JP2003055834A - メッシュ織編物用高強力ポリエチレン繊維およびメッシュ織編物 - Google Patents
メッシュ織編物用高強力ポリエチレン繊維およびメッシュ織編物Info
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Abstract
ス繊維やポリアリレート繊維よりも優れているポリエチ
レンモノフィラメントを提供する。 【解決手段】 繊維の引っ張り強度11cN/dTex
以上、引っ張り弾性率180cN/dTex以上のポリ
エチレン繊維で繊維断面の長径と短径との比が1.3以
下であり、単糸分繊を補助する油剤成分を付着したメッ
シュ織編物用ポリエチレン繊維。
Description
ド、印刷用スクリーン紗などに利用できる織編物に好適
なポリエチレン繊維及び該繊維をもちいたメッシュ織編
物に関する。
ス線、合成繊維などのモノフィラメントで作られたメッ
シュ織編物が使用されている。印刷用スクリーン紗にポ
リエステル繊維が多量に用いられているが、ステンレス
線に比べてヤングモジュラスが小さく強度も低いために
織物の張力を高めて開口部分の目ずれを低減すること
や、細線化して細かいメッシュでも高い開口率を維持す
ることは困難であった。また、高強力ポリエチレン繊維
は強度・弾性率といった力学特性に優れ、化学安定性に
も優れることから高性能なメッシュ織編物に適した繊維
であるが現在上市されているゲル紡糸法による高強力ポ
リエチレン(例えばダイニーマ(登録商標))は繊維断
面が繭型断面をしており、これを用いて織ったメッシュ
の開口部の形状が糸の回転により変化するために高精度
メッシュ織編物として利用することが困難であった。
織物としては、ステンレス織物が利用されている。ま
た、近年ではポリアリレート系繊維の利用も検討されて
いる。ポリエチレンは、樹脂の融点か低いために耐熱性
は不十分であるものの力学特性はポリアリレート繊維よ
りも優れている。比重が小さいためにステンレス織物に
比べて重力の影響が出にくいなどの利点もある。
成からなる。 1.繊維の引っ張り強度11cN/dTex以上、引っ
張り弾性率180cN/dTex以上のポリエチレン繊
維で繊維断面の長径と短径との比が1.3以下であり、
油剤が付着されてなることを特徴とするメッシュ織編物
用高強力ポリエチレン繊維。 2.油剤が、単糸分繊を補助する成分を含んでなること
を特徴とする1記載のメッシュ織編物用高強力ポリエチ
レン繊維。 3.ポリエチレン繊維が溶融成型されたポリエチレン繊
維であることを特徴とする1記載のメッシュ織編物用高
強力ポリエチレン繊維。 4.1記載の高強力ポリエチレン繊維を用いた織編物で
あって、その一部および全部が直径50μm以下のポリ
エチレン繊維で構成されており、開口率が30〜85%
であることを特徴とするメッシュ織編物。 5.高強力ポリエチレン繊維がモノフィラメントである
ことを特徴とする4記載のメッシュ織編物。
ン繊維とは、85モル%以上のモノマーがエチレンで構
成された直鎖状ポリマーから作られた繊維を意味する。
少量のモノマー例えばα−オレフィン、アクリル酸、メ
タクリル酸、ビニルシラン等との共重合であっても良
い。個々のモノマーは部分的にハロゲン、芳香環、ヒド
ロキシ基、メチル基などの置換基を含んでいても良い。
また、分岐の数、個々の分岐のサイズについては任意で
ある。また、相溶性がある他のポリマーやα−オレフィ
ンとのブレンドポリマーであってもよい。ポリエチレン
は、分子鎖が繊維軸方向に高度に配向した状態で結晶化
すると繊維の単位断面積の炭素原子間共有結合数が多
く、高強度・高弾性率を発現しやすい。分子量が数百万
以上の超高分子量を加工して高強力・高弾性率ポリエチ
レン繊維を作る試みは、Smithらの研究(Poly
mer,21巻、1341頁)などで実施されているが
溶剤を使うために加工中の体積変化に伴って繊維断面が
真円にはならず繭型の断面となる。一方、汎用の重量平
均分子量15〜20万のポリエチレン繊維では加工は容
易であるが到達強度が高々10cN/dTexで弾性率
に関しては、高々120cN/dTex止まりであり、
ポリエステルでは困難な、高精度印刷用途などに利用す
ることができなかった。
重量平均分子量5〜60万の高密度ポリエチレンが好ま
しい。分子量がおよそ5万以下では、加工性が良好では
あるが強度が不十分となりやすい。また、分子量がおよ
そ60万を越えると溶融成形加工が極めて困難になり好
ましくない。高い強度を実現するために、分子量分布が
狭く重量平均分子量と数平均分子量との比が小さいポリ
マーを選択することが好ましい。
よび弾性率はそれぞれ、11cN/dTexおよび18
0cN/dTex以上であることが好ましい。強度もし
くは弾性率がこの値よりも低いと50μm以下の細繊度
モノフィラメントで作ったメッシュ織編物の強度が不十
分で取り扱いが難しくなり使用が著しく制限されてしま
う。さらに好ましいポリエチレンの強度は12cN/d
Tex以上、最も好ましくは13cN/dTex以上で
ある。より好ましいポリエチレン繊維の弾性率は200
cN/dTex以上以上、さらに好ましくは250cN
/dTex以上以上、最も好ましくは300cN/dT
ex以上以上である。このような高性能ポリエチレン繊
維を製造する手段としては、紡糸工程で紡糸口金からの
吐出線速度(Vo)と引き取り速度(Vw)との延伸比
(Vw/Vo)を高めることが重要である。好ましい延
伸比の範囲は、150〜1000である。延伸比が10
00を越えると紡糸工程での配向結晶化が著しく延伸倍
率の低下が顕著になる。このようにして得られた未延伸
糸を延伸する。好ましい延伸倍率は、8倍以上である。
延伸工程は、多段で温度を各段毎に変更して行っても良
いが融点近くの温度条件下で1段延伸しても良い。局所
的に加熱して高い張力で延伸するゾーンドローイングも
有効な延伸となる。
維の要件として、繊維の断面形状が真円に近いことが重
要である。高精度印刷用途では、メッシュの目ずれが少
ないことも重要であるが、モノフィラメント線径の精度
も重要である。線径の精度を悪化する要因として、繊度
斑と断面形状の真円度(長径/短径)が関わる。これら
の要因は製織機での糸癖として現れるので特に管理する
ことが好ましい。好ましい繊度斑の範囲は、変動係数
(正規分布を仮定して標準偏差を平均値で除した数値)
が15%以下である。繊維の真円度は重要で1.3以下
であることが好ましい。250メッシュ以上のファイン
メッシュでは開口サイズ自体が小さくなるので真円度は
さらに小さいことが好ましく1.2以下であることが好
ましい。最も好ましい真円度は1.0〜1.1である。
繊維を工業的に安価に製造する要件としてモノフィラメ
ントを複数本束ねて1本のヤーンとしてチーズに巻き取
り、織編物を作る工程で単繊維に分繊してビームを仕立
てる必要がある。このような形態で繊維を供給しないと
紡糸設備単位の生産能力が小さくなり、設備コストと生
産量とのバランスが悪くなることで繊維の価格が高くな
る。好ましい1チーズあたりのフィラメント数は6本以
上、より好ましくは10本以上さらに好ましくは14本
以上である。
は前述のように、モノフィラメントに分繊する必要があ
る。好ましい繊維油剤の特性として、分繊工程での繊維
のダメージを軽減するために繊維対金属摩擦係数が小さ
いものが好ましい。さらに重要なことは繊維間の粘着を
弱め容易に分繊できることが好ましい。また、スクリー
ン用繊維をしては水洗で織物から油剤が落とせるような
特徴も具備することが好ましい。従って好ましいタイプ
の油剤は水系エマルジョンとして調合された物である。
特に、平滑成分が重要で炭素数1〜20の一価もしくは
多価アルコールのアルキレンオキサイドのブロックもし
くはランダム付加共重合体であるポリエーテル化合物や
オイレルラウレート、オイレルオレートなどの一価のア
ルコールと一塩基性脂肪族カルボン酸のエステルなど、
その他アルキレンオキサイド付加エステルが好ましい。
油剤の主成分となる平滑成分の粘性係数が比較的小さ
く、ヤーンの分繊に悪影響がない組成が特に好ましい。
面には紡糸工程の工程通過性を改善するための抗酸化剤
や滑剤を含有しても良い。また製織時や印刷時の対擦過
性を改善するための無機粒子を利用することが好まし
い。利用できる無機粒子としては、酸化チタン、炭酸カ
ルシウム、酸化ジルコニウム、アルミナ、シリカ、ジル
コニアである。このような無機粒子はポリマー造粒工程
までに添加することが好まし。
適なメッシュ織編物で、従来のポリエステルメッシュ織
物では利用できなかった高性能を実現するためには、メ
ッシュが細かく、開口率が十分という特性を付与する目
的の為には、細いモノフィラメントの利用が必須であ
る。好ましいモノフィラメントの直径は、50μm以下
である。より好ましくは40μm以下、さらに好ましく
は30μm以下である。前述のように、細い繊維を利用
する場合には繊維強度および繊維弾性率が高いものを選
択する必要がある。メッシュ織編物の開口率は大きい方
が好ましいが、大きすぎると目ずれにより開口形態の均
一性が悪くなるといった理由で高くても85%までのも
のを利用することが好ましい。また開口率が小さい織編
物は、太い素材でも構成できるばかりでなく、スクリー
ン紗や濾布、篩いとしての有効開口部が小さくなるため
に実用上好ましくないので30%以上であることが好ま
しい。さらにこのましい開口率の範囲は40%〜80%
である。
強くしたり、樹脂を塗布して目止めをしたりすることが
できる。また、原着糸と交織、交編することや、繊維直
径が異なる糸と交編、交織することにより目印や意匠を
加えたりすることが可能である。
業用資材として実用性を高め、利用分野を拡大する効果
が期待でき、特に、液体用フィルター、防虫編網、隔離
壁、捕集網、スクリーン印刷用基布、補強布等広範囲に
わたる用途に使用できる。
る。 <モノフィラメント直径の評価方法>繊維をエポキシ樹
脂で包埋してからミクロトームを用いて切断し、切断端
を金属顕微鏡で撮影して引き延ばした写真をマイクロゲ
ージと照合して断面の長径と短径を計測する。任意の断
面写真10枚で、個々に平均直径(長径と短径の平均
値)と真円度(長径/短径)を計測し、10断面の測定
値の平均値をその資料の代表値として用いる。
力は、JIS-L1017(1983年)に準じて引張
試験機(A&D社製、型式UTM−1T)にタイヤコー
ド用つかみ具を取り付けて測定した。
実施例に限定されるものではない。
0、数平均分子量50,000の高分子量ポリエチレン
に抗酸化剤とシリカ粒子を加えてペレットに造粒した。
溶融紡糸設備にペレットを供給し孔径1.2mm、16
ホールの紡糸口金より、紡糸温度300℃で32g/分
で吐出した。23℃のクロスフロークエンチで冷却した
後、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのラン
ダム共重合成分を主成分とする水系エマルジョンを繊維
重量に対して油分で1.2重量%付与して引き取り速度
200m/分で巻き取った。
ルと100℃のロールとの間で3倍に延伸糸し連続して
100℃のロールと常温のドローロールとの間に105
℃のプレートヒーターを設けて5倍の延伸をしてトータ
ル延伸倍率15倍で直径30.3μm、強度14cN/
dTex、弾性率290cN/dTexのモノマルチフ
ィラメントを得た。この繊維の真円度は1.07であっ
た。
メントを分繊して製織用のビームを作成した。分繊は毎
分200m/分の速度で安定に行うことができた。引き
続き製織機を用いて300メッシュの織物を得た。目ず
れ発生がない開口率42%の高品位スクリーンが得られ
た。
り速度を400m/分として、延伸倍率を50℃のフィ
ードロールと100℃のロールとの間で2倍に延伸糸し
連続して100℃のロールと常温のドローロールとの間
に105℃のプレートヒーターを設けて6倍の延伸をし
てトータル延伸倍率12倍で直径23.9μm、強度1
5cN/dTex、弾性率370cN/dTexのモノ
マルチフィラメントを得た。この繊維の真円度は1.1
2であった。
シュの開口率44%の目ずれ発生がないスクリーンを得
ることができた。
000、数平均分子量510,000の超高分子量ポリ
エチレンを10wt%のデカヒドロナフタレン溶媒のス
ラリーとし230℃で混練後ゲル紡糸し、得られたゲル
を130℃の熱風循環式加熱装置中で9倍延伸し、単糸
繊度3dTexのポリエチレンモノフィラメントを得
た。繊維強度19cN/dTex、弾性率は680cN
/dTexであった。このモノフィラメントの真円度は
3.1であった。
優れた強度・弾性率を活かした高性能メッシュ織物を得
ることができる。
Claims (5)
- 【請求項1】繊維の引っ張り強度11cN/dTex以
上、引っ張り弾性率180cN/dTex以上のポリエ
チレン繊維で繊維断面の長径と短径との比が1.3以下
であり、油剤が付着されてなることを特徴とするメッシ
ュ織編物用高強力ポリエチレン繊維。 - 【請求項2】油剤が、単糸分繊を補助する成分を含んで
なることを特徴とする請求項1記載のメッシュ織編物用
高強力ポリエチレン繊維。 - 【請求項3】ポリエチレン繊維が溶融成型されたポリエ
チレン繊維であることを特徴とする請求項1記載のメッ
シュ織編物用高強力ポリエチレン繊維。 - 【請求項4】請求項1記載の高強力ポリエチレン繊維を
用いた織編物であって、その一部および全部が直径50
μm以下のポリエチレン繊維で構成されており、開口率
が30〜85%であることを特徴とするメッシュ織編
物。 - 【請求項5】高強力ポリエチレン繊維がモノフィラメン
トであることを特徴とする請求項4記載のメッシュ織編
物。
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2001
- 2001-08-09 JP JP2001242609A patent/JP4366626B2/ja not_active Expired - Fee Related
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