JP2002096707A - 衝突形態判定装置、及び、乗員保護装置の起動制御装置 - Google Patents

衝突形態判定装置、及び、乗員保護装置の起動制御装置

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JP2002096707A
JP2002096707A JP2000289500A JP2000289500A JP2002096707A JP 2002096707 A JP2002096707 A JP 2002096707A JP 2000289500 A JP2000289500 A JP 2000289500A JP 2000289500 A JP2000289500 A JP 2000289500A JP 2002096707 A JP2002096707 A JP 2002096707A
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sensor
collision
output signal
vehicle body
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Yoshikazu Ono
芳和 大野
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、衝突形態判定装置に関し、車両の
衝突形態を衝突後短時間で正確に判定すること、及び、
乗員保護装置の起動制御装置に関し、車両がアンダーラ
イド衝突した際に乗員保護装置を早期に起動することを
目的とする。 【解決手段】 車体前部のバンパR/F28の後面左右
にそれぞれ、車幅方向に加わる横加速度の大きさに応じ
た信号を出力するサテライトセンサ30,32を設け
る。サテライトセンサ30の出力信号に基づいた横加速
度GSYLの向きと、サテライトセンサ32の出力信号に
基づいた横加速度GSYRの向きとの関係に基づいて、車
両20の衝突形態を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衝突形態判定装
置、及び、乗員保護装置の起動制御装置に係り、特に、
車両衝突時の衝突形態を判定するうえで好適な衝突形態
判定装置、及び、車両衝突時に乗員保護のための乗員保
護装置を適正に起動させるうえで好適な乗員保護装置の
起動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開2000−719
29号公報に開示される如く、車体の所定位置に配設さ
れ、車幅方向に作用する加速度に応じた信号を出力する
横加速度センサを用いて車両の衝突形態を判定する装置
が知られている。この装置は、横加速度センサの出力信
号に基づいた2つのパラメータにより定まる値が所定の
しきい値を超えた場合は車両がオフセット衝突したと判
定し、一方、上記の値が所定のしきい値内にある場合は
車両が正突したと判定する。このように、上記従来の装
置においては、車幅方向に作用する加速度の大きさに基
づいて車両の衝突形態が判定される。
【0003】また、上記従来の装置は、車両の前後方向
に作用する衝撃に応じた信号を出力する前後加速度セン
サも備えており、車両の前後方向に作用する衝撃の大き
さ及び上記の衝突形態の判定結果に基づいてエアバッグ
装置の起動を制御する。具体的には、前後方向の衝撃が
第1のしきい値を超えている場合は車両の衝突形態にか
かわらずエアバッグ装置を起動し、また、その衝撃が第
1のしきい値とその第1のしきい値よりも小さい第2の
しきい値との間にある状況下では、衝突形態がオフセッ
ト衝突であると判定された場合にエアバッグ装置を起動
し、衝突形態が正突であると判定された場合にはエアバ
ッグ装置の起動を禁止する。従って、上記従来の装置に
おいては、エアバッグ装置の起動を車両の衝突形態に応
じて適正に実行することが可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
装置において、横加速度センサは、車体中央部に配設さ
れている。かかる構成では、横加速度センサの配設位置
と衝突により車体内で最初に変形が生ずる車体前部とが
離間しているため、横加速度センサが車両の衝突形態に
応じた信号を出力することができない場合がある。ま
た、仮に横加速度センサが衝突形態に応じた信号を出力
できたとしても、車両が衝突し始めた後に該信号が出力
されるまでに多くの時間が必要となる。このため、上記
従来の装置では、車両の衝突形態を衝突後短時間のうち
に正確に判定することは不可能である。
【0005】また、車両がアンダーライド衝突した場合
は、その衝突が激しくても、車幅方向に大きな横加速度
が発生しない。この場合、上記従来の装置では、車両前
後方向の衝撃が第1のしきい値と第2のしきい値との間
にあってもエアバッグ装置が起動される可能性は低い。
このため、上記従来の装置では、アンダーライド衝突時
に速やかにエアバッグ装置を起動することができないお
それがある。
【0006】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、車両の衝突形態を衝突後短時間で正確に判定す
ることが可能な衝突形態判定装置を提供することを第1
の目的とし、車両がアンダーライド衝突した際に乗員保
護装置を早期に起動することが可能な乗員保護装置の起
動制御装置を提供することを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、請求
項1に記載する如く、それぞれ、車体前部のクラッシュ
ゾーンに配設され、車幅方向に加わる荷重に応じた信号
を出力する第1及び第2のセンサと、前記第1のセンサ
の出力信号と前記第2のセンサの出力信号との関係に基
づいて車両の衝突形態を判定する衝突形態判定手段と、
を備えることを特徴とする衝突形態判定装置により達成
される。
【0008】請求項1記載の発明において、車体前部の
クラッシュゾーンにそれぞれ配設された第1及び第2の
センサは、それぞれ、車幅方向に加わる荷重に応じた信
号を出力する。車両の衝突形態が異なると、車体前部の
クラッシュゾーンにおける車体変形の仕方が異なるの
で、車幅方向に加わる荷重の向きや大きさが異なるもの
となる。そこで、車両の衝突形態は、第1のセンサの出
力信号と第2のセンサの出力信号との関係に基づいて判
定される。また、車両が衝突すると、まず車体前部のク
ラッシュゾーンが変形する。従って、本発明によれば、
車両の衝突形態を衝突後短時間で正確に判定することが
できる。
【0009】本発明において、「クラッシュゾーン」と
は、衝突時に、乗員が搭乗する車室の変形を低減すべ
く、車室の変形よりも先行して変形する部位のことであ
り、具体的には、エンジン前方に位置するバンパやサイ
ドメンバ等の車体骨格部材のことである。
【0010】ところで、車両が正面衝突すると、車体前
部に設置されたバンパが最初に変形する。このため、バ
ンパにおける車幅方向に加わる荷重を測定すれば、衝突
後短時間で車両の衝突形態を判定することが可能とな
る。
【0011】従って、請求項2に記載する如く、請求項
1記載の衝突形態判定装置において、前記第1及び第2
のセンサが、車体前部に設置されたバンパの左部及び右
部に配設されることとしてもよい。
【0012】一般に、車体前部に設置されたバンパは、
その車幅方向中央部ほど前方へ向けて突出するように湾
曲した形状を有している。このため、車両が正突する
と、バンパが左右のサイドメンバをそれぞれ車体外側へ
向けて押圧するように変形する。この際、車体前部のク
ラッシュゾーンにおいては車体中央から車体外側への荷
重が作用する。
【0013】従って、請求項3に記載する如く、請求項
1記載の衝突形態判定装置において、前記衝突形態判定
手段は、前記第1のセンサの出力信号に基づいた前記荷
重と前記第2のセンサの出力信号に基づいた前記荷重と
が互いに異なる方向に作用する状況下で両荷重が共に車
体外側方向に作用する場合は、車両が正突したと判定す
ることとしてもよい。
【0014】また、車両がポール衝突した際にその衝突
がある程度長時間継続すると、ポールが車体前部の一部
分に食い込むことにより、バンパが左右のサイドメンバ
をそれぞれ車体内側へ向けて押圧するように変形する。
このため、ポール衝突時には、車体前部のクラッシュゾ
ーンにおいて車体外側から車体中央への荷重が作用す
る。
【0015】従って、請求項4に記載する如く、請求項
1記載の衝突形態判定装置において、前記衝突形態判定
手段は、前記第1のセンサの出力信号に基づいた前記荷
重と前記第2のセンサの出力信号に基づいた前記荷重と
が互いに異なる方向に作用する状況下で両荷重が共に車
体内側方向に作用する場合は、車両がポール衝突したと
判定することとしてもよい。
【0016】また、車両が斜突すると、車体前部が車幅
方向の一方へ向けて車体後部に対して変形する。この
際、車体前部のクラッシュゾーンでは、車幅方向の一方
への荷重が作用する。
【0017】従って、請求項5に記載する如く、請求項
1記載の衝突形態判定装置において、前記衝突形態判定
手段は、前記第1のセンサの出力信号に基づいた前記荷
重と前記第2のセンサの出力信号に基づいた前記荷重と
が同一方向に作用する場合は、車両が斜突したと判定す
ることとしてもよい。
【0018】また、車体前部の片側のみが衝突するオフ
セット衝突が生ずると、バリアと衝突したサイドの車体
前部では車幅方向への変形がほとんど生じない一方、バ
リアと衝突していないサイドの車体前部ではバリア端部
の車体前部への食い込みによりバンパがサイドメンバを
車体内側へ向けて押圧するように変形する。このため、
オフセット衝突時には、車体前部のクラッシュゾーンの
一方のサイドではほとんど荷重が作用しない一方、他方
のサイドでは車体外側から車体中央への荷重が作用す
る。
【0019】従って、請求項6に記載する如く、請求項
1記載の衝突形態判定装置において、前記衝突形態判定
手段は、前記第1及び第2のセンサのうち一方のセンサ
の出力信号に基づいた前記荷重が“0”近傍にある状況
下で他方のセンサの出力信号に基づいた前記荷重が車体
内側方向に作用する場合は、車両がオフセット衝突した
と判定することとしてもよい。
【0020】また、上記第2の目的は、請求項7に記載
する如く、車体内の所定位置に配設され、車両に加わる
衝撃に応じた信号を出力する第1のセンサと、前記第1
のセンサの出力信号に基づくパラメータが所定のしきい
値を超えた場合に乗員保護装置を起動させる起動制御手
段と、を備える乗員保護装置の起動制御装置において、
車体前部のクラッシュゾーンに配設され、車幅方向に加
わる荷重に応じた信号を出力する第2のセンサと、前記
第2のセンサの出力信号に基づいた前記荷重が所定値を
超えた場合は、前記所定のしきい値を、前記荷重が前記
所定値を超えない場合に比して大きな値に変更するしき
い値変更手段と、を備えることを特徴とする乗員保護装
置の起動制御装置により達成される。
【0021】請求項7記載の発明において、乗員保護装
置の起動の是非を判定するための所定のしきい値は、車
体前部のクラッシュゾーンにおける車幅方向の荷重が所
定値を超える場合に、超えない場合に比して大きな値に
変更される。車両がアンダーライド衝突した場合は、車
体前部のクラッシュゾーンにほとんど衝撃が加わらな
い。一方、車両がアンダーライド衝突以外の正突や斜突
等を起こした場合は、車体前部のクラッシュゾーンに多
少の衝撃が加わる。このため、本発明においては、アン
ダーライド衝突以外の衝突時には所定のしきい値が大き
な値に変更される一方、アンダーライド衝突時には所定
のしきい値が小さい値に維持される。従って、車両がア
ンダーライド衝突した際にも乗員保護装置は早期に起動
される。
【0022】請求項8に記載する如く、車体内の所定位
置に配設され、車両に加わる衝撃に応じた信号を出力す
る第1のセンサと、前記第1のセンサの出力信号に基づ
くパラメータが所定のしきい値を超えた場合に乗員保護
装置を起動させる起動制御手段と、を備える乗員保護装
置の起動制御装置において、車体前部のクラッシュゾー
ンに配設され、車幅方向に加わる荷重に応じた信号を出
力する第2のセンサと、前記第2のセンサの出力信号に
基づいた前記荷重の最大ピーク値に応じて前記所定のし
きい値を変更するしきい値変更手段と、を備えることを
特徴とする乗員保護装置の起動制御装置は、衝撃の大き
さに応じた適当なタイミングで乗員保護装置を起動させ
るうえで有効である。
【0023】請求項8記載の発明において、乗員保護装
置の起動の是非を判定するための所定のしきい値は、車
体前部のクラッシュゾーンにおける車幅方向の荷重の最
大ピーク値に応じて変更される。クラッシュゾーンにお
ける車幅方向の荷重の最大ピーク値は、車両に加わる衝
撃が大きいほど大きくなる。従って、車体前部に加わる
衝撃が大きいほど乗員保護装置を起動し易くすることが
できる。このため、本発明によれば、衝撃の大きさに応
じた適当なタイミングで乗員保護装置を起動させること
ができる。
【0024】また、請求項9に記載する如く、車体内の
所定位置に配設され、車両に加わる衝撃に応じた信号を
出力する第1のセンサと、前記第1のセンサの出力信号
に基づくパラメータが所定のしきい値を超えた場合に乗
員保護装置を起動させる起動制御手段と、を備える乗員
保護装置の起動制御装置において、車体前部のクラッシ
ュゾーンに配設され、車幅方向に加わる荷重に応じた信
号を出力する第2のセンサと、前記第2のセンサの出力
信号に基づいた前記荷重の最大ピーク値が現れる時期に
応じて前記所定のしきい値を変更するしきい値変更手段
と、を備えることを特徴とする乗員保護装置の起動制御
装置も、衝撃の大きさに応じた適当なタイミングで乗員
保護装置を起動させるうえで有効である。
【0025】請求項9記載の発明において、乗員保護装
置の起動の是非を判定するための所定のしきい値は、車
体前部のクラッシュゾーンにおける車幅方向の荷重の最
大ピーク値が現れる時期に応じて変更される。クラッシ
ュゾーンにおける車幅方向の荷重の最大ピーク値は、車
両に加わる衝撃が大きいほど早期に現れる。従って、車
体前部に加わる衝撃が大きいほど乗員保護装置を起動し
易くすることができる。このため、本発明によれば、衝
撃の大きさに応じた適当なタイミングで乗員保護装置を
起動させることができる。
【0026】更に、請求項10に記載する如く、車体前
部のクラッシュゾーンに配設され、車幅方向に加わる荷
重に応じた信号を出力するセンサと、前記センサの出力
信号に基づくパラメータが所定のしきい値を超えた場合
に乗員保護装置を起動させる起動制御手段と、を備える
ことを特徴とする乗員保護装置の起動制御装置は、乗員
保護装置を適正に起動させるうえで有効である。
【0027】請求項10記載の発明において、乗員保護
装置は、車体前部のクラッシュゾーンにおける車幅方向
の荷重に基づくパラメータが所定のしきい値を超えた場
合に起動される。車両に加わる衝撃が大きいほど、車体
前部のクラッシュゾーンにおける車幅方向の荷重が大き
くなる。従って、車体前部に加わる衝撃が大きい場合に
は乗員保護そうちを起動することができる。このため、
本発明においては、乗員保護装置が適正に起動されるこ
ととなる。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
車両20に搭載される衝突形態判定装置のシステム構成
図を示す。本実施例のシステムは、電子制御ユニット
(以下、ECU22と称す)を備えており、ECU22
により制御される。車両20は、車体前部に車体の骨格
部材として機能するサイドメンバ24,26を有してい
る。サイドメンバ24,26の先端部には、車幅方向に
延在するバンパリインホースメント(以下、バンパR/
Fと称す)28が連結されている。バンパR/F28
は、車幅方向中央部ほど前方へ向けて突出するように湾
曲した形状を有している。
【0029】バンパR/F28の後面左右にはそれぞ
れ、サテライトセンサ30,32が配設されている。サ
テライトセンサ30,32は、それぞれ、各配設部位に
車幅方向に加わる加速度の大きさに応じた信号(以下、
横加速度信号と称す)を出力すると共に、車両前後方向
に加わる減速度の大きさに応じた信号(以下、減速度信
号と称す)を出力する2軸の電子式センサである。サテ
ライトセンサ30,32には、それぞれ、上記したEC
U22が接続されている。
【0030】ECU22は、入出力回路40、中央処理
装置(以下、CPUと称す)42、処理プログラムや演
算に必要なデーブルが予め格納されているリード・オン
リ・メモリ(以下、ROMと称す)44、作業領域とし
て使用されるランダム・アクセス・メモリ(以下、RA
Mと称す)46、及び、それらの各要素を接続する双方
向のバス48により構成されている。
【0031】サテライトセンサ30,32の出力信号
は、それぞれ、ECU22の入出力回路40に供給さ
れ、CPU42の指示に従って適宜RAM46に格納さ
れる。ECU22は、サテライトセンサ30,32の出
力する横加速度信号に基づいて、バンパR/F28の左
部及び右部にそれぞれ車幅方向に作用する横加速度の大
きさGSYL,GSYRを検出する。また、サテライトセンサ
30,32の減速度信号に基づいて、車両前後方向に作
用する減速度の大きさGSXL,GSXRを検出する。
【0032】以下、図2乃至図5を参照して、本発明に
おいて車両20の衝突形態を判定するための手法につい
て説明する。図2(A)〜図5(A)は、それぞれ、車
両20がバリア50に正突する際の状況、車両20がポ
ールバリア52にポール衝突する際の状況、車両20が
バリア54に斜突する際の状況、及び車両20がバリア
56にオフセット衝突する際の状況を示している。図2
(B)〜図5(B)は、それぞれ、図2(A)〜図5
(A)に示す状況において実現される車体前部のバンパ
R/F28の左部に車幅方向に作用する横加速度GSYL
の時間変化を示す。また、図2(C)〜図5(C)は、
それぞれ、図2(A)〜図5(A)に示す状況において
実現される車体前部のバンパR/F28の右部に車幅方
向に作用する横加速度GSYRの時間変化を示す。尚、図
2(B)及び(C)〜図5(B)及び(C)において
は、車体左側方向への横加速度を正の値としている。
【0033】本実施例においては、上述の如く、車両2
0のバンパR/F28が、車幅方向中央部ほど前方へ向
けて突出するように湾曲した形状を有している。このた
め、車両20がバリア50に正突した場合は、最初にバ
ンパR/F28の中央部がバリア50に押圧される。バ
ンパR/F28の中央部が前方から押圧されると、バン
パR/F28が湾曲形状から直線形状へ向けて変形しよ
うとし、その変形に伴ってバンパR/F28に連結した
サイドメンバ24,26の先端部にそれぞれ車幅方向外
側への押圧力が作用する。
【0034】この際、バンパR/F28の左右両端部及
びサイドメンバ24,26の先端部においては、それぞ
れ、車幅中心から車幅方向外側への荷重による大きな横
加速度が発生する。すなわち、図2(B)及び(C)に
示す如く、バンパR/F28の左部及び右部において
は、それぞれ、車幅中心から車幅方向外側へ互いに異な
る方向への横加速度GSYL,GSYRが生ずる。従って、バ
ンパR/F28の左部における横加速度GSYL及び右部
における横加速度GSYRが共に車幅中心から車幅方向外
側へ互いに異なる方向に大きな値を示した場合には、車
両20が正突したと判定することが可能となる。
【0035】また、車両20がポールバリア52に衝突
すると、バンパR/F28の車幅方向中央部近傍のみが
前方から押圧される。かかる部位のみが前方から押圧さ
れると、まず、ポールバリア52の進入により湾曲形状
部が直線形状になるようにバンパR/Fが変形し、バン
パR/F28の左右両端部にそれぞれ車幅中心から車幅
方向外側への押圧力が作用する。そして、その後、ポー
ルバリア52の進入がある程度長時間継続すると、今度
は、ポールバリア52がバンパR/F28の中央部に食
い込むことによりバンパR/F28の左右両端部にそれ
ぞれ車幅方向外側から車幅方向内側への大きな引っ張り
力が作用し、サイドメンバ24,26の先端部もそれぞ
れ車幅方向内側へ大きく引っ張られる。
【0036】このようにポール衝突の後期には、バンパ
R/F28の左右両端部及びサイドメンバ24,26の
先端部において、車幅方向外側から車幅中心への荷重に
よる大きな横加速度が発生すると共に、その横加速度の
発生がある程度長時間継続する。すなわち、図3(B)
及び(C)に示す如く、バンパR/F28の左部及び右
部においては、それぞれ、車幅方向外側から車幅中心へ
互いに異なる方向への横加速度GSYL,GSYRがある程度
長時間継続して発生する。従って、バンパR/F28の
左部における横加速度GSYL及び右部における横加速度
SYRが共に車幅方向外側から車幅中心へ互いに異なる
方向に大きな値を示した場合には、車両20がポール衝
突したと判定することが可能となる。
【0037】また、車両20がバリア54と斜突する
と、バンパR/F28が斜め前方から押圧されること
で、バンパR/F28全体に車幅方向への押圧力が作用
する。この際、バンパR/F28及びサイドメンバ2
4,26の先端部においては、バンパR/F28の衝突
側から非衝突側への荷重による大きな横加速度が発生す
る。すなわち、例えば車両20が車体右前部においてバ
リア54と斜突した場合は、図4(B)及び(C)に示
す如く、バンパR/F28の左部及び右部において、共
に車体右側から左側への横加速度GSYL,GSYRが生ず
る。従って、バンパR/F28の左部における横加速度
SYL及び右部における横加速度GSYRが共に同一車幅方
向に大きな値を示した場合には、車両20が斜突したと
判定することが可能となる。
【0038】更に、車両20がバリア56に対してオフ
セット衝突すると、バンパR/F28の左部及び右部の
一方のみが押圧されることで、その衝突側では、車体後
方への押圧力が主に作用し、車幅方向への力がほとんど
生じない。一方、非衝突側では、最初は正突と同様に車
幅中心から車幅方向外側への押圧力が作用すると共に、
衝突がある程度長時間継続した場合はバリア56の端部
がバンパR/F28に食い込むことにより車幅方向外側
から車幅方向内側への大きな引っ張り力が作用する。
【0039】このようにオフセット衝突時には、バンパ
R/F28の衝突側においては大きな横加速度が発生し
ない一方、非衝突側においては衝突後期に車幅方向外側
から車幅中心への荷重による大きな横加速度が発生す
る。すなわち、例えば車両20が車体右前部においてバ
リア56に対してオフセット衝突した場合は、図5
(B)及び(C)に示す如く、バンパR/F28の左部
においては車体右側から左側への横加速度GSYLが発生
した後に車体左側から右側への大きな横加速度GSYL
発生すると共に、バンパR/F28の右部においては横
加速度GSYRがほとんど生じない。従って、バンパR/
F28の左部における横加速度GSYL及び右部における
横加速度GSYRの何れか一方が車幅方向外側から車幅中
心へ大きな値を示した場合には、車両20がオフセット
衝突したと判定することが可能となる。
【0040】このように、車体前部のバンパR/F28
の後面左右にそれぞれ配設されたサテライトセンサ3
0,32を用いて、バンパR/F28の左部及び右部に
生ずる横加速度GSYL,GSYRを検出し、これらの部位に
車幅方向に作用する荷重の向きを検出することとすれ
ば、車両20に生じている衝突形態を判定することが可
能となる。
【0041】本実施例のシステムは、車体前部の左右に
おいてそれぞれ車幅方向に作用する荷重の向きの関係に
基づいて、車両20の衝突形態を判定する点に特徴を有
している。以下、図6を参照して、本実施例の特徴部に
ついて説明する。
【0042】図6は、本実施例において、車両20の衝
突形態を判定すべくECU22が実行する制御ルーチン
の一例のフローチャートを示す。図6に示すルーチン
は、所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチンであ
る。図6に示すルーチンが起動されると、まずステップ
80の処理が実行される。
【0043】ステップ80では、サテライトセンサ3
0,32の出力する横加速度信号に基づいて、バンパR
/F28の左部及び右部にそれぞれ車幅方向に作用する
横加速度の大きさGSYL,GSYRが検出されると共に、減
速度信号に基づいて、バンパR/F28の左部及び右部
にそれぞれ車両前後方向に作用する減速度の大きさGSX
L,GSXRが検出される。
【0044】ステップ82では、上記ステップ80で検
出される横加速度GSYL,GSYRについてそれぞれ時間積
分することにより次式(1)及び(2)の如く時間積分
値VGSYL,VGSYRを算出する処理が実行され
る。
【0045】 VGSYL= ∫GSYL・dt ・・・(1 ) VGSYR= ∫GSYR・dt ・・・(2 ) ステップ84では、上記ステップ80で検出された減速
度GSXL又はGSXRが所定値GSH以上であるか否かが判別
される。尚、所定値GSHは、車両がバリアと前突したと
判断できる車両前後方向における減速度の最小値であ
る。GSXL≧GSHが成立する場合又はGSXR≧GSHが成立
する場合は、車体前部で衝突が生じたと判断できる。従
って、かかる判別がなされた場合は、次にステップ86
の処理が実行される。一方、GSXL≧GSHが成立せず、
かつ、GSXR≧GSHが成立しない場合は、車体前部で衝
突が生じたと判断することはできず、衝突形態を判定す
ることは不要である。従って、かかる判別がなされた場
合は、今回のルーチンは終了される。
【0046】ステップ86では、上記ステップ82にお
ける算出結果VGSYL,VGSYRの関係に基づい
て、車両20に生じている衝突形態を判定する処理が実
行される。
【0047】具体的には、車体左側方向への横加速度G
SYL,GSYRを正の値とした状況下において、車体左側前
部における横加速度GSYLについての時間積分値VGS
YLが正値としてのしきい値SH10を超え、かつ、車体
右側前部における横加速度G SYRについての時間積分値
VGSYRが負値としてのしきい値(−SH10)に満た
ない場合(VGSYL>SH10、and、VGSYR<
−SH10)は、バンパR/F28の中央部が前方から押
圧されたことによりバンパR/F28の左右両端部がそ
れぞれ車幅方向外側へ大きく移動したと判断できるの
で、この場合には車両20が正突したと判断される。
【0048】また、時間積分値VGSYLが一旦正値と
してのしきい値SH20を超えた後に負値としてのしきい
値(−SH21)よりも低下し、かつ、時間積分値VGS
YRが一旦負値としてのしきい値(−SH20)よりも低
下した後に正値としてのしきい値SH21を超えた場合
は、バンパR/F28の左右両端部がそれぞれ車幅方向
外側へ少し移動した後に車幅方向内側へ大きく引っ張ら
れたと判断することができるので、車両20がポール衝
突したと判断される。
【0049】また、時間積分値VGSYL及びVGSY
Rが共に正値としてのしきい値SH 30を超える場合は、
バンパR/F28の左右両端部が共に車体左側方向に大
きく移動したと判断できるので、車両20が車体右前部
において斜突したと判断される。一方、時間積分値VG
SYL及びVGSYRが共に負値としてのしきい値(−
SH30よりも低下した場合は、バンパR/F28の左右
両端部が共に車体右側方向に大きく移動したと判断でき
るので、車両20が車体左前部において斜突したと判断
される。
【0050】更に、時間積分値VGSYLが一旦正値と
してのしきい値SH40を超えた後に負値としてのしきい
値(−SH41)よりも低下する一方で、時間積分値VG
SYRがほとんど変化せずその絶対値がしきい値SH42
を超えない場合は、バンパR/F28の左部のみが車幅
方向外側へ少し移動した後に車幅中心へ大きく引っ張ら
れたと判断できるので、車両20が車体右前部において
オフセット衝突したと判断される。一方、時間積分値V
GSYLがほとんど変化せずその絶対値がしきい値SH
42を超えない一方で、時間積分値VGSYRが一旦負値
としてのしきい値(−SH40)よりも低下した後に正値
としてのしきい値SH41を超える場合は、バンパR/F
28の右部のみが車幅方向外側へ少し移動した後に車幅
中心へ大きく引っ張られたと判断できるので、車両20
が車体左前部においてオフセット衝突したと判断され
る。
【0051】上記ステップ86において衝突形態が判定
された場合は、今回のルーチンは終了される。
【0052】上記の処理によれば、バンパR/F28の
左部及び右部に生ずる横加速度GSY L,GSYRの関係に基
づいて、車両20が衝突した際の衝突形態を判定するこ
とができる。車両が衝突した場合は、車体前部のバンパ
に近い部位ほど早期に変形し始める。本実施例におい
て、衝突形態の判定のために用いられる横加速度
SYL,GSYRに応じた信号を出力するサテライトセンサ
30,32は、バンパR/F28の後面左右に配設され
ている。従って、本実施例の衝突形態判定装置によれ
ば、車両20に生じている衝突形態を衝突後短時間のう
ちに正確に判定することが可能となっている。
【0053】図7は、車両20が正突した際に受ける衝
撃の度合いに応じて、車体前部のバンパR/F28に車
幅方向に作用する横加速度GSYL,GSYRの波形が変化す
る状況を示す。尚、図7(A)にはバンパR/F28の
左部に車幅方向に作用する横加速度GSYLの時間変化
が、図7(B)にはバンパR/F28の右部に車幅方向
に作用する横加速度GSYRの時間変化が、それぞれ示さ
れている。また、図7(A)及び(B)においては、衝
撃の度合いが比較的小さい場合を実線で、衝撃の度合い
が比較的大きい場合を破線で、それぞれ示している。
【0054】車両20が正突した際には、図7(A)及
び(B)に示す如く、その衝撃が大きくなるほど、バン
パR/F28の左部に車幅方向に作用する横加速度G
SYLのピーク値が正側に大きくなり、かつ、バンパR/
F28の右部に車幅方向に作用する横加速度GSYRのピ
ーク値が負側に大きくなると共に、それらのピーク値の
現れる時期が早くなる。また、車両20が斜突やオフセ
ット衝突,ポール衝突した場合も同様に、横加速度G
SYL,GSYRのピーク値が大きくなると共に、それらのピ
ーク値の現れる時期が早くなる。従って、バンパR/F
28の左部及び右部にそれぞれ車幅方向に作用する横加
速度GSYL,GSYRのピーク値の現れる時期、または、そ
れらのピーク値の大きさを検出することとすれば、車体
前部に加わる衝撃の大きさを検知することが可能とな
る。
【0055】そこで、本実施例のシステムは、サテライ
トセンサ30,32の出力信号を時系列信号としてウェ
ーブレット変換を施すことによりバンパR/F28の左
部及び右部にそれぞれ車幅方向に作用する横加速度G
SYL,GSYRのピーク値の時期を検出すると共に、それら
横加速度GSYL,GSYRのピーク値の大きさを検出する。
そして、予め実験的に定められている横加速度GSYL
SYRのピーク値と衝撃の大きさとのマップ、及び、横
加速度GSYL,GSYRのピーク値の時期と衝撃の大きさと
のマップに従って、車体前部に加わる衝撃の大きさを検
知する。
【0056】従って、本実施例のシステムによれば、車
両20が衝突した際の衝突形態を判定することができる
と共に、その際に車両20に加わった衝撃の大きさを検
知することができる。このため、本実施例のシステムに
よれば、例えば50km/hでの正突や20km/hで
の斜突等、車両20の衝突形態とその衝突速度とを判定
することが可能となっている。
【0057】尚、上記の第1実施例においては、サテラ
イトセンサ30,32が請求項1乃至6に記載した「第
1のセンサ」及び「第2のセンサ」に、バンパR/F2
8が請求項2に記載した「バンパ」に、それぞれ相当し
ていると共に、ECU22が上記ステップ86を実行す
ることにより請求項1、3乃至6に記載した「衝突形態
判定手段」が実現されている。
【0058】ところで、上記の第1実施例においては、
車幅方向に作用する加速度に応じた信号を出力するサテ
ライトセンサ30,32をバンパR/F28の後面に配
設することとしているが、本発明はこれに限定されるこ
となく、衝突時に変形する例えばバンパR/F28に連
結されたサイドメンバ24,26の先端部等にサテライ
トセンサ30,32を配設することとしてもよい。
【0059】また、上記の第1実施例においては、車両
20が前突したか否かを、車両前後方向に作用する減速
度に応じた信号を出力する電子式のサテライトセンサ3
0,32を用いて判別することとしているが、車両前後
方向に作用する減速度が一定値を超えた場合にオン信号
を出力する機械式のセンサを用いて判別することとして
もよい。この場合、サテライトセンサ30,32とは別
個に配設されたセンサを用いることとしてもよい。
【0060】また、上記の第1実施例においては、車両
20の衝突形態を、サテライトセンサ30,32の出力
信号に基づく横加速度GSYL,GSYRについての時間積分
値VGSYL,VGSYRを用いて判定することとして
いるが、本発明はこれに限定されるものではなく、サテ
ライトセンサ30,32の出力信号に基づく横加速度G
SYL,GSYRの所定時間中における平均横加速度GAVE
算出し、その平均値GA VEを用いて車両20の衝突形態
を判定することとしてもよい。
【0061】更に、上記の第1実施例においては、バン
パR/F28の左部及び右部にそれぞれ車幅方向に作用
する横加速度GSYL,GSYRのピーク値の時期をウェーブ
レット変換を利用して検出することとしたが、単に横加
速度GSYL,GSYRを微分演算することにより検出するこ
ととしてもよい。
【0062】次に、図8乃至図11を参照して、本発明
の第2実施例について説明する。
【0063】図8は、本実施例の乗員保護装置の起動制
御装置のシステム構成図を示す。本実施例のシステム
は、車両100に搭載される電子制御ユニット(以下、
ECUと称す)102を備えており、ECU102によ
り制御される。車両100は、車体前部に車体の骨格部
材として機能するサイドメンバ104,106を有して
いる。サイドメンバ104,106の先端部には、車幅
方向に延在するバンパR/F108が連結されている。
バンパR/F108は、車幅方向中央部ほど前方へ向け
て突出するように湾曲した形状を有している。
【0064】また、本実施例のシステムは、車体中央部
のフロアトンネル近傍に配設されたフロアセンサ11
0、及び、車体前部に設置されたバンパの後面左右にそ
れぞれ配設されたサテライトセンサ112,114を備
えている。フロアセンサ110は、車体中央部において
車両前後方向に作用する減速度の大きさに応じた信号を
出力する電子式の減速度センサである。また、サテライ
トセンサ112,114は、それぞれ、各配設部位に車
幅方向に作用する加速度の大きさに応じた信号を出力す
る電子式の減速度センサである。
【0065】ECU102は、上記第1実施例のECU
22と同様に、入出力回路120、中央処理装置(以
下、CPUと称す)122、処理プログラムや演算に必
要なデーブルが予め格納されているリード・オンリ・メ
モリ(以下、ROMと称す)124、作業領域として使
用されるランダム・アクセス・メモリ(以下、RAMと
称す)126、及び、それらの各要素を接続する双方向
のバス128により構成されている。
【0066】上記したフロアセンサ110及びサテライ
トセンサ112,114は、ECU102の入出力回路
120に接続されている。フロアセンサ110の出力信
号、及び、サテライトセンサ112,114の出力信号
は、それぞれ入出力回路120に供給され、CPU12
2の指示に従って適宜RAM126に格納される。EC
U102は、フロアセンサ110の出力信号に基づいて
車体中央部に前後方向に作用する減速度の大きさGF
検出する。また、ECU102は、サテライトセンサ1
12,114の出力信号に基づいて車体左前部及び車体
右前部にそれぞれ車幅方向に作用する横加速度の大きさ
SYL,GSYRを検出する。
【0067】本実施例のシステムは、また、車両100
に搭載され、乗員が保護されるように作動するエアバッ
グ装置130を備えている。エアバッグ装置130は、
駆動回路132、インフレータ134、及びエアバッグ
136を有している。インフレータ134は、駆動回路
132に接続する点火装置138と、点火装置138の
発熱により多量のガスを発生するガス発生剤(図示せ
ず)とを内蔵しており、ガスの発生によりエアバッグ1
36を膨張展開させる。エアバッグ136は、膨張展開
した際に車両100の乗員と車載部品との間に介在する
位置に設けられている。
【0068】エアバッグ装置130の駆動回路132
は、ECU102の入出力回路120に接続されてい
る。エアバッグ装置130は、駆動回路132に入出力
回路120から駆動信号が供給された場合に起動し、エ
アバッグ136を展開させる。ECU102のCPU1
22は、起動制御部140としきい値設定部142とを
備えている。CPU122の起動制御部140は、RO
M124に格納されている処理プログラムに従って、フ
ロアセンサ110の出力信号を用いて検出された減速度
Fに基づいて後述の如く所定のパラメータを演算し、
その演算されたパラメータが所定のしきい値SHを超え
ているか否かを判別すると共に、その判別結果に基づい
て入出力回路120からエアバッグ装置130の駆動回
路132への駆動信号の供給を制御する。また、しきい
値設定部142は、後述の如く、サテライトセンサ11
2,114の出力信号に基づいて検出された横加速度G
SYL,GSYRに基づいて、上記起動制御部140において
用いられる所定のしきい値SHを適当に設定する。
【0069】次に、本実施例のCPU122において行
われる処理の内容について説明する。
【0070】本実施例において、起動制御部140は、
フロアセンサ110の出力信号に基づいて検出された減
速度GFに所定の演算を施して演算値f(GF)および速
度Vnを求める。具体的には、速度Vnは、減速度GF
ついて時間積分して得られる値である。すなわち、走行
中の車両100に減速度GFが加わる場合は、車内の物
体(例えば乗員)は慣性力により車両100に対して前
方へ加速するため、車内の物体の車両100に対する相
対的な速度Vnは、減速度GFを時間積分することにより
求めることができる。尚、演算値f(GF)は、減速度
F自体であってもよいし、減速度GFを単位時間につい
て時間積分して得られる値であってもよい。尚、図9に
は、所定状況下における演算値f(GF)と速度Vnとの
関係を一定時間ごとにプロットした図が示されている。
起動制御部140は、演算値f(GF)および速度Vnを
求めた後、図9に示す如く両者の関係から定められる値
を、しきい値設定部142により設定された判定マップ
におけるしきい値SHと大小比較する。
【0071】上記の構成において、起動制御部140
は、演算値f(GF)と速度Vnとの関係から定められる
値を、しきい値設定部142で選択・設定された判定マ
ップとしての変化パターン(以下、しきい値変化パター
ンと称す)におけるしきい値SHと比較した結果、演算
値f(GF)と速度Vnとの関係から定まる値がそのしき
い値SHを超えている場合、入出力回路120からエア
バッグ装置130の駆動回路132へ駆動信号を供給す
る。この場合には、エアバッグ装置130が起動するこ
とによりエアバッグ136が展開されることとなる。従
って、本実施例によれば、車体中央部に生ずる衝撃の度
合いに基づいてエアバッグ装置130の起動を制御する
ことができる。
【0072】ところで、車体前部に加わる衝撃が大きい
場合は、車両100が衝突している可能性が高いので、
エアバッグ装置130が起動し易くなるように、車体中
央部に生ずる衝撃の度合いについてのしきい値SHを低
下させることが考えられる。しかしながら、かかる構成
において、車両100がトラック等の後部下方へ潜り込
むアンダーライド衝突を起こした場合には、車体前部に
ほとんど衝撃が加わらないため、その衝突が激しいもの
であっても上記のしきい値SHを低下させることができ
ない。このため、上記の構成では、アンダーライド衝突
時にエアバッグ装置130が起動し易くならないおそれ
がある。
【0073】上述の如く、本実施例においては、車両1
00のバンパR/F108が、車幅方向中央部ほど前方
へ向けて突出するように湾曲した形状を有している。こ
のため、車両100が正突した場合、バンパR/F10
8は、その中央部が最初に前方から押圧されることによ
り湾曲形状から直線形状へ向けて変形しようとし、その
結果として、バンパR/F108の左部及び右部にそれ
ぞれ車幅中心から車幅方向外側への荷重が作用する。ま
た、車両100が斜突やオフセット衝突,ポール衝突し
た場合も同様に、バンパR/F108に車幅方向への荷
重が作用する。
【0074】そこで、本実施例のシステムは、初期状態
においてエアバッグ装置130の起動のためのしきい値
変化パターンとしてしきい値SHの極小さいマップを設
定しておき、車体前部に車幅方向への大きな荷重に伴う
横加速度GSYL,GSYRが生じた場合に通常のマップへ移
行させる。かかる構成においては、エアバッグ装置13
0の起動の是非は、車体前部に衝撃が加わる正突や斜突
が生じた場合は通常のマップを用いて判別される一方、
車体前部に衝撃が加わらないアンダーライド衝突が生じ
た場合はしきい値SHの小さいマップを用いて判別され
ることとなる。
【0075】この場合には、車体前部に衝突に伴う大き
な衝撃が加わっていない状況下で車体中央部に加わる衝
撃があまり大きくなくても、エアバッグ装置130が起
動され得る。すなわち、車体中央部に衝撃が加わるにも
かかわらず車体前部に衝撃が加わらないアンダーライド
衝突が発生した際に、エアバッグ装置130が起動し易
くなる。本実施例のシステムは、上記の如くアンダーラ
イド衝突時にエアバッグ装置130を起動し易くする点
に特徴を有している。
【0076】図10は、本実施例において、演算値f
(GF)と速度Vnとの関係についての判定マップとして
機能するしきい値変化パターンを表した図を示す。尚、
図10には、しきい値変化パターンとして、通常どおり
の規則に従ってしきい値が設定されているHiマップ、
及び、Hiマップに比してしきい値の小さいLoマップ
が示されている。
【0077】本実施例において、しきい値設定部142
は、図10に示す如く、予め実験的に定められる演算値
f(GF)と速度Vnとの関係についてのしきい値変化パ
ターンを記憶している。これらのしきい値変化パターン
は、サテライトセンサ112,114の出力信号に基づ
く横加速度GSYL,GSYRに基づいて、車両100に衝撃
が加わった際にエアバッグ装置130を起動させる必要
がある場合とその必要がない場合との境界に設定され
る。尚、本実施例において、Loマップは、車体前部に
衝撃がほとんど加わらなくてもエアバッグ装置130が
早期に起動されるほどにしきい値SHの小さいマップで
ある。
【0078】具体的には、車体前部にほとんど車幅方向
への荷重が加わっていない場合は、車両100がアンダ
ーライド衝突している可能性がある。一方、車体前部に
車幅方向への大きな荷重が加わっている場合は、アンダ
ーライド衝突が生じておらず、他の形態の衝突が生じて
いる。本実施例において、しきい値設定部142は、サ
テライトセンサ112,114の出力信号に基づいて検
出された横加速度GSY L,GSYRが所定のしきい値を超え
るまではしきい値変化パターンとしてLoマップを選択
・設定しておき、横加速度GSYL,GSYRが所定のしきい
値を超えた場合に初めてしきい値変化パターンとしてH
iマップを選択・設定する。
【0079】このように、本実施例においては、しきい
値変化パターンとして、初期状態でしきい値SHの小さ
いLoマップが設定され、車体前部にある程度大きな衝
撃が加わった場合に通常どおりの規則に従ったHiマッ
プが設定される。このため、車体前部にほとんど衝撃が
加わらないアンダーライド衝突時に、エアバッグ装置1
30が起動し易くなる。従って、本実施例のシステムに
よれば、アンダーライド衝突時にもエアバッグ装置13
0を早期に起動させることが可能となっている。
【0080】図11は、本実施例において、しきい値変
化パターンを設定すべくECU102が実行する制御ル
ーチンの一例のフローチャートを示す。図11に示すル
ーチンは、所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチン
である。図11に示すルーチンが起動されると、まずス
テップ180の処理が実行される。
【0081】ステップ180では、サテライトセンサ1
12,114の出力信号に基づいて、車体左前部及び車
体右前部にそれぞれ車幅方向に作用する横加速度
SYL,GS YRが検出される。
【0082】ステップ182では、上記ステップ180
で検出された横加速度GSYL,GSYRが所定値G0を超え
ているか否かが判別される。その結果、GSYL>G0が成
立せず、かつ、GSYR>G0が成立しないと判別された場
合は、未だ車体前部に車幅方向への大きな荷重が加わっ
ていないと判断できるので、次にステップ184の処理
が実行される。一方、GSYL>G0が成立する、或いは、
SYR>G0が成立すると判別された場合は、車体前部に
車幅方向への大きな荷重が加わっていると判断できるの
で、次にステップ186の処理が実行される。
【0083】ステップ184では、しきい値変化パター
ンとしてしきい値の小さいLoマップを選択・設定する
処理が実行される。本ステップ184の処理が実行され
ると、以後、Loマップ上のしきい値SHと、フロアセ
ンサ110の出力信号に基づいた演算値f(GF)と速
度Vnとの関係から定まる値とが比較されることによ
り、エアバッグ装置130の起動の適否が判別される。
本ステップ184の処理が終了すると、今回のルーチン
が終了される。
【0084】ステップ186では、しきい値変化パター
ンとして通常どおりの規則に従ったHiマップを選択・
設定する処理が実行される。本ステップ186の処理が
実行されると、以後、Hiマップ上のしきい値SHと、
フロアセンサ110の出力信号に基づいた演算値f(G
F)と速度Vnとの関係から定まる値とが比較されること
により、エアバッグ装置130の起動の適否が判別され
る。本ステップ186の処理が終了すると、今回のルー
チンが終了される。
【0085】上記の処理によれば、しきい値変化パター
ンとして、初期状態ではしきい値SHの小さいLoマッ
プが設定され、車体前部にある程度大きな衝撃が加わっ
た場合にHiマップが設定されることとなる。従って、
本実施例のシステムによれば、車体前部にほとんど衝撃
が加わらないアンダーライド衝突が生じた際にエアバッ
グ装置130を早期に起動させることが可能となってい
る。
【0086】尚、上記の第2実施例においては、フロア
センサ110が請求項7に記載した「第1のセンサ」
に、フロアセンサ110の出力信号に基づいて検出され
た減速度GFに所定の演算を施して求められた演算値f
(GF)と速度Vnとの関係から定まる値が請求項7に記
載した「パラメータ」に、エアバッグ装置130が請求
項7に記載した「乗員保護装置」に、サテライトセンサ
112,114が請求項7に記載した「第2のセンサ」
に、それぞれ相当している。
【0087】また、上記の第2実施例においては、EC
U102が、フロアセンサ110の出力信号に基づく演
算値f(GF)と速度Vnとの関係から定まる値がしきい
値SHを超えている場合に、入出力回路120からエア
バッグ装置130の駆動回路132へ駆動信号を供給す
ることにより請求項7に記載した「起動制御手段」が、
上記ステップ184の処理に代えてステップ186の処
理を実行することにより請求項7に記載した「しきい値
変更手段」が、それぞれ実現されている。
【0088】次に、上記図8と共に、図12及び図13
を参照して、本発明の第3実施例について説明する。本
実施例のシステムは、上記図8に示す乗員保護装置の起
動制御装置において、ECU102に図13に示すルー
チンを実行させることにより実現される。
【0089】上記第1実施例において指摘したとおり、
車体前部に加わる衝撃の大きさは、バンパR/F28の
左部および右部にそれぞれ車幅方向に作用する横加速度
SY L,GSYRのピーク値の現れる時期、または、それら
ピーク値の大きさに基づいて検知することが可能であ
る。
【0090】ところで、車体前部に加わる衝撃が大きい
ほど、車両100が衝突している可能性が高いので、エ
アバッグ装置130が起動し易くなるようにしきい値変
化パターンを適宜変更することが適切である。そこで、
本実施例のシステムは、しきい値変化パターンを、サテ
ライトセンサ112,114を用いて検出したバンパR
/F28の左部および右部にそれぞれ車幅方向に作用す
る横加速度GSYL,GS YRのピーク値の大きさに基づいて
設定する点に特徴を有している。以下、図12及び図1
3を参照して、その特徴部について説明する。
【0091】図12は、本実施例において演算値f(G
F)と速度Vnとの関係についての判定マップとして機能
するしきい値変化パターンを表した図を示す。尚、図1
2には、しきい値変化パターンとして、予め基準となる
Hiマップ、Hiマップに比してしきい値SHの小さい
Lo1マップ、Lo1マップに比してしきい値SHの小
さいLo2マップが示されている。
【0092】本実施例において、ECU102が有する
CPU122のしきい値設定部142は、図12に示す
如く予め実験的に定められる演算値f(GF)と速度Vn
との関係についてのしきい値変化パターンを記憶してい
る。これらのしきい値変化パターンは、車両100に衝
撃が加わった場合にエアバッグ装置130を起動させる
必要がある場合とその必要がない場合との境界に設定さ
れている。
【0093】そして、しきい値設定部142は、横加速
度GSYL,GSYRのピーク値の絶対値が第1所定値G1
比して小さい場合はしきい値変化パターンとしてHiマ
ップを選択・設定し、横加速度GSYL,GSYRのピーク値
の絶対値が第1所定値G1以上であり、かつ、第1所定
値G1よりも大きい第2所定値G2未満である場合はLo
1マップを選択・設定し、また、横加速度GSYL,GSYR
のピーク値の絶対値が第2所定値G2以上である場合は
Lo2マップを選択・設定する。尚、しきい値変化パタ
ーンの設定に際しては、横加速度GSYL,GSYRのピーク
値の絶対値のうちいずれか大きい方の値が用いられる。
【0094】上記の構成において、起動制御部140
は、フロアセンサ110の出力信号に基づいた演算値f
(GF)と速度Vnとの関係から定められる値を、しきい
値設定部142で上記の如く選択・設定されたしきい値
変化パターンのしきい値SHと比較する。そして、その
結果、演算値f(GF)と速度Vnとの関係から定められ
る値がそのしきい値SHを超えている場合は、入出力回
路120からエアバッグ装置130の駆動回路132へ
駆動信号を供給する。この場合には、エアバッグ装置1
30が起動されることによりエアバッグ136が展開さ
れることとなる。
【0095】このように、車体前部に車幅方向に加わる
荷重の最大ピーク値に基づいて衝突に伴う衝撃の大きさ
を検知し、その衝撃の大きさに応じてエアバッグ装置1
30の起動のためのしきい値を変更することとすれば、
車体前部に加わる衝撃が大きいほどエアバッグ装置13
0が起動し易くなるので、衝撃の大きさに応じたタイミ
ングでエアバッグ装置130を起動させることが可能と
なる。
【0096】ところで、車体前部に加わる衝撃は、車両
100が衝突した後早期に現れるため、バンパR/F1
08に車幅方向に作用する横加速度GSYL,GSYRのピー
クも衝突後早期に現れる。この場合は、横加速度
SYL,GSYRのピークが現れた後、エアバッグ装置13
0を起動させるまでの時間が十分に確保されるので、エ
アバッグ装置130の起動のためのしきい値変化パター
ンを設定する期間が長時間確保される。このため、横加
速度GSYL,GSYRのピークが現れているか否かを常時検
出する必要はなく、衝突が開始した後所定時間が経過し
た時点でその間の横加速度GSYL,GSYRのピーク値を検
出することとしても、しきい値変化パターンを適正に設
定することができる。
【0097】図13は、上記の機能を実現すべく、本実
施例においてECU102が実行する制御ルーチンの一
例のフローチャートを示す。図13に示すルーチンは、
所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチンである。図
13に示すルーチンが起動されると、まずステップ20
0の処理が実行される。
【0098】ステップ200では、車両100の衝突が
開始した後、所定時間(例えば、10ms)が経過した
か否かが判別される。その結果、否定判定がなされた場
合は、以後、何ら処理が進められることなく、今回のル
ーチンは終了される。一方、肯定判定がなされた場合
は、次にステップ202の処理が実行される。尚、車両
100が衝突したか否かは、例えば、横加速度GSYL
SYRが所定値を超えたか否かに基づいて判定される。
【0099】ステップ202では、上記所定時間中にお
ける横加速度GSYL,GSYRの値からそのピーク値GPEAK
を検出する処理が実行される。
【0100】ステップ204では、上記ステップ202
で検出された横加速度GSYL,GSYRのピーク値GPEAK
絶対値が第1所定値G1に比して小さいか否かが判別さ
れる。|GPEAK|<G1が成立する場合は、車体前部に
あまり大きな衝撃が加わっていないと判断できるので、
しきい値変化パターンをしきい値SHの小さいマップに
変更する必要はない。従って、かかる判別がなされた場
合は、次にステップ208の処理が実行される。一方、
|GPEAK|<G1が成立しないと判別された場合は、次
にステップ206の処理が実行される。
【0101】ステップ206では、上記ステップ202
で検出された横加速度GSYL,GSYRのピーク値GPEAK
絶対値が第1所定値G1以上であり、かつ、第2所定値
2未満であるか否かが判別される。G1≦|GPEAK|<
2が成立する場合は、車体前部にある程度大きな衝撃
が加わっていると判断できる。従って、かかる判別がな
された場合は、次にステップ210の処理が実行され
る。一方、G1≦|GPEAK|<G2も成立しない場合、す
なわち、|GPEAK|≧G2が成立する場合は、車体前部
に大きな衝撃が加わっていると判断できる。従って、か
かる判別がなされた場合は、次にステップ212の処理
が実行される。
【0102】ステップ208では、エアバッグ装置13
0の起動のためのしきい値変化パターンとしてHiマッ
プを選択・設定する処理が実行される。本ステップ20
8の処理が実行されると、以後、Hiマップ上のしきい
値と演算値f(GF)と速度Vnとの関係から定められる
値とが比較され、エアバッグ装置130の起動の是非が
判別される。
【0103】ステップ210では、しきい値変化パター
ンとしてHiマップよりもしきい値SHの小さいLo1
マップを選択・設定する処理が実行される。本ステップ
210の処理が実行されると、以後、Lo1マップ上の
しきい値と演算値f(GF)と速度Vnとの関係から定め
られる値とが比較され、エアバッグ装置130の起動の
是非が判別される。
【0104】ステップ212では、しきい値変化パター
ンとしてLo1マップよりもしきい値SHの小さいLo
2マップを選択・設定する処理が実行される。本ステッ
プ212の処理が実行されると、以後、Lo2マップ上
のしきい値と演算値f(GF)と速度Vnとの関係から定
められる値とが比較され、エアバッグ装置130の起動
の是非が判別される。上記ステップ208、210、又
は212の処理が終了すると、今回のルーチンは終了さ
れる。
【0105】上記の処理によれば、バンパR/F108
に車幅方向に作用する横加速度GSY L,GSYRのピーク
値、すなわち、車体前部に車幅方向に加わる荷重の最大
ピーク値に応じて、エアバッグ装置130の起動のため
のしきい値変化パターンを変更することができる。車体
前部に加わる衝撃の大きさは、横加速度GSYL,GSYR
ピーク値の大きさに対応した値となる。従って、本実施
例においては、車体前部に加わる衝撃が大きいほどエア
バッグ装置130が起動し易くなる。このため、本実施
例のシステムによれば、車体前部の衝撃の大きさに応じ
たタイミングでエアバッグ装置130を起動させること
が可能となっている。
【0106】尚、上記の第3実施例においては、ECU
102が、上記ステップ208、210、及び212の
処理を実行することにより特許請求の範囲に記載された
「しきい値変更手段」が、それぞれ実現されている。
【0107】ところで、上記の第3実施例においては、
車体前部に加わる衝撃の大きさを車幅方向に加わる横加
速度GSYL,GSYRのピーク値の大きさに基づいて検知す
ることとしているが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、横加速度GSYL,GS YRのピーク値の現れる時期
に基づいて検知することとしてもよい。この場合には、
ECU102が、車幅方向に加わる横加速度GSYL,G
SYRのピーク値の現れる時期に基づいて検知された車体
前部に加わる衝撃の大きさに応じてしきい値変化パター
ンを変更することにより請求項9記載の「しきい値変更
手段」が実現される。
【0108】また、上記の第3実施例においては、しき
い値変化パターンを横加速度GSYL,GSYRのピーク値に
基づいて選択・設定することとしているが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、横加速度GSYL,GSYR
ついての時間積分値のピーク値等に基づいて選択・設定
することとしてもよい。
【0109】また、上記の第3実施例においては、エア
バッグ装置130の起動のためのしきい値変化パターン
をHiマップ、Lo1マップ、及びLo2マップの3つ
のマップのうちから選択することとしているが、2以上
のマップのうちから選択することとすればよい。
【0110】更に、上記の第3実施例においては、横加
速度GSYL,GSYRのピーク値の大きさに応じてエアバッ
グ装置130の起動のためのしきい値変化パターンを変
更することとしているが、横加速度GSYL,GSYRのピー
ク値が所定の値を超えた場合にエアバッグ装置130を
起動させることとしてもよい。車体前部に加わる衝撃が
大きいほど車両100が衝突している可能性が高いの
で、かかる構成によれば、エアバッグ装置130を適正
に起動させることが可能となる。この場合には、サテラ
イトセンサ112,114が請求項10に記載した「セ
ンサ」に相当すると共に、ECU102がサテライトセ
ンサ112,114の出力信号に基づいた横加速度G
SYL,GSYRのピーク値が所定の値を超えた場合にエアバ
ッグ装置130の駆動回路132へ駆動信号を供給する
ことにより請求項10に記載した「起動制御手段」が実
現される。
【発明の効果】上述の如く、請求項1及び2記載の発明
によれば、車両の衝突形態を衝突後短時間で正確に判定
することができる。
【0111】請求項3記載の発明によれば、正突を正確
に判定することができる。
【0112】請求項4記載の発明によれば、ポール衝突
を正確に判定することができる。
【0113】請求項5記載の発明によれば、斜突を正確
に判定することができる。
【0114】請求項6記載の発明によれば、オフセット
衝突を正確に判定することができる。
【0115】請求項7記載の発明によれば、車両がアン
ダーライド衝突した際に乗員保護装置を早期に起動させ
ることができる。
【0116】請求項8及び9記載の発明によれば、衝撃
の大きさに応じた適当なタイミングで乗員保護装置を起
動させることができる。
【0117】また、請求項10記載の発明によれば、乗
員保護装置を適正に起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両に搭載される衝突
形態判定装置のシステム構成図である。
【図2】車両が正突した際に生ずる現象を説明するため
の図である。
【図3】車両がポール衝突した際に生ずる現象を説明す
るための図である。
【図4】車両が斜突した際に生ずる現象を説明するため
の図である。
【図5】車両がオフセット衝突した際に生ずる現象を説
明するための図である。
【図6】本実施例において、車両の衝突形態を判定すべ
く実行される制御ルーチンの一例のフローチャートであ
る。
【図7】車両が正突した際に受ける衝撃の度合いに応じ
て、車体前部に車幅方向に作用する横加速度の波形が変
化する状況を示した図である。
【図8】本発明の第2実施例である乗員保護装置の起動
制御装置のシステム構成図である。
【図9】所定状況下において演算値f(GF)と速度Vn
との関係を一定時間ごとにプロットした図である。
【図10】本実施例において演算値f(GF)と速度Vn
との関係についての判定マップとして機能するしきい値
SHの変化パターンを表した図である。
【図11】本実施例において、しきい値変化パターンを
設定すべく実行される制御ルーチンの一例のフローチャ
ートである。
【図12】本発明の第3実施例において演算値f
(GF)と速度Vnとの関係についての判定マップとして
機能するしきい値変化パターンを表した図である。
【図13】本実施例において、しきい値変化パターンを
設定すべく実行される制御ルーチンの一例のフローチャ
ートである。
【符号の説明】
22,102 電子制御ユニット(ECU) 28,108 バンパリインホースメント(バンパR/
F) 30,32,112,114 サテライトセンサ 110 フロアセンサ 130 エアバッグ装置 140 起動制御部 142 しきい値設定部 GSYL 車体左前部における横加速度 GSYR 車体右前部における横加速度 GSXL 車体左前部における車両前後方向の減速度 GSXR 車体右前部における車両前後方向の減速度 GF 車体中央部における車両前後方向の減速度 VGSYL 横加速度GSYLについての時間積分値 VGSYR 横加速度GSYRについての時間積分値

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ、車体前部のクラッシュゾーン
    に配設され、車幅方向に加わる荷重に応じた信号を出力
    する第1及び第2のセンサと、 前記第1のセンサの出力信号と前記第2のセンサの出力
    信号との関係に基づいて車両の衝突形態を判定する衝突
    形態判定手段と、 を備えることを特徴とする衝突形態判定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の衝突形態判定装置におい
    て、 前記第1及び第2のセンサが、車体前部に設置されたバ
    ンパの左部及び右部に配設されることを特徴とする衝突
    形態判定装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の衝突形態判定装置におい
    て、 前記衝突形態判定手段は、前記第1のセンサの出力信号
    に基づいた前記荷重と前記第2のセンサの出力信号に基
    づいた前記荷重とが互いに異なる方向に作用する状況下
    で両荷重が共に車体外側方向に作用する場合は、車両が
    正突したと判定することを特徴とする衝突形態判定装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の衝突形態判定装置におい
    て、 前記衝突形態判定手段は、前記第1のセンサの出力信号
    に基づいた前記荷重と前記第2のセンサの出力信号に基
    づいた前記荷重とが互いに異なる方向に作用する状況下
    で両荷重が共に車体内側方向に作用する場合は、車両が
    ポール衝突したと判定することを特徴とする衝突形態判
    定装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の衝突形態判定装置におい
    て、 前記衝突形態判定手段は、前記第1のセンサの出力信号
    に基づいた前記荷重と前記第2のセンサの出力信号に基
    づいた前記荷重とが同一方向に作用する場合は、車両が
    斜突したと判定することを特徴とする衝突形態判定装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の衝突形態判定装置におい
    て、 前記衝突形態判定手段は、前記第1及び第2のセンサの
    うち一方のセンサの出力信号に基づいた前記荷重が
    “0”近傍にある状況下で他方のセンサの出力信号に基
    づいた前記荷重が車体内側方向に作用する場合は、車両
    がオフセット衝突したと判定することを特徴とする衝突
    形態判定装置。
  7. 【請求項7】 車体内の所定位置に配設され、車両に加
    わる衝撃に応じた信号を出力する第1のセンサと、前記
    第1のセンサの出力信号に基づくパラメータが所定のし
    きい値を超えた場合に乗員保護装置を起動させる起動制
    御手段と、を備える乗員保護装置の起動制御装置におい
    て、 車体前部のクラッシュゾーンに配設され、車幅方向に加
    わる荷重に応じた信号を出力する第2のセンサと、 前記第2のセンサの出力信号に基づいた前記荷重が所定
    値を超えた場合は、前記所定のしきい値を、前記荷重が
    前記所定値を超えない場合に比して大きな値に変更する
    しきい値変更手段と、 を備えることを特徴とする乗員保護装置の起動制御装
    置。
  8. 【請求項8】 車体内の所定位置に配設され、車両に加
    わる衝撃に応じた信号を出力する第1のセンサと、前記
    第1のセンサの出力信号に基づくパラメータが所定のし
    きい値を超えた場合に乗員保護装置を起動させる起動制
    御手段と、を備える乗員保護装置の起動制御装置におい
    て、 車体前部のクラッシュゾーンに配設され、車幅方向に加
    わる荷重に応じた信号を出力する第2のセンサと、 前記第2のセンサの出力信号に基づいた前記荷重の最大
    ピーク値に応じて前記所定のしきい値を変更するしきい
    値変更手段と、 を備えることを特徴とする乗員保護装置の起動制御装
    置。
  9. 【請求項9】 車体内の所定位置に配設され、車両に加
    わる衝撃に応じた信号を出力する第1のセンサと、前記
    第1のセンサの出力信号に基づくパラメータが所定のし
    きい値を超えた場合に乗員保護装置を起動させる起動制
    御手段と、を備える乗員保護装置の起動制御装置におい
    て、 車体前部のクラッシュゾーンに配設され、車幅方向に加
    わる荷重に応じた信号を出力する第2のセンサと、 前記第2のセンサの出力信号に基づいた前記荷重の最大
    ピーク値が現れる時期に応じて前記所定のしきい値を変
    更するしきい値変更手段と、 を備えることを特徴とする乗員保護装置の起動制御装
    置。
  10. 【請求項10】 車体前部のクラッシュゾーンに配設さ
    れ、車幅方向に加わる荷重に応じた信号を出力するセン
    サと、 前記センサの出力信号に基づくパラメータが所定のしき
    い値を超えた場合に乗員保護装置を起動させる起動制御
    手段と、 を備えることを特徴とする乗員保護装置の起動制御装
    置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013220743A (ja) * 2012-04-17 2013-10-28 Mitsubishi Motors Corp 車両制御装置
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JP2017001517A (ja) * 2015-06-10 2017-01-05 株式会社デンソー 車両用衝突判定装置
JP2017030703A (ja) * 2015-08-06 2017-02-09 トヨタ自動車株式会社 車両用エアバッグ制御システム
CN107082056A (zh) * 2016-02-15 2017-08-22 丰田自动车株式会社 乘员保护装置的起动控制装置

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