JP2003064021A - 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の製造方法 - Google Patents
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の製造方法Info
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- JP2003064021A JP2003064021A JP2001252583A JP2001252583A JP2003064021A JP 2003064021 A JP2003064021 A JP 2003064021A JP 2001252583 A JP2001252583 A JP 2001252583A JP 2001252583 A JP2001252583 A JP 2001252583A JP 2003064021 A JP2003064021 A JP 2003064021A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボ
ン酸を効率的かつ経済的に製造する方法を提供する。 【解決手段】オルソキシレンをシクロヘキセンと反応さ
せて3,4−ジメチルシクロヘキシルベンゼンを得、次
いでこれを脱水素反応させ3,4−ジメチルビフェニル
を得、次いでこれをメタクリル酸、無水メタクリル酸ま
たはメタクリル酸クロルと反応させ5−(3,4−ジメ
チルフェニル)−2−メチルインダノンを得、これを酸
化する。
ン酸を効率的かつ経済的に製造する方法を提供する。 【解決手段】オルソキシレンをシクロヘキセンと反応さ
せて3,4−ジメチルシクロヘキシルベンゼンを得、次
いでこれを脱水素反応させ3,4−ジメチルビフェニル
を得、次いでこれをメタクリル酸、無水メタクリル酸ま
たはメタクリル酸クロルと反応させ5−(3,4−ジメ
チルフェニル)−2−メチルインダノンを得、これを酸
化する。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸(以下BPTAと略
する)及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸無水物(以下BPDAと略する)の製造方法に関
する。BPDAは高耐熱性を有するポリイミド原料とし
て用いられている。 【0002】 【従来の技術】従来、BPDAの製造方法は種々の提案
がなされている。例えば、特公昭60−33379号公
報には、有機パラジウム塩とフェナントロリン等の存在
下で、オルトフタル酸ジアルキルエステルの脱水素二量
化反応を行うことによってビフェニルテトラカルボン酸
テトラエステル(3,3’,4,4’−異性体及び2,
3,3’,4’−異性体の混合物)が得られることが記
載されている。特開昭50−116457号公報には、
ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルを加水分解
しビフェニルテトラカルボン酸を得る方法が、また特開
昭64−50876号公報には、ビフェニルテトラカル
ボン酸を脱水反応させてビフェニルテトラカルボン酸二
無水物を得る方法が記載されている。また、特開平1−
250328号公報には、4−クロロフタル酸ナトリウ
ム塩を水酸化ナトリウムと共に溶解させている水溶液中
に金属パラジウムを担持させた触媒及びメタノール等の
還元剤を存在させ、その溶液を加熱させる二量化反応に
よって3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン
酸ナトリウム塩(S−BTC塩)が得られることが記載
されている。S−BTC塩を加水分解することでBPT
Aが得られ、BPTAを脱水反応させることでBPDA
が得られる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】オルトフタル酸ジアル
キルエステルの脱水素二量化プロセス(特公昭60−3
3379号)では、高価なパラジウムを用いる上に、パ
ラジウムのターンオーバー(パラジウム1原子当りの反
応分子数)は100程度にとどまっており触媒費が大き
く、反応時間も非常に長いことから生産性に優れている
とは言えない。また、4−クロロフタル酸を原料に用い
る方法(特開平1−250328号)においては、原料
となる4−クロロフタル酸製造における選択性が低く、
脱クロル化してフタル酸をリサイクルする必要があるた
め生産性の良いプロセスとは言えない。また、二量化に
おいても高価なパラジウム触媒を用いており触媒費が大
きい。本発明の目的は、3,3’,4,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸を効率的かつ経済的に製造する方法
を提供することである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、高価なパ
ラジウム触媒を用いずに、安価な原料を用いた新規プロ
セスを見出すべく鋭意検討した結果、オルソキシレンを
シクロヘキセンと反応させて3,4−ジメチルシクロヘ
キシルベンゼンを得、次いでこれを脱水素反応させ3,
4−ジメチルビフェニルを得、次いでこれをメタクリル
酸、無水メタクリル酸またはメタクリル酸クロルと反応
させ5−(3,4−ジメチルフェニル)−2−メチルイ
ンダノンを得、これを酸化することにより、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を選択的に製造
できることを見出し、本発明を完成した。 【0005】即ち本発明は、以下の(1)〜(4)の工
程を含むことを特徴とする3,3’,4,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸の製造方法に関するものである。 (1)オルソキシレンをシクロヘキセンと反応させ、
3,4−ジメチルシクロヘキシルベンゼンを得る工程A (2)工程Aで得られた3,4−ジメチルシクロヘキシ
ルベンゼンを脱水素反応させ、3,4−ジメチルビフェ
ニルを得る工程B (3)工程Bで得られた3,4−ジメチルビフェニル
を、メタクリル酸、無水メタクリル酸および/またはメ
タクリル酸クロルと反応させ、5−(3,4−ジメチル
フェニル)−2−メチルインダノンを得る工程C (4)工程Cで得られた5−(3,4−ジメチルフェニ
ル)−2−メチルインダノンを酸化して、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を得る工程D 【0006】 【発明の実施の形態】<工程A>本発明では、まず、オ
ルソキシレンとシクロヘキセンを反応させて、3,4−
ジメチルシクロヘキシルベンゼンを得る(式1)。 【化1】【0007】オルソキシレンとシクロヘキセンの反応は
酸触媒存在下で行われる。リン酸、硫酸、弗化水素、弗
化水素−三弗化硼素触媒のような酸を用いて液相反応を
行うことができる。また、固体酸、例えばゼオライト、
シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、硫酸ジルコニウ
ム触媒などを用いることができ、液相、気相反応などに
より行うことができる。 【0008】反応を実施する形態は、完全混合方式や、
固定床流通方式などで行うことができるが、触媒の種類
に応じて反応の形態を選択するのが良い。例えば、リン
酸、硫酸、弗化水素などの液体触媒を用いる場合には完
全混合方式が好ましく、固体酸を用いる場合には固定床
流通方式にすることで触媒との分離が容易になり好まし
いが、特に実施する形態を限定するものではない。 【0009】反応を行うに際して、反応に不活性な溶媒
を用いることができる。反応に不活性な溶媒としては、
n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘ
キサン、デカヒドロナフタレンなどの脂肪族炭化水素や
脂環式炭化水素があげられる。また、原料であるオルソ
キシレンを自己溶媒として使用することもできる。 【0010】完全混合方式で反応を行う場合は、触媒と
原料をはじめに反応容器に仕込んでも良いし、始めに触
媒とオルソキシレンを張り込みそこにシクロヘキセンを
添加しても良い。また、オルソキシレンとシクロヘキセ
ンの混合液を供給する方法でも良い。 【0011】固定床方式で行う場合には、触媒の乾燥、
脱気などを行ってから、所定の温度で反応を開始するこ
とが好ましく、原料であるオルソキシレンとシクロヘキ
センに加えて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性
ガスによる希釈を行うこともできる。 【0012】酸触媒は、基質に対して100〜1重量倍
を使用することが好ましい。固体酸触媒は、完全混合方
式の場合には基質の0.01〜0.3重量倍使用すると
良く、流通方式の場合にはWHSVが0.01〜10h
r-1となるように使用することが好ましい。ここで、W
HSVは、単位触媒重量、単位時間当りの処理基質重量
を表わす(基質重量/触媒重量/時間(hr))。 【0013】オルソキシレンに対するシクロヘキセンの
モル比は、0.1〜5、好ましくは0.1〜1である。
反応温度はそれぞれの触媒に適した条件で行えば良い
が、−50〜300℃の範囲で行うのが好ましい。 【0014】オルソキシレンとシクロヘキセンの反応に
より得られた、3,4−ジメチルシクロヘキシルベンゼ
ンは触媒との分離後、そのまま次の反応を行っても良い
が、蒸留などにより精製した後に次の反応を行う方がよ
り好ましい。この時に、回収された原料はリサイクル使
用できる。 【0015】<工程B>次に、工程Aで得られた3,4
−ジメチルシクロヘキシルベンゼンの脱水素反応を行
い、3,4−ジメチルビフェニルを得る(式2)。 【化2】 【0016】3,4−ジメチルシクロヘキシルベンゼン
の脱水素反応には、Pt、Pd、Ru、Irなどの貴金属触媒が
用いられ、一般的な活性炭、アルミナ、シリカなどの担
体に担持された触媒を用いることができる。また、Cu−
Cr触媒などの貴金属以外の触媒でも一般的なシクロヘキ
サンの脱水素に用いられるようなものを任意に用いるこ
とができる。 【0017】反応は、液相で行っても良いし、気相で反
応することも出来、実施の形態としては、完全混合方
式、固定床流通方式などが使用できるが、固定床流通方
式は触媒との分離が不要なので好ましい。 【0018】完全混合方式の場合、触媒は基質に対して
0.01〜0.3重量倍使用することが好ましい。一
方、流通方式の場合には、WHSVが0.01〜10h
r-1となるように使用することが好ましい。 【0019】反応を行う際には、芳香族炭化水素、脂肪
族炭化水素などの溶媒を用いることもできる。また、気
相流通方式で行う場合には、窒素、アルゴン、ヘリウム
などの不活性ガスにより希釈することもできる。反応温
度はそれぞれの触媒に適した温度で行えば良いが、10
0〜400℃の範囲で行うのが好ましい。 【0020】3,4−ジメチルシクロヘキセンの脱水素
により得られた3,4−ジメチルビフェニルは、触媒と
の分離後、そのまま次の反応に用いることもできるが、
蒸留などにより精製した後に次の反応に用いるとより好
ましい。 【0021】<工程C>次に、工程Bで得られた3,4
−ジメチルビフェニルと、メタクリル酸、無水メタクリ
ル酸またはメタクリル酸クロルとを反応させて、5−
(3,4−ジメチルフェニル)−2−メチルインダノン
を得る(式3)。 【化3】【0022】3,4−ジメチルビフェニルのインダノン
化は、3,4−ジメチルビフェニルと、メタクリル酸、
無水メタクリル酸やメタクリル酸クロルなどのメタクリ
ル酸誘導体を弗化水素、または弗化水素−三弗化硼素触
媒などの酸触媒の存在下で反応させて行い、5−(3,
4−ジメチルフェニル)−2−メチルインダノンを得る
ことができる。メタクリル酸等は単独でも良いし、これ
らの混合物でも良い。 【0023】反応を実施する形態は、完全混合方式で行
われ、オートクレーブで行うことが好ましい。弗化水素
および三弗化硼素は、3,4−ジメチルビフェニル1重
量部に対してそれぞれ4〜100重量部および1〜4重
量部、好ましくは10〜60重量部および1〜2重量部
の割合で使用する。メタクリル酸やメタクリル酸誘導体
は3,4−ジメチルビフェニル1モルに対して0.1〜
5モル、好ましくは1〜2モルの範囲で用いられる。以
上の反応条件を満たすことにより、5−(3,4−ジメ
チルフェニル)−2−メチルインダノンを選択的に得る
ことができる。 【0024】3,4−ジメチルビフェニルのインダノン
化により得られた、5−(3,4−ジメチルフェニル)
−2−メチルインダノンは、触媒との分離後、そのまま
次の酸化に用いることもできるし、蒸留等の分離操作の
後に酸化反応を行うこともできる。 【0025】<工程D>次に、工程Cで得られた5−
(3,4−ジメチルフェニル)−2−メチルインダノン
を酸化することで目的とする3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸を得ることができる(式4)。 【化4】 【0026】5−(3,4−ジメチルフェニル)−2−
メチルインダノンの酸化は、硝酸、酸化マンガン、過マ
ンガン酸カリウムなどの酸化剤によって行うこともでき
るし、Co、Mn、Br等を触媒として用いた液相空気酸化反
応により行うこともできる。酸化剤の使用量は、基質の
100〜4モル倍が良い。液相空気酸化の場合には基質
に対して、Coを0.001〜0.2重量倍、Mnを0.0
01〜0.2重量倍、Brを0.001〜0.2重量倍使
用すると好ましい。 【0027】上記方法により得られた3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸は、加熱操作等によ
る無水化処理により無水3,3’,4,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸とすることができる。 【0028】 【実施例】以下に、実施例により本発明を具体的に説明
する。尚。本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。 【0029】実施例1 <工程A>オルソキシレン42.4gとシクロヘキセン
32.8gを300mlの攪拌器付きオートクレーブに仕
込み、0℃に冷却した、次に弗化水素80gを仕込み、
0〜10℃の範囲で1時間反応を行った。次に三弗化硼
素40.7gを仕込み反応を継続した。一時間後に反応
液をトルエン−水中に抜き出し、油層をアルカリ水及び
水で洗浄した後、蒸留により3,4−ジメチルシクロヘ
キシルベンセンを精製した。シクロヘキセンの転化率は
100モル%、3,4−ジメチルシクロヘキシルベンゼ
ンの収率は78.5モル%であった。 【0030】<工程B>工程Aで得られた3,4−ジメ
チルシクロヘキシルベンゼン20gとヘプタン90gを
混合した。1%Pt/C触媒(N.E.ケムキャット社製)4g
を、内径15mm、長さ30cmの石英製反応管に充填
し、300℃に加熱し、前述の混合溶液を8g/hrで
供給した。得られた生成液を、蒸留し3,4−ジメチル
ビフェニル18.5gを得た 【0031】<工程C>工程Bで得られた3,4−ジメ
チルビフェニル14.6g、無水メタクリル酸12.3
gを300mlの攪拌器つきオートクレーブに仕込、0℃
に冷却した。次に弗化水素80gを仕込み、次に、三弗
化硼素10.8gを仕込んだ。その後50℃に昇温し、
3時間反応を継続し、反応液をトルエン−水中に抜き出
し、油層をアルカリ水及び水で洗浄した後、蒸留により
5−(3,4−ジメチルフェニル)−2−メチルインダノ
ンを得た。5−(3,4−ジメチルフェニル)−2−メチ
ルインダノンの収率は78モル%であった。 【0032】<工程D>工程Cで得られた5−(3,4
−ジメチルフェニル)−2−メチルインダノン0.5
g、過マンガン酸カリウム3.5g、水40gを100
mlのフラスコに仕込み、反応温度100℃で2時間攪
拌した。反応後、メタノールを加え触媒を不活性化し、
塩酸により酸析後、ろ過して3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸を得た。3,3’,4,4’−
ビフェニルテトラカルボン酸の収率は82.3モル%で
あった。 【0033】 【発明の効果】本発明によれば、高価なパラジウム触媒
を用いなくても、オルソキシレンとシクロヘキセン、及
びメタクリル酸、無水メタクリル酸やメタクリル酸クロ
ルといった比較的安価な原料を用いて、選択的に3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を得るこ
とができ、その工業的意義は大きい。
4’−ビフェニルテトラカルボン酸(以下BPTAと略
する)及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸無水物(以下BPDAと略する)の製造方法に関
する。BPDAは高耐熱性を有するポリイミド原料とし
て用いられている。 【0002】 【従来の技術】従来、BPDAの製造方法は種々の提案
がなされている。例えば、特公昭60−33379号公
報には、有機パラジウム塩とフェナントロリン等の存在
下で、オルトフタル酸ジアルキルエステルの脱水素二量
化反応を行うことによってビフェニルテトラカルボン酸
テトラエステル(3,3’,4,4’−異性体及び2,
3,3’,4’−異性体の混合物)が得られることが記
載されている。特開昭50−116457号公報には、
ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルを加水分解
しビフェニルテトラカルボン酸を得る方法が、また特開
昭64−50876号公報には、ビフェニルテトラカル
ボン酸を脱水反応させてビフェニルテトラカルボン酸二
無水物を得る方法が記載されている。また、特開平1−
250328号公報には、4−クロロフタル酸ナトリウ
ム塩を水酸化ナトリウムと共に溶解させている水溶液中
に金属パラジウムを担持させた触媒及びメタノール等の
還元剤を存在させ、その溶液を加熱させる二量化反応に
よって3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン
酸ナトリウム塩(S−BTC塩)が得られることが記載
されている。S−BTC塩を加水分解することでBPT
Aが得られ、BPTAを脱水反応させることでBPDA
が得られる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】オルトフタル酸ジアル
キルエステルの脱水素二量化プロセス(特公昭60−3
3379号)では、高価なパラジウムを用いる上に、パ
ラジウムのターンオーバー(パラジウム1原子当りの反
応分子数)は100程度にとどまっており触媒費が大き
く、反応時間も非常に長いことから生産性に優れている
とは言えない。また、4−クロロフタル酸を原料に用い
る方法(特開平1−250328号)においては、原料
となる4−クロロフタル酸製造における選択性が低く、
脱クロル化してフタル酸をリサイクルする必要があるた
め生産性の良いプロセスとは言えない。また、二量化に
おいても高価なパラジウム触媒を用いており触媒費が大
きい。本発明の目的は、3,3’,4,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸を効率的かつ経済的に製造する方法
を提供することである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、高価なパ
ラジウム触媒を用いずに、安価な原料を用いた新規プロ
セスを見出すべく鋭意検討した結果、オルソキシレンを
シクロヘキセンと反応させて3,4−ジメチルシクロヘ
キシルベンゼンを得、次いでこれを脱水素反応させ3,
4−ジメチルビフェニルを得、次いでこれをメタクリル
酸、無水メタクリル酸またはメタクリル酸クロルと反応
させ5−(3,4−ジメチルフェニル)−2−メチルイ
ンダノンを得、これを酸化することにより、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を選択的に製造
できることを見出し、本発明を完成した。 【0005】即ち本発明は、以下の(1)〜(4)の工
程を含むことを特徴とする3,3’,4,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸の製造方法に関するものである。 (1)オルソキシレンをシクロヘキセンと反応させ、
3,4−ジメチルシクロヘキシルベンゼンを得る工程A (2)工程Aで得られた3,4−ジメチルシクロヘキシ
ルベンゼンを脱水素反応させ、3,4−ジメチルビフェ
ニルを得る工程B (3)工程Bで得られた3,4−ジメチルビフェニル
を、メタクリル酸、無水メタクリル酸および/またはメ
タクリル酸クロルと反応させ、5−(3,4−ジメチル
フェニル)−2−メチルインダノンを得る工程C (4)工程Cで得られた5−(3,4−ジメチルフェニ
ル)−2−メチルインダノンを酸化して、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を得る工程D 【0006】 【発明の実施の形態】<工程A>本発明では、まず、オ
ルソキシレンとシクロヘキセンを反応させて、3,4−
ジメチルシクロヘキシルベンゼンを得る(式1)。 【化1】【0007】オルソキシレンとシクロヘキセンの反応は
酸触媒存在下で行われる。リン酸、硫酸、弗化水素、弗
化水素−三弗化硼素触媒のような酸を用いて液相反応を
行うことができる。また、固体酸、例えばゼオライト、
シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、硫酸ジルコニウ
ム触媒などを用いることができ、液相、気相反応などに
より行うことができる。 【0008】反応を実施する形態は、完全混合方式や、
固定床流通方式などで行うことができるが、触媒の種類
に応じて反応の形態を選択するのが良い。例えば、リン
酸、硫酸、弗化水素などの液体触媒を用いる場合には完
全混合方式が好ましく、固体酸を用いる場合には固定床
流通方式にすることで触媒との分離が容易になり好まし
いが、特に実施する形態を限定するものではない。 【0009】反応を行うに際して、反応に不活性な溶媒
を用いることができる。反応に不活性な溶媒としては、
n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘ
キサン、デカヒドロナフタレンなどの脂肪族炭化水素や
脂環式炭化水素があげられる。また、原料であるオルソ
キシレンを自己溶媒として使用することもできる。 【0010】完全混合方式で反応を行う場合は、触媒と
原料をはじめに反応容器に仕込んでも良いし、始めに触
媒とオルソキシレンを張り込みそこにシクロヘキセンを
添加しても良い。また、オルソキシレンとシクロヘキセ
ンの混合液を供給する方法でも良い。 【0011】固定床方式で行う場合には、触媒の乾燥、
脱気などを行ってから、所定の温度で反応を開始するこ
とが好ましく、原料であるオルソキシレンとシクロヘキ
センに加えて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性
ガスによる希釈を行うこともできる。 【0012】酸触媒は、基質に対して100〜1重量倍
を使用することが好ましい。固体酸触媒は、完全混合方
式の場合には基質の0.01〜0.3重量倍使用すると
良く、流通方式の場合にはWHSVが0.01〜10h
r-1となるように使用することが好ましい。ここで、W
HSVは、単位触媒重量、単位時間当りの処理基質重量
を表わす(基質重量/触媒重量/時間(hr))。 【0013】オルソキシレンに対するシクロヘキセンの
モル比は、0.1〜5、好ましくは0.1〜1である。
反応温度はそれぞれの触媒に適した条件で行えば良い
が、−50〜300℃の範囲で行うのが好ましい。 【0014】オルソキシレンとシクロヘキセンの反応に
より得られた、3,4−ジメチルシクロヘキシルベンゼ
ンは触媒との分離後、そのまま次の反応を行っても良い
が、蒸留などにより精製した後に次の反応を行う方がよ
り好ましい。この時に、回収された原料はリサイクル使
用できる。 【0015】<工程B>次に、工程Aで得られた3,4
−ジメチルシクロヘキシルベンゼンの脱水素反応を行
い、3,4−ジメチルビフェニルを得る(式2)。 【化2】 【0016】3,4−ジメチルシクロヘキシルベンゼン
の脱水素反応には、Pt、Pd、Ru、Irなどの貴金属触媒が
用いられ、一般的な活性炭、アルミナ、シリカなどの担
体に担持された触媒を用いることができる。また、Cu−
Cr触媒などの貴金属以外の触媒でも一般的なシクロヘキ
サンの脱水素に用いられるようなものを任意に用いるこ
とができる。 【0017】反応は、液相で行っても良いし、気相で反
応することも出来、実施の形態としては、完全混合方
式、固定床流通方式などが使用できるが、固定床流通方
式は触媒との分離が不要なので好ましい。 【0018】完全混合方式の場合、触媒は基質に対して
0.01〜0.3重量倍使用することが好ましい。一
方、流通方式の場合には、WHSVが0.01〜10h
r-1となるように使用することが好ましい。 【0019】反応を行う際には、芳香族炭化水素、脂肪
族炭化水素などの溶媒を用いることもできる。また、気
相流通方式で行う場合には、窒素、アルゴン、ヘリウム
などの不活性ガスにより希釈することもできる。反応温
度はそれぞれの触媒に適した温度で行えば良いが、10
0〜400℃の範囲で行うのが好ましい。 【0020】3,4−ジメチルシクロヘキセンの脱水素
により得られた3,4−ジメチルビフェニルは、触媒と
の分離後、そのまま次の反応に用いることもできるが、
蒸留などにより精製した後に次の反応に用いるとより好
ましい。 【0021】<工程C>次に、工程Bで得られた3,4
−ジメチルビフェニルと、メタクリル酸、無水メタクリ
ル酸またはメタクリル酸クロルとを反応させて、5−
(3,4−ジメチルフェニル)−2−メチルインダノン
を得る(式3)。 【化3】【0022】3,4−ジメチルビフェニルのインダノン
化は、3,4−ジメチルビフェニルと、メタクリル酸、
無水メタクリル酸やメタクリル酸クロルなどのメタクリ
ル酸誘導体を弗化水素、または弗化水素−三弗化硼素触
媒などの酸触媒の存在下で反応させて行い、5−(3,
4−ジメチルフェニル)−2−メチルインダノンを得る
ことができる。メタクリル酸等は単独でも良いし、これ
らの混合物でも良い。 【0023】反応を実施する形態は、完全混合方式で行
われ、オートクレーブで行うことが好ましい。弗化水素
および三弗化硼素は、3,4−ジメチルビフェニル1重
量部に対してそれぞれ4〜100重量部および1〜4重
量部、好ましくは10〜60重量部および1〜2重量部
の割合で使用する。メタクリル酸やメタクリル酸誘導体
は3,4−ジメチルビフェニル1モルに対して0.1〜
5モル、好ましくは1〜2モルの範囲で用いられる。以
上の反応条件を満たすことにより、5−(3,4−ジメ
チルフェニル)−2−メチルインダノンを選択的に得る
ことができる。 【0024】3,4−ジメチルビフェニルのインダノン
化により得られた、5−(3,4−ジメチルフェニル)
−2−メチルインダノンは、触媒との分離後、そのまま
次の酸化に用いることもできるし、蒸留等の分離操作の
後に酸化反応を行うこともできる。 【0025】<工程D>次に、工程Cで得られた5−
(3,4−ジメチルフェニル)−2−メチルインダノン
を酸化することで目的とする3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸を得ることができる(式4)。 【化4】 【0026】5−(3,4−ジメチルフェニル)−2−
メチルインダノンの酸化は、硝酸、酸化マンガン、過マ
ンガン酸カリウムなどの酸化剤によって行うこともでき
るし、Co、Mn、Br等を触媒として用いた液相空気酸化反
応により行うこともできる。酸化剤の使用量は、基質の
100〜4モル倍が良い。液相空気酸化の場合には基質
に対して、Coを0.001〜0.2重量倍、Mnを0.0
01〜0.2重量倍、Brを0.001〜0.2重量倍使
用すると好ましい。 【0027】上記方法により得られた3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸は、加熱操作等によ
る無水化処理により無水3,3’,4,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸とすることができる。 【0028】 【実施例】以下に、実施例により本発明を具体的に説明
する。尚。本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。 【0029】実施例1 <工程A>オルソキシレン42.4gとシクロヘキセン
32.8gを300mlの攪拌器付きオートクレーブに仕
込み、0℃に冷却した、次に弗化水素80gを仕込み、
0〜10℃の範囲で1時間反応を行った。次に三弗化硼
素40.7gを仕込み反応を継続した。一時間後に反応
液をトルエン−水中に抜き出し、油層をアルカリ水及び
水で洗浄した後、蒸留により3,4−ジメチルシクロヘ
キシルベンセンを精製した。シクロヘキセンの転化率は
100モル%、3,4−ジメチルシクロヘキシルベンゼ
ンの収率は78.5モル%であった。 【0030】<工程B>工程Aで得られた3,4−ジメ
チルシクロヘキシルベンゼン20gとヘプタン90gを
混合した。1%Pt/C触媒(N.E.ケムキャット社製)4g
を、内径15mm、長さ30cmの石英製反応管に充填
し、300℃に加熱し、前述の混合溶液を8g/hrで
供給した。得られた生成液を、蒸留し3,4−ジメチル
ビフェニル18.5gを得た 【0031】<工程C>工程Bで得られた3,4−ジメ
チルビフェニル14.6g、無水メタクリル酸12.3
gを300mlの攪拌器つきオートクレーブに仕込、0℃
に冷却した。次に弗化水素80gを仕込み、次に、三弗
化硼素10.8gを仕込んだ。その後50℃に昇温し、
3時間反応を継続し、反応液をトルエン−水中に抜き出
し、油層をアルカリ水及び水で洗浄した後、蒸留により
5−(3,4−ジメチルフェニル)−2−メチルインダノ
ンを得た。5−(3,4−ジメチルフェニル)−2−メチ
ルインダノンの収率は78モル%であった。 【0032】<工程D>工程Cで得られた5−(3,4
−ジメチルフェニル)−2−メチルインダノン0.5
g、過マンガン酸カリウム3.5g、水40gを100
mlのフラスコに仕込み、反応温度100℃で2時間攪
拌した。反応後、メタノールを加え触媒を不活性化し、
塩酸により酸析後、ろ過して3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸を得た。3,3’,4,4’−
ビフェニルテトラカルボン酸の収率は82.3モル%で
あった。 【0033】 【発明の効果】本発明によれば、高価なパラジウム触媒
を用いなくても、オルソキシレンとシクロヘキセン、及
びメタクリル酸、無水メタクリル酸やメタクリル酸クロ
ルといった比較的安価な原料を用いて、選択的に3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を得るこ
とができ、その工業的意義は大きい。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】以下の(1)〜(4)の工程を含むことを
特徴とする3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸の製造方法。 (1)オルソキシレンをシクロヘキセンと反応させ、
3,4−ジメチルシクロヘキシルベンゼンを得る工程A (2)工程Aで得られた3,4−ジメチルシクロヘキシ
ルベンゼンを脱水素反応させ、3,4−ジメチルビフェ
ニルを得る工程B (3)工程Bで得られた3,4−ジメチルビフェニル
を、メタクリル酸、無水メタクリル酸および/またはメ
タクリル酸クロルと反応させ、5−(3,4−ジメチル
フェニル)−2−メチルインダノンを得る工程C (4)工程Cで得られた5−(3,4−ジメチルフェニ
ル)−2−メチルインダノンを酸化して、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸を得る工程D
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001252583A JP2003064021A (ja) | 2001-08-23 | 2001-08-23 | 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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ID=19081032
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2003064021A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103619788A (zh) * | 2011-05-18 | 2014-03-05 | 宇部兴产株式会社 | 3,3’,4,4’-四烷基环己基苯及其制备方法 |
CN113750994A (zh) * | 2021-10-21 | 2021-12-07 | 西安凯立新材料股份有限公司 | 一种生产3, 3`, 4, 4`-联苯四甲酸用催化剂及其制备方法 |
-
2001
- 2001-08-23 JP JP2001252583A patent/JP2003064021A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113750994A (zh) * | 2021-10-21 | 2021-12-07 | 西安凯立新材料股份有限公司 | 一种生产3, 3`, 4, 4`-联苯四甲酸用催化剂及其制备方法 |
CN113750994B (zh) * | 2021-10-21 | 2023-12-26 | 西安凯立新材料股份有限公司 | 一种生产3, 3`, 4, 4`-联苯四甲酸用催化剂及其制备方法 |
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