、管内面の疵発生
率が5%と高く、しかもEBが負のために金属組織がフ
ェライトとパーライトの混合組織となり、クリープ強度
が113MPa以下と低い。
有する4種類の鋼を210 トン転炉で溶製し、図2に示す
湾曲型連続鋳造装置を用いて外径191mm(断面積286c
m2)の丸ビレットを作製した。その際、最終冷却手段
7による強制冷却は実施しなかった。
に、浸透深傷試験を行って中心部の欠陥の有無を確認し
た後、実施例1の場合と同様に、マンネスマン・マンド
レルミル方式の継目無鋼管製造設備に供し、外径50.8m
m、肉厚8.0 mmの継目無鋼管に仕上げた。なお、穿孔圧
延は温度1200℃、穿孔比2.5 で行い、引き続いてマンド
レルミルで延伸圧延した。また、中心部の欠陥の有無
は、欠陥がないか、あっても穿孔および延伸圧延を行っ
ても支障がないと判断されるものは「○」、内面疵にな
ると判断されるものは「×」として評価し、「×」のも
のは製管には供しなかった。
同じ条件の超音波探傷試験に供して管内面の疵発生率
(本数比率)を調べた。超音波探傷後の継目無鋼管は、
ハースローラ式光輝焼鈍炉に装入して975 ℃に10分保持
した後に1000℃/時間の冷却速度で炉冷する焼きならし
処理と、720 ℃に1時間保持する焼戻し処理を施した。
調べる一方、各鋼管からクリープ試験片を採取してクリ
ープ試験に供し、550 ℃、1万時間のクリープ強度を調
べた。以上の調査結果を、表12に併せて示した。
成が本発明で規定する範囲内の鋼No. 29と30の継目無鋼
管は、疵の発生率が2〜3%と少なく、金属組織がいず
れもベイナイト単相で、クリープ強度も167MPa以上と高
い。
る範囲を外れる鋼No. 31と32のうち、DFが凝固時に強制
冷却を行わない場合における好まし上限の180 を超える
鋼No. 31の丸ビレットの中心部には、穿孔および延伸圧
延を行うと内面疵になる欠陥が発生していた。また、DF
が180 以下の鋼No. 32の丸ビレットは中央部の欠陥の程
度は問題にならず製管できたが、(Ni/Cu)値が0.4 でNi
含有量が少なすぎるためにCuチェキングが発生し、疵の
発生率が7%と高く、EBも負であるために金属組織が
フェライトとパーライトの混合組織となり、クリープ強
度が108MPa以下と低い。
が高いベイナイトが主体の組織からなるために耐熱性に
優れるので、ボイラや化学プラントなど厳しい使用環境
下で用いることができる。また、製管時に発生する疵が
少ないので品質が優れている。
方法は、鋼管の化学組成の調整を行い、連続鋳造を行っ
た後、穿孔および延伸圧延を行うか、または熱間押出
し、ついで熱処理を施すことにより鋼管を製造するの
で、従来の製造設備を使用でき、製造コストを抑えた低
合金鋼管を得ることができる。
トからオーステナイト(γ)への変態点との温度差(D
F)を概念的に表した図である。
における強制冷却の実施態様を示す側断面図である。
Claims (7)
- 【請求項1】質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.01〜
0.7%、Mn:0.01〜1.5%、P:0.020%以下、S:0.008
%以下、Cr:0.5〜2.7%、Ti:0.005〜0.02%、V:0.0
1〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、B:0.0020〜0.0100%、A
l:0.02%以下、Ca:0.005%以下およびN:0.0100%以
下、ならびにMo:0.01〜1%およびW:0.01〜2%のう
ちの1種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からな
り、下記(a)式および(c)式を満足し、金属組織がベイナ
イト主体の組織であることを特徴とする耐熱用低合金鋼
管。 DF=TA−TB≦250 ・・・・・・・(a) EB>0 ・・・・・・・・・・・・(c) ただし、 TA=100000/(55.25+2.35C+0.37Si+0.16Mn+1.01P+
1.15S+0.04Cr+0.12Mo+0.01W)。 TB=100000/(60.06-4.51C+3.84Si-0.19Mn+0.98P+
0.25S+1.01Cr+0.55Mo+1.29W)。 EB=B-{(11/14)×N-(11/48)×Ti}。 ここで、上記の各式中の元素記号は鋼中に含まれる各元
素の含有量(質量%)を意味する。 - 【請求項2】質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.01〜
0.7%、Mn:0.01〜1.5%、P:0.020%以下、S:0.008
%以下、Cr:0.5〜2.7%、Ti:0.005〜0.02%、V:0.0
1〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、B:0.0020〜0.0100%、A
l:0.02%以下、Ca:0.005%以下およびN:0.0100%以
下、ならびにMo:0.01〜1%およびW:0.01〜2%のう
ちの1種以上、さらにCu:0.01〜0.5%およびNi:0.01
〜0.5%のうちの1種以上を含有し、残部がFeおよび不
純物からなり、下記(a)式および(c)式を満足し、金属組
織がベイナイト主体の組織であることを特徴とする耐熱
用低合金鋼管。 DF=TA−TB≦250 ・・・・・・・(a) EB>0 ・・・・・・・・・・・・(c) ただし、 TA=100000/(55.25+2.35C+0.37Si+0.16Mn+1.01P+
1.15S+0.04Cr+0.12Mo+0.01W+0.18Cu+0.13Ni)。 TB=100000/(60.06-4.51C+3.84Si-0.19Mn+0.98P+
0.25S+1.01Cr+0.55Mo+1.29W-1.49Cu-1.34Ni)。 EB=B-{(11/14)×N-(11/48)×Ti}。 ここで、上記の各式中の元素記号は鋼中に含まれる各元
素の含有量(質量%)を意味する。 - 【請求項3】質量%で、Cu:0.01〜0.5%およびNi:0.0
1〜0.5%をともに含む場合、下記(d) 式を満足すること
を特徴とする請求項2に記載の耐熱用低合金鋼管。 1≦(Ni/Cu)<5 ・・・・・・(d) - 【請求項4】質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.01〜
0.7%、Mn:0.3〜1.5%、P:0.015%以下、S:0.005
%以下、Cr:0.5〜2%、Mo:0.01〜1%、Ti:0.005〜0.
02%、V:0.01〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、B:0.0020
〜0.0100%、Cu:0.01〜0.5%、Ni:0.01〜0.5%、Al:
0.01%以下、Ca:0.005%以下およびN:0.0100%以下
を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、下記(b)式
および(c)式を満足し、金属組織がベイナイト主体の組
織であることを特徴とする耐熱用低合金鋼管。 DF=TA−TB≦180 ・・・・・・・(b) EB>0 ・・・・・・・・・・・・(c) 1≦(Ni/Cu)<5 ・・・・・・(d) ただし、 TA=100000/(55.25+2.35C+0.37Si+0.16Mn+1.01P+
1.15S+0.04Cr+0.12Mo+0.18Cu+0.13Ni)。 TB=100000/(60.06-4.51C+3.84Si-0.19Mn+0.98P+
0.25S+1.01Cr+0.55Mo-1.49Cu-1.34Ni)。 EB=B-{(11/14)×N-(11/48)×Ti}。 ここで、上記の各式中の元素記号は鋼中に含まれる各元
素の含有量(質量%)を意味する。 - 【請求項5】請求項1から2のいずれかに記載の耐熱用
低合金鋼管の製造方法であって、連続鋳造により断面積
が1018cm2以下の鋼片を作製し、この鋼片を素材として
熱間で穿孔および延伸圧延を施して継目無鋼管とした
後、この鋼管を連続式の熱処理炉に装入して加熱すると
ともに炉内において冷却する際、冷却速度を500℃/h以
上とすることを特徴とする耐熱用低合金鋼管の製造方
法。 - 【請求項6】請求項3に記載の耐熱用低合金鋼管の製造
方法であって、連続鋳造により断面積が1018cm2以下の
鋼片を作製し、この鋼片を素材として熱間で穿孔および
延伸圧延を施して継目無鋼管とした後、この鋼管を連続
式の熱処理炉に装入して加熱するとともに炉内において
冷却する際、冷却速度を500〜3000℃/hとすることを特
徴とする耐熱用低合金鋼管の製造方法。 - 【請求項7】連続鋳造により断面積が1018cm2以下の鋼
片を作製する際、溶鋼を断面積が1018cm2以下のモール
ドに鋳込み、鋳片中心部の固相率が0.1〜0.8になる位置
から0.99以上になるまでの間を水量密度25〜300リット
ル/min・m2で強制冷却することを特徴とする請求項4
または5に記載の耐熱用低合金鋼管の製造方法。
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