JP2003063829A - 溶融ガラス用撹拌装置 - Google Patents
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Abstract
抜けを防止し、溶融ガラスを効率よく撹拌することがで
きる撹拌装置の提供。 【解決手段】溶融ガラスを撹拌し均質化するための撹拌
装置であって、撹拌装置は、回転可能な中心軸と、中心
軸の周囲に取り付けられた回転半径がL1である長撹拌
翼と、中心軸の周囲に取り付けられた回転半径がL
2(L1>L2)である短撹拌翼とを含んで構成され、
長撹拌翼および短撹拌翼の枚数は各々2枚以上であり、
かつ中心軸の周囲に長撹拌翼および短撹拌翼が交互に取
り付けられていることを特徴とする撹拌装置。
Description
し、均質性を向上させる撹拌装置の構造に関する。
せる目的で、溶融ガラス流路に撹拌装置を取り付け、溶
融ガラスを撹拌することが行われている。溶融ガラスの
均質性は、生産されたガラスの透明性、厚さ等に大きく
影響するため、今までにいろいろな構造をもった撹拌装
置が数多く検討されてきている。
軸とその周囲に取り付けられた複数の撹拌翼を有する撹
拌部から構成される。これら撹拌装置の構造として、い
ろいろな種類のものが知られており、例えば、溶融ガラ
スの流路を狭める目的を持った大きな径を持つドラムの
周囲に撹拌翼を配するドラム型、中心軸の下端部のみに
撹拌翼を持つスクリュー型などが挙げられる。また、撹
拌翼の構造についても、うちわ型、クランク型、パドラ
ー型、スクリュー(ラジアルファン)型など様々なもの
が知られている。
ガラス溶融炉または溶融ガラスの流路において撹拌装置
を取り付け、撹拌した際に生じる流路の壁面の近傍を溶
融ガラスがすり抜ける現象、いわゆる「すり抜け」を防
止する必要がある。すり抜けた溶融ガラスは、充分に撹
拌されていないため、流路を構成する煉瓦や気相との反
応などにより溶融ガラスの成分とは異なった成分となっ
たいわゆる「異質成分」が多く含まれており、製品とな
って溶融ガラスが固化しガラス製品となった場合、その
異質成分がいわゆるリームという不透明な筋状の欠点と
なる。つまり、溶融ガラスを均質化するためには、すり
抜けを防止し、異質成分を含んだ溶融ガラスを充分に撹
拌することにより、溶融ガラス中に異質成分を拡散させ
る必要がある。
は、スパイラルな撹拌翼を取り付けた中心軸を中空と
し、該中心軸の下端に気体を通しバブリングさせるため
の小さい穴を有する中空の円盤を取り付けた撹拌装置が
提案されている。しかし、この撹拌装置はバブリングの
効果により撹拌の効果を高めることを目的としたもので
あるが、すり抜け防止や異質成分の含まれた溶融ガラス
の撹拌に対しては充分な効果を有さないばかりでなく、
バブリングにより発生する気泡が抜けきらない可能性が
大きい。
中心軸の下端に取り付けられたスパイラルな撹拌翼の上
部に水平な撹拌翼を付加し、機能の異なる撹拌翼の組み
合わせ効果を狙った撹拌装置が提案されている。しか
し、この撹拌装置はすり抜け防止の効果は有していな
い。
は、流路の壁面に沿って撹拌されずにすり抜ける溶融ガ
ラスを減ずる目的で、該壁面と撹拌翼との間隔を狭める
ための撹拌翼の最外側に複数の凸部を配した撹拌装置が
提案されている。しかし、この撹拌装置は凸部によって
すり抜け防止の効果は有するが、異質成分を含んだ溶融
ガラスの撹拌の効果は充分であるとは言えない。
下降する溶融ガラスの流路底部付近にスクリュー型の撹
拌手段を設け、流路低部に設置することにより生じる大
きなガラス圧を利用して、撹拌する際に発生する泡を防
止する撹拌装置が提案されている。しかし、この撹拌装
置は、溶融ガラスの連続溶融において発泡を防止するこ
とを主眼として発明されたものであり、すり抜け防止や
異質成分を含んだ溶融ガラスの撹拌に効果を有するもの
ではない。
のすり抜けを防止し、溶融ガラスを撹拌することによ
り、溶融ガラスを均質化させる撹拌装置の提供を目的と
する。
撹拌し均質化するための撹拌装置であって、前記撹拌装
置は、回転可能な中心軸と、前記中心軸の周囲に取り付
けられた回転半径がL 1である長撹拌翼と、前記中心軸
の周囲に取り付けられた回転半径がL2(L1>L2)
である短撹拌翼とを含んで構成され、前記長撹拌翼およ
び前記短撹拌翼の枚数は各々2枚以上であり、かつ前記
中心軸の周囲に前記長撹拌翼および前記短撹拌翼が交互
に取り付けられていることを特徴とする撹拌装置を提供
する。
よび長縦桟から構成され、前記短撹拌翼は短横桟および
短縦桟から構成されている前記撹拌装置であって、前記
長横桟(最下部に位置する長横桟を除く)が前記中心軸
となす角度をθ、前記短横桟(最下部に位置する短横桟
を除く)が前記中心軸となす角度をθ′ とすると、θ
が40〜80度である場合はθ′ が100〜140度
であり、θが100〜140度である場合はθ′ が4
0〜80度である前記撹拌装置、および前記長縦桟およ
び前記短縦桟の横断面形状が各々略正方形であり、前記
略正方形の一辺の長さが前記長縦桟と前記短縦桟とで同
じである前記撹拌装置であって、前記略正方形の一辺の
長さをTとすると、L1とL2の差がTの0.5〜3倍
である前記撹拌装置を提供する。
拌装置を説明する。図1は、本発明の撹拌装置の一形態
を示す平面図である。図1のとおり、前記撹拌装置は、
中心軸10の周囲に回転半径(中心軸の中心から撹拌翼
の先端までの距離)が異なる長撹拌翼40と短撹拌翼7
0とが交互に取り付けられた構造となっており、長撹拌
翼40、短撹拌翼70の回転半径は各々L1、L2(L
1>L2)である。L1およびL2の値は、本発明の前
記撹拌装置が設置される溶融ガラスの流路の幅、ガラス
の粘度、前記撹拌装置の撹拌翼の強度等により調整され
るが、通常20〜250mmである。また、中心軸10
の上端部は図示しない回転駆動装置とつながれており、
中心軸10を回転中心として長撹拌翼40および短撹拌
翼70を任意の速度で回転させることができる。
けるA−A′ 線に沿う縦断面図を表す。前記縦断面図
は長撹拌翼40の一形態を示し、長撹拌翼40は、一端
が中心軸10に対してある角度θをもって取り付けられ
た複数本の長横桟20と、複数本の長横桟20の他端が
取り付けられた長縦桟30から構成されており、その結
果、長撹拌翼40は桟と桟との間に空間を有する梯子状
の構造を有している。
置におけるB−B′ 線に沿う縦断面図を表す。前記縦
断面図は短撹拌翼70の一形態を示し、図3のとおり短
撹拌翼70も、一端が中心軸10に対してある角度θ′
をもって取り付けられた複数本の短横桟50と1本の
短縦桟60とから構成されており、また空間を有する点
も長撹拌翼40と同じである。
撹拌翼を交互に配した前記撹拌装置を、図4のような溶
融ガラスが矢印方向へ流下する円筒縦型の流路100に
設置し回転させた場合、まず、長撹拌翼40の回転によ
って溶融ガラスが流路の壁面100aに押し付けられ、
次いで、押し付けられた溶融ガラスが短撹拌翼70の動
きに引かれ中心軸10の方向に引き込まれ、次の長撹拌
翼40の回転によって撹拌されるといったすり抜け防止
と溶融ガラスの撹拌がくり返し行われるため、結果的に
溶融ガラスの均質性を向上させることができる。
軸10に各々2枚以上交互に取り付けられていることが
必要である。どちらか一方が2枚未満では溶融ガラスの
撹拌が不充分となり好ましくなく、また、交互に取り付
けられていない場合は、すり抜け防止が不充分となり好
ましくない。
記撹拌装置を用いて溶融ガラスを撹拌した場合、空間を
有することにより、溶融ガラスの抵抗を抑えることがで
きる。そのため、前記撹拌装置の回転数を高く設定でき
るとともに、前記撹拌装置の寿命を長くすることができ
る。
けられる角度および短横桟50が中心軸10と取り付け
られる角度についても考察を加えた結果、長横桟20が
中心軸10となす角度をθとし、短横桟50が中心軸1
0となす角度をθ′とした場合、θが40〜80度であ
る場合は、θ′が100〜140度であり、θが100
〜140度である場合はθ′が40〜80度であること
が溶融ガラスの均質化には好ましいことが分かった。こ
のような構造を持つ前記撹拌装置を用いて溶融ガラスを
撹拌した場合、長撹拌翼40および短撹拌翼70が交互
に溶融ガラスを撹拌する度に、交互に異なった部分を撹
拌するため、溶融ガラスを充分に均質化することができ
る。逆に、θおよびθ′が、40度未満または140度
超では、溶融ガラスを撹拌する能力が低下し中心軸の周
囲に滞留素地が生じるため好ましくなく、80度超でか
つ100度未満では隣り合う撹拌翼の横桟が交差しない
ため、異質成分を含んだ溶融ガラスを撹拌する効果が減
少し好ましくない。より好ましくは、θが45〜75度
である場合はθ′が105〜135度であり、θが10
5〜135度である場合はθ′が45〜75度である。
また、長撹拌翼40は複数本の長横桟20から構成され
ており、各々の長横桟20が角度θで中心軸10に取り
付けられているが、各長横桟20でθは同じである必要
はなく、各々異なっていてもよく、θ′も同様である。
撹拌翼70の短縦桟60はすべて中心軸10に対して平
行に取り付けられている。しかし、ガラスの種類や流路
形状によっては、長撹拌翼40の長縦桟30および短撹
拌翼70の短縦桟60を中心軸10の回転方向に対して
傾斜させ、溶融ガラスに上向きの流れや下向きの流れを
付与させることもできる。
は、略矩形が一般的であるが、溶融ガラスに上向きの流
れや下向きの流れを付与させたり、ガラスの粘度に対す
る桟の強度を考慮することにより、前記横断面形状を略
円形や略三角形等としてもよい。また、同様な理由で、
長縦桟30および短縦桟60の横断面形状も略矩形のみ
ならず、略円形や略三角形等であってもよい。
面形状が各々略正方形であり、かつ前記略正方形の一辺
の長さが長縦桟30と短縦桟60とで同じである場合、
前記略正方形の一辺の長さをTとすると、L1(長撹拌
翼40の回転半径)とL2(短撹拌翼70の回転半径)
との差がTの0.5〜3倍であることが好ましい。0.
5倍未満であると、短撹拌翼70が溶融ガラスを中心軸
10の方向に引き込む力が小さくなり、3倍超では、短
撹拌翼70による撹拌が不充分となるため好ましくな
い。より好ましくは、L1とL2との差がTの1〜2倍
である。Tの値は、前記撹拌装置が使用されるガラス流
路の幅や使用条件によって調整されるが、通常5〜50
mmである。また、長縦桟30および短縦桟60の横断
面形状が略正方形であるが、各々の略正方形の一辺の長
さが異なる場合は、Tとして各々の略正方形の一辺の長
さの平均値を用い、横断面形状が略円形の場合はTとし
てその円の直径を用い、略矩形の場合はTとして長辺と
短辺との平均値を用いる。
20および短横桟50のうち、最下部に位置する長横桟
20および最下部に位置する短横桟50は、中心軸10
に対してほぼ垂直に取り付けられている。最下部に位置
する長横桟20および最下部に位置する短横桟50は、
最も流路の底部近くに位置しているため、流路の壁の形
状や撹拌装置の挿入深さ等により最適な形状が他の長横
桟20および短横桟50とは異なる。よって、前記最下
部に位置する長横桟20および最下部に位置する短横桟
50については、前記θおよび前記θ′ の好ましい範
囲に限られない。
に対して耐熱性、耐侵食性のある材料であれば、特に限
定されず、耐熱性に優れた白金または白金ロジウム合金
を使用することが好ましい。また、強度を向上させるた
めに、融点の高いモリブデンを芯材として用い、このモ
リブデン芯材にアルミナをコーティングし、その上に白
金または白金ロジウム合金を被覆した材料なども使用で
きる。
されず、例えば、液晶用ガラス、ブラウン管用ガラス、
建築用ガラス等が使用できる。
るが、本発明はこれらに限定されない。例1が実施例、
例2が比較例である。
量基準とする。以後、%表示は特別な記載ない限り同様
とする。)の白金と10%のロジウムとの合金の板材を
被覆、溶接し、図1〜図3に記載されたような4枚の撹
拌翼を有する撹拌装置を作製した。この時、長縦桟およ
び短縦桟の横断面形状は正方形であり、一辺の長さTが
15mmであった。また、図1上のL1、L2は各々1
15mm、100mmであり、図2上のθ、図3上の
θ′は各々65度、115度であった。
75℃である溶融ガラスが流れる内径250mmの円筒
縦型の流路内に垂直かつ中心に挿入し、当該流路を通し
た後の溶融ガラスを板状に成形し、成形後の板ガラスの
リームを観察することによって撹拌装置の均質性能を評
価した。
成形後の硝子板には連続したリームが観察された。一
方、撹拌装置を回転させ1、3、5、10回転/分と段
階的に回転速度を上げていき、各々10時間ずつ回転さ
せたところ、1回転/分からリームが不連続となり、3
回転/分では断続的な細かいリーム数しか観察されなく
なった。さらに5回転/分と10回転/分ではリームは
観察されなかった。
と10%のロジウムとの合金の板材を被覆、溶接し、例
1の撹拌装置から2枚の短撹拌翼70を取り外した構造
を持った撹拌装置を作製した。つまり、例2の撹拌装置
は、2枚の長撹拌翼40が180度で隣り合った構造と
なっている。この撹拌装置を例1で使用したのと同一の
ガラス流路を用い、例1と同様に撹拌装置の均質性能を
評価した。
例1と同様、成形後の硝子板には連続したリームが観察
された。一方、撹拌装置を回転させ1、3、5、10回
転/分と段階的に回転速度を上げていき、各々10時間
ずつ回転させたところ、回転数を5回転/分まで上げて
も不連続リームが残り、さらには10回転/分において
も細かい断続的なリームは消失しなかった。
挿入し、溶融ガラスの撹拌に用いることにより均質化さ
れたガラスを得ることができる。すなわち、各々2枚以
上の長さの異なる撹拌翼が交互に回転することによっ
て、流路の壁面のすり抜けを防止できるとともに、異質
成分を含んだ溶融ガラスが撹拌され、結果的に溶融ガラ
スの均質性を向上させることができるため、産業的価値
が高い。
態を示す縦断面図
態を示す縦断面図
における縦断面図
Claims (3)
- 【請求項1】溶融ガラスを撹拌し均質化するための撹拌
装置であって、前記撹拌装置は、回転可能な中心軸と、
前記中心軸の周囲に取り付けられた回転半径がL1であ
る長撹拌翼と、前記中心軸の周囲に取り付けられた回転
半径がL2(L1>L2)である短撹拌翼とを含んで構
成され、前記長撹拌翼および前記短撹拌翼の枚数は各々
2枚以上であり、かつ前記中心軸の周囲に前記長撹拌翼
および前記短撹拌翼が交互に取り付けられていることを
特徴とする撹拌装置。 - 【請求項2】前記長撹拌翼は長横桟および長縦桟から構
成され、前記短撹拌翼は短横桟および短縦桟から構成さ
れている前記撹拌装置であって、前記長横桟(最下部に
位置する長横桟を除く)が前記中心軸となす角度をθ、
前記短横桟(最下部に位置する短横桟を除く)が前記中
心軸となす角度をθ′とすると、θが40〜80度であ
る場合はθ′が100〜140度であり、θが100〜
140度である場合はθ′が40〜80度である請求項
1に記載の撹拌装置。 - 【請求項3】前記長縦桟および前記短縦桟の横断面形状
が各々略正方形であり、前記略正方形の一辺の長さが前
記長縦桟と前記短縦桟とで同じである前記撹拌装置であ
って、前記略正方形の一辺の長さをTとすると、L1と
L2の差がTの0.5〜3倍である請求項1または2に
記載の撹拌装置。
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JP2001259748A JP4561017B2 (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | 溶融ガラス用撹拌装置およびガラス製造方法 |
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