JP2003055380A - ポルフィセン金属錯体 - Google Patents
ポルフィセン金属錯体Info
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Abstract
金属錯体を提供する。 【解決手段】 下記の一般式(I)で表されることを特
徴とするポルフィセン金属錯体。但し、式(I)中、M
は2価または3価の金属原子を表し、R1は炭素数1〜
3のアルキル基またはアルケニル基、R2は−(CH2)n
COOH(nは1から3の整数を表す)、R3は炭素数
1〜3のアルキル基またはアルケニル基、R4は炭素数
1〜3のアルキル基もしくはアルケニル基または−(C
H2)nCOOH(nは1から3の整数を表す)を表し、
R2≠R4である。アポミオグロブリンに結合してきわめ
て優れた酸素保持能を有する。 【化1】
Description
野に属し、特に、ポルフィセンの金属錯体に関する。
ヘムタンパク質の構成要素として生体内で重要な作用を
行うとともに、ポルフィリン核に種々の置換基をもつ誘
導体が比較的容易に合成できるので、生化学における反
応過程の追究や有機合成化学の触媒などとして広く利用
されている。最近、このポルフィリンの構造異性体とし
て、ポルフィセンが注目され、ポルフィセン金属錯体の
中心金属がポルフィリン金属錯体に比べ、強いルイス酸
性と反応活性種に対する耐久性を示すことから、良好な
触媒となることなどが報告されている。
究や応用開発は、緒に就いたばかりであり、例えば、こ
れまで報告されているポルフィセンは専ら対称性(D2h
対称性)をもつ構造から成るものである。天然のポルフ
ィリン誘導体に類似の非対称な構造のポルフィセンを得
ることができれば、そのようなポルフィリン誘導体と比
較しながら、これに匹敵しまたはこれを凌駕し得る機能
を有する新しい機能性材料を取得することも期待される
が、そのようなポルフィセン金属錯体は未だ見当たらな
い。
これまで知られていない構造のポルフィセン金属錯体の
合成に成功し、このポルフィセン金属錯体がきわめて特
異な性質を有することを見出した。かくして、本発明
は、下記の一般式(I)で表されるポルフィセン金属錯
体を提供するものである。
金属原子を表し、R1は炭素数1〜3のアルキル基また
はアルケニル基、R2は−(CH2)nCOOH(nは1か
ら3の整数を表す)、R3は炭素数1〜3のアルキル基
またはアルケニル基、R4は炭素数1〜3のアルキル基
もしくはアルケニル基または−(CH2)nCOOH(n
は1から3の整数を表す)を表し、R2≠R4である。
セン金属錯体の特に好ましい1例においては、MがFe
(III)であり、R1とR4が−CH3であり、R2が−CH2CH
2COOHであり、R3が−CH2CH3である。本発明に従え
ば、さらに、上記のようなポルフィセン金属錯体がアポ
ミオグロブリンに結合して構成されている酸素保持剤が
提供される。
明は、親水基(カルボキシアルキル基)と疎水基(アル
キル基、アルケニル基)とが導入され天然のポルフィリ
ンに類似の非対称構造を有する水溶性ポルフィセンを配
位子とする金属錯体を実現したものである。
3価の金属原子の好ましい例としては、Fe(III)、
Co(III)、Zn(II)、Ni(II)等が挙げられ
る。R1、R3およびR4で表されるアルキル基またはア
ルケニル基のうち、特に好ましいのは、メチル基(−C
H3)(本明細書中では−Meで表すことがある)また
はエチル基(−CH2CH3)(本明細書中では−Etと
表すことがある)である。また、R2またはR4で表され
るカルボキシアルキル基(−(CH2)nCOOH)とし
て特に好ましいのは、−CH2COOHまたは−CH2−
CH2COOHである。但し、R2とR4は互いに別異の
官能基である。
金属錯体を構成するポルフィセン誘導体の好ましい例と
して次のものが挙げられる。 R1=−Me,R2=−CH2CH2COOH,R3=−E
t,R4=−Me R1=−Me,R2=−CH2CH2COOH,R3=−M
e,R4=−Me R1=−Me,R2=−CH2CH2COOH,R3=−M
e,R4=−Et R1=−Me,R2=−CH2CH2COOH,R3=−E
t,R4=−Et R1=−Me,R2=−CH2COOH,R3=−Et,R
4=−Me R1=−Me,R2=−CH2COOH,R3=−Me,R
4=−Me R1=−Me,R2=−CH2COOH,R3=−Me,R
4=−Et R1=−Me,R2=−CH2COOH,R3=−Et,R
4=−Et R1=−Me,R2=−CH2COOH,R3=−Me,R
4=−CH2CH2COOH
反応を創意工夫することにより合成されたものである。
図1は本発明の金属錯体の配位子となるポルフィセンの
合成ルートを全体的に概示するものである。(詳細な合
成ルートは図2および図3に沿って後述の実施例に示
す。)
のα位メチル基をカルボキシル基、ヨウ素基へと順次変
換し、ウルマン(Ullmann)カップリングによりビピロ
ールとする。この際、無保護ピロール(後述の実施例で
は化合物7)では活性なプロトンNHが銅触媒の活性を
低下させるので、カップリング反応をスムーズに収率よ
く進行させるために、ピロールのNHをt−ブトキシカ
ルボニル(Boc)基で保護した化合物(後述の実施例
では化合物8)を合成した後、カップリング反応を行う
ことが肝要である。また得られたビピロール(後述の実
施例では化合物9)をさらに収率よく得るために、銅の
活性化、DMFの乾燥を慎重に行わなければならない。
次に、ベンジルオキシカルボニル基をホルミル基に変換
し、3,3’−ジメトキシカルボニルエチルビピロール
(III)(後述の実施例では化合物13)を合成する。
もう片方のビピロール(V)はエチオ型ポルフィセンを
合成する際に用いられるもので、既知のようにピロール
(IV)から誘導することができる(Guilard, R. ; Auka
uloo, M.A. ; Tardieux, C. ; Vogel, E. Synthesis. 1
995, 1480)。
カップリングによりヘテロカップリングさせて(VI)を
得、メチルエステルを加水分解することで(I)を合成
することができる。この際、通常のマクマリーカップリ
ングと同じ濃度で反応を行うと2つ以上のビピロールが
直線的に連結したオリゴマーやポリマーが大量に生成す
るので、1:1の環化カップリング生成物をできるだけ
収率よく得るために、マクマリー触媒を予め用意してお
き、そこへビピロール溶液を非常にゆっくりと高希釈状
態で滴下することが重要である。また、系全体を高希釈
するために、触媒、ビピロールとも大量のTHFに溶解
させるようにする。
して、また、ポルフィリン金属錯体の類縁体ないしは擬
似ヘムとして生化学研究における研究ツール等に利用す
ることができる。さらに、本発明のポルフィセン金属錯
体の特筆すべき性質は、アポミオグロビン(アポタンパ
ク質)のヘムポケットに挿入すると安定なホロタンパク
質を形成し、天然のミオグロビンをしのぐ程度の安定な
酸素保持能を有することである。かくして、本発明のポ
ルフィセン金属錯体は、言わば、人工ミオグロビンない
しはスーパーミオグロビンとして、例えば、酸素の保持
を目的とする人工血液の構成成分としての利用などが期
待される。
にするため実施例を示すが、本発明はこの実施例によっ
て制限されるものではない。実施例1:水溶性ポルフィセン金属錯体の合成 図2および図3に示す合成ルートに従い本発明のポルフ
ィセン金属錯体を以下のように合成した。メチル 4−アセチル−5−オキソ−ヘキサノエート
(4) アセチルアセトン(3) 616.1 ml(6000 mmol)とアクリ
ル酸メチル135.1 ml(1500 mmol)の混合溶液に、炭酸
カリウム103.7 g(750 mmol)を加え、室温で48時間激
しく撹拌した。反応液をセライトを通して吸引濾過、ア
セトンで洗浄した。濾液を減圧留去し、アセトンと過剰
のアセチルアセトンを除去した。残渣を減圧蒸留(1.5
mmHg, 95 ℃)し、黄色液体4を得た。収率249.4 g, 8
9 %。
チル)−3,5−ジメチルピロール−2−カルボキシレート
(5) アセト酢酸ベンジル(1) 180.7 ml(1046 mmol)と氷酢
酸240 mlを混合し、氷浴で5℃に冷却した。10℃以下に
保ちながら、亜硝酸ナトリウム77.4 g(1121 mmol)水
溶液240 mlを3時間かけて滴下しさらに1時間撹拌した。
この反応液を冷蔵庫で終夜静置した。(溶液) メチル 4−アセチル−5−オキソ−ヘキサノエート(4)
111.7 g(600 mmol) と氷酢酸400 mlを混合させ、油浴で65℃に加熱した。65
℃に保ちながら、溶液を2.5時間かけて滴下し同時
に、活性化亜鉛114.0 g(1743 mmol)と無水酢酸ナトリ
ウム114.0 g(1390 mmol)の混合粉末を少しずつ加え
た。さらに1.5時間撹拌した。反応液を2000 mlの氷水に
注ぎ、終夜静置した後、吸引濾過により黄色固体を得
た。これをクロロホルムに溶解させ、水で洗浄、無水硫
酸ナトリウムで乾燥させた。クロロホルムを減圧留去
し、残渣を最少量より多めのトルエンに溶解、再結晶さ
せ、白色結晶5を得た。収率120.3 g, 64 %。
キシカルボニルエチル)−3−メチルピロール−2−カル
ボキシレート(6) ベンジル 4−(2−メトキシカルボニルエチル)−3,5
−ジメチルピロール−2−カルボキシレート (5) 10.5
g(33 mmol)を窒素下で無水ジエチルエーテル367 mlに
溶解させた。氷浴で20 ℃に保ちながら、単蒸留した塩
化スルフリル8.1ml(101 mmol)を1.5時間かけて滴下
し、さらに3時間撹拌した。一晩放置した後、溶媒を減
圧留去し、1,4-ジオキサン50 mlに溶解させた。これに
酢酸ナトリウム三水和物4.7g(35 mmol)水溶液67 mlを
加え、70℃に加熱し、0.5時間撹拌した。ジエチルエー
テル67 mlを加え、分液ロートで水相を除去し、この水
相をジエチルエーテル67 mlで再抽出した。有機相を10
%炭酸ナトリウム水溶液17 ml×4で逆抽出した。水相を
濃塩酸21 mlで徐々に酸性にすると、淡黄色の沈殿が析
出した。この沈殿を濾別し、温水でよく洗浄、減圧乾燥
し6 を得た。収率7.72 g, 67 %。
カルボニルエチル)−3−メチルピロール−2−カルボキ
シレート(7) ベンジル 5−カルボキシ−4−(2−メトキシカルボニ
ルエチル)−3−メチルピロール−2−カルボキシレート
(6) 33.8 g(98 mmol)を水240 mlに懸濁させ、75℃
に加熱した。さらに炭酸水素ナトリウム28.2 g(336 mm
ol)を加え、溶解させた。75℃に保ちながら、よう化カ
リウム34.5 g(208 mmol)とヨウ素26.7 g(105 mmol)
を一緒に溶解させた水溶液200 mlを2時間かけて滴下
し、0.5時間撹拌した。しばらく放冷した後、氷浴で10
℃以下に冷却した。10℃以下に保ちながら、チオ硫酸ナ
トリウム五水和物17.1 g(69 mmol)水溶液50 mlをゆっ
くりと加え、さらに0.5時間撹拌した。沈殿を吸引濾別
し、水と冷ペンタンで洗浄し7 を得た。収率31.7 g, 76
%。
−ジ(2−メトキシカルボニルエチル)−3,3'−ジメチ
ル−5,5'−ビピロール(10) ベンジル 5−イオド−4−(2−メトキシカルボニルエ
チル)−3−メチルピロール−2−カルボキシレート5.3
g (7)(12 mmol)、ジ-tert-ブチルジカルボネート3.3
g(15 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン151 mg(1.2
mmol)をジクロロメタン60 mlに溶解させ、窒素下、室
温で0.5時間撹拌した。反応液をシリカゲル(MERCK C-6
0)を通して吸引濾過、ジクロロメタンで抽出した。濾
液を減圧留去し、減圧下で1日乾燥させ、橙色のオイル8
を得た。活性化銅7.1 g(112 mmol)を加え、化合物8
に加え窒素置換した後に、無水DMF30 mlに溶解させ、室
温で1時間、100 ℃で1時間撹拌した。吸引濾過により銅
を除去し、銅を熱クロロホルム48 mlで洗浄した。クロ
ロホルム72 mlを加え、水144 ml×3、20 %硝酸水溶液72
ml×2、水72 ml×1で洗浄した。有機相を無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、減圧下で1
日乾燥させ、橙色のオイル9を得た。 さらに減圧下で2
時間乾燥させた後、窒素置換した。170℃で0.5時間撹拌
した後、室温まで放冷した。メタノールより再結晶さ
せ、白色固体10を得た。収率2.9 g, 78 %
キシカルボニルエチル)−3,3'−ジメチル−5,5'−ビピ
ロール(11) 2,2'−ジベンジルオキシカルボニル−4,4'−ジ(2−メ
トキシカルボニルエチル)−3,3'−ジメチル−5,5'−ビ
ピロール (10) 159 mg(0.26 mmol)とパラジウム-活性
炭素(Pd 10 %)8.4 mgをフラスコに入れ、窒素置換し
た後、無水THF2 mlと1,4-シクロヘキサジエン1.0 ml(1
1 mmol)を加え、TLC(Merck60 F254,CHCl3)で反応を
追跡した。反応が徐々に進行することを確認しながら、
さらに無水THF 2 ml、1,4-シクロヘキサジエン1.0 ml、
パラジウム-活性炭素35 mgをそれぞれ徐々に添加し、計
1週間室温で撹拌した。TLCで原料の消失を確認した
後、セライトを通して濾過した。セライト上に残ったパ
ラジウム-活性炭素はTHF200 mlに加え、72時間撹拌し、
パラジウム-活性炭素中に吸着した生成物を抽出した
後、既に濾過した濾液と共に、THFを減圧留去、オイル
ポンプで一晩減圧乾燥させ11 を得た。収率100 mg, 90
%。
シカルボニルエチル)−3,3'−ジメチル−5,5'−ビピロ
ール(13) 2,2’−ジカルボキシ−4,4’−ジ(2−メトキシカルボ
ニルエチル)−3,3’−ジメチル−5,5’−ビピロール
(11) 180 mg(0.43 mmol)を昇華器に入れ、減圧下(0.
07 Torr)、210 ℃で2.5時間加熱した。さらに、220 ℃
で0.5時間加熱し、昇華させた。窒素下、昇華生成物を
無水DMF 3 mlに溶解させ、5 ℃以下に保ちながら、オキ
シ塩化リン0.23 ml(2.4 mmo)を加え、0.5時間撹拌し
た。さらに、60 ℃で1時間撹拌した。無水酢酸ナトリウ
ム 2.6 g(31 mmol)水溶液16 mlを加え、85℃で1時間
撹拌した。放冷後、冷凍庫で一晩放置し、茶色の固体13
を得た。収率130 mg, 78 %。
ル)−2,7−ジエチル−3,6,12,17−テトラメチルポルフ
ィセン(14b) 窒素下、活性化亜鉛3.3 g(50 mmol)と塩化銅(I)0.49
g(5 mmol)を無水THF 107 mlに加えた。この懸濁液を0
℃以下に保ちながら、塩化チタン(IV)4.7 g(25mmol)
を2時間かけて加え、さらに、3時間撹拌した。室温まで
放冷し、2,2’−ジホルミル−4,4’−ジ(2−メトキシ
カルボニルエチル)−3,3’−ジメチル−5,5’−ビピロ
ール (13) 160 mg(0.41 mmol)と3,3’−ジエチル−2,
2’−ジホルミル−4,4’−ジメチル−5,5’−ビピロー
ル112 mg(0.41 mmol)を溶解させた無水THF 1214 mlを
8.5時間かけて滴下し、さらに、0.5時間還流した。再
び、0℃以下に冷却し、10 %炭酸ナトリウム水溶液63 m
lを1.5時間かけて滴下した。吸引濾過により、固体を除
去し、塩化メチレンで洗浄した。濾液とこの塩化メチレ
ンを一緒にして水で3回洗浄、無水硫酸マグネシウムで
乾燥させ、溶媒を減圧留去して深緑色の固体を得た。カ
ラムクロマトグラフィー(中性アルミナactivity III、
φ2.7×18 cm、CH2Cl2)により、青色の第一成分を分取
した。この混合物からゲル透過クロマトグラフィー(GP
C)により、第二成分を分取し、目的とする14bを得た。
収率8.5 mg, 3.5 %。
ルエチル)−2,7−ジエチル−3,6,12,17−テトラメチル
ポルフィセナート)Fe(III)(15b) 窒素下、遮光し、13,16−ジ(2−メトキシカルボニルエ
チル)−2,7−ジエチル−3,6,12,17−テトラメチルポル
フィセン (14b) 3.7 mg(0.0063 mmol)、無水塩化鉄(I
II)6.0 mg(0.037 mmol)無水酢酸ナトリウム1.0 mg
(0.012 mmol)を減圧下で1時間乾燥させた。氷酢酸4 m
lに溶解させ、3時間還流させた。室温まで放冷した後、
ジクロロメタン20mlに溶解させ、水50 ml×2で洗浄し、
水相をジクロロメタン20 mlで逆抽出した。有機相を無
水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。カ
ラムクロマトグラフィー(シリカゲル MERCK C-60, φ
1.7×12 cm、CH2Cl2 → 10 %CH3OH/CH2Cl2)により、
緑色の第4成分を分取した。これを2N塩酸52 mlで洗浄
し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去
し、緑色の固体15b をほぼ定量的に得た。
ル)−2,7−ジエチル−3,6,12,17−テトラメチルポルフ
ィセナート)Fe(III)(16b) クロロ(13,16−ジ(2−メトキシカルボニルエチル)−
2,7−ジエチル−3,6,12,17−テトラメチルポルフィセナ
ート)Fe(III) (15b)をメタノール4 mlとTHF 4mlの混合
溶媒に溶解させ、0.2N水酸化カリウム水溶液4 mlを加
え、室温で3時間撹拌した。0.1N塩酸でpH 6まで中和し
た。ジクロロメタン50 mlを加え、水50 ml×2さらに、1
00 mlで洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥さ
せ、溶媒を減圧留去し、深緑色の固体16bをほぼ定量的
に得た。
である。13,16−ジ(2−メトキシカルボニルエチル)−2,7−ジ
エチル−3,6,12,17−テトラメチルポルフィセン (14b) 1 H NMR (500 MHz, CDCl3) :δ(ppm) = 9.54 (d, 2H, J
= 10.0; meso), 9.47(d, 2H, J = 15.0; meso), 4.33
(t, 4H, J = 7.8; CH2 CH2CO) 3.83 (q, 4H, J= 7.5; CH
2 CH3), 3.54 (s, 12H; CH3), 3.42 (s, 6H; OCH3), 2.9
5 (t, 4H, J= 8.0; CH2 CH2 CO), 1.67 (t, 6H, J = 7.5;
CH2 CH3 ) MS (MALDI-TOF) : m/z = 596 (MH+) HRMS(FAB) : m/z = 595.3279 (MH+) UV-vis(CH2Cl2) :λ(nm) = 384 (Soret), 575, 624, 66
3
ルエチル)−2,7−ジエチル−3,6,12,17−テトラメチル
ポルフィセナート)Fe(III) (15b) 1 H NMR (500 MHz, CDCl3) :δ(ppm) = 79.6 (br.s, 6
H; CH3), 57.3(br.s, 2H; CH2 CH2CO), 44.5 (br.s, 2H;
CH2 CH2CO) ,42.1(br.s, 6H; CH3), 36.3 (br.s, 2H; C
H2 CH3), 27.2 (br.s, 2H; CH2 CH3), -12.9 (br.s, 2H;
meso), -13.6(br.s, 2H; meso) MS (ESI-TOF) : m/z = 648 (M+) UV-vis(CH2Cl2) :λ(nm) = 368 (Soret), 621
ル)−2,7−ジエチル−3,6,12,17−テトラメチルポルフ
ィセナート)Fe(III) (16b) MS (ESI-TOF) : m/z = 620 (M+) MS (FAB) : m/z = 620 (M+) UV-vis(CH3OH) : λ(nm) = 372 (Soret), 622
記することがある)をアポミオグロビン(ミオグロビン
からヘムを除いたもの)に結合させることによりポルフ
ィセンミオグロビンの調製を試みた。すなわち、常法に
よって作成したアポミオグロビンをpH 7.0, リン酸緩衝
溶液(100 mM)に溶かした(1.4×10-2 mM,30 mL)。その溶
液に、少量ずつポルフィセン鉄錯体(Pc)の50 %ピリジ
ン水溶液(1.3×10-1 mM, 4.94 mL)を、振とう(30rpm)
しながら2℃で20 min.かけて滴下し、さらに20 min.振と
うした。得られた再構成ミオグロビンの溶液を遠心分離
し(4,000 rpm, 2 ℃, 20 min.)し、その上澄み液を限
外濾過して(amicon regenerated cellulose 10,000 Da)
し、10-1 mM 程度まで濃縮した。この溶液をPharmacia
製Hi-Trap Desalting(G25 Sephadex)カラムを通し、
ピリジンを完全に除去した。このようにして得られた再
構成ミオグロビン(以下、metPcMbと略記することがあ
る)の吸収スペクトルは387(ソーレー(Soret)バン
ド)、564、624 nmに特徴的なピークを示した(図
4)。質量分析(ESI-TOF-MS)ではm/z = 17,567に、Pc
がミオグロビンに取り込まれたホロタンパク質に一致す
るピークを観測した(図5)。これらのことからポルフ
ィセン錯体とアポミオグロビンとが結合して天然のミオ
グロビンに類似のホロタンパク質が形成されたことが確
認された。
後、この還元体(以下、deoxyPcMbと略記することがあ
る)にCOガスを吹き込むと、吸収スペクトルにおいて39
3(Soret)、613 nmにピークを示すCO錯体が形成された。
同様に、deoxyPcMbにO2を吹き込むと、386(Soret)、58
0、620 nmにピークをもつO2錯体oxyPcMbとなり、この酸
素分子との結合は可逆的であることが確認された。この
oxyPcMbからmetPcMbへの自動酸化反応を吸収スペクトル
により追跡した。すなわち、oxyPcMbの溶液をPharmacia
製Hi-Trap Desalting(G25 Sephadex)カラムを通し、
過剰のジチオナイトおよびその分解物を除いた。この溶
液をUVセルの中に入れ、621 nm の酸素錯体の吸収の減
少をモニターし、酸素錯体からメト体への自動酸化速度
を観測した。その反応速度定数はkobs = 2.8 × 10−2h
−1(pH7.0、100mMリン酸緩衝液、37℃)であった。同
じ条件で、天然のミオグロビン(アポミオグロビンに補
欠分子としてプロトポルフィリンIX鉄錯体が結合したも
の)についても同様の測定を行ったところ、kobs = 1.8
× 10−1h−1であった。このように、oxyPcMb、すなわ
ち、本発明に従うポルフィセン鉄錯体とアポミオグロビ
ンとが結合して得られる擬似ミオグロビンの酸化体の自
動酸化速度は、天然のミオグロビンのそれと比較すると
6.4倍も遅く、本発明のポルフィセン金属錯体はアポミ
オグロビンと結合して、天然のミオグロビンを上回る安
定な酸素保持物質として機能することがわかる。
属錯体を提供する。本発明のポルフィセン金属錯体は、
例えば、アポミオグロビンと結合することにより、天然
のミオグロビンを凌駕する酸素保持能を有する安定な酸
素保持剤としての利用が期待される。
の合成ルートを全体的に概示するものである。
合成ルートの詳細を示すものであり、特に、一方のビピ
ロールが合成される工程を示す。
合成ルートを示すものであり、特に、2種のビピロール
をヘテロカップリングさせる工程を示す。
とから構成されるホロタンパク質の吸収スペクトルを示
す。
ンとから構成されるホロタンパク質の質量分析スペクト
ルを示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記の一般式(I)で表されることを特
徴とするポルフィセン金属錯体。 【化1】 〔但し、式(I)中、Mは2価または3価の金属原子を
表し、R1は炭素数1〜3のアルキル基またはアルケニ
ル基、R2は−(CH2)nCOOH(nは1から3の整数
を表す)、R3は炭素数1〜3のアルキル基またはアル
ケニル基、R4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはア
ルケニル基または−(CH2)nCOOH(nは1から3
の整数を表す)を表し、R2≠R4である。〕 - 【請求項2】 MがFe(III)であり、R1とR4が−C
H3であり、R2が−CH2CH2COOHであり、R3が−CH2C
H3であることを特徴とする請求項1のポルフィセン金属
錯体。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2のポルフィセン
金属錯体がアポミオグロブリンに結合して構成されてい
ることを特徴とする酸素保持剤。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007290982A (ja) * | 2006-04-21 | 2007-11-08 | Chiba Univ | 人工血液 |
WO2008111501A1 (ja) * | 2007-03-09 | 2008-09-18 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | ポルフィセン-シリカハイブリッド化合物 |
-
2001
- 2001-08-10 JP JP2001243968A patent/JP4210445B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2008111501A1 (ja) * | 2007-03-09 | 2008-09-18 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | ポルフィセン-シリカハイブリッド化合物 |
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