JP2003055480A - 防汚染性保護フィルム及び接着シート - Google Patents

防汚染性保護フィルム及び接着シート

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JP2003055480A
JP2003055480A JP2001243985A JP2001243985A JP2003055480A JP 2003055480 A JP2003055480 A JP 2003055480A JP 2001243985 A JP2001243985 A JP 2001243985A JP 2001243985 A JP2001243985 A JP 2001243985A JP 2003055480 A JP2003055480 A JP 2003055480A
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Tsuneyoshi Saito
常良 斎藤
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3M Innovative Properties Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】初期汚染を効果的に防止すると同時に、経時で
の耐汚染性の低下を効果的に防止し、使用直後から比較
的長期間にわたり高い耐汚染性を発揮可能な防汚染性保
護フィルムおよびそれを用いた接着シートの提供。 【解決手段】成膜性樹脂から形成され、2種類の親水性
防汚染剤を含み、第1の親水性防汚染剤が無機酸化物系
親水性防汚染剤であり、第2の親水性防汚染剤が表面ブ
リード性の親水性防汚染剤である防汚染性保護フィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、防汚染性保護フィルム
およびそれを表面に有する接着シートに関する。接着シ
ートは、屋外で使用される被着体(建築物の壁および窓
ガラスや、車両、航空機、船舶のボディなど)に接着さ
れる。
【0002】
【従来の技術】屋外で使用される物品の表面には、表面
を種々の汚れから防いで、外観を美しく保つ保護皮膜を
形成したり、そのような保護皮膜を有する粘着剤付きの
粘着シートを貼りつけたりすることが行なわれいる。こ
の保護皮膜に用いられている材料としては、従来、撥水
性作用のある合成樹脂や、撥水性を高めるためにフッ素
系材料やシリコン系材料を含むものが使用されてきた。
しかし、これらの撥水性を利用したものには、次のよう
な欠点が指摘されていた:
【0003】(1)親水性汚染物質(汚泥、砂塵、ほこ
り等)の場合、保護皮膜の表面が水をはじくため、水滴
となってころがり落ちやすいが、落ちないで表面に残っ
た水滴がそのまま乾燥し、その乾燥跡に汚染物質が付着
し、点状の汚れを形成する。さらに、表面の親水性が低
いため、一度付着したこの様な汚染物質が、雨等の自然
洗浄作用では除去され難い。
【0004】(2)親油性汚染物質(廃棄ガス、煤煙
等)の場合、保護層表面は比較的親油性が高く、親油性
汚染物質は付着しやすい。
【0005】これらの欠点を改善する手段として、最
近、表面を撥水性にするのではなく、逆に親水性(対水
接触角を低くする)にすることが提案されている。これ
は、表面を親水性にした場合には、親水性汚染物質は付
着するが、雨等の自然浄化作用により除去され、一方、
親油性汚染物質は親水性表面に付着し難い、という性質
を利用するものである。
【0006】上記のように、理論上は優れているもの
の、保護皮膜表面を親水性にすることは簡単なことでは
ない。一般的に皮膜を形成する材料は合成高分子である
が、合成高分子材料自体は一般に親油性であって、親水
性ではない。合成高分子自体を親水性基を導入して親水
性にすることも考えられるが、塗膜全体が親水性になっ
てしまうと、塗膜自体の耐水性や耐久性に問題が起こ
る。したがって、現在簡便かつ有効な方法として検討さ
れているのが親水性を有する添加剤あるいは親水性を付
与する添加剤、(本明細書中では「親水性防汚染剤」と
呼ぶ。)を保護皮膜内に添加する方法である。
【0007】親水性防汚染剤と呼ばれるものは、一般的
な界面活性剤のようなものではなく、特殊な添加剤とし
て認識されている。何故ならば、一般的に認識されてい
る界面活性能を有するものでは、皮膜自体の耐水性や耐
久性あるいは基材との密着性が悪くなるので、そのよう
なものではなく、皮膜性能を低下させずに表面のみを親
水化させることを目的として開発がなされてきている。
【0008】例えば、特開2001−89721号公報
および特開平8−337771号公報には、特定の親水
性防汚染剤と、それを樹脂皮膜に配合することが記載さ
れている。この親水性防汚染剤は、比較的低分子量の化
合物であり、塗膜表面にブリードし、そこで化学分解し
て親水性化学種を発生させ、塗膜表面に親水性を付与す
る。この親水性防汚染剤は、ブリード後に皮膜表面に局
在化して、高い対汚染性を示すが、表面に局在して存在
することが逆に表面が経時的に摩耗などにより削り取ら
れたり、施工時に表面が削り取られたりした時に対汚染
性が極端に低下する欠点を有している。
【0009】一方、特開平11−267585号公報に
は、親水性防汚染剤を配合した保護層が開示されてい
る。この保護層は、不揮発分比で(A)成膜性樹脂成分
30〜90重量%、(B)硬化剤成分10〜70重量
%、(C)親水性防汚染剤1〜50重量%からなるクリ
ヤーコート塗料から形成され、成分(C)の親水性防汚
染剤としては、オルガノシリケート、オルガノシリケー
ト縮合物、無機酸化物ゾル(酸化アルミニウムゾル、酸
化ケイ素ゾル、酸化ジルコニウムゾル、酸化アンチモン
ゾル等)などが開示されている。このクリヤーコート塗
料は、硬化樹脂と無機酸化物系親水性防汚染剤との組合
せからなり、この塗料で被覆された物品に、改善された
耐汚染性、耐候性等の保護効果を付与する。同様の塗料
は、特開平9−302257号公報にも開示されてい
る。しかしながら、無機酸化物系親水性防汚染剤は、硬
化樹脂の樹脂マトリックス中に捕捉されてしまい、前述
の表面に局在する親水性防汚染剤とは逆に、使用初期
(施工直後から1ヶ月以内)に、保護層表面を十分な親
水化度、例えば水接触角を70度未満にすることが困難
であった。この場合、皮膜表面の親水性は、時間が経過
すれば、特に使用後半年程度経過すれば、十分なものと
なり、対汚染性が向上していくものの、初期汚染を防止
することは難しかった。この親水性が遅れて発現する理
由は、樹脂マトリックスの摩耗などによる親水性防汚染
剤の表面への露出、あるいは親水性防汚染剤自体の化学
的変化による親水性のレベルの上昇などによるものと考
えられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、初期
汚染を効果的に防止すると同時に、経時での耐汚染性の
低下を効果的に防止し、使用直後から比較的長期間にわ
たり高い耐汚染性を発揮可能な防汚染性保護フィルムを
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、成
膜性樹脂から形成され、2種類の親水性防汚染剤を含
み、第1の親水性防汚染剤が無機酸化物系親水性防汚染
剤であり、第2の親水性防汚染剤が表面ブリード性の親
水性防汚染剤である防汚染性保護フィルムを提供する。
【0012】本発明では、2種類の親水性防汚染剤を保
護フィルム中に配合し、その内の1種を表面ブリード性
のものとし、もう一方を無機酸化物系のものにする。表
面ブリード性の親水性防汚染剤は、保護フィルムの形成
後、表面付近にブリードして表面を親水性にし、施工あ
るいは使用直後から親水機能に基づく防汚染性を発揮す
るようにする。一方、無機酸化物系の親水性防汚染剤
は、保護フィルムのマトリックス内に残り、表面層が摩
損などにより機能を発揮し得なくなったときに、表面層
に代わって親水機能に基づく防汚染性を発揮するように
する。
【0013】本発明の防汚染性保護フィルムは、主とし
て支持体上に形成され、支持体のもう一方の表面には接
着層が形成され、接着シートとして利用される。この接
着シートは、保護を必要とする物品上に接着層を介して
接着され、物品の保護機能を発揮する。
【0014】
【発明の実施の形態】(防汚染性保護フィルム)本発明
の防汚染性保護フィルムは、通常、成膜性樹脂から形成
され、その樹脂中に前述の2種類の親水性防汚染剤を含
む。
【0015】成膜性樹脂は、塗料等に一般的に用いられ
る樹脂であって、皮膜形成性を有するもので、三次元網
目構造を形成する硬化性樹脂あるいは三次元網目構造を
形成しない非硬化性樹脂のいずれであってもよい。保護
フィルムの耐久性などの観点から、三次元網目構造をも
つ硬化成樹脂の利用が好ましい。使用しうる非硬化性の
成膜性樹脂の例としては、アクリル樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩
化ビニル樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンポリウレア
等の変性シリコーンも含む)などが挙げられる。硬化性
樹脂は一般的に熱や光などの作用により硬化、即ち三次
元網目構造を形成する樹脂として知られているものでよ
く、例えばエポキシ樹脂などが知られている。また、前
記非硬化性樹脂の分子中に反応性基を導入し、これを硬
化剤により硬化するものであってもよい。硬化の形態と
しては、熱硬化、光硬化が一般的であるが、そのほかど
のようなものでもよい。硬化樹脂中に導入する反応性基
としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミ
ノ基等が一般的であり、硬化剤としては、ポリイソシア
ネート化合物、エポキシ化合物、メラミン樹脂などが例
示される。
【0016】硬化性樹脂が、硬化剤を含む場合は、硬化
剤の使用量は、成膜性樹脂組成物中に5〜60質量%、
好ましくは10〜50質量%である。硬化性樹脂の硬化
前あるいは非硬化性樹脂の数平均分子量(GPC測定に
よるスチレン換算値)は、通常10,000〜500,
000、好適には15,000〜300,000であ
る。
【0017】保護フィルムに配合する親水性防汚染剤
は、前述のように、表面ブリード性のものと無機酸化物
系のものの2種類である。以下、その2種類について説
明する。
【0018】(表面ブリード性の親水性防汚染剤)この
タイプの親水性防汚染剤は、塗膜中で表面ブリード性
(表面移行性)を示すものであって、塗膜表面への親水
性の付与を可能とするために、分解して親水性基を生成
する分解性基を分子内に有する化合物である。この様な
分解性基は、光分解、熱分解または加水分解で親水性基
を生成するものが好ましい。特に好適には、前記分解性
基が、光分解、熱分解または加水分解により親水性基を
生成する官能基であって、含フッ素保護基または含ケイ
素官能基を含んでなる官能基である。含フッ素保護基
は、分解後に親水性基を生成する部位と分かれて脱離す
る性質を有する。また、含フッ素保護基は、表面ブリー
ド性を高める様に作用する。一方、含ケイ素官能基は、
分解後に脱離するもであっても良いが、好適には、分解
後にケイ素原子に結合した水酸基やオキシヒドロキシ基
等の親水性基を生成するものが良い。なお、表面ブリー
ド性の親水性防汚染剤の分子量は、表面ブリード性を有
する限り特に限定されないが、通常数平均分子量100
〜9,000、好適には200〜6,000である。
【0019】本発明で好適に使用できる表面ブリード性
の親水性付与剤(親水性防汚染剤)は、たとえば、次式
[I]で表される化合物である。 Z−X−O−Rf [I] (上記式中、Zは、炭化水素基または置換炭化水素基か
らなる有機基であって、ケイ素原子を含んでいても良
い。XはC=O(カルボニル)またはSO、Rfはフ
ッ素置換炭化水素基からなり、水素原子の一部または全
部がフッ素原子で置換された有機基で、酸素原子を含ん
でいても良い。)
【0020】この化合物は、熱または光の励起エネルギ
ーにより反応し、式中のRfと、酸素原子との間の結合
が解離する。解離により発生したカルボン酸基、スルホ
ン酸基などの親水性基(式中のX−Oを含む部分)を有
する化学種が、保護フィルム表面の親水性を効果的に高
める。
【0021】親水性防汚染剤は、上記式[I]における
Rfが、フッ素を含まない有機基であっても良い。ま
た、上記のものの他、下記式[II]で表される有機ケ
イ素化合物であっても良い。 Y−O−Rf [II] (上記式中、Yは、シロキサン基、シリレン基、シラン
化合物残基、珪酸塩残基等のケイ素含有官能基を有し、
加水分解性して親水性化学種を発生させるユニット、R
fは、式[I]の場合に準ずるフッ素置換炭化水素基か
らなる有機基である。)
【0022】上記の様な表面ブリード性の親水性防汚染
剤の市販例としては、ダイキン工業(株)社製含フッ素ポ
リシロキサン(品番)GH−100、GH−700、東
亜合成(株)社製の含フッ素有機シラン化合物(商標)
ザフロンFC−2250C(分子内にフッ素素樹脂ユニ
ットと有機シランユニットとを有する。)、信越シリコ
ン(株)社製の(品名)シリコーンオリゴマー(品番)
X−41−1053(分子内にメトキシ基を有する有機
基とアルコキシシラン基有する。)等を挙げることがで
きる。
【0023】(無機酸化物系親水性防汚染剤)無機酸化
物系の親水性防汚染剤の例としては、(i)オルガノシ
リケート化合物(オルガノシリケート、オルガノシリケ
ート縮合物等)等のケイ素酸化物含有化合物、(ii)
酸化ケイ素ゾル、酸化アルミニウムゾル、酸化ジルコニ
ウムゾル、酸化アンチモンゾル等の無機酸化物ゾルが挙
げられる。この様な化合物として好適なものは、前掲の
特開平9−302257号公報や特開平11−2675
85号公報に開示されている。
【0024】無機酸化物系親水性防汚染剤として好適な
ものは、オルガノシリケート化合物である。オルガノシ
リケート化合物は、例えば、シリカゾル等の無機酸化物
ゾルの表面に担持されたシランカップリング剤(ケイ素
酸化物系表面処理剤)や、粒子表面が有機ポリマ−で被
覆されたシリカゾルの形で使用される。ゾルの平均粒子
径は、通常100nm以下である。
【0025】本発明によれば、保護フィルムは、成膜性
樹脂および2種類の親水性防汚染剤を含有する保護フィ
ルム用組成物を塗布することにより形成される。保護フ
ィルム用組成物には、必要に応じて硬化剤、種々の添加
剤を配合することができる。この組成物は、溶剤などで
塗布可能な粘度に希釈することができる。2種類の親水
性防汚染剤の合計含有量は、特に限定されないが、成膜
性樹脂100質量部に対して、通常1〜70質量部、好
適には3〜60質量部、特に好適には5〜50質量部の
範囲である。親水性防汚染剤の量が少なすぎると、保護
層の親水性が不足し、耐汚染性等の保護効果が低下する
おそれがあり、反対に量が多すぎると、膜性能および下
層の支持体との接着性が悪化する恐れがある。表面ブリ
ード性の親水性防汚染剤のみの含有量は、成膜性樹脂1
00質量部に対して、通常0.3〜30質量部、好まし
くは0.5〜20質量部、より好ましくは1〜10質量
部である。表面ブリード性の親水性防汚染剤の量が少な
いと、表面の親水性が低下し、初期汚染を防止できない
恐れがあり、逆に多いと保護フィルム表面に有機基が配
合した膜が生成し、親水性が低下する。また、無機酸化
物系の親水性防汚染剤の量が減り、長時間耐防汚染性を
保持できない。
【0026】得られた保護フィルム用組成物(塗布液)
を、支持体表面上に塗布、乾燥または硬化して塗膜化す
るのが良い。硬化条件は特に限定されないが、通常、8
0〜150℃の温度、1〜20分で行う。
【0027】本発明の保護フィルムを、着色層や印刷層
を有するシートの保護層として用いた場合、保護層の透
明性が低下すると、下地のシートの色や図柄が見え難く
なる。従って、保護フィルムの光透過率は、通常80%
以上、好適には90%以上が好ましい。なお、本明細書
における「光透過率」は、JIS K 7105「光線
透過率測定法」に準ずる方法で測定した光線透過率であ
る。
【0028】防汚染性保護フィルムの厚みは、通常0.
1〜15μm、好適には1〜10μmである。本発明の
防汚染性保護フィルムの場合、表面ブリード性の親水性
防汚染剤が表面にブリードして表面に層を形成すること
も考えられるが、上記厚さは、この表面ブリード層を含
むものと考える。
【0029】防汚染性保護フィルムは、通常は使用初期
(施工直後から1ヶ月以内)に、好適には使用初期及び
その後も、表面の水接触角が70度未満、好ましくは6
5度以下の所定の範囲に制御されるのが好ましい。保護
フィルム表面の水接触角が65度以下であれば、耐汚染
性を効果的に高め、これを使用直後から長期にわたって
維持することが可能である。
【0030】耐汚染性の観点からは保護フィルム表面の
水接触角の下限は特に限定されない。しかしながら、本
発明の接着シートの保護層表面に別の接着シートを重ね
て接着する(重ね貼りする)場合もある。この様な場
合、重ね貼りされた接着シートの耐水接着力の低下を効
果的に防止するために、保護層表面の水接触角を35度
以上にした方が良い。
【0031】(接着シート)本発明による接着シート
は、支持体と、支持体裏面に配置された接着層と、支持
体表面に配置された親水化塗膜からなる保護フィルムを
保護層として備えている。支持体は、通常は可撓性ポリ
マーを含有する。また、ポリマー単層からなっていても
良いが、2層以上の積層体から形成しても良い。支持体
のポリマーは、たとえば、アクリル系、ポリオレフィン
系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリ塩化ビニル
系、シリコーン系のポリマーが使用できる。支持体全体
の厚さは、通常20〜200μm、好適には30〜15
0μmである。支持体中には、顔料等の着色剤を含有さ
せても良い。顔料の含有量は、支持体全質量に対して、
通常1〜80質量%である。また、着色剤の他、本発明
の効果を損なわない限り、紫外線吸収剤、熱安定剤、可
塑剤等の添加剤を添加しても良い。
【0032】支持体の裏面に配置される接着層は、通常
の接着シートにおいて使用されるものが使用できる。通
常、感圧接着剤(粘着剤)、感熱接着剤(ホットメルト
接着剤を含む)、溶剤活性型接着剤等の接着剤を含む層
である。接着剤としては、たとえば、加工性、施工性、
耐候性を考慮した場合、アクリル系粘着剤を用いるのが
好適である。粘着剤中には、耐候性を向上させるための
紫外線吸収剤、熱安定剤を添加することができる。ま
た、接着力を向上させるために、架橋剤(硬化剤)、粘
着付与剤、可塑剤などを添加することができる。表面に
歪みや凹凸のある被着体や曲面を有する被着体に接着す
ることを考慮した場合、5〜50N/25mmの剥離強
度(180度剥離、300mm/分)を有する接着剤が
好適である。
【0033】接着剤は、アクリル系粘着剤の他、ポリオ
レフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、シリコ
ーン系(シリコーンポリウレア等の変性シリコーンも含
む)、エポキシ系の接着剤も使用できる。接着層は、接
着剤を含む塗布液の塗膜から形成できる。また、接着層
の厚さは、特に限定されないが、通常5〜500μm、
通常10〜300μmの範囲である。
【0034】建築物の壁面や看板等の、屋外で使用され
る被着体表面に接着された接着シートの場合、接着シー
ト(第1接着シート)の表面(すなわち、保護フィルム
表面)に、別の接着シート(第2接着シート)を重ね貼
りすることがしばしばある。たとえば、看板の表面にま
ず第1接着シートを下地として接着し、次にその表面
に、図案、文字等の形にカットされた第2接着シートを
接着し、接着構造体を形成する。この様な場合、親水化
塗膜と接する第2接着シートは、通常の状態では十分な
接着力で接着可能であるが、接着構造体が雨等の水に長
時間されされた時、第1接着シートの保護フィルム(親
水化塗膜)表面と、第2接着シートとの間の接着力(剥
離抵抗)、すなわち、耐水接着力が低下するおそれがあ
る。したがって、この様な観点からは、保護フィルム表
面の水接触角は35度以上が好ましい。耐汚染性と、第
2接着シートの耐水接着力の低下防止効果とをバランス
良く高めるには、保護フィルム表面の水接触角は、好適
には40〜64度である。また、上記水接触角は接着シ
ートを使用直後の初期値を意味している。
【0035】長期間、保護フィルム表面の水接触角が所
定の範囲に維持できるかどうか知るには、サンシャイン
ウェザオメーター(WOM)の様な促進耐候試験法を用
いるのが良い。たとえば、サンシャインウェザオメータ
ーでの500時間テスト後に測定した、水接触角も上記
範囲であるのが好ましい。また、使用前(通常は使用直
前)の接着シートについて、テーバー摩耗試験機を用い
て摩耗輪H−22、1kg荷重で100回転の条件で摩
耗テストを行ってからWOM500時間テストを行った
後で測定した、保護層表面の水接触角も上記範囲にする
のが特に好ましい。なお、水接触角は、保護層表面に水
滴を滴下し、接触角計を用いて測定した保護層表面と水
との接触角である。使用する水は、通常、イオン交換水
を蒸留して得た精製水である。
【0036】
【効果】本発明の保護フィルムは、表面ブリード性の親
水性防汚染剤と無機酸化物系の防汚染剤との2種類の親
水性防汚染剤を配合して、フィルム内部には無機酸化物
系親水性防汚染剤を内在させ、表面には表面ブリード性
の親水性防汚染剤が内部からブリードしてきて表面付近
に局在化することにより、使用初期は表面層の親水性防
汚染剤の働きで表面の親水性が確保され、使用が進み表
面層が摩損した状態になったときにはフィルム内部に存
在する親水性防汚染剤の働きにより表面の親水性が確保
され、防汚染性が使用初期から長期間にわたって発揮さ
れる。表面を親水性にすると、親水性汚染物質は一旦表
面に付着するが、雨等の自然浄化作用あるいは水洗いな
どにより除去される。一方、親油性汚染物質は親水性表
面に付着し難く、常に表面が汚染源から保護でき、長期
間きれいな物品の表面が実現できる。
【0037】
【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する。
本発明はこれら実施例に限定されるものと解してはなら
ない。
【0038】(実施例1)本例では、住友3M(株)社
製の(商標)スコッチカルフィルム(品番)3650CF
を、接着層付き支持体として用い、本発明による接着シ
ートを作製した。この支持体は、塩化ビニルフィルムか
ら形成されたものであった。支持体の表面に、保護層用
の塗料をナイフコーターで塗布し、120℃で3分、加
熱して乾燥し、支持体表面に、本発明の保護フィルムか
らなる保護層を密着させて、本例の接着シートを得た。
保護層の厚さは3μmであった。
【0039】保護層用塗料は、日本油脂(株)製の無機
酸化物系親水性防汚染剤を含有する塗料(商標)ベルク
リーンクリアNo.5000に、表面グリードタイプの
親水性防汚染剤(前出のダイキン工業(株)社製(品
番)GH−100)と、硬化剤塗料(多官能イソシアネ
ート化合物を含有)を混合して保護層用塗料を作製し
た。無機酸化物系親水性防汚染剤を含有する塗料(不揮
発分46質量%)と、表面ブリード性の親水性防汚染剤
(不揮発分100質量%)と、硬化剤塗料(不揮発分7
0質量%)との混合比率は、65:2:35(質量比)
であった。
【0040】なお、ここで使用された無機酸化物系親水
性防汚染剤を含有する塗料は、オルガノシリケート化合
物含有シリカゾル(シリカゾル表面に担持されたシラン
カップリング剤を含む。)と、アクリルポリオール系樹
脂とを含有するものであった。
【0041】得られた接着シートの初期水接触角、耐候
促進試験後の水接触角、摩耗試験および耐候促進後の水
接触角、および摩耗試験前の耐汚染性について、後述の
試験方法で評価した。結果を表1に示す。
【0042】(比較例1)表面ブリード性の親水性防汚
染剤を含まない塗料を用いて保護層を形成した以外は、
実施例1と同様な手順で、接着シートを得た。
【0043】(比較例2)無機酸化物系親水性防汚染剤
を含まない塗料を用いて保護層を形成した以外は、実施
例1と同様な手順で、接着シートを得た。なお、この例
で用いた塗料の組成は以下の通りであった。
【0044】(塗料組成) 日本触媒(株)製のアクリルポリオール樹脂塗料 品番:S−2818…81質量部(不揮発分60質量
%) 住友バイエルウレタン(株)製ヘキサメチレンジソシア
ネート系イソシアネート架橋剤、 商標:スミジュールN−75…17.0質量部(不揮発
分75質量%) 実施例1で用いた表面ブリード性の親水性防汚染剤…2
質量部
【0045】実施例および比較例で得られた接着シート
の評価を次の様にして行った。
【0046】(評価方法)水接触角 接着シートの保護層表面に水滴を滴下し、協和界面科学
社製の接触角計「品番:CA−Z型」を使用して装置に
付随するマニュアル記載の手順に従い、保護層表面と水
との接触角(単位は度)を測定した。なお、使用した水
は、イオン交換水を蒸留して得た精製水であった。初期
値は、未使用の接着シートについて測定された値であ
り、WOM500時間後の値は、未使用の接着シートにつ
いてJIS規格に順ずるサンシャインウェザオメータ耐
候促進試験を500時間行った後と、未使用の接着シー
トに、テーバー摩耗試験機を用いて摩耗輪H−22、1
kg荷重で100回転の条件で摩耗試験をし、さらに耐
候促進試験を行った後との両方において測定した。
【0047】耐汚染性 接着シートをアルミ板に接着して作製した試験片を屋外
に放置し、6ヶ月経過後の汚染状況を目視で観察した。
対象サンプルとして屋内に保存しておいた接着シートを
用い、それと比較して、ほとんど汚れが観察できなかっ
た場合を良好(Good)とし、汚れが観察された場合
を不良(NG)とした。
【0048】
【表1】
【0049】(実施例2)無機酸化物系親水性防汚染剤
を含有する塗料と、表面ブリード性の親水性防汚染剤
と、硬化剤塗料との混合比率は、81:2:17(質量
比)に換えた以外は、実施例1と同様の手順で、接着シ
ートを得た。得られたシートについて実施例1と同様に
試験を行なった。結果を表2に示す。
【0050】(実施例3)無機酸化物系親水性防汚染剤
を含有する塗料と、表面ブリード性の親水性防汚染剤
と、硬化剤塗料との混合比率は、81:1:17(質量
比)に換えた以外は、実施例1と同様の手順で、本例の
接着シートを得た。得られたシートについて実施例1と
同様に試験を行なった。結果を表2に示す。
【0051】(実施例4)無機酸化物系親水性防汚染剤
を含有する塗料と、表面ブリード性の親水性防汚染剤
と、硬化剤塗料との混合比率は、81:5:17(質量
比)に換えた以外は、実施例1と同様の手順で、本例の
接着シートを得た。得られたシートについて実施例1と
同様に試験を行なった。結果を表2に示す。
【0052】(実施例5)表面ブリード性の親水性防汚
染剤を、前掲の東亜合成(株)社製の含フッ素有機シラ
ン化合物(商標)ザフロンFC−2250Cに換え、無
機酸化物系親水性防汚染剤を含有する塗料と、表面ブリ
ード性の親水性防汚染剤と、硬化剤塗料との混合比率
は、81:3:17(質量比)に換えた以外は、実施例
1と同様の手順で、本例の接着シートを得た。得られた
シートについて実施例1と同様に試験を行なった。結果
を表2に示す。
【0053】(実施例6)表面ブリード性の親水性防汚
染剤を、前掲の信越シリコン(株)社製の(品名)シリ
コーンオリゴマー(品番)X−41−1053に換え、
無機酸化物系親水性防汚染剤を含有する塗料と、表面ブ
リード性の親水性防汚染剤と、硬化剤塗料との混合比率
は、81:20:17(質量比)に換えた以外は、実施
例1と同様の手順で、本例の接着シートを得た。得られ
たシートについて実施例1と同様に試験を行なった。結
果を表2に示す。
【0054】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 7/02 C09J 7/02 Z Fターム(参考) 4F071 AA14 AA31 AA42 AA43 AA53 AA65 AB18 AB26 AC03 AC09 AC13 AE22 AF52 BA02 BB02 BC01 4F100 AA17A AK01A AK15B AK25A AK53A AT00B BA03 BA07 BA10B BA10C CA30A CC00A GB07 GB32 JA20A JB05A JK09 JL06 JL11C 4J002 AA011 AA021 BB001 BD041 BG001 CD001 CF001 CL021 CP031 DE096 DE146 DJ016 EV247 EX007 FB096 FD186 FD187 4J004 AA07 AA10 AA11 AA13 AA14 AA15 AB01 AB03 CA04 CA05 CA06 CB03 CC02 FA04 FA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成膜性樹脂から形成され、2種類の親水
    性防汚染剤を含み、第1の親水性防汚染剤が無機酸化物
    系親水性防汚染剤であり、第2の親水性防汚染剤が表面
    ブリード性の親水性防汚染剤である防汚染性保護フィル
    ム。
  2. 【請求項2】 前記表面ブリード性の親水性防汚染剤
    が、熱、光または加水分解によって分解して親水性基を
    生成する分解性基を分子内に有する、請求項1記載の防
    汚染性保護フィルム。
  3. 【請求項3】 前記表面ブリード性の親水性防汚染剤が
    表面近傍に局在化し、無機酸化物系親水性防汚染剤が成
    膜性樹脂マトリックス内に存在する請求項1記載の防汚
    染性保護フィルム。
  4. 【請求項4】 防汚染性保護フィルムが使用初期に表面
    の水接触角35度以上、70度未満を有する請求項1記
    載の防汚染性保護フィルム。
  5. 【請求項5】 支持体と、該支持体の一方の面上に形成
    された請求項1の防汚染性保護フィルムと、該支持体の
    もう一方の表面に形成された接着層とからなる防汚染性
    接着シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006057046A (ja) * 2004-08-23 2006-03-02 Diatex Co Ltd 防汚性オーバーラミシート
CN100369184C (zh) * 2003-11-20 2008-02-13 祥群科技股份有限公司 晶片装置的表面处理方法及其产品
JP2011186478A (ja) * 2011-03-22 2011-09-22 Diatex Co Ltd 防汚性オーバーラミシート

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