JPH0892629A - 酸化物分散鋼の製造法 - Google Patents

酸化物分散鋼の製造法

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JPH0892629A
JPH0892629A JP22834094A JP22834094A JPH0892629A JP H0892629 A JPH0892629 A JP H0892629A JP 22834094 A JP22834094 A JP 22834094A JP 22834094 A JP22834094 A JP 22834094A JP H0892629 A JPH0892629 A JP H0892629A
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隆之 西
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高いHAZ 部靱性が要求される厚板用のAl−Mn
酸化物分散鋼を安定して溶製できる方法を提供する。 【構成】 転炉もしくは電気炉にて炭素濃度を調整した
後、出鋼中もしくは取鍋内でSiおよびMnで脱酸するとと
もに、フラックス添加およびスラグ改質を行うことによ
って、Alを含有しかつ酸素ポテンシャルが制御可能なス
ラグを造滓して、RH真空処理槽、LF加熱装置あるいはVO
D 炉などの取鍋精錬設備にて全酸素濃度を0.002 %以上
0.010 %以下調整することにより、溶鋼中Al濃度を重量
割合にて0.0001%以上0.0030%以下に制御する。さらに
Tiを0.05%以下含有させても、あるいはS濃度を0.002
%以下に制御するようにしてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い溶接熱影響部靱性
が要求される厚板用鋼種である酸化物分散鋼の溶製法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、溶接工程の合理化のため厚鋼板等
の鋼材の大入熱溶接化が指向されている。一般に大入熱
溶接では、溶接時に母材側熱影響部 (以後、HAZ 部と呼
ぶ) で結晶粒の粗大化が生じ、著しい靱性の低下が生じ
ることが知られている。これに対して、鋼材中に適当な
酸化物や窒化物などの微細粒子を分散させて、金属組織
を微細化することにより、HAZ 部での靱性( 以下、HAZ
部靱性と呼ぶ) が著しく改善されることが知られてい
る。
【0003】このような微細な分散粒子として、特公平
5−17300 号公報には、鋼中のSi量およびAl量を規定
し、Tiを添加して凝固過程でTiO やTi2O3 といった微細
なTi系酸化物を析出、分散させることにより、高いHAZ
部靱性を有する鋼の製造法が提案されている。
【0004】このようなTi酸化物を凝固過程で鋼材内に
微細に析出、分散させる方法としては、特開平3−2673
11号公報および特開平4−2713号公報に示されているよ
うに、第1脱酸元素にSi、Mnを用い、第2脱酸元素にT
i、Zr、Caを用いて酸素濃度を重量割合にて50ppm 以下
にすることによって、Ti、Zrを主成分とするTi系および
/またはZr系酸化物粒子を析出させる方法がある。
【0005】また、特開平4−191314号公報には、凝固
時にTi系酸化物を微細に析出させるために、未脱酸の溶
鋼を真空処理して溶存酸素濃度を重量割合にして0.002
〜0.015 %に調整した後、Tiを添加する方法が開示され
ている。
【0006】さらにこのようなTi系酸化物の析出粒子を
微細化するために、特公平3−67467 号公報では鋳造時
に冷却速度を制御する方法が、特開平4−6243号公報で
はTi添加後、出鋼までの時間を規定する方法が提案され
ている。また特開平3−177535号公報では、さらにZrや
Yなどを添加することが、凝固過程で析出する粒子を微
細に分散させるために効果的であることが述べられてい
る。
【0007】ところでこれらの方法は、いずれもTi系酸
化物を凝固過程で微細に析出、分散させる方法であり、
酸化物の主要組成がTi系酸化物からなるものについて示
されているのみであった。また、Ti系酸化物を主体とす
る粒子を析出、分散させることによって得られるHAZ 部
靱性の改善は、実効として充分ではなく、さらに安定し
てHAZ 部を高靱化させる分散粒子を含有する鋼材、およ
びそれを安定して容易に製造する方法が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本件出願人
は、このような安定してHAZ 部を高靱化できる厚板用鋼
として、特願平6−77057 号に、Al−Mn系酸化物相を有
する酸化物が鋼中に分散された酸化物分散鋼を提案し
た。
【0009】すなわち、この発明は、直径0.2 以上20μ
m以下の分散粒子が鋼材断面の1mm2 当たり4個以上10
00個未満分散しており、かつその分散粒子を構成する酸
化物相として金属元素の原子割合で (Al+Mn) が40%以
上、Al:Mnの比率が1:1以上5:1未満という特徴を
有するAl−Mn酸化物相を有する粒子を鋼中に分散させた
酸化物分散鋼である。
【0010】さらに本件出願人は、このようなAl−Mn系
酸化物分散鋼の製造法を、特願平6−141960号および特
願平6−141961号に開示した。
【0011】すなわち、前者は添加合金中Al成分量を調
整することによって、後者はAlを含有しかつ溶鋼中酸素
ポテンシャル制御可能な酸化物を添加することによっ
て、Al−Mn系酸化物分散鋼を製造す方法であった。
【0012】しかしながら、その後の研究開発の結果、
製鋼工程では、不可避的に存在する製鋼スラグが、鋼材
中へのAl−Mn系酸化物の生成、分散に強く影響を及ぼ
し、Al−Mn系酸化物分散鋼の安定した製造に支障をきた
すことが判明した。
【0013】すなわち、本発明の目的は、高いHAZ 部靱
性が要求される厚板用鋼として優れた性能を有する、Al
−Mn酸化物相を含有する酸化物が鋼中に分散された酸化
物分散鋼を、製鋼スラグが存在する条件下で安定して溶
製できる方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このAl−
Mn系酸化物分散鋼を溶製する際に、製鋼スラグがAl−Mn
系酸化物の生成および分散に強く影響することから、そ
のスラグ制御因子について鋭意研究を重ねたところ、以
下のような知見を得た。
【0015】つまりAl−Mn系酸化物を鋼塊中に微細分散
させるためには、SiおよびMnによる脱酸によって形成さ
れたMnO −SiO2系の組成を有する微小な一次脱酸生成物
を形成させた後、溶鋼中Al濃度および酸素ポテンシャル
を制御すれば良いことである。
【0016】さらに、この溶鋼中Al濃度および酸素ポテ
ンシャルをスラグ組成で制御できることを見い出して本
発明を完成するに至った。
【0017】つまり、本発明の要旨とするところは、分
散粒子としてAl−Mn酸化物相および不可避的に共存する
酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製するに際して、炭
素含有量を調整後、SiおよびMnで脱酸するとともに、Al
を含有し、かつ酸素ポテンシャルが制御可能なスラグを
造滓することにより、全酸素濃度を重量割合にて0.002
%以上0.010 %以下に調整して、溶鋼中Al濃度を重量割
合にて0.0001%以上0.0030%以下に制御することを特徴
とするAl−Mn系酸化物分散鋼の溶製方法である。
【0018】また、別の面からは、本発明は、分散粒子
としてAl−Mn酸化物相および不可避的に共存する酸化物
相を有する酸化物分散鋼を溶製するに際して、炭素含有
量を調整後、SiおよびMnで脱酸するとともに、Alを含有
しかつ酸素ポテンシャルを制御可能なスラグを造滓する
ことにより、全酸素濃度を重量割合にて0.002 %以上0.
010 %以下に、溶鋼中Al濃度を重量割合にて0.0001%以
上0.0030%以下に制御するとともに、Tiを重量割合にて
0.05%以下含有することを特徴とするAl−Mn系酸化物分
散鋼の溶製方法である。
【0019】さらに別の面からは、本発明は、分散粒子
としてAl−Mn酸化物相および不可避的に共存する酸化物
相を有する酸化物分散鋼を溶製するに際して、炭素含有
量を調整後、SiおよびMnで脱酸するとともに、Alを含有
しかつ酸素ポテンシャルを制御可能なスラグを造滓する
ことにより、全酸素濃度を重量割合にて0.002 %以上0.
010 %以下に、溶鋼中Al濃度を重量割合にて0.0001%以
上0.0030%以下に、S濃度を重量割合にて0.002 %以下
に制御することを特徴とするAl−Mn系酸化物分散鋼の溶
製方法である。
【0020】ここに、本発明の具体的態様によれば、分
散粒子としてAl−Mn酸化物相および不可避的に共存する
酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製するに際して、転
炉もしくは電気炉にて炭素濃度を調整した後、出鋼中も
しくは取鍋内でSiおよびMnで脱酸するとともに、適切に
造滓剤添加およびスラグ改質を行うことによって、Alを
含有しかつ酸素ポテンシャルが制御可能なスラグを造滓
して、RH真空処理槽、LF加熱装置あるいはVOD 炉などの
取鍋精錬設備にて全酸素濃度を0.002%以上0.010 %以
下調整することにより、溶鋼中Al濃度を重量割合にて0.
0001%以上0.0030%以下に制御する。
【0021】
【作用】次に、本発明の作用についてさらに具体的に説
明する。本発明に使用する溶鋼としては、目的とする最
終鋼組成を実現できる所要組成をもって溶製された溶鋼
であればいずれであってもよく、例えば適宜溶解炉にて
単に溶製されたものでもよく、あるいは転炉、電気炉で
脱炭製錬されたものでも良い。引き続いてSiおよびMnで
の脱酸が行い得る限り特に制限はない。
【0022】好ましくは、炭素含有量0.01%以上0.25%
以下、酸素含有量0.04%以上0.07%以下に調整した溶鋼
である。
【0023】鋼材中に分散粒子としてAl−Mn酸化物相お
よび不可避的に共存する酸化物相を有する酸化物分散鋼
を溶製するためには、溶製初期段階において、溶鋼中で
酸素と親和力を有するSiおよびMnにて脱酸を行い、脱酸
生成物の形態および分散量を調整することが必要であ
る。
【0024】SiおよびMnは通常の脱酸と同様に合金鉄
(フェロシリコン、フェロマンガン、フェロシリコンマ
ンガン) 、Mn鉱石等の形態で溶鋼に添加すればよく、特
に制限はない。ここで、SiおよびMnの添加量について
は、全酸素濃度を0.002 %以上0.0100%以下にできる量
であればよいが、好ましくは、重量濃度がSi:0.05%以
上0.60%以下およびMn:0.3 %以上3.0 %以下である。
その理由は、脱酸で形成される一次脱酸生成物が凝集し
やすく効果的な脱酸が可能なMnO-SiO2系にするととも
に、全酸素濃度を0.002 %以上0.0100%以下にして、分
散酸化物の核を形成するためである。
【0025】ここで、上述の好適例でSi濃度が規制され
る理由の一つには、Si濃度が0.6 %より大きくなるとMn
濃度が3.0 %以下であっても介在物はSiO2系が多くなる
ことである。またもう一つの理由は、全酸素濃度が20pp
m 未満となるために分散させる酸化物の核となる一次脱
酸生成物量が不十分となるためである。一方、Si濃度が
0.05%未満ではMn濃度が0.3 %であっても介在物はSi
O2、あるいはSiO2−FeO系となり、Al−Mn系酸化物の核
には不適である。さらには全酸素濃度は100 ppmを超え
て酸素供給源が過多となり、溶鋼の清浄性が不十分とな
る。
【0026】Mn濃度についても、Mn濃度0.3 %未満では
Si脱酸領域となり介在物はSiO2系となり、Al−Mn系酸化
物の生成には不適である。一方、Mn濃度が3.0 %を超え
るとSi濃度が0.60%以下でも酸素濃度が20ppm 未満とな
り、分散酸化物の核となるようなMnO-SiO2系介在物を残
留させることができなくなってしまう。
【0027】加えて、鋼中Si濃度を高くするとSi脱酸が
強くなり、スラグ精錬時の全酸素濃度低下が大きく、結
果として鋼中に分散する必要がある微小なMnO-SiO2系介
在物量が低下してしまうので、Si濃度は低いことが望ま
しい。さらに鋼中Si濃度が0.20%を越えると低温靱性の
劣化を招くことが知られているので、鋼質的にも低Siで
あることが望ましく、これらのことからSi量はSi:0.20
%以下がよい。
【0028】従って、この規制を考慮にいれるとSi濃度
0.05%以上0.20%以下、Mn濃度0.8以上2.0 %以下に制
御することがさらに望ましい。この理由は、この濃度域
で介在物をMnO-SiO2系にし、かつ全酸素濃度を0.002 %
以上0.010 %以下とするためにさらに適しているからで
ある。
【0029】ところで、介在物をMnO-SiO2系にする理由
は、この介在物が10μmより大きいものは浮上、除去さ
れて効果的な脱酸が可能となるばかりでなく、残留した
介在物は10μm以下の小径介在物となり、溶存酸素とと
もに次の工程での微小なAl−Mn系介在物形成のための核
となるからである。
【0030】次にAlを含有しかつ酸素ポテンシャルを制
御可能な製鋼用スラグについて述べる。
【0031】製鋼過程全般を通して、溶鋼表面の転炉か
ら出鋼時に持ちきたされた転炉滓等を起源とするスラグ
が存在する。本発明では、上述したSi−Mn脱酸過程で、
転炉滓および造滓剤を用いて、Alを含有しかつ酸素ポテ
ンシャルを制御可能なスラグを形成することによって、
溶鋼中Al濃度および酸素濃度を制御し、Al−Mn酸化物を
鋼中に分散させるものである。
【0032】ここで、このようなスラグの基本組成は、
CaO −SiO2−Al2O3 −MgO および不可避的不純物である
FeO およびMnO からなる。以下その組成について述べ
る。
【0033】その組成については以下のように限定され
る。スラグ中Al2O3 は、脱酸過程で溶鋼へ微量分解し、
Al−Mn系酸化物の分散に不可欠な溶鋼中Al濃度を制御で
きる。したがってスラグ中Al2O3 濃度は、重量割合にし
て3%以上40%以下が好ましい。その理由は、3%未満
では溶鋼中Al濃度は0.0001%未満となり、40%を超える
と溶鋼中Al濃度は0.003 %を超えてしまうからである。
さらに望ましくは、Al2O3 濃度は5%以上25%以下が良
い。それは、溶鋼中Al濃度が0.0002%以上0.001 %以下
に制御できるため、Al−Mn系酸化物が鋼中により安定し
て生成できるからである。
【0034】スラグ中CaO 濃度およびSiO2濃度は、塩基
度(%CaO)/(%SiO2) で0.8 以上4.0以下が好ましい。塩
基度はSi−Mn脱酸鋼においては脱酸力を示す一つの指標
となる。したがってその限定理由は、0.8 未満では脱酸
力が弱く、溶鋼中酸素濃度は0.01%以上になるととも
に、介在物は FeO−MnO −SiO2系となり、また4.0 を超
えると脱酸力が強くなり酸素濃度が0.002 %未満とな
り、介在物組成はSiO2−Al2O3 系となり不適である。望
ましくはは塩基度1.2 以上2.5 以下であれば、Si−Mn脱
酸初期の介在物はSiO2−MnO 系となり、かつ微細分散す
ることができる。
【0035】次にスラグ中MgO 濃度は、重量割合で、20
%以下であることが好ましい。その理由は20%を超える
と本系スラグでは液相面温度が急速に増加して、通常の
製鋼温度では滓化性の悪化を招くからである。より望ま
しくは、スラグ中MgO 濃度は5%以上15%以下がよい。
この理由は、5%以上でMgO 系の耐火物の溶損が防止で
き、Al−Mn系酸化物の生成を阻害する外乱要因を排除で
きるとともに、15%以下でより安定に滓化できるので、
本系スラグによる溶鋼中Al濃度の制御および酸素濃度制
御をより効果的に行うことができるためである。
【0036】また、滓化促進のために必要に応じて上記
組成のスラグにさらにCaF2を添加しても良い。耐火物の
溶損を考慮すれば、上記スラグに対して重量割合にして
5〜10%程度の添加すればよい。
【0037】ところでこのスラグは、前工程で脱炭等の
酸化精錬が行われる場合、酸素ポテンシャルが高くな
り、上記の脱酸反応の制御に悪影響を及ぼす。また本発
明では、鋼塊中に分散させる酸化物の組成および個数を
制御する必要があることから、脱酸過程からのスラグの
酸素ポテンシャルの制御は重要である。
【0038】スラグの酸素ポテンシャルは、正確には温
度とスラグ組成の関数であるので、直接測定をするか、
あるいは前述の関数として記述する必要がある。しか
し、この酸素ポテンシャルを実操業で直接測定したり、
組成を正確に知り得るのは困難であるので、簡便で有効
なインデックスを持つことが重要である。
【0039】そこで本発明では、α(%FeO)+β(%MnO)な
る酸素ポテンシャルインデックス (以下 OPIと略す) を
新たに用いた。ここで、(%FeO)はスラグ中FeO の百重量
分率、 (%MnO) はスラグ中MnO の百重量分率で、いずれ
もスラグに不可避的に含有される成分である。またα、
βは、スラグの組成によって決まる定数である。本発明
のスラグ組成ではα=2、β=1を与えればよく、本発
明の範囲は以下の式のようになる。
【0040】0.8≦α(%FeO)+β(%MnO)≦5 このようにOPI を規制する理由は、OPI が5を超えると
溶鋼中全酸素濃度が0.01%を超えるとともに、溶鋼中Si
およびMn量の制御が困難となり、また介在物組成も MnO
−SiO2−FeO 系となるからである。また0.8 未満では、
溶鋼中全酸素濃度が0.002 %未満となる可能性が高く、
一方溶鋼中Al濃度が0.003 %を超えることにより、介在
物組成がAl2O3 系となるからである。
【0041】より望ましくは、Al(%FeO)+β(%MnO)は、
1.6 以上4以下である。この理由は、OPI が4以下で溶
鋼中Al濃度は0.0002以上となり、1.6 以上で溶鋼中Al濃
度が10ppm 以下となるので、よりAl−Mn系酸化物が生成
し易いからである。
【0042】スラグ組成制御方法は、通常の造滓剤を添
加する等、特に限定されない。またスラグを還元し、酸
素ポテンシャルを制御するためのスラグ改質剤について
も通常の改質剤であれば特に限定されない。具体的に
は、キャリーオーバーの転炉スラグを必要に応じてAl
灰、Alドロス、Al−CaCO3 、Al−Al2O3 −CaO 等の改質
剤で改質するとともに、生石灰、ドロマイト、珪砂、螢
石等の造滓剤を適量投入、滓化させて所期のスラグ組成
にする方法が良い。
【0043】このようなスラグ組成制御は、特にプロセ
ス上の制限はないが、Si−Mn脱酸時期と同時期であるこ
とが適当である。その理由は、このようなスラグ組成制
御と脱酸は原理的に不可分な反応であり、同時期にこれ
を実施することによって短時間でそれぞれ最適化するた
めである。なお、スラグ改質については、改質つまり酸
素ポテンシャルを低下させる反応にスラグの充分な攪拌
と反応時間を要することから、脱酸に先行して行われて
も良い。
【0044】このようにして、SiおよびMn濃度を制御し
て脱酸を行うとともに、Alを含有しかつ酸素ポテンシャ
ルを制御可能なスラグを造滓し、溶鋼中全酸素濃度を0.
002%以上0.01%以下に、溶鋼中Al濃度を0.0001%以上
0.003 %以下に制御することによって鋼中にAl−Mn系酸
化物を分散することが可能になる。
【0045】ここで、鋼中酸素濃度が制限される理由
は、0.002 %未満では分散酸化物を充分に分散できず、
0.01%を超えると鋼の清浄度が不十分であるためであ
る。
【0046】また、Al濃度が制限される理由は、0.0001
%未満では、Al−Mn系酸化物を形成するのに充分な量が
存在しているとはいえず、0.003 %を超えるとAl2O3
酸化物の生成が急激に生じるからである。
【0047】かくして、SiおよびMn濃度を制御して脱酸
を行うとともに、Alを含有しかつ酸素ポテンシャルを制
御可能なスラグを造滓することにより、溶鋼中全酸素濃
度および微量Al濃度を所期の濃度に制御すれば、脱酸初
期に形成されたSiO2−MnO 系酸化物を核として、冷却・
凝固過程でAl−Mn系酸化物を鋼中に微細に分散させるこ
とができる。
【0048】次に溶鋼中Ti量を限定する理由について述
べる。
【0049】脱酸およびスラグ組成制御により、全酸素
濃度を[%O]=0.002 %以上0.010 %以下に、溶鋼中Al濃
度を [%Al]=0.0001%以上0.0030%以下に調整すること
により、Al−Mn系酸化物を鋼中に分散させることができ
るが、この際にTiを重量割合にして0.05%以下になるよ
うに添加することにより安定してAl−Mn酸化物を分散さ
せることができる。その理由は、Tiを添加することによ
り耐火物あるいは雰囲気からの影響でAl−Mn系酸化物が
吸収、消滅したり、他の介在物組成に変化することを抑
制できる効果があるからである。これによりAl−Mn系酸
化物は、微小な介在物としてより分散しやすくなり、Al
−Mn系酸化物の微細分散により効果的となる。Tiが分散
酸化物を微細化に寄与するために、望ましくは0.005 %
以上添加し、また脱酸に影響を及ぼさないためには、0.
02%以下であることが良い。また、Tiを0.05%を超えて
添加するとTiによる脱酸が優勢となり、Al−Mn系酸化物
の生成、分散を阻害してしまう。
【0050】ところでTiを添加することにより、Al−Mn
系介在物の一部は不可避的にTi酸化物およびTi−Mn系酸
化物と複合することもあるが、本発明では鋼中にAl−Mn
系酸化物を含有する酸化物を分散させることが主たる目
的であり問題ない。
【0051】また、本発明によればSi−Mn脱酸とスラグ
組成制御を行うことによって、本鋼種のような弱脱酸鋼
であっても、スラグによりイオウを除去することができ
る。そこでこの溶鋼中イオウを重量割合にして0.002 %
以下にすると、Al−Mn系酸化物はより安定に存在するこ
とができる。その理由は、Mnを多量に含有してもイオウ
を20ppm 以下に抑制した鋼種ではMnS 系介在物およびオ
キシサルファイド系介在物が生成し難く、Al−Mn系酸化
物がより安定に存在するためである。さらに、このMnS
は鋼質的には応力腐食割れを起こしたりすることがよく
知られており、付随的に鋼質改善も期待できる。
【0052】次に、実プロセス内でのAl−Mn酸化物分散
鋼の溶製法について述べる。転炉もしくは電気炉にて炭
素濃度を0.01%以上0.25%以下に調整する。この理由
は、本発明で対象としている鋼種が厚板材として利用さ
れているために、炭素濃度に上限があり、0.25%以下で
ある必要があるからである。一方、炭素を0.01%以上に
制限することにより、溶鋼およびスラグが過酸化状態に
ならず、後工程であるSiおよびMnによる脱酸工程および
スラグ組成制御工程が容易に行えるからである。
【0053】次に、SiおよびMnが出鋼中もしくは取鍋内
にて添加して脱酸する。このときの組成範囲の理由につ
いては前述したが、ここで実プロセスでは、転炉もしく
は電気炉からの出鋼時に不可避的に持ち来されるスラグ
に造滓剤を添加し、組成制御を行う必要がある。そこ
で、転炉もしくは電気炉からのスラグ流出を極力抑制す
るとともに、スラグ改質によりスラグの酸素ポテンシャ
ルを予備的に下げることも効果的である。
【0054】スラグ組成は種々の造滓剤の添加後、充分
な攪拌によって制御されることが好ましい。ところで実
プロセスでは、溶鋼量が多く脱酸による酸素濃度の調整
に時間を要する。そこで例えば、RH脱ガス装置による還
流によって脱酸生成物の浮上を促進したり、LF加熱装置
により加熱しながら脱酸生成物の浮上時間を充分に与え
たり、もしくはVOD 炉によりガス攪拌で大型脱酸生成物
の浮上を促進し酸素濃度を制御することが有効となる。
また、LF加熱装置、VOD 炉では、スラグを攪拌できるこ
とから、スラグ組成制御促進およびスラグ−メタル反応
促進をも図ることができる。これら二次精錬設備は、ス
ラグ組成制御や脱酸を促進し全酸素濃度およびAl濃度を
制御することに有効であるばかりでなく、脱ガスや熱付
与の効果もあり、トータルとしてのプロセスの最適化に
役立つ。
【0055】
【実施例】次に、本発明の作用効果を実施例によってさ
らに具体的に説明する。 (実施例1)本発明の効果を確認するために150 kg高周波
加熱炉を用いて本発明の実施例および比較例を示す試験
を行った。
【0056】炭素濃度:0.05〜0.08%、初期酸素濃度:
0.04〜0.07%の溶鋼を1550℃から1650℃でMgO スタンプ
耐火物容器中で溶解した。このようにして得られた溶鋼
を用いて種々のSi、Mn量を添加して、SiおよびMn濃度を
調整し脱酸を行った。
【0057】この際に、基本的に CaO、SiO2、Al2O3
よびMgO からなる造滓剤を全量で5〜40kg/T添加して5
分ないし30分保持、攪拌してスラグとした後、MgO 質ト
ラフを通じてスラグを巻き込まないように出鋼した。
【0058】スラグを用いた実験において溶鋼上に形成
されたスラグ組成は、いずれも(%CaO)=40〜45%、(%Si
O2) =23〜31%、(%CaO)/(%SiO2) =1.3 〜2.1 %、(%
Al2O3)=12〜17%、(%MgO)=7〜12%、α(%FeO)+β(%
MnO)=1.1 〜2.7 % (但しα=2、β=1) 、および不
可避的不純物からなっていた。
【0059】鋼塊中の分散酸化物の個数と組成を光学顕
微鏡とエネルギー分散型X線マイクロアナライザーで調
べた。なお、この溶鋼には、その上記成分以外にCu:0.
2 〜0.5 %、Ni:0.2 〜0.8 %、Nb:0.02〜0.8 %、
V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.0016%が含ま
れている。また、イオウ濃度は0.0002〜0.004 %、Ti濃
度は0.02%であった。本実施例および比較例の処理条件
および介在物の形態観察結果の一覧を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】表1には、本実施例の処理条件と介在物形
態の調査結果を示した。介在物の形態は直径0.2 μm以
上20μm以下のAl−Mn酸化物主体の介在物で、鋼塊内で
10個/mm2以上1000個/mm2未満あるものを◎、4個/mm2
上10個/mm2未満あるものを○とした。
【0062】表1の溶製No. 1から8に示したように、
いずれの溶製例でも、[%Si] および[%Mn] 量を調整し、
かつスラグ組成制御を実施することにより、酸素濃度お
よびAl濃度を制御することができ、その結果Al−Mn系酸
化物が鋼塊中へ分散されることが分かる。
【0063】一方、比較用の溶製No. 9に示すように、
[%Si] および[%Mn] 量を調整して、全酸素濃度を調整し
ても、Alを含有するスラグが溶鋼表面になければ、溶鋼
中Al濃度はトレースとなり、結果としてAl−Mn系酸化物
が鋼塊中へ分散されないことが分かる。
【0064】さらに、比較用の溶製No.10 および13に示
したように、SiとMnを所期濃度に制御し、所期組成のス
ラグを添加しても、溶鋼中酸素濃度とAl濃度の制御が不
十分な場合、Al−Mn系酸化物を必要量分散させることが
できなかった。また、比較用の溶製No.14 から17に示し
たように、[%Si] および[%Mn] 量を所期濃度に調整しな
ければ、Alを含有するスラグが存在しても酸素濃度およ
びAl濃度の制御が困難であり、結果としてAl−Mn系酸化
物が鋼塊中へ分散されないことが分かる。
【0065】(実施例2)さらに本発明の効果を確認する
ために上記150 kg高周波加熱炉を用いて本発明の実施例
および比較例を示す試験を行った。炭素濃度:0.05〜0.
08%、初期酸素濃度:0.04〜0.07%の溶鋼を1550℃から
1650℃でMgO スタンプ耐火物中で溶解した。このように
して得た溶鋼を用いて所定Si、Mn量を添加して、Si濃度
を0.07〜0.18%、Mn濃度を0.90〜0.18%に調整して脱酸
を行った。
【0066】この際に、基本的に CaO、SiO2、Al2O3
よびMgO からなる種々の造滓剤を全量で5〜40kg/T添加
して5分ないし30分保持、攪拌してスラグとした後、Mg
O 質トラフを通じてスラグを巻き込まないように出鋼し
た。また、出鋼直前にこのスラグ試料を採取して組成を
調べた。
【0067】このときの鋼塊中の分散酸化物の個数と組
成を光学顕微鏡とエネルギー分散型X線マイクロアナラ
イザーで調べた。なお、この溶鋼には、その上記成分以
外にCu:0.2 〜0.5 %、Ni:0.2 〜0.8 %、Nb:0.02〜
0.8 %、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.0016
%が含まれている。また、イオウ濃度は0.0002〜0.004
%、Ti濃度は0.02%以下であった。
【0068】本例の結果を以下に示す。溶鋼中Al濃度に
及ぼすスラグ中Al2O3 濃度の影響を図1に示す。また、
Al−Mn系酸化物分散個数に及ぼすスラグ中Al2O3 濃度の
影響を図2に示す。
【0069】このときのその他スラグ組成は、塩基度(%
CaO)/(%SiO2) =1.3 〜2.4 、スラグ中MgO 濃度(%MgO)
=6〜11%、OPI:α(%FeO) +β(%MnO)=1.2 〜3.1(但
し、α=2、β=1) および不可避的不純物であった。
【0070】図1に示すように、スラグ中Al2O3 濃度3
%以上40%以下では、溶鋼中Al濃度はほぼ0.0001%以上
0.003 %以下になることが分かる。特にスラグ中Al2O3
濃度5%以上25%以下では、溶鋼中Al濃度は0.0002%以
上0.0010%以下となり、Al−Mn系酸化物の分散に必要な
溶鋼条件を満たすことがでる。また図2に示すように、
スラグ中Al2O3 濃度3%以上40%以下で、Al−Mn系酸化
物分散個数が4個/mm2以上であることがわかる。さらに
介在物組成は、スラグ中Al2O3 濃度3%未満ではSiO2
が主体となり、40%を超えるとAl2O3 系が主体となるこ
とがわかる。また、Al−Mn系酸化物を10個/mm2 以上に
安定して生成するには、スラグ中Al2O3濃度5%以上25
%以下が良いことが分かる。
【0071】次に、Al−Mn系酸化物分散個数に及ぼすス
ラグ塩基度(%CaO)/(%SiO2) の影響を図3に示す。この
ときのその他スラグ組成は、スラグ中Al2O3 濃度(%Al2O
3)=8〜24%、スラグ中MgO 濃度(%MgO)=7〜13%、OP
I:α(%FeO)+β(%MnO)=0.9〜3.9 % (但しα=2、β
=1) 、および不可避的不純物であった。
【0072】図3に示すように、塩基度0.8 以上4以下
でAl−Mn系酸化物分散個数は4個/mm2 程度であり、特
に塩基度1.2 以上2.5 以下では分散個数が10個/mm2
上であることがわかる。
【0073】図4にAl−Mn系酸化物分散個数に及ぼすス
ラグ中MgO 濃度の影響を示す。なおこのときのその他ス
ラグ組成は、スラグ中Al2O3 濃度(%Al2O3)=8〜24%、
塩基度(%CaO)/(%SiO2) =1.3 〜2.4 、OPI:α(%FeO)+
β(%MnO)=1.2 〜3.1 % (但しα=2、β=1) および
不可避的不純物であった。
【0074】図4に示すように、Al−Mn系酸化物分散個
数とスラグ中MgO 濃度の間には相関関係があり、MgO 濃
度が20%を越えると分散個数が急減する。これはスラグ
の滓化性が悪化したためであった。また、スラグ中MgO
濃度が5%以上15%以下の組成領域では、安定してAl−
Mn系酸化物が10個/mm2 以上分散することがわかった。
【0075】酸化物分散個数に及ぼすOPI:α(%FeO)+β
(%MnO) (但しα=2、β=1) の影響を図5に示す。こ
のときのその他のスラグ組成は、スラグ中Al2O3 濃度(%
Al2O3)=8〜24%、塩基度(%CaO)/(%SiO2) =1.3 〜2.
4 、スラグ中MgO 濃度(%MgO)=7〜13%である。図5に
示すように、OPI が0.8 以上5以下の領域でAl−Mn系酸
化物が分散することが分かる。このOPI が0.8 未満では
Al2O3 系酸化物の分散個数が、5を越える場合では MnO
−SiO2−FeO 系酸化物の分散個数が増加することがわか
る。また、OPI が1.6 以上4以下の領域では、Al−Mn系
酸化物が安定して10個/mm2 以上分散できることがわか
る。
【0076】(実施例3)次に上記150 kg高周波加熱炉を
用いて本発明の実施例および比較例を示す試験を行っ
た。炭素濃度:0.05〜0.08%、初期酸素濃度:0.04〜0.
07%の溶鋼を1550℃から1650℃でMgO スタンプ耐火物容
器中で溶解した。このようにして得られた溶鋼を用いて
所定のSi、Mn量を添加して、Si濃度を0.07〜0.18%、Mn
濃度を0.90〜0.18%に調整して脱酸を行った。
【0077】この際に、基本的に CaO、SiO2、Al2O3
よびMgO からなる造滓剤を全量で5〜40kg/T添加して5
分ないし30分保持、攪拌してスラグとした後、Tiを所定
量添加してMgO 質トラフを通じてスラグを巻き込まない
ように出鋼した。また、出鋼直前にこのスラグ試料を採
取して組成を調べた。スラグ組成は、いずれも(%CaO)=
40〜45%、(%SiO2) =23〜31%、(%CaO)/(%SiO2) =1.
3 〜2.1 %、(%Al2O3)=12〜17%、(%MgO)=7〜12%、
α(%FeO)+β(%MnO)=1.1 〜2.7 % (但しα=2、β=
1) 、および不可避的不純物からなっていた。
【0078】このときの鋼塊中の分散酸化物の個数と組
成を光学顕微鏡とエネルギー分散型X線マイクロアナラ
イザーで調べた。
【0079】なお、この溶鋼には、その上記成分以外に
Cu:0.2 〜0.5 %、Ni:0.2 〜0.8%、Nb:0.02〜0.8
%、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.0016%が
含まれている。
【0080】酸化物分散個数に及ぼす溶鋼中Ti濃度の影
響を図6に示す。
【0081】図に示すようにTi濃度が0.05%以下では分
散するAl−Mn系酸化物個数が増加することがわかる。特
にTi濃度が0.005 %以上0.02%の範囲では、分散酸化物
個数は10個/mm2 以上であり、安定してAl−Mn系酸化物
を鋼中に分散できることがわかる。一方、Ti濃度が0.05
%を越えると、Ti脱酸の影響が強くなり、Al−Mn系酸化
物の分散個数が急激に減少し、本発明の効果が得られな
いことがわかった。
【0082】(実施例4)次に上記150 kg高周波加熱炉を
用いて本発明の実施例および比較例を示す試験を行っ
た。
【0083】炭素濃度:0.05〜0.08%、初期酸素濃度:
0.04〜0.07%、初期イオウ濃度:0.006 〜0.010 %の溶
鋼を1550℃から1650℃でMgO スタンプ耐火物容器中で溶
解した。このようにしれ得られた溶鋼を用いて所定のS
i、Mn量を添加して、Si濃度を0.07〜0.18%、Mn濃度を
0.90〜0.18%に調整して脱酸を行った。
【0084】この際に、基本的に CaO、SiO2、Al2O3
よびMgO からなる造滓剤を全量で約10〜30kg/T添加して
5分ないし30分保持、攪拌してスラグとした後、MgO 質
トラフを通じてスラグを巻き込まないように出鋼した。
また、比較例としてフラックス添加してスラグを形成し
た後に、さらに所定量のS濃度になるようにFe−Sを溶
鋼中に添加してS濃度を高めた実験も行った。出鋼直前
にこのスラグ試料を採取して組成を調べた。
【0085】スラグ組成は、いずれも(%CaO)=40〜45
%、(%SiO2) =23〜31%、(%CaO)/(%SiO2) =1.7 〜2.
1 %、(%Al2O3)=12〜17%、(%MgO)=7〜12%、α(%Fe
O)+β(%MnO)=1.1 〜2.7 % (但しα=2、β=1) 、
および不可避的不純物からなっていた。
【0086】このときの鋼塊中の分散酸化物の個数と組
成を光学顕微鏡とエネルギー分散型X線マイクロアナラ
イザーで調べた。
【0087】なお、この溶鋼には、その上記成分以外に
Cu:0.2 〜0.5 %、Ni:0.2 〜0.8%、Nb:0.02〜0.8
%、V:0.03〜0.09%、Ti≦0.02%およびB:0.0001〜
0.0016%が含まれている。
【0088】このとき分散酸化物中平均イオウ濃度と溶
鋼中S濃度の関係を図7に示す。
【0089】図に示すように実施例 (●) でもスラグに
よる脱硫効果でS濃度が0.002 %以下になっており、こ
のときの分散酸化物中にはほとんどSが含まれていない
ことから、分散して介在物はAl−Mn系酸化物で形成され
ていると考えられる。一方、比較例 (○) としてさらに
イオウを添加した実験では、分散酸化物中イオウ濃度は
増加しており、このイオウはMnS もしくはMnを含有する
オキシサルファイドで分散酸化物中に含まれることか
ら、Al−Mn系酸化物の形成を阻害している。
【0090】(実施例5)次に 250t転炉、LF加熱装置お
よびRH脱ガス真空装置を用いて本発明を実施した。予備
処理により重合割合にしてP<0.03%以下にした溶銑を
用いて、転炉で脱炭を行い、炭素濃度を0.01%以上0.25
%以下にして出鋼した。出鋼時に、脱酸としてSiおよび
Mnを合金鉄の形で添加した所定の濃度に調整した。また
出鋼時に転炉スラグ流出を抑制するとともに、この時に
流出したスラグは、スラグ改質剤および造滓剤を添加し
て組成制御した。ここで、造滓剤には、生石灰約1300〜
1500kg、珪砂約800 〜1000kg、アルミナ粉約400 kg、天
然マグネシア約250 〜420 kg、蛍石約300 kg、およびス
ラグ改質剤にはアルミ灰100 kgを用いた。
【0091】さらにLF加熱装置により15ないし30分間ス
ラグ処理と加熱処理を行った後、RH脱ガス装置により脱
ガス処理、および全酸素濃度の調整を行った。RH によ
り脱ガス処理は、真空度1〜5torr程度を維持しながら
20分ないし40分環流によった。またTiを添加する場合に
は、その真空槽内にて合金鉄として添加を行った。
【0092】精錬終了後、連続鋳造によりスラブ形状に
鋳造した。この鋳片試料中に分散した酸化物について個
数と組成を前述の実施例と同様の手法で調査した。な
お、このときの溶鋼組成は、上記成分以外にCu:0.2 〜
0.4 %、Ni:0.2 〜0.7 %、Nb:0.02〜0.5 %、V:0.
03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.0016%であった。ま
た、LF処理後のスラグ組成は、本発明の実施例では(%Ca
O)=40〜45%、(%SiO2) =23〜31%、(%CaO)/(%SiO2)
=1.7 〜2.1 %、(%Al2O3)=12〜17%、(%MgO)=7〜12
%、α(%FeO)+β(%MnO)=1.1 〜2.7 % (但しα=2、
β=1) 、および不可避的不純物からなっていた。この
ときの実施例および比較例の条件および介在物の形態観
察結果の一覧を表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】表2に示した結果のうち、溶製No. 1から
3に示したように、脱酸により[%Si] および[%Mn] 量を
制御するとともにスラブ組成を制御することによって、
全酸素濃度を0.002 %以上0.01%以下に、溶鋼中Al濃度
は0.0001%以上0.003 %以下になり、Al−Mn系酸化物が
鋼塊中へ分散された。
【0095】また、溶製No. 4および5に示したよう
に、脱酸およびスラグ組成制御の後、Tiを添加して0.05
%以下にした場合も、Al−Mn系酸化物が鋼塊中に分散さ
れた。さらに、注に示したように全ての実施例において
溶鋼中S濃度は0.002 %未満となり、脱硫も同時に行わ
れ、Al−Mn系酸化物が安定的に生成できた。
【0096】一方、比較用の溶製No. 6から9に示した
ように、脱酸時に[%Si] および[%Mn] 量を所期量にしな
かった場合、スラグ組成制御を行っても、Al−Mn系酸化
物は鋼塊中へ充分に分散されなかった。
【0097】また比較用の溶製No.10 に示したように脱
酸により[%Si] および[%Mn] 量を所期量に制御するとと
もにスラグ組成を制御しても、Ti量が0.05%を越えるAl
−Mn系酸化物が鋼中に必要量分散しなかった。
【0098】また、比較用の溶製No.11 から16に示した
ように、SiおよびMnによる脱酸で[%Si] および[%Mn] 量
を所期量に制御しても、スラグ組成が必要範囲外であっ
た場合には、溶鋼中酸素濃度が0.002 %未満もしくは0.
01%を越えたり、溶鋼中Al濃度は0.0001%未満もしくは
0.0030%を越えてしまい、結果としてAl−Mn系酸化物が
鋼中に必要量分散しなかった。
【0099】(実施例6)次に30t電気炉およびVOD 装置
を用いて本発明を実施した。電気炉により炭素濃度を0.
01%以上0.25%以下に調整して出鋼した。出鋼時に、脱
酸してSiおよびMnを合金鉄の形で添加して所定の濃度に
調整した。また出鋼時に電炉スラグ流出を抑制するとと
もに、造滓剤およびスラグ改質剤を添加してスラグ組成
制御を行った。ここで、造滓剤には、生石灰約650 〜75
0 kg、珪砂約400 〜500 kg、アルミナ粉約200 kg、天然
マグネシア約100 〜200 kg、蛍石約150 kg、およびスラ
グ改質剤にはアルミ灰50kgを用いた。その後、VOD 装置
により減圧下でArガス攪拌を行いながらスラグの滓化を
促進するとともに、溶鋼中全酸素濃度および溶鋼中Al濃
度を調整した。この場合には、真空度1〜50torr程度を
維持しながら10分ないし40分の処理を行った。
【0100】連続鋳造によりスラブ形状に鋳造後、鋳片
試料中に分散した酸化物について個数と組成を光学顕微
鏡とエネルギー分散型X線マイクロアナライザーで調べ
た。
【0101】なお、このときの溶鋼組成は、上記成分以
外は、Cu:0.2 〜0.4 %、Ni:0.2〜0.7 %、Nb:0.02
〜0.5 %、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.00
16%であった。また、VOD 処理後のスラグ組成は、本発
明の実施例では(%CaO)=40〜45%、(%SiO2) =23〜31
%、(%CaO)/(%SiO2) =1.7 〜2.1 %、(%Al2O3)=12〜
17%、(%MgO)=7〜12%、α(%FeO)+β(%MnO)=1.1 〜
2.7 % (但しα=2、β=1) 、および不可避的不純物
からなっていた。このときの実施例および比較例の条件
および介在物の形態観察結果の一覧を表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】表3に示した結果のうち、溶製No.1から3
に示したように、脱酸により[%Si]および[%Mn] 量を制
御するとともにスラグ組成を制御することによって、全
酸素濃度を0.002 %以上0.01%以下に、溶鋼中Al濃度は
0.0001%以上0.003 %以下になり、Al−Mn系酸化物が鋼
塊中へ分散された。
【0104】また、溶製No.4に示したように、脱酸およ
びスラグそ組成制御の後、Tiを添加して0.05%以下にし
た場合も、Al−Mn系酸化物が鋼塊中へ分散された。さら
に、注に示したように全ての実施例において溶鋼中S濃
度は0.002 %未満となり、脱硫も同時に行うことによっ
て、Al−Mn系酸化物が安定的に生成できた。
【0105】一方、比較用の溶製No.5および6に示した
ように、脱酸時に[%Si] および[%Mn] 量を所期量にしな
かった場合、スラグ組成制御を行っても、Al−Mn系酸化
物は鋼塊中へ充分に分散されなかった。
【0106】また比較用の溶製No. 7に示したように、
脱酸により[%Si] および[%Mn] 量を所期量に制御すると
ともにスラグ組成を制御しても、Ti量が0.05%を越える
Al−Mn系酸化物が鋼中に必要量分散しなかった。
【0107】また、比較用の溶製No.8から12に示したよ
うに、SiおよびMnによる脱酸で[%Si] および[%Mn] 量を
所期量に制御しても、スラグ組成が必要範囲外であった
場合には、溶鋼中酸素濃度が0.002 %未満もしくは0.01
%を越えたり、溶鋼中Al濃度は0.0001%未満もしくは0.
0030%を越えてしまい、結果としてAl−Mn系酸化物が鋼
中に必要量分散しなかった。
【0108】
【発明の効果】以上、本発明は、高い溶接熱影響部靱性
が要求される厚板用鋼としてAl−Mn酸化物相を有する酸
化物が鋼中に微細に分散された酸化物分散鋼を溶製する
際において、該鋼種においてAl−Mn酸化物相を含む酸化
物が鋼中に微細に分散した高い溶接熱影響部靱性を有す
る酸化物分散鋼を安定して溶製する方法を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶鋼中Al濃度にスラグ中Al2O3 濃度が及ぼす影
響を示すグラフである。
【図2】鋼塊中分散する種々の酸化物の単位面積当たり
の個数にスラグ中Al2O3 濃度が及ぼす影響を示すグラフ
である。
【図3】鋼塊中分散するAl−Mn系酸化物の単位面積当た
りの個数にスラグ塩基度(%CaO)/(%SiO2) が及ぼす影響
を示すグラフである。
【図4】鋼塊中分散するAl−Mn系酸化物の単位面積当た
りの個数にスラグ中MgO 濃度が及ぼす影響を示すグラフ
である。
【図5】鋼塊中分散する種々の酸化物の単位面積当たり
の個数にスラグの酸素ポテンシャルインデックス(OPI)
が及ぼす影響を示すグラフである。
【図6】鋼塊中分散するAl−Mn系酸化物の単位面積当た
りの個数に溶鋼中Ti濃度が及ぼす影響を示すグラフであ
る。
【図7】鋼塊中分散するAl−Mn系酸化物中S濃度に溶鋼
中S濃度が及ぼす影響を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不
    可避的に共存する酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製
    するに際して、 炭素含有量を調整後、SiおよびMnで脱酸するとともに、
    Alを含有しかつ酸素ポテンシャルを制御可能なスラグを
    造滓することにより、鋼中全酸素濃度を重量割合にて0.
    002 %以上0.010 %以下に、溶鋼中Al濃度を重合割合に
    て0.0001%以上0.0030%以下に制御することを特徴とす
    るAl−Mn系酸化物分散鋼の溶製方法。
  2. 【請求項2】 分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不
    可避的に共存する酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製
    するに際して、 炭素含有量を調整後、SiおよびMnで脱酸するとともに、
    Alを含有しかつ酸素ポテンシャルを制御可能なスラグを
    造滓することにより、鋼中全酸素濃度を重量割合にて0.
    002 %以上0.010 %以下に、溶鋼中Al濃度を重量割合に
    て0.0001%以上0.0030%以下に制御するとともに、Tiを
    重量割合にて0.05%以下含有することを特徴とするAl−
    Mn系酸化物分散鋼の溶製方法。
  3. 【請求項3】 分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不
    可避的に共存する酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製
    するに際して、 炭素含有量を調整後、SiおよびMnで脱酸するとともに、
    Alを含有しかつ酸素ポテンシャルを制御可能なスラグを
    造滓することにより、鋼中全酸素濃度を重量割合にて0.
    002 %以上0.010 %以下に、溶鋼中Al濃度を重量割合に
    て0.0001%以上0.0030%以下に、S濃度を重量割合にて
    0.002 %以下に制御することを特徴とするAl−Mn系酸化
    物分散鋼の溶製方法。
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JPH1112640A (ja) * 1997-06-24 1999-01-19 Sumitomo Metal Ind Ltd 酸化物分散鋼の製造方法
CN104946854A (zh) * 2015-06-04 2015-09-30 什邡市三裕锻件有限公司 一种钢的冶炼方法
CN110982986A (zh) * 2019-12-27 2020-04-10 芜湖新兴铸管有限责任公司 碳脱氧工艺生产优特钢的方法

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