本発明の第一実施形態は、樹脂基材と、樹脂基材よりも撥水性の高い情報部と、を有する、ラベルである。このような構成とすることで、例えば、水蒸気を付与することで、情報部が視認できるようになる。
以下、本実施形態について説明する。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等は、室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリルまたはメタクリル」を指す。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、同一の部材には同一の符号を付し、説明を略する。
なお、「ラベル」の概念には、テープ、フィルム、シート等と称されるものが包含される。また、ラベルは被着体に貼付するための粘着剤層を必須とするものではない。
図1は第一実施形態の一態様を示すラベルを概略的に示す平面図である。また、図2は、図1に示すラベルのII-II線に沿う断面図である。図1において、ラベル10は、黒色層である樹脂基材14上に「LINTEC」という企業ロゴの情報部15が配置される。図2において、ラベル10は、剥離ライナー11、粘着剤層12、白色層13、樹脂基材14、および情報部15から構成され、レーザマーカにより印字可能である。情報部15は、図1においては、「LINTEC」という企業ロゴであるが、例えば、企業ロゴ等出所を表示する機能を有する情報であったり、「真正」という文字によって真正であることを表示する機能を有する情報であり、文字、記号、数字、図形などである。ラベルは、情報部15によって情報を表示する表示ラベルであり、また、偽造防止の機能を有する場合には、偽造防止ラベルである。なお、図1においては、説明のために、情報部15を視認化しているが、通常環境下では、情報部15は視認されない、または視認しにくい。樹脂基材14は、本形態では黒色である。
粘着剤層12は被着体(例えば、車体)に貼付される部分であり、剥離ライナー11は、粘着剤層が被着体に貼付されるまで、粘着剤層にごみなどの付着物が付着することを防止するために形成される。ゆえに、剥離ライナー11は、被着体にラベルを貼付する際には剥離される。
図4に示すようにレーザ照射により白色層13にまで到達するように黒色層(樹脂基材)を削ることにより、下層の白色層が露出する。図5は、図1に示すラベルにおいて、さらに第二の情報部が形成されたラベルを概略的に示す平面図である。図5に示すように、露出した白色層が第二の情報部16であり、黒色層(樹脂基材14)および白色層13のコントラストにより、第二の情報部16が視認される。第二の情報部は視認を要する情報であり、図5においては、「12345」という自動車の車両識別番号(Vehicle Identification Number;VIN)であるが、情報部15と同様に文字、記号、数字、図形などいずれの形態であってもよく、製品情報、製造年月日、製造場所などの情報であってもよい。
このような構成とすることで、一つのラベルで、通常は視認されない情報(例えば、企業ロゴ)を情報部15で付与するとともに、自動車の車両識別番号(Vehicle Identification Number;VIN)など視認を要する第二の情報部16をレーザマーカにより付与することができる。
図2に示すように情報部15は、樹脂基材14の凹部に形成されることが好ましい。すなわち、情報部が樹脂基材内に埋め込まれるように配置されることが好ましい。情報部が樹脂基材の凹部に形成されることで、摩擦などによる外力で情報部が摩耗することを抑制することができる。また、かような形態とすることで、樹脂基材および情報部により形成される表面を平滑にしやすい。表面を平滑とすることで、基材表面と情報部表面との界面で発生する乱反射を抑制することができ、通常の環境下では情報部を視認しにくくなる。ゆえに、貼付された対象物が偽造や贋造の対象として狙われにくい。さらに、例えば、樹脂基材上に印刷する場合などに比べて製造工程が複雑であるため、ラベルを偽造することが困難である。
なお、情報部は、図2のように樹脂基材の凹部に形成される場合だけに限定されず、樹脂基材上に凸上に形成されていてもよい(図3)。
ラベル10において、情報部15は通常は視認できない、または視認しにくい。しかしながら、例えば、息を吹きかけるなど、ラベル表面が外部雰囲気の露点以下となるような条件にすると、情報部が視認されるようになる。よって、情報の確認を簡便に行うことができる。
本発明のラベルがかような効果を奏するメカニズムの詳細は不明であるが、以下のように考えられる。なお、本発明の技術的範囲は、以下に記載のメカニズムに何ら拘束されない。
情報部は樹脂基材よりも撥水性が高く、樹脂基材よりも水の接触角が大きい。このため、例えば息をラベル上部から吹きかけると、樹脂基材上に形成された水滴よりも情報部上に形成された水滴の径が細かくなる。よって、情報部上での光の乱反射がより大きくなる。このため、情報部が白く見えるようになり、情報部を視認できるようになると考えられる。
(情報部)
情報部は樹脂基材よりも撥水性が高い。ここで、撥水性は、水に対する接触角により規定され、情報部は樹脂基材よりも撥水性が高いので情報部の水に対する接触角は樹脂基材よりも大きい。接触角の測定は、JIS R3257:1999(基板ガラス表面のぬれ性試験方法)に規定される静滴法に準拠し、接触角測定器を用いて測定することができる。情報部における接触角は、90°以上であることが好ましく、100°~120°であることがより好ましい。また、樹脂基材との接触角との差が10°以上であることが好ましく、15°以上であることがより好ましく、20°以上であることがさらに好ましい。なお、樹脂基材の接触角は、通常60~90°である。
好ましくは、情報部がシリコーン含有化合物またはフッ素含有化合物を含む。撥水性の情報部が、撥水性のシリコーン含有化合物またはフッ素含有化合物を含むことで、樹脂基材との撥水性の差が大きくなり、水蒸気などが接触した際に情報部が視認しやすくなる。より好ましくは、情報部を形成しやすいことから、情報部がシリコーン含有化合物を含む。
シリコーン含有化合物としては、ジメチルシロキサン骨格を持つシリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーンレジン、およびこれらのメチル基の一部がアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等により置換されている変性シリコーンオイル、変性シリコーン樹脂等が挙げられる。これらのシリコーン含有化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
シリコーン含有化合物は、熱硬化型、電子線硬化型、紫外線硬化型などいずれであってもよい。中でも、硬化速度が速く、支持体に染み込みにくいため、紫外線硬化型シリコーン含有化合物であることが好ましい。
紫外線硬化型シリコーン含有化合物は、重合性化合物および光重合開始剤を含む組成物を重合してなる。
重合性化合物とは、紫外線によってラジカルまたはカチオン重合する重合性基を有する化合物を指し、モノマー、オリゴマー、またはこれらを含む混合物であってもよい。この重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する基が挙げられ、具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタン基、無水マレイン酸基、N-置換マレイミド基等が挙げられる。重合性化合物は1種単独でも、2種以上併用してもよい。
重合性化合物としては、上記重合性基を有するシリコーンであることが好ましく、具体的には、アクリル主鎖にシリコーン側鎖および重合性基を有するものが挙げられる。重合性基としては、上述のものが挙げられ、中でも、アクリロイル基を有するものが好ましい。すなわち、重合性化合物としては、アクリル主鎖にシリコーン側鎖およびアクリロイル基を有する重合性化合物であることが好ましい。アクリル主鎖にシリコーン側鎖およびアクリロイル基を有する重合性化合物としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、8SS-723(大成ファインケミカル社製)などが挙げられる。
重合性化合物としては他の重合性化合物を用いてもよい。他の重合性化合物としては、硬化性の観点から、多官能(メタ)アクリレート;単官能(メタ)アクリレート;および反応性オリゴマー(ここで、オリゴマーとは、モノマー単位が2~数十程度繰り返された重合体のことをさす)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド2モル付加物をジ(メタ)アクリレート化した化合物、以下、「エチレンオキサイド」を「EO」ともいう。)、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド2モル付加物をジ(メタ)アクリレート化した化合物、以下、「プロピレンオキサイド」を「PO」ともいう。)、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレ-ト、エチル(メタ)アクリレ-ト、ブチル(メタ)アクリレ-ト、ヘキシル(メタ)アクリレ-ト、オクチル(メタ)アクリレ-ト、ラウリル(メタ)アクリレ-ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレ-ト等の(メタ)アクリル酸のC1~24のアルキル、またはシクロアルキルエステルなどが挙げられる。
反応性オリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシオリゴマー、シリコンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。ウレタンアクリレートオリゴマーは、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。ポリエステルアクリレートオリゴマーは、一般にポリエステルポリオールに2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることにより形成されるものを挙げることができる。
重合性化合物の含有量は特に限定されるものではないが、重合性化合物および光重合開始剤を含む組成物中、通常、60~95質量%程度である。また、重合性基を有するシリコーンと、他の重合性化合物との、含有質量比は適宜設定されるが、重合性基を有するシリコーン:他の重合性化合物=1:1~1:200であることが好ましく、1:50~1:150であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、ベンゾイン;べンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのべンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、べンジルメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4,4-ビスメチルアミノべンゾフェノンなどのベンゾフェノン類およびアゾ化合物;ケトオキシムエステル化合物等を用いることができる。これらは単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。加えて、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2-ジメチルアミノエチル安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。光重合開始剤は市販品を用いてもよく、例えばIRGACURE(登録商標)-184、819、907、651、1700、1800、369、261、OXE01、OXE02、TPO、1173(BASF社製)、エザキュアKIP150、TZT(DKSHジャパン株式会社製)、カヤキュア(登録商標)BMS、DMBI(日本化薬株式会社製)等が挙げられる。光重合開始剤と併用して増感剤を用いてもよい。
フッ素含有化合物としては、パーフルオロアルキル基を持つモノマーと、各種反応性基を持つモノマーを反応させた、パーフルオロアルキル基を側鎖に持つポリマー、オリゴマーが挙げられる。これらのフッ素含有化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、シリコーン含有化合物およびフッ素含有化合物を併用してもよい。
これらのシリコーン含有化合物またはフッ素含有化合物は市販品を用いることもできる。
情報部中、シリコーン含有化合物およびフッ素含有化合物の含有量(固形分換算)は、50~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましい。
また、情報部(または後述の転写部)は、好適には、後述の製造方法のように、印刷インクにより形成することが好ましい。ゆえに、情報部には、インクを形成するためのバインダー樹脂が含まれる形態も好ましい。このようなバインダー樹脂としては、上記シリコーン含有化合物またはフッ素含有化合物との相溶性があり、乾燥後に固体状になる高分子化合物から任意に選択することができる。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂、フェノール樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース等のセルロース系樹脂、塩素化ゴム、石油樹脂、フッ化ビニリデン樹脂等が使用できる。また、シリコーン含有化合物またはフッ素含有化合物が樹脂である場合には、バインダー樹脂の機能を兼ねるため、特に他のバインダー樹脂を要さない。
情報部は、透明であるか、樹脂基材と同色であることが好ましく、同色であることがより好ましい。具体的には、色差ΔEが3以下であることが好ましい。情報部が透明または樹脂基材と同色であることで、樹脂基材との色コントラストができないため、情報部が潜像となり、通常の状態では視認しにくいためである。樹脂基材は黒色であることが好ましいため、情報部も黒色であることが好ましい。よって、情報部が着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に制限されるものではなく、公知の顔料、染料等を使用できる。例えば、黒色を付与するための黒色系着色剤としては、下記樹脂基材の欄に記載するものが挙げられる。任意で含まれる着色剤の含有量(固形分換算)は、情報部中、0.5~20質量%であることが好ましい。
情報部には、必要に応じて、充填剤、硬化促進剤、増粘剤、分散剤、成膜助剤、消泡剤、防腐剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
情報部の厚さは、情報が記録されうる厚さであれば特に限定されないが、例えば、0.1~20μmであり、好ましくは、1~10μmである。
(樹脂基材)
樹脂基材を構成する樹脂は、情報部より撥水性が低い樹脂であれば特に限定されない。このため、ラベルが適用される用途に応じて、種々の基材が選択される。ラベルに適用される基材としては、ウレタン系樹脂基材、塩化ビニル系樹脂基材、アクリル系樹脂基材、などを挙げることができ、中でもアクリル系樹脂基材、ウレタン系樹脂基材であることがより好ましく、ウレタン系樹脂基材であることがさらに好ましい。
ウレタン系樹脂としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂が好ましい。熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネートと、高分子量ポリオールと、鎖伸長剤とを、少なくとも反応させることにより得られる。具体的には、ポリイソシアネートと、高分子量ポリオールとを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、鎖延長剤を反応させて得ることが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
なお、これらのポリイソシアネートは、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上、好適には1000~3000の有機化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリウレタンポリオールなどのマクロポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、例えば、低分子量ポリオールおよび/または低分子量ポリアミンを開始剤として、これにアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどの炭素数2-5のアルキレンオキサイド)、または環状エーテル(テトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、オキセタン化合物)を開環付加重合(単独重合または共重合(アルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが併用される場合には、ブロック共重合および/またはランダム共重合))させることにより得ることができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールと、多塩基酸、そのアルキルエステル、その酸無水物、および、その酸ハライドとの縮合反応またはエステル交換反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、ε-カプロラクトン、γ-バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合により得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオールなどのラクトン系ポリオールなどが挙げられ、さらには、それらポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオールなどに上記の2価アルコールを共重合させることにより得られるラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどのカーボネート類を付加重合して得られる、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、1つ以上の水酸基を有する重合性単量体と、それに共重合可能な別の単量体とを共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。水酸基を有する重合性単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2-ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。また、それらと共重合可能な別の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1~12)、マレイン酸、マレイン酸アルキル、フマル酸、フマル酸アルキル、イタコン酸、イタコン酸アルキル、スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、3-(2-イソシアネート-2-プロピル)-α-メチルスチレン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
エポキシポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールと、例えば、エピクロルヒドリン、β-メチルエピクロルヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとを反応させることによって得られるエポキシポリオールが挙げられる。
天然油ポリオールとしては、例えば、ひまし油、やし油などの水酸基含有天然油などが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン化エチレン-酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
ポリウレタンポリオールは、上記のマクロポリオール(例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなど)を、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、上記ポリイソシアネートと反応させることによって、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどとして得ることができる。
高分子量ポリオールは、1種単独で用いても、2種類以上併用してもよい。
末端イソシアネートウレタンプレポリマーの調製方法としては特に制限されず、例えば、ポリイソシアネートと、高分子量ポリオールと、必要に応じて添加されるウレタン化触媒と、必要に応じて用いられる溶剤とを反応器に仕込んで反応させる方法等が挙げられる。
鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの数平均分子量400未満の低分子量の多価アルコール、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの低分子量のポリアミン化合物、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなどの分子内に水酸基を有するジアミン類;メチレンジヒドラジン、エチレンジヒドラジン、プロピレンジヒドラジン等のアルキレンジヒドラジン類や、アジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の飽和または不飽和ジヒドラジン類;ダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等を例示できる。また、これら鎖延長剤はプレポリマー中のイソシアネート基に対して過剰に使用することで鎖長停止剤とすることができる。
塩化ビニル系樹脂には、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルモノマーおよび塩化ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーの共重合体(以下、塩化ビニル共重合体とも称する)が含まれる。塩化ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニルのようなビニルエステル類、エチレンビニルエーテルのようなビニルエーテル類、エチレン、プロピレン、1-ブテン等のα-オレフィン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、塩化ビニリデン等が挙げられる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合には、柔軟性を付与する目的で通常可塑剤が添加される。添加される可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸系可塑剤、アゼライン酸ジ-2-エチルヘキシル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸トリブチル、リン酸トリ-2-エチルヘキシル、リン酸オクチルジフェニル、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油等が挙げられる。これらの可塑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのポリ塩化ビニルまたは塩化ビニル共重合体は塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法などの公知の製造法によって製造することができる。塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、通常300~5000である。平均重合度は、JIS K 6720-2:1999に記載の平均重合度算出方法による。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリルモノマーをモノマー主成分として重合によって製造される樹脂を指す。ここで、主成分とは、モノマー成分の50質量%以上(上限100質量%)、好適には80質量%以上であることを指す。(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸エステル;アクリル酸;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;メタクリル酸;等を用いることができる。この(メタ)アクリルモノマーは、2種類以上の混合物として用いることもできる。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリルモノマーと共重合可能な他の単量体を重合時のモノマーとして含んでいてもよく、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体などが挙げられる。
アクリル系樹脂の好ましいものとしては、例えば(1)メチルメタクリレート/メチルアクリレート/ブチルアクリレート/スチレン共重合体単独、(2)メチルメタクリレート/メチルアクリレート共重合体とメチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート共重合体との混合物などを挙げることができる。
また、アクリル系樹脂には、可塑剤を用いてもよい。可塑剤としては、上記塩化ビニル樹脂の欄で挙げたものが挙げられる。
さらに、アクリル系樹脂としては紫外線硬化型アクリル系樹脂を用いてもよい。紫外線硬化型アクリル系樹脂は、重合性化合物および光重合開始剤を含む組成物を重合してなる。
重合性化合物とは、紫外線によってラジカルまたはカチオン重合する重合性基を有する化合物を指し、モノマー、オリゴマー、またはこれらを含む混合物であってもよい。ここで、重合性基としては、上述の紫外線硬化型シリコーン含有化合物の欄に記載のものが挙げられる。
重合性化合物としては、多官能(メタ)アクリレート;単官能(メタ)アクリレート;および反応性オリゴマー(ここで、オリゴマーとは、モノマー単位が2~数十程度繰り返された重合体のことをさす)などが挙げられる。多官能(メタ)アクリレート;単官能(メタ)アクリレート;および反応性オリゴマーとしては、上述の紫外線硬化型シリコーン含有化合物の欄に記載のものが挙げられる。さらには、重合性化合物は、アクリルポリマーの骨格に(メタ)アクリロイル基を導入したものであってもよい。アクリルポリマーの骨格に(メタ)アクリロイル基を導入したものは市販品を用いてもよく、例えば、大成ファインケミカル社製の8KX-078、089などが挙げられる。
また、光重合開始剤についても、上述の紫外線硬化型シリコーン含有化合物の欄に記載のものが挙げられる。
基材を構成する樹脂または樹脂基材は、市販品を用いてもよい。
樹脂基材は有色であっても無色であってもよいが、有色であることが好ましく、黒色であることがより好ましい。樹脂基材が黒色であることで、水に接触したときの情報部の視認性が一層向上する。ここで、黒色とは、波長400~700nmにおいて反射率が10%以下であることが好ましい。
黒色を付与するための黒色系着色剤としては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどのカ-ボンブラック、鉄黒、コバルト酸化物系顔料、アニリンブラック、ペリレンブラック等を挙げることができる。レーザマーカラベルとして用いる場合には、レーザ光の吸収性のよいことから、黒色系着色剤としては、カーボンブラックを用いることが好ましい。カーボンブラックの好ましい平均一次粒径は10~500nmの範囲であり、より好ましくは10~150nmの範囲である。ここで、カーボンブラックの平均一次粒径は、1000個のカーボンブラック粒子を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径である。黒色系着色剤は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
着色剤を含有する場合の樹脂基材における着色剤の含有量(固形分換算)は、着色性および機械的強度の観点から、1~50質量%であることが好ましく、3~20質量%であることがより好ましい。
さらに、樹脂基材には、黒色系着色剤および樹脂の他に、添加剤を添加してもよい。添加剤としては、シアニン系、フタロシアニン系等の赤外線吸収剤、マイカ、アルミ粉、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤などを挙げることができる。
樹脂基材の厚さ(最大厚み)は、機械的強度、加工性(レーザによる除去効率)などを考慮して適宜設定されるが、例えば、5~20μmである。
(白色層)
第一実施形態のラベルは、任意に白色層を有する。白色層は黒色である樹脂基材と隣接して配置される。かような構成とすることで、黒色である樹脂基材とのコントラストにより、通常でも視認可能な情報をラベルに付与することができる。
白色層は白色系着色剤を有する。白色系着色剤としては、無機系の顔料が好ましく、例えば、亜鉛華、硫化亜鉛、二酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、白雲母等を挙げることができる。中でも、白色性付与の観点からは着色剤は、ルチル型二酸化チタン(白色)であることが好ましい。これらの白色系着色剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、白色系着色剤は、白色層中1~50質量%(固形分換算)であることが好ましく、5~30質量%(固形分換算)であることがより好ましい。
白色層は、白色系着色剤を結合するためのバインダー樹脂を含んでいてもよい。樹脂としては、レーザ加工性の観点から、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、およびアクリル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これらの樹脂の詳細については、上記樹脂基材に述べたものと同様である。なお、樹脂基材に用いられる樹脂と、白色層に用いられる樹脂は同一であっても異なるものであってもよい。
白色層は脆質性を付与するためにフィラーを含有することが好ましい。白色層を脆質とすることで、ラベルを被着体から剥がそうとしたときに、ラベルが破壊され、ラベルが再利用できないようになる。これにより、ラベルの貼り替えや改ざんを防止することができる。なお、ここでいうフィラーとは、着色を目的とした着色剤を含む。フィラーとしては、上記着色剤の欄で記載したものと重複する場合もあるが、溶融シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、アルミナなどが挙げられる。これらのフィラーは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。中でも、脆質性付与の観点から、フィラーが溶融シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよび二酸化チタンから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
フィラーの平均粒径は0.01~20μmであることが好ましく、0.05~10μmであることがより好ましく、0.1~4μmであることがさらに好ましい。ここで、フィラーの「平均粒径」とは、レーザ回析法によって測定される体積基準粒子分布での、累積値50%に相当する中位径(メジアン径)のことを指す。
フィラー(上記白色系着色剤を含む)の含有量は、白色層に対して5~55質量%であることが好ましく、20~30質量%であることがより好ましい。
さらに、白色層には、白色系着色剤および樹脂の他に、添加剤を添加してもよい。添加剤としては、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤などを挙げることができる。
白色層の厚みは、白色層の脆質性および機械的強度を考慮して、50~200μmであることが好ましく、60~100μmであることがより好ましい。
白色層の形成は特に限定されるものではないが、樹脂基材上に白色層を形成する方法;別途支持体フィルム上に白色層を形成した後、樹脂基材と、接着剤層を介して積層させる方法などが挙げられる。
(粘着剤層)
粘着剤層は粘着剤から形成される。
粘着剤層に用いられる粘着剤としては、特に限定されず、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン-ジエンブロック共重合体粘着剤などを用いることができる。上記粘着剤は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
粘着剤としては、接着の信頼性の観点から、特にアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤を構成するアクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより形成される。ここで、主成分とは、単量体中50質量%以上(上限100質量%)であることを指し、好ましくは65質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、粘着性能の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルおよび/または(メタ)アクリル酸ブチルであることが好ましい。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能なアクリル共重合性単量体(以下、単に共重合性単量体とも称する)の例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-(n-プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(n-ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、アクリル酸2-(n-プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(n-ブトキシ)プロピルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体;トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能基の共重合単量体(多官能基モノマー)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能なアクリル共重合性単量体として、後述の架橋剤が有する架橋性反応基と反応する官能基を有する単量体を用いることが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリルイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体を用いることが好ましく、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸を用いることがより好ましい。
共重合性単量体を用いる場合、(メタ)アクリル酸系重合体を構成する単量体成分のうち、共重合性単量体は0.1~35質量%であることが好ましく、1~15質量%であることがより好ましい。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は特に限定されるものではないが、10万~200万であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
粘着剤は、アクリル系ポリマーの他、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。架橋剤の添加量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.005~0.5質量部であることがより好ましい。
粘着剤層には、必要に応じ、着色剤、充填剤、帯電防止剤、タッキファイヤー、濡れ剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤等を適宜添加することができる。
粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、粘着性および薄膜化の観点から、10~100μmの範囲が好ましい。
粘着剤層の形成方法は特に限定されないが、粘着剤を剥離ライナー上に塗布する方法が採られる。塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。粘着剤の塗布厚としては、通常10~100μm、好ましくは15~50μmである。粘着剤を基材上に塗布後、乾燥処理を行うことによって、粘着剤層が形成される。この際の乾燥条件としては特に限定されず、通常60~150℃にて10~60秒の条件で行われる。剥離ライナー上に形成した粘着剤層を、他の積層体と貼り合わせて、ラベルを得ることができる。
(剥離ライナー)
剥離ライナーは、粘着剤層を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。そして、剥離ライナーは、被着体にフィルムを貼付する際に積層体から剥離される。
剥離ライナーとしては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙などの紙が挙げられる。
剥離ライナーの厚みは、通常10~400μm程度である。また、剥離ライナーの表面には、粘着剤層の剥離性を向上させるためのシリコーンなどから構成される剥離剤からなる層が設けられてもよい。かような層が設けられる場合の当該層の厚みは、通常0.01~5μm程度である。
(製造方法)
本発明の第二実施形態は、樹脂基材上に樹脂基材よりも撥水性の高い情報部を形成することを有し、情報部の形成が、下記(1)または(2)のいずれかである、ラベルの製造方法である;
(1)情報部に対応する転写部を有する支持体フィルムを準備し、該支持体フィルムの転写部面上に樹脂材料を製膜することによって、該転写部を樹脂基材に転写する、
(2)樹脂基材上に情報部を印刷する。
上記方法によれば、第一実施形態のラベルを容易に製造することができる。より好適には、情報部に対応する転写部を有する支持体フィルムを準備し、該支持体フィルム上に樹脂材料を製膜することによって、該転写部を樹脂基材に転写する方法である。このような製造方法により、樹脂基材上に情報部を容易に転写することができ、樹脂基材の凹部に情報部を形成することができ、ゆえに形成された情報部の摩耗を抑制することができる。
まず、(1)の製造方法(以下、製造方法(1)とも称する)について説明する。製造方法(1)では、情報部に対応する転写部を有する支持体フィルムを準備する。
支持体フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリプロピレン等の合成樹脂フィルムが挙げられる。支持体フィルムは、これらの合成樹脂フィルム上に、アルキド樹脂、シリコーン等の剥離層を有している形態であってもよい。この場合、剥離層形成面に転写部を形成する。支持体フィルムの厚さは、好ましくは、5~200μm、より好ましくは、15~100μmである。
後に形成される樹脂基材の表面が平滑になりやすいことから、支持体フィルムは平滑であることが好ましい。具体的には、転写部形成面がJIS B 0601:2013で規定される方法に準拠して測定された算術平均粗さ(Ra)が50nm以下(下限:0nm)である支持体フィルムであることが好ましい。なお、算術平均粗さ(Ra)は、具体的には、膜表面の任意の10箇所に対して、それぞれ1μm×1μmの領域内で測定し、その平均値を算出したものである。
支持体上に形成する転写部は、樹脂基材上に形成される情報部に対応するものである。転写は左右反転で行われるため、転写部は情報部の情報、例えば、文字を左右反転したもので形成される。
支持体フィルム上への転写部の形成方法は特に限定するものではないが、簡便に形成することができることから、印刷方式を用いることが好ましい。印刷方法としては、凸版印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等を用いることができる。印刷の際には、例えば、シリコーン含有化合物(紫外線硬化型シリコーン含有化合物の場合は、重合性化合物および光重合開始剤を含む組成物(以下、紫外線硬化型組成物とも称する))およびフッ素含有化合物などの撥水性材料、その他添加剤および場合により溶媒を含むインクを用いて印刷することができる。
インクに用いられうる溶媒としては、シリコーン含有化合物および/またはフッ素含有化合物と相溶性のある有機溶媒を用いることができ、例えば、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、またはフッ化アルコールなどのアルコール類;例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、またはプロピオン酸エチル等のカルボン酸エステル類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、またはジオキサン等のエーテル類などが挙げられる。
インクの粘度は印刷性を考慮して適宜設定することができるが、100mPa・s~20Pa・s程度であることが好ましい。
インクは、公知の慣用方法によって調製することができ、例えば、シリコーン含有化合物(紫外線硬化型シリコーン含有化合物の場合は、紫外線硬化型組成物)およびフッ素含有化合物などの撥水性材料、その他添加剤(樹脂)および溶媒を撹拌下で混合して得ることができる。
紫外線硬化型組成物の場合、紫外線を照射することによって硬化塗膜を形成して、転写部を形成することができる。紫外線照射源としては、例えば、水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライド、LEDなどが挙げられる。また、紫外線の照射量は、塗膜が形成されれば特に限定されないが、通常、10~2000mJ/cm2の範囲である。
インクを支持体フィルム上に印刷した後には、溶媒を除去する条件で乾燥することが好ましい。乾燥条件としては、上記溶媒が除去できる温度であれば特に制限されないが、通常60~120℃程度である。
次いで、転写部を有する支持体フィルムの転写部形成面に樹脂材料を製膜する。樹脂材料は樹脂基材を構成するものであり、樹脂材料の具体的材料としては、上記樹脂基材を構成する樹脂と同様である。
製膜方法としては特に限定されず、塗布、カレンダー法、押出し法、溶媒キャスト法など、いずれの方法を採用してもよいが、溶媒キャスト法を用いることが好ましい。
溶媒キャスト法は、具体的には、樹脂基材を形成するための樹脂材料、およびその他の任意成分(例えば、黒色系着色剤)を溶媒に分散した分散液(以下、樹脂基材形成用分散液とも称する)を調製したのち、この分散液を支持体フィルム上に、所定の乾燥厚さになるように塗工する。当該方法によれば、簡便に均一な塗膜を形成でき、転写部の樹脂基材への転写が行われやすい。なお、「支持体フィルム」は、ラベルの完成後には剥離される。溶媒キャスト法において用いられる溶媒は、樹脂に応じて適宜選択できる。溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステル、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエーテルアルコール、ブチルセロソルブモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート等のエーテルエステル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド等を用いることができる。これらの溶媒は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。溶媒キャスト法における溶媒の使用量は、樹脂材料100質量部に対して、通常100~400質量部、好ましくは150~350質量部である。分散液を支持体フィルム上に、所定の乾燥厚さになるように塗工したのち、次いで、加熱により溶媒を除去して膜を形成する。加熱条件は溶媒が除去される条件であれば特に限定されないが、通常80~180℃程度に加熱・乾燥する。
樹脂材料を支持体フィルム上に塗布する場合や溶媒キャスト法の際に分散液を塗工する際の塗布装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナイフコーター、エアーナイフコーター、コンマコーター、リップコーター、ダイコーター、ドクターブレードコーター、バーコーター、ロールコーター等のコーターが挙げられる。
また、樹脂材料が紫外線硬化型である場合、紫外線を照射することによって硬化塗膜を形成して、樹脂基材を形成することができる。紫外線照射源としては、例えば、水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライド、LEDなどが挙げられる。また、紫外線の照射量は、塗膜が形成されれば特に限定されないが、通常、10~2000mJ/cm2の範囲である。
また、上記では、転写により樹脂基材に情報部を形成する製造方法の一例を説明したが、樹脂基材に直接情報部を印刷してもよい(製造方法(2))。印刷方法としては、凸版反転印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等を用いることができる。印刷の際には、例えば、シリコーン含有化合物およびフッ素含有化合物などの撥水性材料および樹脂を含むインクを用いて印刷することができる。インクの具体的組成等は、支持体フィルム上に転写部を形成する際に用いられるインクと同様であるので、説明は割愛する。
上記のようにして、撥水性の高い情報部を有する樹脂基材を得ることができる。
また、必要により任意の層(白色層、粘着剤層、剥離ライナーなど)を形成して、ラベルを完成後、上記支持体フィルムを剥がすことにより、ラベルを得ることができる。
レーザマーカにより樹脂基材上に情報をさらに印字する場合には、例えば、黒色層である樹脂基材を貫通し、白色層にまで到達する(かつ白色部が貫通しない)条件で、レーザを照射することによって、白色層に白色情報部を形成すればよい(図2B)。さらに、剥離ライナー表面までレーザ照射により抜き加工を行ってもよい。
(視認方法)
第一実施形態のラベルまたは第二実施形態の製造方法により得られるラベルは、樹脂基材および情報部の撥水性の差を利用して情報部の情報を視認可能とするものである。したがって、情報部の視認は、ラベルと、ラベル周囲の環境条件とで決定される。具体的には、ラベルの情報部の視認方法としては、例えば、ラベル表面が雰囲気の露点以下となるような条件とすればよく、例えば、ラベルを高温高湿雰囲気下に置く(例えば、ラベルに対して息を吹きかける);ラベルを冷却後(例えば、0℃以下)、常温下(例えば、20~25℃)に戻すなどの方法が挙げられる。
(用途)
本実施形態のラベルは、例えば、自動車の車両識別番号ラベル、自動車の盗難防止用ラベル、自動車部品、電機・電子部品、精密機械部品などの特徴や取り扱い上の注意点などの表示内容の改ざん防止用ラベルとして用いることができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)、相対湿度50%RHで行われる。
(実施例1)
(1)転写部の形成
(a)インクの調製
紫外線硬化型シリコーンアクリルポリマー(商品名:8SS-723 大成ファインケミカル社製)1質量部、紫外線硬化型アクリルモノマー ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 99質量部、光重合開始剤(商品名:IRGACURE OXE-02 BASF社製) 5質量部およびカーボンブラック(商品名:MA-100 三菱化学社製) 5質量部を混合してインクを得た。
(b)シリコーンを塗布したポリエチレンテレフタレートフィルム(算術平均粗さ30nm、厚さ50μm)上に、上記で作製したインクを用いて、フレキソ印刷により「真正」という文字を厚さ2μmで反転印刷した後、光量400mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させることにより、転写部を有する支持体フィルムを乾燥した。
(2)樹脂基材形成用組成物の調製
UV硬化型アクリル系ポリマー(商品名:8KX-089 大成ファインケミカル社製)100質量部、光重合開始剤(商品名:IRGACURE OXE-02 BASF社製)5質量部およびカーボンブラック(商品名:MA-100 三菱化学社製) 5質量部を混合して樹脂基材形成用組成物を得た。
(3)白色層形成用組成物の調製
UV硬化型アクリル系ポリマー(商品名:8KX-089 大成ファインケミカル社製)100質量部、光重合開始剤(商品名:IRGACURE 819 BASF社製)5質量部および酸化チタン(商品名:CR-Super70 石原産業社製)15質量部を混合して樹脂基材形成用組成物を得た。
(4)積層樹脂基材シートの作製
転写部が形成された支持体フィルム上に、上記(2)で得た樹脂基材形成用組成物をナイフコーターにより塗工し、光量400mJ/cm2の紫外線を照射することにより、厚さ8μmの黒色である樹脂基材を形成した。次いで、上記(3)で得た白色層形成用組成物を、樹脂基材上に塗工し、光量400mJ/cm2の紫外線を照射することにより、厚さ80μmの白色層を形成して、樹脂基材の凹部に情報部が形成されることにより真正と印字された樹脂基材(黒色層)と白色層とからなる厚さ88μmの積層樹脂基材シートを作製した。黒色層表面の光沢度は85%であった。ここで、情報部の接触角は100°であり、樹脂基材の接触角は80°であった。
(4)粘着剤層の作製
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置を用い、ブチルアクリレートモノマー90質量部、アクリル酸モノマー10質量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部を加え、窒素ガス雰囲気下80℃で8時間重合することにより、重量平均分子量80万のアクリル系共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液の固形分100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤[コロネートL、東ソー社製]を固形分で2質量部添加し、さらにトルエンで希釈し、粘着剤溶液を調製した。
剥離ライナーの剥離処理面に、ナイフコーターを用いて前記粘着剤溶液を塗布し、80℃で1分間乾燥することにより、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。
次いで、積層樹脂基材シートの白色層側に、前記の剥離ライナー付き粘着剤層を貼り合わせ、最後に支持体フィルムを剥がすことによりラベルを作製した。
該ラベルは、情報部も樹脂基材も黒であり、情報部が潜像であり、通常では文字が視認されない、または視認しにくいが、ラベル上面より息を吹きかけると、結露によりラベル上の文字が白く浮き上がり、「真正」という文字が視認されるようになった。