JP2003057240A - 免疫測定法 - Google Patents

免疫測定法

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JP2003057240A
JP2003057240A JP2001242679A JP2001242679A JP2003057240A JP 2003057240 A JP2003057240 A JP 2003057240A JP 2001242679 A JP2001242679 A JP 2001242679A JP 2001242679 A JP2001242679 A JP 2001242679A JP 2003057240 A JP2003057240 A JP 2003057240A
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Kenichi Okada
研一 岡田
Riyouko Morioka
量子 森岡
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】酵素免疫クロマトグラフ法における非特異発
色、バックグラウンド発色を低減させ、被検物質の高感
度な検出を可能にする免疫測定法を提供すること。 【解決手段】被検物質に特異的に結合しうる第1の特異
的結合物質を固定化してなる固定相において、被検物質
に特異的に結合しうる第2の特異的結合物質と酵素とを
担体に固定化してなる標識複合体と該被検物質とからな
る複合体を捕捉し、該複合体に含まれる酵素により生ず
る該酵素の基質の反応産物を検出することにより被検物
質を検出する酵素免疫クロマトグラフ法において、酵素
反応阻害物質を、標識複合体と共に展開させ、または標
識複合体の展開の後に展開させ、かつ酵素の基質を該酵
素反応阻害物質の展開の後に展開させることを特徴とす
る免疫測定法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵素免疫クロマト
グラフ法における非特異発色、バックグラウンド発色を
低減させ、被検物質の高感度な検出を可能にする免疫測
定法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年問題となっている大腸菌O157を
はじめとする病原性微生物等の食品中や患者からの検
出、または感染症等の種々の疾患の診断には、標識化免
疫測定法等の免疫測定法が汎用されている。疾患によっ
ては、より迅速な診断が要求される場合も多い。しかし
ながら、かかる方法は、多くの日数、煩雑な操作を要す
ることがある。
【0003】近年、迅速かつ簡便に免疫化学的検査を行
なえる方法として、免疫クロマトグラフ法が注目されて
いる。当該方法は、例えば、以下の行程を経る。被検試
料液中に存在する被検物質に特異的に結合しうる特異的
結合物質(i)を固定化した試験片上の固定相におい
て、該被検物質に特異的に結合しうる特異的結合物質
(ii)と標識物質とを固定化した標識複合体と該被検物
質とからなる複合体を特異的結合物質(i)により捕捉
する。次いで固定相に捕捉された複合体の標識物質を検
出することにより、被検試料液中の被検物質の存在を確
認する。特に標識物質として酵素を用いる場合を酵素免
疫クロマトグラフ法という。酵素免疫クロマトグラフ法
は、迅速かつ簡便ではあるが、酵素反応に由来する非特
異発色およびバックグラウンド発色により、検出、判定
に不具合を生じる場合があるという欠点を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酵素免疫ク
ロマトグラフ法における非特異発色、バックグラウンド
発色を低減させ、被検物質の高感度な検出を可能にする
免疫測定法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、被検物
質に特異的に結合しうる第1の特異的結合物質を固定化
してなる固定相において、被検物質に特異的に結合しう
る第2の特異的結合物質と酵素とを担体に固定化してな
る標識複合体と該被検物質とからなる複合体を捕捉し、
該複合体に含まれる酵素により生ずる該酵素の基質の反
応産物を検出することにより被検物質を検出する酵素免
疫クロマトグラフ法において、酵素反応阻害物質を、標
識複合体と共に展開させ、または標識複合体の展開の後
に展開させ、かつ酵素の基質を該酵素反応阻害物質の展
開の後に展開させることを特徴とする免疫測定法、に関
する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の免疫測定法は、被検物質
に特異的に結合しうる第1の特異的結合物質を固定化し
てなる固定相において、被検物質に特異的に結合しうる
第2の特異的結合物質と酵素とを担体に固定化してなる
標識複合体と該被検物質とからなる複合体を捕捉し、該
複合体に含まれる酵素により生ずる該酵素の基質の反応
産物を検出することにより被検物質を検出する酵素免疫
クロマトグラフ法において、酵素反応阻害物質を、標識
複合体と共に展開させ、または標識複合体の展開の後に
展開させ、かつ酵素の基質を該酵素反応阻害物質の展開
の後に展開させることを特徴とするものである。
【0007】なお、標識複合体と被検物質とからなる前
記複合体は、免疫学的反応により第2の特異的結合物質
と被検物質とが結合し、〔標識複合体〕−〔被検物質〕
からなる免疫複合体として形成される。また、該複合体
の固定相における捕捉は、免疫学的反応により第1の特
異的結合物質と該複合体中の被検物質とが結合し、〔標
識複合体〕−〔被検物質〕−〔第1の特異的結合物質〕
からなる免疫複合体が形成されることにより生ずる。
【0008】例えば、本発明の免疫測定法の実施におい
て後述の試験片を用いた場合、当該試験片上において
は、前記するようにして酵素反応阻害物質を展開させる
ので、標識複合体中の酵素と基質の間に酵素反応阻害物
質が介在することになり、当該酵素と基質の実質的な接
触が生じない(すなわち、酵素が当該酵素の基質の反応
に関与しない)様式で各成分が展開されることになる。
しかしながら、標識複合体と被検物質とからなる複合体
は固定相において一旦捕捉されるとそれ以上展開される
ことはなく、当該複合体中に含まれる酵素は固定相に止
まることになる。それにより酵素反応阻害物質に続いて
展開される基質と接触することができるようになる。す
なわち、展開されうる標識複合体中の酵素は酵素反応阻
害物質の存在により基質の反応に関与しないまま当該標
識複合体と共に展開される一方、捕捉された複合体中の
酵素のみが実質的に基質の反応に関与することになる。
このように、本発明においては、固定相に捕捉された複
合体中の酵素のみが限定的に基質の反応に関与する、と
いう機構を作ることができる。その結果、本発明の免疫
測定法によれば、酵素免疫クロマトグラフ法における非
特異発色、バックグラウンド発色を低減させ、被検物質
の高感度な検出が可能になる。
【0009】なお、本明細書において「第1の特異的結
合物質」と「第2の特異的結合物質」とは単に記載上に
おいて区別するものであり、特異的結合物質である点で
は区別されるものではなく、それらは同一であっても異
なっていてもよい。
【0010】本発明の免疫測定法は、たとえば、吸水性
基材からなる試験片を用いて好適に行うことができ、当
該試験片を用いる場合の好適な態様としては大きく2つ
の態様を挙げることができる。以下においては、本発明
の免疫測定法を、それらの2つの好適な態様をそれぞれ
本発明の第1の態様および第2の態様とし、それらの態
様に基づいて具体的に説明する。
【0011】本発明の第1の態様は、固定相を有する吸
水性基材からなる試験片を用いる態様であり、当該試験
片上に、(a)被検物質を含有する被検試料液、(b)
標識複合体含有液、(c)酵素反応阻害物質含有液、な
らびに(d)酵素基質液をそれぞれ滴下して展開する工
程を含むものである。
【0012】本発明の所望の効果が得られる限り各液の
滴下順序は特に限定されるものではなく、例えば2種以
上の液を混ぜて同時に滴下することもできる。本発明の
所望の効果の発現の観点から、本態様においては、
(a)を滴下して展開し、次いで(b)と(c)とを混
合して得られた混合液を滴下して展開する工程、
(a)を滴下して展開し、次いで(b)を滴下して展開
し、次いで(c)を滴下して展開する工程、(a)と
(b)とを混合して得られた混合液を滴下して展開し、
次いで(c)を滴下して展開する工程、あるいは
(a)と(b)と(c)とを混合して得られた混合液を
滴下して展開する工程を含む方法が好適である。いずれ
の場合も(d)を最後に展開し、酵素により生ずる基質
の反応産物を検出することにより、被検物質の存在を検
出する。
【0013】各液の滴下は、全ての液の滴下位置が固定
相から見て同一の側になるように試験片の一端において
行う。試験片上の各液の滴下位置は、本発明の所望の効
果が得られれば同一であっても異なっていてもよい。各
液の展開は試験片において毛細管現象により自然展開の
形で行われ、当該展開に伴って各液に含まれる各成分が
展開されることになる。標識複合体と被検物質からなる
複合体は、展開の際および/または固定相で複合体とし
て捕捉される際に形成される。基質の反応産物の検出
は、迅速、簡便に当該検出を行ないうる方法により行な
うのが望ましい。中でも、基質の反応産物の検出は、前
記複合体に含まれる酵素による酵素反応により発色性の
産物を生じうる基質(発色性基質)を用い、酵素反応
後、目視により該産物の発色を確認することにより行う
のが好適である。
【0014】なお、本発明に用いられる試験片において
展開移動距離(固定相に最も近い、前記(a)、(b)
および(d)液の少なくとも1種の滴下位置から固定相
までの距離)は、固定相での発色の均一性および発色感
度の観点から、好ましくは0.5cm以上、より好まし
くは1cm以上、固定相への被検物質の到達性、発色感
度および測定時間の観点から、好ましくは8cm以下、
より好ましくは6cm以下に設定するのが望ましい。す
なわち、展開移動距離としては、0.5〜8cmが好ま
しく、1〜6cmがより好ましい。
【0015】本発明の第2の態様は、酵素反応阻害物質
を液体との接触により展開可能に保持させた滴下パッド
部を有する吸水性基剤、または酵素反応阻害物質を液体
との接触により展開可能に保持させた酵素反応阻害物質
保持部を有する吸水性基剤からなる試験片を用いる態様
である。本態様は具体的には、滴下パッド部または酵素
反応阻害物質保持部が、固定相の上流側であり、かつ被
検物質および/または標識複合体の展開に伴って酵素反
応阻害物質を共に展開可能な位置に設けられてなる試験
片上に、(a)被検物質を含有する被検試料液、(b)
標識複合体含有液ならびに(d)酵素基質液を展開する
工程を含むものである。
【0016】なお、本明細書において、「固定相の上流
側」とは固定相から見て前記各液の滴下位置を含む側の
末端側を意味する。
【0017】滴下パッド部とは、酵素反応阻害物質を液
体との接触により展開可能に、試験片を構成する吸水性
基材上に間接的に保持させうる手段をいい、そのように
保持させうる手段であれば特に限定されるものではな
い。好適な態様としては、たとえば、ハイボン4880
C(シンワ社製)、ハイボン4250(シンワ社製)、
GFC(ワットマン社製)等からなる滴下パッドに酵素
反応阻害物質を保持させ、当該滴下パッドを吸水性基材
上に、たとえば、接着することにより貼り合わせ、滴下
パッド部とする態様を挙げることができる。一方、酵素
反応阻害物質保持部は、試験片を構成する吸水性基材上
に直接的に酵素反応阻害物質を液体との接触により展開
可能に保持してなる部分をいう。滴下パッド部および酵
素反応阻害物質保持部の具体的な作成方法については後
述する。
【0018】試験片上における、前記滴下パッド部また
は酵素反応阻害物質保持部の位置としては、本発明の所
望の効果の発現の観点から、(i)前記(b)液の滴下
位置、あるいは(ii)前記(b)液の滴下位置と(d)
液の滴下位置との間が好適である。かかる場合、(a)
液の滴下位置は(b)液の滴下位置と同じでもよい。
【0019】本態様においては、本発明の所望の効果の
発現の観点から、(a)を滴下して展開し、次いで
(b)を滴下して展開する工程、あるいは(a)と
(b)とを混合して得られた混合液を滴下して展開する
工程を含む方法が好適である。本発明の前記第1の態様
と同様、いずれの場合も(d)を最後に展開し、酵素に
より生ずる基質の反応産物を検出することにより、被検
物質の存在を検出する。
【0020】各液の滴下位置、滴下方法、展開様式、基
質の酵素反応産物の検出方法等は、本発明の第1の態様
と同様である。また、試験片における展開移動距離も同
様である。
【0021】前記試験片として用いられる吸水性基材と
しては、水性の液体を吸収可能な性質を有する基材であ
れば特に限定されるものではない。本発明においては、
展開時に被検物質と特異的結合物質との充分な反応を行
うための時間を確保できるような適度な吸水性を有する
吸水性基材が好ましい。かかる吸水性基材の具体例とし
ては、例えば、不織布、濾紙、ガラス繊維布、ガラスフ
ィルター、ニトロセルロース、多孔質膜等が挙げられ
る。
【0022】吸水性基材の吸水性の程度は、たとえば、
厚さ1mm×幅5mm×長さ100mmの吸水性基材の
片端部を水に1分間浸漬した場合に、水に浸漬された部
分とされない部分との境界位置からの吸水距離が0.5
〜5cmであるのが好ましい。また、吸水性の程度は、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアル
コール、ヒドロキシエチルセルロース等の親水性重合体
を、たとえば、吸水性基材の表面に被覆する、もしくは
吸水性基材に含浸させることにより適宜調整することも
できる。
【0023】吸水性基材の形状は、前記各液を展開でき
る形状であれば特に限定されるものではなく、たとえ
ば、矩形のシート状(片状)やロッド状等の形状が好ま
しい。
【0024】固定相は、後述する、たとえば、抗原、ハ
プテン、抗体、核酸等の、被検物質に対する特異的結合
物質を試験片として使用する吸水性基材上に固定化する
ことにより形成することができる。固定化方法として
は、たとえば、公知の物理的吸着法、共有結合法等が挙
げられる。また、固定相に使用する特異的結合物質と親
水性重合体とを含む溶液を吸水性基材上の所望の範囲に
塗布した後、該親水性重合体を凝固させる凝固溶剤に当
該吸水性基材を浸漬することで固定相を形成することも
できる。なお、親水性重合体としては前記例示のものが
挙げられ、凝固溶剤としては、アセトン、エタノール、
メタノール、エーテル等が挙げられる。
【0025】固定相は吸水性基材上の所望の位置に、各
成分の展開方向に対し垂直となる方向の当該吸水性基材
の幅と同様の幅で形成されるのが好ましい。また、吸水
性基材上の固定相の占有面積は吸水性基材の面積に対し
百分率で0.5〜3%であるのが好ましい。たとえば、
厚さ1mm×幅1cm×長さ3cmの吸水性基材を試験
片として用いる場合、固定相は幅1cm×長さ0.5m
mで形成するのが好ましい。
【0026】また、固定相としては、被検物質の存在を
検出可能な範囲で標識複合体と被検物質とからなる複合
体を捕捉できる量以上で特異的結合物質が固定化されて
なるものが好ましい。固定相における特異的結合物質の
固定化量は、被検物質と特異的結合物質との組み合わせ
により適宜決定され得、一概には決定できないが、通
常、特異的結合物質を好ましくは0.005〜5mg/
cm2 の範囲で均一に固定化して固定相を形成するのが
好ましい。
【0027】なお、固定相を形成した吸水性基材は、 被
検対象でないタンパク質の当該基材上への非特異的な吸
着の防止、 展開の容易性、ならびに固定化した特異的結
合物質の保存安定性の観点から、公知の方法に従ってブ
ロッキング剤、界面活性剤および糖を含有する溶液(以
下、処理液という)に浸漬し、乾燥して用いるのが好ま
しい。ここで、使用するブロッキング剤としては、ウシ
血清アルブミン、カゼイン、ゼラチン、スキムミルク、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の吸水
性基材に対し吸着性を有するタンパク質が挙げられる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(10)オク
チルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン
モノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルアリルエ
ーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル等が挙げられる。糖としては、サッカロ
ース、トレハロース等が挙げられる。なお、前記処理液
中のブロッキング剤の含有量は、好ましくは0.1〜1
0重量%である。前記処理液中の界面活性剤の含有量
は、好ましくは0.01〜1重量%である。前記処理液
中の糖の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%であ
る。また、上記操作の実施は、吸水性基材に対し固定相
を形成した後であれば、吸水性基材に対し任意に設けら
れる、酵素反応阻害物質保持部等のその他の部分の形成
の前であっても後であってもよく、前であるのが好まし
い。
【0028】さらに、試験片には、前記固定相および滴
下パッド部または酵素反応阻害物質保持部の他、被検試
料液受領部(被検試料液を滴下するための部分) および
/または酵素基質液受領部(酵素基質液を滴下するため
の部分)を設けてもよい。また、標識複合体受領部(標
識複合体含有液を滴下するための部分)を設けてもよ
い。さらに、固定相を挟んで被検試料液受領部の反対側
に、前記各液の試験片における展開を、その水性液体の
吸収力により促進させうる手段である吸水パッド部を設
けてもよい。吸水パッド部に使用する吸水パッドとして
は水性液体の吸収性に優れる材料が好適であり、たとえ
ば、ガラス繊維性不織布等を使用することができる。
【0029】また、標識複合体を液体との接触により展
開可能に保持させてなる標識複合体保持部(吸水性基材
上に直接または間接的に標識複合体を保持させてなる部
分)を試験片上に形成し、たとえば、被検試料液の展開
に伴って標識複合体を共に展開させてもよい。なお、標
識複合体保持部は前記滴下パッド部および酵素反応阻害
物質保持部に準じて形成することができる。
【0030】本発明によれば、前記第1の態様および第
2の態様において、それぞれ好適に用いられる試験片に
加え、さらに、固定相の上流側に、固定相、標識複合体
相(好ましくは標識複合体保持部)、酵素反応阻害物質
相(好ましくは滴下パッド部または酵素反応阻害物質保
持部)の順で各相が設けられ、各成分が吸水性基材上に
液体との接触により展開可能に保持されてなる試験片を
提供することもできる。かかる試験片は被検試料液およ
び酵素基質液を滴下するのみで迅速・簡便に当該被検試
料中の被検物質の存在を確認することができるので好ま
しい。
【0031】なお、前記被検試料液受領部、固定相等
は、試験片上で前記展開移動距離が確保できる位置に各
々設けられるのが望ましい。
【0032】本発明の免疫測定法により検出されうる被
検物質としては、免疫学的反応(すなわち抗原抗体反
応)により、いわゆるサンドイッチ型の免疫複合体を形
成しうるものであれば特に制限されない。たとえば、細
菌(特に大腸菌O157、メチシリン耐性黄色ブドウ球
菌等の病原性細菌) 、放線菌、酵母、カビ、ウィルス
(特にHIV、HBV、HCV等)等の微生物またはそ
れらに対する抗体、細菌等が産生する毒素、あるいは腫
瘍マーカー抗原等の生体試料中の抗原性ペプチド等が挙
げられる。
【0033】被検試料液とは前記被検物質の存在につい
て試験するための被検試料を含む液体をいい、特に限定
されるものではない。たとえば、食品抽出液、培養液、
血液、血清、尿、便、汗、唾液等が挙げられる。また、
それらを適切な希釈溶媒(例えば、任意の緩衝液等)に
よって希釈した希釈液であってもよい。被検試料は液体
試料であっても、固体試料であってもよい。固体試料の
場合、たとえば、該固体試料を適宜粉砕し、リン酸緩衝
液、生理的食塩水等の溶媒に溶解または希釈することに
より被検試料液を調製することができる。
【0034】固定相および標識複合体の形成に使用され
る特異的結合物質は被検物質に特異的に結合し得る物質
であればよく、被検物質に応じてサンドイッチ型の酵素
免疫測定法において汎用される公知の物質から選択さ
れ、特に限定されるものではない。たとえば、抗原、ハ
プテン、抗体、核酸、エフェクター、レセプター、酵
素、酵素補助因子、酵素阻害剤等が挙げられる。被検物
質との特異的結合性に優れるという観点から、特異的結
合物質としては、抗原、ハプテン、抗体または核酸が好
ましく、抗原、ハプテンまたは抗体がより好ましい。な
お、被検物質が核酸の場合、該核酸と相補的なオリゴヌ
クレオチドが用いられる。
【0035】特異的結合物質として好適な抗原およびハ
プテンとしては、クラミジア・トラコマティス、溶連
菌、百日咳菌、ヘリコバクター・ピロリ、レプトスピ
ラ、トレポネーマ・パリダム、トキソプラズマ・ゴンデ
ィ、ボレリア等の各種微生物抗原、マイコプラズマ脂質
抗原、HA抗原、HBc抗原、HBe抗原、HBs抗
原、HCV抗原、HIV抗原および前記抗原に由来する
ハプテン等が挙げられる。
【0036】また、抗体としては、モノクロナール抗体
やポリクロナール抗体を使用することができる。具体的
には、抗大腸菌抗体、抗カンピロバクター菌抗体、抗ウ
ェルシュ菌抗体、抗腸炎ビブリオ菌抗体、抗ベロトキシ
ン抗体、抗ヒトトランスフェリン抗体、抗ヒトアルブミ
ン抗体、抗ヒト免疫グロブリン抗体、抗マイクログロブ
リン抗体、抗CRP抗体、抗トロポニン抗体、抗HGC
抗体、抗クラミジア・トラコマティス抗体、抗ストレプ
トリジンO抗体、抗へリコバクター・ピロリ抗体、抗β
−グルカン抗体、抗HBe抗体、抗HBs抗体、抗アデ
ノウィルス抗体、抗HIV抗体、抗ロタウィルス抗体、
抗RF抗体等が挙げられる。
【0037】核酸としては、前記抗原として例示された
各種微生物、マイコプラズマ、各種ウィルスに由来する
核酸成分に相補的なオリゴヌクレオチド等が挙げられ
る。
【0038】固定相の第1の特異的結合物質と標識複合
体の第2の特異的結合物質は前記するように同一でも異
なっていてもよいが、本発明の所望の効果の発現の観点
から、以下のように第1の特異的結合物質と第2の特異
的結合物質とを組み合わせて用いるのが好適である。た
とえば、第2の特異的結合物質が抗体の場合、第1の特
異的結合物質としては同じ抗体または当該抗体に対する
抗原の別のエピトープを認識する抗体を使用する。第2
の特異的結合物質が抗原またはハプテンの場合、第1の
特異的結合物質としては同じ抗原またはハプテン、ある
いは第2の特異的結合物質とは異なるが被検物質と特異
的に結合しうる抗原、抗体、ハプテン等を使用する。ま
た、第2の特異的結合物質がオリゴヌクレオチドの場
合、第1の特異的結合物質としては配列は異なるが、被
検物質の他の部分に相補的なオリゴヌクレオチドを使用
する。
【0039】本発明において使用する標識複合体は、前
記特異的結合物質と後述の酵素とを担体に固定化してな
るものである。
【0040】前記担体としては、その表面上に特異的結
合物質および酵素を固定化することができる担体であれ
ば特に限定されるものではなく、たとえば、金属コロイ
ド粒子、水分散型高分子粒子、シリコーン、シリカ、ガ
ラスケイソウ土粒子等が挙げられる。また、被検物質の
検出を阻害しない限り、当該担体の色は特に限定される
ものではなく、着色粒子であってもい。
【0041】金属コロイド粒子としては、金コロイド粒
子やセレニウムコロイド粒子等が例示される。
【0042】水分散型高分子粒子としては、粒径コント
ロール、分散安定性、結合容易性の観点から、ラテック
ス粒子が好ましい。当該粒子は、たとえば、不飽和二重
結合を有する少なくとも1種の単量体の乳化重合によっ
て調製される。かかる単量体としては、たとえば、エチ
レン、プロピレン等のオレフィン系単量体、酢酸ビニ
ル、塩化ビニル等のビニル系単量体、スチレン、メチル
スチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体、メタ
クリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量
体、ブタジエン等のジエン系単量体等が挙げられる。
【0043】また、水分散型高分子粒子としては、その
表面への特異的結合物質および酵素の固定化、後述のス
ペーサーの導入または水分散状態での安定性の向上の観
点から、官能基を有するものが好適である。このような
官能基としては、たとえば、カルボキシル基、水酸基、
グリシジル基、アミノ基、ホルミル基、カルバモイル
基、イソチオシアナート基、アジドカルボニル基、ヒド
ラジド基、酸無水物基等を挙げることができ、好ましく
はカルボキシル基である。かかる水分散型高分子粒子の
調製は、単量体成分として、たとえば、アクリル酸、メ
タクリル酸のようなカルボキシル基を有する単量体、ヒ
ドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレートのような水酸基を有する単量体、またはグ
リシジルメタクリレートのようなグリシジル基を有する
単量体を用い、任意の他の共重合性単量体と共重合させ
ることによって、それぞれカルボキシル基、水酸基およ
びグリシジル基を有する水分散型高分子粒子を得ること
ができる。また、所要の単量体成分を重合させて水分散
型高分子粒子を得た後、その表面に官能基を導入するこ
ともできる。
【0044】さらに市販の水分散型高分子粒子も担体と
して使用することができる。当該水分散型高分子粒子と
しては、たとえば、スチレン−ブタジエン共重合体、ス
チレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の種
々のスチレン共重合体からなるエマルジョン等のスチレ
ン含有物またはその誘導体を単量体成分とする単独重合
体や共重合体のエマルジョン;(メタ)アクリル酸の長
鎖アルキルエステルまたはその誘導体を単量体成分とす
る単独重合体、該単量体成分と(メタ)アクリル酸メチ
ルや(メタ)アクリル酸エチル、グリシジル(メタ)ア
クリレート等との共重合体;前記したスチレンまたはそ
の誘導体と、(メタ)アクリレートエステルやその誘導
体との共重合体;ゴム;ナイロン;ポリウレタン;微結
晶質セルロース等が挙げられる。
【0045】担体の粒子径(平均粒子径)は、その分散
性、ならびに酵素および特異的結合物質の固定化量の良
好性の観点から、好ましくは3μm以下、より好ましく
は2μm以下であり、得られた標識複合体の精製の容易
性の観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ま
しくは0.1μm以上である。すなわち、担体の粒子径
としては、好ましくは0.01〜3μmであり、より好
ましくは0.1〜2μmである。なお、担体の粒子径
は、たとえば、透過型電子顕微鏡により測定することが
できる。
【0046】一方、酵素としては、公知の酵素免疫測定
法において標識として用いられる酵素を好適に使用する
ことができる。たとえば、ペルオキシダーゼ、β−D−
ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコー
スオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、エステラーゼ、β−
D−グルクロニダーゼ等が挙げられる。中でも、より高
感度で安定な検出を達成する観点から、ペルオキシダー
ゼまたはアルカリホスファターゼが好ましい。
【0047】担体への特異的結合物質および酵素の固定
化は公知の方法に準じて行うことができる。特異的結合
物質および酵素の担体への固定化のための結合力として
は、疎水結合(物理的吸着) 、イオン結合、共有結合等
が利用できる。また、たとえば、担体が水分散型高分子
粒子である場合、標識複合体の安定性ならびに特異的結
合物質および/または酵素の当該水分散型高分子粒子上
での自由度を高める観点から、担体と特異的結合物質お
よび/または酵素の間にスペーサーを介在させてもよ
い。スペーサーを構成するスペーサー基として用い得る
化合物としては少なくとも二官能性の有機化合物であれ
ばよく、特に炭素数l〜12の炭素鎖基を有する二官能
性の有機化合物が好ましい。スペーサー基を介在させる
方法は特に限定されるものではなく、スペーサー基の介
在は慣用の方法により行うことができる。
【0048】標識複合体は、特異的結合物質および酵素
を担体に固定化後、たとえば、膜分離法や濾過、遠心分
離法等の慣用の分離法によって、たとえば、固定化を行
った反応場である溶媒等から分離精製することにより得
られる。標識複合体の保存は、水中に浸漬して、または
凍結乾燥して行うことができる。標識複合体含有液とし
ては、得られた標識複合体を、たとえば、10mMホウ
酸緩衝液に懸濁してなるものが好適である。
【0049】標識複合体の表面上に固定化される特異的
結合物質および酵素の総固定量は、使用する担体、特異
的結合物質および酵素の性質や固定化の方法、固定化反
応の時間等により変化するため一概には特定されるもの
ではなく、本発明の所望の効果の発現が得られるよう適
宜調節することができる。たとえば、粒子径が0.2μ
mである担体の場合、総固定量としては、通常、担体の
乾燥重量1g当たり5〜200mgであるのが好まし
い。総固定量は、被検物質の検出の迅速性、感度、再現
性の観点から、5mg以上であるのが好ましい。なお、
担体の「乾燥重量」とは、担体を120℃で2時間乾燥
した後の重量をいう。
【0050】また、かかる場合、被検物質の検出を迅速
かつ正確に行う観点から、標識複合体における酵素の固
定量は、通常、担体の乾燥重量1g当たり5〜200m
g、より好ましくは10〜100mgであるのが望まし
い。酵素を固定化するには、特異的結合物質と酵素とを
任意の割合で担体に固定化すればよい。
【0051】また、担体における酵素の固定量を酵素活
性として表わすことができる。より直接的に標識複合体
の有する酵素活性を知ることができるので、当該固定量
は酵素活性により表わすのが好ましい。酵素の固定量を
酵素活性で表わす場合も、用いる酵素の種類、その基質
等により、本発明の所望の効果の発現にとって適切な酵
素活性の程度は変わるため、当該固定量を一概には特定
することはできないが、たとえば、酵素としてペルオキ
シダーゼを用いる場合、酵素の固定量としては酵素活性
で、通常、担体の乾燥重量1g当たり、好ましくは5,
000〜300,000U、より好ましくは10,00
0〜300,000U、さらに好ましくは50,000
〜300,000Uである。なお、標識複合体に固定化
されたペルオキシダーゼの酵素活性は以下の公知の方法
で測定する:基質であるTMB(3,3’,5,5’−
テトラメチルベンジジン)0.2mg/mlと過酸化水
素0.01重量%とを含む0.1Mクエン酸緩衝液(p
H4.5)3.3mlに、標識複合体0.0125重量
%懸濁液を100μl混合し、25℃で反応を行い、5
80nmの波長で吸光度を経時的に測定し、1分間に当
該吸光度を0.01増加させる酵素活性を1U(ユニッ
ト)とする。このように、本発明において使用する酵素
の酵素活性は、各酵素の公知の酵素活性測定方法により
測定することができる。
【0052】特異的結合物質がペプチドを有する物質、
たとえば、抗体、抗原もしくはハプテンである場合の当
該物質の固定量、および酵素の固定量の測定は、色素結
合法等の慣用のタンパク質定量法により行うことができ
る。特異的結合物質がオリゴヌクレオチドの場合、当該
オリゴヌクレオチドの固定量の測定は波長260nmに
て吸光度を測定することにより求めることができる。
【0053】本発明に用いられる酵素反応阻害物質は、
酵素反応を阻害、抑制し、かつ酵素を不活性化しない物
質であれば特に限定されるものではない。使用する酵素
に応じ、公知の酵素反応阻害物質から任意に選択して使
用することができる。たとえば、酵素として西洋ワサビ
ペルオキシダーゼを用いる場合、アスコルビン酸、アス
コルビン酸Na、システイン等のチオール化合物、カテ
キン等が挙げられる。酵素反応阻害物質含有液として
は、酵素反応阻害物質を、たとえば、蒸留水に溶解して
なるものが好適である。なお、本発明に使用する化合物
でD型およびL型の別が存在する化合物は両型とも使用
することができるが、通常、L型が好ましい。
【0054】本発明において使用される酵素反応阻害物
質の量は、使用される酵素の酵素反応を阻害できる量以
上であれば特に限定されるものではない。例えば、本発
明の前記第1の態様において使用する酵素反応阻害物質
の量としては、標識複合体の酵素活性1U当たり、2〜
10μmolが好ましく、3〜6μmolがより好まし
い。
【0055】また、本発明の前記第2の態様において酵
素反応阻害物質を滴下パッド部または酵素反応阻害物質
保持部に保持させる酵素反応阻害物質の量としては、標
識複合体の酵素活性1U当たり、2〜100μmolが
好ましく、3〜60μmolがより好ましい。
【0056】また、保持部分の単位面積当たりの酵素反
応阻害物質の量としては、0.5〜5μg/mm2 が好
ましく、0.3〜3μg/mm2 がより好ましい。酵素
反応阻害物質は均一に保持されるのが望ましい。
【0057】滴下パッド部または酵素反応阻害物質保持
部は、各成分の展開方向に対し垂直となる方向の吸水性
基材の幅と同様の幅で形成されるのが好ましい。また、
吸水性基材上での占有面積は吸水性基材の面積に対し百
分率で5〜30%であるのが好ましい。
【0058】酵素反応阻害物質を滴下パッド部に保持さ
せる方法としては、前記例示したような滴下パッドに酵
素反応阻害物質を含浸、乾燥させるという方法が挙げら
れる。
【0059】一方、酵素反応阻害物質を吸水性基材上に
保持させて酵素反応阻害物質保持部を形成する方法とし
ては、酵素反応阻害物質溶液を吸水性基材上に塗布した
後に乾燥固定させる方法が挙げられる。
【0060】本発明において使用する酵素の基質として
は、反応産物の検出が可能であれば特に限定されない
が、迅速、簡便に基質の酵素反応産物の検出を行う観点
から発色性基質が好ましい。かかる発色性基質は、使用
する酵素に応じ、公知の酵素免疫測定法において用いら
れる発色性基質から適宜選択することができる。
【0061】発色性基質としては、例えば、酵素がペル
オキシダーゼの場合、ペルオキシダーゼと過酸化水素と
の組み合わせにより反応して発色しうる基質であればよ
く、例えば、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベン
ズチアゾリン)−6−スルホン酸、o−フェニレンジア
ミン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン
(以下、TMBという) 、o−ジアニジジン、3,3’
−ジアミノベンジジン、3−アミノ−9−エチルカルバ
ゾール、4−クロロ−1−ナフトール等が挙げられ、発
色性および無毒性という観点からTMBが好ましい。酵
素基質液としては、発色性基質を、たとえば、クエン酸
緩衝液に溶解してなるものが好適である。
【0062】本発明に用いられる酵素基質液には、酵素
反応に適する条件を得、酵素反応により生じた発色を沈
着させる目的で、任意の緩衝剤、および硫酸デキストラ
ンナトリウム等の化学物質を含有させてもよい。緩衝剤
は、用いる酵素に最適のpHその他の条件を満たすよう
に適宜選択することができる。また、酵素基質液には、
使用する酵素に応じ、基質以外の所望の物質を含有させ
てもよい。例えば、ペルオキシダーゼを酵素として用い
る場合、酵素基質液は、過酸化水素をさらに含有するこ
とが好ましい。酵素基質液における過酸化水素の含有量
としては、0.001〜0.05重量%が好ましく、
0.005〜0.015重量%がより好ましい。
【0063】酵素反応は、酵素基質液を滴下してから好
ましくは5〜15分間程度行う。ただし、反応に要する
時間は酵素、基質、反応条件等に依存するため、特に限
定されるものではない。例えば、本発明の好適な態様に
おいて、発色性基質を用いた場合、試験片上で観察され
る当該発色は、固定相において捕捉された〔被検物質−
標識複合体〕の複合体に含まれる酵素による該酵素の発
色性基質から生じた発色性産物に基づく。すなわち、発
色が観察される場合、固定相には複合体が捕捉されてお
り、したがって、試験片上における発色の観察は被検試
料中の被検物質の存在の指標となる。
【0064】また、本発明の別の態様として、免疫測定
法用キットが提供される。かかるキットとしては、第1
の態様または第2の態様で用いられる試験片をいずれか
含むキットが挙げられる。これらのキットは、さらに標
識複合体、酵素の基質、被検試料等の希釈溶媒等を含ん
でいてもよい。
【0065】
【実施例】調製例1:標識複合体含有液の調製 1)ラテックス粒子懸濁液の作製 スチレン50gと、アクリル酸0.5gと、トリエチレ
ングリコールメタクリレート0.2gと、蒸留水440
gとからなる混合液を窒素ガス雰囲気下で75℃に維持
し、攪拌しながら、重合開始剤としての過硫酸カリウム
0.25gを蒸留水10gに溶解した水溶液を加え、1
0時間重合を行った。その結果、カルボキシル化された
水分散型高分子粒子としてカルボキシル化ポリスチレン
ラテックス粒子(平均粒子径:0.2μm)を得た。
【0066】得られたカルボキシル化ポリスチレンラテ
ックス粒子(以下、ラテックス粒子という)を緩衝液
(0.01Mホウ酸緩衝液、pH8.2)に固形分濃度
が5重量%になるように分散して、ラテックス粒子懸濁
液を得た。
【0067】2)固定化 本実施例では、特異的結合物質として抗体(抗ベロ毒素
1型抗体)と酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ)と
を、上記1)で作製したラテックス粒子に以下のように
して固定化した。
【0068】前記1)で得られたラテックス粒子懸濁液
3mlに、水溶性カルボジイミド〔同仁化学研究所製、
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミド塩酸塩、10mg/m1、0.01Mホウ酸
緩衝液(pH8.2)〕0.6m1と、抗ベロ毒素1型
抗体〔トキシンテクノロジー社、5mg/ml、0.0
1Mホウ酸緩衝液(pH8.2)〕2.1mlとを加え
て、10℃で3時間反応させた。次いで得られた反応物
について、洗浄液として0.01Mホウ酸緩衝液(pH
8.2)を用いて遠心分離操作を用いて洗浄を行い、前
記0.01Mホウ酸緩衝液で固形分濃度5重量%に調製
し、抗体固定化ラテックス粒子懸濁液を得た。
【0069】次いで、上記で作製した抗体固定化ラテッ
クス粒子懸濁液3mlに、水溶性カルボジイミド〔同仁
化学研究所製、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド塩酸塩、10mg/m1、
0.01Mホウ酸緩衝液(pH8.2)〕1mlと、西
洋ワサビペルオキシダーゼ〔以下、HRPと略す、和光
純薬社製、12mg/ml(比活性250〜350U/
mg) 、0.01Mホウ酸緩衝液(pH8.2)〕2m
lとを加えて、10℃で3時間反応させた。次いで得ら
れた反応物について、洗浄液として0.01Mホウ酸緩
衝液(pH8.2)を用いて前記同様に洗浄を行ない、
前記0.01Mホウ酸緩衝液で固形分濃度2.5重量%
に調製し、抗体とHRPとを固定化したラテックス粒子
(標識複合体)の懸濁液(標識複合体懸濁液)を作製し
た。
【0070】得られた標識複合体においてラテックス粒
子乾燥重量1g当たりの、抗体(分子量約1.6×10
5 )の固定量は25.0mg、酵素(分子量約4×10
4 )の固定量は20.0mg、および酵素活性は433
00Uであった。
【0071】3)標識複合体含有液の調製 前記2)で得られた標識複合体懸濁液を緩衝溶液(組
成:0.01Mホウ酸緩衝液、pH8.2)で固形分濃
度0.0032重量%に希釈して、標識複合体含有液を
調製した。
【0072】調製例2:酵素反応阻害物質を含有する標
識複合体含有液の調製 調製例1の2)で得られた標識複合体懸濁液に表1に示
す酵素反応阻害物質各々を加え、次いで緩衝溶液(組
成:0.01Mホウ酸緩衝液、pH8.2)で希釈し
て、標識複合体含有液AおよびBを調製した。得られた
標識複合体含有液における標識複合体および酵素反応阻
害物質の濃度を表1に示す。なお、標識複合体の濃度は
固形分濃度である。
【0073】
【表1】
【0074】調製例3:免疫測定法用試験片の作製 抗ベロ毒素1型抗体(以下、抗VT1抗体と略す、トキ
シンテクノロジー社製、1mg/m1、0.01Mリン
酸緩衝液、0.9重量%NaCl含有、pH7.2)
1.5μlをニトロセルロースメンブレン〔ワットマン
社製、孔径12μm、PET(ポリエチレンテレフタレ
ート)サポート付、6mm×60mm〕の一端から30
mmの箇所に、ディスペンサーを用いてライン状(6m
m×1mm)に塗布し、固定相を配置したメンブレンを
得た。
【0075】得られたメンブレンを、ウシ血清アルブミ
ン(オリエンタル酵母社製、1重量%)と、プライサー
フA212E(第一工業製薬社製、0.1重量%) と、
サッカロース(和光純薬工業社製、1重量%)とを含む
水溶液中に20分間浸漬させた。次いで、得られたメン
ブレンを、室温で16時間乾燥させた。
【0076】固定相からの位置で10〜22mmの範囲
にポリエステル製不織布(7×12mm、厚さ1mm)
を貼り合わせ、被検試料液受領部を作製した。また固定
相からの位置で被検試料液受領部と同じ側の27〜39
mmの範囲にポリエステル製不織布(7×12mm、厚
さ1mm)を貼り合わせ、酵素基質液受領部を作製し
た。
【0077】さらに固定相からの位置で被検試料液受領
部と反対側の20〜50mmの範囲に吸水パッドとして
ガラス繊維製不織布(ワットマン社製、GF/B、15
×30mm、厚さ1mm)を貼り合わせた。前記のよう
にして得られた試験片は一例であり、かかる試験片にの
み限定されるものではない。
【0078】調製例4:酵素反応阻害物質を滴下パッド
部に保持させてなる免疫測定法用試験片の作製 抗VT1抗体1.5μlをニトロセルロースメンブレン
〔ワットマン社製、孔径12μm、PETサポート付、
6mm×60mm〕の一端から30mmの箇所に、ディ
スペンサーを用いてライン状(6mm×1mm)に塗布
し、固定相を配置したメンブレンを得た。
【0079】得られたメンブレンを、ウシ血清アルブミ
ン(オリエンタル酵母社製、1重量%)と、プライサー
フA212E(第一工業製薬社製、0.1重量%) と、
サッカロース(和光純薬工業社製、1重量%)とを含む
水溶液中に20分間浸漬させた。次いで、得られたメン
ブレンを、室温で16時間乾燥させた。
【0080】酵素反応阻害物質(0.05重量%L−ア
スコルビン酸Na、0.01Mホウ酸緩衝液、pH8.
2)0.1mlをポリエステル製不織布(7×12m
m、厚さ1mm)に含浸させ、50℃で2時間乾燥さ
せ、酵素反応阻害物質を保持させてなる滴下パッドを作
製した。この時、滴下パッドにおけるL−アスコルビン
酸Naの量は50μgであり、保持部分の単位面積当た
りのL−アスコルビン酸Naの量は0.6μg/mm2
である。固定相からの位置で10〜22mmの範囲に、
得られた酵素反応阻害物質を保持させた滴下パッドを貼
り合わせ、滴下パッド部を作製した。当該滴下パッド部
を被検試料液受領部として使用した。
【0081】また、調製例3と同様にして酵素基質液受
領部、吸水パッド部を設けた。前記のようにして得られ
た試験片は一例であり、かかる試験片にのみ限定される
ものではない。
【0082】調製例5:酵素反応阻害物質を吸水性基材
上に保持させてなる免疫測定法用試験片の作成 抗VT1抗体1.5μlをニトロセルロースメンブレン
〔ワットマン社製、孔径12μm、PETサポート付、
6mm×60mm〕の一端から30mmの箇所に、ディ
スペンサーを用いてライン状(6mm×1mm)に塗布
し、固定相を配置したメンブレンを得た。
【0083】得られたメンブレンをウシ血清アルブミン
(オリエンタル酵母社製、1重量%)と、プライサーフ
A212E(第一工業製薬社製、0.1重量%) と、サ
ッカロース(和光純薬工業社製、1重量%)とを含む水
溶液中に20分間浸漬させた。次いで、得られたメンブ
レンを、室温で16時間乾燥させた。
【0084】固定相から23mmの箇所に、7重量%L
−アスコルビン酸Na水溶液0.72μlをライン状
(6×3mm)に塗布し、酵素反応阻害物質保持部を作
製した。この時、酵素反応阻害物質保持部のL−アスコ
ルビン酸Naの量は50μgであり、保持部分の単位面
積当たりのL−アスコルビン酸Naの量は2.8μg/
mm2 である。
【0085】また、調製例3と同様にして被検試料液受
領部、酵素基質液受領部、吸水パッド部を設けた。前記
のようにして得られた試験片は一例であり、かかる試験
片にのみ限定されるものではない。
【0086】調製例6:被検試料液の調製 5ng/mlまたは0ng/ml(対照) の濃度になる
ように、ベロ毒素1型(以下、VT1と略す)を緩衝液
(組成:0.2M NH4 Cl、0.9重量%NaC
l、0.1重量%ウシ血清アルブミン、pH8.0)に
添加して、2種類の被検試料液を調製した。
【0087】試験方法 被検試料液100μlを試験片の被検試料液受領部に供
し、被検試料液を展開させた。次いで、直ちに前記試験
片の前記被検試料液受領部に標識複合体含有液50μl
を供し、直ちに酵素基質液受領部に酵素基質液〔組成:
0.05Mクエン酸緩衝液(pH6.0) 、5mMイミ
ダゾール、0.2重量%3,3’,5,5’−テトラメ
チルベンジジン、1重量%ジメチルスルホキシド(DM
SO) 、0.01重量%H2 2 、0.12重量%硫酸
デキストランNa〕100μlを供し、展開させた。展
開後、試験片の固定相における30分後の発色の有無
と、試験片のバックグラウンド発色とを目視観察した。
試験は、調製例6で得られたVT1濃度が5ng/ml
または0ng/ml(対照) である2種類の被検試料液
に対して行なった。
【0088】なお、固定相における発色の判定基準は以
下の通りである。 +:固定相に発色が見られる ±:固定相に弱い発色が見られる −:固定相に発色が見られない
【0089】また、バックグラウンド発色は、その程度
により大か小で示す。
【0090】実施例1および実施例2 調製例2で調製した酵素反応阻害物質を含有する標識複
合体含有液A(実施例1)または標識複合体含有液B
(実施例2)と、調製例3で作製した試験片とを用い
て、上記の試験方法にて試験を行った。
【0091】実施例3 調製例1で調製した標識複合体含有液と、調製例4で作
製した酵素反応阻害物質を滴下パッド部に保持させてな
る試験片とを用いて、上記の試験方法にて試験を行っ
た。
【0092】実施例4 調製例1で調製した標識複合体含有液と、調製例5で作
製した酵素反応阻害物質を吸水性基材上に保持させてな
る試験片とを用いて、上記の試験方法にて試験を行っ
た。
【0093】比較例1 調製例1で調製した標識複合体含有液と、調製例3で作
製した試験片とを用いて、上記の試験方法にて試験を行
った。
【0094】上記実施例1〜4および比較例1で使用し
た標識複合体および酵素反応阻害物質に関するデータを
表2に示し、上記実施例1〜4および比較例1で得られ
た試験結果を表3に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】実施例lおよび実施例2のように酵素反応
阻害物質を含有する標識複合体含有液を用いた場合、対
照では固定相で発色が見られず、VT1濃度が5ng/
mlである被検試料液では固定相で発色が見られた。ま
た、バックグラウンド発色も小さく、良好にVT1を検
出することができた。
【0098】実施例3のように、酵素反応阻害物質を滴
下パッド部に保持させてなる試験片を用いた場合、対照
では固定相で発色が見られず、VT1濃度が5ng/m
lである被検試料液では固定相で発色が見られた。ま
た、バックグラウンド発色も小さく、良好にVT1を検
出することができた。
【0099】実施例4のように、酵素反応阻害物質を酵
素反応阻害物質保持部において吸水性基材上に保持させ
てなる試験片を用いた場合、対照では発色が見られず、
VT1濃度が5ng/mlである被検試料液では固定相
で発色が見られた。また、バックグラウンド発色も小さ
く、良好にVT1を検出することができた。
【0100】一方、比較例1のように、酵素反応阻害物
質を使用しないで免疫測定を行なった場合、対照および
VT1濃度が5ng/mlである被検試料液の両方で固
定相で発色が見られた。また、バックグラウンド発色も
大きく、明確なVT1の検出は困難であった。
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、酵素免疫クロマトグラ
フにおける非特異発色およびバックグラウンド発色を低
減させるという優れた効果が奏されるので、被検物質を
迅速かつ高感度に検出することが可能となる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検物質に特異的に結合しうる第1の特
    異的結合物質を固定化してなる固定相において、被検物
    質に特異的に結合しうる第2の特異的結合物質と酵素と
    を担体に固定化してなる標識複合体と該被検物質とから
    なる複合体を捕捉し、該複合体に含まれる酵素により生
    ずる該酵素の基質の反応産物を検出することにより被検
    物質を検出する酵素免疫クロマトグラフ法において、酵
    素反応阻害物質を、標識複合体と共に展開させ、または
    標識複合体の展開の後に展開させ、かつ酵素の基質を該
    酵素反応阻害物質の展開の後に展開させることを特徴と
    する免疫測定法。
  2. 【請求項2】 固定相を有する吸水性基材からなる試験
    片上に酵素反応阻害物質含有液を滴下して展開する工程
    を含む、請求項1記載の免疫測定法。
  3. 【請求項3】 酵素反応阻害物質の量が、標識複合体の
    酵素活性1U当たり2〜10μmolである、請求項2
    記載の免疫測定法。
  4. 【請求項4】 酵素反応阻害物質を液体との接触により
    展開可能に保持させた滴下パッド部を有する吸水性基
    剤、または酵素反応阻害物質を液体との接触により展開
    可能に保持させた酵素反応阻害物質保持部を有する吸水
    性基剤からなる試験片を用いる、請求項1記載の免疫測
    定法。
  5. 【請求項5】 酵素反応阻害物質の量が、標識複合体の
    酵素活性1U当たり2〜100μmolである、請求項
    4記載の免疫測定法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008533488A (ja) * 2005-03-14 2008-08-21 キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド 反応化学作用を用いるラテラルフロー装置

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