JP2023173839A - 粘着フィルムおよび粘着フィルムの製造方法 - Google Patents

粘着フィルムおよび粘着フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗工性および硬化性に優れる組成物より形成される粘着剤層を備える粘着フィルムを提供すること。【解決手段】ケイ素原子に炭素原子が結合し、前記炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子がさらに結合した構造を有する架橋性シリル基を分子内に有する硬化性樹脂と、硬化触媒と、を含む組成物より形成される粘着剤層を備える粘着フィルム、および、粘着フィルムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着フィルムおよび粘着フィルムの製造方法に関する。
近年、スマートフォンおよびタブレットPC等の液晶表示装置、ならびにプラズマディスプレイなどの表示装置が、広汎に使用されている。こうした表示装置は、その断面を見ると、種々の機能を有する薄型の多重積層構造を有しており、これらの多重積層構造を形成する光学用機能性フィルムは、ますます高機能化している。このような高機能を有する光学用機能性フィルムからなる表示装置を安定して生産および保管するため、表示装置の表面の損傷を防止するための表面保護フィルムを貼付することは必要不可欠となっている。
表面保護フィルムは、通常、フィルム状支持体とその少なくとも一方の面に形成された粘着剤層を有し、粘着剤層部分が被着体に接することで、表面保護フィルムが被着体に粘着している。表面保護フィルムには、被着体に貼付したとき、充分な粘着力が発現すると共に、剥離した際には、前記粘着剤層に起因する残渣物の付着が少ないことが求められる。
近年、地球環境のみならず作業者の使用環境に至るまで、環境に対する関心の高まりから化学物質の安全性に関する要求は強くなっている。
例えば、特許文献1には、環境負荷の低減が可能であるとともに、安全性を確保しつつ、ABS樹脂への接着性及び内部硬化性が向上された硬化性樹脂組成物として、分子内に特定の化学構造を有する硬化性樹脂(A)100質量部に対して、分子内に特定の化学構造を有する硬化性樹脂(B)が2~900質量部、分子内に特定の化学構造を有する硬化性樹脂(C)が0~1000質量部、分子内に特定の化学構造を有する硬化性樹脂(D)が0~1000質量部、及び、硬化性樹脂(A)、(B)、(C)および(D)の総和100質量部に対して、硬化促進剤(E)が0.001~30質量部含有されることを特徴とする、硬化性樹脂組成物が開示されている。
γ-シラン構造の架橋性シリル基を有する湿気硬化型の硬化性樹脂を用いた表面保護フィルムとして、例えば、特許文献2には、表示モジュールと、該表示モジュールの表示面上に積層されたタッチパッドと、該タッチパッドの視認側に積層された表面保護フィルムを有するタッチパネルであって、前記表面保護フィルムと前記タッチパッドとの間に、下記シリル基含有重合体(S)を含有する第1の硬化性組成物を硬化させて得られる第1の粘着体層が介在していることを特徴とするタッチパネルが開示されている。
シリル基含有重合体(S):主鎖に、ポリエーテル鎖、ポリエステル鎖、および/またはポリカーボネート鎖を有し、分子末端に加水分解性シリル基を有するシリル基含有重合体。
特開2011-148884号公報 国際公開第2011/016422号
http://www.aws-silicone.com/library/library26.html
溶剤使用量を低減した粘着剤層として紫外線硬化型である特許文献1では、光源の電力使用量が膨大であるため実質的なCO2削減に寄与しにくいことや、未反応モノマー等の揮発性有機化合物が残存する等が懸念される。
上記課題の解決手段の一つとして、γ-シラン構造の架橋性シリル基を有する湿気硬化型の硬化性樹脂を用いた表面保護フィルムである特許文献2における硬化性樹脂の硬化触媒には、トリブチル錫などの毒性の高い有機スズ化合物が使用されている。一方、アミン系触媒等では、毒性は低いものの、十分な硬化速度および硬化性を得ることが困難であることが懸念される。
このような事情から、環境負荷の低減、作業者の安全確保、生産性および性能のバランスの取れた粘着フィルムの開発が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、α-シラン構造を有する架橋性シリル基を含む硬化性樹脂を用いることで、トリブチル錫などの有機スズ化合物を使用せずに、例えば、アミン系触媒などの毒性の低い硬化触媒を併用した場合であっても粘着フィルムが得られることを見出した。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、塗工性および硬化性に優れる組成物より形成される粘着剤層を備える粘着フィルムを提供することである。
本発明の一実施形態には、以下の態様が含まれる。
<1> ケイ素原子に炭素原子が結合し、前記炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子がさらに結合した構造を有する架橋性シリル基を分子内に有する硬化性樹脂と、硬化触媒と、を含む組成物より形成される粘着剤層を備える、粘着フィルム。
<2> 前記硬化触媒が、分子量が1,000未満のアミノシランカップリング剤である、<1>に記載の粘着フィルム。
<3> 下記の要件(a)~(c)の少なくとも1つを満たす、<1>に記載の粘着フィルム;
(a)前記硬化性樹脂が有する前記架橋性シリル基が、式(1):-X-CH2-Si(R13で表されるα-シラン基である;
[式(1)中、R1は、それぞれ独立に炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、または水酸基であり、R1のうち少なくとも一つは前記アルコキシ基または水酸基であり、Xは、-O-、-C(=O)O-、-S-、-O-CO-NH-または-N(R2)-CO-N(R3)-で表される2価の基であり、前記R2および前記R3は、水素原子、炭化水素基、またはハロゲン化炭化水素基であり、前記R2および前記R3は、同一であっても異なっていてもよい。]
(b)前記硬化性樹脂の20℃における比重が1.05g/cm3以上;
(c)前記硬化性樹脂の25℃における粘度が5Pa・s以下。
<4> 20℃における比重が1.05g/cm3以上である前記硬化性樹脂Bに対する20℃における比重が1.05g/cm3未満である前記硬化性樹脂Aの比(A/B)が、質量基準で、5/95~95/5である、<1>に記載の粘着フィルム。
<5> 前記硬化性樹脂のガラス転移温度(Tg)が0℃未満である<1>に記載の粘着フィルム。
<6> 前記硬化性樹脂がポリオキシアルキレン系重合体である<1>に記載の粘着フィルム。
<7> 前記組成物が帯電防止剤をさらに含有する、<1>に記載の粘着フィルム。
<8> 前記粘着剤層の膜厚が100μm未満である、<1>に記載の粘着フィルム。
<9> 前記組成物の25℃における粘度が50Pa・s未満である、<1>に記載の粘着フィルム。
<10> 表面保護フィルムである<1>に記載の粘着フィルム。
<11> <1>~<10>のいずれか1つに記載の粘着フィルムの製造方法であって、
ケイ素原子に炭素原子が結合し、前記炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子がさらに結合した構造を有する架橋性シリル基を分子内に有する硬化性樹脂と、硬化触媒と、を含む組成物を、80℃未満で基材フィルムまたは離型フィルムに塗工して粘着剤層を形成する工程を含む、粘着フィルムの製造方法。
本発明の一実施形態によれば、塗工性および硬化性に優れる組成物より形成される粘着剤層を備える粘着フィルムが提供される。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の内容の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されることはない。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後いずれか一方に記載される単位は、特に断りがない限り同じ単位を示すことを意味する。
本明細書において、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所望の目的が達成されれば本用語に含まれる。
また、本明細書において、特に限定しない限りにおいて、組成物中の各成分、は1種単独で含まれていてもよいし、2種以上を併用してもよいものとする。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する物質の合計量を意味する。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語である。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また本明細書において、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量百分率である。
本明細書において、膜厚とは、乾燥等の処理後の膜厚を意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
<粘着フィルム>
本発明に係る粘着フィルムは、ケイ素原子に炭素原子が結合し、前記炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子がさらに結合した構造を有する架橋性シリル基を分子内に有する硬化性樹脂と、硬化触媒と、を含む組成物より形成される粘着剤層を備える。
粘着フィルムを形成する組成物は上記構成を有することで、特に、有機スズ化合物のような金属を含有する硬化触媒を用いない場合であっても硬化性に優れ、かつ、塗工性にも優れる。この理由は明らかではないが、以下のように推定される。
一般に、非共有電子対を有するヘテロ原子では、求核性または電気陰性度が高い傾向がある。硬化性樹脂に含まれる架橋性シリル基において、上記ヘテロ原子と近接するケイ素原子との相互作用、または、隣接する炭素原子を介してケイ素原子から電子が流れることにより、ケイ素原子の反応性が向上するので、当該硬化性樹脂を含む組成物は湿気による硬化が進行しやすく、特に、有機スズ化合物などの硬化触媒を用いない場合であっても硬化性に優れるため、得られる粘着フィルムの生産性に優れると推定している。
また、本発明に係る粘着フィルムを形成する組成物は、一般的な溶剤型粘着剤に用いられる重合体と比較して分子量が小さい硬化性樹脂重合体を含むので、組成物の粘度を低くでき、組成物の塗工性に優れるため、得られる粘着フィルムの生産性に優れると推定している。
また、本発明に係る粘着フィルムを形成する組成物は、上記構成を有するので、得られる粘着剤層の透明性にも優れる。さらに、本発明に係る粘着フィルムは、上記構成を有するので、保護フィルム用とした場合、剥離時の被着体に対する汚染性の抑制にも優れる。
以下、本発明に係る粘着フィルムの詳細について説明する。
<<組成物>>
本発明に係る粘着フィルムを形成する組成物は、ケイ素原子に炭素原子が結合し、前記炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子がさらに結合した構造を有する架橋性シリル基を分子内に有する硬化性樹脂と、硬化触媒と、を含む。組成物は、必要に応じて、上記硬化性樹脂以外の成分を含んでいてもよい。硬化性樹脂以外の成および組成物の物性については後述する。
〔硬化性樹脂〕
硬化性樹脂は、ケイ素原子に炭素原子が結合し、前記炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子がさらに結合した構造を有する架橋性シリル基(以下、単に「架橋性シリル基」ともいう場合がある。)を分子内に有する。
硬化性樹脂としては、架橋性シリル基を分子内に有していれば特に制限はないが、大気中の湿気により硬化する樹脂(以下、「湿気型硬化樹脂」ともいう。)であることが好ましい。
架橋性シリル基とは、シロキサン結合(-Si-O-Si-)を形成しうるケイ素原子を含有する官能基を示す。
硬化性樹脂に含まれる架橋性シリル基の上記構造は、NMR(核磁気共鳴)または熱分解GC(ガスクロマトグラフィー)/MS(質量分析)により確認することができる。
硬化性樹脂としては、架橋性シリル基を有すれば特に制限はなく、例えば、ポリオキシアルキレン骨格、ビニル重合体(例えば、(メタ)アクリレート重合体等)骨格、ポリエステル骨格、ポリカーボネート骨格、並びに、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂および変成シリコーン樹脂の主鎖骨格からなる群より選ばれる少なくとも1種の骨格を主鎖中に含む樹脂が挙げられる。
硬化性樹脂は、上記骨格を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
主鎖とは、硬化性樹脂を構成する高分子化合物において相対的に最も長い分子鎖を意味する。例えば、硬化性樹脂がポリオキシアルキレン骨格を有する場合、ポリオキシアルキレン骨格より形成される分子鎖が主鎖となる。
これらの中でも、入手の容易さ、合成の容易さの点から、硬化性樹脂は、好ましくはポリオキシアルキレン骨格またはビニル重合体骨格を含む樹脂であり、より好ましくはポリオキシアルキレン骨格を含む樹脂(ポリオキシアルキレン系重合体)である。
ポリオキシアルキレン骨格としては、例えば、ポリオキシエチレン骨格、ポリオキシプロピレン骨格、ポリオキシブチレン骨格、ポリオキシテトラメチレン骨格、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン骨格、ポリオキシプロピレン-ポリオキシブチレン骨格が挙げられる。
これらの中でも、ポリオキシアルキレン骨格としては、好ましくはポリオキシプロピレン骨格である。
硬化性に優れる観点から、硬化性樹脂(好ましくはポリオキシアルキレン系重合体)は、主鎖末端に少なくとも1つの架橋性シリル基が結合していることが好ましく、ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖の両末端に架橋性シリル基が結合していることがより好ましい。
〔架橋性シリル基〕
硬化性樹脂組成物中の架橋性シリル基の数は、特に限定されないが、組成物の硬化性、および硬化物の物性の観点から、分子中に平均して1個以上有することが好ましく、より好ましくは1.2個~3.5個、さらに好ましくは1.4個~2個である。
架橋性シリル基中の非共有電子対を有するヘテロ原子としては、炭素および水素以外の原子であって非共有電子対を有していれば、特に限定されない。反応性に優れるという観点から上記ヘテロ原子としては、求核性の高い原子および電気陰性度の高い原子が好ましい。
これらの中でも、原料の入手のしやすさや合成の容易さから、ヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、または、ハロゲン(I、Br、Cl、およびF)原子が好ましく、窒素原子、酸素原子、または、硫黄原子がより好ましく、硬化性により優れるという観点から、窒素原子または酸素原子であることがさらに好ましい。
架橋性シリル基における共有電子対を有するヘテロ原子は、当該ヘテロ原子を含む結合を介して、硬化性樹脂(好ましくはポリオキシアルキレン系重合体)の主鎖に結合していることが好ましい。
共有電子対を有するヘテロ原子を含む結合としては、例えば、(チオ)ウレタン結合、アロファネート結合、その他のN-置換ウレタン結合、N-置換アロファネート結合等の(チオ)ウレタン基由来の結合、(チオ)ウレア結合、ビウレット結合、それ以外のN-置換ウレア結合、N,N′-置換ウレア結合、N-置換ビウレット結合、N,N′-置換ビウレット結合等の(チオ)ウレア基由来の結合、アミド結合、N-置換アミド基等のアミド基由来の結合、イミノ基由来の結合に代表される窒素原子を含む結合や、(チオ)エステル基、(チオ)エーテル結合等が挙げられる。
これらのなかでは、硬化性に優れる観点から、窒素原子を含む結合が好ましく、(チオ)ウレタン基由来の結合基、および(チオ)ウレア由来の結合基がより好ましい。
硬化性および塗工性に優れるという観点から、上記硬化性樹脂が有する架橋性シリル基は、下記式(1):-X-CH2-Si(R13で表されるα-シラン基であること(以下、要件(a)ともいう。)が好ましい。
式(1)中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、または水酸基であり、R1のうち少なくとも一つは前記アルコキシ基または水酸基であり、Xは、-O-、-C(=O)O-、-S-、-O-CO-NH-または-N(R2)-CO-N(R3)-で表される2価の基であり、前記R2および前記R3は、水素原子、炭化水素基、またはハロゲン化炭化水素基であり、前記R2および前記R3は、同一であっても異なっていてもよい。
〔R1
炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、n-オクチル基、イソオクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチル-4-ヘプチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、1-ヘキシルヘプチル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-エイコシル基等の直鎖、分岐アルキル基が挙げられ、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。前記アルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよい。
炭素数1~20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、1-メチルペンチルオキシ基、4-メチル-2-ペンチルオキシ基、3,3-ジメチルブチルオキシ基、2-エチルブチルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、1-メチルヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、1-メチルヘプチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、2-プロピルペンチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、2,2-ジメチルヘプチルオキシ基、2,6-ジメチル-4-ヘプチルオキシ基、3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、1-メチルデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、1-ヘキシルヘプチルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基、n-ヘプタデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、n-エイコシルオキシ基等の直鎖、分岐アルコキシ基が挙げられ、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~3のアルコキシ基である。前記アルコキシ基は直鎖でも分岐鎖でもよい。
硬化性に優れる観点から、式(1)中の3つのRのうち、少なくとも2つが炭素数1~20のアルコキシ基であり、式(1)中の3つのRのうち、2つが炭素数1~20のアルコキシ基であり、かつ、1つが炭素数1~20のアルキル基であることがより好ましく、式(1)中の3つのRのうち、2つが炭素数1~10のアルコキシ基であり、かつ、1つが炭素数1~10のアルキル基であることがさらに好ましく、式(1)中の3つのRのうち、2つが炭素数1~5のアルコキシ基であり、かつ、1つが炭素数1~5のアルキル基であることがとくに好ましく、式(1)中の3つのRのうち、2つが炭素数1~3のアルコキシ基であり、かつ、1つが炭素数1~3のアルキル基であることが最も好ましい。
-Si(R13で表される基としては、例えば、ジメチルメトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメチルイソプロポキシシリル基、メチルジイソプロポキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基が挙げられる。
〔X〕
2およびR3で表される炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、または、環状であってもよいし、飽和または不飽和炭化水素基であってもよい。炭化水素基としては、炭素数1~20の炭化水素基が好適に挙げられる。
2およびR3における炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、イソオクチル基等の、炭素数1~18、好ましくは炭素数1~3のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素数3~18、好ましくは炭素数5~8のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、3-ブテニル基、5-ヘキセニル基等の、炭素数2~18、好ましくは炭素数2~5のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基等の、炭素数6~18、好ましくは炭素数6~10のアリール基が挙げられる。
2およびR3におけるハロゲン化炭化水素基は、前述した炭化水素基を構成する水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子によって置換された基である。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、および、ヨウ素原子が挙げられる。
2およびR3としては水素原子または炭化水素基が好ましく、炭化水素基がより好ましい。
硬化性に優れる観点から、式(1)で表されるα-シラン基としては、好ましくは、式(1)中の3つのRのうち、少なくとも2つが炭素数1~20のアルコキシ基(より好ましくは式(1)中の3つのRのうち、2つが炭素数1~20のアルコキシ基であり、かつ、1つが炭素数1~20のアルキル基であり、さらに好ましくは式(1)中の3つのRのうち、2つが炭素数1~10のアルコキシ基であり、かつ、1つが炭素数1~10のアルキル基であり、とくに好ましくは式(1)中の3つのRのうち、2つが炭素数1~5のアルコキシ基であり、かつ、1つが炭素数1~5のアルキル基であり、最も好ましくは式(1)中の3つのRのうち、2つが炭素数1~3のアルコキシ基であり、かつ、1つが炭素数1~3のアルキル基である。)であり、かつ、Xは、-O-、-C(=O)O-、-S-、または-O-CO-NH-(より好ましくは-C(=O)O-、-S-、または-O-CO-NH-であり、さらに好ましくは-O-CO-NH-である。)である。
硬化性および塗工性に優れる観点から、硬化性樹脂は、下記要件(a)~(c)の少なくとも1つを満たすことが好ましく、下記要件(a)~(c)の全てを満たすことがより好ましい。
(a)前記硬化性樹脂が有する前記架橋性シリル基が、好ましくは式(1):-X-CH2-Si(R13で表されるα-シラン基である。
式(1):-X-CH2-Si(R13で表されるα-シラン基としては、上述のα-シラン基と同義であり、好ましい態様も同様である。
(b)硬化性樹脂の20℃における比重が、好ましくは1.05g/cm3以上であり、より好ましくは1.08g/cm3以上であり、さらに好ましくは1.10g/cm3以上である。上記比重は、後述する実施例に記載の測定方法により求めてもよいし、カタログ値を採用してもよい。
(c)前記硬化性樹脂の25℃における粘度が、好ましくは5Pa・s以下であり、より好ましくは0.1~4Pa・sであり、さらに好ましくは0.5~3Pa・sである。
上記粘度は、後述する実施例に記載の測定方法により求めてもよいし、カタログ値を採用してもよい。
硬化性および塗工性に優れる観点から、20℃における比重が1.05g/cm3以上である前記硬化性樹脂Bに対する20℃における比重が1.05g/cm3未満である前記硬化性樹脂Aの比(A/B)が、質量基準で、好ましくは5/95~95/5であり、より好ましくは10/90~90/10であり、さらに好ましくは20/80~80/20である。
塗工性に優れ、また、得られる硬化物の物性にも優れる観点から、上記硬化性樹脂Bの粘度が、硬化性樹脂Aの粘度よりも低いことが好ましい。
硬化性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃未満であり、より好ましくは-20~-95℃であり、さらに好ましくは-40~-90℃である。上記ガラス転移温度は、下記の測定方法により求めてもよいし、カタログ値を採用してもよい。
-ガラス転移温度(Tg)-
硬化性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)で測定し求められる。
・装置:DSC7000X(日立ハイテクサイエンス製)
・温度条件:-150℃から50℃まで10℃/minで昇温
・試料容器:アルミ製密閉容器
・試料量:5mg
硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、塗工性に優れる観点から、1,000~200,000が好ましく、1,500~100,000がより好ましく、2,000~40,000が特に好ましい。
硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、下記の測定方法により求めてもよいし、カタログ値を採用してもよい。
-重量平均分子量(Mw)-
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分析を行い、下記条件でポリスチレン換算により算出して求められる。
・装置:GPC-8220(東ソー製)
・カラム:G7000HXL/7.8mmID×1本 +
GMHXL/7.8mmID×2本 +
G2500HXL/7.8mmID×1本
・媒体:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
・濃度:1.5mg/ml
・注入量:300μL
・カラム温度:40℃
硬化性樹脂は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用していてもよい。
硬化性、および、塗工性に優れる観点から、硬化性樹脂の含有量は、組成物の全質量に対して、好ましくは5質量%~100質量%であり、より好ましくは10質量%~100質量%であり、さらに好ましくは20質量%~100質量%である。
〔硬化性樹脂の製造方法〕
硬化性樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、従来公知の合成方法が挙げられる。
例えば、下記(1)~(5)などの方法が挙げられる。
(1)ポリオール化合物にイソシアネートメチルアルコキシシラン化合物を反応させる方法
(2)ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を反応させイソシアネート基末端ポリマーを合成した後、上記イソシアネート基末端ポリマーにメルカプトメチルアルコキシシラン化合物あるいはアミノメチルアルコキシシラン化合物等のアルコキシシリル基のケイ素原子のα位炭素に活性水素基を有するヘテロ原子が結合している化合物を反応させる方法
(3)分子内に二重結合基を有する有機重合体にメルカプトメチルアルコキシシランをラジカル付加させる方法
(4)ケイ素原子に炭素原子が結合し、さらに上記炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子が結合する骨格をもつ架橋性シリル基を有する重合性ビニル系化合物を単独もしくはその他の重合性ビニル系化合物と共重合させる方法
(5)分子内にエチレン性不飽和基を有する有機重合体に対して、ケイ素原子に炭素原子が結合し、さらに上記炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子が結合する骨格をもつ架橋性シリル基を有し、かつケイ素原子に水素原子が結合したシラン化合物をヒドロシリル化反応により付加反応させる方法
なお、ここではトリアルコキシシラン、アルキルジアルコキシシシラン、および、ジアルキルアルコキシシシランを総称して「アルコキシシラン」と表記している。上記アミノメチルアルコキシシラン化合物のアミノ基は、第1級アミノ基であっても第2級アミノ基であってもよい。
硬化性樹脂の粘度が比較的低粘度に調製できる観点から、上記アミノメチルアルコキシシラン化合物のアミノ基は、好ましくは第1級アミノ基である。
第2級アミノ基を有するアミノメチルアルコキシシラン化合物は、第1級アミノ基を有するアミノメチルアルコキシシラン化合物から誘導することもできる。具体的には、第1級アミノ基を有するアミノメチルアルコキシシラン化合物と、α,β-不飽和カルボニル化合物あるいはアクリロニトリル化合物等のアミノ基と共役付加反応を起こす官能基を有する化合物とを反応させる方法などが挙げられる。
第2級アミノ基を有するアミノメチルアルコキシシラン化合物は、特表2004-518801号公報、特表2004-536957号公報、特表2005-501146号公報、国際公開第2010/004948号等に記載の方法で合成してもよい。
上記イソシアネート基末端ポリマーは、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させることで合成できる。上記ポリオール化合物として、下記の主鎖骨格を有するポリオール化合物を選択すればよく、ポリイソシアネート化合物として、従来公知のポリイソシアネート化合物を用いればよい。また、上記イソシアネート基末端ポリマーを合成する際、原料となるポリオール化合物とポリイソシアネート化合物は、所望の性能を得るために適宜選択すればよく、さらに1種単独又は2種以上合わせて使用してもよい。
上記ポリオール化合物の具体例としては、ポリエーテル骨格、ポリエステル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリオレフィン骨格、ポリビニル骨格、ポリアクリル骨格、ポリブタジエン骨格、ポリイソプレン骨格等の従来公知の主鎖骨格を1種又は2種以上有するポリオール化合物が例示される。
ポリオール化合物は、上記化合物の他に、ポリシロキサン骨格を有するポリオール化合物、および、フッ素原子、ケイ素原子、硫黄原子又はロジン骨格を有する有機基を含有するポリオール化合物などが挙げられる。ポリオール化合物は、使用目的や求められる性能に応じて、適宜ポリオール化合物を単独あるいは複数混合して用いればよい。
ポリオール化合物1分子あたりの平均水酸基数は、1.1以上であるものが好ましく、1.3以上であるものがより好ましく、1.5以上のものが特に好ましい。物性調整等のため平均水酸基数が1.1未満のものを使用してもよい。
上記ポリエーテル骨格を有するポリオールとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシヘキシレン、ポリオキシテトラメチレン等の単独重合体、並びにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ヘキシレンオキシドおよびテトラヒドロフランよりなる群から選ばれた2種以上のモノエポキシドを開環共重合させてなる共重合体が例示される。
上記ポリエーテル骨格を有するポリオールの市販品としては、株式会社ADEKA製P-2000、P-3000、PR-3007、PR-5007等、旭硝子株式会社製エクセノール2020、エクセノール510、PMLS4012、PMLS4015、PMLS3011等、三井化学株式会社製D-1000、D-2000、D-4000、T-5000等、住化バイエルウレタン株式会社製スミフェン3600、スミフェン3700、保土谷化学工業株式会社製PTG-2000、PTG-L2000等(以上、いずれも商品名)が挙げられる。
上記ポリエステル骨格を有するポリオールとしては、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等のジカルボン酸類の1種又は2種以上と、ジオール類の1種又は2種以上とを重縮合して得られる重合体、ε-カプロラクトン、バレロラクトン等を開環重合させてなる開環重合物、活性水素を2個以上有するひまし油等のひまし油誘導体化合物が例示される。市販品としては、株式会社ADEKA製NS-2400、川崎化成工業株式会社製FSK-2000、マキシモールRDK-133、豊国製油株式会社製HS 2N-220S、伊藤製油株式会社製URIC PH-5001等(以上、いずれも商品名)が例示される。
上記ポリカーボネート骨格を有するポリオールとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールなどから誘導されるポリカーボネート骨格を有するポリオール等が例示される。市販品としては、日本ポリウレタン工業株式会社製ニッポラン971、ニッポラン965、ニッポラン963、旭化成ケミカルズ株式会社製デュラノールT5652、デュラノールT5650J、デュラノールT4672、デュラノールTG3452等(以上、いずれも商品名)が挙げられる。
上記ポリオレフィン骨格を有するポリオールとしては、例えば、水添ポリブタジエン骨格を有するポリオール、エチレン・α-オレフィン骨格を有するポリオール、ポリイソブチレン骨格を有するポリオール等が例示される。市販品としては、三菱化学株式会社製ポリテールH、ポリテールHA、日本曹達製GI-1000、GI-2000(以上、いずれも商品名)等が挙げられる。
上記ポリビニル骨格を有するポリオール又はポリアクリル骨格を有するポリオールとしては、例えば、ビニルエーテル化合物やアクリル化合物等に代表されるビニル重合性モノマーと、水酸基を有するビニル重合性モノマーを共重合させたポリオール化合物等が例示される。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製アルフォンUH-2000、UH-2032等、綜研化学株式会社製アクトフローUT-1001、UMB-2005、UME-2005等(以上、いずれも商品名)が挙げられる。
上記ポリブタジエン骨格又はポリイソプレン骨格を有するポリオールとしては、例えば、ブタジエンやイソプレン等に代表されるジエン系モノマーを重合して得られる化合物等が挙げられる。市販品としては、例えば、出光興産株式会社製Poly bd R-15HT、Poly bd R-45HT、Poly ip、クレイソールLBH2000、LBH-P3000等(以上、いずれも商品名)が例示される。
また、複数の骨格を有するポリオール化合物としては、例えば、1分子中にポリエーテル骨格とポリエステル骨格を有するポリオール、1分子中にポリカーボネート骨格とポリエステル骨格を有するポリオール、1分子中にポリエーテル骨格とポリアクリル骨格を有するポリオール等が挙げられる。市販品としては、例えば、旭硝子株式会社製アドバノール(商品名)シリーズ、日本ポリウレタン工業株式会社製ニッポラン982R(商品名)等が挙げられる。
上記ポリイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、脂肪族または芳香族のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。脂肪族のポリイソシアネート化合物は、環状の脂肪族ポリイソシアネート化合物(以下、「脂環式ポリイソシアネート化合物」ともいう。)であってもよい。
以下に、それらの具体例を挙げる。
脂肪族ジイソシアネート化合物:トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等。
脂環式ジイソシアネート化合物:1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート等。
芳香族ジイソシアネート化合物:1,3-若しくは1,4-キシリレンジイソシアネート又はそれらの混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-若しくは1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン又はそれらの混合物等;m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート、4,4′-トルイジンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート等。
脂肪族ポリイソシアネート化合物:リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8-トリイソシアネートオクタン、1,6,11-トリイソシアネートウンデカン、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-トリイソシアネートヘキサン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアネート-5-イソシアネートメチルオクタン等。
脂環式ポリイソシアネート化合物:1,3,5-トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、3-イソシアネート-3,3,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、2-(3-イソシアネートプロピル)-2,5-ジ(イソシアネートメチル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2-(3-イソシアネートプロピル)-2,6-ジ(イソシアネートメチル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5-(2-イソシアネートエチル)-2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6-(2-イソシアネートエチル)-2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5-(2-イソシアネートエチル)-2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6-(2-イソシアネートエチル)-2-(3-イソシアネートプロピル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等。
芳香族ポリイソシアネート化合物:1,3,5-トリイソシアネートメチルベンゼン等;トリフェニルメタン-4,4′,4″-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、4,4′-ジフェニルメタン-2,2′,5,5′-テトライソシアネート等。
その他のポリイソシアネート化合物:フェニルジイソチオシアネート等硫黄原子を含むジイソシアネート類等。
上記ポリイソシアネート化合物は、使用目的や求められる性能に応じて、適宜単独あるいは複数混合して用いればよい。また、物性調整等のため、上に例示した多量体(例えば、二量体、三量体)や、モノイソシアネート化合物を併用してもよい。
硬化性樹脂は市販品であってもよい。市販品としては、GENIOSIL(登録商標) STP-E10(製品名)GENIOSIL(登録商標) STP-E30(製品名)、GENIOSIL(登録商標) XB 502(製品名)、GENIOSIL(登録商標) XT 120(製品名)、GENIOSIL(登録商標) WP1(製品名)(以上、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)、等が挙げられる。
上記STP-E10、および、STP-E30、に含まれる架橋性シリル基の構造は、下記式(2)で示される。
-O-CO-NH-CH2-SiCH3(OCH32 ・・・式(2)
<<硬化触媒>>
上記組成物は、硬化触媒を含む。硬化触媒としては、上記硬化性樹脂の硬化が促進されれば特に制限はなく、公知公用の硬化触媒を用いることができる。環境負荷を低減する観点および、作業者に対する安全性を確保する観点から、硬化触媒としては、非錫触媒であることが好ましい。非錫硬化触媒は、錫化合物を含有しない硬化触媒であり、錫化合物以外の金属(例えば、亜鉛、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ビスマスなど)を含む硬化触媒であってもよい。
環境負荷を低減し、かつ、硬化性に優れる観点から、硬化触媒としては、金属を含まない硬化触媒が好ましく、かつ被着体への汚染防止の観点から、シランカップリング剤が好ましい。
上記シランカップリング剤としては、硬化性により優れる観点からアミノ基を含有するシランカップリング剤(以下、単に「アミノシランカップリング剤」ともいう。)が好ましい。アミノシランカップリング剤におけるアミノ基は、第1級アミノ基であっても第2級アミノ基であってもよい。
これらの中でも、環境負荷を低減し、かつ、硬化性により優れる観点から、硬化触媒としては、分子量が1,000未満のアミノシランカップリング剤であることが好ましい。
<<アミノシランシランカップリング剤(硬化触媒(E))>>
アミノシランカップリング剤の分子量の下限値は、好ましくは80以上、より好ましくは100以上、さらに好ましくは120以上であり、分子量の上限値は、好ましくは1,000未満であり、より好ましくは750以下、さらに好ましくは500以下である。
アミノシランカップリング剤の分子量は、構造特定されたアミノシランカップリング剤の分子式より求められる。
硬化触媒および脱水剤として作用する点から、アミノシランカップリング剤は、式(3):(R42-N-(CH2n-Si(R13で表される化合物であることが好ましい。
式(3)中、nは1~6の整数であり;R1は式(1)と同義であり;R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、または前記炭化水素基の少なくとも一つの水素原子が、無置換アミノ基、置換アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群より選ばれる基で置換された基である。
式(3)で表されるアミノシランカップリング剤としては、例えば、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエチルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノエチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノエチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-[2-(N-ビニルベンジルアミノ)エチル]-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-ブタンアミンが挙げられる。
組成物のタックフリータイムが向上するという観点から、アミノシランカップリング剤は、下記式(3-1)で表される化合物であることが好ましい。
式(3-1):R4'-NH-(CH2n'-Si(R1'3
式(3-1)中、n’は1~3の整数であり;R1'は炭素数1~6のアルコキシ基であり;R4'は水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、または前記炭化水素基の少なくとも一つの水素原子が、無置換アミノ基、置換アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基で置換された基である。
式(3-1)中、好ましくは、R1'は炭素数1~3のアルコキシ基であり、R4'は炭素数1~10の炭化水素基、または、前記炭化水素基の少なくとも一つの水素原子が、無置換アミノ基で置換された基であり、より好ましくはR1'は炭素数1~3のアルコキシ基であり、R4'は炭素数1~4の炭化水素基、または、前記炭化水素基の少なくとも一つの水素原子が、無置換アミノ基で置換された基であり、さらに好ましくはR1'はメトキシ基であり、R4'はアミノメチル基である。
硬化触媒は1種単独または2種以上併用してもよい。
硬化触媒の含有量は、硬化性組成物100質量部に対して、好ましくは0.05~10質量部、より好ましくは0.1~8質量部、さらに好ましくは0.5~5質量部である。
<<帯電防止剤>>
上記組成物は、帯電防止剤をさらに含有していてもよい。
帯電防止剤としては、例えば、界面活性剤、イオン性化合物、導電性ポリマーなどが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、4級アンモニウム塩類、アミド4級アンモニウム塩類、ピリジウム塩類、第1級~第3級アミノ基等のカチオン性基を有するカチオン性界面活性剤;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基等のアニオン性基を有するアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アルキルイミダゾリニウムベタイン類、アルキルアミンオキサイド類、アミノ酸硫酸エステル類等の両性界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル類、N-ヒドロキシエチル-N-2-ヒドロキシアルキルアミン類、アルキルジエタノールアミド類等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤として重合性基を有する反応性乳化剤も挙げられ、上記の界面活性剤または反応性乳化剤を含むモノマー成分を高分子量化したポリマー系界面活性剤を用いることもできる。
イオン性化合物は、カチオン部とアニオン部とから構成され、室温下(23℃/50%RH)では固体状でも液体状のいずれであってもよい。
イオン性化合物としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(ジフルオロスルホニル)イミド、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、カリウムビス(ジフルオロスルホニル)イミド、1-エチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-オクチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-オクチル-4-メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-オクチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-オクチルピリジニウムフルオロスホニウムイミド、1-オクチル-3-メチルピリジニウム、および、トリフルオロスルホニウムイミドが好ましい。
導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびこれらの誘導体が挙げられる。
これらの中でも、帯電防止剤は、好ましくは導電性ポリマーである。帯電防止剤は1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。
帯電防止剤の含有量は、上記硬化性樹脂100質量部に対して、通常3質量部以下、好ましくは0.01~3質量部、より好ましくは0.05~2.5質量部である。
〔他の成分〕
組成物は必要に応じて、硬化性樹脂、帯電防止剤、および、硬化触媒以外の成分(以下、「他の成分」)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、上記硬化性樹脂以外の重合体、可塑剤、充填剤、シリカ、顔料、老化防止剤、粘着付与樹脂、分散剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、密着性付与剤、溶剤、ならびに、アミノシランカップリング剤以外の脱水剤等が挙げられる。
その他の成分は、1種単独または2種以上併用してもよい。
-脱水剤-
脱水剤としては、上記硬化性樹脂および上記アミノシランカップリング剤以外の化合物が挙げられる。脱水剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の加水分解性有機ケイ素化合物;オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル等のオルトギ酸アルキル;オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等のオルト酢酸アルキル;イソシアン酸p-トルエンスルホニル等のイソシアネート化合物が挙げられる。
脱水剤の含有量は貯蔵安定性および硬化性の観点から、上記硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは1~10質量部である。
組成物は溶剤を含んでいてもよい。組成物が溶剤を含まない場合であっても、当該組成物を塗工して粘着剤層を形成することができる。
溶剤としては、特に制限はなく、粘着剤層の形成に用いられる公知公用の溶剤が挙げられる。溶剤の含有量は、塗工性の観点から、上記硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0~300質量部、より好ましくは0~100質量部であり、さらに好ましくは0~10質量部である。
環境負荷を低減する観点から、溶剤の含有量は、上記硬化性樹脂100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、溶剤を実質的に含まないことがさらに好ましい。
〔組成物の物性〕
塗工性に優れる観点から、組成物の25℃における粘度としては、好ましくは50Pa・s以下であり、より好ましくは30Pa・s以下であり、さらに好ましくは25Pa・s以下であり、特に好ましくは0.5~20Pa・sである。
上記粘度は、後述する実施例に記載の測定方法により求められる。なお、上記組成物の粘度は組成物から硬化触媒を除いた組成物の粘度を意味する。
<<粘着剤層>>
本発明に係る粘着フィルムは、上記組成物より形成される粘着剤層を備える。
粘着剤層の膜厚は、好ましくは100μm未満であり、より好ましくは1μm以上100μm未満であり、さらに好ましくは5μm~50μm、特に好ましくは10μm~30μmである。
粘着剤層のゲル分率は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは70質量%~100質量%であり、さらに好ましくは80質量%~100質量%であり、特に好ましくは90質量%~100質量%である。
ゲル分率が上記範囲にあると、粘着力の上昇を抑制することができ、また、粘着フィルムを被着体から剥離した際に被着体の汚染を抑制することができる。
ゲル分率は、後述する実施例に記載の方法により求められる。
ゲル分率は、上記硬化性樹脂における架橋性シリル基の含有量、組成物中の硬化触媒等の含有量、架橋処理温度、架橋処理時間等により調整することができる。
粘着フィルムは、基材フィルム、粘着剤層を保護する剥離フィルムなどを更に備えていてもよい。
基材フィルムは特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの中でも、透明性により優れるという点から、ポリエステル系樹脂が好ましい。
基材フィルムは、上記粘着剤層との密着性を向上させる目的で、所望により片面または両面に表面処理を施してもよい。表面処理の方法としては、公知の基材フィルムの表面処理方法を適用することができ、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理などが挙げられる。
基材フィルムの厚さは、通常5~500μmであり、好ましくは5~300μmであり、より好ましくは10~200μmである。基材フィルムの厚さが上記範囲であると粘着フィルムの強度がより優れる。
離型フィルムとしては、例えば、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙などの紙および各種プラスチックフィルムにシリコーン樹脂、フッ素樹脂などの剥離剤を塗布したものなどが挙げられる。上記剥離フィルムに用いるプラスチックフィルムとしては、上述の基材フィルムとして挙げた樹脂フィルムを適宜使用することができる。
剥離フィルムの厚さとしては特に制限はないが、通常、10μm~150μmである。
<粘着フィルムの製造方法>
粘着フィルムの製造方法としては、ケイ素原子に炭素原子が結合し、前記炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子がさらに結合した構造を有する架橋性シリル基を分子内に有する硬化性樹脂と、硬化触媒と、を含む組成物を、80℃未満で基材フィルムまたは離型フィルムに塗工して粘着剤層を形成する工程(以下、「粘着剤層形成工程」ともいう。)を含むことが好ましい。
<<粘着剤層形成工程>>
粘着剤層形成工程は、上記組成物を80℃未満で基材フィルムまたは離型フィルムに塗工して粘着剤層を形成する工程である。
粘着剤層を形成する方法としては特に限定はなく、例えば、(1)種々の塗工装置を用いて、上記組成物を80℃未満で基材フィルムの片面または両面に塗布し、粘着剤層を形成する方法、(2)種々の塗工装置を用いて、表面に剥離処理が施された剥離フィルムの剥離処理面側に、組成物を80℃未満で塗布し、基材フィルムの片面または両面に粘着剤層を転写する方法などが挙げられる。
組成物を塗工する温度は、好ましくは80℃未満であり、より好ましくは50℃~-10℃である。
塗工装置としては、特に制限はなく、例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、フォワードロールコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、ドクターブレードコーター、スロットダイコーター、カーテンコーター、ディップコーター等が挙げられる。
粘着フィルムの製造方法は、必要に応じで、揮発成分を乾燥除去する工程、養生する工程などをさらに含んでいてもよい。上記組成物は溶剤を含まなくても、当該組成物を基材フィルムまたは離型フィルムに塗工して粘着剤層を形成することができるが、組成物が溶剤を含む場合には、粘着フィルムの製造方法は乾燥工程を含むことが好ましい。
揮発成分を乾燥除去する際の乾燥温度は、好ましくは40℃~200℃であり、より好ましくは60℃~180℃である。乾燥時間は、好ましくは5秒~20分であり、より好ましくは10秒~10分である。
乾燥方法としては、特に制限はなく、熱風、近赤外線、赤外線、高周波等が挙げられる。
また、養生の条件としては、例えば23℃/50%RHの条件で半日間~2日間程度が挙げられる。また硬化(養生)を促進するため、水を供給することが有効である。水の供給方法としては、特に制限はなく、粘着剤組成物に配合する、粘着剤塗工前に基材フィルムあるいは離型処理フィルムへ塗布しておく、塗布後の粘着剤層へ噴霧させるなどの方法が挙げられる。
前記溶媒の乾燥除去および養生により架橋反応が終了し、粘着剤層が形成される。
本発明に係る粘着フィルムは、例えば、タッチパネル用、電子ペーパー用、有機EL(electro-luminescence)用、光学部材用、表面保護用等の各種用途のフィルムに用いることができる。
これらの中でも、透明性および被着体に対する汚染の抑制に優れるという点から、上記粘着フィルムは、表面保護フィルムであることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例および比較例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
(実施例1~10並びに比較例1および2)
<粘着フィルムの作製>
後述の表1に示す硬化触媒(E)を除いた実施例および比較例の粘着剤組成物を混合した後、塗工直前に硬化触媒(E)を表1に示す部数追加して混合することで粘着剤組成物を得た。
なお、上記組成物の混合は、いずれも自公転式ミキサー(THINKY製、製品名:「あわとり練太郎」)を用いて、2,000rpm(revolutions per minute)で1分撹拌混合後、2,200rpmで1分間撹拌脱泡を行った。なお、混合および脱泡が不十分な場合は、均一な粘着剤組成物が得られるまで適宜時間を延長して行った。
上記で調製した粘着剤組成物を25μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に、乾燥後の粘着剤層の厚さが15μmになるようにベーカー式フィルムアプリケーターを用いて塗工し塗工物を得た。その後、前記塗工物を23℃/50%RHの条件下で1日養生し、前記塗工物を粘着剤層とした。さらに、この粘着剤層の表面に、離型処理済みのPETフィルム(以下、「離型フィルム」ともいう。)を貼り合わせ、PETフィルム、粘着剤層、および、離型フィルムがこの順に積層された粘着フィルムを作製した。
得られた粘着フィルムについて各種評価を行った。
<ゲル分率の測定条件>
容量50mLのガラス瓶に0.2gを目安に計量した前記粘着剤層および酢酸エチル40gを投入し、ガラス瓶の蓋を閉じた状態で混合し、23℃の環境下にて1日間静置した。その後、前記ガラス瓶内の内容物を200メッシュのステンレス製金網を用いてろ過し、前記ステンレス製金網上の残渣物を90℃で2時間乾燥させて得られる残渣物の重量を計量して、次式により粘着剤組成物のゲル分率を求めた。結果を表1に示した。
ゲル分率(%)=(乾燥後の残渣物の計量値)÷(養生後の粘着剤層の計量値)×100
ゲル分率の値が大きいほど、被着体に対する汚染性の抑制に優れるといえる。
<粘着力の測定条件>
上記で作製した粘着フィルムを、20mm幅に裁断し、離型処理済みのPETフィルム(離型フィルム)を剥がして粘着剤層を露出させた。23℃/50%RHの環境下にて、前記露出させた粘着剤層の露出面をガラス板に2kgのローラーを1往復させて圧着(貼付)し、20分間静置した。その後、23℃/50%RHの環境下にて、万能型引張り試験機(株式会社島津製作所製、型番)AG-X)を用い、剥離角度180°、剥離速度0.3m/minまたは30m/minの条件下にて、前記ガラス板から前記粘着フィルムを剥離し、それぞれの剥離条件における粘着フィルムの剥離力(粘着力)を測定した。
表1の記号afは界面剥離が生じたことを、cfは凝集破壊が生じたこと、部分転着は部分的に被着体に硬化物が付着したことを表す。
なお、泣き別れとは、剥離処理済みPETフィルムを剥離させた際、剥離処理済みPETに粘着剤層が転着した現象を表す。
粘着力の剥離速度依存性は、次式により求めた。
粘着力の剥離速度依存性=(剥離速度30m/minの粘着力)÷(剥離速度0.3m/minの粘着力)
粘着力の剥離速度依存性の値が小さいほど、粘着力の剥離速度依存性が小さく、粘着フィルムが粘着力の剥離速度によらず一定の粘着力を有しているといえる。
<粘度>
表1に示す硬化触媒(E)を除いた粘着剤組成物を、B型粘度計を用い、25℃における粘度を測定した。結果を表1に示した。
<硬化時間>
粘着フィルム作製と同様に、PETフィルム上に粘着剤組成物を塗工および乾燥後、23℃/50%RHの環境下に静置した。静置を開始してから、10分ごとにSUS製スパチェラを粘着剤層に押し当て、粘着剤層がスパチェラに付着するかどうかを目視で確認した。粘着剤層がスパチェラに付着しなくなるまでの時間を測定し、この時間を硬化時間とした。結果を表1に示した。
表1中、「-」は当該成分を含まないことを意味している。また、表1中に記載の原材料の詳細は以下のとおりである。
<<硬化性樹脂>>
・重合体(A-1):
GENIOSIL STP-E10(製品名):式(1)で表されるα-シラン基を有するポリプロピレングリコール(PPG)、Mw:1.9万、Vis:10Pa・s、比重1.007g/cm3、シリル基(2個以上)導入率97%以上、Tg:-70℃、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製
・重合体(A-2):
GENIOSIL STP-E30(製品名):式(1)で表されるα-シラン基を有するPPG、Mw:2.7万、Vis:30Pa・s、比重1.002g/cm3、シリル基(2個以上)導入率97%以上、Tg:-70℃、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製
・重合体(B-1):
GENIOSIL XB 502(製品名):α-シラン基を有するPPG、Mw 1.9万、Vis:1.3Pa・s、比重1.130g/cm3、シリル基(2個以上)導入率97%以上、Tg:-73℃、末端をシラン成分で封止、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製
・重合体(C-1):
EXCESTAR S3630:γ-シリル基を有するPPG、Mw 2.8万、Vis:No data、シリル基(2個以上)導入率97%未満、Tg:-71℃、AGC株式会社製
・重合体(C-2):
アクリル重合体:γ-シリル基を有するポリアクリレート(2EHA/KBM-502/KBM-802=98/2/1(質量部))、Mw:4.9万、Vis:133Pa・s、Tg:-77℃
なお、上記の重合体のTgは上述した測定条件にてDSCで測定し求めた。
(製造例1)
[アクリル重合体の製造例1]
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたステンレス製フラスコに、2-エチルヘキシルアクリレート98質量部、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン2質量部を計量し、窒素置換を行った後に70℃まで昇温した。次いで、フラスコ内の内容物を75℃に維持しながら、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン1質量部を追加し、次いで2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05質量部を添加して反応を開始した。反応開始3時間後にAIBN0.05質量部を追加した。反応開始6時間後に110℃で3時間減圧留去し、アクリル重合体(C-1)を得た。
<<脱水剤(D)>>
・KBM-1003(製品名):ビニルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製
<<硬化触媒(E)>>
・硬化触媒(E-1):
KBM-603(製品名):N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製
・硬化触媒(E-2):
K-KAT 670:カルボン酸亜鉛塩、楠本化成株式会社製
<<添加剤>>
・帯電防止剤:
FC-4400(製品名):(n-C493(CH3)N+・(SO2CF32- イオン液体型帯電防止剤(イオン性化合物)、3M製
上記重合体(A)~(C)における重量平均分子量(Mw)はカタログ値を採用した。
本発明に係る実施例1~10の粘着フィルムは、比較例1および2の粘着フィルムに比べて、塗工性および硬化性に優れる組成物より形成される粘着剤層を備える粘着フィルムであることがわかる。

Claims (11)

  1. ケイ素原子に炭素原子が結合し、前記炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子がさらに結合した構造を有する架橋性シリル基を分子内に有する硬化性樹脂と、硬化触媒と、を含む組成物より形成される粘着剤層を備える、粘着フィルム。
  2. 前記硬化触媒が、分子量が1,000未満のアミノシランカップリング剤である、請求項1に記載の粘着フィルム。
  3. 下記の要件(a)~(c)の少なくとも1つを満たす、請求項1に記載の粘着フィルム;
    (a)前記硬化性樹脂が有する前記架橋性シリル基が、式(1):-X-CH2-Si(R13で表されるα-シラン基である;
    [式(1)中、R1は、それぞれ独立に炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、または水酸基であり、R1のうち少なくとも一つは前記アルコキシ基または水酸基であり、Xは、-O-、-C(=O)O-、-S-、-O-CO-NH-または-N(R2)-CO-N(R3)-で表される2価の基であり、前記R2および前記R3は、水素原子、炭化水素基、またはハロゲン化炭化水素基であり、前記R2および前記R3は、同一であっても異なっていてもよい。]
    (b)前記硬化性樹脂の20℃における比重が1.05g/cm3以上;
    (c)前記硬化性樹脂の25℃における粘度が5Pa・s以下。
  4. 20℃における比重が1.05g/cm3以上である前記硬化性樹脂Bに対する20℃における比重が1.05g/cm3未満である前記硬化性樹脂Aの比(A/B)が、質量基準で、5/95~95/5である、請求項1に記載の粘着フィルム。
  5. 前記硬化性樹脂のガラス転移温度(Tg)が0℃未満である請求項1に記載の粘着フィルム。
  6. 前記硬化性樹脂がポリオキシアルキレン系重合体である請求項1に記載の粘着フィルム。
  7. 前記組成物が帯電防止剤をさらに含有する、請求項1に記載の粘着フィルム。
  8. 前記粘着剤層の膜厚が100μm未満である、請求項1に記載の粘着フィルム。
  9. 前記組成物の25℃における粘度が50Pa・s未満である、請求項1に記載の粘着フィルム。
  10. 表面保護フィルムである請求項1に記載の粘着フィルム。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の粘着フィルムの製造方法であって、
    ケイ素原子に炭素原子が結合し、前記炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子がさらに結合した構造を有する架橋性シリル基を分子内に有する硬化性樹脂と、硬化触媒と、を含む組成物を、80℃未満で基材フィルムまたは離型フィルムに塗工して粘着剤層を形成する工程を含む、粘着フィルムの製造方法。
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