JP2003063884A - セラミックス表面への銅メタライズ方法 - Google Patents

セラミックス表面への銅メタライズ方法

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JP2003063884A
JP2003063884A JP2001258677A JP2001258677A JP2003063884A JP 2003063884 A JP2003063884 A JP 2003063884A JP 2001258677 A JP2001258677 A JP 2001258677A JP 2001258677 A JP2001258677 A JP 2001258677A JP 2003063884 A JP2003063884 A JP 2003063884A
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ceramic
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oxide
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JP2001258677A
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広明 ▲高▼橋
Hiroaki Takahashi
Tomoyuki Kawahara
智之 川原
Hitoshi Kimura
均 木村
Yasushi Masaki
康史 正木
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に凹凸を形成したり、表面にガラスフリ
ットや活性金属を形成したりする必要なく、窒化物系セ
ラミックスや炭化物系セラミックスの表面に直接、PV
D法で銅を密着性高くメタライズすることができるセラ
ミックス表面へのメタライズ方法を提供する。 【解決手段】 窒化物系セラミックスあるいは炭化物系
セラミックスの少なくとも一方からなるセラミックスの
表面に銅をメタライズする。この際に、セラミックスの
表層にセラミックス焼結助剤からなる酸化物を露呈させ
た後、セラミックスの表面にPVD法で銅をメタライズ
する。セラミックスの表層に露呈させた焼結助剤からな
る酸化物に対する銅の高い密着強度を確保することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化アルミニウム
や炭化珪素などの窒化物系セラミックスや炭化物系セラ
ミックスの表面に銅をメタライズする方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウムなどの窒化物系セラミ
ックスや炭化珪素などの炭化物系セラミックスは、回路
形成用、ヒートシンク用、絶縁用などの基板として利用
する場合、その表面に金属膜をメタライズする必要があ
る。そしてメタライズする金属としては、電気伝導特性
や経済性等の理由により、銅を主導体として用いるのが
一般的である。
【0003】このようにセラミックスの表面に金属をメ
タライズする方法としては、無電解めっき法、厚膜法、
薄膜法などが従来から用いられているが、セラミックス
と金属とは異種材料であるので、セラミックスの表面に
対する金属膜の密着性を高めることが従来から大きな課
題になっている。
【0004】例えば、特開昭62−88394号公報に
開示されている無電解めっき法では、セラミックスの表
面に凹凸を形成することによって、アンカー効果により
セラミックスと金属膜との接着強度を確保するようにし
ている。この方法によれば、セラミックスの上に直接無
電解めっきすることによって、所望の金属をメタライズ
することが可能なことが利点として挙げられる。しかし
この方法では、セラミックスの表面に凹凸を形成するこ
とが必須であり、金属膜で回路を形成するアプリケーシ
ョンの場合、微細回路を形成するときにはセラミックス
の表面の凹凸の影響で、回路のエッジ部が鋸状となって
アナログ信号配線における電気伝送特性が低下するなど
の問題が生じるおそれがある。
【0005】また、別の例として、特開昭62−176
960号公報に開示されている厚膜法では、ガラスフリ
ットを含有する厚膜ペーストをセラミックスの上に塗布
し焼成することによって、ガラスフリットをセラミック
スとメタライズした金属膜との接着材として作用させ、
セラミックスと金属膜との接着強度を確保するようにし
ている。この方法では、セラミックスとメタライズした
金属膜との接着強度が比較的大きいことが利点として挙
げられるが、一方で、ガラスフリットの上に形成した金
属膜にガラス成分が分散し、電気伝導特性が低下するな
どの問題が生じるおそれがある。
【0006】さらに、別の例として、薄膜法では、セラ
ミックスの表面にチタンやクロム等の活性金属の膜とし
て形成し、この活性金属の膜の上にメタライズすること
によって、活性金属を介してセラミックスとメタライズ
した金属膜との接着強度を確保するようにしている。こ
の方法では、セラミックスとメタライズした金属膜との
接着強度が比較的大きいことが利点として挙げられる
が、一方で、セラミックスとメタライズした金属膜との
間にチタンやクロム等の電気伝導特性に劣る材料からな
る金属膜を形成しなければならないため、電気伝導特性
が低下するなどの問題が生じるおそれがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
みてなされたものであり、表面に凹凸を形成したり、表
面にガラスフリットや活性金属を形成したりする必要な
く、窒化物系セラミックスや炭化物系セラミックスの表
面に直接、PVD法で銅を密着性高くメタライズするこ
とができるセラミックス表面へのメタライズ方法を提供
することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
セラミックス表面へのメタライズ方法は、窒化物系セラ
ミックスあるいは炭化物系セラミックスの少なくとも一
方からなるセラミックスの表面に銅をメタライズするに
あたって、セラミックスの表層にセラミックス焼結助剤
からなる酸化物を露呈させた後、セラミックスの表面に
PVD法で銅をメタライズすることを特徴とするもので
ある。
【0009】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、焼結工程を経て得られたセラミックスを、熱処理す
ることによって、セラミックスの表層にセラミックス焼
結助剤からなる酸化物を露呈させることを特徴とするも
のである。
【0010】また請求項3の発明は、請求項1におい
て、セラミックスの表層の結晶粒子を除去する処理をす
ることによって、セラミックスの表層にセラミックス焼
結助剤からなる酸化物を露呈させることを特徴とするも
のである。
【0011】また請求項4の発明は、請求項3におい
て、セラミックスを腐食させる処理液にセラミックスを
浸漬することによって、セラミックスの表層の結晶粒子
を除去する処理をすることを特徴とするものである。
【0012】また請求項5の発明は、請求項1乃至4の
いずれかにおいて、セラミックスの表面にPVD法で銅
をメタライズし、次いでこの表面に電解銅めっきをする
ことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0014】本発明においてメタライズの対象とするセ
ラミックスは、窒化物系セラミックスあるいは炭化物系
セラミックスである。窒化物系セラミックスとしては、
例えば窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素などが
あり、炭化物系セラミックスとしては、例えば炭化珪
素、炭化ホウ素などがある。
【0015】これらのセラミックスは概ね次の作業によ
って得ることができる。まず所望のセラミックス粉末
に、酸化物からなる焼結助剤、溶剤、バインダー等を添
加して混練し、グリーンシートを作製する。そしてこの
グリーンシートを高温で焼結する焼結工程を経て、セラ
ミックスを得ることができる。ここで、焼結助剤として
は、例えば、Y23、MgO、CaO、BeO、Al2
3等が用いられるものであり、セラミックス粉末に対
して0.1〜10質量%の範囲で添加されている。ま
た、焼結工程におけるグリーンシートの焼結は、例えば
1200〜2100℃の範囲の高温で行われる。
【0016】上記のように焼結して得られるセラミック
スは、セラミックス結晶粒子の界面間に10質量%以下
の焼結助剤からなる酸化物が形成されている。そしてこ
の焼結助剤からなる酸化物とPVD法でメタライズした
銅の間にCu−O共晶液相が形成され、このCu−O共晶
液相を介して焼結助剤からなる酸化物に対してPVD法
でメタライズした銅膜は高い密着強度で密着し、セラミ
ックス表面に対する銅膜の密着強度を高く得ることがで
きるという知見を得て、本発明をなしたものである。
【0017】すなわち、セラミックスの表面にメタライ
ズした銅膜の密着強度を高く得るためには、セラミック
スの表層に焼結助剤からなる酸化物を大きく露呈させる
必要がある。そこで請求項1の発明は、セラミックスの
表層にセラミックス焼結助剤からなる酸化物を露呈させ
る処理をおこなった後、セラミックスの表面にPVD法
で銅をメタライズすることによって、セラミックスの表
層に露呈する焼結助剤からなる酸化物に対する銅膜の高
い密着強度を確保することができ、セラミックス表面に
対する銅の密着性を高めることができるようにしたもの
である。
【0018】そして請求項2の発明は、セラミックス焼
結助剤からなる酸化物をセラミックスの表層に露呈させ
る方法として、焼結工程を経て得られたセラミックス
を、焼結工程以外の工程として熱処理するようにしたも
のである。
【0019】図1(a)は焼結して得られたセラミック
ス焼結体の組織を示すものであり、セラミックス結晶粒
子1の界面間に10質量%以下のセラミックス焼結助剤
からなる酸化物2が形成されている。焼結助剤からなる
酸化物2はセラミックスの表層に大きく露出していない
ので、焼結助剤からなる酸化物2に対する銅膜の密着強
度は十分ではなく、セラミックス表面に対する銅膜の密
着性を高く得ることはできない。そして請求項2の発明
のように、このセラミックスを熱処理すると、焼結助剤
からなる酸化物は、セラミックスの表層に移動し、図1
(b)に示すようにセラミックスの表層に焼結助剤から
なる酸化物2が大きく露出する。従って、このようにセ
ラミックスを熱処理した後にPVD法で表面に銅膜3を
メタライズすると、セラミックスの表層に大きく露出し
ている焼結助剤からなる酸化物2に対する銅膜3の高い
密着強度を確保することができ、セラミックス表面に対
する銅膜3の密着性を高めることができるものである。
【0020】ここで、セラミックス焼結体を熱処理する
条件は、焼結助剤からなる酸化物2をセラミックスの表
層に移動させることができればよく、特に制限されるも
のではないが、熱処理の温度は500℃以上、熱処理の
保持時間は30分以上が好ましく、熱処理の際の昇温速
度や降温速度等は適宜設定することができる。熱処理温
度が500℃未満の場合や、熱処理の保持時間が30分
未満の場合は、熱処理が不十分であって焼結助剤からな
る酸化物2をセラミックスの表層に十分に移動させるこ
とができず、銅膜3の密着強度を高める効果を十分に得
ることができない。熱処理温度の上限は特に設定されな
いが、セラミックスを焼結して作製する際の焼結温度を
超える温度で熱処理すると、焼結品の品質が変化するお
それがあるので、熱処理温度は焼結温度以下に設定する
のが望ましい。また熱処理の保持時間の上限も特に設定
されないが、エネルギー消費のうえから保持時間は5時
間以下に設定するのが望ましい。
【0021】また請求項3の発明は、セラミックス焼結
助剤からなる酸化物2をセラミックスの表層に露呈させ
る別の方法として、セラミックスの表層のセラミックス
結晶粒子2を除去するようにしたものである。すなわ
ち、図2(a)のようなセラミックスにおいて、その表
層の結晶粒子2を除去すると、図2(b)に示すように
結晶粒子2の裏側に隠れていた焼結助剤からなる酸化物
2が露出し、セラミックスの表層に焼結助剤からなる酸
化物2が大きく露出する。従って、このセラミックスの
表面にPVD法で銅膜3をメタライズすると、図1
(c)のようにセラミックスの表層に大きく露出してい
る焼結助剤からなる酸化物2に対する銅膜3の高い密着
強度を確保することができ、セラミックス表面に対する
銅膜3の密着性を高めることができるものである。
【0022】具体的には、請求項4の発明では、セラミ
ックスを腐食させる処理液にセラミクスを浸漬すること
によって、セラミックスの表層の結晶粒子1を除去する
処理をするようにしている。セラミックスを腐食させる
処理液としては、セラミックス焼結助剤からなる酸化物
2は溶解しないがセラミックス結晶粒子1は溶解する酸
性或いは、中性或いは、アルカリ性の薬液を用いること
ができるものであり、例えば水酸化ナトリウムなどのア
ルカリ溶液を用いることができる。そして処理液にセラ
ミックスを浸漬することによって、処理液が接触するセ
ラミックスの表層の結晶粒子1のみを除去することがで
き、図2(a)の処理前の状態から図2(b)の処理後
の状態へと、焼結助剤からなる酸化物2をセラミックス
の表層に露呈させることができるものである。
【0023】ここで、結晶粒子1の除去を過剰に行う
と、セラミックスの表層に過剰の凹凸が形成され、メタ
ライズした銅膜3で微細回路を形成するにあたって電気
伝送特性が低下するなどの問題が生じるおそれがある
が、本発明において、PVD法による銅メタライズで形
成される銅膜3とセラミックスとの接着の根幹は、銅膜
3と焼結助剤からなる酸化物2との間にCu−O共晶液
相を形成させることであり、アンカー効果によって密着
強度を得る場合のような過剰の凹凸を形成する必要はな
い。従って、本発明においてセラミックスの表層の結晶
粒子1を除去するにあたっては、セラミックスの表層
に、セラミックス焼結助剤からなる酸化物2を露呈させ
る程度に結晶粒子1を除去できれば良く、過剰に結晶粒
子1を除去して過剰の凹凸をセラミックスの表層に形成
しないようにするのが好ましいものであり、処理液によ
る処理条件はこのように結晶粒子1を除去できるように
設定するのが好ましい。例えば、処理液として水酸化ナ
トリウム水溶液などのアルカリ溶液を用いる場合、濃度
を4〜20質量%、浸漬処理の温度を室温〜40℃、浸
漬処理の時間を5〜60分に設定するのが望ましい。ち
なみに、上記の条件の上限を超えると、セラミックスの
表層に過剰の凹凸が形成されるおそれがあり、好ましく
ない。また上記の条件の下限を下回ると、目的とする結
晶粒子1の除去が不十分になるおそれがある。
【0024】そして、この処理を行なった後にセラミッ
クスの表面にPVD法で銅膜3をメタライズすると、図
2(c)のようにセラミックスの表層に大きく露出して
いる焼結助剤からなる酸化物2に対する銅膜3の高い密
着強度を確保することができるものであり、セラミック
ス表面に対する銅膜3の密着性を高めることができるも
のである。
【0025】上記のように、表層にセラミックス焼結助
剤からなる酸化物を露呈させる前記工程を経た窒化物系
又は炭化物系セラミックスの表面にPVD法により銅を
メタライズするが、この際のPVD法によるメタライズ
方法としては、スパッタリング法、イオンプレーティン
グ法、熱蒸着法等を採用することができる。PVD法に
よる銅メタライズにおいては、成膜時の付着原子のエネ
ルギーは10eV程度となり、このエネルギーを温度で
いいかえると10万℃程度となり、銅メタライズで形成
される銅膜とセラミックスとの接着に必要なCu−O共
晶液相を焼結助剤からなる酸化物の界面に形成させるこ
とができるものである。また、PVD法によって銅メタ
ライズを行なうにあたって、セラミックスの表面をアル
コール洗浄したり、水分蒸散除去効果を狙った予熱を行
なったり、酸素プラズマやイオンボンバード等の前処理
を行なったりすることが好ましい。
【0026】さらに、セラミックスの表面にスパッタリ
ング等のPVD法による銅メタライズを行なった後、こ
の銅メタライズで形成した銅膜に通電しながらこの上に
電解銅めっきを施すことによって、厚付けめっきを行う
ようにしてもよく、アプリケーションに必要な所望の膜
厚に銅膜を調整することが可能になるものである。例え
ばPVD法によりセラミックスの表面に成膜する銅膜の
膜厚を1μm程度とし、所望の膜厚までの残りの成膜を
電解銅めっきで行うことによって、生産効率良く厚い膜
厚の銅膜を形成することができ、またPVD法により成
膜した銅膜の残留応力による密着性への悪影響を回避す
ることもできるものである。また、必要に応じて、銅メ
タライズの後、ニッケル、金等の多層メタライズを行な
うようにしてもよい。
【0027】
【実施例】次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
【0028】(実施例1)窒化アルミニウム粉末に焼結
助剤としてY23を3質量%、CaOを1質量%配合し
て調製したセラミックス組成物を成形し、グリーンシー
トを調製した。そしてこのグリーンシートを1800℃
で2時間、焼結処理することによって窒化物系のセラミ
ック焼結体を調製した。
【0029】このセラミックス焼結体を、常圧且つ不活
性雰囲気下において、温度1700℃、保持時間3時間
の条件で熱処理を行なうことによって、セラミックスの
表層にセラミックス焼結助剤からなる酸化物を露呈させ
た(図1(b)参照)。
【0030】次いで、このセラミックスをアルコール洗
浄して表面の汚れを除去した後、予熱ゾーン、プラズマ
処理ゾーン、スパッタリングゾーンとからなる連続スパ
ッタリング装置に導入し、装置内の各ゾーンを1.2×
10-4Paに保ち、まず加熱ゾーンにて、セラミックス
を200℃に加熱し、続いてプラズマ処理ゾーンにて、
酸素プラズマ処理を行った。続いてスパッタリングゾー
ンにて、アルゴンガスを導入して0.5Paの圧力に調
整し、無酸素銅をターゲットとして直流電力を1kwで
与え、成膜速度を毎分0.1μmとしてスパッタリング
を行い、膜厚が0.3μmのメタライズ銅膜をセラミッ
クスの表面に形成した。
【0031】次に、セラミックスとメタライズ銅膜との
接着強度を測定する為、メタライズ銅膜の表面に電解銅
めっきを施し、銅膜厚を10μmに調整した。そして、
このメタライズしたセラミックスの表面に、フォトエッ
チング法により2×2mmの正方形の銅膜パターンを形
成し、この銅膜パターンの上に0.8mmφの錫めっき
軟銅線を半田付けし、この軟銅線を引っ張ることによっ
て、銅膜パターンをセラミックスの表面から引き剥がす
時の強度を測定した。測定結果、引き剥がし強度は8
3.3Nであり極めて強固な密着強度を有することが確
認できた。
【0032】(実施例2)炭化珪素粉末に焼結助剤とし
てMgOを0.5質量%、BeOを2質量%配合して調
製したセラミックス組成粉末を加圧し、粉末成形のシー
トを作製した。そしてこの粉末成形のシートを2050
℃で2時間、焼結処理することによって炭化物系のセラ
ミック焼結体を調製した。
【0033】このセラミックス焼結体を、常圧且つ不活
性雰囲気下において、温度1900℃、保持時間4時間
の条件で熱処理を行なうことによって、セラミックスの
表層にセラミックス焼結助剤からなる酸化物を露呈させ
た(図1(b)参照)。
【0034】後は、実施例1と同様にして銅のメタライ
ズを行ない、さらに実施例1と同様の方法で銅膜の引き
剥がし強度を測定した。測定結果、引き剥がし強度は7
5.6Nであり極めて強固な密着強度を有することが確
認できた。
【0035】(実施例3)窒化物系セラミックスとし
て、実施例1と同様にして作製した窒化アルミニウムを
用いた。
【0036】そしてこのセラミックスを、10質量%水
酸化ナトリウム水溶液中に室温(25℃)で10分間浸
漬して、セラミックスの表層の結晶粒子を除去すること
によって、セラミックスの表層にセラミックス焼結助剤
からなる酸化物を露呈させた(図2(b)参照)。この
際、セラミックス表面には顕著な凹凸の発生はなかっ
た。
【0037】次いで、このセラミックスをアルコール洗
浄して表面の汚れを除去した後、予熱ゾーン、RF処理
ゾーン、スパッタリングゾーンとからなる連続スパッタ
リング装置に導入し、装置内の各ゾーンを1.2×10
-4Paに保ち、まず加熱ゾーンにて、このセラミックス
を200℃に加熱し、続いてRF処理ゾーンにて、アル
ゴンガスを導入して10Paの圧力に調整し、このセラ
ミックに13.56MHzの高周波を200Wの出力で
8分間与え、イオンボンバードを行った。続いてスパッ
タリングゾーンにて、アルゴンガスを導入して0.5P
aの圧力に調整し、無酸素銅をターゲットとして直流電
力を1kwで与え、成膜速度を毎分0.1μmとしてス
パッタリングを行い、膜厚が0.3μmのメタライズ銅
膜をセラミックスの表面に形成した。
【0038】そして実施例1と同様の方法で銅膜の引き
剥がし強度を測定した。測定結果、引き剥がし強度は8
1.5Nであり極めて強固な密着強度を有することが確
認できた。
【0039】(比較例1)窒化物系セラミックスとし
て、実施例1と同様にして作製した窒化アルミニウムを
用いた。そしてこのセラミックスに、実施例1のような
熱処理を実施しないこと以外は、実施例1と同様の条件
により銅をメタライズした。
【0040】そして実施例1と同様の方法で銅膜の引き
剥がし強度を測定した。測定結果、引き剥がし強度は
9.6Nであり実使用上満足できる密着強度は得られな
かった。
【0041】(比較例2)窒化物系セラミックスとし
て、実施例1と同様にして作製した窒化アルミニウムを
用いた。そして実施例3と同様にして10質量%水酸化
ナトリウム水溶液での処理を行い、セラミックスの表層
にセラミックス焼結助剤からなる酸化物を露呈させた。
【0042】次いで、セラミックスの表面に無電解銅め
っきにて膜厚が3μmの銅膜を形成した。
【0043】そして実施例1と同様の方法で銅膜の引き
剥がし強度を測定した。測定結果、引き剥がし強度は
4.9Nであり実使用上満足できる密着強度は得られな
かった。水酸化ナトリウム水溶液による処理は、セラミ
ックスの表層に焼結助剤からなる酸化物を露呈させるた
めのものであり、セラミックスの表層にアンカー効果を
得られるだけの大きな凹凸は形成されていない。そして
CVD法である無電解銅めっきでは焼結助剤からなる酸
化物との間にCu−O共晶液相は形成されないので、密
着強度を得ることができないことが確認できた。
【0044】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るセ
ラミックス表面への銅メタライズ方法は、窒化物系セラ
ミックスあるいは炭化物系セラミックスの少なくとも一
方からなるセラミックスの表面に銅をメタライズするに
あたって、セラミックスの表層にセラミックス焼結助剤
からなる酸化物を露呈させた後、セラミックスの表面に
PVD法で銅をメタライズするようにしたので、焼結助
剤からなる酸化物とPVD法でメタライズした銅との界
面に形成されるCu−O共晶液相を介して銅を密着させ
るにあたって、セラミックスの表層に露呈させた焼結助
剤からなる酸化物に対する銅膜の高い密着強度を確保す
ることができ、セラミックスの表面に凹凸を形成した
り、ガラスフリットや活性金属を形成したりする必要な
く、セラミックスの表面に直接形成されるメタライズ銅
の密着性を高めることができるものである。
【0045】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、焼結工程を経て得られたセラミックスを、熱処理す
ることによって、セラミックスの表層にセラミックス焼
結助剤からなる酸化物を露呈させるようにしたので、セ
ラミックスを熱処理するという簡便な方法でセラミック
スの表層に焼結助剤からなる酸化物を露呈させることが
できるものである。
【0046】また請求項3の発明は、請求項1におい
て、セラミックスの表層の結晶粒子を除去する処理をす
ることによって、セラミックスの表層にセラミックス焼
結助剤からなる酸化物を露呈させるようにしたので、セ
ラミックスの表層の結晶粒子を除去するという簡便な方
法でセラミックスの表層に焼結助剤からなる酸化物を露
呈させることができるものである。
【0047】また請求項4の発明は、請求項3におい
て、セラミックスを腐食させる処理液にセラミックスを
浸漬することによって、セラミックスの表層の結晶粒子
を除去する処理をするようにしたので、処理液にセラミ
ックスを浸漬するという簡便な方法でセラミックスの表
層に焼結助剤からなる酸化物を露呈させることができる
ものである。
【0048】また請求項5の発明は、請求項1乃至4に
おいて、セラミックスの表面にPVD法で銅をメタライ
ズし、次いでこの表面に電解銅めっきをするようにした
ので、PVD法で形成した銅膜に通電することによって
電解銅めっきをすることができ、銅膜を所望の任意の膜
厚に形成することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、
(a),(b),(c)はそれぞれ概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであ
り、(a),(b),(c)はそれぞれ概略断面図であ
る。
【符号の説明】
1 セラミックス結晶粒子 2 セラミックス焼結助剤からなる酸化物 3 銅膜
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 14/14 C23C 14/14 D C25D 5/34 C25D 5/34 5/54 5/54 (72)発明者 木村 均 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 正木 康史 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 4K024 AA09 AB02 BA15 BB09 BB11 DA10 GA01 4K029 AA04 BA08 BC03 BD02 CA05 FA01 FA06 GA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化物系セラミックスあるいは炭化物系
    セラミックスの少なくとも一方からなるセラミックスの
    表面に銅をメタライズするにあたって、セラミックスの
    表層にセラミックス焼結助剤からなる酸化物を露呈させ
    た後、セラミックスの表面にPVD法で銅をメタライズ
    することを特徴とするセラミックス表面への銅メタライ
    ズ方法。
  2. 【請求項2】 焼結工程を経て得られたセラミックス
    を、熱処理することによって、セラミックスの表層にセ
    ラミックス焼結助剤からなる酸化物を露呈させることを
    特徴とする請求項1に記載のセラミックス表面への銅メ
    タライズ方法。
  3. 【請求項3】 セラミックスの表層の結晶粒子を除去す
    る処理をすることによって、セラミックスの表層にセラ
    ミックス焼結助剤からなる酸化物を露呈させることを特
    徴とする請求項1に記載のセラミックス表面への銅メタ
    ライズ方法。
  4. 【請求項4】 セラミックスを腐食させる処理液にセラ
    ミックスを浸漬することによって、セラミックスの表層
    の結晶粒子を除去する処理をすることを特徴とする請求
    項3に記載のセラミックス表面への銅メタライズ方法。
  5. 【請求項5】 セラミックスの表面にPVD法で銅をメ
    タライズし、次いでこの表面に電解銅めっきをすること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のセラミ
    ックス表面への銅メタライズ方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105463454A (zh) * 2015-11-30 2016-04-06 苏州市金星工艺镀饰有限公司 一种陶瓷表面多层复合镀膜及其制备方法

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