JPH11269430A - 構造物の表面を剥離性表面に改質するためのコーティング剤及び改質した表面を有する構造物 - Google Patents

構造物の表面を剥離性表面に改質するためのコーティング剤及び改質した表面を有する構造物

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JPH11269430A
JPH11269430A JP27844698A JP27844698A JPH11269430A JP H11269430 A JPH11269430 A JP H11269430A JP 27844698 A JP27844698 A JP 27844698A JP 27844698 A JP27844698 A JP 27844698A JP H11269430 A JPH11269430 A JP H11269430A
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JP
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coating agent
group
coating
film
alkylene
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Application number
JP27844698A
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English (en)
Inventor
Yoshinori Shimizu
義憲 清水
Nekichi Ishida
根吉 石田
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3M Co
Original Assignee
Minnesota Mining and Manufacturing Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造物の表面に塗布するだけでその表面を容
易に剥離性表面に改質することができるシリコーン系の
コーティング剤を提供する。 【解決手段】 シロキサン単位と、互いに物理架橋可能
な単位とが分子中に存在しているポリマーを含むコーテ
ィング剤とする。物理架橋可能な単位として尿素単位を
有するオルガノポリシロキサン−ポリ尿素ブロックコポ
リマーを有利に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物表面に塗布
するコーティング剤、より詳しく言えば1液性シリコー
ン系剥離性コーティング剤に関する。更に具体的には、
本発明は、塗布後の硬化プロセスが必要なく様々な被着
体に対するコーティング塗膜の密着性が優れているため
に、屋外、屋内の構造物に現場で刷毛やスプレーで容易
にコーティングすることができ、構造物の表面を容易に
剥離性表面に改質することができるコーティング剤に関
する。このコーティング剤は、剥離性の程度を自由に変
化させることが可能であり、被着体表面を貼り紙などが
全く貼れない表面や、貼り紙などを接着できるがその貼
り紙を接着剤や粘着剤を残すことなく小さな力できれい
にはがすことのできる表面に改質することができる。
【0002】
【従来の技術】電柱、壁、電話ボックスなどの屋外の構
造物に所有者に無断で貼り紙が貼られることが近年頻発
している。これらの違法な貼り紙をはがそうとしたとき
に、構造物の表面に貼り紙の一部やのりが残って外観が
非常に汚くなってしまうことがよくある。
【0003】これを防ぐための方法として、例えば特開
昭55−129477号公報、特開昭60−25541
8号公報、実開昭57−98474号公報、実開昭62
−163267号公報、実開平5−21059号公報な
どに示されるような、表面に凹凸のあるフィルムを構造
物表面に貼り付ける方法が提案されている。しかし、こ
れらの方法による場合、フィルム自体が不透明であった
り、あるいは透明であったとしても凹凸によって透明性
が損なわれるため、これらのフィルムが使用できる部位
が限られている。また、これらの方法ではフィルムの凹
凸によって貼り紙とフィルム間の接触面積を減らすこと
で貼り紙の接着力を低減させる効果をもたせているが、
貼り紙ののりの厚さが十分厚い場合、接触面積の低減効
果がなく(また、かえって接触面積を増やすこともあ
り)、貼り紙が意に反してしっかりと貼りついてしまう
ことがある。
【0004】貼り紙を防ぐためのその他の方法として
は、剥離性をもった素材を構造物表面に塗布することが
考えられる。シリコーン系のコーティング剤はこの方法
に最も適した素材である。しかし、現在実用化されてい
るシリコーン系の剥離剤は、反応性ポリシロキサンと架
橋剤を反応させて硬化皮膜を得る手法をとっており、こ
れらの混合物に触媒を入れ加熱硬化させる必要がある。
このタイプの剥離剤を屋外で構造物にコーティングする
ことは、加熱設備のない屋外では加熱が実質的にできな
いために、非現実的である。また、これらの剥離剤に
は、それらが硬化前は低分子量であるため、たれの問題
がある。紫外線や電子線で硬化皮膜を得るシステムもあ
るが、そのための設備のない屋外で塗布し、硬化させる
のはやはり現実的でなく、また屋外の構造物に対して
も、既に設置されたものに塗布してから加熱等により硬
化させるのはやはり現実的でない。また、これらの素材
は被着体表面への密着性があまり高くない。(例えば、
シリコーンハンドブック(日刊工業新聞社)、1990
年版、p518〜558、14章「シリコーン・コーテ
ィング材」を参照)
【0005】一方、米国特許第5,214,119号、
同第5,290,615号、同第5,461,134号
及び同第5,512,650号各明細書、並びに国際公
開第96/34029号及び同第96/35458号各
パンフレットには、オルガノポリシロキサン−ポリ尿素
ブロックコポリマー(「シリコーンポリ尿素ポリマー」
とも呼ばれる。)を剥離剤の材料として利用することが
開示されている。しかしながら、シリコーンポリ尿素ポ
リマーを含有する塗布液を、貼り紙防止用途等のため
に、それを塗布した構造物の表面を剥離性表面に改質す
るためのコーティング剤として利用することは開示され
ていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、屋外の構
造物であるか屋内のものであるかを問わず、構造物の表
面、特に既に設置された構造物の表面を、各種の接着剤
に対して剥離特性を示すように現場において簡便に改質
するための手段は、これまでのところ知られていない。
本発明は、構造物の表面に塗布するだけでその表面を容
易に剥離性表面に改質することができるコーティング剤
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のコーティング剤
は、シロキサン単位と、互いに物理架橋可能な単位とが
分子中に存在しているポリマーを含むことを特徴とす
る、塗布した構造物の表面を剥離性表面に改質するため
のコーティング剤である。
【0008】一つの態様において、本発明のコーティン
グ剤で用いるポリマーは、物理架橋点として働く尿素単
位を含む、下記の反復単位をもつオルガノポリシロキサ
ン−ポリ尿素ブロックコポリマーでよい。
【0009】
【化3】
【0010】(式中、Zは、フェニレン、アルキレン、
アラルキレン及びシクロアルキレンから選ばれる二価基
であり、Yは、炭素原子1〜10個のアルキレン基であ
り、Rは、全R基のうちの少なくとも50%がメチル基
で、残余が炭素原子2〜12個を有するアルキル又は置
換アルキル基又は不飽和結合を有する炭化水素基、フェ
ニル基又は置換フェニル基であり、Dは、水素、炭素原
子1〜10個のアルキル基、又はYを含めて環構造を完
成して複素環を形成するアルキレン基、あるいはフェニ
ル基であり、Bは、アルキレン、アラルキレン、シクロ
アルキレン、フェニレン、ポリブタジエン、ポリアルキ
レンオキシドジオール由来の二価基、ポリエステルジオ
ール由来の二価基、オルガノポリシロキサン由来の二価
基、及びそれらの混合物から選ばれる二価基であり、A
は、−O−又は
【0011】
【化4】
【0012】(この式のGは水素、炭素原子1〜10個
のアルキル基、フェニル基、又はBを含めて環構造を完
成して複素環を形成するアルキレン基である)から選ば
れる二官能性部分であり、pは1又はそれ以上の整数で
あり、nは1又はそれ以上の整数であり、そしてmは0
〜約1000の整数である)
【0013】もう一つの態様において、本発明のコーテ
ィング剤は、形成した皮膜の強度を向上させるのに有効
な成分を含有する。
【0014】更に別の側面において、本発明は、本発明
のコーティング剤を塗布して改質した表面を有する構造
物を包含する。ここで言う構造物とは、電柱、建造物の
外壁、電話ボックス等の屋外の構造物はもちろん、屋内
の壁や柱等の構造物も含む。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のコーティング剤は、屋外
及び屋内を問わず、構造物の表面に塗布するだけで、加
熱や紫外線照射等による硬化を必要とすることなく、十
分な凝集力を備えた皮膜を形成する一方で、その皮膜に
適用された接着剤あるいは粘着剤(以下においては、説
明を簡潔にするため、接着剤あるいは粘着剤をひとまと
めにして単に「接着剤」と呼ぶことにする)を界面破壊
(すなわち、接着剤と被着体(この場合には構造物表面
に形成されているコーティング剤皮膜を指す)との関係
に着目した場合において、接着剤を被着体からはがそう
としたときに接着剤が被着体に残存することなく被着体
から取り除かれる現象のことであり、「接着破壊」と呼
ばれることもある)により当該皮膜表面から剥離させ
る。このように、この皮膜は通常の接着剤に対する剥離
強度が小さく、すなわち構造物に通常の接着剤を介して
貼りつけた物品を、接着剤を皮膜上に残すことなく小さ
な力できれいにはがすのを容易にする。接着剤や粘着剤
には様々な接着力をもつものがあるとは言うものの、発
明者らは、現在実用されている様々な接着剤あるいは粘
着剤についての試験から、本発明のコーティング剤はそ
のような各種の実用的接着剤あるいは粘着剤に対して、
一般に1500g/25mm以下の剥離強度を実現可能
であることを見いだした。本発明のコーティング剤の各
種接着剤あるいは粘着剤に対する好ましい剥離強度は1
000g/25mm以下であり、より好ましい剥離強度
は500g/25mm以下である。
【0016】本発明のコーティング剤が加熱や紫外線照
射等による化学的な架橋による硬化を必要とせずに、塗
布するだけで容易に皮膜を形成する能力は、コーティン
グ剤の主成分であるポリマーが互いに物理架橋可能な単
位をもつことによるものである。その一方、本発明のコ
ーティング剤が種々の接着剤に対して優れた剥離特性を
示すのは、そのポリマー分子中にシロキサン単位(シリ
コーン単位と呼ばれることもある)を含むことによるも
のである。
【0017】一般に、シリコーン系ポリマーは剥離性を
示すことが知られている一方で、硬化プロセスなしでシ
リコーン系ポリマーからコーティング皮膜を形成するの
を可能にするためには、シリコーン系ポリマーがもとも
と高分子量でフィルム形成特性(フィルムになる特性)
をもっている必要がある。通常のジメチルシロキサン系
ポリマーは、高分子量化を進めても粘ちょうなグリース
状物質となり、フィルム形成特性がないため、化学的な
架橋を行わなければコーティング皮膜は得られない。そ
れに対し、本発明のコーティング剤は、先の説明からも
明らかなように、シロキサン単位と、物理的な作用によ
り互いに架橋することができる単位とを含むポリマーを
使用することによって、加熱や紫外線照射により化学的
に架橋する必要なしにコーティングとしての皮膜を形成
することができ、しかも様々な接着剤に対して十分な剥
離特性を発現することができる。
【0018】本発明のコーティング剤において、ポリマ
ー分子中の物理的架橋の可能な単位は、化学結合ではな
い例えば水素結合といった物理的結合(架橋)をする性
質を備えた単位であればどのようなものでもよい。本発
明においてそのように物理的架橋の可能なポリマー単位
として有用なものの一つの例は、尿素単位である。
【0019】発明者らは、シロキサン単位と尿素単位
(場合によりイソシアネート又はアミンと反応性の官能
基をもつ化合物由来の単位が共存してもよい)をもつオ
ルガノポリシロキサン−ポリ尿素ブロックコポリマー
が、被着体である屋外あるいは屋内の構造物に塗布後に
硬化プロセスなしで十分な凝集力をもった皮膜を形成す
る能力があり、様々な被着体に対して密着性が優れ、且
つ適度な剥離性能を持つことを見出した。また、得られ
た皮膜が促進劣化試験(屋外に長期間さらされたのと同
様の状態を擬制して行う試験)後もこれらの性能を維持
すること、原料のシリコーンジアミンの分子量やジイソ
シアネートの種類を変えることによって、また、ポリマ
ーが同じ組成でもシリケート樹脂等の添加剤を少量加え
ることによって、被着体に対する密着性や接着剤に対す
る剥離性能を変化させることができることも分かった。
【0020】従って、本発明によれば、用途に合わせ
て、すなわちコーティング剤で表面に皮膜を形成しよう
とする被着体の種類と形成した皮膜に一旦接着後に剥離
しようとする接着剤の種類や使用条件等に応じて、好適
なポリマーを自由に設計することが可能である。また、
そのようなポリマーの設計は、下記の実施例でも説明さ
れるように、その用途に応じて実験により容易に決定す
ることができる。
【0021】本発明のコーティング剤の主成分として有
用なオルガノポリシロキサン−ポリ尿素ブロックコポリ
マーは、下記の反復単位をもつことができる。
【0022】
【化5】
【0023】(この式中、Zは、フェニレン、アルキレ
ン、アラルキレン及びシクロアルキレンから選ばれる二
価基であり、Yは、炭素原子1〜10個のアルキレン基
であり、Rは、全R基のうちの少なくとも50%がメチ
ル基で、残余が炭素原子2〜12個を有するアルキル又
は置換アルキル基又は不飽和結合を有する炭化水素基、
フェニル基又は置換フェニル基であり、Dは、水素、炭
素原子1〜10個のアルキル基、又はYを含めて環構造
を完成して複素環を形成するアルキレン基、あるいはフ
ェニル基であり、Bは、アルキレン、アラルキレン、シ
クロアルキレン、フェニレン、ポリブタジエン、ポリア
ルキレンオキシドジオール由来の二価基、ポリエステル
ジオール由来の二価基、オルガノポリシロキサン由来の
二価基、及びそれらの混合物から選ばれる二価基であ
り、Aは、−O−又は
【0024】
【化6】
【0025】(この式のGは水素、炭素原子1〜10個
のアルキル基、フェニル基、又はBを含めて環構造を完
成して複素環を形成するアルキレン基である)から選ば
れる二官能性部分であり、pは1又はそれ以上の整数で
あり、nは1又はそれ以上の整数であり、そしてmは0
〜約1000の整数である)
【0026】Bのポリアルキレンオキシドジオール由来
の二価基とは、当該ジオールの二つのヒドロキシル基を
除いた二価基のことで、−(Cq 2qO)r −(Cq
2q)−(この式のq≧2、r≧0である)なる式で表さ
れるものであり、また同じくBのポリエステルジオール
由来の二価基とは、やはり当該ジオールの二つのヒドロ
キシル基を除いた二価基のことで、
【0027】
【化7】
【0028】なる式で表されるものであり、これらの式
のR1 及びR2 は、同じでも異なっていてもよく、アル
キレン、アラルキレン、シクロアルキレン、フェニレ
ン、不飽和結合を有する炭化水素基、及びそれらの混合
物から選ばれる二価基であり、sは0又はそれ以上の整
数、tは1又はそれ以上の整数である。
【0029】また、Bのオルガノポリシロキサン由来の
二価基とは、
【0030】
【化8】
【0031】なる式で表されるものであり、この式のR
3 は、メチル基、炭素原子2〜12個を有するアルキル
又は置換アルキル又は不飽和結合を有する炭化水素基、
フェニル基又は置換フェニル基であり、R4 は、炭素数
1〜10個のアルキレン基であり、uは1又はそれ以上
の整数、vは0又は1である。
【0032】このオルガノポリシロキサン−ポリ尿素ブ
ロックコポリマーは、上述の特性のほかにも、皮膜に透
明性を付与できるという特性を備えることができる。
【0033】このようなオルガノポリシロキサン−ポリ
尿素ブロックコポリマー(シリコーンポリウレアブロッ
クコポリマーあるいはポリシロキサンポリ尿素ブロック
コポリマーとも呼ばれる)は、特開昭63−3029号
公報に感圧接着剤として特に有用なものとして記載され
ている。また、この公報には、そのコポリマーが剥離剤
としても使用できることが示されている。しかし、この
公報には、その剥離剤を、テープ又はシート状の基材に
塗布して接着剤剥離特性を備えた製品(例えばロール巻
きした感圧接着テープ等)を製造すること、言い換えれ
ば生産設備の完備した工場で剥離剤を既に備えた特定の
製品を製造するのに利用することは記載されているが、
本発明のコーティング剤のように既に現場にある構造
物、とりわけ設置済の構造物、に対して後から塗布する
ことで、その結果として得られた皮膜を備えた構造物に
その後貼り付けられた貼り紙などを構造物表面に貼り紙
の一部や接着剤を残すことなくきれいにはがすことがで
きるよう表面改質するのに用いることができることは、
少しも記載されていない。
【0034】また、本発明のコーティング剤は屋内外の
構造物の表面を剥離性表面に改質することを目的とする
が、屋内外の構造物の表面は多孔質であったり微小な凹
凸があったりするため、コーティング剤をある程度以上
の厚さで塗る必要がある。(コーティング剤の塗布厚さ
は、5〜1000μmが望ましい。塗布厚さが5μm未
満である場合、コーティング剤の皮膜が構造物表面の凹
凸に追従できないことがあり、また塗布厚さが1000
μmを超えると、コーティング剤を重ね塗りする必要が
出てくるので工程上問題となることがある。好ましく
は、コーティング剤の塗布厚さは5〜500μmであ
り、より好ましくは10〜250μmである。)それに
対し、従来からあるシリコーン系コーティング剤は、剥
離紙等を作製するのに使われるが、この場合のコーティ
ング剤の厚さは通常0.1〜1μmである(シリコーン
ハンドブック(日刊工業新聞社)参照)。剥離紙等にお
いてこの程度の厚さにコーティングする理由は、従来技
術の説明において先に述べたように従来からあるシリコ
ーン系コーティング剤で剥離紙を作製する場合硬化が必
要で、シリコーン系コーティング剤の塗布量(厚さ)が
多いと硬化不良が起きやすいからである。(硬化不良が
起こった場合コーティング剤が被着体(紙など)から容
易にはがれ落ちてくる等の問題がある。)このような技
術的制限から、シリコーン系コーティング剤を1μm以
上の厚さで塗布することは従来工業的製品の適用として
行われていなかった。また、特開昭63−3029号公
報に開示されているコーティング剤は硬化が必要ないた
め塗布厚を大きくできるが、この公報に述べられている
材料は専らフィルムや紙の上にコーティングされ、低接
着力バックサイズ(LABs)等として用いられる。従
って、上に述べた通常の塗布厚(0.1〜1μm)以上
のコーティングとすると、コーティングされたフィルム
や紙の硬さや風合いが大幅に損なわれるために、5〜1
000μmといった厚塗りが全く考慮されていない。
【0035】本発明において有用なオルガノポリシロキ
サン−ポリ尿素ブロックコポリマーは、様々な種類のジ
イソシアネートと様々な種類のシリコーンジアミン(場
合により、非シリコーン系ジアミン、シリコーン系ジオ
ール、非シリコーン系ジオール等の、両末端にイソシア
ネート又はアミンと反応性の官能基を持つ化合物を併用
してもよい)を溶剤中で反応させて調製することができ
る。なかでも、分子量約1,000〜100,000の
シリコーンジアミン(例えばα,ω−ビス(アミノプロ
ピル)ポリジメチルシロキサン)とジフェニルメタンジ
イソシアネート(MDI)、テトラメチルキシリレンジ
イソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシア
ネート(IPDI)、又はジシクロヘキシルメタンジイ
ソシアネート(H12MDI)とから調製されたブロック
コポリマーから得られた皮膜は、非常に優れた性能を示
すことが分かった。本発明で使用するオルガノポリシロ
キサン−ポリ尿素ブロックコポリマーは、上に例示した
ような原料から、一般的なポリマー合成手法を利用して
容易に製造することができ、ここで詳細に説明するまで
もない。また、下記の実施例には、オルガノポリシロキ
サン−ポリ尿素ブロックコポリマーの合成例が具体的に
示されている。
【0036】本発明のコーティング剤には、接着剤に対
する剥離特性を有意に損なわない範囲において、任意の
追加成分を混入することができる。例えば、皮膜強度の
向上剤として、少量(通常ポリマー重量の約30重量%
以下)のシリケート樹脂(例えばMQレジンとして知ら
れているようなもの(例としてGE社製SR−1000
等))を加えると、形成した皮膜の剥離性能を維持した
ままその皮膜の構造物表面に対する接着性が向上し、且
つ耐引っ掻き性も向上する。このようなシリケート樹脂
は、一般に粘着付与剤として知られているものである。
【0037】また、コーティング剤から形成された皮膜
の強度を向上させるのに有効な成分として、シランカッ
プリング剤、チタンカップリング剤(有機チタネー
ト)、アルミニウム系カップリング剤等のカップリング
剤も使用できる。
【0038】上記MQレジンを比較的多量に用いた場
合、コーティング剤を構造物の表面に塗布して皮膜を形
成した後、経時で剥離性能が低下するおそれがある。す
なわち、貼り紙や接着剤や粘着剤をきれいにはがすのに
要する剥離力が、皮膜の形成後、経時で上昇するおそれ
がある。また、構造物の表面との接着性及び耐引っ掻き
性は向上するが、剥がれる時はフィルム状に剥がれる傾
向がある。例えば、コーティング皮膜の端と構造物の表
面との境目に、強引に引っ掻くようにして剥離力を加え
たり、引っ掻いていったん皮膜のどこかが剥がれたりす
ると、そこを起点にフィルム状に剥がれる傾向がある。
貼り紙防止のために、構造物の表面を剥離性表面に改質
する用途においては、コーティング皮膜が容易に剥がせ
ないことも重要である。
【0039】カップリング剤は、上記のようなフィルム
状剥離を効果的に防止し、上記のようにして強引に剥が
そうとしても、皮膜の一部が削れることはあっても、そ
れ以上剥がれることのないようにすることができる。ま
た、経時での剥離性能の低下を効果的に防止することが
できる。従って、シリコーンポリ尿素ポリマーと、カッ
プリング剤とを含有するコーティング剤は、それを塗布
した構造物の表面を、貼り紙を防止するのに適した剥離
性表面に改質するためのコーティング剤としての、最良
の実施形態の1つである。
【0040】シランカップリング剤としては、例えば、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェ
ニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミ
ノシランや、チオールシラン、エポキシシラン、ウレア
シランが好適である。特に好適なのは、エポキシシラン
である。これは、塗膜表面の剥離性を低下させることな
く、構造物表面への接着性のみを向上させることができ
るからである。好適なエポキシシランとして、日本ユニ
カー( 株) 社製「(品番)A187- グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン」を挙げることができる。
【0041】チタンカップリング剤(有機チタネート)
としては、テトラアルコキシチタンや、そのアルコキシ
基の一部をアセチルアセトナト基、アミノエチルアミノ
エトキシ基等で置換した構造のチタネート等が使用でき
る。例えば、テトライソプロポキシチタン(TPT)、
テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ
ステアリルアルコキシチタン等である。特に好適なの
は、テトラアルコキシチタンである。これは、コーティ
ング剤を塗布してから、十分なカップリング剤の効果
(構造物表面に対する接着性の向上等)が発現するまで
の時間が比較的短く、かつ透明性の高い皮膜が容易に形
成できるからである。好適なテトラアルコキシチタンの
具体例として、日本曹達(株)社製「(品番)A−1:
テトライソプロポキシチタン(TPT)」を挙げること
ができる。
【0042】カップリング剤を含むコーティング剤は、
例えば、シリコーンポリ尿素ポリマーを含有する溶液
(原液)に、所定量カップリング剤を添加して調製でき
る。このコーティング剤を塗布、乾燥して形成した塗膜
は、構造物の表面を剥離性表面に改質する皮膜として好
適に用いることができる。カップリング剤の含有量は、
シリコーンポリ尿素ポリマー100重量部に対して、通
常0.1〜10重量部、好適には0.2〜5重量部、特
に好適には0.5〜1重量部である。少なすぎると、上
記フィルム状剥離が効果的に防止でないおそれがあり、
また、コーティング剤を塗布してから、十分なカップリ
ング剤の効果(構造物表面に対する接着性の向上等)が
発現するまでに時間がかかるおそれがある。反対に、カ
ップリング剤の含有量が多すぎると、剥離性能(貼り紙
防止性能)が低下し、貼り紙や接着剤や粘着剤をきれい
にはがすのに要する剥離力を低くできないおそれがあ
る。
【0043】なお、カップリング剤は、1種単独又は2
種以上の混合物として使用できる。例えば、シランカッ
プリング剤とチタンカップリング剤、又は、シランカッ
プリング剤とアルミニウム系カップリング剤とを併用す
ることもできる。
【0044】また、カップリング剤は、コーティング剤
が粘着付与剤を実質的に含む場合も、含まない場合もと
もに上記効果を奏するが、粘着付与剤を実質的に含まな
いコーティング剤に添加するのが好適である。
【0045】上記添加剤等の影響により、シリコーンポ
リ尿素ポリマーの劣化が予想される場合、本発明の効果
を損なわない限り、各種劣化防止剤を添加することがで
きる。劣化防止剤としては、例えば、紫外線により促進
される劣化が予想される場合、紫外線吸収剤が好適であ
る。
【0046】紫外線吸収剤の具体例として、チバ・スペ
シャルティ・ケミカルズ(株)社製の「(品名)チヌビ
ン」シリーズを挙げることができる。「(品名)チヌビ
ン」シリーズの中でも、例えば、ベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤「(品番)213、327、又は32
8」、トリアジン系紫外線吸収剤「(品番)1577F
F」、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤「(品番)81F
L」、蓚酸アニリド系紫外線吸収剤「(品番)312」
が好適である。また、上記紫外線吸収剤を使用する場
合、同じ「(品名)チヌビン」シリーズのヒンダードア
ミン系光安定剤「(品番)123、又は765」を併用
するのが特に好適である。
【0047】
【実施例】以下に、本発明を更に説明するための実施例
を、いくつかの参考例とともに示すことにする。言うま
でもなく、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0048】〔参考例1〕この例は、各種被着体に対す
る接着剤及び粘着剤の接着強度の測定を示すものであ
る。
【0049】下記の表1に示す代表的な接着剤及び粘着
剤(両面テープ)を用い、被着体としてのステンレス鋼
とモルタルに紙を接着して剥離試験(JIS Z 02
37の試験方法に準拠)を行うことで、構造物に実際に
貼られた貼り紙をはがすときにどれくらいの強度が必要
かを試験した。
【0050】
【表1】
【0051】ステンレス鋼(SUS304)試験片とモ
ルタル試験片(いずれも幅25mm)の上にボンドGク
リアを塗布し、その上にすぐさま40mm幅のコピー用
紙(紀州製紙社製ファイン再生紙、厚み0.08mm)
をのせ、500グラムローラーを1往復して圧着した。
室温で24時間乾燥し、試験片からはみ出した部分のコ
ピー用紙を切り取り(コピー用紙の幅を試験片と同じ2
5mmにした)、引っ張り速度300mm/分で室温に
おける180°剥離強度を測定した。
【0052】ボンド両面テープは、同様のステンレス鋼
(SUS304)試験片とモルタル試験片の中央に貼り
つけ、その上に40mm幅の上記と同じコピー用紙を貼
りつけて、室温で24時間養生した。次に、ボンド両面
テープからはみ出している部分のコピー用紙を切り取り
(コピー用紙の幅をボンド両面テープと同じ15mmに
した)、引っ張り速度300mm/分で室温における1
80°剥離強度を測定した。これらの試験で得られた結
果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】接着剤、粘着剤いずれを用いた場合でも、
これらの被着体に対する剥離強度は1500g/25m
mを上回り、剥離後に紙や粘着剤が被着体に残ることが
分かった。
【0055】〔参考例2〕この例は、各種塗装鋼板に対
する接着剤の接着強度の測定を示すものである。
【0056】表3に示す各種塗装鋼板に参考例1で使用
した接着剤(ボンドGクリア)を用いて紙を接着し、塗
料が塗られた鋼板に貼られた貼り紙をはがすときにどれ
くらいの強度が必要かを試験した。
【0057】
【表3】
【0058】上記の各種塗装鋼板(いずれも幅25m
m)の上にボンドGクリアを塗布し、その上にすぐさま
40mm幅のコピー用紙(紀州製紙社製ファイン再生
紙)をのせ500グラムローラーを1往復して圧着し
た。室温で24時間乾燥し、試験片からはみ出した部分
のコピー用紙を切り取り(コピー用紙の幅を試験片と同
じ25mmにした)、引っ張り速度300mm/分で室
温における180°剥離強度を測定した。結果を表4に
示す。
【0059】
【表4】
【0060】以上の結果から、いずれの被着体に対して
も、剥離強度は1500g/25mmを超え、また剥離
後紙が被着体に残ることが分かった。
【0061】次に、本発明の実施例を説明するが、以下
の記載において、実施例1〜10において説明するポリ
マーは「シリコーンポリ尿素ポリマー」と表記され、こ
れは前記(1)の式中のmが0であるポリマーに相当す
ることを示している。一方、実施例11〜13で説明す
るポリマーは「シリコーンポリ尿素ブロックコポリマ
ー」と表記され、これは前記(1)の式中のm>0であ
るポリマーに相当することを示している。
【0062】〔実施例1〕この例は、各種シリコーンポ
リ尿素ポリマーの重合による調製を説明する。
【0063】140ml容量のガラスビンにアミン当量
が2200のα,ω−ビス(アミノプロピル)ポリジメ
チルシロキサンを30グラムとり、MEK(メチルエチ
ルケトン)とIPA(イソプロパノール)の混合溶液で
希釈し、マグネチックスターラーで十分に撹拌し均一溶
液とした。20ml容量のガラスビンにテトラメチルキ
シリレンジイソシアネートをα,ω−ビス(アミノプロ
ピル)ポリジメチルシロキサンと同一の当量になるよう
にとり(NH2 /NCO=1/1)、MEKで希釈し、
撹拌中のα,ω−ビス(アミノプロピル)ポリジメチル
シロキサン溶液にスポイトで少量ずつ加えた。この際、
最終的にMEK/IPAの重量比が8/2になるように
した。また、固形分(溶剤以外の成分)は30%になる
ようにした。ジイソシアネート溶液を完全に添加した
後、140mlガラスビンに蓋をして振蕩台にて最低2
時間撹拌し、ポリマーを調製した(実施例1a)。
【0064】また、実施例1aのポリマーにα,ω−ビ
ス(アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンとテトラ
メチルキシリレンジイソシアネートの合計量に対して2
0%のシリケート粘着付与剤(MQレジン(GE社製、
SR−1000))を添加したものを作製した(実施例
1b)。
【0065】更に、実施例1aのポリマーにα,ω−ビ
ス(アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンとテトラ
メチルキシリレンジイソシアネートの合計量に対して
0.1%の酸化防止剤(チバガイギー社のIrgano
x 1010)を添加したものを作製した。(実施例1
c)。
【0066】〔実施例2〕この例は、シリコーンポリ尿
素ポリマーを塗布した表面に対する接着剤及び粘着剤の
接着性を説明する。
【0067】表5に示す各種被着体(参考例1、参考例
2で使用したものと同等)の上に、実施例1aのシリコ
ーンポリ尿素ポリマー溶液をたらし、すぐに溶液をスク
ィージーで試験片上に均一に押し広げ、約100μm
(乾燥後約30μm)の厚さのコーティング膜を形成し
た。この試験片を室温で12時間放置した後、50℃の
オーブンに1時間入れ完全に溶剤を揮発させ、その後室
温に戻した。
【0068】
【表5】
【0069】こうして作製したシリコーンポリ尿素ポリ
マー塗布サンプルに、参考例1に述べた方法で、紙を接
着剤(ボンドGクリア)及び粘着剤(ボンド両面テー
プ)を用いて接着した。室温で24時間養生後、試験片
を垂直に立て、接着した紙が自重ではがれるかどうか試
験した。はがれなかった場合、引っ張り速度300mm
/分で室温における180°剥離強度を測定した。結果
を下記の表6と表7に示す。
【0070】
【表6】
【0071】
【表7】
【0072】これらの結果から、シリコーンポリ尿素ポ
リマーを塗布した各種被着体に各種接着剤又は粘着剤で
紙を接着しても、非常に小さい力でコーティング剤界面
からきれいに剥離することができることが分かった。
【0073】〔実施例3〕この例は、各種シリコーンポ
リ尿素ポリマーを塗布した表面に対する粘着剤の接着性
を説明する。なお、これまでの例では接着剤及び粘着剤
としてそれぞれボンドGクリア及びボンド両面テープを
用いてきた。これらは一般用途(剥離性のない通常の被
着体向け)には十分な接着力を示すが、本発明のコーテ
ィング剤の剥離特性をよりよく評価するためには接着力
が多少劣るため、以下の各例ではより強力な接着力を示
す粘着剤の代表として、スリーエム社製片面粘着テープ
859を使用することにする。
【0074】幅25mm、長さ100mmのステンレス
鋼(SUS304)試験片の上に、実施例1a、1b、
1cのシリコーンポリ尿素ポリマー溶液をたらし、すぐ
に溶液をスクィージーで試験片上に均一に押し広げ、約
100μm(乾燥後約30μm)の厚さのコーティング
膜を形成した。この試験片を室温で12時間放置した
後、50℃のオーブンに1時間入れ完全に溶剤を揮発さ
せた。
【0075】こうして作製したシリコーンポリ尿素ポリ
マー塗布サンプルに、スリーエム社製片面粘着テープ8
59(25mm幅)を貼りつけ、2kgローラーを1往
復して圧着し室温で24時間放置した後、試験片を垂直
に立て粘着テープが自重ではがれるかどうか試験した。
はがれなかった場合、300mm/分の引っ張り速度で
室温における180°剥離強度を測定した。試験の繰り
返し数は3であった。表8にその結果を示す。
【0076】
【表8】
【0077】この結果から、各種シリコーンポリ尿素ポ
リマーを塗布した被着体に粘着剤を接着しても、非常に
小さい力でコーティング剤界面からきれいに剥離するこ
とができることが分かった。
【0078】〔実施例4〕
【0079】この例は、分子量の異なる各種シリコーン
ポリ尿素ポリマーの重合による調製を説明する。
【0080】140ml容量のガラスビンに、下記の表
9に示すアミン当量のα,ω−ビス(アミノプロピル)
ポリジメチルシロキサンを30グラムとり、MEK(メ
チルエチルケトン)とIPA(イソプロパノール)の混
合溶液で希釈し、マグネチックスターラーで十分に撹拌
し均一溶液とした。20ml容量のガラスビンにテトラ
メチルキシリレンジイソシアネートをα,ω−ビス(ア
ミノプロピル)ポリジメチルシロキサンと同一の当量に
なるようにとり(NH2 /NCO=1/1)、MEKで
希釈し、撹拌中のα,ω−ビス(アミノプロピル)ポリ
ジメチルシロキサン溶液にスポイトで少量ずつ加えた。
この際、最終的にMEK/IPAの重量比が8/2にな
るようにした。また、固形分(溶剤以外の成分)は30
%になるようにした。ジイソシアネート溶液を完全に添
加した後、140mlガラスビンに蓋をして振蕩台にて
最低2時間撹拌し、実施例1aに相当するポリマーと実
施例4a〜4eの各ポリマーを調製した。
【0081】
【表9】
【0082】〔実施例5〕この例は、分子量の異なるシ
リコーンポリ尿素ポリマーを塗布した表面に対する粘着
剤の接着性を説明する。
【0083】幅25mm、長さ100mmのステンレス
鋼(SUS304)試験片に実施例4で調製した6種類
のシリコーンポリ尿素ポリマー溶液をたらし、すぐに溶
液をスクィージーで試験片上に均一に押し広げ、約10
0μm(乾燥後約30μm)の厚さのコーティング膜を
形成した。この試験片を室温で12時間放置した後、5
0℃のオーブンに1時間入れ完全に溶剤を揮発させ、そ
の後室温に戻した。
【0084】こうして用意したコーティングサンプルに
スリーエム社製片面粘着テープ859(25mm幅)を
貼りつけ、2kgローラーを1往復して圧着し、室温で
24時間放置した後、試験片を垂直に立て粘着テープが
自重ではがれるかどうか試験した。はがれなかった場
合、300mm/分の引っ張り速度で室温における18
0°剥離強度を測定した。試験の繰り返し数は3であっ
た。表10にその結果を示す。
【0085】
【表10】
【0086】この結果から、各種シリコーンポリ尿素ポ
リマーを塗布した被着体に粘着剤を接着しても、非常に
小さい力でコーティング剤界面からきれいにに剥離する
ことができること、また、鎖長の長いポリマーを使うと
剥離特性がより向上することが分かった。
【0087】〔実施例6〕この例は、各種ジイソシアネ
ートから重合によりシリコーンポリ尿素ポリマーを調製
することを説明する。
【0088】140ml容量のガラスビンに、アミン当
量2200のα,ω−ビス(アミノプロピル)ポリジメ
チルシロキサンを30グラムとり、MEKとIPAの混
合溶液で希釈し、マグネチックスターラーで十分に撹拌
して均一溶液とした。20ml容量のガラスビンに下記
の表11に示すジイソシアネートをα,ω−ビス(アミ
ノプロピル)ポリジメチルシロキサンと同一の当量にな
るようにとり(NH2/NCO=1/1)、MEKで希
釈し、撹拌中のα,ω−ビス(アミノプロピル)ポリジ
メチルシロキサン溶液にスポイトで少量ずつ加えた。こ
の際、最終的にMEK/IPAの重量比が8/2になる
ようにした。また、固形分(溶剤以外の成分)は30%
になるようにした。ジイソシアネート溶液を完全に添加
した後、140mlガラスビンに蓋をして振蕩台にて最
低2時間撹拌し、実施例1aに相当するポリマーと実施
例6a〜6eの各ポリマーを調製した。
【0089】
【表11】
【0090】〔実施例7〕この例は、各種ジイソシアネ
ートから調製したシリコーンポリ尿素ポリマーを塗布し
た表面に対する粘着剤の接着性を説明する。
【0091】幅25mm、長さ100mmのステンレス
鋼(SUS304)試験片に実施例6で調製した6種類
のシリコーンポリ尿素ポリマー溶液をたらし、すぐに溶
液をスクィージーで試験片上に均一に押し広げ、約10
0μm(乾燥後約30μm)の厚さのコーティング膜を
形成した。この試験片を室温で12時間放置した後、5
0℃のオーブンに1時間入れ完全に溶剤を揮発させ、そ
の後室温に戻した。
【0092】こうして作製したコーティングサンプルに
スリーエム社製片面粘着テープ859(25mm幅)を
貼りつけ、2kgローラーを1往復して圧着し、室温で
24時間放置した後、試験片を垂直に立て粘着テープが
自重ではがれるかどうか試験した。はがれなかった場
合、300mm/分の引っ張り速度で室温における18
0°剥離強度を測定した。試験の繰り返し数は3であっ
た。表12にその結果を示す。
【0093】
【表12】
【0094】この結果より、各種シリコーンポリ尿素ポ
リマーを塗布した被着体に粘着剤を接着しても非常に小
さい力でコーティング剤界面からきれいに剥離すること
ができることが分かった。
【0095】〔実施例8〕この例は、シリコーンポリ尿
素ポリマーを塗布した表面(劣化後)に対する粘着剤の
接着性を説明する。
【0096】実施例7で作製した、実施例6eのポリマ
ーをコーティングしたステンレス鋼(SUS304)試
験片を、サンシャインウェザオメータに1000時間か
けて塗膜を劣化させた。また、同様のサンプルを屋外に
1ヶ月放置して塗膜を劣化させた。これらの劣化処理を
施した試験片にスリーエム社製片面粘着テープ859
(25mm幅)を貼りつけ、2kgローラーを1往復し
て圧着し、室温で24時間放置した後、試験片を垂直に
立て粘着テープが自重ではがれるかどうか試験した。は
がれなかった場合、300mm/分の引っ張り速度で室
温における180°剥離強度を測定した。試験の繰り返
し数は3であった。下記の表13にその結果を示す。
【0097】
【表13】
【0098】この結果より、コーティングの劣化後も粘
着剤を非常に小さい力でコーティング剤界面からきれい
に剥離することができることが分かった。また、屋外に
放置して埃等による汚染後も、適度の剥離性を失わない
ことも分かった。
【0099】〔実施例9〕この例は、シリコーンポリ尿
素ポリマーコーティングとシリコーン系剥離剤(市販
品)コーティングとの比較を説明する。
【0100】東レ・ダウコーニングシリコーン社製剥離
剤SRX244をMEK中で固形分が約25%になるよ
うに同社製触媒SRX242ACを用いて反応させ(S
RX244の100重量部に対してSRX242ACを
4重量部使用)、幅25mm、長さ100mmのステン
レス鋼(SUS304)試験片にたらし、すぐに溶液を
スクィージーで試験片上に均一に押し広げ、約100μ
m(乾燥後約30μm)の厚さのコーティング膜を形成
した。この試験片を室温で12時間放置した後、70℃
のオーブンに3時間入れて硬化を完了させ、その後室温
に戻した。
【0101】また、実施例1aと実施例1bのシリコー
ンポリ尿素ポリマーを同様の方法(ただし乾燥は室温で
1時間行い、硬化反応は必要ないので行わない)でステ
ンレス鋼にコーティングし乾燥させた。
【0102】これらのコーティングサンプルに、スリー
エム社製片面粘着テープ859(25mm幅)を貼りつ
け、2kgローラーを1往復して圧着し、室温で24時
間放置した後、試験片を垂直に立て粘着テープが自重で
はがれるかどうか試験した。はがれなかった場合、30
0mm/分の引っ張り速度で室温における180°剥離
強度を測定した。試験の繰り返し数は3であった。下記
の表14にその結果を示す。
【0103】
【表14】
【0104】また、日本塗料検査協会試験方法4−12
(1973)に基づき、これらのコーティングサンプル
の引っ掻き試験(クロスカット試験)を行った。その結
果を表15に示す。この試験法を概説すると、塗膜を様
々な重量をかけたタングステン鋼針で引っ掻き、塗膜に
引っ掻き傷を与えなかった最大の重量が引っ掻き強度の
データとなる。従って、数値が大きい方が耐引っ掻き性
が高いことを意味する。
【0105】
【表15】
【0106】これらの結果から、本発明のシリコーンポ
リ尿素ポリマーコーティング剤は、市販のシリコーン系
剥離剤に比べ剥離性能も耐引っ掻き性(塗膜の密着性)
も優れていることが分かった。特に、皮膜強度の向上用
にシリケート粘着付与剤を添加した実施例1bのポリマ
ーコーティング剤の場合、良好な剥離性を維持しながら
耐引っ掻き性が格段に向上することも示された。更に、
シリコーン系剥離剤に比べてこのように優れた性能を示
す本発明のシリコーンポリ尿素ポリマーコーティング剤
は、室温での皮膜形成可能なので、構造物に対し現場で
塗布して容易にコーティングを形成することができるの
に対し、シリコーン系剥離剤の場合は皮膜形成のための
硬化用に特別な作業(この例の場合には加熱)が欠かせ
ないため現場での適用が極めて困難であることに注目す
べきである。
【0107】〔実施例10〕この例は、スプレー塗布し
たシリコーンポリ尿素ポリマー表面に対する粘着剤の接
着性を説明する。
【0108】実施例1aのシリコーンポリ尿素ポリマー
溶液をMEKで固形分10%に希釈した。これをエアゾ
ールスプレー用のガラス容器にとりスプレー用ノズルの
ついた蓋をして、噴射剤(DME/LPG=1/2)を
加えて加圧した(シリコーンポリ尿素ポリマー溶液と噴
射剤の重量比は67対33であった)。
【0109】これを幅25mm、長さ100mmのステ
ンレス鋼(SUS304)試験片にスプレー塗布し、室
温で12時間放置した後、50℃のオーブンに1時間入
れて完全に溶剤を揮発させ、その後室温に戻した。
【0110】こうして作製したコーティングサンプルに
スリーエム社製片面粘着テープ859(25mm幅)を
貼りつけ、2kgローラーを1往復して圧着し、室温で
24時間放置した後、試験片を垂直に立て粘着テープが
自重ではがれるかどうか試験した。はがれなかった場
合、300mm/分の引っ張り速度で室温における18
0°剥離強度を測定した。試験の繰り返し数は3であっ
た。表16にその結果を示す。
【0111】
【表16】
【0112】〔実施例11〕この例は、シリコーンポリ
尿素ブロックコポリマーの調製を説明する。
【0113】140ml容量のガラスビンに、アミン当
量2200のα,ω−ビス(アミノプロピル)ポリジメ
チルシロキサンを20グラム(0.009当量)、2−
メチル−1,5−ジアミノペンタンを0.058グラム
(0.001当量)とり、MEK(メチルエチルケト
ン)とIPA(イソプロパノール)の混合溶液で希釈
し、マグネチックスターラーで十分に撹拌して均一溶液
とした。20ml容量のガラスビンにテトラメチルキシ
リレンジイソシアネートを1.22グラム(0.010
当量)とり(NH2 /NCO=1/1)、MEKで希釈
し、撹拌中のアミン溶液にスポイトで少量ずつ加えた。
この際、最終的にMEK/IPAの重量比が8/2にな
るようにした。また、固形分(溶剤以外の成分)は25
%になるようにした。ジイソシアネート溶液を完全に添
加した後、140mlガラスビンに蓋をして振蕩台にて
最低2時間撹拌した。
【0114】〔実施例12〕この例は、シリコーンポリ
尿素ブロックコポリマーのもう一つの調製を説明する。
【0115】140ml容量のガラスビンに、20.5
グラム(0.1当量)のポリプロピレングリコール(分
子量約400)をとり、24.4グラム(0.2当量)
のテトラメチルキシリレンジイソシアネートを加え、窒
素還流下に50℃で8時間撹拌した。(これを「A」と
呼ぶ)
【0116】別の140mm容量のガラスビンに、アミ
ン当量2200のα,ω−ビス(アミノプロピル)ポリ
ジメチルシロキサンを22グラム(0.010当量)と
り、MEKとIPAの混合溶液で希釈し、マグネチック
スターラーで十分に撹拌して均一溶液とした。40ml
容量のガラスビンにテトラメチルキシリレンジイソシア
ネートを1.1グラム(0.009当量)、Aを0.4
5グラム(0.001当量)とり、MEKで希釈し、撹
拌中のα,ω−ビス(アミノプロピル)ポリジメチルシ
ロキサン溶液にスポイトで少量ずつ加えた。この際、最
終的にMEK/IPAの重量比が8/2になるようにし
た。また、固形分(溶剤以外の成分)は25%になるよ
うにした。ジイソシアネート溶液を完全に添加した後、
140mlガラスビンに蓋をして振蕩台にて最低2時間
撹拌した。
【0117】〔実施例13〕この例は、シリコーンポリ
尿素ブロックコポリマーを塗布した表面に対する粘着剤
の接着性を説明する。
【0118】実施例11及び実施例12で調製したシリ
コーンポリ尿素ブロックコポリマー溶液を、幅25m
m、長さ100mmのステンレス鋼(SUS304)試
験片にたらし、すぐに溶液をスクィージーで試験片上に
均一に押し広げ、約100μm(乾燥後約30μm)の
厚さのコーティング膜を形成した。これらの試験片を室
温で12時間放置した後、50℃のオーブンに1時間入
れて完全に溶剤を揮発させ、その後室温に戻した。
【0119】これらのコーティングサンプルにスリーエ
ム社製片面粘着テープ859(25mm幅)を貼りつ
け、2kgローラーを1往復して圧着し、室温で24時
間放置した後、試験片を垂直に立て粘着テープが自重で
はがれるかどうか試験した。はがれなかった場合、30
0mm/分の引っ張り速度で室温における180°剥離
強度を測定した。試験の繰り返し数は3であった。その
結果を表17に示す。
【0120】
【表17】
【0121】上記の参考例から明らかなように、様々な
被着体に様々な接着剤や粘着剤を用いて紙を接着して接
着完了後に紙をはがすと、ほとんどの場合剥離途中に紙
が破れたり、接着剤や粘着剤の一部が表面に残ってしま
うこと、そしてこのような場合の剥離強度を測定してみ
ると1500g/25mmを超えていることが分かった。
【0122】その一方、本発明の実施例から明らかなよ
うに、シロキサン単位と、互いに物理架橋可能な単位と
が分子中に共存しているポリマーを含むコーティング剤
を用いると、一般的な構造物の材料に対応する様々な被
着体に塗布するだけで、その表面を接着剤あるいは粘着
剤に対し優れた剥離特性を示すものに簡単に改質するこ
とができることが分かった。すなわち、本発明のコーテ
ィング剤を様々な被着体に塗布後、様々な接着剤や粘着
剤で紙等を接着して接着完了後に剥離試験を行うと、非
常に小さい力でコーティング界面からきれいに剥離でき
ることが分かった。このような場合の剥離強度は、1g
/25mm〜1500g/25mmであった。
【0123】〔実施例14〜18〕まず、溶剤をトルエ
ン/イソプロパノール(重量比で3/1)に変えた以外
は実施例1と同様にして、シリコーンポリ尿素ポリマー
(以下「SPU」と呼ぶ場合もある。)を重合し、SP
Uの不揮発分濃度25重量%のポリマー溶液を得た。こ
のポリマー溶液を、以降「原液A」と呼ぶことにする。
【0124】この原液Aに、SPU100重量部に対し
て、それぞれ0.5、1.0、2.0、及び5.0重量
部になるように、日本曹達(株)社製のテトライソプロ
ポキシチタン(TPT)「(品番)A−1」を添加し、
それぞれ実施例14(TPT=0.5重量部)、実施例
15(TPT=1.0重量部)、実施例16(TPT=
2.0重量部)及び実施例17(TPT=5.0重量
部)のコーティング剤(貼り紙防止用コーティング剤)
を調製した。
【0125】また、TPTに代えて、エポキシシラン
(日本ユニカー(株)社製「(品番)A187」)と、
DBTDL(ジブチルチンジラウレート)とを添加した
以外は、実施例14と同様にして実施例18のコーティ
ング剤を調製した。DBTDLは、コーティング剤を塗
布してから、十分な接着性が発現するまでの時間を短縮
するための、アルコキシ部位の加水分解反応を促進する
ための触媒として用いた。
【0126】調製した各コーティング剤の、被着体に対
する接着性と剥離性能とを、次に述べるように評価し
た。
【0127】まず、被着体に対する接着性については、
上記貼り紙防止用コーティング剤皮膜の被着体(ステン
レス鋼SUS304)の表面に対する接着性を、爪によ
る引っ掻き官能試験(スクラッチテスト)で評価した。
なお、皮膜の形成は、実施例2のコーティング膜の形成
操作に準じて行った。また、評価基準は次のとおりであ
る。 1.0=強引に引っ掻くようにして剥離力を加えた時、
引っ掻いたポイントから容易に フィルム状に剥がれ
る。 2.0=被着体に対する接着性は向上しているが、フィ
ルム状に剥がれる。 3.0=塗膜に傷はつくが接着性が高く、フィルム状に
は剥がれない。
【0128】上記貼り紙防止用コーティング剤から形成
された皮膜の、被着体に対する接着性の立ち上がり速度
を、実施例14、15及び18について評価した結果を
図1に示す。この図は、下記の養生条件での各皮膜の爪
による引っ掻き官能試験の評価値(上述の評価基準によ
る)を示している。なお、下記の養生条件において室温
とは約20℃である。 養生条件A=室温で1時間放置。 養生条件B=室温で16時間放置。 養生条件C=室温で2日間放置。 養生条件D=室温で5日間放置。 養生条件E=50℃で15時間放置。 なお、原液Aから形成した皮膜の接着性を同様に評価し
たところ、全ての養生条件において1.0のレベルであ
った。
【0129】剥離性能については、粘着テープ(3M
(株)社製の「(品番)#898」)を、被着体(ステ
ンレス鋼SUS304)の表面に形成した上記貼り紙防
止用コーティング皮膜(塗布後、50℃で15時間養
生)の表面に、ローラーを3往復させて圧着した後、5
0℃で15時間養生した後の、粘着テープを剥離する時
の剥離力を測定した。剥離速度は300mm/分であっ
た。結果を図2に示す。なお、コーティング皮膜を持た
ない改質前のステンレス鋼(SUS304)に、上記と
同様にして圧着した粘着テープを剥離する時の剥離力
は、1,200gであった。
【0130】図2に示したように、TPTの添加量1重
量部までは、TPT未添加の場合の皮膜(原液Aから形
成)と同等の剥離性能を有することが分かった。すなわ
ち、シリコーンポリ尿素系共重合体100重量部に対し
て、TPTを約0.5〜1重量部の範囲で用いれば、迅
速に強い接着性を達成しつつ、特に軽い剥離力(特にす
ぐれた剥離性能)を達成できることが分かった。
【0131】〔実施例19〜26〕TPT(実施例1
5)に代えて、表18の2行目以下に記載の各有機チタ
ネートをそれぞれ添加した以外は、実施例15と同様に
して、実施例19〜26のコーティング剤を調製した。
なお、表中の有機チタネートの式において、Prはプロ
ピル基、acacはアセチルアセトナト基、Buはブチ
ル基、Phはフェニレン基をそれぞれ表している。
【0132】各例のコーティング剤から形成した皮膜の
接着性を、実施例15と同様にして爪による引っ掻き官
能試験(スクラッチテスト)で評価した。結果を表18
に示す。全ての例において、原液Aの皮膜に比べて、接
着性が向上することが分かった。
【0133】また、チタン原子に結合したアルコキシ基
の数が多いほど、そのアルコキシ基の分子量が低いほ
ど、コーティング剤を塗布してから十分な接着性が発現
するまでの時間を短縮でき、透明性の高い皮膜が得られ
やすい傾向が見られた。一方、アミノエチルアミノエト
キシ基を有するチタネートが、接着性の向上に有効であ
る傾向も見られた。
【0134】
【表18】
【0135】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
本質的に剥離特性をもちながら現場で塗布して簡単に皮
膜を形成することが極めて困難なためこれまでそのよう
な用途に用いられることのなかったシリコーン系材料
を、互いに物理架橋可能な単位をそれに加えて変性した
コポリマーとして使用することで、屋外、屋内の構造物
に現場で簡単にシリコーン系コーティング膜を形成する
ことが可能になり、そしてこのコーティングが施された
表面を、条件に応じて貼り紙が全く貼れないか、貼れて
ものり残りなく非常に容易に貼り紙をはがすことができ
るような特性を持つように改質できるようになる。そし
て本発明のコーティング剤のこのような優れた特性を利
用することで、電柱や外壁や電話ボックス等への違法な
貼り紙を苦もなく除去することが可能になり、あるい
は、一例として、壁等の一部を掲示物の貼付と除去が極
めて容易な掲示板として利用することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例14、15、18のコーティング剤につ
いて、被着体に対する接着性の立ち上がり速度を評価し
た結果を示すグラフである。
【図2】コーティング剤へのカップリング剤の添加の効
果を説明するグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シロキサン単位と、互いに物理架橋可能
    な単位とが分子中に存在しているポリマーを含むことを
    特徴とする、塗布した構造物の表面を剥離性表面に改質
    するためのコーティング剤。
  2. 【請求項2】 前記ポリマーが、物理架橋点として尿素
    単位を含む、下記の反復単位をもつオルガノポリシロキ
    サン−ポリ尿素ブロックコポリマーであることを特徴と
    する、請求項1記載のコーティング剤。 【化1】 (式中、Zは、フェニレン、アルキレン、アラルキレン
    及びシクロアルキレンから選ばれる二価基であり、Y
    は、炭素原子1〜10個のアルキレン基であり、Rは、
    全R基のうちの少なくとも50%がメチル基で、残余が
    炭素原子2〜12個を有するアルキル又は置換アルキル
    基又は不飽和結合を有する炭化水素基、フェニル基又は
    置換フェニル基であり、Dは、水素、炭素原子1〜10
    個のアルキル基、又はYを含めて環構造を完成して複素
    環を形成するアルキレン基、あるいはフェニル基であ
    り、Bは、アルキレン、アラルキレン、シクロアルキレ
    ン、フェニレン、ポリブタジエン、ポリアルキレンオキ
    シドジオール由来の二価基、ポリエステルジオール由来
    の二価基、オルガノポリシロキサン由来の二価基、及び
    それらの混合物から選ばれる二価基であり、Aは、−O
    −又は 【化2】 (この式のGは水素、炭素原子1〜10個のアルキル
    基、フェニル基、又はBを含めて環構造を完成して複素
    環を形成するアルキレン基である)から選ばれる二官能
    性部分であり、pは1又はそれ以上の整数であり、nは
    1又はそれ以上の整数であり、そしてmは0〜1000
    の整数である)
  3. 【請求項3】 当該コーティング剤から形成された皮膜
    の強度を向上させるのに有効な成分を更に含有してい
    る、請求項1又は2記載のコーティング剤。
  4. 【請求項4】 請求項1から3までのいずれか一つに記
    載のコーティング剤を塗布して改質した表面を有する構
    造物。
  5. 【請求項5】 請求項1から3までのいずれか一つに記
    載のコーティング剤を塗布し、5〜1000μmの厚さ
    の皮膜を表面に形成して改質した表面を有する構造物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010530806A (ja) * 2007-06-19 2010-09-16 セルラー・バイオエンジニアリング・インコーポレイテッド 基材を保護し、当該基材から汚染物質を取り除くための方法
JP2022550806A (ja) * 2020-07-22 2022-12-05 エルジー・ケム・リミテッド シリコーン系コーティング組成物およびこれを含むシリコーン系離型フィルム

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