JP2003053911A - ポリスチレン系樹脂積層発泡シート成形容器 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂積層発泡シート成形容器

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JP2003053911A
JP2003053911A JP2001242767A JP2001242767A JP2003053911A JP 2003053911 A JP2003053911 A JP 2003053911A JP 2001242767 A JP2001242767 A JP 2001242767A JP 2001242767 A JP2001242767 A JP 2001242767A JP 2003053911 A JP2003053911 A JP 2003053911A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチレンダイマー及びスチレントリマーの食
品スープ中への溶出がきわめて少なく、容器打ち抜き性
に優れ、箸やフォークの突き刺しによる穴あきを防止し
たポリスチレン系樹脂積層発泡シートを成形した容器を
得る。 【解決手段】 ポリスチレン系樹脂発泡シート(A)の
少なくとも一方の表面に、厚み25〜200μmのポリ
スチレン系樹脂非発泡フィルム(B)を積層し、更に一
方の該ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム(B)の表面
に、厚み10〜100μmのポリオレフィン系非発泡フ
ィルム(C)を積層したポリスチレン系樹脂積層発泡シ
ートを、ポリオレフィン系非発泡フィルム(C)面が内
側となるように成形した容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリスチレン系樹
脂積層発泡シート、容器及びそれらに適した積層樹脂組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリスチレン系樹脂発泡シートは,熱成
形に優れ,得られた成形品の外観が美麗で,しかも軽量
で断熱性に優れるなどの特徴を有する為,食品容器等の
熱成形用として近年大量に使用されている。しかし,ポ
リスチレン系樹脂シート中には一部で環境ホルモンの疑
いがあるといわれているスチレンダイマー及びスチレン
トリマーが含まれている。これらには環境ホルモン作用
が無いことを示す新たな研究結果が公表されてはいる
が、一度社会的に問題とされたものを嫌う傾向はあり、
食品のスープ中への溶出量を抑制する社会的ニーズがあ
る。とくに、容器成形時の割れ(打ち抜き加工性)、商
品輸送中における食品と容器内壁の接触による微粉発
生、箸やフォークの突き刺しによる穴あきの防止などを
目的に容器の内側に塊状重合にて製造したハイインパク
トポリスチレンからなるフイルムを積層している、いわ
ゆる積層発泡シート容器においては、スチレンダイマー
及びスチレントリマーの溶出量を効果的に抑制する技術
が無かった。特開平2−151430には、オレフィン
系フィルムとポリスチレン系フィルムを積層したフィル
ムを耐熱ポリスチレン発泡シートに積層した積層発泡シ
ートが示されているが、その目的は耐熱性・耐油性の向
上であり、本発明のように、通常のポリスチレン発泡シ
ートから成形した容器のスチレンダイマー及びスチレン
トリマー低減や容器の強度を向上するという課題、構成
および効果の示唆は全くない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、スチレンダ
イマー及びスチレントリマーの食品スープ中への溶出が
きわめて少なく、容器打ち抜き性に優れ、箸やフォーク
の突き刺しによる穴あきを防止したポリスチレン系樹脂
積層発泡シートを成形した容器を得ることを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決する為に鋭意検討した結果、ポリスチレン系樹脂積
層発泡シートのポリスチレン系樹脂非発泡フィルム
(B)面が内側となる様成形された容器において、ポリ
スチレン系樹脂非発泡フィルム(B)層が含有するスチ
レンダイマー・トリマー量が少なければ溶出量は減少す
るが、積層加工及び成形加工時にポリスチレン系樹脂非
発泡フィルム(B)表面が受けるストレスにより、該フ
ィルム表面にクレーズと呼ばれる微少なクラック・亀裂
が発生し、スチレンダイマー及びスチレントリマーの溶
出が増加することを見いだした。本発明者らは、これら
の事象に着目し、鋭意検討を行った結果、ポリスチレン
系樹脂積層発泡シートのポリスチレン系樹脂非発泡フィ
ルム(B)表面にポリオレフィン系樹脂非発泡フィルム
(C)を積層する事により、積層加工及び成形加工時に
ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム(B)へのストレス
を減少させることができ、表面のクレーズを大幅に減少
でき、本発明の目的を達成しうることを見いだし、本発
明を完成した。すなわち、本発明は、(1)ポリスチレ
ン系樹脂発泡シート(A)の少なくとも一方の表面に、
厚み25〜200μmのポリスチレン系樹脂非発泡フィ
ルム(B)を積層し、更に一方の該ポリスチレン系樹脂
非発泡フィルム(B)の表面に、厚み10〜100μm
のポリオレフィン系非発泡フィルム(C)を積層してな
ることを特長とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート
をポリオレフィン系非発泡フィルム(C)面が内側とな
るように成形した、スチレンダイマーおよびスチレント
リマーのヘプタン溶出量が100ppb以下となること
を特徴とする容器(請求項1)、(2)ポリスチレン系
樹脂非発泡フィルム(B)が二層以上のポリスチレン系
樹脂非発泡フィルムの積層体である請求項1記載の容器
(請求項2)、(3)ポリスチレン系樹脂非発泡フィル
ム(B)の厚みが80〜200μmである請求項1また
は2記載の容器(請求項3)、(4)ポリオレフィン系
非発泡フィルム(C)の厚みが20〜50μmである請
求項1〜3いずれかに記載の容器(請求項4)、(5)
スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有量が13
00ppm以下であるポリスチレン系樹脂組成物をポリ
スチレン系樹脂非発泡フィルム(B)に用いる請求項1
〜4いずれかに記載の容器(請求項5)、(6)ポリス
チレン系樹脂非発泡フィルム(B)に用いられるポリス
チレン系樹脂組成物が、ポリスチレン系樹脂とスチレン
系ゴムとの混合物からなり、樹脂組成物中の全ゴム成分
量が1〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜
5いずれかに記載の容器(請求項6)、(7)ポリスチ
レン系樹脂非発泡フィルム(B)に用いられるポリスチ
レン系樹脂が、懸濁重合で製造したものである請求項1
〜6のいずれかに記載の容器(請求項7)、(8)ポリ
スチレン系樹脂非発泡フィルム(B)に用いられるスチ
レン系ゴムが、スチレン−ブタジエンブロック共重合体
である請求項1〜7記載の容器(請求項8)、および
(9)ポリオレフィン系非発泡フィルム(C)の基材樹
脂にポリエチレン系樹脂を使用する事を特徴とする請求
項1〜8のいずれかに記載の容器(請求項9)、に関す
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において発泡シート表面に
積層するポリオレフィン系樹脂非発泡フィルム(C)の
厚みは、10〜100μmが好ましく、更に好ましく
は、20〜50μmである。成形時のストレスによるポ
リスチレン系樹脂非発泡フィルム(B)表面のクレーズ
発生を抑制するために、厚みは10μm以上でなければ
ならない。厚みが10μm未満では成形加工時のストレ
スに耐えきれず、ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム
(B)表面のクレーズ発生を抑制できなくなる。また、
厚み100μmを超えるとコスト高になるため好ましく
ない。更に、良好な積層加工性を得るためには50μm
以下が更に好ましい。
【0006】ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチ
レン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が好ましく使用され
る。詳しくは、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエ
チレン、低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹
脂、エチレン・プロピレンランダムポリマー、エチレン
・プロピレンブロックポリマー、エチレンプロピレンブ
テン−コポリマー等のポリプロピレン系樹脂が挙げられ
る。特に、食品スープ、ヘプタンによるポリスチレン系
樹脂非発泡フィルム(B)からのスチレンダイマー,ト
リマーの溶出を抑制するためには、ポリエチレン系樹脂
が好ましく使用される。特に線状低密度ポリエチレンは
機械強度、加工特性に優れることから好ましく用いられ
る。本発明において容器の内側に積層するポリスチレン
系樹脂非発泡フイルム(B)の厚みが25μm未満では
フィルム層の強度が不足し、箸やフォークの突き刺しに
よる穴あきを防止できない。更に、容器全体の強度を十
分に確保するためには、80μm以上であることが好ま
しい。また、厚み200μmを超えるとコスト高となる
ため好ましくない。該ポリスチレン系樹脂非発泡フイル
ム(B)を構成するポリスチレン系樹脂組成物として
は、ポリスチレン系樹脂、または、これにスチレン系ゴ
ムを混合した物が用いられ、ポリスチレン系樹脂として
は、懸濁重合または溶液重合で製造されたものが好まし
い。
【0007】ポリスチレン系樹脂非発泡フイルム(B)
に使用されるポリスチレン系樹脂としては、本発明の効
果を損なわない範囲で有ればスチレンを50重量%以上
含めば共重合体であっても良い。共重合成分としては、
1,3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン、α
−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルス
チレン、クロルスチレンなどのスチレン系誘導体、メチ
ルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、セチルメタクリレート
などのアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、ある
いはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフ
マレートなどの各種単量体が挙げられ、これらの単量体
を単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
また、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタ
クリレートなどの2官能性単量体を併用してもよい。こ
のようなものの中で耐熱性、機械的性質、コストなどの
バランスにおいて好ましいものとして、スチレン単独重
合体であるポリスチレン、1,3−ブタジエンとの共重
合体であるハイインパクトポリスチレンがある。
【0008】このようなポリスチレン系樹脂の重量平均
分子量は,好ましくは20万以上50万以下,更に好ま
しくは25万以上45万以下である。重量平均分子量が
20万未満では得られる積層樹脂が脆くなり好ましくな
い。また,重量平均分子量が45万を越えると,積層時
の加工性が低下する。ポリスチレン系樹脂の重合方法と
しては懸濁重合法または溶液重合法で製造されたものが
好ましく特にコストの点で懸濁重合法が好ましい。
【0009】積層フイルム樹脂としてポリスチレンに混
合して用いられるスチレン系ゴムとしては、スチレン−
ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブ
ロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレンブロッ
ク共重合体などがあげられる。これらのなかでは、容器
成形時の割れ(打ち抜き加工性)、商品輸送中における
食品と容器内壁の接触による微粉発生、箸やフォークの
突き刺しによる穴あきなどの防止効果が大きく、発泡シ
ートの基材樹脂であるポリスチレン系樹脂との接着性、
コストの点から、スチレン−ブタジエンブロック共重合
体が好ましい。スチレン−ブタジエンブロック共重合体
は、アルカリを基材とした開始剤による溶液重合(リビ
ングアニオン重合法)により重合することができる。な
お、本発明の効果を損なわない範囲でスチレン、ブタジ
エン以外の単量体として1,3−ペンタジエン、イソプ
レンなどの共役ジエンを用いてもよい。
【0010】スチレン系ゴムの200℃、荷重5kgfに
おけるメルトフローレート(以下、MFRと略す)が5
〜30の範囲が好ましく、ゴム成分含有量は30〜90
重量%が好ましい。この範囲外のスチレン系ゴムはポリ
スチレン系樹脂への分散性が悪く、容器成形時の割れ
(打ち抜き加工性)、商品輸送中における食品と容器内
壁の接触による微粉発生、箸やフォークの突き刺しによ
る穴あきなどの防止効果が得られにくい。
【0011】本発明のポリスチレン系樹脂非発泡フィル
ム(B)に用いられるポリスチレン系樹脂組成物は、ポ
リスチレン系樹脂とスチレン系ゴムとの混合物が好まし
く用いられ、樹脂組成物中の全ゴム成分量が好ましくは
1〜30重量%、さらに好ましくは2〜15重量%がよ
い。全ゴム成分量が1重量%未満では、容器成形時の割
れ、商品輸送中における食品と容器内壁の接触による微
粉発生、箸やフォークの突き刺しによる穴あきなどの防
止効果が得られにくく、30重量%を越えると積層加工
性が低下する。
【0012】このようにして得られたポリスチレン系樹
脂非発泡フィルム(B)用樹脂組成物は、以下に述べる
ポリスチレン系樹脂発泡シート(A)に対して種々の方
法によりフイルムの状態で積層することができるが、積
層樹脂組成物中のスチレンダイマー及びスチレントリマ
ーの合計の含有量は好ましくは1300ppm以下であ
る。1300ppmを越えると、積層樹脂組成物から得
られたポリスチレン系樹脂積層発泡シートの容器からの
スチレンダイマー及びスチレントリマーの溶出量を大き
く低下させ、スチレンダイマーおよびスチレントリマー
のヘプタン溶出量が100ppb以下の容器を得ること
が困難になる。
【0013】本発明に用いられるポリスチレン系樹脂発
泡シート(A)は、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とす
るもので、通常の押出発泡によって製造される。ここで
使用するポリスチレン系樹脂は特に制限はなく、塊状重
合、懸濁重合、溶液重合など通常の重合法によって製造
されるものであれば特に限定しないが、これらのうちで
は懸濁重合、溶液重合によって得られたものが、スチレ
ンダイマー及びスチレントリマーの含有量が少ない点で
好ましい。
【0014】前記ポリスチレン系樹脂発泡シート(A)
製造時に用いられる発泡剤としては、脂肪族炭化水素類
であるプロパン、ブタン、イソブタン,ペンタン,イソ
ペンタン,ヘキサンなど,脂環式炭化水素類であるシク
ロペンタン,シクロヘキサンなど,ハロゲン化炭化水素
類であるメチルクロライド,メチレンクロライド,ジク
ロロフルオロメタン,クロロフルオロメタン,クロロジ
フルオロメタン,トリクロロフルオロメタン,トリクロ
ロトリフルオロエタン,ジクロロテトラフルオロエタン
などがあげられる。又、発泡剤量はポリスチレン系樹脂
100重量部に対し、2〜5重量部用いるのが好まし
い。これらは、単独もしくは2種以上を併せて用いるこ
とができ、ポリスチレン系樹脂製造時に添加含浸しても
良いし、押し出し発泡シート化時に添加しても良い。
【0015】前記ポリスチレン系樹脂発泡シート(A)
製造時に用いる造核剤としては、特に限定はなく,通常
使用しうる造核剤であれば使用しうる。具体例として
は,タルク,炭酸カルシウム,硫酸バリウム,シリカ,
酸化チタン,クレー,酸化アルミニウム,ベントナイ
ト,ケイソウ土などの無機化合物であって,平均粒径が
0.1〜20ミクロン,好ましくは1〜10ミクロン程
度のもの;クエン酸,酒石酸,シュウ酸,などの有機
酸;ホウ酸などの酸とナトリウム,カリウム,アンモニ
ウムなどの重炭酸塩または炭酸塩との組み合わせからな
るものなどがあげられる。これらの造核剤は,通常単独
で使用されるが,2種以上組み合わせて用いても良い。
これらの内,タルク,炭酸カルシウム,シリカ,アルミ
ナなどの無機化合物が安価であり,かつ取り扱いやすい
点で好ましい。また該ポリスチレン系樹脂発泡シート
(A)には,充填剤・難燃剤・着色剤・紫外線吸収剤・
酸化防止剤などを含有していても良い。本発明のポリス
チレン系樹脂発泡シート(A)にポリスチレン系樹脂非
発泡フィルム(B)及びポリオレフィン系樹脂非発泡フ
ィルム(C)を積層する方法は、特に限定はない。例え
ば、予めフイルム状に成形した樹脂組成物を供給される
発泡シートに熱ロールなどにより熱融着させて接着する
方法、接着剤を介して接着する方法、発泡シート表面に
Tダイから樹脂組成物を直接押出し積層する方法などが
あげられ、各層を別々の方法で積層しても良い。特に好
ましい態様として、フィルム表面にダメージを与えず、
ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム(B)とポリオレフ
ィン系樹脂非発泡フィルム(C)の良好な接着力を得る
積層方法として、ポリスチレン系樹脂組成物をTダイを
用いて発泡シート(A)表面に直接押出してポリスチレ
ン系樹脂非発泡フィルム(B1)を積層すると同時に、
ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム(B2)とポリオレ
フィン系樹脂非発泡フィルム(C)を接着剤を介して、
もしくは共押出により接着剤を介さないで積層したフィ
ルムをポリオレフィン系樹脂非発泡フィルム(C)が最
外面となる様に、ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム
(B1)面上に、積層した上で冷却ロールなどで積層発
泡シートを冷却し固着する方法が採用される。ここでポ
リスチレン系樹脂非発泡フィルム(B2)はポリスチレ
ン系樹脂非発泡フィルム(B1)とポリオレフィン系樹
脂非発泡フィルム(C)の良好な接着力を得るために形
成されるもので、厚みはB2<B1である。なお、ポリ
スチレン系樹脂非発泡フィルム(B)の厚みは二層以上
になる場合は合計の厚みであり、上記例では、(B)=
(B1)+(B2)である。
【0016】このようにして得られたポリスチレン系樹
脂積層発泡シート中のスチレンダイマー及びスチレント
リマーの合計の含有量は好ましくは1500ppm以下
である。1500ppmを越えると、ポリスチレン系樹
脂積層発泡シートから得られた容器からのスチレンダイ
マー及びスチレントリマーの溶出量を大きく低下させ、
スチレンダイマーおよび、スチレントリマーのヘプタン
溶出量が100ppb以下の容器を得ることが困難にな
る。
【0017】本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シー
ト容器は、通常の発泡シートの成形と同様に、真空・圧
空成形等によって製造することができる。このようにし
て得られたフィルム面を内側にした積層発泡シート容器
からのスチレンダイマー及びスチレントリマーの溶出量
はきわめて少なく、ヘプタンへの溶出量で100ppb
以下が達成できる。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例、比較例によってさら
に詳細に説明するが,本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。 [積層樹脂組成物中のスチレンダイマー及びスチレント
リマーの測定]積層樹脂組成物フイルムまたは積層発泡
シートをクロロホルムに溶解しGCにて測定した。
【0019】GC:ヒューレットパッカード製 GC−
5890シリーズII カラム:J&W Scientific社製 DB−5 0.25m
mi.d.30m膜厚0.25ミクロン カラム温度:40℃(0.5分)→10℃/分→100
℃→20℃/分→280℃(15分) 検出器:FID [スチレンダイマー及びスチレントリマーの溶出量の測
定]食品衛生法、器具及び容器包装の規格基準、溶出試
験における試験溶液の調製法の規定に準じて測定した。
【0020】ポリスチレン系樹脂積層発泡シート容器
(口径155mm、底部直径140mm、深さ50mm
の内容積850cm3の円錐台状に成形した容器)にへ
プタンを580cc入れ、25℃で60分放置し、へプ
タン中のスチレンダイマー及びスチレントリマー量をG
C/MS−SIMで測定した。
【0021】GC/MS:ヒューレットパッカード製
HP6890シリーズII/HP5973。
【0022】カラム:J&W Scientific社製 DB−
5MS 0.25mmi.d.30m膜厚0.25ミクロン。 カラム温度:40℃(0.5分)→10℃/分→100
℃→20℃/分→280℃(15分)。 [突刺強度の測定]食品衛生法に定められた方法に準じ
て突刺強度を測定した。
【0023】ポリスチレン系樹脂積層発泡シート容器
(口径155mm、底部直径140mm、深さ50mm
の内容積850cm3の円錐台状に成形した容器)の底
部を切り出し、非発泡フィルム積層面に直径1.0m
m、先端形状半径0.5mmの半円形の針を毎分50±
0.5mmの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大
荷重を測定した。 (製造例) 攪拌機を具備した反応器に,純水700k
g,第三リン酸カルシウム1.05kg,ドデシルベン
ゼンスルフォン酸ナトリウム46g,塩化ナトリウム
3.3kg入れ攪拌し水懸濁液とした後,スチレン70
0kgに重合開始剤として,ベンゾイルパーオキサイド
1.33kg,1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.7kgを溶
解し,反応器に加え,98℃に昇温してから4時間かけ
て重合した。次いで,120℃に昇温して2時間保持し
た後冷却して,その内容物を取り出し脱水・乾燥し,ポ
リスチレン樹脂を得た。 (実施例1) 製造例で得られた懸濁重合ポリスチレン
樹脂から通常の方法で製造された厚さ2mm、発泡倍率
8倍、厚み方向の気泡数16個の発泡シートの表面に、
Tダイを使用して製造例で得られた懸濁重合ポリスチレ
ン樹脂とスチレン−ブタジエンブロック共重合体(旭化
成製;「タフプレンA」、ゴム含有量60重量%、MI
=13)を混合したものを押し出し、120μmのフィ
ルムを積層しつつ、更にその表面に厚さ30μmの線状
低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(大倉工業
(株)製 L−LDPEフィルム)と厚さ25μmのポ
リスチレン(PS)フィルム(東和化工(株)製 スチ
ロンD)を予め接着剤にて積層したフィルムをLLDP
Eフィルム面が最外面となるように積層した。得られた
積層発泡シートおよび積層されたフイルム部分のスチレ
ンダイマー及びスチレントリマー量をガスクロマトグラ
フィーによりそれぞれ測定した。
【0024】次に、上記積層発泡シートを積層フイルム
が容器の内側になるようにポリスチレン発泡シート成形
用の小型単発成形機を用い、150℃の炉内で発泡シー
トを13〜15秒間加熱した後、60℃に温度調整した
金型で口径155mm、底部の直径140mm、深さ5
0mmの容器を成形し、得られた容器をトムソン刃で打
ち抜いて取り出した。得られたポリスチレン系樹脂積層
発泡シート容器中からのn−ヘプタンへのスチレンダイ
マー及びスチレントリマーの溶出量及び突刺強度を測定
した。測定結果を表1に示す。 (実施例2) 実施例1で使用した発泡シートの表面
に、Tダイを使用して製造例で得られた懸濁重合ポリス
チレン樹脂とスチレン−ブタジエンブロック共重合体
(旭化成製;「タフプレンA」、ゴム含有量60重量
%、MI=13)を混合したものを押し出し、120μ
mのフィルムを積層した。更にその表面に30μmの線
状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(大倉工
業(株)製L−LDPEフィルム)を接着剤を用いて積
層し、積層発泡シートを得た。得られた積層発泡シート
を実施例1と同じ方法で容器に成形し、実施例1と同じ
方法で評価した結果を表1に示した。 (実施例3) 実施例1で使用した発泡シートの表面
に、Tダイを使用して製造例で得られた懸濁重合ポリス
チレン樹脂とスチレン−ブタジエンブロック共重合体
(旭化成(株)製;「タフプレンA」、ゴム含有量60
重量%、MI=13)を混合したものを押し出し、10
0μmのフィルムを積層しつつ、更にその表面に18μ
mのポリプロピレン(PP)フィルムと7μmのPSフ
ィルムを共押出にて積層したフィルム(大日本インキ
(株)製 DIFAREN)をPPフィルムが最外面と
なるように積層し、積層発泡シートを得た。得られた積
層発泡シートを実施例1と同じ方法で容器に成形し、実
施例1と同じ方法で評価を行った結果を表1に示す。 (比較例1〜2) 実施例1で使用した30μmのLL
DPEフィルムと25μmのPSフィルムを予め接着剤
で積層したフィルムを積層しないこと以外は、実施例1
と同じ方法で積層発泡シート及び容器を作製し、実施例
1と同じ方法で評価を行い、結果を表1に示す。 (比較例3) 実施例1で使用した発泡シートの表面
に、18μmのPPフィルムと7μmのPSフィルムを
共押出にて積層したフィルム(大日本インキ(株)製
DIFAREN)をPPフィルムが最外面となるように
熱ロールにて積層し、積層発泡シートを得た。得られた
積層発泡シートを実施例1と同じ方法で容器に成形し、
実施例1と同じ方法で評価を行った結果を表1に示す。 (比較例4) 発泡シートが市販の塊状重合のポリスチ
レン樹脂、積層フイルムが市販の塊状重合ハイインパク
トポリスチレン(旭化成;スタイロンHIPS、ゴム含
有量7重量%)から製造したこと以外は、比較例1〜2
と同様にして積層発泡シートおよび容器を作製し、評価
を行った結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】本発明によれば,スチレンダイマー及び
スチレントリマーの食品スープ中への溶出がきわめて少
なく、容器打ち抜き性に優れ、箸やフォークの突き刺し
による穴あきを防止したポリスチレン系樹脂積層発泡シ
ートを成形した容器を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E033 AA08 BA22 BB08 CA09 FA04 4F100 AK03D AK12A AK12B AK12C AK12E AK73B AK73C AL05B AL05C AN02B AN02C BA04 BA05 BA10A BA10C BA25B BA25C BA25D DJ01A GB16 GB23 JB08 JC00 YY00B YY00C YY00D

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリスチレン系樹脂発泡シート(A)の
    少なくとも一方の表面に、厚み25〜200μmのポリ
    スチレン系樹脂非発泡フィルム(B)を積層し、更に一
    方の該ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム(B)の表面
    に、厚み10〜100μmのポリオレフィン系非発泡フ
    ィルム(C)を積層したポリスチレン系樹脂積層発泡シ
    ートを、ポリオレフィン系非発泡フィルム(C)面が内
    側となるように成形した、スチレンダイマーおよびスチ
    レントリマーのヘプタン溶出量が100ppb以下とな
    ることを特徴とする容器。
  2. 【請求項2】 ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム
    (B)が二層以上のポリスチレン系樹脂非発泡フィルム
    の積層体である請求項1記載の容器。
  3. 【請求項3】 ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム
    (B)の厚みが80〜200μmである請求項1または
    2記載の容器。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィン系非発泡フィルム(C)
    の厚みが20〜50μmである請求項1〜3いずれかに
    記載の容器。
  5. 【請求項5】 スチレンダイマー及びスチレントリマー
    の含有量が1300ppm以下であるポリスチレン系樹
    脂組成物をポリスチレン系樹脂非発泡フィルム(B)に
    用いる請求項1〜4いずれかに記載の容器。
  6. 【請求項6】 ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム
    (B)に用いられるポリスチレン系樹脂組成物が、ポリ
    スチレン系樹脂とスチレン系ゴムとの混合物からなり、
    樹脂組成物中の全ゴム成分量が1〜30重量%である請
    求項1〜5いずれかに記載の容器。
  7. 【請求項7】 ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム
    (B)に用いられるポリスチレン系樹脂が、懸濁重合で
    製造したものである請求項1〜6のいずれかに記載の容
    器。
  8. 【請求項8】 ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム
    (B)に用いられるスチレン系ゴムが、スチレン−ブタ
    ジエンブロック共重合体である請求項1〜7いずれかに
    記載の容器。
  9. 【請求項9】 ポリオレフィン系非発泡フィルム(C)
    の基材樹脂にポリエチレン系樹脂を使用する事を特徴と
    する請求項1〜8のいずれかに記載の容器。
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