JP2015193701A - 粘着剤組成物、粘着シート、および粘着シートの製造方法 - Google Patents

粘着剤組成物、粘着シート、および粘着シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低い剥離特性を有し、かつ、良好な定荷重性等が得られる粘着剤組成物、そのような粘着剤組成物を用いてなる粘着シートおよび粘着シートの製造方法を提供する。【解決手段】 少なくとも(A)成分としての末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂と、を含む粘着剤組成物であって、(A)成分としての末端シリル基ポリマーが、主鎖中に、ポリオキシアルキレン構造を有し、主鎖の一部または側鎖にウレタン結合および尿素結合、あるいはいずれか一方を有し、さらに、主鎖の両末端に、所定の加水分解性シリル基を有しており、かつ、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体および無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体あるいはいずれか一方を含む。【選択図】図4

Description

本発明は、粘着剤組成物、粘着シート、および粘着シートの製造方法に関する。特に、低剥離特性を有し、かつ、良好な定荷重性が得られる粘着剤組成物、そのような粘着剤組成物を用いてなる粘着シートおよび粘着シートの製造方法に関する。
従来、粘着シートは、押圧により容易に被着体に貼付できるという利点を有することから、表示用ラベルや電子部品接着材料などとして、多くの分野に使用されている。
ここで、このような粘着シートに用いられる粘着剤層として、末端シリル基ポリマーを使用したものが提案されている。末端シリル基ポリマーとは、末端に加水分解性シリル基が結合されてなるポリマーであり、硬化により、三次元網目構造となるものである。
そこで、例えば、所定の末端シリル基ポリマーを主剤として含む粘着剤組成物を用いてなる粘着シートが提案されている(例えば、特許文献1)。
より具体的には、主鎖または側鎖にウレタン結合および/または尿素結合をもち、末端に加水分解性シリル基を含有する末端シリル基ポリマー100質量部と、粘着付与樹脂10〜150質量部と、三フッ化ホウ素および/またはその錯体、フッ素化剤およびフッ素系無機酸のアルカリ金属塩よりなる群から選ばれたフッ素系化合物0.001〜10質量部とを均一に混合した粘着剤前駆体を、テープ基材またはシート基材の表面に塗布した後、該末端シリル基ポリマーを硬化させることにより、該粘着剤前駆体を粘着剤層とすることを特徴とする粘着シートが開示されている。
また、金属、プラスチック、木材、無機質材料等の幅広い材料への密着性に優れたウレタン樹脂系硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2)。
より具体的には、(イ)主鎖が少なくともポリオキシエチレンを含むポリオキシアルキレン重合体であり、所定の構造を有するウレタン系樹脂(A)並びに(ロ)重合性ビニル基含有モノマーを重合してなるビニル重合体(B)を成分として含有するウレタン樹脂系硬化性樹脂組成物が開示されている。
WO2010/038715号公報(特許請求の範囲等) 特開2002−212415号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に記載の粘着シートは、末端シリル基ポリマーにおける末端シリル基の反応性を高めるための硬化触媒として、三フッ化ホウ素やフッ素化剤等のフッ素化合物を相当量配合しなければならず、製造コストが高くなったり、反応制御が困難となったり、硬化触媒の種類によっては、取り扱い性が困難になったりするという問題が見られた。
さらに、添加剤の一つとして、アクリル系オリゴマー等の機能性オリゴマー等を添加しても良いとの記載があるものの、その種類や量については言及しておらず、得られた粘着テープの剥離力が比較的高いという問題が見られた。
また、特許文献2に記載のウレタン樹脂系硬化性樹脂組成物は、樹脂組成物中に、ビニル重合体が成分として含まれているため、金属、プラスチック等への密着性には優れるものの、製造工程が複雑な上、樹脂組成物の粘度が高くなり、取り扱いが容易ではないという問題が見られた。
そこで、本発明者等は、以上のような事情に鑑み、鋭意努力したところ、末端シリル基ポリマーに対し、所定の(メタ)アクリル酸エステル重合体および粘着付与樹脂を配合することにより、低い剥離特性を示し、かつ、良好な定荷重性が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、低い剥離特性を示し、かつ、良好な定荷重性が得られる粘着剤組成物、そのような粘着剤組成物を用いてなる粘着シート及び粘着シートの効率的な製造方法を提供することにある。
本発明によれば、少なくとも(A)成分としての末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂と、を含む粘着剤組成物であって、(A)成分としての末端シリル基ポリマーが、主鎖中に、ポリオキシアルキレン構造を有し、主鎖の一部または側鎖にウレタン結合および尿素結合、あるいはいずれか一方を有し、さらに、主鎖の両末端に、下記一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有しており、かつ、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体および無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体あるいはいずれか一方を含むことを特徴とする粘着剤組成物が提供され、上述した問題点を解決することができる。
(一般式(1)中、X1およびX2は独立しており、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、Rは炭素数1〜20のアルキル基である。)
すなわち、本発明の粘着剤組成物であれば、(A)成分である末端シリル基ポリマーに対し、(B)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体および(C)成分である粘着付与樹脂を配合し、かつ、(B)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体が所定の官能基を有することにより、粘着剤組成物が、低剥離特性を有し、かつ、良好な定荷重性を発揮することができる。
また、(A)成分である末端シリル基ポリマーは、主鎖の両末端に、一般式(1)で表される加水分解性シリル基を有するため、(A)成分同士の架橋密度が好適な範囲に調節され、粘着剤組成物における粘着力と凝集力との間のバランスをより良好なものとすることができる。
さらにまた、(A)成分である末端シリル基ポリマーは、主鎖中にポリオキシアルキレン構造を有するため、得られる粘着剤組成物に対し、適度な柔軟性を付与することができる。
なお、(B)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体である場合は、複数種のモノマーからなる共重合体を意味する。
一方、(B)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体が、無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体である場合には、単独のモノマーからなる重合体であっても、複数種のモノマーからなる共重合体であってもよい。
さらに、(B)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体と無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体を共に含んでもよい。
また、本発明の粘着剤組成物を構成するにあたり、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量が800〜3,000,000の範囲内の値であることが好ましい。
このように構成することにより、粘着剤組成物が、低剥離特性を有し、かつ、良好な定荷重性を発揮することができる。
また、本発明の粘着剤組成物を構成するにあたり、(A)成分としての末端シリル基ポリマー100重量部に対して、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体の配合量が0.1〜150重量部の範囲内の値であることが好ましい。
このように構成することにより、粘着剤組成物が、低剥離特性を有し、かつ、良好な定荷重性を発揮することができる。
また、本発明の粘着剤組成物を構成するにあたり、(A)成分としての末端シリル基ポリマー100重量部に対して、(C)成分としての粘着付与樹脂の配合量が50〜140重量部の範囲内の値であることが好ましい。
このように構成することにより、粘着剤組成物における粘着力と凝集力との間のバランスをより良好なものとすることができる。
また、本発明の粘着剤組成物を構成するにあたり、(A)成分である末端シリル基ポリマーの重量平均分子量が15,000〜200,000の範囲内の値であることが好ましい。
このように構成することにより、粘着剤組成物における柔軟性、粘着力、および凝集力との間のバランスをより良好なものとすることができる。
また、本発明の粘着剤組成物を構成するにあたり、(C)成分としての粘着付与樹脂が、テルペンフェノール系樹脂であることが好ましい。
このように構成することにより、得られる粘着剤組成物のガラス転移点を適当な範囲に容易に調節でき、良好な粘着特性を維持したまま、さらに良好な定荷重性を得ることができる。
また、本発明の粘着剤組成物を構成するにあたり、粘着剤組成物のゲル分率が、20〜70%の範囲内の値であることが好ましい。
このように構成することにより、優れた凝集力を発揮することができる。
より具体的には、粘着剤層が、比較的高い凝集力を有している場合であっても、良好な定荷重性を得ることができる。
本発明の別の態様は、上述の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有することを特徴とする粘着シートである。
すなわち、上述の粘着シートは、低剥離特性および良好な定荷重性を有しているため、かかる粘着シートが剥離シートを備えた場合であっても、容易に剥離することができ、かつ、被着体に良好に貼り合せることができる。
また、本発明の粘着シートを構成するにあたり、基材の少なくとも片面に、上述の粘着剤層を有する粘着シートであることが好ましい。
また、本発明の粘着シートを構成するにあたり、2枚の剥離シートにより粘着剤層が挟持された構造を有する粘着シートであることが好ましい。
また、本発明の粘着シートを構成するにあたり、XPSの元素分析測定による粘着シートの粘着剤層の表面のケイ素元素濃度をZ1とし、粘着剤組成物から(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体を除いて作成した粘着剤組成物を備えた粘着シートのXPSの元素分析測定による粘着剤層の表面のケイ素元素濃度をZ0としたときに、下記一般式(A)で表されるケイ素濃度変化率Zが、83%以下の値であることが好ましい。
このように構成することにより、粘着剤層の極表層における粘着剤組成物の存在状態を好適に規定することができる。
また、本発明の別の態様は、基材の両面または片面に、粘着剤組成物からなる粘着剤層を備え、当該粘着剤層の基材と反対側の面に剥離シートを備えた粘着シートの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法である。
(1)少なくとも(A)成分としての末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂と、を含む粘着剤組成物であって、(A)成分としての末端シリル基ポリマーが、主鎖中に、ポリオキシアルキレン構造を有し、主鎖の一部または側鎖にウレタン結合および尿素結合、あるいはいずれか一方を有し、さらに、主鎖の両末端に、下記一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有しており、かつ、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体および無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体あるいはいずれか一方を含む粘着剤組成物を準備する工程
(一般式(1)中、X1およびX2は独立しており、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、Rは炭素数1〜20のアルキル基である。)
(2)粘着剤組成物を、基材の両面または片面に積層し、非硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートを形成する工程
(3)粘着剤組成物を加熱して、硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートとする工程
このように実施することにより、低剥離特性と、良好な定荷重性を有する粘着シートを効率的に製造することができる。
より具体的には、(A)成分としての末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての所定の官能基を含む(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂とを少なくとも含むことにより、剥離シートから、容易に剥離でき、かつ、被着体に対しては良好な粘着特性を発揮する粘着シートを安定的に得ることができる。
また、本発明のさらに別の態様は、基材を含まず、粘着剤組成物からなる粘着剤層を備え、当該粘着剤層の両面に剥離シートを備えた粘着シートの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法である。
(1)少なくとも(A)成分としての末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂と、を含む粘着剤組成物であって、(A)成分としての末端シリル基ポリマーが、主鎖中に、ポリオキシアルキレン構造を有し、主鎖の一部または側鎖にウレタン結合および尿素結合、あるいはいずれか一方を有し、さらに、主鎖の両末端に、下記一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有しており、かつ、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体および無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体あるいはいずれか一方を含む粘着剤組成物を準備する工程
(一般式(1)中、X1およびX2は独立しており、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、Rは炭素数1〜20のアルキル基である。)
(2)粘着剤組成物を、剥離シートの表面に積層し、非硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートを形成する工程
(3)粘着剤組成物を加熱して、硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートとする工程
このように実施することにより、基材レスであっても、低剥離特性と、良好な定荷重性を有する粘着シートを効率的に製造することができる。
より具体的には、(A)成分としての末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての所定の官能基を含む(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂とを少なくとも含むことにより、剥離シートから、容易に剥離でき、かつ、被着体に対しては良好な粘着特性を発揮する粘着シートを安定的に得ることができる。
図1(a)〜(b)は、それぞれ所定の末端シリル基ポリマーの合成法および硬化反応について説明するための反応式である。 図2(a)〜(b)は、それぞれ粘着付与樹脂(非水添テルペンフェノール系樹脂および完全水添テルペンフェノール系樹脂)のFT−IRスペクトルである。 図3(a)〜(d)は、それぞれ粘着シートの態様を説明するために供する図である。 図4(a)〜(c)は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いた場合の粘着剤層の表面状態について説明するために供する図である。 図5は、ケイ素原子濃度変化率と、粘着特性との関係について説明するために供する図である。 図6(a)〜(c)は、無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体を用いた場合の粘着剤層の表面状態について説明するために供する図である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、少なくとも(A)成分としての末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂と、を含む粘着剤組成物であって、(A)成分としての末端シリル基ポリマーが、主鎖中に、ポリオキシアルキレン構造を有し、主鎖の一部または側鎖にウレタン結合および尿素結合、あるいはいずれか一方を有し、さらに、主鎖の両末端に、下記一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有しており、かつ、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体および無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体あるいはいずれか一方を含むことを特徴とする粘着剤組成物である。
(一般式(1)中、X1およびX2は独立しており、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、Rは炭素数1〜20のアルキル基である。)
以下、本発明の第1の実施形態の粘着剤組成物を、適宜図面を参照して、具体的に説明する。
1.(A)成分:末端シリル基ポリマー
(1)基本的構成
(A)成分としての末端シリル基ポリマーは、主鎖または側鎖にウレタン結合および尿素結合、あるいはいずれか一方を有するとともに、主鎖の両末端に上述した一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有することを特徴とする。
この理由は、このような(A)成分であれば、一般式(1)で表わされる2官能の加水分解性末端シリル基を有することから、(A)成分同士の加水分解脱水縮合により効果的に三次元網目構造を形成することができるためである。
したがって、所定の粘着付与樹脂との組み合わせにより、優れた粘着力を発揮することができ、粘着シートに用いられた場合に、良好な粘着特性を発現することができる。
また、このような(A)成分であれば、一般式(1)で表わされる2官能の加水分解性末端シリル基を有することから、硬化後の粘着剤組成物におけるゲル分率を所定の範囲に調節することで、優れた凝集力を発揮することができる。
したがって、粘着剤組成物を粘着シートに適用し、それをロール状に加工したような場合であっても、経時で粘着剤が側面より浸み出してくることを抑制することが出来る。
よって、(A)成分として所定の末端シリル基ポリマーを用いることで、粘着力と凝集力との間のバランスに優れた粘着剤組成物を得ることができる。
なお、一般式(1)中、Rで表わされるアルキル基の炭素数は、1〜20であるが、加水分解脱水縮合反応性が良好なことから、1〜12であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましい。
また、一般式(1)中、X1またはX2がアルコキシ基である場合、当該アルコキシ基における炭素数は、加水分解脱水縮合反応性が良好なことから、1〜12であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
そして、かかる末端シリル基ポリマーは、所定の末端部分と、所定の骨格部分から構成されている。
なお、図1(a)に示す、式(1)で表わされるウレタンプレポリマー(ジイソシアネート化合物)および式(2)で表わされるハロゲン化シリル基と、を原料とした、式(3)で表わされる末端シリル基ポリマーの具体的な合成方法については、第3の実施形態で説明する。
まず、図1(a)中の式(3)で表わされる末端シリル基ポリマーにおける末端部分の具体的な構造を、下記一般式(2)〜(8)(末端部分−A〜G)に示す。
(一般式(2)中、R2およびR3は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、R、X1およびX2は一般式(1)の場合と同様であり、下記一般式(3)〜(8)においても同様の内容である。)
(一般式(8)中、X3はアルキレン基であり、X4は炭素数1〜20の有機基、例えば、アルキル基またはアリール基等を示す。)
すなわち、末端シリル基ポリマーがこのような末端部分を有することによって、図1(b)に示すような、脱水縮合による硬化反応を生じさせるとともに、被着体に対する密着性をより強固なものとすることができる。
また、図1(a)中の式(3)で表わされる末端シリル基ポリマーの主鎖または側鎖の骨格としては、ポリオキシアルキレン構造であることを特徴とする。
この理由は、ポリオキシアルキレン構造を分子中に有することにより、得られる粘着剤組成物に対し、適度な柔軟性を付与することができ、被着体に対する密着性をさらに向上させることができるためである。
なお、かかるポリオキシアルキレンの具体例としては、ポリオキシプロピレンやポリオキシエチレン等が挙げられる。
また、(A)成分である所定の末端シリル基ポリマーが、図1(a)に示すように、側鎖に一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有さず、主鎖の両末端のみに一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有する両末端シリル基ポリマーであることを特徴とする。
この理由は、かかる両末端シリル基ポリマーであれば、(A)成分同士の架橋密度が好適な範囲に調節され、硬化後の粘着剤組成物における粘着力と凝集力とのバランスの調節を容易にすることができるためである。
また、(A´)成分として、さらに主鎖の片末端のみに一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有する片末端シリル基ポリマーを含むとともに、その配合量が、両末端シリル基ポリマー100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、両末端シリル基ポリマーに対して、所定の範囲で片末端シリル基ポリマーを混合することで、(A)成分同士の架橋密度がより好適な範囲に調節され、硬化後の粘着剤組成物における粘着力と凝集力とのバランスの調節をさらに容易にすることができるためである。
すなわち、片末端シリル基ポリマーの配合量が0.1重量部以上の値となると、その添加効果を十分に発揮できるためである。一方、片末端シリル基ポリマーの配合量が30重量部以下の値であれば、(A)成分同士の架橋密度を好適な範囲に調整することが容易となり、所定のゲル分率を得ることができるためである。
したがって、片末端シリル基ポリマーの配合量が、両末端シリル基ポリマー100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲内の値であることがより好ましく、1〜5重量部の範囲内の値であることがさらに好ましい。
但し、両末端シリル基ポリマーのみを用いた場合であっても粘着力に優れた粘着剤組成物を得られることが確認されているため、特に必要のない場合には、片末端シリル基ポリマーを混合することなく、両末端シリル基ポリマーのみを用いることも、製造工程の簡略化等の観点からは好ましい。
(2)重量平均分子量
また、(A)成分である末端シリル基ポリマーの重量平均分子量が15,000〜200,000の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、かかる末端シリル基ポリマーの重量平均分子量が15,000以上の値となると、架橋密度が好適な範囲に調節され、十分な粘着力を得ることができ、また粘度を好適な範囲に調整することが容易となり、溶液塗布によるシート化時の加工性を向上できるためである。
一方、かかる末端シリル基ポリマーの重量平均分子量が200,000以下の値であれば、粘度を好適な範囲に調整することが容易となり、溶液塗布によるシート化時の加工性を向上でき、さらに、架橋密度を好適な範囲に調整でき、粘着力と凝集力とのバランスを調節することが容易であるためである。
したがって、(A)成分である末端シリル基ポリマーの重量平均分子量が20,000〜150,000の範囲内の値であることがより好ましく、30,000〜100,000の範囲内の値であることがさらに好ましい。
なお、(A)成分である末端シリル基ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)等の公知の分子量測定装置を用いて、測定することができる。
その他、上述した(A´)成分を配合する場合には、(A´)成分の重量平均分子量についても、(A)成分と同様にすることができる。
(3)配合量
また、(A)成分である末端シリル基ポリマーの配合量が、粘着剤組成物の全体量100重量%に対して、20〜90重量%の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、かかる末端シリル基ポリマーの配合量が20重量%以上の値になると、粘着剤組成物全体に対する(A)成分の絶対量が好適な範囲となり、十分な凝集力を得ることができるためである。
一方、かかる末端シリル基ポリマーの配合量が90重量%以下の値であれば、粘着剤組成物全体に対する(A)成分の絶対量が好適な範囲となり、十分な粘着力を得ることができるためである。
したがって、(A)成分である末端シリル基ポリマーの配合量が、粘着剤組成物の全体量100重量%に対して、25〜85重量%の範囲内の値であることがより好ましく、30〜80重量%の範囲内の値であることがさらに好ましい。
2.(B)成分:(メタ)アクリル酸エステル重合体
(1)構成
また、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体及び無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体あるいはいずれか一方を含むことを特徴とする。
この理由は、粘着剤組成物が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体及び無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体あるいはいずれか一方を含むことによって、後述するように、粘着シートを作成した際に、剥離シートから粘着シートを容易に剥離することができ、かつ、被着体に、貼り合せた場合には、良好な粘着特性を付与することができるためである。
(1)−1.カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体
また、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の種類は特に限定されるものではなく、カルボキシル基含有ビニルモノマーに由来した共重合部分と、その他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーやビニルモノマー等に由来した共重合部分と、を有している限り、いずれの種類のカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体を使用することができる。
より具体的には、カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、アクリル酸2−カルボキシエチル、メタクリル酸2−カルボキシエチル、コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
一方、その他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーやビニルモノマー等としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアルキル基の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有ビニルモノマー、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等の窒素含有ビニルモノマー、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、スチレン等の芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル等のビニルエステル類の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体を共重合する際の、カルボキシル基含有ビニルモノマーの使用量が、全モノマー成分100重量%に対して、0.1〜50重量%の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、このようにカルボキシル基含有ビニルモノマーの使用量を制御することによって、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重合が容易になるばかりか、当該(メタ)アクリル酸エステル共重合体による加水分解性シリル基の反応性や、粘着剤組成物の粘着特性を安定的に向上させることができるためである。
したがって、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を共重合する際の、カルボキシル基含有ビニルモノマーの使用量が、全モノマー成分100重量%に対して、1〜30重量%の範囲内の値であることがより好ましく、3〜15重量%の範囲内の値であることがさらに好ましい。
また、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の酸価が、20〜200KOHmg/gの範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の酸価がかかる範囲内の値であることにより、粘着剤組成物の粘着特性を安定的に向上させることができるためである。
すなわち、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の酸価が20KOHmg/g以上の値となると、剥離シートからの良好な剥離特性が得られ、かつ、被着体への良好な粘着性が発現するためである。一方、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の酸価が200KOHmg/g以下の値であれば、粘着剤組成物の耐久性が向上するためである。
したがって、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の酸価が30〜100KOHmg/gの範囲内の値であることがより好ましい。
なお、本発明において、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の酸価とは、粘着剤組成物にカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体を配合する前の、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体を溶剤に溶解して測定される酸価を意味する。
(1)−2.無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体
また、無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の分子内に、カルボキシル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、アルコキシシリル基、長鎖アルキル基、アミド基、イミド基等の官能基を実質的に有さないことを意味する。
より具体的には、無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体を構成するモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシルおよび(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のモノマーが挙げられる。
これらのモノマーは、単独で使用してもよく二種以上を混合して使用してもよい。
(2)製造方法
また、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体または無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法としては、例えば、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法等の公知の方法によって製造することができる。また、通常、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体または無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造においては、重合開始剤が用いられる。重合開始剤の配合量が、全モノマーの合計100重量部に対して、0.001〜5重量部の範囲内の値であることが好ましい。
また、重合開始剤としては、熱重合開始剤や光重合開始剤等が用いられる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン等が挙げられる。また、熱重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物等が挙げられる。
また、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体として、市販品を用いることも好ましく、例えば、東亞合成株式会社製UC−3000シリーズが好適に使用できる。
また、無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体として、市販品を用いることも好ましく、例えば、東亞合成株式会社製UP−1000シリーズが好適に使用できる。
(3)重量平均分子量
また、(B)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量が800〜3,000,000の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、かかる(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量が800以上の値となると、粘着剤組成物の粘着特性が向上し、また、被着体の汚染を抑制できるためである。
一方、かかる(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量が3,000,000以下の値であれば、(A)成分である末端シリル基ポリマーとの相溶性を維持でき、また、重合時間が短縮でき、さらには、低分子量物に分解しにくくなるため、被着体の汚染を抑制できる。
したがって、(B)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量が1,000〜2,000,000の範囲内の値であることがより好ましく、2,000〜1,800,000の範囲内の値であることがさらに好ましい。
(4)配合量
また、(B)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体の配合量が、(A)成分である末端シリル基ポリマー100重量部に対して0.1〜150重量部の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の配合量がかかる範囲内の値であることにより、低剥離性と、良好な定荷重性との間のバランスに優れた粘着剤組成物を得ることができるためである。
すなわち、かかる(メタ)アクリル酸エステル重合体の配合量が0.1重量部以上の値となると、加水分解性シリル基の反応性が向上し、そのため、粘着剤組成物の凝集力を好適な範囲内の値とすることが容易となるためである。
一方、かかる(メタ)アクリル酸エステル重合体の配合量が150重量部以下の値であれば、粘着剤組成物において、良好な粘着特性が得られるためである。
したがって、(B)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体の配合量が、(A)成分である末端シリル基ポリマー100重量部に対して、1〜120重量部の範囲内の値であることがより好ましく、4〜100重量部の範囲内の値であることがさらに好ましい。
3.(C)成分:粘着付与樹脂
(1)種類
また、粘着付与剤樹脂の種類は特に限定されるものではなく、重合ロジン、重合ロジンエステル、ロジン誘導体などのロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂及びその水素化物、テルペンフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、脂肪族系石油系樹脂、芳香族系石油樹脂及びその水素化物、脂肪族/芳香族共重合体石油樹脂、部分水添テルペンフェノール系樹脂、スチレン又は置換スチレンの低分子質量合体等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
この理由は、これらの粘着付与樹脂であれば、(A)成分である所定の末端シリル基ポリマーとの相互作用を阻害することなく、粘着剤組成物に対し、優れた粘着力や凝集力を付与することができるためである。
なお、粘着付与樹脂が、テルペンフェノール系樹脂であることがより好ましく、完全水添テルペンフェノール系樹脂や部分水添テルペンフェノール系樹脂であることがさらに好ましい。
この理由は、テルペンフェノール系樹脂を含むことにより、(A)成分である末端シリル基ポリマーのガラス転移点を調節することが容易となるためである。
また、完全水添テルペンフェノール系樹脂や部分水添テルペンフェノール系樹脂であれば、粘着剤層を構成する粘着剤組成物における損失正接の極大値、即ちガラス転移点を比較的高く調整することがさらに容易となり、かつ、粘着剤組成物における凝集力が比較的高い値である場合であっても、良好な定荷重性を得ることができるためである。
ここで、完全水添テルペンフェノール系樹脂は、テルペンフェノール系樹脂を、実質的に完全に水添することにより得られる粘着付与樹脂であり、部分水添テルペンフェノール系樹脂は、テルペンフェノール系樹脂を部分的に水添することにより得られる粘着付与樹脂である。
そして、テルペンフェノール樹脂は、テルペン由来の二重結合とフェノール類由来の芳香族環二重結合とを有している。
したがって、完全水添テルペンフェノール系樹脂とは、テルペン部位およびフェノール部位の両方の部位が、完全に、あるいはほとんど水添された粘着付与樹脂を意味し、部分水添テルペンフェノール系樹脂とは、それらの部位の水添程度が完全でなく、部分的であるテルペンフェノール系樹脂を意味する。
なお、完全水添テルペンフェノール系樹脂に該当するか否かは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により得られるFT−IRスペクトルを用いて判断することができる。
ここで、図2(b)に示す完全水添テルペンフェノール系樹脂のFT−IRスペクトルを用いてより具体的に説明する。
ここで、メチル基の炭素−水素結合伸縮振動に由来する約2960cm-1のピークの高さを100とした場合に、フェノール部位の芳香族炭素−炭素二重結合伸縮振動に由来する1625‐1575cm-1のピークの高さが20%未満であるならば、フェノール部位が完全にまたはほとんど水添していることとする。
一方、フェノール部位由来のピークの高さが20%以上である場合は、図2(a)に示すようにフェノール部位およびテルペン部位がほとんど水添していない非水添テルペンフェノール系樹脂であると判断する。
なお、水添する方法や反応形式としては、特に限定されるものではなく、完全水添テルペンフェノール系樹脂としては、例えば、ヤスハラケミカル(株)製、NH等が挙げられる。
(2)配合量
また、(C)成分である粘着付与樹脂の配合量が、(A)成分である末端シリル基ポリマー100重量部に対して、50〜140重量部の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、粘着付与樹脂の配合量がかかる範囲内の値であることにより、粘着力と凝集力との間のバランスに優れた粘着剤組成物を得ることができるためである。
すなわち、かかる粘着付与樹脂の配合量が50重量部以上の値となると、十分な粘着力を得ることできるためである。
一方、かかる粘着付与樹脂の配合量が140重量部以下の値であれば、凝集力が向上し、粘着シートをロール状に加工した際に、経時で粘着剤組成物が浸み出すことを抑制できるためである。
したがって、(C)成分である粘着付与樹脂の配合量が、(A)成分である末端シリル基ポリマー100重量部に対して、60〜130重量部の範囲内の値であることがより好ましく、70〜120重量部の範囲内の値であることがさらに好ましい。
4.(D)成分:硬化触媒
(1)種類
また、粘着剤組成物を構成するにあたり、加水分解性シリル基を反応させるための硬化触媒((D)成分)は、基本的に不要であるが、かかる硬化触媒を配合する場合には、当該硬化触媒として、アルミ系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒、および三フッ化ホウ素系触媒からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
この理由は、これらの硬化触媒であれば、(A)成分としての末端シリル基ポリマー同士の架橋密度の制御が容易になり、硬化後の粘着剤組成物における粘着力と凝集力との間のバランスをさらに良好なものとすることができるためである。
より具体的には、アルミ系触媒としては、アルミニウムのアルコキシド、アルミニウムキレート、塩化アルミニウム(III)が好ましい。
また、チタン系触媒としては、チタンのアルコキシド、チタンキレート、塩化チタン(IV)が好ましい。
また、ジルコニウム系触媒としては、ジルコニウムのアルコキシド、ジルコニウムキレート、塩化ジルコニウム(IV)が好ましい。
さらにまた、三フッ化ホウ素系触媒としては、三フッ化ホウ素のアミン錯体やアルコール錯体が好ましい。
(2)配合量
また、(D)成分である硬化触媒は、配合しないこと、すなわち、0であってもよいが、硬化反応を促進等するために配合する場合には、その配合量が、(A)〜(C)成分の全体量に対して、0より大きく、0.1重量%以下の値であることが好ましい。
この理由は、かかる配合量が0.1重量%以下の値であれば、触媒作用を好適に発揮でき、粘着剤組成物を、基材等に塗布した後に好適に硬化でき、かつ、経済的に有利である。
したがって、(D)成分である硬化触媒を配合する場合、その配合量が、(A)〜(C)成分の全体量に対して、0より大きく、0.01重量%以下の値であることがより好ましく、0より大きく、0.001重量%以下の値であることがさらに好ましい。
5.(E)成分:シランカップリング剤
(1)種類
また、粘着剤組成物を構成するにあたり、当該粘着剤組成物が、(E)成分として、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
この理由は、所定量のシランカップリング剤を配合することにより、粘着剤組成物の粘着力や耐湿性を向上させることができるとともに、末端シリル基ポリマーの架橋助剤としての効果を発揮させられる場合があるためである。
そして、架橋助剤としての効果を有効に発揮させるためには、各種シランカップリング剤のうち、アミノ基を有するシランカップリング剤を用いることがより好ましい。
この理由は、かかるアミノ基を有するシランカップリング剤であれば、末端シリル基ポリマーの架橋助剤としての効果を安定的に発揮し、ひいては、粘着剤組成物の凝集力を、より好適な範囲に調節することができるためである。
よって、好適なアミノ基を有するシランカップリング剤として、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
(2)配合量
また、(E)成分としてのシランカップリング剤を配合するにあたり、(A)成分である末端シリル基ポリマー100重量部に対して、当該シランカップリング剤の配合量が0.01〜1.0重量部の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、このような範囲であれば、比較的安価な粘着剤組成物が提供できるとともに、粘着剤組成物の粘着力や透明性を安定的に向上させることができるためである。
6.各種添加剤
また、粘着剤組成物には、上述した以外の成分として、例えば、老化防止剤、ビニルシラン化合物や酸化カルシウム等の脱水剤、充填剤、導電性材料、熱伝導性材料、可塑剤、無水シリカ、アマイドワックス等の揺変剤、イソパラフィン等の希釈剤、水酸化アルミニウム、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等の難燃剤、シリコーンアルコキシオリゴマー、顔料、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、乾性油等を添加混合することも好ましい。
また、これらの添加剤を加える場合には、添加剤の種類にもよるが、本発明の効果を損なわない程度に配合することが好ましく、その配合量が、(A)成分である所定の末端シリル基ポリマー100重量部に対して、0.01〜200重量部の範囲内の値であることが好ましく、0.01〜100重量部の範囲内の値であることが好ましく、0.01〜40重量部の範囲内の値であることが特に好ましい。
7.ゲル分率
また、粘着剤組成物を構成するにあたり、粘着剤組成物のゲル分率が20〜70%の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、粘着剤組成物のゲル分率がかかる範囲内の値であることにより、優れた凝集力を発揮することができ、粘着剤層を備えた粘着シートをロール状に加工した際に、経時で粘着剤層を構成する粘着剤組成物が側面より浸み出してくることを抑制出来るためである。
すなわち、粘着剤組成物のゲル分率が20%以上の値となると、凝集力が向上し、ロール状に加工した際に、経時で粘着剤層を構成する粘着剤組成物が側面より浸み出してくることを抑制できるためである。
一方、粘着剤組成物のゲル分率が70%以下の値であれば、十分な粘着力が得られるためである。
したがって、粘着剤組成物のゲル分率が30〜65%の範囲内の値であることがより好ましく、35〜60%の範囲内の値であることがさらに好ましい。
なお、「粘着剤組成物のゲル分率」とは、実施例1において、具体的に説明するように、粘着剤組成物を、基材に対して塗布した後、23℃、50%RH環境下にて1週間シーズニングした後、当該シーズニング後の粘着剤を測定試料として浸漬法によって算出されるゲル分率を意味する。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、上述の第1の実施形態に記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有することを特徴とする粘着シートである。
以下、粘着剤層を構成する粘着剤組成物については、第1の実施形態と同様の内容とすることができるため、粘着シートに関する事項を中心に、図3(a)〜(d)等を参照しながら、具体的に説明する。
1.態様
本発明の粘着シートとして、各種態様が採れるが、例えば、図3(a)に示すように、本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層12を、基材10の片面に形成し、粘着剤層12の基材10と反対側の面に剥離シート14を備えた片面の粘着シート50の態様とすることが好ましい。
このような粘着シート50の態様であれば、粘着テープ、表示用ラベル、あるいは表面保護粘着シート等に加工して、各種用途に適用することができる。
また、図3(b)に示すように、本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層12(12a、12b)を、基材10の両面に形成し、さらに、基材10と反対側の面に剥離シート14a、14bを備えた両面の粘着シート52の態様とすることも好ましい。
このような粘着シート52の態様であれば、電子部品等を仮固定するための電子部品粘着材料や電子部品等の搬送テープ等の用途に好適に適用することができる。
また、図3(c)に示すように、本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層12を基材10の一方の面に形成し、もう一方の面には、本発明とは異なる粘着剤組成物(接着剤組成物も含む。)、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エポキシ系接着剤等からなる他の粘着剤層(接着剤層も含む。)18を形成してなり、粘着剤層12,18の基材10と反対側の面に剥離シート14a、14bを備えた両面の粘着シート54の態様とすることが好ましい。
このような粘着シート54の態様であれば、電子部品を、基板に固定するための固定用部材等の用途に好適に適用することができる。
さらに、図3(d)に示すように、基材を含まず、本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層12の両方の面に剥離シート14a、14bを備えた両面粘着シート56の態様とすることが好ましい。
このような粘着シート56の態様であれば、例えば、ディスプレイの光学部材の貼り合せのための粘着シートとして、好適に適用することができる。
2.粘着剤層
(1)構成
第1の実施形態で説明したように、粘着剤層は、少なくとも(A)成分としての所定の末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂と、を含む粘着剤組成物であって、かつ、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体および無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体またはいずれか一方を含む粘着剤組成物からなることを特徴とする。
(1)−1.カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む粘着シート
本発明において、(B)成分の(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む場合における粘着剤層の表面状態および粘着特性等について説明する。
すなわち、図4(a)は、横軸に(B)成分として、重量平均分子量が2000のカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いた場合の、末端シリル基ポリマー100重量部に対するカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の配合量を採り、左縦軸に、粘着剤層の最表面に対するXPS分析(X線光電子分光分析)によって得られた炭素原子および酸素原子の原子濃度を採り、右縦軸に、ケイ素原子濃度を採って示してある。
また、特性曲線Aは、炭素原子濃度を示す特性曲線であり、特性曲線Bは、酸素濃度を示す特性曲線であり、特性曲線Cは、ケイ素原子濃度を示す特性曲線である。
また、同様に、図4(b)には、横軸に(B)成分として、重量平均分子量が180万のカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いた場合の、末端シリル基ポリマー100重量部に対するカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の配合量を採り、左縦軸に、粘着剤層の最表面に対するXPS分析によって得られた炭素原子および酸素原子の原子濃度を採り、右縦軸に、ケイ素原子濃度を採って示してある。
また、特性曲線Dは、炭素原子濃度を示す特性曲線であり、特性曲線Eは、酸素濃度を示す特性曲線であり、特性曲線Fは、ケイ素原子濃度を示す特性曲線である。
また、図4(c)は、横軸に、末端シリル基ポリマー100重量部に対するカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の配合量を採り、縦軸は、XPSの元素分析測定による粘着シートの粘着剤層の表面のケイ素元素濃度をZ1とし、粘着剤組成物から(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体を除いて作成した粘着剤組成物を備えた粘着シートのXPSの元素分析測定による粘着剤層の表面のケイ素元素濃度をZ0としたときの、下記一般式(A)で表されるケイ素濃度変化率Zを採って示してある。
また、特性曲線Gは、重量平均分子量2000のカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体についてのケイ素元素濃度変化率についての特性曲線であり、特性曲線Hは、重量平均分子量180万のカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体についてのケイ素元素濃度変化率についての特性曲線である。
図4(a)〜(c)より、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の配合量の増加に伴い、炭素原子濃度および酸素原子濃度はほとんど変化していないにも関わらず、ケイ素原子濃度が減少していることが理解される。
すなわち、ケイ素原子濃度は、(A)成分である末端シリル基ポリマーに由来しており、ケイ素原子濃度が減少するとは、すなわち、表面の末端シリル基ポリマーの濃度が低下していることを意味し、言い換えれば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、粘着剤層中で、基材と反対の表面側に偏析していることを意味している。
したがって、粘着剤組成物が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む場合、基材に塗布した後、経時で、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、粘着剤層中で、基材と反対の表面側(剥離シート側)に偏析し易い傾向があることが理解される。
なお、XPS分析の分析方法は、実施例1において、具体的に説明するように、XPS測定装置を用いて、粘着剤層の最表面の所定面積の元素分析を行うことにより算出することができる。
また、図5に、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いた場合の、粘着剤層の基材と反対側の表面の状態と、粘着特性との関係を示す。
より具体的には、図5の横軸に、上述のケイ素原子濃度変化率を採り、縦軸に剥離シートからの低速剥離力を採って示してある。
すなわち、特性曲線Rより、粘着剤層と、剥離シートとの界面において、粘着剤層の表面付近のケイ素原子濃度が低下するにつれ、すなわち、表面付近に、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸共重合体が比較的多く偏析するにつれ、剥離シートからの剥離が容易になっていることが理解される。
なお、粘着シートの剥離シートからの低速剥離力は、実施例1において、具体的に説明するように、180°引張試験器を用いて測定する。
(1)−2.無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体を含む粘着シート
また、本発明において、(B)成分の(メタ)アクリル酸エステル重合体が、無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体を含む場合における粘着剤層の表面状態および粘着特性等について説明する。
すなわち、図6(a)は、横軸に(B)成分として、重量平均分子量が6000の無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体を用いた場合の末端シリル基ポリマー100重量部に対する無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体の配合量を採り、左縦軸に、粘着剤層の最表面に対するXPS分析によって得られた炭素原子および酸素原子の原子濃度を採り、右縦軸に、ケイ素原子濃度を採って示してある。
また、特性曲線Iは、炭素原子濃度を示す特性曲線であり、特性曲線Jは、酸素濃度を示す特性曲線であり、特性曲線Kは、ケイ素原子濃度を示す特性曲線である。
また、同様に、図6(b)には、横軸に(B)成分として、重量平均分子量が33万の無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体を用いた場合の末端シリル基ポリマー100重量部に対する無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体の配合量を採り、左縦軸に、粘着剤層の最表面に対するXPS分析によって得られた炭素原子および酸素原子の原子濃度を採り、右縦軸に、ケイ素原子濃度を採って示してある。
また、特性曲線Lは、炭素原子濃度を示す特性曲線であり、特性曲線Mは、酸素濃度を示す特性曲線であり、特性曲線Nは、ケイ素原子濃度を示す特性曲線である。
また、図6(c)は、横軸に、末端シリル基ポリマー100重量部に対する無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体の配合量を採り、縦軸は、XPSの元素分析測定による粘着シートの粘着剤層の表面のケイ素濃度変化率Zを採って示してある。
また、特性曲線Oは、重量平均分子量6000の無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体についてのケイ素元素濃度変化率についての特性曲線であり、特性曲線Pは、重量平均分子量33万の無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体についてのケイ素元素濃度変化率についての特性曲線である。
図6(a)〜(c)より、無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体の配合量の増加に伴い、炭素原子濃度および酸素原子濃度はほとんど変化していないにも関わらず、ケイ素原子濃度が減少していることが理解される。
すなわち、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の場合と同様に、無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体が、粘着剤層中で、基材と反対の表面側に偏析していることを意味している。
したがって、粘着剤組成物が、無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体を含む場合、基材に塗布した後、経時で、無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体が、粘着剤層中で、基材と反対の表面側に偏析し易い傾向があることが理解される。
(2)ケイ素濃度変化率
また、上述のXPSの元素分析測定による粘着シートの粘着剤層の表面のケイ素元素濃度をZ1とし、粘着剤組成物から(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体を除いて作成した粘着剤組成物を備えた粘着シートのXPSの元素分析測定による粘着剤層の表面のケイ素元素濃度をZ0としたときの、下記一般式(A)で表されるケイ素濃度変化率Zが83%以下の値であることが好ましい。
すなわち、ケイ素濃度変化率Zが83%以下の値であれば、粘着剤層において、基材と反対の表面側に(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が偏析していると判断することができ、粘着剤層の表面状態を好適に規定することができるためである。
より具体的には、ケイ素濃度変化率が83%を超えた値となると、粘着剤層の表面側に所定の末端シリル基ポリマーが多く存在することを意味するため、剥離シートを容易に剥離することが困難となったり、好適な定荷重性が得られない場合があるためであり、一方、ケイ素濃度変化率が過度に低すぎると、粘着剤層全体の構成が変化し、良好な粘着特性が得られない場合があるためである。
したがって、ケイ素濃度変化率が、60〜83%の範囲内の値であることがより好ましく、62〜82%の範囲内の値であることがさらに好ましい。
(3)厚さ
また、粘着剤組成物からなる粘着剤層の厚さが、通常、1〜100μmの範囲内の値であることが好ましく、5〜50μmの範囲内の値であることがより好ましい。
この理由は、かかる粘着剤層の厚さが1μm未満となると、十分な粘着特性等が得られない場合があり、逆に、粘着剤層の厚さが100μmを超えると、残留溶剤が多くなって、粘着特性等が変化しやすい場合があるためである。
3.基材
(1)種類
ここで、粘着剤層を形成する基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリノルボルネン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、塩化ビニル、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニルエーテルサルフォン等の樹脂からなる樹脂フィルムが好ましく挙げられる。
(2)厚さ
また、基材の厚さとしては、特に制限されるものではないが、通常1〜1,000μmの範囲内の値であることが好ましく、10〜100μmの範囲内の値であることがより好ましい。
4.剥離シート(剥離基材)
また、本発明の粘着シートは、粘着剤層の表面に対して剥離シート(剥離基材)14、14a、14bが貼合されている態様であることも好ましい。
かかる剥離シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムや、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等が挙げられる。また、これらの剥離シートに対し、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、長鎖アルキルアクリレート樹脂、ゴム系樹脂等の剥離剤を塗布して、剥離層を設けたものも挙げられる。
また、かかる剥離シートの厚さが、通常、20〜150μmの範囲内の値であることが好ましい。
なお、2つの剥離シートにおける剥離力に所定の差を設けることにより、剥離力の低い側の剥離シートを剥がした際に、粘着剤層が部分的に追従してくることを防止することができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、基材の両面または片面に、粘着剤組成物からなる粘着剤層を備え、当該粘着剤層の基材と反対側の面に剥離シートを備えた粘着シートの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法である。
(1)少なくとも(A)成分としての末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂と、を含む粘着剤組成物であって、(A)成分としての末端シリル基ポリマーが、主鎖中に、ポリオキシアルキレン構造を有し、主鎖の一部または側鎖にウレタン結合および尿素結合、あるいはいずれか一方を有し、さらに、主鎖の両末端に、下記一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有しており、かつ、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体および無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体あるいはいずれか一方を含む粘着剤組成物を準備する工程
(一般式(1)中、X1およびX2は独立しており、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、Rは炭素数1〜20のアルキル基である。)
(2)粘着剤組成物を、基材の両面または片面に積層し、非硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートを形成する工程
(3)粘着剤組成物を加熱して、硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートとする工程
以下、第3の実施形態の粘着シートの製造方法について、具体的に説明する。
1.工程(1)(粘着剤組成物の準備工程)
工程(1)は、(A)成分としての末端シリル基ポリマー、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体、および(C)成分としての粘着付与樹脂等を含んでなる粘着剤組成物を準備する工程である。
ここで、図1(a)を参照して、(A)成分である末端シリル基ポリマーの合成例を示す。
まず、図1(a)中、式(1)で表わされる、分子の主鎖または側鎖の末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(ジイソシアネート化合物)を用意する。
次いで、図1(a)中、式(2)で表わされる、分子の片末端に、イソシアネート基と反応可能な活性水素基を有するとともに、分子の別の末端に一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有するシリル化剤を用意する。
次いで、式(1)で表わされるウレタンプレポリマーおよび式(2)で表わされるシリル化剤を均一に混合した後、例えば、窒素雰囲気下、80℃、1時間の条件で加熱反応させることで、式(3)で表わされる末端シリル基ポリマーを得ることができる。
そして、図1(b)に示すように、式(3)で表わされる末端シリル基ポリマーは、一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基の加水分解を経由し、さらに脱水縮合による硬化反応が進行して、3次元網目構造を形成することができる。
また、式(3)で表わされる末端シリル基ポリマーを合成する際には、図1(a)の場合とは逆に、シリル化剤がイソシアネート基を有しているとともに、所定のポリマー骨格を有する化合物が、活性水素基を有していてもよい。
その他、所定の末端シリル基ポリマーの主鎖または側鎖に導入されているウレタン結合あるいは尿素結合における活性水素は、第1の実施形態で説明したように有機基で置換されていてもよい。
したがって、アロファネート結合もウレタン結合の範疇に含まれ、ビュレット結合も尿素結合の範疇に含まれることになる。
次いで、得られた(A)成分である末端シリル基ポリマーを所望により希釈溶剤で希釈した後、撹拌条件下、(B)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体を所定量添加して、均一な混合液とする。
次いで、得られた混合液に対し、(C)成分である粘着付与樹脂、(D)成分である硬化触媒、さらには、その他の添加剤を、それぞれ所定量添加した後、均一になるまで撹拌し、さらに、所望の粘度になるように、必要に応じて希釈溶剤をさらに加えることにより、粘着剤組成物溶液を得ることができる。
2.工程(2)(非硬化粘着剤組成物の積層工程)
工程(2)は、得られた粘着剤組成物を、基材の両面または片面に積層して、非硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートを形成する工程である。
また、粘着剤組成物を積層する方法としては、例えば、粘着剤組成物溶液を、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等で塗布する方法が挙げられる。そして、粘着剤組成物溶液を塗布して塗布層を形成した後、溶剤を飛散させて、乾燥させることが好ましい。
このとき、塗布層の厚さが、1〜100μmの範囲内の値であることが好ましく、5〜50μmの範囲内の値であることがより好ましい。
この理由は、塗布層の厚さが薄すぎると、十分な粘着特性等が得られない場合があり、逆に、厚すぎると、残留溶剤が問題となる場合があるためである。
また、乾燥条件としては、通常、50〜150℃で、10秒〜10分の範囲内であることが好ましい。
3.工程(3)(非硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層の硬化工程)
工程(3)は、粘着剤組成物を加熱して、硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートとする工程である。
すなわち、基材上で乾燥させた状態の塗布層の表面に剥離シートを積層させた状態で加熱処理し、それにより硬化反応させて、粘着剤層とすることが好ましい。
あるいは、剥離シート上に積層した粘着剤組成物の塗布層を、加熱処理によって予め硬化させて、粘着剤層としたのち、転写法で、基材に対して積層させてもよい。
さらには、剥離シートを用いることなく、基材上に形成された塗布層を、加熱処理し、それにより硬化反応させて、粘着剤層とすることも好ましい。
なお、粘着剤組成物の塗布層における硬化反応は、上述した乾燥工程と、シーズニング工程とを通して行われる。
すなわち、かかるシーズニング工程の条件としては、粘着剤組成物の塗布層や基材にダメージを与えることなく、かつ、粘着剤組成物の塗布層を均一に硬化させる観点から、保管温度が10〜35℃であることが好ましく、23〜30℃であることがより好ましい。
また、加熱する際の湿度としては、30〜75%RHであることが好ましく、45〜65%RHであることがより好ましい。
4.工程(4)(貼付工程)
任意工程であるが、最終的に得られた粘着シートを、被着体に貼合する工程である。
例えば、まず、粘着剤層に積層してある剥離シートを剥離した後、表れた粘着剤層の表面を、被着体に対向させた状態で、ラミネータや押圧ロール等を用いて、所定圧力で押圧することによって、均一に貼合することが好ましい。
このように製造することにより、所定の末端シリル基ポリマー、所定の(メタ)アクリル酸エステル重合体および粘着付与樹脂を含む粘着剤組成物からなる粘着シートを効率的に製造することができる。
なお、本発明の粘着シートは、粘着剤層を構成する粘着剤組成物中に、(A)成分としての末端シリル基ポリマーを含んでいることから、所定の柔軟性を有するとともに、被着体に対する親和性に優れており、空気等を巻き込むまずに、しっとり濡れるように貼付できるという特徴がある。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、基材を含まず、粘着剤組成物からなる粘着剤層を備え、当該粘着剤層の両面に剥離シートを備えた粘着シートの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法である。
(1)少なくとも(A)成分としての末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂と、を含む粘着剤組成物であって、(A)成分としての末端シリル基ポリマーが、主鎖中に、ポリオキシアルキレン構造を有し、主鎖の一部または側鎖にウレタン結合および尿素結合、あるいはいずれか一方を有し、さらに、主鎖の両末端に、下記一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有しており、かつ、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体および無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体あるいはいずれか一方を含む粘着剤組成物を準備する工程
(一般式(1)中、X1およびX2は独立しており、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、Rは炭素数1〜20のアルキル基である。)
(2)粘着剤組成物を、剥離シートの表面に積層し、非硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートを形成する工程
(3)粘着剤組成物を加熱して、硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートとする工程
すなわち、このように製造することにより、基材を含まない場合であっても、所定の粘着シートを効率的に製造することができる。
なお、工程(2)において、粘着剤組成物を、剥離シートの表面に塗布して塗布層を形成する工程以外は、第3の実施形態である基材を含む粘着シートの製造方法と同じであるため、具体的な記載は省略する。
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、特に理由なく、本発明の範囲はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
[実施例1]
1.粘着剤組成物の作成
(1)シリル化剤の作成
撹拌装置付きの反応容器内に、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン206重量部と、アクリル酸メチル172重量部と、を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら、80℃、10時間の条件で加熱反応させて、シリル化剤を得た。
(2)ウレタンプレポリマーの作成
撹拌装置付きの反応容器内に、ポリオキシプロピレンジオール(旭硝子(株)製、PML S4015、重量平均分子量15,000)1000重量部と、イソホロンジイソシアネート24.6重量部(NCO/OH比=1.7)と、ジブチルスズジラウレート0.05重量部と、を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら、85℃、7時間の条件で加熱反応させて、ウレタンプレポリマー(ジイソシアネート化合物)を得た。
(3)末端シリル基ポリマーの作成
撹拌装置付きの反応容器内に、得られたウレタンプレポリマー1000重量部と、得られたシリル化剤42.1重量部と、を収容し、窒素雰囲気下、攪拌しながら、80℃、1時間の条件で加熱処理して、末端シリル基ポリマーを得た。
このとき、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いて、イソシアネート基の吸収(2265cm-1)の消失具合を観察し、それにより反応の進行を確認した。
なお、得られた末端シリル基ポリマーは、主鎖であるポリオキシプロピレンの両末端に、下記式(9)で表わされる末端部分を有する、重量平均分子量が40,000の両末端シリル基ポリマーであった。
また、シリル化剤の原材料をN−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランとしたことにより、得られた末端シリル基ポリマーには、2官能の末端シリル基が導入された。
(4)粘着剤組成物の作成
次いで、撹拌容器内に、固形分換算で、末端シリル基ポリマー100重量部と、アクリル酸エステル共重合体UC−3510(東亞合成社製、カルボキシル基含有、分子量2000、表1中、(B1)と称する)5重量部と、粘着付与樹脂としての完全水添テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル(株)製、YSポリスターNH、以下、単に「NH」と称する。)100重量部と、を収容し、所定量の酢酸エチルの存在下、均一になるまで撹拌して、溶液状態の粘着剤組成物を得た。
2.粘着シートの作成
次いで、得られた溶液状態の粘着剤組成物を、基材としての厚さ50μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製、ルミラーPET50)の片面に対し、ナイフコーター法にて塗布した後、100℃、1分間の条件で加熱処理し、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。
その後、粘着剤層と、剥離シート(リンテック社製、SP−PET381130、片面がシリコーン系剥離剤により剥離処理されたポリエチレンテレフタレート、厚み38μm)の剥離処理面と、を貼り合せて粘着シートを形成した。
3.粘着シートのシーズニング
次いで、硬化前の粘着剤組成物からなる粘着剤層と、基材(ポリエステルフィルム)とからなる粘着シートを、23℃、50%RHの環境下に、14日間放置(シーズニング)し、粘着剤組成物を十分に硬化させ、実施例1の粘着シートとし、各種評価に供した。
4.評価
(1)粘着力
JIS Z0237:2000に準拠して、粘着シートにおける粘着力を測定した。すなわち、得られた粘着シートから、幅25mm、長さ200mmの試験片を切り出し、剥離シートを除去して、2kgfのゴムローラを用いて、SUS304板(#360ヤスリ処理)に対して貼合した後、23℃、50%RHの標準環境下に、24時間放置した。
次いで、引っ張り試験機(オリエンテック(株)製、テンシロン)を用いて、試験片を、SUS304板(#360ヤスリ処理)から、引張速度300mm/分、角度180°にて剥離し、このとき測定された剥離荷重を粘着剤組成物の粘着力(N/25mm)とした。得られた結果を表1に示す。
(2)低速剥離力
JIS Z0237:2000に準拠して、粘着シートにおける剥離力を測定した。すなわち、得られた粘着シートから、幅25mm、長さ200mmの試験片を切り出し、23℃50%RHの環境下で、試験片の粘着シートを固定し、剥離シートを剥離速度300mm/min、剥離方向180°の条件で引っ張り、このとき測定された剥離荷重を粘着シートの低速剥離力(N/25mm)とした。得られた結果を表1に示す。
(3)定荷重性
得られた粘着シートにおける定荷重性を評価した。すなわち、得られた粘着シートから、幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出し、剥離シートを除去して、2kgfのゴムローラを用いて、切り出した粘着シートの端部から50mm(面積として25mm×50mm=1250mm2)の粘着剤層面をSUS#600板に対して貼合わし、貼合直後から1時間、40℃、50%RHの標準環境下に放置した。
次いで、放置後の試験片を両面粘着シートが貼付された面を下側に向けて配置し、粘着シートの端部を垂直(下90°)方向に200g(1.96N)の荷重をかけ、その状態を1時間維持した後、粘着シートがSUS板表面から剥離される距離(剥離距離、mm)を測定した。得られた結果を表1に示す。
なお、測定開始から1時間を経過する間に、試験片がSUS板から完全に剥離し落下した場合には、表1において「落」と記載した。
(4)表面元素分析
XPS測定分析装置(アルバックファイ社製、PHI Quantera SXM)を用いて、下記条件において、得られた粘着シートにおける粘着剤層の最表面のXPS分析によって測定される炭素原子、酸素原子、ケイ素原子の元素分析を行った。
また、かかる測定から、炭素原子、酸素原子、ケイ素原子の合計量(100atom%)に対する、炭素原子濃度、酸素原子濃度およびケイ素原子濃度を算出した。
また、XPSの元素分析測定による粘着シートの粘着剤層の表面のケイ素元素濃度をZ1とし、粘着剤組成物から(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体を除いて作成した粘着剤組成物を備えた粘着シートのXPSの元素分析測定による粘着剤層の表面のケイ素元素濃度をZ0としたとき、下記一般式(A)で表されるケイ素濃度変化率Zを算出した。得られた結果を表1に示す。
X線源:単色化ALKα
出力 :25W
加速電圧:15kV
ビーム直径:100μm
光電子取り出し角度:45°
パルスエネルギー:112eV(炭素原子、酸素原子)、224eV(ケイ素原子)
ステップ分解能:0.1eV(炭素原子、酸素原子)、0.2eV(ケイ素原子)
測定面積:100μmφ
(5)ゲル分率
得られた粘着シートにおける粘着剤組成物(シーズニング工程を経た硬化後の粘着剤組成物)のゲル分率を測定した。
すなわち、得られた粘着剤組成物を、剥離シート(リンテック社製、SP−PET381130、片面がシリコーン系剥離剤により剥離処理されたポリエチレンテレフタレート、厚み38μm)の剥離処理面に、乾燥後の厚さが25μmとなるように、塗布し、100℃で1分間加熱し、粘着剤層を形成した。その粘着剤層と、別の剥離シート(リンテック社製、SP−PET382120、片面がシリコーン系剥離剤により剥離処理されたポリエチレンテレフタレート、厚み38μm)の剥離処理面とを貼り合わせて、粘着シートを作成した。かかる粘着シートを23℃、50%RHの雰囲気下で1週間放置した後、その粘着シートから、約0.1gの粘着剤を取り出して、テトロンメッシュ(#400)に包み、酢酸エチルに120時間浸漬させた後、100℃、30分間乾燥し、浸漬前後の重量を測定し、それらの重量を下記式(B)に代入して、ゲル分率を算出した。得られた結果を表1に示す。
[実施例2〜実施例5]
実施例2〜実施例5では、表1に記載の通りに粘着剤組成物を準備し、実施例1と同様に粘着シートを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例6〜実施例8]
実施例6〜実施例8では、表1に示す配合で粘着剤組成物を準備し、実施例1と同様に粘着シートを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、実施例6〜実施例8で使用したアクリル酸エステル共重合体(カルボキシル基含有、分子量180万、表1中、(B2)と称する)は、以下のように合成した。
すなわち、撹拌装置付きの反応容器内を窒素パージした後、モノマー成分として、95重量部のアクリル酸n−ブチル(BA)と、5重量部のアクリル酸(AAc)と、溶媒としての酢酸エチルと、0.1重量部の重合開始剤アズビスイソブチロニトリルと、をそれぞれ収容した。
次いで、加温、撹拌しながら、溶液重合を行い、重量平均分子量(GPC測定)が180万のアクリル酸エステル共重合体(B2)を得た。
また、得られたアクリル酸エステル共重合体は、溶剤としての酢酸エチルに溶解しており、その固形分濃度は、16重量%であった。
[実施例9〜実施例12、比較例1〜6]
実施例9〜実施例12、比較例1〜6では、表1に記載の通りに粘着剤組成物を準備し、実施例1と同様に粘着シートを作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、(メタ)アクリル酸エステル重合体として、それぞれ以下に記載したものを用いた。
(B)(メタ)アクリル酸エステル重合体の種類;
(B1)UC−3510、東亞合成社製、カルボキシル基含有、重量平均分子量2000
(B2)BA/AAc=95/5、カルボキシル基含有、重量平均分子量180万
(B3)UP−1080、東亞合成社製、無官能、重量平均分子量6000
(B4)BA=100、無官能、重量平均分子量33万
(B5)UG−4010、東亞合成社製、エポキシ基含有、重量平均分子量2900
(B6)UH−2041、東亞合成社製、ヒドロキシ含有基、重量平均分子量2500
(B7)BA/MA/GMA=70/10/20、エポキシ基含有、重量平均分子量40万
カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体または無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体を用いた実施例においては、粘着剤層の表面分析により、粘着剤層の基材とは反対の表面側に、かかる(メタ)アクリル酸エステル重合体が偏在していることが確認された。
また、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体または無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体を用いた実施例においては、良好な低速剥離力および良好な定荷重性を有していることから、剥離シートからは容易に剥離可能で、被着体に対しては、良好な粘着力を有していた。
一方、エポキシ基、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いた比較例においては、剥離力が比較的大きな値となり、また、定荷重性に劣っていた。
以上、詳述したように、本発明の粘着剤組成物およびそれを用いた粘着シートによれば、所定の末端シリル基ポリマーに対し、カルボキシル基(メタ)アクリル酸エステル共重合体または無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体、および粘着付与樹脂を配合することにより、硬化触媒の配合量が少量であっても、あるいは硬化触媒を配合しない場合であっても、良好な粘着力を維持したまま、優れた定荷重性等が得られるようになった。
また、粘着剤層の基材と反対の表面付近に、所定の(メタ)アクリル酸エステル重合体が偏析しているため、剥離シートから容易に剥離することができるようになった。
したがって、本発明の粘着剤組成物およびそれを用いた粘着シートは、家電製品、自動車、OA機器などの各種用途に使用されることが期待される。
より具体的には、携帯電話やパソコンなどの電子機器内部の樹脂板同士の貼合わせや、光記録媒体、光磁気記録媒体、液晶ディスプレイ、タッチパネル用部材の貼合わせ等に利用されることが期待される。
10:基材、12,12a,12b:粘着剤層、14、14a、14b:剥離シート、18:他の粘着剤層、50:粘着シート(片面粘着シート)、52:粘着シート(両面粘着シート)、54:粘着シート(異種粘着剤層付き両面粘着シート)56:基材なし両面粘着シート

Claims (13)

  1. 少なくとも(A)成分としての末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂と、を含む粘着剤組成物であって、
    前記(A)成分としての末端シリル基ポリマーが、主鎖中に、ポリオキシアルキレン構造を有し、主鎖の一部または側鎖にウレタン結合および尿素結合、あるいはいずれか一方を有し、さらに、主鎖の両末端に、下記一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有しており、
    かつ、前記(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体および無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体あるいはいずれか一方を含むことを特徴とする粘着剤組成物。

    (一般式(1)中、X1およびX2は独立しており、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、Rは炭素数1〜20のアルキル基である。)
  2. 前記(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量が800〜3,000,000の範囲内の値であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記(A)成分としての末端シリル基ポリマー100重量部に対して、前記(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体の配合量が0.1〜150重量部の範囲内の値であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記(A)成分としての末端シリル基ポリマー100重量部に対して、前記(C)成分としての粘着付与樹脂の配合量が50〜140重量部の範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  5. 前記(A)成分である末端シリル基ポリマーの重量平均分子量が15,000〜200,000の範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  6. 前記(C)成分としての粘着付与樹脂が、テルペンフェノール系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  7. 前記粘着剤組成物のゲル分率が、20〜70%の範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
  9. 基材の少なくとも片面に、前記粘着剤層を有することを特徴とする請求項8に記載の粘着シート。
  10. 2枚の剥離シートにより前記粘着剤層が挟持された構造を有することを特徴とする請求項8に記載の粘着シート。
  11. XPSの元素分析測定による前記粘着シートの前記粘着剤層の表面のケイ素元素濃度をZ1とし、前記粘着剤組成物から(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体を除いて作成した粘着剤組成物を備えた前記粘着シートのXPSの元素分析測定による前記粘着剤層の表面のケイ素元素濃度をZ0としたときに、下記一般式(A)で表されるケイ素濃度変化率Zが、83%以下の値であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の粘着シート。
  12. 基材の両面または片面に、粘着剤組成物からなる粘着剤層を備え、当該粘着剤層の前記基材と反対側の面に剥離シートを備えた粘着シートの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法。
    (1)少なくとも(A)成分としての末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂と、を含む粘着剤組成物であって、前記(A)成分としての末端シリル基ポリマーが、主鎖中に、ポリオキシアルキレン構造を有し、主鎖の一部または側鎖にウレタン結合および尿素結合、あるいはいずれか一方を有し、さらに、主鎖の両末端に、下記一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有しており、かつ、前記(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体および無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体あるいはいずれか一方を含む粘着剤組成物を準備する工程

    (一般式(1)中、X1およびX2は独立しており、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、Rは炭素数1〜20のアルキル基である。)
    (2)前記粘着剤組成物を、前記基材の両面または片面に積層し、非硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートを形成する工程
    (3)前記粘着剤組成物を加熱して、硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートとする工程
  13. 基材を含まず、粘着剤組成物からなる粘着剤層を備え、当該粘着剤層の両面に剥離シートを備えた粘着シートの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法。
    (1)少なくとも(A)成分としての末端シリル基ポリマーと、(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(C)成分としての粘着付与樹脂と、を含む粘着剤組成物であって、前記(A)成分としての末端シリル基ポリマーが、主鎖中に、ポリオキシアルキレン構造を有し、主鎖の一部または側鎖にウレタン結合および尿素結合、あるいはいずれか一方を有し、さらに、主鎖の両末端に、下記一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有しており、かつ、前記(B)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体および無官能(メタ)アクリル酸エステル重合体あるいはいずれか一方を含む粘着剤組成物を準備する工程

    (一般式(1)中、X1およびX2は独立しており、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、Rは炭素数1〜20のアルキル基である。)
    (2)前記粘着剤組成物を、前記剥離シートの表面に積層し、非硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートを形成する工程
    (3)前記粘着剤組成物を加熱して、硬化粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着シートとする工程
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