JP2003054358A - 乗員保護装置の起動制御装置 - Google Patents

乗員保護装置の起動制御装置

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JP2003054358A
JP2003054358A JP2001242552A JP2001242552A JP2003054358A JP 2003054358 A JP2003054358 A JP 2003054358A JP 2001242552 A JP2001242552 A JP 2001242552A JP 2001242552 A JP2001242552 A JP 2001242552A JP 2003054358 A JP2003054358 A JP 2003054358A
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Yujiro Miyata
裕次郎 宮田
Noribumi Iyoda
紀文 伊豫田
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、乗員保護装置の起動制御装置に関
し、車体前部の左右に配設された第1及び第2のセンサ
による減速度波形に位相ずれが生ずる場合にも、乗員保
護装置の起動出力を適正に設定することを目的とする。 【解決手段】 車両10の車体左前部にフロントセンサ
16を、また、車体右前部にフロントセンサ18をそれ
ぞれ配設する。フロントセンサ16,18は、それぞれ
車両前後方向に作用する減速度に応じた信号を出力す
る。ECU12にフロントセンサ16による減速度とフ
ロントセンサ18による減速度との平均値を演算させ
る。そして、その平均減速度をしきい値と比較し、その
結果、平均減速度がしきい値を超えない場合には、エア
バッグ装置30が起動される際の起動出力をロー出力に
設定し、一方、平均減速度がしきい値を超える場合に
は、起動出力をハイ出力に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗員保護装置の起
動制御装置に係り、特に、車両に搭載され、衝突時に乗
員を保護するために起動し得る乗員保護装置の起動を制
御するうえで好適な乗員保護装置の起動制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特許番号第28771
45号公報に開示される如く、車両に搭乗する乗員を衝
突時に保護すべく乗員保護装置が起動される際の起動出
力を適宜変更する装置が知られている。この装置は、車
体前部の左右に配設されたフロントセンサを用いて車両
前後方向に加わる減速度を検出し、その検出した減速度
と予め定められたしきい値とを比較した結果に基づいて
乗員保護装置の起動出力を高出力と低出力とで変更す
る。従って、上記従来の装置によれば、車両に加わる衝
撃に対して乗員が効果的に保護されるように乗員保護装
置を起動させることが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば車両
が中速度で障害物に正突する場合は、乗員を効果的に保
護するために乗員保護装置を高出力で起動させる必要が
ある。従って、乗員保護装置の起動出力を高出力と低出
力とで変更する手法としては、車体左前部に配設された
フロントセンサの出力信号に基づいて検出される車両前
後方向の減速度がしきい値を超え、かつ、車体右前部に
配設されたフロントセンサの出力信号に基づいて検出さ
れる減速度がしきい値を超える状況が形成される場合に
は起動出力を高出力とすることが考えられる。
【0004】しかしながら、車両は左右のバランスが完
全に確保されている訳ではないため、車両が正突した場
合でも、一方のフロントセンサの出力信号に基づいて検
出される車両前後方向の減速度波形と、他方のフロント
センサの出力信号に基づいて検出される車両前後方向の
減速度波形とに位相差が生ずることがある。減速度波形
に位相ずれが生ずると、一方の減速度がしきい値を超え
る時期と、他方の減速度がしきい値を超える時期とにず
れが生ずるため、一方の減速度がしきい値を超え、か
つ、他方の減速度がしきい値を超える状況が生じないお
それがある。従って、上記した手法では、車両が中速度
で障害物に正突した際に、乗員保護装置の起動出力を高
出力にする必要があるにもかかわらず高出力にすること
ができない事態が生じてしまう。この点、乗員保護装置
の起動出力を設定する手法として、車体前部の左右に配
設された2つのフロントセンサの出力信号に基づいて検
出される車両前後方向の減速度が同時にしきい値を超え
る状況が形成されるか否かに基づいて行うことは適切で
はない。
【0005】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、車体前部の左右に配設されたフロントセンサに
よる減速度波形に位相ずれが生ずる場合にも、乗員保護
装置の起動出力を適正に設定することが可能な乗員保護
装置の起動制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、車両に搭載された乗員保護装置が起動
される際の起動出力を制御する起動制御装置であって、
車体左前部および右前部に配設され、車両に作用する減
速度に応じた信号をそれぞれ出力する第1及び第2のセ
ンサと、前記第1のセンサの出力信号に基づいて得られ
た前記減速度と、前記第2のセンサの出力信号に基づい
て得られた前記減速度とを合算して所定の演算を行う減
速度演算手段と、前記減速度演算手段の演算結果に基づ
いて前記乗員保護装置の起動出力を制御する起動出力制
御手段と、を備える乗員保護装置の起動制御装置により
達成される。
【0007】請求項1記載の発明において、車体左前部
又は右前部に配設された第1のセンサの出力信号に基づ
いて得られた減速度と、車体右前部又は左前部に配設さ
れた第2のセンサの出力信号に基づいて得られた減速度
とが合算されて所定の演算が行われる。そして、その演
算結果に基づいて乗員保護装置の起動出力が制御され
る。かかる構成においては、第1のセンサによる減速度
波形と第2のセンサによる減速度波形とに僅かな位相ず
れが生じても、減速度の合算値にある程度大きな値が現
れ得るので、乗員保護装置の起動出力を高出力にする必
要がある状況下において減速度波形の位相差に起因して
起動出力を高出力にすることができない事態は回避され
る。このため、本発明によれば、2つのセンサによる減
速度波形に位相ずれが生ずる場合にも、乗員保護装置の
起動出力を適正に設定することができる。
【0008】この場合、請求項2に記載する如く、請求
項1記載の乗員保護装置の起動制御装置において、前記
減速度演算手段は、前記第1のセンサの出力信号に基づ
いて得られた前記減速度と、前記第2のセンサの出力信
号に基づいて得られた前記減速度との平均値を演算する
と共に、前記起動出力制御手段は、前記減速度演算手段
により演算された前記平均値に基づいて前記乗員保護装
置の起動出力を制御することとしてもよい。
【0009】また、請求項3に記載する如く、請求項2
記載の乗員保護装置の起動制御装置において、前記起動
出力制御手段は、前記減速度演算手段により演算された
前記平均値が所定のしきい値を超えた場合は、該所定の
しきい値を超えない場合に比して前記乗員保護装置の起
動出力を高くすることとしてもよい。
【0010】また、請求項4に記載する如く、請求項2
記載の乗員保護装置の起動制御装置において、車体内に
おいて前記第1及び第2のセンサの配設位置よりも後方
に配設され、車両に作用する減速度に応じた信号を出力
する第3のセンサを備え、前記起動出力制御手段は、前
記減速度演算手段により演算された前記平均値と、前記
第3のセンサの出力信号に基づいて得られた前記減速度
の積分値とで定まる時間波形が所定の領域内に入る場合
は、該所定の領域内に入らない場合に比して前記乗員保
護装置の起動出力を高くすることとしてもよい。
【0011】更に、請求項5に記載する如く、請求項1
乃至4の何れか一項記載の乗員保護装置の起動制御装置
において、前記乗員保護装置の起動出力は、少なくとも
ロー出力とハイ出力との2段階に制御されることとすれ
ば十分である。
【0012】また、請求項6に記載する如く、車両に搭
載された乗員保護装置を起動させるか否かを判別する起
動制御装置であって、車体左前部および右前部に配設さ
れ、車両に作用する減速度に応じた信号をそれぞれ出力
する第1及び第2のセンサと、前記第1のセンサの出力
信号に基づいて得られた前記減速度と、前記第2のセン
サの出力信号に基づいて得られた前記減速度とを合算し
て所定の演算を行う減速度演算手段と、前記減速度演算
手段の演算結果に基づいて前記乗員保護装置を起動させ
るか否かを判別する起動判別手段と、を備える乗員保護
装置の起動制御装置は、乗員を保護すべく乗員保護装置
を適正に起動させるうえで有効である。
【0013】請求項6記載の発明において、車体左前部
又は右前部に配設された第1のセンサの出力信号に基づ
いて得られた減速度と、車体右前部又は左前部に配設さ
れた第2のセンサの出力信号に基づいて得られた減速度
とが合算されて所定の演算が行われる。そして、その演
算結果に基づいて乗員保護装置を起動させるか否かが判
別される。車両に加わる衝撃が大きい場合には、両セン
サによる減速度の合算値にもある程度大きな値が現れ
る。従って、本発明によれば、乗員保護装置を乗員を保
護すべく適正に起動させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施例であ
る乗員保護装置の起動制御装置のシステム構成図を示
す。本実施例のシステムは、車両10に搭載される電子
制御ユニット(以下、ECUと称す)12を備えてお
り、ECU12により制御される。また、本実施例のシ
ステムは、車体中央部のフロアトンネル近傍に配設され
たフロアセンサ14、及び、車体左前部および右前部の
サイドメンバに配設された2つのフロントセンサ16,
18を備えている。フロアセンサ14及びフロントセン
サ16,18は、それぞれ、各配設部位に車両前後方向
に作用する衝撃の大きさ(具体的には、車両前後方向の
減速度の大きさ)に応じた信号を出力する電子式の減速
度センサである。
【0015】ECU12は、入出力回路(I/O)2
0、中央処理装置(以下、CPUと称す)22、処理プ
ログラムや演算に必要なデーブルが予め格納されている
リード・オンリ・メモリ(以下、ROMと称す)24、
作業領域として使用されるランダム・アクセス・メモリ
(以下、RAMと称す)26、及び、それらの各要素を
接続する双方向のバス28により構成されている。
【0016】上記したフロアセンサ14及びフロントセ
ンサ16,18は、ECU12の入出力回路20に接続
されている。フロアセンサ14の出力信号、及び、フロ
ントセンサ16,18の出力信号は、それぞれ入出力回
路20に供給され、CPU22の指示に従って適宜RA
M26に格納される。ECU12は、フロアセンサ14
の出力信号に基づいて車体中央部に前後方向に作用する
減速度の大きさGFを検出すると共に、フロントセンサ
16,18の出力信号に基づいて車両の車体左前部及び
車体右前部にそれぞれ車両前後方向に作用する減速度の
大きさGSL,G SRを検出する。
【0017】本実施例のシステムは、また、車両10に
搭載され、乗員が保護されるように作動するエアバッグ
装置30を備えている。エアバッグ装置30は、駆動回
路32、インフレータ34a,34b、及びエアバッグ
36を有している。インフレータ34a,34bは、駆
動回路32に接続する点火装置38a,38bと、点火
装置38a,38bの発熱により多量のガスを発生する
ガス発生剤(図示せず)とを内蔵している。インフレー
タ34a,34bは、点火装置38a,38bが駆動回
路32からの指令により発熱しガスが発生することによ
りエアバッグ36を膨張展開させる。尚、本実施例にお
いて、エアバッグ36は、インフレータ34a,34b
内の点火装置38a,38bが同時に発熱した場合は高
圧で膨張展開し、点火装置38a,38bがある程度の
時間差を設けて発熱した場合は低圧で膨張展開する。エ
アバッグ36は、膨張展開した際に車両10の乗員と車
載部品との間に介在するように配置されている。
【0018】エアバッグ装置30の駆動回路32は、E
CU12の入出力回路20に接続されている。エアバッ
グ装置30は、駆動回路32に入出力回路20から駆動
信号が供給された場合に点火装置38a,38bが適宜
発熱することにより起動し、エアバッグ36を展開させ
る。ECU12のCPU22は、起動判別部40を備え
ている。CPU22の起動判別部40は、ROM24に
格納されている処理プログラムに従って、フロアセンサ
14の出力信号を用いて検出された減速度GFに基づい
て後述の如く所定のパラメータを演算し、その演算され
たパラメータが所定のしきい値を超えているか否かを判
別すると共に、その判別結果に基づいて入出力回路20
からエアバッグ装置30の駆動回路32へのエアバッグ
36を膨張展開させるための駆動信号の供給を制御す
る。
【0019】また、CPU22は、起動出力制御部44
を備えている。起動出力制御部44は、ROM24に格
納されている処理プログラムに従って、フロントセンサ
16,18の出力信号を用いて検出された減速度GSL
SRに基づいて後述の如く所定のパラメータを演算し、
その演算されたパラメータが所定のしきい値を超えてい
るか否かを判別する。起動出力制御部44は、上記の判
別結果に基づいて、エアバッグ36が膨張展開される際
の起動出力の大きさをハイ出力とロー出力の2段階に制
御する。
【0020】次に、本実施例のCPU22において行わ
れる処理の内容について説明する。図2は、本実施例に
おいてエアバッグ装置30を起動させるか否かを判別す
る手法を説明するための図を示す。
【0021】本実施例において、起動判別部40は、フ
ロアセンサ14の出力信号に基づいて検出された減速度
Fについて時間積分を施して単位時間当たりの速度変
化Vnを求める。走行中の車両10に減速度GFが加わる
場合は、車内の物体(例えば乗員)は慣性力により車両
10に対して前方へ加速するため、車内の物体の車両1
0に対する相対的な単位時間当たりの速度変化Vnは、
減速度GFを時間積分することにより求めることができ
る。尚、図2には、ある状況下で車両10が衝突した後
の減速度GFと速度Vnとの時間変化が実線で示されてい
る。
【0022】起動判別部40は、減速度GFおよび速度
Vnを求める毎に、両者の関係から定まる値が、判定マ
ップとして機能するしきい値の変化パターン(図2に破
線で示す;以下、起動用しきい値変化パターンと称す)
によって分けられたON領域とOFF領域の何れの領域
に属するか否かを判別する。尚、この起動用しきい値変
化パターンは、車両10に衝撃が加わった際にエアバッ
グ装置30を起動させる必要がある場合とその必要がな
い場合との境界に設定されている。
【0023】そして、起動判別部40は、減速度GF
速度Vnとの関係から定まる値が判定マップのOFF領
域に属する場合は、入出力回路20からエアバッグ装置
30の駆動回路32への駆動信号の供給を行わず、一
方、上記した値が図2に示す如くON領域に属する場合
は、エアバッグ36を膨張展開させるべく入出力回路2
0からエアバッグ装置30の駆動回路32へ駆動信号を
供給する。駆動回路32へ駆動信号が供給されると、エ
アバッグ装置30が起動することによりエアバッグ36
が展開される。
【0024】ところで、車両10が障害物に正突するこ
とにより車体前部の左右に共にある程度大きな衝撃が加
わる場合には、乗員が車両内において位置する車体中央
部に大きな衝撃が加わる可能性が高いので、乗員を効果
的に保護すべく、エアバッグ装置30を起動する際の出
力(以下、起動出力と称す)を通常時よりもハイ出力に
すること、すなわち、エアバッグ36を膨張展開する際
の膨張圧力を通常時よりも高圧にすることが適切であ
る。従って、起動出力制御部44においてエアバッグ装
置30の起動出力の大きさをハイ出力とロー出力の2段
階に制御する手法としては、車体左前部に配設されたフ
ロントセンサ16の出力信号に基づく減速度GSLが所定
のしきい値を超え、かつ、車体右前部に配設されたフロ
ントセンサ18の出力信号に基づく減速度GSRが所定の
しきい値を超える状況が形成されるか否かに基づいて、
すなわち、減速度GSL,GSRが同時に所定のしきい値を
超える時期があるか否かに基づいて行うことが考えられ
る。
【0025】しかしながら、バッテリの搭載位置等によ
り車体剛性が異なり、また、フロントセンサ16,18
の感度が異なること等に起因して、車両10が障害物に
正突した場合でも、フロントセンサ16の出力信号に基
づく減速度波形と、フロントセンサ18の出力信号に基
づく減速度波形とに位相差が生ずることがある。このた
め、車両に大きな衝撃が加わっているにもかかわらず、
減速度GSLが所定のしきい値を超える時期と、減速度G
SRが所定のしきい値を超える時期とが一部も重複しない
事態が生ずることがある。かかる事態が生ずる場合に上
記の手法によりエアバッグ装置30の起動出力の大きさ
を制御するものとすると、起動出力をハイ出力にする必
要があるにもかかわらずロー出力が設定されてしまい、
その結果、エアバッグ36を高圧で膨張展開させること
ができなくなってしまう。従って、起動出力制御部44
においてエアバッグ装置30の起動出力の大きさを制御
する手法として、上述した手法を用いることは適切では
ない。
【0026】そこで、本実施例のシステムは、2つのフ
ロントセンサ16,18による減速度波形に位相ずれが
生ずる場合にも、エアバッグ装置30の起動出力を適正
に制御し得る点に特徴を有している。以下、図3及び図
4を参照して、本実施例の特徴部について説明する。
【0027】すなわち、本実施例において、起動出力制
御部44は、フロントセンサ16の出力信号に基づいて
検出された減速度GSLと、フロントセンサ18の出力信
号に基づいて検出された減速度GSRとの平均値GS(=
(GSL+GSR)/2)を求め、そして、その平均減速度
Sを所定のしきい値G0と大小比較する。尚、所定のし
きい値G0は、エアバッグ装置30が起動される際の起
動出力を高出力にすべき平均減速度GSと、低出力で足
りる平均減速度GSとの境界に設定されている。
【0028】図3は、本実施例においてエアバッグ装置
30の起動出力を設定する手法を説明するための図を示
す。尚、図3においては、エアバッグ装置30の起動出
力をハイ出力にする必要がある車両10が中速度(例え
ば時速40km/h)で正突した場合の平均減速度GS
の時間波形が実線で、エアバッグ装置30の起動出力を
ロー出力にする必要がある車両10が低速度(例えば時
速26km/h)で正突した場合の平均減速度GSの時
間波形が一点鎖線で、それぞれ示されていると共に、エ
アバッグ装置30の起動出力の大きさを判別するための
しきい値G0が破線で示されている。
【0029】起動出力制御部44は、図3に一点鎖線で
示す如くフロントセンサ16の出力信号およびフロント
センサ18の出力信号に基づいて同時刻に検出された減
速度GSL,GSRの平均値GSがしきい値G0を超えない場
合には、エアバッグ装置30の起動出力をロー出力に設
定し、一方、図3に実線で示す如く平均減速度GSがし
きい値G0を超える場合は、エアバッグ装置30の起動
出力をハイ出力に設定する。
【0030】このようにエアバッグ装置30の起動出力
の大きさを制御するうえで同時刻における減速度GSL
SRの平均値GSを用いる構成においては、エアバッグ
装置30の起動出力をハイ出力にする必要がある中速度
以上で車両が正突した際に、フロントセンサ16による
減速度波形とフロントセンサ18による減速度波形とに
僅かな位相ずれが生じても、平均減速度GSにはある程
度大きな減速度が現れる。従って、本実施例の如く、減
速度GSL,GSRの平均値GSに基づいてエアバッグ装置
30の起動出力の大きさを制御することとすれば、エア
バッグ装置30の起動出力をハイ出力にする必要がある
状況下において、2つのフロントセンサ16,18によ
る減速度波形同士の位相差に起因して起動出力をハイ出
力とすることができない事態は回避される。
【0031】このため、本実施例の乗員保護装置の起動
制御装置によれば、2つのフロントセンサ16,18に
よる減速度波形に位相ずれが生ずる場合にも、エアバッ
グ装置30の起動出力を適正に設定することができ、そ
の結果、エアバッグ装置の起動時にエアバッグ36を適
切な圧力で膨張展開させることができ、車両乗員を効果
的に保護することが可能となる。
【0032】図4は、エアバッグ装置30の起動出力を
設定すべく、本実施例においてECU12が実行する制
御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図4に示す
ルーチンは、所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチ
ンである。図4に示すルーチンが起動されると、まずス
テップ100の処理が実行される。
【0033】ステップ100では、フロントセンサ1
6,18の出力信号に基づいて、車体左前部および右前
部に車両前後方向に作用する減速度GSL,GSRが検出さ
れる。ステップ102では、上記ステップ100で検出
された減速度GSL,GSRの平均値GSを演算する処理が
実行される(GS=(GSL+GSR)/2)。
【0034】ステップ104では、上記ステップ102
で演算された平均減速度GSが所定のしきい値G0を超え
ているか否かが判別される。尚、所定のしきい値G
0は、エアバッグ装置30が起動される際に起動出力を
高出力にすべき平均減速度GSと低出力で足りる平均減
速度GSとの境界値であり、例えば図3に示す如く21
0m/s2に設定されている。その結果、GS>G0が成
立しないと判別された場合は、次にステップ106の処
理が実行される。一方、GS>G0が成立すると判別され
た場合は、次にステップ108の処理が実行される。
【0035】ステップ106では、エアバッグ装置30
が起動される際の起動出力をロー出力に設定する処理が
実行される。本ステップ106の処理が実行されると、
以後、エアバッグ装置30が起動される際に、入出力回
路20から駆動回路32へ点火装置38a,38bが時
間差を設けて発熱するように指令信号が供給される。こ
の場合には、エアバッグ装置30の起動時にエアバッグ
36が比較的低圧で膨張展開される。
【0036】一方、ステップ108では、エアバッグ装
置30が起動される際の起動出力をハイ出力に設定する
処理が実行される。本ステップ108の処理が実行され
ると、以後、エアバッグ装置30が起動される際に、入
出力回路20から駆動回路32へ点火装置38a,38
bが同時に発熱するように指令信号が供給される。この
場合には、エアバッグ装置30の起動時にエアバッグ3
6が比較的高圧で膨張展開される。上記ステップ106
又は108の処理が終了すると、今回のルーチンは終了
される。
【0037】上記図4に示すルーチンによれば、車体左
前部に配設されたフロントセンサ16による減速度GSL
と、車体右前部に配設されたフロントセンサ18による
減速度GSRとの平均値GSが所定のしきい値を超える場
合に、エアバッグ装置30が起動される際の起動出力を
ハイ出力に設定することができる。減速度GSL,GSR
平均値GSを用いて起動出力の大きさを制御する構成に
おいては、各フロントセンサ16,18による減速度波
形同士に僅かな位相差が生じても、その平均値GSにあ
る程度大きな減速度が現れる。この場合には、エアバッ
グ装置30の起動出力をハイ出力にする必要がある状況
下において、2つのフロントセンサ16,18による減
速度波形同士の位相ずれに起因して起動出力をハイ出力
にすることができない事態は回避される。
【0038】このため、本実施例によれば、2つのフロ
ントセンサ16,18による減速度波形同士に位相ずれ
が生ずる場合にも、エアバッグ装置30の起動出力を適
正に設定することができる。従って、車両が中速度以上
で正突した状況下において、2つのフロントセンサ1
6,18による減速度波形に位相ずれが生じても、エア
バッグ36の膨張展開を適切な圧力で行うことができる
ので、車両乗員を効果的に保護することが可能となって
いる。
【0039】尚、上記の第1実施例においては、エアバ
ッグ装置30が特許請求の範囲に記載した「乗員保護装
置」に、フロントセンサ16,18が特許請求の範囲に
記載した「第1及び第2のセンサ」に、しきい値G0
特許請求の範囲に記載した「所定のしきい値」に、それ
ぞれ相当している。また、ECU12が、上記図4に示
すルーチン中ステップ102の処理を実行することによ
り特許請求の範囲に記載した「減速度演算手段」が、上
記ステップ104〜108の処理を実行することにより
特許請求の範囲に記載した「起動出力制御手段」が、そ
れぞれ実現されている。
【0040】次に、上記図1と共に、図5及び図6を参
照して、本発明の第2実施例について説明する。
【0041】上記した第1実施例では、エアバッグ装置
30の起動出力の大きさを制御するうえで、2つのフロ
ントセンサ16,18による減速度GSL,GSRの平均値
Sを単に所定のしきい値G0と比較することとしてい
る。これに対して、本実施例においては、2つのフロン
トセンサ16,18による減速度GSL,GSRの平均値G
Sと、フロアセンサ14による減速度GFについて時間積
分して得られた単位時間あたりの速度変化Vnとの関係
から定まる値が判定マップの何れの領域に属するのかを
判別することにより、エアバッグ装置30の起動出力の
大きさを制御する。
【0042】図5は、本実施例においてエアバッグ装置
30の起動出力を設定する手法を説明するための図を示
す。尚、図5においては、エアバッグ装置30の起動出
力をハイ出力にする必要がある車両10が中速度で正突
した場合の平均速度GSと速度Vnとの時間波形が実線
で、エアバッグ装置30の起動出力をロー出力にする必
要がある車両10が低速度で正突した場合の平均速度G
Sと速度Vnとの時間波形が一点鎖線で、それぞれ示され
ていると共に、エアバッグ装置30の起動出力の大きさ
を判別するための判定マップとしてのしきい値の変化パ
ターン(以下、出力用しきい値変化パターンと称す)が
破線で示されている。
【0043】出力用しきい値変化パターンは、エアバッ
グ装置30を起動させる際にエアバッグ36を高圧で展
開させる必要がある場合とその必要がない場合との境界
に設定されている。尚、車体中央部に大きな速度変化が
生じていない場合は、車両10は障害物に衝突していな
いと判断できるので、エアバッグ装置30を高出力で起
動させる必要はない。また、車両10が障害物に衝突し
てからある程度長時間が経過した後(すなわち、衝突後
期)に車体前部に大きな減速度が生じた状況下において
は、乗員には既にある程度大きな衝撃が加わっているの
で、エアバッグ装置30を高出力で起動させることは適
切でない。そこで、出力用しきい値変化パターンは、車
体中央部における速度変化Vnが車両10が衝突してい
ると判断できる程度の第1の値(図5においてV10)よ
りも小さい場合、および、第1の値よりも大きい衝突後
期と判断できる第2の値(図5においてV11)よりも大
きい場合はエアバッグ装置30の起動出力がロー出力と
なるように設定される。
【0044】本実施例において、起動出力制御部44
は、フロントセンサ16の出力信号およびフロントセン
サ18の出力信号に基づいて同時刻に検出された減速度
SL,GSRの平均値GSと、その時刻におけるフロアセ
ンサ14の出力信号に基づく単位時間あたりの速度変化
Vnとの関係から定まる値が、図5に示す出力用しきい
値変化パターンによって分けられたハイ領域とロー領域
との何れの領域に属するか否かを判別する。そして、平
均減速度GSと速度変化Vnとの関係から定まる値が判定
マップのロー領域に属する場合はエアバッグ装置30の
起動出力をロー出力に設定し、一方、判定マップのハイ
領域に属する場合はエアバッグ装置30の起動出力をハ
イ出力に設定する。
【0045】かかる構成においても、上記した第1実施
例の場合と同様に、エアバッグ装置30の起動出力をハ
イ出力にする必要がある中速度以上で車両が正突した際
に、フロントセンサ16による減速度波形とフロントセ
ンサ18による減速度波形とに僅かな位相ずれが生じて
も、平均減速度GSにはある程度大きな減速度が現れ
る。従って、本実施例の如く、減速度GSL,GSRの平均
値GSに基づいてエアバッグ装置30の起動出力の大き
さを制御することとしても、エアバッグ装置30の起動
出力をハイ出力にする必要がある状況下において、2つ
のフロントセンサ16,18による減速度波形同士の位
相差に起因して起動出力をハイ出力とすることができな
い事態は回避される。このため、本実施例の乗員保護装
置の起動制御装置によれば、2つのフロントセンサ1
6,18による減速度波形に位相ずれが生ずる場合に
も、エアバッグ装置30の起動出力を適正に設定するこ
とができ、その結果、エアバッグ装置の起動時にエアバ
ッグ36を適切な圧力で膨張展開させることができ、車
両乗員を効果的に保護することが可能となる。
【0046】図6は、エアバッグ装置30の起動出力を
設定すべく、本実施例においてECU12が実行する制
御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図6に示す
ルーチンは、所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチ
ンである。図6に示すルーチンが起動されると、まずス
テップ120の処理が実行される。
【0047】ステップ120では、フロントセンサ1
6,18の出力信号に基づいて、車体左前部および右前
部に車両前後方向に作用する減速度GSL,GSRが検出さ
れると共に、フロアセンサ14の出力信号に基づいて、
車体中央部に車両前後方向に作用する減速度GFが検出
される。
【0048】ステップ122では、上記ステップ100
で検出された減速度GSL,GSRの平均値GSを演算する
処理が実行される(GS=(GSL+GSR)/2)。ま
た、ステップ124では、上記ステップ120で検出さ
れた減速度GFについて時間積分することにより単位時
間当たりの速度変化Vnを演算する処理が実行される。
【0049】ステップ126では、図5に示すマップを
参照することにより、上記ステップ122で演算された
平均減速度GSと、ステップ124で演算された速度Vn
との関係から定まる値が判定マップ上においてハイ領域
に属するか否かが判別される。その結果、否定判定がな
された場合は、次にステップ128の処理が実行され
る。一方、肯定判定がなされた場合は、次にステップ1
30の処理が実行される。
【0050】ステップ128では、エアバッグ装置30
が起動される際の起動出力をロー出力に設定する処理が
実行される。本ステップ128の処理が実行されると、
上記ステップ106と同様に、以後、エアバッグ装置3
0が起動される際に、入出力回路20から駆動回路32
へ点火装置38a,38bが時間差を設けて発熱するよ
うに指令信号が供給され、エアバッグ36が比較的低圧
で膨張展開される。
【0051】ステップ130では、エアバッグ装置30
が起動される際の起動出力をハイ出力に設定する処理が
実行される。本ステップ108の処理が実行されると、
上記ステップ108と同様に、以後、エアバッグ装置3
0が起動される際に、入出力回路20から駆動回路32
へ点火装置38a,38bが同時に発熱するように指令
信号が供給され、エアバッグ36が比較的高圧で膨張展
開される。上記ステップ128又は130の処理が終了
すると、今回のルーチンは終了される。
【0052】上記図6に示すルーチンによれば、車体左
前部および右前部に配設されたフロントセンサ16,1
8による減速度GSL,GSRの平均値GSと、車体中央部
に配設されたフロアセンサ14による減速度GFについ
ての時間積分である速度変化Vnとにより定まる値が判
定マップ上においてハイ領域に属する場合に、エアバッ
グ装置30が起動される際の起動出力をハイ領域に設定
することができる。減速度GSL,GSRの平均値GSを用
いて起動出力の大きさを制御する構成においては、各フ
ロントセンサ16,18による減速度波形同士に僅かな
位相差が生じても、その平均値GSにある程度大きな減
速度が現れる。この場合には、エアバッグ装置30の起
動出力をハイ出力にする必要がある状況下において、2
つのフロントセンサ16,18による減速度波形同士の
位相ずれに起因して起動出力をハイ出力にすることがで
きない事態は回避される。
【0053】このため、本実施例においても、2つのフ
ロントセンサ16,18による減速度波形同士に位相ず
れが生ずる場合にも、エアバッグ装置30の起動出力を
適正に設定することができ、従って、車両が中速度以上
で正突した状況下において、エアバッグ36の膨張展開
を適切な圧力で行うことができるので、車両乗員を効果
的に保護することが可能となっている。
【0054】また、本実施例においては、上述の如く、
2つのフロントセンサ16,18による減速度GSL,G
SRの平均値GSと、フロアセンサ14による減速度につ
いての時間積分である速度変化Vnとにより定まる値が
判定マップ上のハイ領域に属するか否かに基づいて、エ
アバッグ装置30の起動出力の大きさが制御される。こ
の判定マップにおいては、車体前部に大きな衝撃が加わ
っても車体中央部に大きな速度変化が生じない場合には
エアバッグ装置30の起動出力がハイ出力にならないよ
うに、また、車体前部に加わった大きな衝撃が衝突後期
に生じたものである場合にもエアバッグ装置30の起動
出力がハイ出力にならないように出力用しきい値変化パ
ターンが設けられ、ハイ領域とロー領域とが区切られて
いる。
【0055】このため、本実施例によれば、車体左前部
および右前部の平均減速度GSがある程度大きくてもそ
れが衝突後期に発生した場合あるいは車体中央部に大き
な速度変化が生じていない場合には、エアバッグ装置3
0の起動出力がハイ出力となるのを回避することができ
る。平均減速度GSが大きくなったのが衝突後期に生じ
た場合、及び、平均減速度GSが大きくなっても車体中
央部に大きな速度変化が生じていない場合は、エアバッ
グ装置30を高出力で起動させる必要はない。従って、
本実施例の乗員保護装置の起動制御装置によれば、エア
バッグ装置30が起動される際の起動出力の大きさを精
度良く設定することが可能となっている。
【0056】尚、上記の第2実施例においては、フロア
センサ14が特許請求の範囲に記載した「第3のセン
サ」に相当していると共に、ECU12が、上記図6に
示すルーチン中ステップ122の処理を実行することに
より特許請求の範囲に記載した「減速度演算手段」が、
上記ステップ126〜130の処理を実行することによ
り特許請求の範囲に記載した「起動出力制御手段」が、
それぞれ実現されている。
【0057】次に、上記図1と共に、図7及び図8を参
照して、本発明の第3実施例について説明する。
【0058】上記した第1及び第2実施例では、エアバ
ッグ装置30の起動出力の大きさを、車体前部に配設さ
れた2つのフロントセンサ16,18による減速度の平
均値に基づいて制御すると共に、エアバッグ装置30を
起動させるか否かを、車体中央部に配設されたフロアセ
ンサ14による減速度およびその減速度についての時間
積分値に基づいて判別することとしている。
【0059】これに対して、本実施例においては、エア
バッグ装置30を起動させるか否かの判別を、フロアセ
ンサ14による減速度に代えて、2つのフロントセンサ
16,18による減速度の平均値を用いることにより実
現させる。すなわち、2つのフロントセンサ16,18
による減速度GSL,GSRの平均値GS、及び、フロアセ
ンサ14による減速度GFについて時間積分して得られ
た単位時間あたりの速度変化Vnを求め、両者の時間波
形が判定マップの何れの領域に属するのかを判別するこ
とにより、エアバッグ装置30を起動させるか否かを判
別すると共に、その際の起動出力の大きさを制御する。
【0060】図7は、本実施例においてエアバッグ装置
30を起動させるか否かを判定しかつその起動出力を設
定する手法を説明するための図を示す。尚、図7におい
ては、エアバッグ装置30をハイ出力で起動する必要が
ある車両10が中速度で正突した場合の平均速度GS
速度Vnとの時間波形が実線で、エアバッグ装置30を
ロー出力で起動する必要がある車両10が低速度で正突
した場合の平均速度GSと速度Vnとの時間波形が一点鎖
線で、エアバッグ装置30を起動させる必要がない車両
10が極低速度(例えば時速18km/h)で正突した
場合の平均速度GSと速度Vnとの時間波形が二点鎖線
で、それぞれ示されていると共に、エアバッグ30を起
動させるための判定マップとしてのしきい値の変化パタ
ーンが破線で示されている。
【0061】このしきい値変化パターンは、エアバッグ
装置30を高出力で起動させる必要がある場合と、低出
力で起動させる必要がある場合と、起動させる必要がな
い場合との境界に設定されており、また、車体中央部に
おける速度変化Vnが第1の値(図7においてV10)よ
りも小さい場合あるいは第2の値(図7においてV11
よりも大きい場合にはエアバッグ装置30が起動されな
いように設定される。
【0062】本実施例において、起動判別部40および
起動出力制御部44は、2つのフロントセンサ16,1
8の出力信号に基づいて同時刻に検出された減速度
SL,G SRの平均値GSと、その時刻におけるフロアセ
ンサ14の出力信号に基づく単位時間あたりの速度変化
Vnとの時間波形が、図7に示すしきい値変化パターン
によって分けられた領域の何れかの領域に属するか否か
を判別する。そして、その時間波形がOFF領域にのみ
属する場合はエアバッグ装置30の起動を禁止し、時間
波形がロー&オン領域に属する一方でハイ&オン領域に
属しない場合はエアバッグ装置30を低出力で起動させ
るのを許可し、また、時間波形がハイ&オン領域にも属
する場合はエアバッグ装置30を高出力で起動させるの
を許可する。
【0063】車両10が正突した状況下において車体前
部に加わる衝撃が大きい場合には、フロントセンサ16
による減速度GSLおよびフロントセンサ18による減速
度G SRが共に大きな値となるため、それらの平均値GS
にも大きな値が現れる。このため、エアバッグ装置30
を起動させるか否かを、2つのフロントセンサ16,1
8により減速度の平均値GSに基づいて判別することは
可能である。従って、本実施例の構成によれば、エアバ
ッグ36を膨張展開させるか否かを正確に判別すること
が可能となる。また、車両10が衝突した際には、車両
に加わる衝撃が大きいほどエアバッグ36を高圧で膨張
展開させることが適切である。この点、本実施例におい
ては、平均減速度GSが大きい場合、エアバッグ装置3
0の起動時における起動出力が高出力となるため、エア
バッグ装置30の起動出力を適正に設定することがで
き、乗員を効果的に保護することが可能となる。
【0064】図8は、エアバッグ装置30の起動を制御
すべく、本実施例においてECU12が実行する制御ル
ーチンの一例のフローチャートを示す。図8に示すルー
チンは、所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチンで
ある。尚、図8において、上記図6に示すステップと同
一の処理を実行するステップについては、同一の符号を
付してその説明を省略する。すなわち、図8に示すルー
チンにおいては、ステップ124においてステップ12
0で検出された減速度GFについて時間積分することに
より単位時間当たりの速度変化Vnを演算する処理が実
行された後、ステップ140の処理が実行される。
【0065】ステップ140では、図7に示すマップを
参照することにより、上記ステップ122で演算された
平均減速度GSと、ステップ124で演算された速度Vn
との関係から定まる値が判定マップ上においてON領域
に属するか否かが判別される。その結果、上記した値が
ON領域に属しない場合は、エアバッグ装置30を起動
させる必要はない。従って、かかる判定がなされた場合
は、次にステップ142の処理が実行され、エアバッグ
装置30を起動させるか否かを示す起動フラグFlag
1をOFF状態に維持する処理が実行される。一方、上
記した値がON領域に属すると判別された場合は、次に
ステップ144の処理が実行される。
【0066】ステップ144では、図7に示すマップを
参照することにより、上記ステップ122で演算された
平均減速度GSと、ステップ124で演算された速度Vn
との関係から定まる値が判定マップ上においてハイ領域
に属するか否かが判別される。その結果、否定判定がな
された場合は、次にステップ146の処理が実行され
る。一方、肯定判定がなされた場合は、次にステップ1
48の処理が実行される。
【0067】ステップ146では、起動フラグFlag
1をON状態に切り替える処理が実行されると共に、エ
アバッグ装置30が起動される際の起動出力を高出力に
するか否かを示す高出力フラグFlag2をOFF状態
に維持する処理が実行される。本ステップ146の処理
が実行されると、以後、車両が衝突してから所定時間が
経過した際にエアバッグ36が低圧で膨張展開されるこ
ととなる。
【0068】ステップ148では、起動フラグFlag
1をON状態に切り替える処理が実行されると共に、高
出力フラグFlag2をON状態に切り替える処理が実
行される。本ステップ148の処理が実行されると、以
後、車両が衝突してから所定時間が経過した際にエアバ
ッグ36が高圧で展開膨張されることとなる。上記ステ
ップ142、146、又は148の処理が終了すると、
今回のルーチンは終了される。
【0069】上記図8に示すルーチンによれば、車体左
前部および右前部に配設されたフロントセンサ16,1
8による減速度GSL,GSRの平均値GSと、車体中央部
に配設されたフロアセンサ14による減速度GFについ
ての時間積分である速度変化Vnとにより定まる値が判
定マップ上においてON領域に属する場合に、エアバッ
グ30を起動させることができる。車両10が正突した
状況下において車体前部に加わる衝撃が大きい場合に
は、フロントセンサ16による減速度GSLおよびフロン
トセンサ18による減速度GSRが共に大きくなるため、
その平均値GSにも大きな値が現れる。このため、本実
施例の如く、エアバッグ装置30を起動させるか否かを
平均減速度GSと速度変化Vnとにより定まる値に基づい
て行うことすれば、エアバッグ36を膨張展開させるか
否かを正確に判別することができる。
【0070】また、本実施例においては、平均減速度G
Sと速度変化Vnとにより定まる値に基づいてエアバッグ
装置30の起動出力の大きさも制御される。すなわち、
エアバッグ装置30を起動させるか否かを判別するた
めのパラメータと、その起動出力の大きさを制御する
ためのパラメータとが同一であるため、エアバッグ装置
30の起動についての演算負担が軽減される。従って、
本実施例の乗員保護装置の起動制御装置によれば、エア
バッグ装置30を起動させるか否かを正確に判別し、か
つ、エアバッグ装置30が起動される際の起動出力の大
きさを適正に設定するうえで、演算負担の軽減が図られ
ている。
【0071】尚、上記の第3実施例においては、ECU
12が上記図8に示すルーチン中ステップ140の処理
を実行することにより特許請求の範囲に記載した「起動
判別手段」が実現されている。
【0072】ところで、上記の第1乃至第3実施例にお
いては、エアバッグ装置30の起動出力の大きさを制御
するのに、フロントセンサ16,18の出力信号に基づ
いてそれぞれ検出された減速度GSL,GSRの平均値GS
を用いることとしているが、本発明はこれに限定される
ものではなく、単に減速度GSL,GSRを加算した値を用
いることとしてもよい。この場合には、ECU12が、
その加算値を求めることが請求項1に記載した「減速度
演算手段」が、その加算値と所定のしきい値との比較結
果に基づいてエアバッグ装置30の起動出力の大きさを
設定することが請求項1に記載した「起動出力制御手
段」が、それぞれ実現される。
【0073】また、上記の第1乃至第3実施例において
は、車体前部に2つのフロントセンサ16,18が配設
された構成に適用することとしているが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、車体前部に3つ以上のフロ
ントセンサが配設された構成に適用することも可能であ
る。かかる構成においては、それら3つ以上のフロント
センサによる減速度の平均値に基づいてエアバッグ装置
30の起動出力の大きさを制御することとすればよい。
【0074】また、上記の第1乃至第3実施例において
は、エアバッグ装置30を高出力で起動させる場合には
インフレータ34a,34b内の点火装置38a,38
bをほぼ同時に発熱させ、また、エアバッグ装置30を
低出力で起動させる場合には点火装置38a,38bを
ある程度の時間差を設けて発熱させているが、エアバッ
グ装置30の起動出力を高出力と低出力とで変更させる
手法はこれに限定されるものではなく、点火装置38
a,38bの発熱量に差を設けてもよいし、また、点火
装置38a,38bが発熱するまでの時間に差を設ける
こととしてもよい。
【0075】
【発明の効果】上述の如く、請求項1乃至5記載の発明
によれば、車体前部の左右に配設された第1及び第2の
センサによる減速度波形に位相ずれが生ずる場合にも、
乗員保護装置の起動出力を適正に設定することができ
る。
【0076】また、請求項6記載の発明によれば、乗員
保護装置を乗員を保護すべく適正に起動させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である乗員保護装置の起動
制御装置のシステム構成図である。
【図2】本実施例においてエアバッグ装置を起動させる
か否かを判別する手法を説明するための図である。
【図3】本実施例においてエアバッグ装置の起動出力を
設定する手法を説明するための図である。
【図4】本実施例においてエアバッグ装置の起動出力を
設定すべく実行される制御ルーチンのフローチャートで
ある。
【図5】本発明の第2実施例においてエアバッグ装置の
起動出力を設定する手法を説明するための図である。
【図6】本実施例においてエアバッグ装置の起動出力を
設定すべく実行される制御ルーチンのフローチャートで
ある。
【図7】本発明の第3実施例においてエアバッグ装置を
起動させるか否かを判定しかつその起動出力を設定する
手法を説明するための図である。
【図8】本実施例においてエアバッグ装置の起動を制御
すべく実行される制御ルーチンのフローチャートであ
る。
【符号の説明】
12 電子制御ユニット(ECU) 14 フロアセンサ 16,18 フロントセンサ 30 エアバッグ装置 34a,34b インフレータ 38a,38b 点火装置 40 起動判別部 44 起動出力制御部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に搭載された乗員保護装置が起動さ
    れる際の起動出力を制御する起動制御装置であって、 車体左前部および右前部に配設され、車両に作用する減
    速度に応じた信号をそれぞれ出力する第1及び第2のセ
    ンサと、 前記第1のセンサの出力信号に基づいて得られた前記減
    速度と、前記第2のセンサの出力信号に基づいて得られ
    た前記減速度とを合算して所定の演算を行う減速度演算
    手段と、 前記減速度演算手段の演算結果に基づいて前記乗員保護
    装置の起動出力を制御する起動出力制御手段と、 を備えることを特徴とする乗員保護装置の起動制御装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の乗員保護装置の起動制御
    装置において、 前記減速度演算手段は、前記第1のセンサの出力信号に
    基づいて得られた前記減速度と、前記第2のセンサの出
    力信号に基づいて得られた前記減速度との平均値を演算
    すると共に、 前記起動出力制御手段は、前記減速度演算手段により演
    算された前記平均値に基づいて前記乗員保護装置の起動
    出力を制御することを特徴とする乗員保護装置の起動制
    御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の乗員保護装置の起動制御
    装置において、 前記起動出力制御手段は、前記減速度演算手段により演
    算された前記平均値が所定のしきい値を超えた場合は、
    該所定のしきい値を超えない場合に比して前記乗員保護
    装置の起動出力を高くすることを特徴とする乗員保護装
    置の起動制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の乗員保護装置の起動制御
    装置において、 車体内において前記第1及び第2のセンサの配設位置よ
    りも後方に配設され、車両に作用する減速度に応じた信
    号を出力する第3のセンサを備え、 前記起動出力制御手段は、前記減速度演算手段により演
    算された前記平均値と、前記第3のセンサの出力信号に
    基づいて得られた前記減速度の積分値とで定まる時間波
    形が所定の領域内に入る場合は、該所定の領域内に入ら
    ない場合に比して前記乗員保護装置の起動出力を高くす
    ることを特徴とする乗員保護装置の起動制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れか一項記載の乗員
    保護装置の起動制御装置において、 前記乗員保護装置の起動出力は、少なくともロー出力と
    ハイ出力との2段階に制御されることを特徴とする乗員
    保護装置の起動制御装置。
  6. 【請求項6】 車両に搭載された乗員保護装置を起動さ
    せるか否かを判別する起動制御装置であって、 車体左前部および右前部に配設され、車両に作用する減
    速度に応じた信号をそれぞれ出力する第1及び第2のセ
    ンサと、 前記第1のセンサの出力信号に基づいて得られた前記減
    速度と、前記第2のセンサの出力信号に基づいて得られ
    た前記減速度とを合算して所定の演算を行う減速度演算
    手段と、 前記減速度演算手段の演算結果に基づいて前記乗員保護
    装置を起動させるか否かを判別する起動判別手段と、 を備えることを特徴とする乗員保護装置の起動制御装
    置。
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