JP2003064412A - 介在物を微細化した鋼の溶製方法 - Google Patents
介在物を微細化した鋼の溶製方法Info
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Abstract
大な硫化物系介在物が鋼製品の疲労強度に悪影響を与え
る問題を解決することのできる鋼の溶製方法を提供す
る。 【解決手段】鋼を電気炉10で溶解した後、取鍋精錬装
置14で精錬を実施して溶鋼中のSを0.003%以下
のレベルに低減し、更にその後RH真空脱ガス装置16
で真空脱ガス処理を実施して溶鋼中のNレベルを100
ppm以下に低減し、その状態でRH真空脱ガス処理の
末期において溶鋼中にTiを50〜150ppmの範囲
で添加する。これによって鋼の凝固過程でTiNの初相
を晶出させ、これを核としてその周りにMnSを晶出さ
せることによって最終的に生成するMnS介在物のサイ
ズを小さなものとする。
Description
た鋼の溶製方法に関する。
疲労強度向上の要請が強くなって来ている。鋼の疲労強
度は、鋼の硬さを高くすること、また鋼中に存在する介
在物を小さくすることが有効であると考えられている。
鋼の硬さを高くすることは、用いる鋼の材質を適当に選
択することで比較的容易に実現することができる。
は大別して酸化物系の介在物と硫化物系の介在物とがあ
り、このうち酸化物系の介在物については、その大きさ
を最大でも20μm以下の大きさとするための技術が一
応開発されている。
アーク炉等の電気炉で溶解した後、溶鋼を取鍋に移して
そこで精錬(LF精錬)を行って脱酸,脱硫を行い、し
かる後溶鋼の真空脱ガス処理を行ってその後に連続鋳造
等の鋳造処理を行うといったことが実施されているが、
介在物の少ない清浄鋼を溶製するに際して、LF精錬の
初期に脱酸力の強いAlを添加してAl脱酸を行い、そ
してその後に真空脱ガス処理を長い時間かけて行った上
で鋳造を行うことで、酸化物系介在物をスラグ中に十分
に浮上分離させ、更に鋳造に際しても溶鋼の酸化を極力
防止するなどして、酸化物系介在物を少なくし且つ介在
物径を20μm以下に小さくする方法が本出願人におい
て実施されている。
きさを20μm以下に制御するための方法については未
だ見い出されていない。そこで本発明者等は、硫化物系
介在物を20μm以下の小さいものに制御するための方
法について研究し、先ず溶鋼中のS量を少なく制御する
こと、即ち溶鋼中のSの総量規制を行ったところ、硫化
物系介在物全体の量については少なくなるものの、生成
した介在物について見るとその中に大きな介在物が存在
しており、従って単にSの総量規制を行っただけでは硫
化物系介在物の大きさを十分に小さくすることはできな
いことが分った。
このような課題を解決するために案出されたものであ
る。而して請求項1のものは、鋼を溶解した後、重量基
準で溶鋼中のNを100ppm以下に低減した状態で該
溶鋼中にTiを50〜150ppmの範囲で添加すると
ともに、溶鋼中のSを0.003%以下に規制すること
を特徴とする。
記鋼の溶解後に脱硫精錬を行って溶鋼中のSを0.00
3%以下に低減した後において前記Tiを添加すること
を特徴とする。
記脱硫処理後に前記溶鋼の真空脱ガス処理を行って該溶
鋼中のNを100ppm以下に低減した後、前記Tiを
添加することを特徴とする。
記Tiの添加を前記真空脱ガス処理の末期に行うことを
特徴とする。
記真空脱ガス処理後、溶鋼温度が1700℃以下で該溶
鋼中にBiを添加することを特徴とする。
において、前記溶鋼中のNを70ppm以下に低減した
状態でTiを添加することを特徴とする。
した後、溶鋼中のNを100ppm以下に低減した状態
で溶鋼中にTiを50〜150ppmの範囲で添加し、
且つ溶鋼中Sを0.003%以下に総量規制するように
なしたものである。
御するため先ず代表的な硫化物系介在物であるMnSの
生成機構について着眼し、そして硫化物系介在物のサイ
ズを小さく制御するために溶鋼の凝固過程で先ず核を生
成させ、その核の周りにMnSを析出させることを考え
た。
を核とし、その周りにMnSを析出させる点に着目し、
溶鋼の製造プロセスの中でTiを積極的に添加すること
を考えた。但し多量のTiを添加するとTiNが過剰に
生成してこのTiN自身が介在物となってしまうため、
加えるべきTiの量は必要最小限とする必要がある。
加えると、同じく過剰のTiNが生成してこれが介在物
となってしまう問題が発生する。従ってTiN等を核と
して生成させる場合においても、溶鋼中のN量,Tiの
添加量,Tiの添加時期等が極めて重要となる。
溶鋼中のNを100ppm以下に低減した状態で溶鋼中
にTiを50〜150ppmの範囲で添加するようにな
したものである。ここでTiを50〜150ppmの範
囲で添加するのは以下のような理由による。
の真空脱ガス処理を行うが、この真空脱ガス処理を行っ
たときに到達可能な溶鋼中のNレベルはほぼ70ppm
以下のレベルである。
とき、NとTiとの溶解度積は図1中Yで表した線とな
る。即ちこの線Yにて表した境界よりも図中上側の領域
はTiNが溶鋼中に固溶し切れずに一部が晶出して来る
領域であり、また下側の領域はTiNが溶鋼中に固溶し
たままの状態となる領域である。
nSを析出させるためには、MnSが析出する前にTi
Nを生成させておく必要があり、しかもこの場合TiN
を過剰に晶出させることは、TiN自体が介在物そのも
のとなってしまうことから避けなければならない。
鋼が1500℃で凝固し始めるとしたときのTiとNと
の溶解度積を見ると、Tiが100ppm前後がTiN
の固溶可能な最大限の量になると考えられる。そこで本
発明ではTiを100ppm前後、詳しくは溶鋼中のN
レベルが100ppm以下となるレベルでTiを50〜
150ppmの範囲で添加するようになしたものであ
る。
製を行ったところ、従来達成できなかった硫化物系の介
在物径20μm以下を達成することができた。而してこ
のように介在物径を小さく制御できたことによって、鋼
を用いた各種機械部品の疲労強度を十分に高めることが
可能となる。尚本発明においてはSの総量規制も当然な
がら必要である。本発明では溶鋼中のSの総量を0.0
03%以下に規制している。
て溶鋼中のSを0.003%以下に低減した後において
Tiを添加することが望ましい(請求項2)。更にまた
脱硫処理後に溶鋼の真空脱ガス処理を行って溶鋼中のN
を100ppm以下に低減した後、Tiを添加すること
が望ましい(請求項3)。この場合においてTiの添加
を真空脱ガス処理の末期に行うことができる(請求項
4)。
によって鋼の被削性が低下するのを避けられない。そこ
で本発明では溶鋼中にBiを添加するようにしている。
但しBiは沸点が低く(1560℃)、従ってBiの添
加のタイミングを溶鋼の温度が高い段階で行うとBiが
蒸発によって多量にロスしてしまい、歩留りが悪くなっ
てしまう。
0℃以下で行うようになすのが望ましい(請求項5)。
尚このBiは最終的に溶鋼中0.01〜0.10%の範
囲で含有されるようにしておくことができる。またOに
ついてはその含有量を15ppm以下に規制しておくこ
とができる。また上記Tiを添加するに際して、その際
の溶鋼中のNを望ましくは70ppm以下としておくの
が良い(請求項6)。
S規定の機械構造用鋼であるSCM435を以下のよう
なプロセスを経て溶製した。即ち、図2に示しているよ
うに先ず電気炉(アーク炉:EAF)10にて鋼を溶解
し、次いでスラグを除去(スラグオフ:SO)するとと
もに溶鋼を取鍋12に移して取鍋精錬装置(LF精錬装
置)14にて取鍋精錬(LF精錬)を行った。
F,CaFとともに脱酸剤としてのAlを添加し、LF
精錬において脱硫及び脱酸を行った。このとき溶鋼中に
含まれているS,OはCaS,Al2O3等としてスラ
グ中に浮上分離する。
鋼の真空脱ガス処理を行った。このときのRH真空脱ガ
ス処理は40分間行った。その後Bi添加を行った後、
図2に示す連続鋳造装置18を用いて連続鋳造を行っ
た。これら一連のプロセスにおいて、本例ではRH真空
脱ガス処理の末期にTiを約100ppm溶鋼中に添加
した。
ルをランダムに5個切り出して、それぞれについて硫化
物系介在物(MnS)のサイズを顕微鏡で各々10視野
観察した(全部で50視野)。結果が図3に示してあ
る。
(SCM435)を上記と同様のプロセスに従って溶製
した(図5参照)。この比較例の製造プロセスは、Bi
を添加していないこと及びRH真空脱ガス処理末期にお
いてTiを添加していないことを除き、基本的に上記実
施例の製造プロセスと同様である。
ロセスに従って溶製した鋼の場合、何れの視野において
も硫化物系介在物のサイズは20μmよりも全て小さい
ものであった。尚、本発明例の製造プロセスによって溶
製した鋼についての硫化物系介在物のサイズの測定値を
極値統計法に従って統計処理したとき、存在し得る最大
サイズは一般部の場合99.9%の確率で15.09μ
m,中心部で17.75μmであった。即ち鋼中に存在
し得る硫化物系介在物の粒径は一般部では99.9%の
確率で15.09μm以下,中心部では17.75μm
以下との結果が得られた。
計処理をした場合の最大の粒径サイズは一般部で23.
3μm,中心部で22.7μmであった。即ち本発明例
に従って鋼を溶製することにより、硫化物系介在物のサ
イズを従来では達成できなかった20μm以下に制御す
ることが可能となる。
くまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範
囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
を説明する説明図である。
プロセスを示す図である。
イズを示す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 鋼を溶解した後、重量基準で溶鋼中のN
を100ppm以下に低減した状態で該溶鋼中にTiを
50〜150ppmの範囲で添加するとともに、溶鋼中
のSを0.003%以下に規制することを特徴とする介
在物を微細化した鋼の溶製方法。 - 【請求項2】 請求項1において、前記鋼の溶解後に脱
硫精錬を行って溶鋼中のSを0.003%以下に低減し
た後において前記Tiを添加することを特徴とする介在
物を微細化した鋼の溶製方法。 - 【請求項3】 請求項2において、前記脱硫処理後に前
記溶鋼の真空脱ガス処理を行って該溶鋼中のNを100
ppm以下に低減した後、前記Tiを添加することを特
徴とする介在物を微細化した鋼の溶製方法。 - 【請求項4】 請求項3において、前記Tiの添加を前
記真空脱ガス処理の末期に行うことを特徴とする介在物
を微細化した鋼の溶製方法。 - 【請求項5】 請求項4において、前記真空脱ガス処理
後、溶鋼温度が1700℃以下で該溶鋼中にBiを添加
することを特徴とする介在物を微細化した鋼の溶製方
法。 - 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記溶
鋼中のNを70ppm以下に低減した状態でTiを添加
することを特徴とする介在物を微細化した鋼の溶製方
法。
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Cited By (3)
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2001
- 2001-08-21 JP JP2001250513A patent/JP4742466B2/ja not_active Expired - Lifetime
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CN100404717C (zh) * | 2003-10-28 | 2008-07-23 | 株式会社电装 | 易切削钢和采用这种钢的燃料喷射系统元件 |
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WO2022017733A1 (de) | 2020-07-23 | 2022-01-27 | Sms Group Gmbh | Verfahren zum herstellen von stahlband |
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