JP3319245B2 - 高清浄性オーステナイト系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

高清浄性オーステナイト系ステンレス鋼の製造方法

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JP3319245B2
JP3319245B2 JP26812495A JP26812495A JP3319245B2 JP 3319245 B2 JP3319245 B2 JP 3319245B2 JP 26812495 A JP26812495 A JP 26812495A JP 26812495 A JP26812495 A JP 26812495A JP 3319245 B2 JP3319245 B2 JP 3319245B2
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  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い清浄度を有
し、かつノズル閉塞を防止することができる、希土類元
素含有オーステナイト系ステンレス鋼の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に溶鋼を高清浄化するためには、充
分に脱酸すること、すなわち適切な量の脱酸元素を添加
するとともに、生成した脱酸生成物(介在物)を浮上除
去させる必要がある。しかし、希土類元素を0.01wt%以
上含有するオーステナイト系ステンレス鋼では、溶鋼中
へ添加した際、多量の希土類酸化物が生成して清浄性の
悪化を招く。
【0003】これは、希土類元素は酸素との親和力が非
常に強いため、周囲の他の酸化物を還元して希土類酸化
物が生成すること、一旦生成した希土類酸化物は溶鋼と
比重が近いため、浮上分離されないことによる。このよ
うに、希土類元素は鋼の脱酸剤としては或る程度機能す
るものの、鋼の清浄性を悪化させる。
【0004】さらに、生成した希土類酸化物によって連
続鋳造時にノズル閉塞が生じ、実操業上大きな支障とな
っている。
【0005】このため、希土類元素を添加する鋼種で
は、その添加前に別の一般的な脱酸元素(例えばAl、Si
等)が使用される。しかしこのような場合でも、希土類
元素は酸素と親和力が強いので介在物やスラグを還元し
て、溶鋼中に多量の希土類酸化物を生成するため、清浄
度向上やノズル閉塞防止は必ずしも充分ではない。
【0006】ノズル閉塞を避けるため、鋳造時に鋳型内
へ希土類元素の添加が行われることもあるが、この方法
ではノズル閉塞は回避できるものの、清浄度の改善を図
ることができず、また希土類元素の偏析等の問題があ
る。
【0007】希土類元素を含有するオーステナイト系ス
テンレス鋼の溶製方法では、溶解炉から出鋼して取鍋で
脱炭のための酸化精錬を行った後、必要に応じてさらに
脱硫工程、窒素添加工程、溶鋼温度を保持するための昇
熱工程、脱酸工程、希土類元素添加工程などの様々な工
程を要する。
【0008】これらの工程は一般に脱酸元素を添加する
還元精錬であるが、その方法や順序について特に明確な
指針や考え方はなかった。例えば、窒素添加工程は窒素
ガスを溶鋼へ吹き込み所定の窒素量とするものである
が、その工程では窒素添加歩留まりおよび処理時間が考
慮されることはあっても、脱酸の進行状態を考慮する考
え方はなかった。また、オーステナイト系ステンレス鋼
溶製のように複数の精錬工程を経る場合、熱付与を行う
ための酸素吹き込みによる昇熱を行うが、この昇熱工程
では実質的には溶鋼中の全酸素濃度が高い状態を呈して
いることが多く、この段階における溶鋼の脱酸程度や清
浄性が考慮されることはなかった。したがって従来の製
造方法では、その後の脱酸工程で所期の低酸素濃度まで
低下させようとしても酸化物が大量に生成し、高清浄性
を達成するのは容易ではない。
【0009】特公昭62−39205 号公報には、溶鋼の二次
精錬において脱酸剤、フラックスおよびスラグ改質剤を
添加する高清浄度鋼の製造方法が示されている。しか
し、その実施例ではSiトレースの低炭素Alキルド鋼の製
造の場合しか記載されておらず、この方法は、酸素との
親和力が高い希土類元素を含有するオーステナイト系ス
テンレス鋼の製造にそのまま適用できるものではない。
これは、CrやNiを多量に含む鋼種では、溶鋼中のCrによ
る酸素溶解度の上昇およびNiとAlとの相互作用により、
一般にAlの脱酸力は低下する傾向にあるからである。
【0010】特開昭63−277708号公報には、VOD処理
後において溶鋼とスラグを直接攪拌し、スラグ中のSiO2
を10wt%以下などとする高清浄度ステンレス鋼の製造法
が示されている。しかし、この方法が希土類元素を添加
するオーステナイト系ステンレス鋼の場合にも有効かど
うかは明らかではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、希土類元素
を含有するオーステナイト系ステンレス鋼の製造の際の
上記課題を解決するためのものである。本発明の目的
は、溶製過程での溶鋼の清浄性向上を図ることによっ
て、希土類元素添加による清浄性悪化を防止し、さらに
これによって連続鋳造時のノズル閉塞を防止することに
より、高品質と安定操業を両立させ得る製造方法を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、希土類元素
を含有するオーステナイト系ステンレス鋼の高清浄化を
達成するには、希土類元素を添加する以前の段階で予備
脱酸した後、Al脱酸を徹底し、もしくはAl脱酸を充分に
行うため、Al脱酸と同時にCaおよび/またはMgを添加し
て複合脱酸を施し、溶鋼段階で高清浄化を実施しておく
のが最も効果的であることを知見した。
【0013】本発明の要旨は、次の(1) および(2) の高
清浄性の希土類元素含有オーステナイト系ステンレス鋼
の製造方法にある。
【0014】(1)希土類元素を含有するオーステナイト
系ステンレス鋼の製造方法であって、下記〜の工程
で処理することを特徴とする高清浄性の希土類元素含有
オーステナイト系ステンレス鋼の製造方法。以下、本発
明の第1方法という。
【0015】溶解炉から粗溶湯を取鍋に出鋼して脱炭
のための酸化精錬を行った後、SiおよびMnで予備脱酸す
る。
【0016】引き続きAl濃度を0.03wt%以上
とするとともに、wt%でCaO/Al 比の範
囲が1.5〜4.0、スラグ中SiO 濃度が10w
t%未満のCaO−Al 系スラグを形成して脱
酸を行う。
【0017】それ以降の全精錬工程にわたってAl濃度
が0.03wt%以上となるように調整を行い、次いでキリン
グを行い全酸素濃度を0.003 wt%以下とする。
【0018】その後、LaおよびCeを主成分とする希土
類元素を添加してその濃度を0.01wt%以上とすることに
より、希土類酸化物の生成を抑制する。
【0019】(2)希土類元素を含有するオーステナイト
系ステンレス鋼の製造方法であって、下記、′、
′及びの工程で処理することを特徴とする高清浄性
の希土類元素含有オーステナイト系ステンレス鋼の製造
方法。以下、本発明の第2方法という。このおよび
の工程は、上記(1) の第1方法の場合と同じである。
【0020】溶解炉から粗溶湯を取鍋に出鋼して脱炭
のための酸化精錬を行った後、SiおよびMnで予備脱酸す
る。
【0021】′引き続きAl濃度を0.03wt%以
上、Caおよび/またはMg濃度を単独または合計で
0.001wt%以上とすると共に、wt%でCaO/
Al 比の範囲が1.5〜4.0、スラグ中Si
濃度が10wt%未満のCaO−Al
スラグを形成して脱酸を行う。
【0022】′それ以降の全精錬工程にわたってAl濃
度が0.03wt%以上、Caおよび/またはMg濃度が単独また
は合計で0.001 wt%以上となるように調整を行い、次い
でキリングを行い全酸素濃度を0.003 wt%以下とする。
【0023】その後、LaおよびCeを主成分とする希土
類元素を添加してその濃度を0.01wt%以上とすることに
より、希土類酸化物生成を抑制する。
【0024】ここでいう「希土類元素」は、LaおよびCe
の他に、NdおよびPrなどのランタノイドおよびY(イッ
トリウム)を指し、その添加にはLaおよびCeを主成分と
する合金(例えば、ミッシュメタル)および/またはY
を用いる。以下、希土類元素濃度を表す場合にはLa+Ce
で示す。
【0025】Al濃度、Caおよび/またはMg濃度およびLa
+Ce濃度の望ましい上限は、それぞれ0.2 wt%、0.005
wt%および0.1 wt%である。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明方法における処理工程は、
大別すると出鋼した後の脱炭酸化精錬工程と、主に予備
脱酸、脱酸および、希土類元素添加を行う還元工程とか
らなる。したがって、本発明方法を実施するための精錬
装置は、VOD炉、RH真空精錬装置、酸素および攪拌
用ガスなどの吹き込み装置ならびに筒状浸漬管などを備
えた真空または大気圧の取鍋精錬装置、誘導溶解炉など
である。
【0027】本発明の第1方法およびその各条件の限定
理由について、wt%でC: 0.050〜0.15%、Si:0.05〜
0.5 %、Mn: 0.3〜0.6 %、P:0.04%以下、S:0.01
%以下、Cr:20〜30%、Ni:10〜15%,N: 0.1〜0.3
%、La+Ce:0.01〜0.1 %、残部:Feおよび不純物から
なる希土類元素含有オーステナイト系ステンレス鋼を製
造することを目標として、原料を電気炉で溶解して出鋼
した後、VOD炉を用いて取鍋精錬を行う場合を例にと
って説明する。
【0028】粗溶鋼をVOD炉で脱炭のための酸化精錬
を行ってC濃度を0.05〜0.15wt%にした後、最初にSiお
よびMnで予備脱酸(以下、予備複合脱酸という)を行
い、酸素濃度を予備的に低減する(前記の工程)。こ
の時の予備複合脱酸剤の添加方法は特に限定しないが、
予備複合脱酸の効果を発揮させるためには、Si濃度は0.
05wt%以上、Mn濃度は 0.3wt%以上にすることが望まし
い。しかし、製品材料の溶接性およびクリープ性の劣化
を防ぐ観点から、Si濃度は 0.4wt%以下、Mn濃度は 0.5
wt%未満であることが望ましい。
【0029】次に前記の脱酸工程を施す。まず、Al濃
度が0.03wt%以上になるようAlを添加して脱酸を行い、
溶鋼中の全酸素濃度を望ましくは0.003 wt%以下まで低
下させる。Al濃度が0.03wt%未満では、全酸素濃度を上
記値以下まで下げることができず、清浄度を向上させる
効果に乏しい。このとき、Al濃度の更に望ましい範囲は
0.05〜0.1 wt%である。Al濃度が0.05wt%であれば、熱
力学的計算から全酸素濃度を0.002 wt%以下まで低減さ
せることが期待できる。Al濃度の望ましい上限は、製品
材料の溶接性および耐クリープ特性の観点から決まる。
【0030】このときのスラグの主成分はCaO とAl2O3
であるが、wt%でCaO/Al2O3 比の範囲が 1.5〜4.0 のCa
O-Al2O3 系スラグを形成させる必要がある。この下限を
1.5とする理由は、スラグ中Al2O3 の活量を充分下げてA
l脱酸の効果を発揮させるためである。このとき、CaO
/Al2O3 比のさらに望ましい下限は3である。CaO/Al2O
3 比が3以上であればCaO 飽和領域内で最もAl2O3 の活
量が低い領域となるので、Al濃度が0.03wt%であっても
全酸素濃度を0.002 wt%以下まで低減させることができ
る。一方、上限4を超えるとスラグの滓化性が悪化し、
操業上支障をきたすのみならず、滓化性の悪化スラグ−
溶鋼による脱酸反応の低下をもたらす。
【0031】上記のようなCaO−Al スラグ
中ではSiO は不純物となるため、不可避的に混入
するSiO の上記スラグ中の濃度は10wt%未
満、さらに望ましいのは5wt%以下である。10wt
%以上ではAlによってスラグ中のSiO が還元さ
れ、溶鋼中の全酸素濃度およびSi濃度の増加を招き、
Al脱酸の効果が損なわれる。5wt%以下であれば、
実質的に全酸素濃度およびSi濃度の増加は生じない。
【0032】また、スラグ化(滓化)促進のため20Wt%
以下のCaF2の添加、耐火物保護のため20wt%以下のMgO
の添加は、それぞれ許容される。このようなスラグ組成
の制御は、予備複合脱酸した後必要に応じて一旦除滓し
てから、脱酸によって生じたAl2O3 濃度を考慮しなが
ら、生石灰、蛍石、ドロマイト等の造滓剤を添加すれば
よい。
【0033】次に前記の工程に移る。すなわち、これ
以降の全精錬工程にわたってAl濃度が0.03wt%以上とな
るように調整を行い、次いでキリングを施して全酸素濃
度を0.003 wt%以下とする。
【0034】ただし、前記の工程が終了した後、必要
または必要程度に応じて、バブリングランスなどから窒
素添加、および温度低下を補償するため酸素吹き込みに
よる溶鋼昇熱(以下、Al昇熱という)を行う。
【0035】これらの処理を実施する場合にはその工程
以降、実施しない場合には前記の工程以降では、適宜
Alを添加して溶鋼中Al濃度が0.03wt%以上、望ましくは
0.05wt%以上となるように調整する必要がある。この理
由は、窒素添加やAl昇熱の工程において周囲からの酸素
による溶鋼中の全酸素濃度の増加を防ぐためである。
【0036】このとき、Al濃度を0.05wt%以上とすれ
ば、溶鋼中の全酸素濃度を低く抑制することができる。
さらに、Al濃度を高めに維持する方が、Al濃度の調整お
よびその管理の面でより容易となる。また、窒素添加時
にAl濃度を高めておけば窒素の溶解度が高まり、窒素歩
留まりが向上し、処理時間も短縮できるという副次的な
効果も期待できる。
【0037】さらに全酸素濃度を0.003 wt%以下として
充分な清浄性を確保するために、最終工程である希土類
元素添加前に、キリング時間を設定する。この理由は、
Al脱酸によって生じたAl2O3 系介在物を浮上除去すると
ともに、前述の窒素添加やAl昇熱によって生じたスラグ
起因の介在物および再酸化起因の介在物も浮上除去する
ためである。
【0038】浮上除去に必要なキリング時間は、溶鋼量
および取鍋形状によって異なるが、簡便な指標として単
位溶鋼量(t:トン)の三乗根あたりの時間(s:秒)
で与えることができる。望ましいキリング時間は150 s
/(t1/3)以上、さらに望ましいのは200 s/(t1/3)
以上である。即ち、全酸素濃度は、キリング時間を150
s/(t1/3)以上とすれば0.003 wt%以下に、同じく20
0 s/(t1/3)以上とすれば0.002 wt%以下に、それぞ
れ低下させることができる。
【0039】次いで、前記の希土類元素の添加工程を
施し、La+Ce濃度を0.01wt%以上とする。希土類元素
は、ランタノイドの他にY(イットリウム)も選択する
ことができ、その添加の際にはLaおよびCeを主成分とす
る合金(例えば、ミッシュメタル)および/またはYを
用いる。このような希土類元素の添加工程およびLa+Ce
濃度とすれば、溶鋼中の希土類酸化物生成を抑制するこ
とができる。
【0040】前述のように溶鋼中の全酸素濃度を低下さ
せ、清浄度の高い状態で希土類元素を添加すれば、酸素
と親和力の強い希土類元素によって生じるこれら酸化物
の生成を最小限に抑制することができ、鋳片の清浄度の
悪化、さらにはノズル閉塞等の製造上の不都合を同時に
回避することができる。
【0041】上記の本発明方法が適用可能なLa+Ce濃度
の上限は、鋼種によって変わるが、およそ0.1 wt%であ
る。
【0042】次に、本発明の第2方法について述べる。
【0043】この第2方法は、さらに効果的な脱酸を行
い高清浄性を得るために、前記と同様に施す予備複合
脱酸後の各工程においてAl濃度を0.03wt%以上にすると
ともに、前記′の工程以降の各工程のようにCaおよび
/またはMgを添加して、所定のCaおよび/またはMg濃度
を維持し、Alとの複合脱酸効果を得るものである。
【0044】このAlとの複合脱酸効果は、Caおよび/ま
たはMg濃度を単独もしくは合計で0.001 wt%以上となる
ように調整することで得ることができる。Caおよび/ま
たはMg濃度の望ましい上限は0.005 wt%である。この複
合脱酸効果は、CaまたはMgの単独もしくはCaおよびMgの
併用のいずれの場合も、この上限値0.005 wt%を超える
と飽和し、増大しない。
【0045】特にCaを使用した場合には、脱酸生成物は
低融点化して凝集肥大化し易くなるため、浮上を促進す
る効果も副次的に期待できる。
【0046】また、予備複合脱酸後の各工程においてAl
濃度を0.05wt%以上にすれば、Caおよび/またはMgを添
加する際の歩留まりが向上し、その濃度を単独もしくは
合計で少なくとも0.001 wt%にすればAlとの複合脱酸の
効果が高まり、かつさらなる脱酸向上および高清浄化が
得られる。
【0047】CaおよびMgの添加方法は特に制限されな
い。例えば、Ca-Si 合金、Ni-Mg 合金などの塊状あるい
はワイヤー状のもので添加するなどの、一般的な方法が
使用可能である。
【0048】なお、鋼中のCaおよびMgは、必要に応じて
最後に溶鋼中から蒸発除去することができる。すなわ
ち、介在物が浮上し、スラグに吸収されて溶鋼外に除か
れて充分な高清浄度が得られ、かつ材料特性上特に必要
がない場合には、真空処理時および底吹きAr攪拌等の工
程をつけ加えることによって蒸発させ、適宜除去する。
【0049】本発明の第2方法においても、予備複合脱
酸後のSiおよびMn濃度、複合脱酸後のCaO-Al2O3 系スラ
グの組成、希土類元素添加前のキリング時間およびLa+
Ce濃度の上限については、本発明の第1方法の場合と全
く同じでよい。
【0050】
【実施例】wt%でC: 0.050〜0.15%、Si: 0.1〜0.5
%、Mn: 0.3〜0.6 %、P:0.04%以下、S:0.01%以
下、Cr:22〜24%、Ni:10〜11%,N:0.21〜0.23%、
La+Ce:0.01〜0.05%を目標成分とする希土類元素
含有オーステナイト系ステンレス鋼の製造試験を次のよ
うに実施した。
【0051】(試験1)2t高周波誘導炉を用いてArシ
ールした状態で、脱炭後の状態を模擬した未脱酸溶鋼
(C:0.05〜0.15wt%、Si:0.02〜0.1 wt%、Mn: 0.1
〜0.3 wt%、N:0.01wt%以下、La+Ce:なし、その他
は上記組成、温度:1550〜1650℃)及び合成スラグを保
持し、Si及びMnによる予備複合脱酸ありまたはなし、Al
脱酸(Al添加)、バブリングによる窒素添加(320Nリッ
トル/min、約10分間)、Al昇熱を模擬した酸素吹き付け
(120Nリットル/min、約5分間)の各処理工程を施し
た。
【0052】その後、 155〜470 s/(t1/3)のキリン
グを施して、LaおよびCeを主に含有するミッシュメタル
(以下、REM と記す)をLa+Ce濃度が0.01〜0.05wt%に
なるように添加した。
【0053】次いで、Ar雰囲気中において、上注ぎでト
ラフおよびノズルを介して鋳型に鋳造し、2t鋼塊とし
た。
【0054】上記の各工程で、Al脱酸後のREM 添加前か
ら鋼塊に到るまでのAl濃度の最大値および最小値並びに
スラグ組成、REM 添加前の全酸素濃度および清浄度、鋼
塊での全酸素濃度および清浄度を調査した。表1にAl濃
度、スラグ組成、全酸素濃度(T.〔O〕)および清浄度
の評価を示す。
【0055】
【表1】
【0056】全酸素濃度の評価は0.003 wt%を超えるも
のを×(不可)、0.002 wt%以上0.003 wt%未満を○
(良)、0.002 wt%未満を◎(優)とした。清浄度の評
価は、介在物指数で1を超えるものを×(不可)、 0.5
〜1を○(良)、0.5 未満を◎(優)とした。なお、こ
の介在物指数は、単位面積あたりの介在物個数を本鋼種
で基準となる単位面積あたりの介在物個数で除したもの
である。単位面積あたりの個数計測については、研磨し
た試料を光学顕微鏡(倍率 100倍)で介在物径別に個数
計測し、介在物径の重み付けをした個数を被検面積で除
したものである。
【0057】表1の実施例1から4に示すように、Siお
よびMnで予備複合脱酸を行い、それ以降の工程の間、Al
濃度が0.03wt%以上、スラグのCaO/Al2O3 比が1.5 以
上、SiO2濃度が10wt%未満になるよう調整した結果、RE
M 添加前後の清浄度がともに良好になった。
【0058】一方、比較例5に示すように、予備複合脱
酸を行わなかった場合、それ以降のAl濃度を安定させる
ことが困難であった。比較例6、7に示すように、予備
複合脱酸以降の工程でAl濃度が0.03wt%未満になると、
REM 添加前後の清浄度はいずれも不可であった。比較例
8に示すように、Al脱酸時のスラグのCaO/Al2O3 比が1.
5 未満になると、REM 添加前後の清浄度はともに不可で
あった。比較例9に示すように、Al脱酸時のスラグ中Si
O2濃度が10wt%以上になると、特にREM 添加後の清浄度
が不可であった。比較例10では、REM 添加前のキリング
時間を充分に確保しなかったために、全酸素濃度が0.00
3 wt%を超えた。この結果、特にREM 添加後の清浄度が
不可となった。
【0059】(試験2)38t電気炉−VODプロセス
または80t電気炉−VODプロセスを用いて、VOD
炉で脱炭した未脱酸溶鋼(C:0.05〜0.15wt%、Si:0.
02〜0.05wt%、Mn:0.1 〜0.3 wt%、N:0.01wt%以
下、La+Ce:なし、その他は前記と同じ組成、温度:16
00〜1650℃)を用いて、前記と同目標成分の希土類元素
含有オーステナイト系ステンレス鋼の製造試験を実施し
た。
【0060】SiおよびMnによる予備複合脱酸後、一旦除
滓して造滓剤を添加してスラグを形成し、Alを所定量添
加して脱酸を行った。その後、2回に分けて窒素添加を
行い、その間にAl昇熱を施して溶鋼温度を保った。
【0061】この間、適宜Alを添加してAl濃度を確保し
た。さらにREM 添加前には所定条件のキリングを実施し
た。キリング後、ミッシュメタルを添加してLa+Ce濃度
の範囲を0.01〜0.05wt%に調整した。次いで、連続鋳造
にてスラブ形状に鋳込んだ。
【0062】上記の試験において、Al脱酸後のAl濃度お
よびスラグ組成、鋳造時のノズル閉塞状況、スラブでの
全酸素濃度および清浄度を調査した。
【0063】表2にAl濃度、スラグ組成、ノズル閉塞の
有無、全酸素濃度(T.〔O〕)および清浄度の評価を示
す。評価方法は試験1の場合と同じである。
【0064】
【表2】
【0065】表2の実施例1から4に示すように、本発
明で定める条件または望ましい条件を全て満たす場合に
は、ノズル閉塞を起こすことなく連続鋳造が可能であ
り、かつスラブ清浄度は良好であった。これは、REM 添
加前に清浄度を向上させたことによるものである。
【0066】一方、比較例5、6に示すように、本発明
で定める条件または望ましい条件を満たさない場合に
は、ノズル閉塞が生じて全量連続鋳造することができ
ず、また鋳造できたスラブの清浄度も不可であった。こ
れは、REM 添加前の清浄度が悪化した結果である上記試
験1および試験2で得られた結果を、さらに図1により
説明する。
【0067】図1は、上記試験1および試験2の場合
の、REM 添加前の清浄度にキリング時間が及ぼす影
響を示す図である。縦軸は清浄度指数であり、基準値=
1は本鋼種の許容基準の場合である。
【0068】図示するように、単位溶鋼の三乗根t1/3
あたりのキリング時間が150 s未満では全酸素濃度が0.
003 wt%を超えるため清浄度が悪い。一方、150 s以上
では全酸素濃度が0.003 wt%以下となるため、清浄度が
良好となる。さらに200 s以上では全酸素濃度が0.002
wt%以下となるため、清浄度が優れている。
【0069】(試験3)前記試験2と同様の溶製をおこ
なった際に、Al脱酸以降の工程でAl添加とともに所定量
のCaおよび/またはMgの添加を行った時の、REM 添加前
における溶鋼中のCa+Mg濃度がスラブの清浄度に及ぼす
影響を調査した。図2に結果を示す。
【0070】図2は、スラブの清浄度とREM 添加前にお
ける溶鋼中のCa+Mg濃度との関係を示す図である。縦軸
は清浄度指数であり、基準値=1は前述のとおりであ
る。
【0071】図2に示すように、溶鋼中のCa+Mg濃度濃
度が10×10-3wt%以上で、スラブの清浄度は0.5 以下の
「優」となり、Caおよび/またはMgを所定濃度に維持す
ることが、スラブの高清浄化に有効であるのがわかる。
【0072】
【発明の効果】本発明の希土類元素含有オーステナイト
系ステンレス鋼の製造方法によれば、溶製過程での溶鋼
の清浄性の飛躍的な向上が可能となり、さらには希土類
元素添加による清浄性の悪化を抑制することができる。
これによって、連続鋳造時のノズル閉塞を防止し、高品
質と安定操業とを両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における試験1および試験2の場合の、
REM 添加前の清浄度にキリング時間が及ぼす影響を示す
図である。
【図2】スラブの清浄度とREM 添加前における溶鋼中の
Ca+Mg濃度との関係を示す図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】希土類元素を含有するオーステナイト系ス
    テンレス鋼の製造方法であって、溶解炉から粗溶鋼を取
    鍋に出鋼して脱炭のための酸化精錬を行った後、Siお
    よびMnで予備脱酸し、引き続きAl濃度を0.03w
    t%以上とするとともに、wt%でCaO/Al
    比の範囲が1.5〜4.0、スラグ中SiO 濃度
    が10wt%未満のCaO−Al 系スラグを形
    成して脱酸を行い、それ以降の全精錬工程にわたってA
    l濃度が0.03wt%以上となるように調整を行い、
    次いでキリングを行い全酸素濃度を0.003wt%以
    下とした後、LaおよびCeを主成分とする希土類元素
    を添加してその濃度を0.01wt%以上とすることに
    より、希土類酸化物の生成を抑制することを特徴とする
    高清浄性の希土類元素含有オーステナイト系ステンレス
    鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】希土類元素を含有するオーステナイト系ス
    テンレス鋼の製造方法であって、溶解炉から粗溶鋼を取
    鍋に出鋼して脱炭のための酸化精錬を行った後、Siお
    よびMnで予備脱酸し、引き続きAl濃度を0.03w
    %以上、Caおよび/またはMg濃度を単独または合
    計で0.001wt%以上とするとともに、wt%でC
    aO/Al 比の範囲が1.5〜4.0、スラグ
    中SiO 濃度が10wt%未満のCaO−Al
    系スラグを形成して脱酸を行い、それ以降の全精錬
    工程にわたってAl濃度が0.03wt%以上、Caお
    よび/またはMg濃度が単独または合計で0.001w
    t%以上となるように調整を行い、次いでキリングを行
    い全酸素濃度を0.003wt%以下とした後、Laお
    よびCeを主成分とする希土類元素を添加してその濃度
    を0.01wt%以上とすることにより、希土類酸化物
    生成を抑制することを特徴とする高清浄性の希土類元素
    含有オーステナイト系ステンレス鋼の製造方法。
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