JP2003055478A - シート状物体、熱転写シート、熱転写方法および転写生成物 - Google Patents

シート状物体、熱転写シート、熱転写方法および転写生成物

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JP2003055478A
JP2003055478A JP2001246923A JP2001246923A JP2003055478A JP 2003055478 A JP2003055478 A JP 2003055478A JP 2001246923 A JP2001246923 A JP 2001246923A JP 2001246923 A JP2001246923 A JP 2001246923A JP 2003055478 A JP2003055478 A JP 2003055478A
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thermal transfer
sheet
card
layer
hydrophilicity
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English (en)
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Satoshi Narita
聡 成田
Koji Eto
浩司 衛藤
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規で且つ簡便な方法で、各種カードや有価
証券などの偽造・変造・改ざん防止技術および真贋判定
技術の提供。 【解決手段】 少なくとも表面に親水性領域と疎水性領
域とからなるパターンを有することを特徴とするシート
状物体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート状物体、熱
転写シート、熱転写方法および転写生成物に関し、さら
に詳しくは有価証券などの重要書類、IDカードやクレ
ジットカードなどの偽造・変造・改ざん防止に有用な技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有価証券、紙幣、IDカードやク
レジットカードなどの偽造・変造・改ざん防止手法が種
々知られている。例えば、コピーが困難なように微細文
字や彩紋パターンを印刷したり、3原色では再現できな
い金、銀転写箔やパステル調インキ、パール調インキや
蛍光色インキなどの特殊な色材で文字や画像を形成する
などの方法が行なわれている。また、高度な製造技術を
必要とするホログラム画像を上記カードなどの表面に設
けることも行われている。
【0003】これらの技術はいずれも目視あるいは光学
的に真贋を判別する手法といえる。他には、例えば、I
Cカードなどでは実装されたICに暗証番号などの暗号
を記憶させることで所謂セキュリティ性を付与してい
る。また、磁性材をカードなどに配合し、その磁気パタ
ーンを暗号として扱うセキュリティ付与手法も知られて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術とは異なる手段により、新規で且つ簡便な方法によ
る、各種カードや有価証券などの偽造・変造・改ざん防
止技術および真贋判定技術の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。すなわち、本発明は、少なくとも
表面に親水性領域と疎水性領域とからなるパターンを有
することを特徴とするシート状物体、少なくとも基材と
転写層を有する熱転写シートであって、該転写層が、被
転写体表面に親水性または疎水性を付与する機能を有す
ることを特徴とする熱転写シート、これらの熱転写シー
トを用いて、被転写基材の表面に親水性領域と疎水性領
域とからなるパターンを形成することを特徴とする熱転
写方法、およびこれらの方法で親水性領域と疎水性領域
とからなるパターンが形成されたことを特徴とする転写
生成物を提供する。
【0006】上記本発明によれば、例えば、親水性を付
与し得る機能を有する転写層を有する熱転写シートを用
いて、カードなどの表面が疎水性の被転写物に任意の形
状で親水性を有するパターンを意図的に形成することに
よって、カードなどの偽造・変造・改ざんなどの防止
性、所謂セキュリティ性を高めることができる。上記に
おいて親水性と疎水性とが逆の場合も同様である。
【0007】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明をさらに詳しく説明する。先ず本発明の原理を説
明する。通常、IDカードやクレジットカードなどのカ
ードの基材は、塩化ビニル樹脂やポリエステル樹脂、A
BS樹脂などの熱可塑性樹脂である場合が多い。また、
カード基材表面にはグラビア印刷や熱転写手法などの手
法で種々の意匠や文字情報、顔写真などの画像が形成さ
れている場合が多い。また、耐久性を高める目的で表面
に保護層を設ける場合もある。これらのいずれの場合に
おいても、カードの最表面は高分子樹脂もしくはその硬
化物や、それらと各種の色材や微粒子状添加物、滑剤な
どの混合物で覆われている。これらの表面は一般的に疎
水性である(以上のカード基材、完成されたカードおよ
びその中間品を、以下全て「カード」と称する)。
【0008】例えば、図1a,a’に示すカードが、表
面疎水性のカードであり、その表面を水で濡らすと、図
1b,b’に示すように、水は水玉となり、カードの表
面状態の変化が視認される。一方、図2a,a’に示す
カードが、表面親水性のカードであり、その表面を水で
濡らすと、図2b,b’に示すように、水は一様にカー
ド表面を濡らし、カードの表面状態の変化は視認困難で
ある。そして、図3a,a’に示すように、カードの疎
水性表面2に、親水性領域1をパターン状に設けると、
その状態では親水性領域1は視認困難である。この状態
で表面に水を付着させると、図3b,b’に示すよう
に、親水性領域1は水濡れ状態で視感は変わらず、疎水
性領域2は水玉付着領域3となり、両者の視感が異なる
ことから、図3a,a’に形成された親水性領域1が視
認可能となる。図4a,a’に示す例は、カードの疎水
性表面を全て親水性にした後、その一部に疎水性(もし
くは撥水性)領域2を設けたもので、これを水で濡らす
と、図4b,b’に示すように、親水性領域1は水で均
一に濡れた水濡れ状態3’になり、疎水性領域2は水玉
が付着して視感が変化する。従って図4a,a’に形成
された疎水性領域2は視感が変わり、疎水性領域2のパ
ターンが視認される。上記におけるパターンは文字、絵
柄、顔写真などであり得る。
【0009】以上のように、本発明において、例えば、
表面疎水性のカードにID番号や暗証番号などの情報
や、顔写真などの画像を上記の如く親水性領域と疎水性
領域からなるパターンによって形成し、実際上視認困難
な潜像をカード表面に設ける。このように潜像を形成し
たカード表面に、水蒸気を噴霧したり水を含ませた布で
カード表面を拭くなどして水を与えると、疎水性領域は
水を弾き、あるいは水玉を生じ、一方、親水性領域は水
が弾かれずに均一に広がるために、設けた潜像が水玉の
有無によって視認できるようになり、本人認証や真贋識
別が可能となる。
【0010】上記において親水性の尺度としては、カー
ドなどの被転写基材と水の接触角が挙げられ、一般に接
触角が小さい物質は親水性が高いとみなされる。本明細
書中においては、室温下で水に対する接触角が45°以
下である物質を親水性、同じく60°以上である物質を
疎水性であるとして扱うこととする。カードの基材とし
てはポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リカーボネート、ABS樹脂などが知られているが、こ
れらはいずれも水に対する接触角が70°以上であり、
疎水性である。
【0011】本発明においてカードの表面に親水性を付
与する手法としては、例えば、従来ガラスやプラスチッ
クシート、フィルムなどの基材表面に防曇性を付与する
ために提示された手法が挙げられる。すなわち、カード
に界面活性剤を塗布もしくは混合したり、水との接触角
が小さい樹脂を含む皮膜を設けたりする手法である。親
水性を有する物質としては、ポリビニルアルコール(水
に対する接触角36°)などの水酸基を有する樹脂が挙
げられる。また、基材表面の微細形状を制御することで
親水性を付与する手法も知られている。
【0012】さらに近年では、いわゆる光触媒機能を有
する酸化チタン微粒子を用いて、疎水性表面に親水性を
付与する手法が見出されている。酸化チタン結晶に光照
射すると、結晶中において励起して電子(e-)・正孔
(h+)対が生じ、これに起因して強い有機物分解性お
よび親水性を発現する(親水性発現機構の詳細について
は現在のところ諸説あり確定されていない)。
【0013】ガラスなどの基材表面に酸化チタンの微粒
子をコーティングし、光照射を行うと水に対する接触角
は概略0°を示し、水蒸気を噴射しても水玉は生じず、
表面全体が均一に濡れる。酸化チタン微粒子のみでは、
光照射を停止すると比較的短時間で水に対する接触角が
上昇して親水性が低下してしまうが、酸化チタン微粒子
を高い水和性を持つシリカと混合することで、光照射停
止後も数百時間以上水に対する接触角を小さく保ち、親
水性を維持できることが知られている。
【0014】酸化チタン微粒子は可視光の吸収および散
乱を殆ど示さず、ほぼ無色透明であり、これを含む親水
性付与材料を設けた表面は実際上視認困難である。この
ような、酸化チタン微粒子を含む親水性付与材料を用い
て、本来疎水性であるカード表面に親水性領域を形成
し、実際上視認困難な潜像を形成することで、新たなセ
キュリティ付与手段を提供できる。
【0015】前述のようにカードの表面は一般的に疎水
性であるが、必要に応じてさらに高度の疎水性を付与す
ることもできる。すなわち、シリコーン樹脂、フッ素樹
脂などの水との接触角が大きい樹脂を含む皮膜を設けた
りすることによって、さらに疎水性を高めることが可能
である。シリコーン樹脂やフッ素樹脂などは100°を
越える接触角を示し、高い疎水性を有する。
【0016】疎水性領域と親水性領域からなる潜像(パ
ターン)の形成には、下記のような手法が適用できる。 ・本来疎水性であるカード表面に、親水性付与材料をパ
ターン状に設けて親水性領域からなる潜像を形成する
(図3)。 ・本来疎水性であるカード表面に、親水性材料を全面に
設けて親水性を付与せしめ、その後に疎水性材料をパタ
ーン状に設けて疎水性領域からなる潜像を形成する(図
4)。
【0017】親水性付与材料は、グラビア印刷、スクリ
ーン印刷などの印刷手法、グラビアコーティング、ロー
ルコーティングなどのコーティング手法によって、カー
ド表面に設けることができる。さらには、親水性付与材
料を含む熱転写層を有する熱転写シートを用いて熱転写
手法によって設けることもできる。ID番号や顔写真な
どの可変情報を設ける際には、製版工程などを要せず、
所望の画像を手軽に作成できる熱転写手法が好ましい。
疎水性材料も同様の手法によって設けることが可能であ
る。
【0018】親水性付与材料についてさらにやや詳しく
述べる。水に対する接触角が小さい、親水性を有する物
質としてはポリビニルアルコールなどの水酸基を有する
高分子樹脂や既述の酸化チタン微粒子などが挙げられ
る。前者は水溶性を示すので保管や使用条件などには制
約が生じる。後者は、それ自体では成膜性を示さないの
で、親水性付与層の形成には何らかのバインダーを酸化
チタン微粒子に配合する必要がある。酸化チタン微粒子
は記述の通り、光触媒作用による有機物分解性を示すの
で、酸化チタン微粒子のバインダーは無機系が用いられ
る。例えば、ケイ酸塩系、無機コロイド系、金属アルコ
キシド系、リン酸塩系、セメント系などの種類がある。
バインダーの選択は基材、加工条件によって決定され
る。カードのように基材が有機物である場合は、酸化チ
タン微粒子の光触媒作用による基材劣化を防ぐために、
無機系材料からなるアンダーコート層を酸化チタン微粒
子含有層と基材との間に設けることが望ましい。さらに
基材との接着性を確保するなどの目的で基材表面にプラ
イマー層を設けることも有効である。
【0019】次に本発明の熱転写シートについて説明す
る。熱転写シートを構成する基材シートとしては、従来
の熱転写シートに使用される基材シートを用いることが
できる。好ましい基材シートの具体例は、グラシン紙、
コンデンサー紙、パラフィン紙などの薄紙、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、
ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホンなどの耐熱
性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリア
ミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー
などのプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、
これらの材料を積層したものが挙げられる。この基材シ
ートの厚さは、強度および耐熱性などが適切になるよう
に材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1
〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
【0020】本発明における熱転写シートには、転写層
を基材シートから容易に剥離させるために離型層を設け
ることも有効である。離型層は、基材シートと各種転写
層との間に設けられる。この離型層は、基材シートが易
接着処理されたものであるときに特に効果的である。こ
のような効果を有する離型層には、例えば、ウレタン樹
脂やポリビニルアセタール樹脂、もしくはそれらの混合
物などが適用できる。
【0021】本発明における1例の熱転写シートには、
転写層として親水性付与機能を有する層を設ける。前述
のように酸化チタン微粒子などの光触媒型親水性付与材
料は、その有機物分解性の故に基材シートの劣化防止の
ために、無機系材料からなるアンダーコート層を設ける
ことが望ましい。アンダーコート層形成材料としては、
例えば、ケイ酸塩系、無機コロイド系、金属アルコキシ
ド系、リン酸塩系、セメント系などの無機系バインダー
が適用できる。アンダーコート層の厚さは0.5〜10
μm程度が好ましく、さらに1〜5μm程度が好まし
い。上記範囲を下回ると被転写基材の保護機能が不十分
となり、上記範囲を上回ると塗膜乾燥時の収縮によるカ
ードのカールの発生や、熱転写時の箔切れ性の低下によ
る転写不良が生じる。アンダーコート層はグラビア印
刷、スクリーン印刷などの印刷手法、グラビアコーティ
ング、ロールコーティングなどのコーティング手法によ
って設けることができる。
【0022】前記親水性付与層は、好ましくは記述の酸
化チタン微粒子およびシリカなどの添加剤、ケイ酸塩
系、無機コロイド系、金属アルコキシド系、リン酸塩
系、セメント系などの無機系バインダーを含む塗工液を
用いて形成できる。酸化チタンはその結晶構造からルチ
ル型、アナターゼ型、ブルッカイト型が知られている
が、前2者が工業的に製造されている。一般的に光触媒
用途としてはアナターゼ型が高活性で好ましいとされて
いる。酸化チタンは顔料として本来屈折率が高く白色顔
料として使用されている材料であるが、数nm程度の粒
子径とすることで透明性を発現でき、被転写物の表面色
調や意匠を損なうことを防ぎ、親水性領域の不可視性を
もたらすことができる。
【0023】バインダーは、各材料それぞれ特性に一長
一短があり、用途に応じて選択する必要がある。熱転写
シートに適用する際は、比較的低温で乾燥および硬化可
能なバインダーが好ましく、ケイ酸塩系(シリカなど)
が好ましい。酸化チタン微粒子とバインダーの配合比
は、酸化チタン微粒子比が大きいと高い親水性が発現す
るが、塗膜強度は低下する傾向にあり、所望する親水性
と膜強度のバランスを考慮して決定する必要がある。酸
化チタン微粒子/バインダー重量比が20/80〜90
/10程度が好ましい。光触媒による親水性の発現機能
は最表面で発現するため、親水性付与層の厚さには実際
上依存せず0.1μm程度以上であれば充分な親水性が
得られる。1μm以上の厚さになると膜強度が低下した
り、わずかな厚さのムラが干渉縞を引き起こしたりする
ため、厚さの範囲は0.1〜1μmが好ましく、0.1
〜0.5μm程度がさらに好ましい。親水性付与層は、
グラビア印刷、スクリーン印刷などの印刷手法、グラビ
アコーティング、ロールコーティングなどのコーティン
グ手法によって塗布することで設けることができる。
【0024】親水性付与層を、熱転写手法によって被転
写基材に転写するためには、親水性付与層の表面に接着
層を設ける必要がある。接着層は、用いる被転写基材シ
ートの材質により適当な材料を選択すればよい。例え
ば、ポリウレタン樹脂やアクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、その他の高分子樹脂が挙げられる。アンカー層の厚
さは0.5〜10μm程度が好ましい。アンカー層に
は、基材シートの色調を隠蔽するなどの目的で各種着色
顔料などを配合することもできる。
【0025】本発明の他の例である熱転写シートは、転
写層として疎水性付与層を有する。該疎水性付与層は、
従来公知の各種高分子樹脂によって作製することができ
る。例えば、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、
ポリ塩化ビニル−ポリ酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリ
ル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素
樹脂などの水に対する接触角が高い樹脂を既述の基材シ
ート上にコーティングして疎水性付与層とする。シリコ
ーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、パラフィ
ンなどの非常に水に対する接触角が大きい樹脂を用いる
と、親水性部分と疎水性部分との差が際立つので好まし
い。これら樹脂を混合して用いることも有効である。ま
た、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹
脂、パラフィンなどの樹脂微粒子を上記樹脂中に混合し
て使用することも好ましい。疎水性付与層の厚さは0.
5〜10μm程度が好ましい。疎水性付与層は、被転写
基材に対する接着性を発現する接着層と、主に疎水性を
発現する層の複層構成とすることもできる。その場合は
接着層として既述の材料が有効に使用できる。
【0026】以上、本発明について、シート状物の例と
して主としてカードについて説明したが、本発明のシー
ト状物は、カードに限定されず、有価証券、紙幣、各種
会員権、入場券、乗車券、その他のシート状物でもよ
い。また、これらのシート状物は、その表面が本来疎水
性のものでも親水性のものであってもよい。
【0027】また、シート状物に形成する疎水性領域と
親水性領域とからなるパターンは、文字、図形、写真な
ど特に限定されず、また、パターンを形成する領域はシ
ート状物の全面であってもよいし、一部であってもよ
い。さらに既に色々な方法で形成されている文字、記
号、写真、絵柄などの表面に設けてもよい。また、以上
の説明ではパターンの形成について主として熱転写方法
を用いる方法を説明したが、パターン形成方法は熱転写
方法に限定されない。
【0028】本発明では、熱転写方法を用いることが好
ましく、熱転写を行う際に使用する熱エネルギーの付与
手段は、従来公知の付与手段がいずれも使用でき、例え
ば、サーマルプリンター(例えば、日立製、ビデオプリ
ンターVY−100)などの記録装置によって、記録時
間をコントロールすることにより、5〜100mJ/m
2程度の熱エネルギーを付与することによって所期の
目的を十分に達成することができる。
【0029】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明する。なお、文中「部」または「%」
とあるのは特に断りのない限り重量基準である。 実施例1(親水性付与熱転写シートの作成) 厚さ6μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレー
トフィルムの一方の面に、グラビアコーターを用いて下
記の耐熱層塗工液を固形分換算で0.8g/m 2の割合
で塗布および乾燥して耐熱層を形成した。
【0030】 耐熱層用塗工液; ・ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学工業製)3.6部 ・ポリイソシアネート(バーノックD750、大日本インキ化学工業製) 8.6部 ・リン酸エステル系界面活性剤(プライサーフA208S、第一製薬工業製薬製) 2.8部 ・タルク(ミクロエースP−3、日本タルク工業製) 0.7部 ・メチルエチルケトン 32.0部 ・トルエン 32.0部
【0031】次にグラビアコーターを用いて前記の基材
シートの耐熱層を設けた側の反対面に下記の離型層塗工
液を固形分換算で1g/m2の割合で塗布および乾燥し
て離型層を形成した。次に下記の親水性付与層塗工液を
前記離型層上に固形分換算で0.5g/m2の割合で塗
布および乾燥して親水性付与層を形成した。続いて下記
のアンダーコート層塗工液を固形分換算で1g/m2
割合で塗布および乾燥してアンダーコート層を形成し
た。次に下記の接着層塗工液を固形分換算で1g/m2
の割合で塗布および乾燥して接着層を形成し、本発明の
親水性付与熱転写シート1を作成した。上記においてア
ンダーコート層は、転写後の被転写基材の酸化チタン微
粒子による酸化劣化を防止する目的で設けた。
【0032】 離型層塗工液; ・ウレタン樹脂(クリスボン9004、DIC製) 20部 ・ポリビニルアセトアセタール樹脂(KS−5、積水化学製) 5部 ・ジメチルホルムアマイド 80部 ・メチルエチルケトン 120部
【0033】 親水性付与層塗工液; ・酸化チタン微粒子(ST−01、石原産業製、粒子径7nm) 1部 ・シリカ微粒子(AEROSIL 300、日本アエロジル製) 1 部 ・エチルアルコール 100部 ・水 50部 ・塩酸(pH調整のため適量添加、pH=2.0とした。)
【0034】 アンダーコート層塗工液; ・シリカ微粒子(AEROSIL 300、日本アエロジル製) 1 部 ・エチルアルコール 100部 ・水 50部
【0035】 接着層塗工液; ・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(#1000AKT、電気化学工業製)100部 ・トルエン 150部 ・メチルエチルケトン 150部
【0036】実施例2(疎水性付与熱転写シートの作
成) グラビアコーターを用いて前記の基材シートの耐熱層を
設けた側の反対面に前述の離型層塗工液を固形分換算で
1g/m2の割合で塗布および乾燥して離型層を形成し
た。次に下記の疎水性付与層塗工液を前記離型層上に固
形分換算で1.0g/m2の割合で塗布および乾燥して
疎水性付与層を形成した。続いて前述の接着層塗工液を
固形分換算で1g/m2の割合で塗布および乾燥して接
着層を形成し、本発明の疎水性付与熱転写シート2を作
成した。
【0037】 疎水性付与層塗工液; ・シリコーン樹脂(KR−255、信越シリコーン製) 1部 ・キシレン 50部
【0038】次に被転写基材として下記表1に記載のカ
ードを用意し、その水に対する接触角を測定した。
【0039】実施例3(転写方法) 実施例1の親水性付与熱転写シート1と上記塩化ビニル
樹脂製カードを重ね合わせ、サーマルヘッドとプラテン
ロールとで圧接し、160mJ/mm2、転写スピード
33.3msec/line(送りピッチ6line/
mm)の条件で文字画像様にエネルギーを印加して、親
水性転写層と塩化ビニル樹脂製カードとを接着させた
後、基材シートを剥離して、塩化ビニル樹脂製カード表
面に親水性付与層を転写した。親水性付与層転写部分の
水に対する接触角は75°であった。カード表面全体に
水を噴霧したところ、親水性付与層転写部分と非転写部
分ではともに水を弾いて水玉が生じ、目視で区別困難で
あった。
【0040】次にこのカード表面に発光波長365n
m、消費電力40Wのブラックライトを用いて6時間紫
外光照射した。紫外光照射後の親水性付与層転写部分の
水に対する接触角は1°以下となった。カード表面全体
に水を噴霧したところ、親水性付与層非転写部分では水
を弾いて水玉が生じ、親水性付与層転写部分では一様に
水が広がって目視でその違いは明らかであった。
【0041】実施例4 被転写基材をポリエチレンテレフタレート樹脂製カード
に代えた他は全て実施例3と同様に行なったところ同様
の結果が得られた。 実施例5 被転写基材をABS樹脂製カードに代えた他は全て実施
例3と同様に行なったところ同様の結果が得られた。 実施例6 被転写基材をポリカーボネート樹脂製カードに代えた他
は全て実施例3と同様に行なったところ同様の結果が得
られた。
【0042】実施例7 前述の親水性付与熱転写シート1と上記塩化ビニル樹脂
製カードを重ね合わせ、サーマルヘッドとプラテンロー
ルとで圧接し、160mJ/mm2、転写スピード3
3.3msec/line(送りピッチ6line/m
m)の条件でカード表面全体にエネルギーを印加して、
親水性転写層と塩化ビニル樹脂製カードとを接着させた
後、基材シートを剥離して、塩化ビニル樹脂製カード表
面に親水性付与層を転写した。
【0043】次に、前述の疎水性付与熱転写シートを用
いて同じ転写条件で文字画像様に疎水性付与層を転写し
た。疎水性部分の水に対する接触角は75°であった。
カード表面全体に水を噴霧したところ、親水性付与層転
写部分と非転写部分ではともに水を弾いて水玉が生じ、
目視で区別困難であった。次にこのカード表面に発光波
長365nm、消費電力40Wのブラックライトを用い
て6時間紫外光照射した。紫外光照射後の親水性付与層
転写部分(疎水性付与層非転写部分)の水に対する接触
角は1°以下となった。カード表面全体に水を噴霧した
ところ、親水性付与層非転写部分では水を弾いて水玉が
生じ、親水性付与層転写部分では一様に水が広がって目
視でその違いは明らかであった。
【0044】実施例8 被転写基材をポリエチレンテレフタレート樹脂製カード
に代えた他は全て実施例7と同様に行なったところ同様
の結果が得られた。 実施例9 被転写基材をABS樹脂製カードに代えた他は全て実施
例7と同様に行なったところ同様の結果が得られた。 実施例10 被転写基材をポリカーボネート樹脂製カードに代えた他
は全て実施例7と同様に行なったところ同様の結果が得
られた。
【0045】比較例1 親水性付与層塗工液を下記組成の塗工液に代えた以外は
実施例3と同様にして比較例の熱転写シートを得た。 塗工液; ・シリカ微粒子(AEROSIL 300、日本アエロジル製) 1 部 ・エチルアルコール 100部 ・水 50部 実施例3と同様にしてカード表面に熱転写層を転写し
た。転写部分の水に対する接触角は70°であった。紫
外光照射後の水に対する接触角も変化なく70°であっ
た。 比較例2 親水性付与層塗工液を上記組成の塗工液に代えた以外は
実施例7と同様にした。結果は比較例1と同様であっ
た。
【0046】
【発明の効果】以上の如き本発明によれば、被転写基材
表面に親水性領域と疎水性領域とからなるパターンを設
けることによって、カードなどの偽造・変造・改ざんな
どの防止性、所謂セキュリティ性を高めることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理を説明する図。
【図2】 本発明の原理を説明する図。
【図3】 本発明のシート状物、熱転写方法および転写
生成物を説明する図。
【図4】 本発明のシート状物、熱転写方法および転写
生成物を説明する図。
【符号の説明】
1:親水性領域 2:疎水性領域 3:水玉付着領域 3’:水濡れ領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41M 5/30 B42D 15/10 531B 5/40 C08L 27:12 B42D 15/10 501 83:04 531 B41M 5/26 J // C08L 27:12 L 83:04 H A Fターム(参考) 2C005 HA02 HB01 HB10 JB19 JB27 LA30 2C068 AA06 AA21 BD15 2H111 AA01 AA07 AA26 AA31 BA03 BA32 BA53 CA11 CA25 4F071 AA26 AA67 AF04 AH12 AH16 BC01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面に親水性領域と疎水性領
    域とからなるパターンを有することを特徴とするシート
    状物体。
  2. 【請求項2】 プラスチックカードである請求項1に記
    載のシート状物体。
  3. 【請求項3】 少なくとも基材と転写層を有する熱転写
    シートであって、該転写層が、被転写体表面に親水性を
    付与する機能を有することを特徴とする熱転写シート。
  4. 【請求項4】 転写層が、少なくとも光触媒を含有する
    請求項3に記載の熱転写シート。
  5. 【請求項5】 少なくとも基材と転写層を有する熱転写
    シートであって、該転写層が、被転写体表面に疎水性を
    付与する機能を有することを特徴とする熱転写シート。
  6. 【請求項6】 転写層が、少なくともシリコーン樹脂お
    よび/またはをフッ素樹脂を含有する請求項5に記載の
    熱転写シート。
  7. 【請求項7】 請求項3または4に記載の熱転写シート
    を用いて、被転写基材の疎水性表面に親水性を有する領
    域を形成することを特徴とする熱転写方法。
  8. 【請求項8】 請求項5または6に記載の熱転写シート
    を用いて、被転写基材の親水性表面に疎水性を有する領
    域を形成することを特徴とする熱転写方法。
  9. 【請求項9】 被転写基材が、プラスチックカードであ
    る請求項7または8に記載の熱転写方法。
  10. 【請求項10】 請求項7〜9のいずれか1項に記載の
    方法で親水性領域と疎水性領域とからなるパターンが形
    成されたことを特徴とする転写生成物。
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