JP5195802B2 - 鋼片の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造したままの鋳片から、加熱工程を含むプロセスを経て鋼片を製造する方法に関するものである。
連続鋳造したままの鋳片を、例えば圧延するために加熱すると、熱応力割れが発生する場合がある。この熱応力割れは、鋳片の断面積が大きいほど、また、急速加熱すればするほど発生しやすくなることが知られている。
これらの対策として、従来は、鋳片の加熱速度を遅くする、または、連続鋳造後の鋳片温度が常温になるまで降下させずに加熱工程へ送る、ことが実施されてきた。
たとえば、特許文献1では、高純度フェライト系ステンレス鋼を連続鋳造した後に熱間圧延するプロセスにおいて、凝固過程での冷却速度と、熱間圧延前の加熱速度を制御することにより、鋼片に発生する置き割れを防止する方法が提案されている。
また、特許文献2では、連続鋳造後の軸受鋼鋳片が充分に冷却される前に加熱し、加熱後に徐冷プロセスを追加することにより鋼片に発生する置き割れを防止する方法が提案されている。
また、特許文献3では、連続鋳造後の軸受鋼鋳片が充分に冷却される前に加熱し、50%以上の減面率で熱間圧延することにより鋼片に発生する置き割れを防止する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載された方法のように、鋼片の加熱温度を遅くする場合には、生産性が低下するという弊害が生じ、また、連続加熱炉の場合には実施が困難である。
また、特許文献2や特許文献3に記載された方法のように、連続鋳造後、鋳片温度を常温まで降下させずに加熱工程へ送ることは、工程や設備にかなり大きな制約が付随するため、実施が困難である。
また、連続鋳造したままの鋳片を、高い生産性の連続加熱炉で急速加熱して圧延する最新鋭の圧延設備においては、特許文献2や特許文献3に記載された方法を適用することは特に困難である。
特開平6−328214号公報 特開平9−164464号公報 特開平9−170024号公報
本発明が解決しようとする問題点は、連続鋳造したままの鋳片から、加熱工程を含むプロセスを経て鋼片を製造する従来の方法では、容易に、しかも、安価に熱応力割れを防ぐことはできないという点である。
本発明の連続鋳造鋳片を熱間圧延して得られる鋼片の製造方法は、
熱応力割れ発生限界の加熱速度を緩和し、容易に、しかも、安価に熱応力割れを防ぐために、
連続鋳造鋳片を一旦室温まで冷却した後、加熱して熱間圧延し、鋼片となすに際し、
質量%で、C:0.15〜0.35%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.20〜1.50%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:0.10〜1.50%、Al:0.001〜0.1%、N:0.010%以下を含有し、
かつ、Ti:0.05%以下、Nb:0.05%以下、V:0.3%以下、B:0.002%以下のうちの少なくとも1種を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物である、連続鋳造する溶鋼に、Moをさらに添加する場合はMoの含有率を1.0%以下とし、かつ、CrおよびMoの含有率が下記A式を満足するようになすとともに、
前記加熱する鋳片の内外面温度の最大温度差ΔT(℃)と、CrおよびMoの前記含有率との関係が、
270(Cr+5Mo)−ΔT>250(以下、「B式」ともいう。)、または、250(Cr+5Mo)+ΔT<700(以下、「C式」ともいう。)と、ΔT≧243℃(以下、「D式」ともいう。)を満足するようになすことを最も主要な特徴としている。
本発明では、連続鋳造したままの鋳片を、急速加熱が必須となる工程・設備において、そのまま加熱した場合にも、成分値と製造条件との関係を適正に規定することで、熱応力割れ感受性の小さな、急速加熱されても割れの発生しない鋼片を製造することができるという利点がある。
表3におけるB式、C式の少なくともどちらか一方を満足した場合(○印)と、どちらも満足しなかった場合(×印)の結果を示した図である。
本発明では、熱応力割れ発生限界の加熱速度を緩和し、容易に、しかも、安価に熱応力割れを防ぐという目的を、連続鋳造する溶鋼の成分値と製造条件との関係を適正に規定することで実現した。
連続鋳造したままの鋳片を加熱する際に発生する熱応力割れの特徴は、「鋳片の内部に割れが発生する」ことである。このように、加熱時に、鋳片の内部に割れが発生するのは、以下の理由による。
加熱による熱膨張時には、鋳片の表面は、中心部から拘束を受けて「圧縮応力」が作用するために割れは発生しないが、反対に、鋳片の内部には、表面が熱膨張しようとするために「引張応力」が作用する。そして、この「引張応力」が鋼の弾性限界を超えた場合に、鋳片内部に割れが発生する。
発明者等が鋳片の加熱を模擬した熱応力解析を実施したところ、鋳片の内部に作用する応力は、100℃〜500℃で最大となることが判明した。この鋳片内部に作用する応力が100℃〜500℃で最大となるのは、鋳片内部の温度が500℃を超えると、表面温度は700℃以上になり、「フェライト」から「オーステナイト」への相変態により体積収縮が起こり、鋳片内部には「引張」から「圧縮」の応力変化が生じるからである。このことから、鋳片内部に発生する割れは、金属組織変態の発生しないような比較的低温域で発生していると考えることができる。
なお、発明者等が実施した熱応力解析は、温度を変化させたときの、材料の変形や応力分布の、FEM(有限要素法)による解析である。具体的には、材料の熱伝達率によりビレット加熱時の温度カーブを測定した後に、材料の線膨張率からビレットに作用する応力の変化状況を測定した。
そこで、熱応力割れが発生した鋼の金属組織を観察したところ、ベイナイトとマルテンサイト、あるいは、ベイナイトまたはマルテンサイト(以下、「ベイナイト及び/又はマルテンサイト」という。)の組織からなる素地に、フェライトとパーライト、あるいは、フェライトまたはパーライト(以下、「フェライト及び/又はパーライト」という。)の組織が、粒界近傍にフィルム状に析出していた。
一方、熱応力割れが発生しなかった鋼の金属組織を観察したところ、フェライト及び/又はパーライト組織が旧オーステナイト粒内・粒界問わず全面に析出しているか、もしくは、全面がベイナイト及び/又はマルテンサイト組織となっていた。
これらの結果から、発明者等は、前記の「フェライト及び/又はパーライト組織が、粒界近傍にフィルム状に析出していた」のは、旧オーステナイト粒界であると考えた。
このフェライト及び/又はパーライト組織は、ベイナイト及び/又はマルテンサイト組織に比べて軟らかいために、鋳片に熱応力が作用した場合には、フェライト及び/又はパーライト組織にその熱応力が集中し、熱応力割れ感受性が高くなると考えることができる。
つまり、鋳片の熱応力割れは、「旧オーステナイト粒界割れ」が主体であると考えることができ、金属組織の影響により、熱応力割れ感受性が大きく変化すると考えられた。
また、発生する熱応力の大きさについて考えてみると、加熱速度を低下させると、熱応力割れが発生する鋼も、熱応力割れが発生しない鋼も、ともに熱応力割れは発生しなかった。さらには、急速加熱を実施した場合でも、鋳片の断面積が小さい場合は、前記何れの鋼も、熱応力割れは発生しなかった。
これも、鋳片加熱を模擬した前記熱応力解析の結果から、「加熱速度を遅くする」ことと、「鋳片の断面積が小さい」ことは、いずれも「鋳片加熱時の鋳片最大内外温度差ΔTが小さい」ことを意味すると考えられ、結局のところ、「鋳片に作用する熱応力が小さい」と考えられた。
以上より、鋳片の熱応力割れは、加熱時における「鋳片の最大内外温度差ΔT」が深く関係していることが判明した。
しかしながら、高い生産性を追求した連続加熱炉で、かつ、急速加熱が必須となる工程・設備においては、「鋳片の最大内外温度差ΔT」を低下させた加熱炉操業は、非常に困難である。
したがって、必然的に前述のような鋳片組織の制御を行わなければならなくなる。すなわち、急速加熱が必須となる工程・設備においては、加熱炉内での「鋳片の最大内外温度差ΔT」が大きくなって、鋳片に作用する熱応力も大きくなるので、鋳造したままの鋳片の金属組織が、ベイナイト及び/又はマルテンサイトからなる素地において、フェライト及び/又はパーライトが旧オーステナイト粒界に「全く析出しない」か、あるいは、「粒界のみではなく全面に析出する」ように制御する必要がある。
発明者等は、過去の様々な経験から、CrやMoが焼入れ(ベイナイト及び/又はマルテンサイト変態)に非常に有効な元素であることを知っている。
Cr量やMo量が多くなれば、連続鋳造後の鋳片においても、CCT図(連続冷却変態図)のフェライトノーズが遅れる(CCT図で右側へずれる)ために、その組織は「ベイナイト及び/又はマルテンサイト」となりやすくなる。しかしながら、Cr量やMo量が多くなれば、高価となるので、経済性の面から問題となる。
反対にCr量やMo量が少なくなれば、凝固組織中に「フェライト及び/又はパーライト」が混在してくるため、ΔTが高い(加熱速度が速い)場合は鋳片の加熱中に鋳片中心部に熱応力割れが発生することになる。
なお、Cr量やMo量がさらに少なくなって、全面が「フェライト及び/又はパーライト」となれば、ΔT(加熱速度)に関係なく鋳片の加熱が可能となるが、その場合、需要家のスペック(成分や機械試験(例えば引張試験)等)を満足できなくなることが起こる。
そこで、発明者等は、連続鋳造したままの鋳片の金属組織を調査したところ、
「Cr(質量%)+5Mo(質量%)<0.5」であれば、鋳造時に「ベイナイト及び/又はマルテンサイト」変態が発生し難くなること、
また、「Cr(質量%)+5Mo(質量%)>3.0」であれば、連続鋳造時に鋳片の組織が全面「マルテンサイト及び/又は ベイナイト」となり易いことを知見した。
そして、これらの場合には、いずれも熱応力割れは発生し難くなる。
以上の知見より、連続鋳造する溶鋼の成分範囲を「0.5≦Cr+5Mo≦3.0」に制限する必要があることが判明した。
また、加熱時、鋳片に作用する熱応力について考えると、この熱応力が大きくなれば、素地が「ベイナイト及び/又はマルテンサイト」組織の鋳片の場合、粒界近傍に少しでも強度の低い「フェライト及び/又はパーライト」組織が析出していれば、それを伝って熱応力割れが発生しやすくなる。また、素地が「フェライト及び/又はパーライト」組織の鋳片の場合、少しでも「マルテンサイト及び/又はベイナイト」組織が存在すれば、一部の「フェライト及び/又はパーライト」組織に応力が集中して、熱応力割れが発生しやすくなる。
そこで、発明者等は、熱応力割れを発生させない組織を得るために、種々、調査を重ねた結果、
加熱する鋳片の内外面温度差の最大温度差ΔT(℃)と、CrおよびMoの前記含有率との関係が、270(Cr+5Mo)−ΔT>250、または、250(Cr+5Mo)+ΔT<700、を満足することが必要であることを知見した。
この270(Cr+5Mo)−ΔT>250の条件を満たす場合には、製造された鋼片は「ベイナイト及び/又はマルテンサイト」組織となるので、かかる組織に作用する熱応力が大きくなるほど、粒界への「フェライト及び/又はパーライト」の析出量は少なくならなければならない。
また、250(Cr+5Mo)+ΔT<700の条件を満たす場合には、製造された鋼片は「フェライト及び/又はパーライト」が全面に析出するので、かかる組織に作用する熱応力が大きくなるほど、「ベイナイト及び/又はマルテンサイト」量は少なくならなければならない。
なお、前記最大温度差△Tは、一般的な伝熱モデルを用いて計算を行った。具体的には、前記熱応力解析で計算された温度分布から、鋳片の表面部と中心部の温度差(時間変化)の最大値をΔTとした。
本発明の連続鋳造鋳片を熱間圧延して得られる鋼片の製造方法は、前述の発明者等の各種の解析や金属組織の観察結果に基づいてなされたものであり、
連続鋳造鋳片を一旦室温まで冷却した後、加熱して熱間圧延し、鋼片となすに際し、
質量%で、C:0.15〜0.35%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.20〜1.50%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:0.10〜1.50%、Al:0.001〜0.1%、N:0.010%以下を含有し、
かつ、Ti:0.05%以下、Nb:0.05%以下、V:0.3%以下、B:0.002%以下のうちの少なくとも1種を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物である、連続鋳造する溶鋼に、Moをさらに添加する場合はMoの含有率を1.0%以下とし、かつ、CrおよびMoの含有率が0.5≦Cr+5Mo≦3.0(A式)、を満足するようになすとともに、
前記加熱する鋳片の内外面温度の最大温度差ΔT(℃)と、CrおよびMoの前記含有率との関係が、
270(Cr+5Mo)−ΔT>250(B式)、または、250(Cr+5Mo)+ΔT<700(C式)とΔT≧243℃(D式)を満足するようになすのである。
この本発明方法を実際に運用するに際しては、まずは、前記B式またはC式を満足させるように「成分系を回避」することが優先される。しかしながら、成分系での変更が困難な場合には、若干操業能率を低下させても、鋳片の最大内外温度差ΔTを低下させて、鋼片に作用する熱応力を小さくすることが必要となる。
前記本発明の連続鋳造鋳片を熱間圧延して得られる鋼片の製造方法では、
連続鋳造する溶鋼は、質量%で、C:0.15〜0.35%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.20〜1.50%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:0.10〜1.50%、Mo:1.0%以下、Al:0.001〜0.1%、N:0.010%以下を含有し、
かつ、Ti:0.05%以下、Nb:0.05%以下、V:0.3%以下、B:0.002%以下のうちの少なくとも1種を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物であることが必要である。
前記本発明の成分の限定理由を以下に説明する。以下、「質量%」を単に「%」と記載する。
C:Cは製品となるたとえば鋼管の強度を確保する目的で含有する。しかしながら、0.15%未満のC量で焼入れ性を高めるためには、非常に高価な添加物を多量に添加する必要がある。また、C量が低くなりすぎると焼入性が不足してしまうため、焼戻温度が低下し、必要とする性能を確保することが難しくなる。一方、C量が0.35%を超えると焼き割れが発生し、また、靱性が劣化する。したがって、C量を0.15%〜0.35%とすることが好ましい。
Si:Siは通常、鋼の脱酸を目的に添加され、また、焼戻軟化抵抗を高めて強度を上昇することにも寄与する。脱酸を目的とする場合には0.10%以上の添加が必要である。また、0.50%を超えて添加した場合、熱間加工性が著しく悪化する。したがって、Si量を0.10%〜0.50%とすることが好ましい。
Mn:Mnは鋼の焼入性を良くし、鋼材の強度確保に有効な成分である。しかしながら、0.20%未満では焼入性の不足によって強度、靱性ともに低下する。一方、1.50%を超えて含有させる場合は、鋼の肉厚方向等での偏析を増長させ、靱性を低下させる。したがって、Mn量を0.20%〜1.50%とすることが好ましい。
P:Pは不純物として鋼中に不可避的に存在する。しかしながら、0.03%を超えると、粒界に偏析して靱性を低下させる。したがって、P量を0.03%以下とすることが好ましい。さらに望ましい範囲は、0.015%以下である。
S:SはMnSまたはCaと結合して介在物を形成する。そして、その介在物は熱間圧延により延伸される。この延伸された介在物は、その形状が針状であるため、応力集中が起こり易く、靭性に大きな悪影響を及ぼす。したがって、含有量の増加により靱性を低下させるS量は、0.01%以下とすることが好ましい。さらに望ましい範囲は、0.005%以下である。
Cr:Crは焼入れ性を向上させる元素で、かつ、炭酸ガス環境下では炭酸ガスによる腐食を防ぐ役割があり、有益な元素である。しかしながら、一方で粗大な炭化物を形成しやすい元素であるため、含有量は適量にすべきである。したがって、粗大な炭化物の形成を防ぐ観点から、上限値は1.50%とすることが好ましい。一方、下限値は特に定める必要はないが、添加する効果を持たせる最低限としては、0.10%は含有させることが好ましい。
Mo:Moには焼入れ性を高める効果、Pなどによる脆化を抑制する効果などがあり、有益な元素である。ただし、高価であり、また、炭化物の形態を左右する元素でもある。したがって、Moを添加する場合は、1.0%以下、望ましくは0.8%以下とするのが良い。
Al:Alは脱酸のために必要な元素である。しかしながら、0.001%未満の含有量では、脱酸不足によって鋼質が劣化し、靱性が低下する。また、0.1%を超えて含有させた場合も、かえって靱性の低下を招くため好ましくない。したがって、Al量は、0.001%〜0.1%含有することが好ましい。
N:Nは不可避的に鋼中に存在する。NはAl、TiやNbと結合して窒化物を形成する。特に、AlNやTiNが多量に析出すると、靱性に悪影響を及ぼす。したがって、N量は0.010%以下とすることが好ましい。
Ti:Tiは添加しなくてもよいが、添加した場合はTiNとして高温域での結晶粗大化を防ぐ効果がある。しかしながら、0.05%を超えるとCと結合してTiCを生成する量が増加し、靭性に悪影響をおよぼす。したがって、Tiを含有させる場合は、0.05%以下とすることが好ましい。
Nb:Nbは添加しなくてもよいが、添加した場合はNbC、NbNを生成し、高温域での結晶粗大化を防ぐ効果がある。しかしながら、多量に含むと偏析や、伸延粒の原因となる。したがって、Nbを含有する場合は、0.05%以下とすることが好ましい。
V:Vは添加しなくても良いが、添加した場合はVCを形成し、鋼の高強度化に寄与する。しかしながら、0.3%を超えると、靭性に悪影響を及ぼす。したがって、Vを含有する場合は、0.3%以下とすることが好ましい。
B:Bを添加すると著しく焼入性が向上するので、高価な合金元素添加量を削減できる。また、厚肉の鋼管を製造する際に添加すると、要求強度を確保できる。しかしながら、0.002%を超えて添加すると、粒界に炭窒化物が析出しやすくなり、靱性劣化の原因となる。したがって、B量の上限は0.002%とすることが好ましい。
以下、本発明の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
下記表1、表2に示した通りに成分調整を行った溶鋼を、外径が191mm〜360mmの丸鋳型にて連続鋳造し、外径が191mm、225mm、292mm、310mm、360mmの丸ビレットを製造した。そして、これらの丸ビレットを連続式加熱炉に装入し、室温から1250℃まで急速加熱した後に取り出し、そのまま室温まで放冷した。その放冷した丸ビレットを縦断面方向に2分割に切断して、熱応力割れの発生の有無を目視で判定した。
Figure 0005195802
Figure 0005195802
この実験に使用した溶鋼のCrとMoの含有率(Cr+5Mo)を前記表2に、また、B式及びC式の条件に満足するか否かの結果(○印は満足、×印は不満足)を下記表3に示した。なお、下記表3に示す丸ビレットの内外面温度の最大温度差△T(℃)を求めるにあたっては、1250℃に均熱された炉内に丸ビレットを装入し、昇熱時の丸ビレットの内外温度差の最大値を測定し、その値を採用した。また、下記表3におけるB式(270(Cr+5Mo)−△T>250)、C式(250(Cr+5Mo)+△T<700)の少なくともどちらか一方を満足した場合(○印)と、どちらも満足しなかった場合(×印)の結果を図1に示した。
Figure 0005195802
急速加熱により、丸ビレットにおける最大内外温度差ΔTが、B式とC式より求めた値(B式とC式の交点)である243℃より大きくなると、熱応力割れの発生する領域は増加するが、CrとMoの含有率(Cr+5Mo)が0.5〜3.0質量%で、かつ、B式、または、C式の領域内の条件であれば、何れの例も熱応力割れは発生しなかった。
但し、Cの含有量が請求項1の要件を満足しないNo.12では、焼入性不足により強度確保が難しくなった。また、Nbの含有量が請求項1の要件を満たさないNo.13では、再結晶遅れに伴う(圧延による)伸延粒が残存した。
一方、CrとMoの含有率(Cr+5Mo)が0.5〜3.0質量%の範囲外の、No.4,8や、B式とC式のどちらの条件も外れるNo.3,6の最大内外温度差ΔTが286,304,352℃のもの、および、No.5,10の最大内外温度差ΔTが352℃のものは、熱応力割れが発生していた。
本発明は、上記の実施例に示したものに限られるものではなく、各請求項に記載した技術的思想の範囲内で適宜実施態様を変更しても良いことはいうまでもない。
本発明は、上記の実施例に示した鋼管用の丸鋳片に限らず、矩形鋳片など他の用途に用いられるものでも良い。

Claims (1)

  1. 連続鋳造鋳片を一旦室温まで冷却した後、加熱して熱間圧延し、鋼片となすに際し、
    質量%で、C:0.15〜0.35%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.20〜1.50%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:0.10〜1.50%、Al:0.001〜0.1%、N:0.010%以下を含有し、
    かつ、Ti:0.05%以下、Nb:0.05%以下、V:0.3%以下、B:0.002%以下のうちの少なくとも1種を含有し、
    残部がFeおよび不可避的不純物である、連続鋳造する溶鋼に、Moをさらに添加する場合はMoの含有率を1.0%以下とし、かつ、CrおよびMoの含有率が下記A式を満足するようになすとともに、
    前記加熱する鋳片の内外面温度の最大温度差ΔT(℃)と、CrおよびMoの前記含有率との関係が、下記B式またはC式と、下記D式を満足するようになすことを特徴とする連続鋳造鋳片を熱間圧延して得られる鋼片の製造方法。
    0.5≦Cr+5Mo≦3.0…(A)
    270(Cr+5Mo)−ΔT>250…(B)
    250(Cr+5Mo)+ΔT<700…(C)
    ΔT≧243℃…(D)
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