JP4480455B2 - 深絞り成形に優れるポリスチレン系樹脂積層発泡シート - Google Patents

深絞り成形に優れるポリスチレン系樹脂積層発泡シート Download PDF

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Description

本発明は、インスタントらーめん等の深絞り成形容器に使用される強度の優れたスチレン系樹脂積層発泡シートに関する。
インスタントらーめん等の容器には、ポリスチレン系樹脂発泡シートの表面にポリスチレン系樹脂非発泡フィルム層を積層したポリスチレン系樹脂積層発泡シートが、軽量で、断熱性が高く、高強度の割れ難い容器が得られるため、多量に使用されている。最近では、インスタントらーめんの容量増加によって、容器の口元部の内径と深さとの比である絞り比の高い(深絞り)容器が多く使用される傾向にある。インスタントらーめん等の容器は、食品メーカーにおいて「油揚げ」または「非油揚げ」のいずれかの方法によって乾燥され熱を帯びた状態の麺や具材等を充填された後、アルミなどの蓋材でシールされ、さらに、収縮フィルムシートで包装され、出荷される。一連の工程において、絞り比の高い(深絞り)容器を用いた場合、充填された具材が冷えた際、シールによって密閉された容器内部が減圧状態となるため、容器口元部または底部において座屈によるシワ(以後、口元シワまたは底部シワと呼ぶ)が発生する。前記シワの発生によって、容器の外観は著しく損なわれ、問題となる。
従来、強度の優れた深絞り成形容器を得るために、ポリスチレン系樹脂発泡シートの基材樹脂として、特定の分子量分布に有するポリスチレン系樹脂組成物を含有させる方法(例えば、特許文献1)、ポリスチレン系樹脂発泡シートの残存発泡剤量および表層部の密度を特定の範囲内に調整する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、どちらの方法も、絞り比0.6以上の、特に絞り比0.8以上の深絞り容器において発生する、上記問題を解決するには不十分であった。
特開平3−103450 特開2001−310405
本発明は、強度に優れた容器を成形することが可能な、深絞り成形性に優れたスチレン系樹脂積層発泡シートを提供することを目的とする。
発明者らは、絞り比0.6以上の、特に絞り比0.8以上の深絞り成形して得られる容器が、減圧状態におかれても口元シワまたは底部シワを発生させない方法を鋭意研究した結果、容器が特定のシール容器耐圧および天地圧縮強度を有していれば口元シワおよび底部シワが発生しないこと、および、そのためにポリスチレン系樹脂積層発泡シートを構成する発泡シートと非発泡フィルムのそれぞれの目付、発泡シートの表層部(特にフィルムを積層していない面側の表層部)の密度および残存発泡剤量を特定の値に調整することが有効であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、目付量が300〜400g/m2以上、残存発泡剤量が2.3〜3.0重量%、フィルムを積層しない面の表面から厚み100μmの表層部の密度が0.35〜0.5g/cm3 、および、独立気泡率が85%以上であるポリスチレン系樹脂発泡シートに、目付量が160〜210g/m2であるポリスチレン系樹脂非発泡フィルムを積層してなる、厚みが1.5〜2.2mmであるスチレン系樹脂積層発泡シート(請求項1)、ポリスチレン系樹脂発泡シートが、低分子量飽和炭化水素混合物および/または脂肪酸エステルを0.5重量部以上、5.0重量部未満含有する、請求項1記載のスチレン系樹脂積層発泡シート(請求項2)、請求項1または2に記載のスチレン系樹脂積層発泡シートを成形して得られる容器であって、底部/全体の重量比が0.10〜0.13、シール容器耐圧が675mmHg以下、および天地圧縮強度が9kgf以上である容器(請求項3)、および、絞り比0.8以上である、請求項3に記載の容器(請求項4)に関する。
本発明によるポリスチレン系樹脂発泡積層シートを成形することにより、強度の優れた深絞り成形容器が得られる。
本発明におけるポリスチレン系樹脂発泡シートとは、スチレン系モノマーの単独重合樹脂、スチレン系モノマーと各種ビニールモノマーおよびジビニールモノマーとの共重合樹脂、オレフィン系単独および共重合樹脂やスチレン−ブタジエン共重合樹脂等へのスチレン系モノマーのグラフト重合樹脂、並びに、これら重合樹脂の混合樹脂組成物からなるスチレン系樹脂を押出発泡したものである。
押出発泡による発泡シート製造プロセスは、広く一般に行われている方法で行うことができる。例えば、ポリスチレン系樹脂に造核剤などを混合した樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混合し、発泡剤を圧入した後、更に、発泡に適した温度となるまで溶融樹脂を冷却した後、サーキュラー・ダイより低圧域に押出し(すなわち、圧力開放による発泡を行い)、円筒状発泡体を得、円筒状発泡体の内面側から冷却するように円筒状発泡体の内側に位置して設置された円筒状冷却筒にて成形した後、切り開いて発泡シートを得られる方法が知られている。
本発明で用いられる発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタンなどの物理発泡剤、または、重曹−クエン酸などの化学発泡剤があげられる。また、工業的にはブタンが多用される。なかでも、シートの熱成形性および発泡剤ガスの保持性の観点から、イソブタン70〜100重量%およびノルマルブタン0〜30重量%からなる混合ブタンを用いることが好ましい。
本発明で用いられる造核剤としては、多孔質無機粉末、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、酸化チタン、クレー、酸化アルミニウム、ベントナイト、ケイソウ土、タルク等が使用できる。また、必要に応じて、樹脂中の造核剤の分散をよくするために、エチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等の滑剤等を添加しても良い。
本発明における、ポリスチレン系樹脂発泡シートの目付量は、300〜400g/m 2 に限定される。目付量が300g/m2未満であれば、容器強度を満足する容器を得ることができない。また、ポリスチレン系樹脂発泡シートの目付量の増加は、容器強度の向上に繋がる反面、コストアップになることから、400g/m2以下に限定される
本発明においては、押出発泡法にてポリスチレン系樹脂発泡シートを製造する際、ポリスチレン系樹脂発泡シート表面に空気を吹き付けて急冷することにより、ポリスチレン系樹脂発泡シートの表層部の密度を高くすることができる。目標とする表層部の密度を得るためには、押出直後のシート表面温度、押出樹脂吐出量、シート引き取り速度等に合わせて、冷却空気の温度、風量、風速および吹き付け位置を適宜調整すればよい。
本発明においては、ポリスチレン系樹脂発泡シートのフィルムを積層しない面については、表面から厚み100μmの表層部の密度が0.35〜0.50g/cmであることが好ましい。ポリスチレン系樹脂発泡シートの表層部の密度を前記のように制御することにより、ポリスチレン系樹脂発泡シートの表面に剛直な層を形成し、前記剛直な層の補強効果により、得られる容器の圧縮強度を向上することができ、また、ポリスチレン系樹脂発泡シートの成形時に延伸される際、ポリスチレン系樹脂発泡シートのセル膜の破断を防ぐことができ、成形伸びの改善ができる。表層100μmの表層部の密度が0.35g/cm未満であれば、補強効果が不十分となり、得られる容器の容器強度が低下したり、また、成形時の延伸の際、セル膜が破断して容器の内面割れが発生する傾向がある。また、0.50g/cmを越えると、ポリスチレン系樹脂発泡シート表面の伸びが極端に低下し、得られる成形体にナキ(局所的に発泡シートが引き延ばされる現象)が発生する傾向がある。なお、ポリスチレン系樹脂発泡シートの表層部の密度は、表層部(表面から100μm)を削り出し、その重さを測定することにより、求められる。
また、ポリスチレン系樹脂発泡シートの成形伸びを改善する方法として、低分子量飽和炭化水素混合物および/または脂肪酸エステルを可塑剤として添加することが有効である。
本発明において使用される低分子量飽和炭化水素混合物および/または脂肪酸エステルとしては、具体的に、流動パラフィン、天然パラフィン、パラフィンワックス、ポリオレフィンパラフィンがあげられ、これらのうちでも、コストの点から、流動パラフィンが好ましい。
本発明における低分子量飽和炭化水素混合物および/または脂肪酸エステルの添加量は、樹脂100重量部に対し、0.5〜5.0重量部が好ましく、1.0〜2.0重量部がより好ましい。0.5重量部よりも少ないと容器成形時の伸び改善には効果が無い傾向があり、また、5重量部より多いと押出発泡時の樹脂吐出が不安定となり、均一な厚み、目付のシートが得られず、また、押出時に揮発成分が増え、目やに、オイルミスト等の原因になりやすく、生産性が低下する傾向がある。
本発明における低分子量飽和炭化水素および/または脂肪酸エステルの添加の方法は、特に限定されないが、ポリスチレン系樹脂原料と一緒に混合して押出機に供給しても良いし、ポリスチレン樹脂を重合する際にあらかじめ添加しておいてもよい。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートの残存発泡剤量は、主に、ポリスチレン系樹脂の押出発泡による製造時の発泡剤の圧入量、および発泡時のポリスチレン系樹脂の樹脂温度によって決まる。また、前述したポリスチレン系樹脂発泡シートの表層部の密度を上げることも、ポリスチレン系樹脂発泡シート表面からの発泡剤の散逸を抑える効果も有し、残存発泡剤量の確保に有効である。ポリスチレン系樹脂発泡シートに残存発泡剤(ガス)量が多くなれば多くなるほど、ポリスチレン系樹脂発泡シートのセル内のガス圧力が高くなり、容器強度が向上する。十分に強度の高い容器を得るためには、残存発泡剤量が2.3〜3.0重量%であることが好ましく、2.5〜2.8重量%であることがより好ましい。残存発泡剤量が2.3重量%未満であれば、得られる容器の容器強度が低下する傾向がある。また、残存発泡剤量が3.0重量%を越える場合には、ポリスチレン系樹脂非発泡フィルムとの積層時にポリスチレン系樹脂発泡シートから発泡剤ガスが散逸して、両者の積層界面に空隙が生じ、成形の加熱時にポリスチレン系樹脂非発泡フィルムとポリスチレン系樹脂発泡シートとの界面が剥離し、いわゆる火膨れ現象を生じさせ、容器外観が大きく損なわれる傾向がある。
本発明においては、ポリスチレン系樹脂発泡シートの独立気泡率は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート中の発泡剤ガスの散逸を抑え、長期間での強度物性を維持するために、85%以上に限定され、90%以上が好ましい。独立気泡率が85%未満の場合には、発泡シートの残存発泡剤の散逸が早くなり、気泡内の圧力が維持できず、強度が大幅に低下する他、成形時の加熱による二次発泡力も低下するため、良好な成形が不可能となる傾向がある。なお、ポリスチレン系樹脂発泡シートの独立気泡率は、Air Comparison Pycnometer(例えば、BECKMAN製model1930等)を用いて測定することができる。
本発明における、ポリスチレン系樹脂発泡シート表面に積層するスチレン系樹脂非発泡フィルムの樹脂としては、上記スチレン系樹脂発泡シートに使用されるスチレン系樹脂として例示したものが使用できるが、該ポリスチレン系樹脂発泡シートと同種の樹脂でも異種の樹脂でも良い。なかでも、スチレンモノマーおよびジエン系モノマーとの共重合樹脂よりなるゴム成分を含有するスチレン系樹脂フィルム、特にハイインパクトポリスチレン樹脂を原料としたフィルムが、発泡シートとの接着性およびフィルムの耐衝撃性の面から好ましい。
本発明におけるポリスチレン系樹脂発泡シート表面へのポリスチレン系樹脂非発泡フィルムの積層方法としては、公知のドライラミネート法、押出ラミネート法、共押出法等が利用でき、特に限定されない。ただし、なかでも、押出ラミネート法、すなわち、Tダイを使用して溶融状態の熱可塑性樹脂をポリスチレン系樹脂発泡シート表面上にフィルム状に押出して積層する方法が、成形性の確保の点から好ましい。
本発明においては、ポリスチレン系樹脂発泡シートの表面へ、ポリスチレン系樹脂の非発泡押出フィルム層を一層だけ積層しても良いし、該押出フィルム層を介して更に外面に熱可塑性樹脂非発泡フィルムを積層しても良い。
本発明における押出ラミネート法による積層方法においては、Tダイから押出されるフィルム状ポリスチレン系樹脂の温度を、使用する樹脂の流動性により適宜選定することが好ましい。フィルム状ポリスチレン系樹脂の樹脂温度がポリスチレン系樹脂発泡シートと溶融圧着するのに必要な温度に対し低すぎる場合には、ポリスチレン系樹脂発泡シートとの接着力が確保できなくなる傾向がある。一方、高すぎる場合には、フィルム状ポリスチレン系樹脂の有する熱により、ポリスチレン系樹脂発泡シートのポリスチレン系樹脂フィルム接着を行う側の表面に微細な気泡が発生し、成形時の火膨れの原因となったり、更に、外面に積層する他の熱可塑性樹脂非発泡フィルムが膨張・収縮を起こしてシワが発生する傾向がある。例えば、ハイインパクトポリスチレン樹脂(必要温度:225℃)の場合には、樹脂温度を210〜240℃とすることが好ましい。
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂非発泡フィルムとして、押出フィルムを一層だけ積層する場合には、該非発泡フィルムの目付量は160〜210g/mが好ましく、180〜200g/mがより好ましい。該非発泡フィルムの目付量が160g/m未満の場合には、曲面印刷適正が損なわれる傾向がある。また、210g/mを越える場合には、コストアップになる一方で、該非発泡フィルムの目付量の増加分ほどの容器強度の向上が見込めない傾向がある。
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、押出フィルム層を介して外面に積層される熱可塑性樹脂非発泡フィルムの素材としては、スチレン系樹脂以外にも、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の食品包装用途に適用可能な素材であれば、使用することが可能である。
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、押出フィルム層を介して外面に積層する熱可塑性樹脂非発泡フィルムは、Tダイ法やインフレーション法の公知の方法等で製造されるものであるが、その製造工程に於いて、ある程度の延伸が行われるため、該熱可塑性樹脂非発泡フィルムを積層することにより、容器強度の向上効果も期待できる。
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいては、予めグラビア法等の公知の方法により印刷を施した該熱可塑性樹脂非発泡フィルムフィルムを積層することにより、成形容器に意匠性を付与することも可能である。
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、押出フィルム層を介して積層される該熱可塑性樹脂非発泡フィルムの目付量は20〜40g/mが好ましく、25〜35g/mがより好ましく、ポリスチレン系樹脂非発泡フィルム層全体の目付量としては、160〜210g/mが好ましく、180〜200g/mがより好ましい。該熱可塑性樹脂非発泡フィルムの目付量が20g/m未満の場合、積層時に該熱可塑性樹脂非発泡フィルムにシワが発生しやすくなり、安定的な生産が困難となる傾向がある。また、40g/mを越えると、フィルム自体のコストが高くなる傾向がある。

本発明により得られるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、広く一般的に行われている加熱成形方法にて容器に成形することができる。すなわち、赤外線ヒーター等で加熱し、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを二次発泡させた後、金型で嵌合して容器形状を付与した後、シートから容器を打ち抜く方法である。加熱成形の例としては、具体的には、プラグ成形、マッチ・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、プラグアシスト成形、プラグアシスト・リバースドロー成形、エアスリップ成形、スナップバック成形、リバースドロー成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形などの方法があげられるが、容器形状の出方および表面性の点でマッチ・モールド成形成形が好ましい。
一般に、熱成形に使用される金型設計により、適正なポリスチレン系樹脂積層発泡シートの二次発泡厚みが決まる。一般に、丼形状を有する成形体を得るために熱成形を行う場合には、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの二次厚みとしては4.5〜6.0mm程度が求められ、これに合わせてポリスチレン系樹脂積層発泡シートの一次厚みを決める必要がある。
本発明においては、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの強度を十分引き出すためには、積層発泡シートの最大二次厚み(加熱してシートに焼けが発生する直前の二次発泡厚み)の80〜90%程度の二次厚みとなるように加熱して成形を行うことが望ましく、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの厚みは1.5〜2.2mmが好ましく、1.7〜2.0mmがより好ましい。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの厚みが1.5mm未満であれば、成形時の加熱を強くする必要があり、過剰な加熱による容器強度の低下や外観不良を招く傾向がある。また、厚みが2.2mmを越える場合には、成形時に十分な加熱を行うことができず、加熱不足のためにポリスチレン系樹脂積層発泡シートの伸びが不足し、ナキ(成形体において、局所的に発泡シートが引き延ばされる現象)等の成形不良が発生する傾向がある。
本発明におけるポリスチレン系樹脂積層シートを成形して得られる容器の底部/全体の重量比を特定の値とすることにより、得られた容器の口元および底部での強度のバランスをとることができる。
本発明におけるポリスチレン系樹脂積層シートを成形して得られる容器の底部/全体の重量比は、凸凹金型の作動タイミング、作動スピードの調整により、0.1〜0.13が好ましい。容器の底部/全体の重量比が0.1未満であれば天地圧縮強度が低く、底部シワが発生する傾向があり、0.13を超える場合には、口元シワが発生する傾向がある。なお、容器の底部/全体の重量比は、トムソン刃等の刃物により打ち抜いた容器の底部の重量を測定し、その比を算出したものである。
本発明におけるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを成形して得られる容器は、特定のシール容器耐圧を有することにより、絞り比の高い容器形状においても、シールによって密閉された容器内部が減圧状態となった際の、口元シワまたは底部シワの発生を抑えることができる。
本発明におけるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを成形して得られる容器のシール容器耐圧は、675mmHg以下が好ましく、650mmHg未満がより好ましい。容器のシール容器耐圧が675mmHgを超えるの場合には、口元シワが発生する傾向がある。また、シール容器耐圧は低ければ低い程、口元シワの発生は抑制されるが、本発明におけるポリスチレン系樹脂積層発泡シートでは、下限界としては610mmHgが好ましい。シール容器耐圧が610mmHg未満の場合には、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの強度が高くなる反面、脆く、割れやすくなり実用には適さない傾向がある。
なお、本発明でのシート容器耐圧は、図1に示す方法にて測定できる。すなわち、アルミシート蓋1をシールした容器2に、1mmφの穴を開けた後、容器2の底部が測定台3に密着するように載せ、測定台3に接続された真空ポンプ6を作動させて、容器2内を減圧状態とする。その際、リーク弁5の開度を調整し、5mmHg/5秒の速度で容器内部を減圧にし、口元シワが入った時点の減圧度を真空計6にて読み取り、シート容器耐圧とした。
本発明におけるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを成形して得られる容器は、特定の天地圧縮強度を有することにより、絞り比の高い容器形状においても、底部シワの発生 を抑えることができる。
本発明におけるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを成形して得られる容器の天地圧縮強度は、9kgf以上が好ましく、10kgf以上がより好ましい。容器の天地圧縮強度が9kgf未満の場合は、底部にシワが発生する傾向がある。なお、容器の天地圧縮強度は、容器の有する座屈強度の一測定法であるが、以下のように測定することができる。すなわち、オートグラフ(島津製作所製、DSS−1000)を用い、得られた容器の口元を下にして、2枚の板間に容器を挟んだ状態で、底部から100mm/分の速度で圧縮した時の降伏強度を測定して、容器の天地圧縮強度とした。
上記のように、容器のシート容器耐圧および天地圧縮強度を特定の値を有する、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを用いて、加熱成形により容器を成形することにより、絞り値の大きい容器、すなわち、絞り値0.6以上の容器、特に絞り値0.8以上の容器において、シールによって密閉された容器内部が減圧状態となった際の、口元シワまたは底部シワの発生を抑えることができる。
以下に、具体的な実施例を挙げて説明する。
実施例および比較例にて得られた、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートまたは容器に対する評価方法を、以下に示す。
(ポリスチレン系樹脂発泡シートの残存発泡剤量の測定)
得られたポリスチレン系樹脂発泡シートから10×10cmのサンプルを切り出し、乾燥前の重量と150℃の乾燥機中に30分間加熱した後の重量の重量変化から算出した。
(ポリスチレン系樹脂発泡シートの目付量の測定)
得られたポリスチレン系樹脂発泡シートから10cm角のサンプルを、幅方向に10点切り出し、その重量を測定して求めた。
(容器の底部/全体の重量比の測定)
得られた容器に関し、まず、全体の重量を測定した後、その底部を刃物(トムソン刃)により打ち抜きその底部の重量を測定し、その比を算出した。なお、測定は、1ショット36個について行い、その平均値をした。
(容器の天地圧縮強度の測定)
オートグラフ(島津製作所製、DSS−1000)を用い、得られた容器の口元を下にして、2枚の板間に容器を挟んだ状態で、底部から100mm/分の速度で圧縮した時の降伏強度を測定した。なお、測定は、1ショット36個について行い、その平均値をした。
(容器のシール容器耐圧の測定)
得られた容器の口元部をアルミシール蓋にてシールし、該容器の底部に1mmφの穴を開けて測定台3に載せ、真空ポンプ6を作動させる。リーク弁5の開度を調整し、5mmHg/5秒の速度で容器内部を減圧にし、口元シワが入った時の減圧度を真空計6で読み取った。なお、測定は、1ショット36個について行い、その平均値をした。
(冷凍テスト)
得られた容器に60℃に熱した麺を充填し、アルミ蓋を用いて容器の口元部をシールした後、−6℃の冷凍庫にて急冷した際の、容器のシワの発生状況を確認した(なお、測定は、1ショット36個について行った。)。その際の評価基準は、以下のとおり。
○:容器にシワ発生が認められない。
×:容器にシワ発生が認められる。
(成形性)
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シートを用いた容器への加熱成形時に、割れ(セルが破断される現象)、ナキ(局所的に発泡シートが引き延ばされる現象)または火膨れ(成形加熱時にポリスチレン系樹脂発泡シートとフィルムとの間に剥離する現象)が生じず、外観良好な成形が可能かどうかを目視で評価した(なお、測定は、1ショット36個について行った。)。その際の評価基準は、以下のとおり。
○:割れ、ナキおよび火膨れの発生が認められない。
×:割れ、ナキまたは火膨れの発生が認められる。
(製造例1〜3)
撹拌機を具備した反応器に,純水700kg,第三リン酸カルシウム1.05kg,ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム46gおよび塩化ナトリウム3.3kg入れ、撹拌し水懸濁液とした後,さらに脱気窒素置換した後、スチレン700kgにベンゾイルパーオキサイド1.33kg,1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.7kgおよび、流動パラフィンをそれぞれ3.5kg、21kgおよび0kg溶解したものを反応器に加え、98℃に昇温してから4時間かけて重合した。次いで、120℃に昇温して2時間保持して、重合を完了させた。その後、冷却してその内容物を取り出し、脱水・乾燥して、ポリスチレン樹脂を得た。
(実施例1〜5)
製造例1〜3で得られたポリスチレン樹脂を用い、イソブタン85重量%/ノルマルブタン15重量%のブタンガスを発泡剤として用い、表1に示した製造条件(発泡剤の圧入量、シートの引取速度およびシートの非発泡フィルムを積層しない面への30℃の冷却風量)下で、幅1050mmの押出発泡シートを作成した。なお、得られたポリスチレン系樹脂発泡シートの、目付量、残存発泡剤量および非発泡フィルムを積層しない面(非ラミ面)側の表層部(100μm以内)の密度は、表1に示すとおりであり、その独立気泡率は全て90%以上であった。
得られたポリスチレン系樹脂発泡シートに、押出ラミネート法により、ハイインパクトポリスチレン樹脂(PSジャパン製、HIPS475D)を用いたフィルムを、表1に示す目付量となるように積層して、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを得た。なお、押出ラミネート時の押出されたフィルム状ポリスチレン樹脂の表面温度は、非接触式表面温度計(APTUS製PT−3LF)を用いて測定した結果、幅方向で225±3℃であった。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シートを、連続成形機(浅野研究所製FLC3型)を用い、絞り比0.85の容器(口元内径130mmφおよび底面口径86mmφ×深さ110mm、36個/ショット)の金型を用い、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートのポリスチレン系樹脂非発泡フィルム積層面が容器の外側となるようにマッチ・モールド法により成形して、成形体を得た。その際、成形条件としては、凸凹金型の成形遅れによる凸凹金型嵌合タイミングを変化させることによって得られた成形体の底面/全体重量比を調整した。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートのマッチ・モールド法による成形時の二次発泡厚みは、5.4〜5.6mmとなるように加熱条件を調整した。得られた容器については、天地圧縮強度およびシール容器耐圧の測定、および冷凍テストを行った。
得られた結果を表1にまとめた。
Figure 0004480455
本発明により得られた容器は、十分な強度を有しており、冷凍テストでも容器シワが発生せず良好な製品を得られることが判る。
(比較例1〜8)
製造条件を表2に示すように変更した以外は、実施例と同様の方法にて積層発泡シートを作成し、さらに、容器の成形に関しても実施例と同様の方法にて実施して、得られた積層発泡シートおよび容器に関して評価を行った。得られた結果を、表2にまとめた。
Figure 0004480455
一方、比較例1はポリスチレン系樹脂発泡シートの目付量が軽く、強度としては不十分なものとなった。また、比較例2はポリスチレン系樹脂発泡シートの残存発泡剤量が低く、強度としては不十分なものとなった。逆に、比較例3はポリスチレン系樹脂発泡シートの残存発泡剤量が高すぎるため、熱成形時にポリスチレン系樹脂発泡発泡シートとポリスチレン系非発泡フィルムが剥離する火膨れが発生した。比較例5は、実施例2と比べ非ラミ面側の表層部の密度が低く、内割れが発生した。逆に、比較例6は非ラミ面側の表層部の密度が高くナキが発生した。その為、底部/全体の重量比を高くして成形したが、逆にシール容器耐圧が不十分なものとなった。比較例7は一次厚みが薄く必要とする厚みを得るために過剰な加熱を行った結果、強度としては不十分なものとなった。比較例8は一次厚みが厚くナキが発生した。
本発明のスチレン系樹脂積層発泡シートのシール容器耐圧を測定する方法を表す略図である。
符号の説明
1 アルミシール蓋
2 容器
3 測定台
4 真空計
5 リーク弁
6 真空ポンプ

Claims (4)

  1. 目付量が300〜400g/m2、残存発泡剤量が2.3〜3.0重量%、フィルムを積層しない面の表面から厚み100μmの表層部の密度が0.35〜0.5g/cm3 、および、独立気泡率が85%以上であるポリスチレン系樹脂発泡シートに、目付量が160〜210g/m2であるポリスチレン系樹脂非発泡フィルムを積層してなる、厚みが1.5〜2.2mmであるポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  2. ポリスチレン系樹脂発泡シートが、低分子量飽和炭化水素混合物および/または脂肪酸エステルを0.5重量部以上、5.0重量部未満含有する、請求項1記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  3. 請求項1または2に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを成形して得られる容器であって、底部/全体の重量比が0.10〜0.13、シール容器耐圧が675mmHg以下および天地圧縮強度が9kgf以上である容器。
  4. 絞り比が0.8以上である、請求項3に記載の容器。
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