JP2003053567A - アルミ製部材のレーザ溶接方法と溶接構造体 - Google Patents
アルミ製部材のレーザ溶接方法と溶接構造体Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 重ね合わせたアルミ製部材をレーザ溶接で溶
接する際に、アルミ製部材の表面に溶接ビードの盛り上
りを作らないようにする。 【解決手段】 アルミ製ナット1の着座面1dに予め突
起1eを設けておき、その突起1eをアルミ製パネル2
の裏面2aに当接させてアルミ製ナット1の着座面1d
とアルミ製パネル2の裏面2aとの間に所定の隙間3を
形成したうえでアルミ製パネル2の上方からレーザ9を
下向きに照射する。溶融金属4は隙間3に侵入し、それ
に伴い溶融池上面4aが若干陥没するので、溶接ビード
がアルミ製パネル2の上面2cより盛り上がることが避
けられる。
接する際に、アルミ製部材の表面に溶接ビードの盛り上
りを作らないようにする。 【解決手段】 アルミ製ナット1の着座面1dに予め突
起1eを設けておき、その突起1eをアルミ製パネル2
の裏面2aに当接させてアルミ製ナット1の着座面1d
とアルミ製パネル2の裏面2aとの間に所定の隙間3を
形成したうえでアルミ製パネル2の上方からレーザ9を
下向きに照射する。溶融金属4は隙間3に侵入し、それ
に伴い溶融池上面4aが若干陥没するので、溶接ビード
がアルミ製パネル2の上面2cより盛り上がることが避
けられる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、アルミ製部材の
レーザ溶接方法と、その方法で得られるアルミ製部材か
らなる溶接構造体に関し、詳しくは、重なり合うアルミ
製部材をレーザ溶接で溶接する際に、その溶接ビードが
少なくとも一方のアルミ製部材の表面から盛り上がらな
いようにする技術に関する。
レーザ溶接方法と、その方法で得られるアルミ製部材か
らなる溶接構造体に関し、詳しくは、重なり合うアルミ
製部材をレーザ溶接で溶接する際に、その溶接ビードが
少なくとも一方のアルミ製部材の表面から盛り上がらな
いようにする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】 自動車の軽量化等のために、自動車構
造体のアルミニウム化が進められている。本明細書で
は、アルミニウム又はアルミニウム合金を総称してアル
ミという。アルミ製パネルに部品を取付けるために、ア
ルミ製パネルの裏面に予めアルミ製ナットを配置してお
き、アルミ製パネルの表面側からアルミ製パネルを貫通
するボルトをアルミ製パネルの裏面に配置されているア
ルミ製ナットに締め付けることによって、部品をアルミ
製パネルに取付ける方法が多用される。鋼製パネルの場
合には、鋼製パネル裏面に鋼製ナットをプロジェクショ
ン溶接して固定しておくのが一般的であるが、アルミ製
パネルとアルミ製ナットの場合にはプロジェクション溶
接することが難しい。アルミは熱の伝達率が高く、電気
抵抗が低いために、溶接部位を充分に加熱することが難
しい。また表面酸化物の影響によって溶接強度が安定し
ない。アルミ製パネルにアルミ製ナットをプロジェクシ
ョン溶接する技術が特開平6−134576号公報に開
示されている。この技術では、アルミ製ナットの着座面
(アルミ製パネルと当接する面)に突部と凹部を形成し
ておき、プロジェクション溶接の際に、突部の軟化溶融
部を凹部に流し込むようにして溶接する。
造体のアルミニウム化が進められている。本明細書で
は、アルミニウム又はアルミニウム合金を総称してアル
ミという。アルミ製パネルに部品を取付けるために、ア
ルミ製パネルの裏面に予めアルミ製ナットを配置してお
き、アルミ製パネルの表面側からアルミ製パネルを貫通
するボルトをアルミ製パネルの裏面に配置されているア
ルミ製ナットに締め付けることによって、部品をアルミ
製パネルに取付ける方法が多用される。鋼製パネルの場
合には、鋼製パネル裏面に鋼製ナットをプロジェクショ
ン溶接して固定しておくのが一般的であるが、アルミ製
パネルとアルミ製ナットの場合にはプロジェクション溶
接することが難しい。アルミは熱の伝達率が高く、電気
抵抗が低いために、溶接部位を充分に加熱することが難
しい。また表面酸化物の影響によって溶接強度が安定し
ない。アルミ製パネルにアルミ製ナットをプロジェクシ
ョン溶接する技術が特開平6−134576号公報に開
示されている。この技術では、アルミ製ナットの着座面
(アルミ製パネルと当接する面)に突部と凹部を形成し
ておき、プロジェクション溶接の際に、突部の軟化溶融
部を凹部に流し込むようにして溶接する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、アル
ミ製部材同士をプロジェクション溶接する技術では、溶
接強度がばらつきやすい。プロジェクション溶接の他
に、レーザ溶接がよく知られている。レーザ溶接では、
エネルギー密度が高いレーザを利用することから、アル
ミ製部材同士を安定的に溶接することができる。
ミ製部材同士をプロジェクション溶接する技術では、溶
接強度がばらつきやすい。プロジェクション溶接の他
に、レーザ溶接がよく知られている。レーザ溶接では、
エネルギー密度が高いレーザを利用することから、アル
ミ製部材同士を安定的に溶接することができる。
【0004】アルミ製パネルとアルミ製ナットを重ね合
わせたものにレーザを照射して溶接すると、常に良好な
溶接強度を得ることができる。実際にテストしてみる
と、溶接面で剥離する以前にアルミ製ナット自体が破壊
されるほどの溶接強度を得ることができる。ところが、
図6に示すように、アルミ製パネル21の裏面21bに
アルミ製ナット22の着座面22bを密着させてレーザ
を照射すると、溶接ビード23a、23bが、アルミ製
パネルの表面21aから盛り上がってしまうので、アル
ミ製パネルの表面21aに取付ける部品24の座りが悪
く、ひいては部品の取付不良等の不具合を招いてしま
う。同図(イ)は、アルミ製パネル21の表面21a側
からアルミ製ナット22に向けてレーザを照射した場合
を示しており、レーザ入射側、すなわち入熱側におい
て、溶接ビード23aがアルミ製パネル21の表面21
aから盛り上がっている。また(ロ)は、アルミ製ナッ
ト側からレーザを照射した場合を示しており、溶接ビー
ド23bはアルミ製ナット22とアルミ製パネル21を
貫通してアルミ製パネル21の表面21aから盛り上が
っている。いずれの場合も、溶接ビード23a、23b
がアルミ製パネル21の表面21aから盛り上がってい
るので、部品24をアルミ製パネル21の表面21aに
密着させることができない。この明細書では、アルミ製
パネル21のナット側の面21bを裏面といい、その反
対側であって部品24が取付けられる側の面を表面21
aという。
わせたものにレーザを照射して溶接すると、常に良好な
溶接強度を得ることができる。実際にテストしてみる
と、溶接面で剥離する以前にアルミ製ナット自体が破壊
されるほどの溶接強度を得ることができる。ところが、
図6に示すように、アルミ製パネル21の裏面21bに
アルミ製ナット22の着座面22bを密着させてレーザ
を照射すると、溶接ビード23a、23bが、アルミ製
パネルの表面21aから盛り上がってしまうので、アル
ミ製パネルの表面21aに取付ける部品24の座りが悪
く、ひいては部品の取付不良等の不具合を招いてしま
う。同図(イ)は、アルミ製パネル21の表面21a側
からアルミ製ナット22に向けてレーザを照射した場合
を示しており、レーザ入射側、すなわち入熱側におい
て、溶接ビード23aがアルミ製パネル21の表面21
aから盛り上がっている。また(ロ)は、アルミ製ナッ
ト側からレーザを照射した場合を示しており、溶接ビー
ド23bはアルミ製ナット22とアルミ製パネル21を
貫通してアルミ製パネル21の表面21aから盛り上が
っている。いずれの場合も、溶接ビード23a、23b
がアルミ製パネル21の表面21aから盛り上がってい
るので、部品24をアルミ製パネル21の表面21aに
密着させることができない。この明細書では、アルミ製
パネル21のナット側の面21bを裏面といい、その反
対側であって部品24が取付けられる側の面を表面21
aという。
【0005】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であって、重ね合わせたアルミ製部材同士(内一方の部
材はアルミ製ナットであることが多いが、本発明の方法
は、一方の部材がアルミ製ナットである場合にのみ有用
なものでなく、アルミ製部材同士を溶接する場合に一般
的に有用なものである)をレーザ溶接して溶接する際
に、アルミ製部材の表面に溶接ビードの盛上りを作らな
いようにすることを目的とする。
であって、重ね合わせたアルミ製部材同士(内一方の部
材はアルミ製ナットであることが多いが、本発明の方法
は、一方の部材がアルミ製ナットである場合にのみ有用
なものでなく、アルミ製部材同士を溶接する場合に一般
的に有用なものである)をレーザ溶接して溶接する際
に、アルミ製部材の表面に溶接ビードの盛上りを作らな
いようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用】 上述した課題
は、前記した各請求項に記載した構成の発明によって解
決される。第1の発明は、アルミ製ナットとアルミ製部
材を溶接する方法に関する。この溶接方法では、着座面
に予め突起が形成されているアルミ製ナット(正確には
アルミニウム又はアルミニウム合金製のナット)の突起
をアルミ製部材(正確にはアルミニウム又はアルミニウ
ム合金製の部材)の裏面に当接させてアルミ製ナットの
着座面とアルミ製部材の裏面との間に所定の隙間を形成
した状態でアルミ製ナットとアルミ製部材を重ね合わせ
る。そして、アルミ製部材の表面側からアルミ製ナット
に向けてレーザを照射してアルミ製ナットとアルミ製部
材をレーザ溶接する。
は、前記した各請求項に記載した構成の発明によって解
決される。第1の発明は、アルミ製ナットとアルミ製部
材を溶接する方法に関する。この溶接方法では、着座面
に予め突起が形成されているアルミ製ナット(正確には
アルミニウム又はアルミニウム合金製のナット)の突起
をアルミ製部材(正確にはアルミニウム又はアルミニウ
ム合金製の部材)の裏面に当接させてアルミ製ナットの
着座面とアルミ製部材の裏面との間に所定の隙間を形成
した状態でアルミ製ナットとアルミ製部材を重ね合わせ
る。そして、アルミ製部材の表面側からアルミ製ナット
に向けてレーザを照射してアルミ製ナットとアルミ製部
材をレーザ溶接する。
【0007】このレーザ溶接方法では、最初にレーザの
照射を受けるアルミ製部材が加熱されて局部的に溶融
し、続いてレーザの加熱作用が裏面側のアルミ製ナット
に及んで局部的に溶融する。このとき、アルミ製部材の
溶融部は、アルミ製部材の裏面とアルミ製ナットの着座
面との間の間隙に侵入するために、冷却されて硬化する
と、溶接ビードはアルミ製部材の表面から陥没する。従
って、溶接ビードがアルミ製部材の表面から盛り上がる
ことが避けられる。アルミ製ナットの着座面に形成して
おく突起は、比較的小さな複数個の突起を着座面に分散
配置しておいても良いし、一条以上の連続した突条で構
成してもよい。突起の高さ、すなわち前記隙間の寸法
は、溶融池上面の陥没が大きなひけとなって溶接強度の
極端な低下を来さないように、実験等に基づく適宜な寸
法に設定される。なおここでいうナットは、ネジ穴を有
することが必須でなく、相手部材に対する係合機能を有
する部材の総称であり、形状も丸、六角、四角等任意に
設定することができる。
照射を受けるアルミ製部材が加熱されて局部的に溶融
し、続いてレーザの加熱作用が裏面側のアルミ製ナット
に及んで局部的に溶融する。このとき、アルミ製部材の
溶融部は、アルミ製部材の裏面とアルミ製ナットの着座
面との間の間隙に侵入するために、冷却されて硬化する
と、溶接ビードはアルミ製部材の表面から陥没する。従
って、溶接ビードがアルミ製部材の表面から盛り上がる
ことが避けられる。アルミ製ナットの着座面に形成して
おく突起は、比較的小さな複数個の突起を着座面に分散
配置しておいても良いし、一条以上の連続した突条で構
成してもよい。突起の高さ、すなわち前記隙間の寸法
は、溶融池上面の陥没が大きなひけとなって溶接強度の
極端な低下を来さないように、実験等に基づく適宜な寸
法に設定される。なおここでいうナットは、ネジ穴を有
することが必須でなく、相手部材に対する係合機能を有
する部材の総称であり、形状も丸、六角、四角等任意に
設定することができる。
【0008】第2の発明は、アルミ製部材同士(一方は
アルミ製ナットであってもよい)を上下に重ね合せた状
態で溶接する方法であって、上側に重ね合わされるアル
ミ製部材の上面に予め凹部を形成しておき、上方から凹
部内にレーザを照射してアルミ製部材同士をレーザ溶接
する。このレーザ溶接方法によれば、予め溶接ビードの
盛り上がりを見込んだ深さの凹部を設定しておくことが
できる。その凹部にレーザを照射して上下の部材を溶接
すると、凹部内で盛り上がった溶接ビードが形成される
が、その盛り上がりは凹部内に収まり、上側部材の表面
より突出することが避けられる。
アルミ製ナットであってもよい)を上下に重ね合せた状
態で溶接する方法であって、上側に重ね合わされるアル
ミ製部材の上面に予め凹部を形成しておき、上方から凹
部内にレーザを照射してアルミ製部材同士をレーザ溶接
する。このレーザ溶接方法によれば、予め溶接ビードの
盛り上がりを見込んだ深さの凹部を設定しておくことが
できる。その凹部にレーザを照射して上下の部材を溶接
すると、凹部内で盛り上がった溶接ビードが形成される
が、その盛り上がりは凹部内に収まり、上側部材の表面
より突出することが避けられる。
【0009】第3の発明は、重ね代において溶接された
アルミ製部材からなる溶接構造体であり、重ね代におい
て対向するアルミ製部材間に所定の隙間が形成されてお
り、重ね代における入熱側の溶接ビードが周囲の隣接す
るアルミ製部材の表面から盛り上がりのない形状で凝固
しているものである。上記の溶接構造体は、請求項1又
は2の溶接方法が開発されたために始めて実現されたも
のであり、従来は存在しないものである。この溶接構造
体では、溶接ビードが溶接構造体の表面から盛り上がっ
ていないために、部品等を溶接構造体の表面に密着した
状態で安定的に取付けることができる。
アルミ製部材からなる溶接構造体であり、重ね代におい
て対向するアルミ製部材間に所定の隙間が形成されてお
り、重ね代における入熱側の溶接ビードが周囲の隣接す
るアルミ製部材の表面から盛り上がりのない形状で凝固
しているものである。上記の溶接構造体は、請求項1又
は2の溶接方法が開発されたために始めて実現されたも
のであり、従来は存在しないものである。この溶接構造
体では、溶接ビードが溶接構造体の表面から盛り上がっ
ていないために、部品等を溶接構造体の表面に密着した
状態で安定的に取付けることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の一実施形態を図
に基づいて説明する。図1はアルミ製ナットを示す斜視
図、図2はアルミ製部材であるアルミ製パネル2とアル
ミ製ナット1とを上下に重ね合せた状態の断面図であ
る。両図に示すように、溶接されるアルミ製ナット1
は、ナット本体1aの中央部を貫通するネジ穴1bを備
え、一端(着座側)に鍔状部1cが形成されている。鍔
状部1cの上面、すなわちアルミ製ナット1の着座面1
dには複数の突起1e〜1eが突設されている。これら
複数の突起1e〜1eは、アルミ製パネル2の裏面2a
に当接することで、アルミ製ナット1の着座面1dとア
ルミ製パネル2の裏面2aとの間に所定の隙間3を形成
する。ここでは、突起1eを円錐台としたが、突条など
の適宜な形状とすることができる。本例では、突起1e
の高さ寸法(隙間3の寸法)は、実験結果により0.2
〜0.5mmの範囲内に設定した。なお、アルミ製パネ
ル2にはボルト用の貫通孔2bが形成されている。アル
ミ製パネル2の板厚は0.8〜2.6mm程度が実際的
な寸法であるが、形状、大きさとも任意に設定できる。
に基づいて説明する。図1はアルミ製ナットを示す斜視
図、図2はアルミ製部材であるアルミ製パネル2とアル
ミ製ナット1とを上下に重ね合せた状態の断面図であ
る。両図に示すように、溶接されるアルミ製ナット1
は、ナット本体1aの中央部を貫通するネジ穴1bを備
え、一端(着座側)に鍔状部1cが形成されている。鍔
状部1cの上面、すなわちアルミ製ナット1の着座面1
dには複数の突起1e〜1eが突設されている。これら
複数の突起1e〜1eは、アルミ製パネル2の裏面2a
に当接することで、アルミ製ナット1の着座面1dとア
ルミ製パネル2の裏面2aとの間に所定の隙間3を形成
する。ここでは、突起1eを円錐台としたが、突条など
の適宜な形状とすることができる。本例では、突起1e
の高さ寸法(隙間3の寸法)は、実験結果により0.2
〜0.5mmの範囲内に設定した。なお、アルミ製パネ
ル2にはボルト用の貫通孔2bが形成されている。アル
ミ製パネル2の板厚は0.8〜2.6mm程度が実際的
な寸法であるが、形状、大きさとも任意に設定できる。
【0011】次に、アルミ製パネル2とアルミ製ナット
1を上下に重ね合わせた状態で溶接するレーザ溶接方法
について説明する。まず、図2に示したように、アルミ
製パネル2の裏面2aにアルミ製ナット1の着座面1d
の突起1eを当接させる。これでワーク側の準備は終わ
り、アルミ製ナット1の着座面1dとアルミ製パネル2
の裏面2aとの間に所定の隙間3が形成されている。図
3は、アルミ製パネル2とアルミ製ナット1とをレーザ
溶接した状態を示す断面図である。同図に示すように、
レーザ発振器(図示省略)から発振されたレーザ9がア
ルミ製パネル2の上方から(即ちアルミ製パネル2の表
面2c側から)アルミ製ナット1に向けて照射されるよ
うにする。レーザ9によってアルミ製パネル2が局部的
に加熱されて溶融し、続いて、そのレーザ9の加熱作用
が真下のアルミ製ナット1に及んでその部分が溶融す
る。アルミ製パネル2の溶融部がアルミ製パネル2を貫
通すると、溶融金属4が重力と表面張力の作用によって
隙間3に侵入し、それに伴って溶融池上面4aは若干陥
没する。その後、レーザ9の移動で入熱が遮断され、隙
間3に侵入した溶融金属4が凝固して溶接ビードが形成
され、アルミ製パネル2とアルミ製ナット1は溶接ビー
ドによって相互に溶着される。溶融池上面4aは凝固し
て溶接ビードとなるが、上記のように陥没しているか
ら、溶接ビードがアルミ製パネル2の表面2cから盛り
上がることはない。レーザ9は、アルミ製ナット1の突
起1eを避けた位置でネジ穴1bと同心の円(軌跡)を
描くように移動させて、リング状に溶接する。リング状
に連続溶接する代りに断続的に溶接しても構わない。な
お、レーザ照射による入熱量を過不足ないように制御す
ることによって、十分な溶け込み量を確保するとともに
溶け落ちビードを作らないようにすることができる。
1を上下に重ね合わせた状態で溶接するレーザ溶接方法
について説明する。まず、図2に示したように、アルミ
製パネル2の裏面2aにアルミ製ナット1の着座面1d
の突起1eを当接させる。これでワーク側の準備は終わ
り、アルミ製ナット1の着座面1dとアルミ製パネル2
の裏面2aとの間に所定の隙間3が形成されている。図
3は、アルミ製パネル2とアルミ製ナット1とをレーザ
溶接した状態を示す断面図である。同図に示すように、
レーザ発振器(図示省略)から発振されたレーザ9がア
ルミ製パネル2の上方から(即ちアルミ製パネル2の表
面2c側から)アルミ製ナット1に向けて照射されるよ
うにする。レーザ9によってアルミ製パネル2が局部的
に加熱されて溶融し、続いて、そのレーザ9の加熱作用
が真下のアルミ製ナット1に及んでその部分が溶融す
る。アルミ製パネル2の溶融部がアルミ製パネル2を貫
通すると、溶融金属4が重力と表面張力の作用によって
隙間3に侵入し、それに伴って溶融池上面4aは若干陥
没する。その後、レーザ9の移動で入熱が遮断され、隙
間3に侵入した溶融金属4が凝固して溶接ビードが形成
され、アルミ製パネル2とアルミ製ナット1は溶接ビー
ドによって相互に溶着される。溶融池上面4aは凝固し
て溶接ビードとなるが、上記のように陥没しているか
ら、溶接ビードがアルミ製パネル2の表面2cから盛り
上がることはない。レーザ9は、アルミ製ナット1の突
起1eを避けた位置でネジ穴1bと同心の円(軌跡)を
描くように移動させて、リング状に溶接する。リング状
に連続溶接する代りに断続的に溶接しても構わない。な
お、レーザ照射による入熱量を過不足ないように制御す
ることによって、十分な溶け込み量を確保するとともに
溶け落ちビードを作らないようにすることができる。
【0012】上記のようにしてアルミ製部材同士をレー
ザ溶接して重ね継ぎ手を形成することができる。溶接ビ
ードがアルミ製パネル表面に盛り上がらないので、アル
ミ製パネル2の表面2cに取付けられる取付部品と溶接
ビードの干渉を避けるために溶接ビードを研摩する等の
余分な加工をする必要がない。
ザ溶接して重ね継ぎ手を形成することができる。溶接ビ
ードがアルミ製パネル表面に盛り上がらないので、アル
ミ製パネル2の表面2cに取付けられる取付部品と溶接
ビードの干渉を避けるために溶接ビードを研摩する等の
余分な加工をする必要がない。
【0013】次に、別の実施形態について説明する。図
4はアルミ製部材12とアルミ製ナット11の重ね溶接
を説明する図である。(イ)に示すように、アルミ製ナ
ット11には鍔状部がない。アルミ製部材12の表面1
2aには、所定深さの凹部12bが環状に形成されてい
る。凹部12bの深さ寸法は、同図(ロ)に示したよう
に、上方から凹部12bにレーザが照射されてアルミ製
部材12とアルミ製ナット11の重ね溶接がなされると
きの溶接ビード14の盛り上がり分より若干大きく設定
されている。これにより、アルミ製部材12の上面12
aから溶接ビード14が突出することが避けられる。こ
の例のアルミ製ナット11は突起を作る必要がないので
安価である。なお、ナットから余肉を取るために鍔状部
を設けても良い。
4はアルミ製部材12とアルミ製ナット11の重ね溶接
を説明する図である。(イ)に示すように、アルミ製ナ
ット11には鍔状部がない。アルミ製部材12の表面1
2aには、所定深さの凹部12bが環状に形成されてい
る。凹部12bの深さ寸法は、同図(ロ)に示したよう
に、上方から凹部12bにレーザが照射されてアルミ製
部材12とアルミ製ナット11の重ね溶接がなされると
きの溶接ビード14の盛り上がり分より若干大きく設定
されている。これにより、アルミ製部材12の上面12
aから溶接ビード14が突出することが避けられる。こ
の例のアルミ製ナット11は突起を作る必要がないので
安価である。なお、ナットから余肉を取るために鍔状部
を設けても良い。
【0014】さらに、別の実施形態について説明する。
図5はアルミ製ナット13側からレーザを照射する例で
あって、アルミ製ナット13には、レーザが照射される
部位に凹部13aが形成されている。すなわち、溶接部
におけるアルミ製ナット13の厚みを薄くすることで、
低い入熱での溶接が可能となり、その分、溶融金属量も
溶接ビードも小さくなってアルミ製パネル2の表面2a
から溶接ビードが突出するのを避け易くなる。この例
は、負担するトルクが比較的小さな溶接部に適する。
図5はアルミ製ナット13側からレーザを照射する例で
あって、アルミ製ナット13には、レーザが照射される
部位に凹部13aが形成されている。すなわち、溶接部
におけるアルミ製ナット13の厚みを薄くすることで、
低い入熱での溶接が可能となり、その分、溶融金属量も
溶接ビードも小さくなってアルミ製パネル2の表面2a
から溶接ビードが突出するのを避け易くなる。この例
は、負担するトルクが比較的小さな溶接部に適する。
【0015】なお、各実施形態のレーザに代えて、電子
ビーム等の高エネルギビームをアルミ製部材に照射する
ことにしても良い。
ビーム等の高エネルギビームをアルミ製部材に照射する
ことにしても良い。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
重ね合わせたアルミ製部材をレーザ溶接して溶接する際
に、その部材の表面、特に入熱側の表面に溶接ビードの
盛り上りを作らないようにすることができるという効果
がある。また、この溶接方法によって、表面に溶接ビー
ドの盛り上りが形成されていないアルミニウム合金製の
溶接構造体を容易に製造することができる。
重ね合わせたアルミ製部材をレーザ溶接して溶接する際
に、その部材の表面、特に入熱側の表面に溶接ビードの
盛り上りを作らないようにすることができるという効果
がある。また、この溶接方法によって、表面に溶接ビー
ドの盛り上りが形成されていないアルミニウム合金製の
溶接構造体を容易に製造することができる。
【図1】 一実施形態に係るレーザ溶接用アルミ製ナッ
トを示す斜視図である。
トを示す斜視図である。
【図2】 アルミ製パネルとアルミ製ナットを上下に重
ね合せた状態の断面図である。
ね合せた状態の断面図である。
【図3】 アルミ製パネルとアルミ製ナットをレーザ溶
接した状態の断面図である。
接した状態の断面図である。
【図4】 別の実施形態に係るアルミ製部材とアルミ製
ナットの断面図であり、(イ)はレーザ溶接前の状態、
(ロ)は溶接後の状態を示している。
ナットの断面図であり、(イ)はレーザ溶接前の状態、
(ロ)は溶接後の状態を示している。
【図5】 さらに別の実施形態に係るアルミ製部材とア
ルミ製ナットの断面図であり、(イ)はレーザ溶接前の
状態、(ロ)は溶接後の状態を示している。
ルミ製ナットの断面図であり、(イ)はレーザ溶接前の
状態、(ロ)は溶接後の状態を示している。
【図6】 従来例に係るアルミ製部材とアルミ製ナット
の断面図である。
の断面図である。
1 :アルミ製ナット
1e:突起
2 :アルミ製パネル(アルミ製部材)
3 :隙間
4 :溶融金属(溶接金属)
4a:溶融池上面(溶接ビード)
─────────────────────────────────────────────────────
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(72)発明者 白井 雅人
愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動
車株式会社内
Fターム(参考) 3D012 BF11
4E068 BF00 DB04
Claims (3)
- 【請求項1】 アルミ製ナットとアルミ製部材を溶接す
る方法であって、着座面に予め突起が形成されているア
ルミ製ナットの突起をアルミ製部材の裏面に当接させて
アルミ製ナットの着座面とアルミ製部材の裏面との間に
所定の隙間を形成した状態でアルミ製ナットとアルミ製
部材を重ね合わせ、アルミ製部材の表面側からアルミ製
ナットに向けてレーザを照射してアルミ製ナットとアル
ミ製部材をレーザ溶接する方法。 - 【請求項2】 アルミ製部材同士を上下に重ね合せた状
態で溶接する方法であって、上側に重ね合わされるアル
ミ製部材の上面に予め凹部を形成しておき、上方から凹
部内にレーザを照射してアルミ製部材同士をレーザ溶接
する方法。 - 【請求項3】 重ね代において溶接されたアルミ製部材
からなる溶接構造体であって、重ね代において対向する
アルミ製部材間に所定の隙間が形成されており、該重ね
代における入熱側の溶接ビードが周囲の隣接するアルミ
製部材の表面から盛り上がりのない形状で凝固している
ことを特徴とするアルミ製部材からなる溶接構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001240163A JP2003053567A (ja) | 2001-08-08 | 2001-08-08 | アルミ製部材のレーザ溶接方法と溶接構造体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001240163A JP2003053567A (ja) | 2001-08-08 | 2001-08-08 | アルミ製部材のレーザ溶接方法と溶接構造体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003053567A true JP2003053567A (ja) | 2003-02-26 |
Family
ID=19070817
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001240163A Pending JP2003053567A (ja) | 2001-08-08 | 2001-08-08 | アルミ製部材のレーザ溶接方法と溶接構造体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003053567A (ja) |
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-
2001
- 2001-08-08 JP JP2001240163A patent/JP2003053567A/ja active Pending
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