JP2009009868A - 電池および電池の封口方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池容器に形成された開口を塞ぐ封口部材の溶接部分の品質および信頼性を向上すること。
【解決手段】電池100は、電池容器11に開口31が形成されており、開口31には、開口31を塞ぐ封口部材32が嵌められ、開口31の周縁部と封口部材32の外周部とが溶接されている。開口31の周縁部は、周方向に連続して電池容器11の外側に向けて立ち上がった立ち上がり部52が設けられている。封口部材32の外周縁部は、開口31の立ち上がり部52の内側に立ち上がった立ち上がり部61が設けられている。そして、開口31の周縁部に設けられた立ち上がり部52と封口部材32の外周縁部に設けられた立ち上がり部61とが溶接されている。
【選択図】図5

Description

本発明は駆動電源として車両に搭載される用途或いはその他の用途に用いられる電池に関する。詳しくは、該電池の封口構造に関し、そのような電池の封口方法に関する。
近年、電気自動車、電動カートなどの車両や、ビデオカメラ、パソコン等の携帯機器、停電時のバックアップ機器、電力貯蔵用機器などの製品の電源として、二次電池が用いられている。斯かる二次電池は、電池の短絡や過充電等の温度上昇やガス発生により電池容器内の圧力が上昇する場合がある。このため、斯かる電池には、電池容器に開口を形成し、当該開口に安全弁を取り付けている。安全弁は、電池容器の開口に嵌められ、電池容器の開口の周縁部と、安全弁の外周部が溶接される場合がある。溶接には、例えば、レーザ溶接が用いられている。斯かる構造を備えた電池としては、例えば、特開平11−86820号公報に記載されている。また、溶接部分にクラックが生じるのを防止する手段として、特開2000−149902号公報には、開口を包囲して溝を形成することが開示されている。また、特開2000−268781号公報には、封口部材の外周輪郭に沿って溝を形成することが開示されている。
特開平11−86820号公報 特開2000−149902号公報 特開2000−268781号公報
本発明は、特開2000−149902号公報、及び特開2000−268781号公報に開示される手段とは異なる手段により、より有用な電池容器の封口構造、及び封口方法を提供することを課題とする。
ある形態において、本発明に係る電池は、電池容器に開口が形成されており、開口には、開口を塞ぐ封口部材が嵌められ、開口の周縁部と封口部材の外周部とが溶接されている。本発明のある一つの形態では、当該溶接された部分はその周囲よりも盛り上がっている。
他の形態において、本発明に係る電池は、電池容器に開口が形成されており、開口には、開口を塞ぐ封口部材が嵌められ、開口の周縁部と封口部材の外周部とが溶接されている。開口の周縁部は、周方向に連続して電池容器の外側に向けて立ち上がった立ち上がり部が設けられている。封口部材の外周縁部は、開口の立ち上がり部の内側に立ち上がった立ち上がり部が設けられている。そして、開口の周縁部に設けられた立ち上がり部と、封口部材の外周縁部に設けられた立ち上がり部とが溶接されている。
なお、本明細書において上記開口の周縁部について「立ち上がり部」とは、上記開口の周縁部であって該立ち上がり部に隣接する部分からみて当該「立ち上がり部」が相対的に立ち上がっていればよく(即ち厚みが大きくなっていればよく)、電池容器の全体からみて「立ち上がり部」のみが突出している構成である必要はない。
同様に、本明細書において上記封口部材の外周縁部について「立ち上がり部」とは、上記封口部材の外周縁部であって該立ち上がり部に隣接する部分からみて当該「立ち上がり部」が相対的に立ち上がっていればよく(即ち厚みが大きくなっていればよく)、封口部材の全体からみて「立ち上がり部」のみが突出している構成である必要はない。
この電池によれば、開口の周縁部に設けられた立ち上がり部と封口部材の外周縁部に設けられた立ち上がり部とが溶接されているので、溶接された部分は、溶融した部分と溶融しなかった部分とがより平坦になる。これにより、当該溶融部分が凝固する際に、溶融部分に対して幅方向に引っ張るように作用する力が低減される。
この場合、開口の周縁部の内側に、封口部材を着座させる着座部が設けられていてもよい。斯かる着座部が設けられていると、開口に対して封口部材が所定の高さに嵌るので、上記の幅方向に引っ張るように作用する力が低減される効果がより確実に得られる。
また、開口の周縁部に形成された立ち上がり部の外側に、周方向に連続した溝が形成されており、封口部材の外周縁部に形成された立ち上がり部の内側に、周方向に連続した溝が形成されていてもよい。この場合、立ち上がり部の形成が容易になる。
上述した溶接部分の構造は、例えば、電池容器に形成された安全弁取付穴に対する安全弁の取り付けに適用することができる。
また、本発明に係る電池の封口方法は、電池容器の開口に封口部材を嵌め、開口の周縁部と封口部材の外周部とを溶接する、電池の封口方法である。当該電池容器の開口は、周縁部の外側に、周方向に連続して電池容器の外側に向けて立ち上がった立ち上がり部を有している。また、封口部材は外周縁部に立ち上がった立ち上がり部を有している。この電池の封口方法は、封口部材を電池容器の開口に嵌める工程と、開口の周縁部に設けられた立ち上がり部と封口部材の外周縁部に設けられた立ち上がり部とを溶接する工程とを備えている。
斯かる電池の封口方法によれば、開口の周縁部に設けられた立ち上がり部と封口部材の外周縁部に設けられた立ち上がり部とが溶接されるので、溶接された部分は、溶融した部分と溶融しなかった部分との界面がより平坦になる(典型的には従来よりも水平に近くなる)。これにより、当該溶融部分が凝固する際に、溶融部分を幅方向(横方向)に引っ張る方向に作用する力が低減される。
斯かる電池の封口方法では、開口の周縁部の内側に、封口部材を着座させる着座部が設けられていてもよい。斯かる着座部が設けられていると、開口に対して封口部材が所定の高さに嵌るので、上記の幅方向に引っ張るように作用する力が低減される効果がより確実に得られる。
また、斯かる電池の封口方法では、開口の周縁部に形成された立ち上がり部と、封口部材の外周縁部に形成された立ち上がり部とは、封口部材を電池容器の開口に嵌めたときに実質的に同じ高さになっていてもよい。両立ち上がり部が実質的に同じ高さになっていれば、照射されたレーザー光によって両立ち上がり部が同じように溶融するので、溶融した部分と溶融しなかった部分とがより平坦になる。これにより、上記の幅方向に引っ張るように作用する力が低減される効果がより確実に得られる。
また、斯かる電池の封口方法では、開口の周縁部に形成された立ち上がり部の外側に、周方向に連続した溝が形成されており、封口部材の外周縁部に形成された立ち上がり部の内側に、周方向に連続した溝が形成されていてもよい。この場合、立ち上がり部の形成が容易である。
また、斯かる電池の封口方法では、上記溶接工程は、開口の周縁部の立ち上がり部と封口部材の外周縁部の立ち上がり部の上面にレーザー光を集光させることにより行われることが好ましい。このレーザー溶接の場合、レーザー光のエネルギーによって両立ち上がり部を適切に溶融させることができるので、上記の幅方向に引っ張るように作用する力が低減される効果がより確実に得られる。
また、上記のレーザーによる溶接工程では、レーザー光の集光径が、開口の周縁部の立ち上がり部と封口部材の外周縁部の立ち上がり部を合わせた幅よりも小さくなるように行われることが好ましい。この場合、レーザー光のエネルギーによって両立ち上がり部を適切に溶融させることができるので、上記の幅方向に引っ張るように作用する力が低減される効果がより確実に得られる。
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの封口構造を備える種々の形態の電池を提供するが、本発明により提供される電池として好適なものとして、電池容器内に、正極及び負極(典型的には更にセパレータ)を備える電極体ユニットと、電解質(固体若しくはジェル状の電解質或いは電解液)とが収容された二次電池が挙げられる。さらに、斯かる二次電池は、例えば、車両に搭載される電池に適用できる。従って、本発明は他の側面として、ここで開示される封口構造の電池(典型的にはリチウム二次電池その他の二次電池)を備えた車両(自動車等)を提供する。
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、電池容器に形成された開口に安全弁を溶接する場合に、当該溶接部分に幅方向に引っ張るように力が作用する原因は、従来あまり知られていない。本発明者は、当該幅方向に引っ張るように作用する力の発生原因を鋭意研究し、当該幅方向に引っ張るように作用する力の発生原因を以下のように考えた。本発明は、斯かる研究によって得られた知見を基に着想された。そこで、まず、当該溶接部分に幅方向に引っ張るように力が作用する原因について、本発明者の研究に基づく知見を説明する。
図1(a)(b)に示すように、電池容器11に形成された安全弁取付穴31に安全弁32を溶接する構造を考える。図1に示す例では、電池容器11は、矩形の箱で形成されており、容器本体21と、蓋22を備えている。蓋22は容器本体21の上部に取り付けられている。この例における開口である安全弁取付穴31は当該蓋22に形成されている。図2(a)〜(f)は、安全弁取付穴31に安全弁32を溶接する溶接部分について、図1(c)中のA−B断面を示しており、当該安全弁取付穴31に安全弁32を溶接する工程を図示している。
まず、図2(a)(b)に示すように、安全弁取付穴31に安全弁32を嵌める。次に、図2(c)に示すように、安全弁取付穴31の周縁部と安全弁32の外周部とを溶接する。典型的には、これらの境に図示するようにレーザー光40を照射する。レーザー光40が照射された部分41は、図2(d)に示すように、レーザー光40のエネルギーによって溶融する。斯かる電池容器の蓋22には、アルミ合金などが用いられることがある。アルミ合金は溶融時に密度が低くなり、体積が増える。このような性質を有する金属では溶接部分41は盛り上がる。
溶接部分41は、溶融した後、空気によって冷やされて凝固する。図2(e)は、凝固の途中を示している。図2(e)に示すように、空気よりも金属の方が熱伝達率が高いため、溶接部分41は金属の方へ熱が奪われ易い、このため、凝固は、溶融した部分41の深いところから進行していき易い。図2(e)中、符号41aで示される領域は凝固した部分を示しており、符号41bで示される領域は溶融した状態の部分を示している。図2(f)は、溶接部分41が完全に凝固した状態を示す。
幅方向に引っ張るように作用する力の発生および原因は次の通りに考えられる。図3に示すように、レーザー光40はその中心部ほどエネルギーが高い。このため、溶接部分41はレーザー光40の中心部が当たる部位ほど溶融する領域が深くなり、中心部から離れるにつれて溶融する領域は浅くなる。すなわち、溶融した部分と溶融していない部分との界面pは中心部が深い窪んだ形になっている。凝固時は、空気及び金属に熱が奪われるが、金属の方へ熱が奪われ易いため、溶接部分41は溶融した部位の深い部位から凝固が進行していき易い。また、当該金属は凝固すると密度が高くなり、体積が減る。このため溶融している部分には、溶融する部分と非溶融部分との界面pに向けて引っ張られるような力qが作用する。
本発明者は、斯かる知見を基に、幅方向に引っ張るように作用する力を低減できる新規な構造および方法を考えた。以下、本発明の一実施形態に係る電池を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明する。
この実施形態では、電池100は、電池容器11と、封口部材32とを備えている(図1(a)(b)参照)。電池容器11には、電池の種類に応じて構成される正極及び負極(典型的には更にセパレータを含む)から成る電極体ユニット(例えば長尺状の正極シート、負極シート及びセパレータシートを捲回して成る捲回型電極体ユニット)、電解質(例えば電解液)などが収容されており、この実施形態では、リチウム二次電池(リチウムイオン電池)が構成されている。この電池容器11は、容器本体21と蓋22を備えている。電池容器11の蓋22には、開口31が形成されている。この実施形態では、開口31は安全弁取付穴である。
この楕円状の安全弁取付穴31の周縁部は、図4(a)に示すように、着座部51と、立ち上がり部52と、溝53を備えている。着座部51は、安全弁取付穴31の周縁部の内側に設けられており、封口部材32を安全弁取付穴31に嵌めるのに、着座させる部位である。立ち上がり部52は、安全弁取付穴31の周縁部において、着座部51の外側で周方向に連続して、電池容器11の外側に向けて立ち上がっている。この実施形態では、安全弁取付穴31の周縁部は、当該立ち上がり部52の外側に、周方向に連続して溝53が形成されている。
封口部材32は、安全弁取付穴31を塞ぐ部材であり、安全弁取付穴31の周縁部と封口部材32の外周部とが溶接されている。この実施形態では、封口部材32は安全弁である。
この実施形態では、楕円状安全弁32は、図4(b)に示すように、安全弁取付穴31の着座部51に着座させている。この安全弁32の外周縁部には、安全弁取付穴31の立ち上がり部52に沿って立ち上がった立ち上がり部61を有している。この実施形態では、安全弁32は立ち上がり部61の内側に周方向に連続した溝62が形成されている。
また、図5に示すように、安全弁32を安全弁取付穴31の着座部51に着座させると、安全弁32の立ち上がり部61と安全弁取付穴31の立ち上がり部52とが略同じ高さになる。また、この実施形態では、安全弁32の立ち上がり部61の幅w1と、安全弁取付穴31の立ち上がり部52の幅w2は、略同じ幅になっている。また、安全弁32の立ち上がり部61と安全弁取付穴31の立ち上がり部52とを合わせた幅(w1+w2)は、レーザー光40の集光径w3(ここでは0.3〜1.0mm)よりも少し大きいのが好ましい。この実施形態では、安全弁32の立ち上がり部61の幅w1と安全弁取付穴31の立ち上がり部52の幅w2は、略同じ寸法にしている。尚、特に限定するものではないが本実施形態では当該立ち上がり部61、52の幅w1、w2は、それぞれレーザー光40の集光径w3÷2+(0.05〜0.3mm)にしている。
また、この実施形態では、安全弁取付穴31の外側に形成された溝53と、安全弁32に形成された溝62は、それぞれ立ち上がり部52、61の上面から略同じ深さになるように形成されている。立ち上がり部52、61が、立ち上がり部52、61の両側から立ち上がった高さt1、T1は、例えば、0.05mm≦t1、T1≦0.5mmとするとよい。
また、安全弁取付穴31の周縁部に形成された立ち上がり部52と、安全弁32の外周縁部に形成された立ち上がり部61とが、安全弁32を安全弁取付穴31に嵌めたときに実質的に同じ高さになっている。
また、溝53、62の底(即ち本実施形態における立ち上がり部52、61の基底部)から立ち上がり部52、61の上面までの高さT1、t1は、安全弁32が着座部51に着座している高さから、立ち上がり部52、61の上面までの高さT2、t2の半分(1/2)の距離以下であることが好ましい。特に強度等の観点から安全弁32側の高さt1は、安全弁32の厚みに相当する高さt2の半分(1/2)以下であることが好ましい。車両に装備される車載用二次電池(例えばリチウム二次電池)を構成する電池容器11に装備される安全弁32では、典型的には上記高さt2(典型的にはT2と等しい)、即ち安全弁32を構成する部材の厚さt2は0.2mm以上1.0mm以下に設定され得る。
例えば、安全弁32が着座部51に着座している高さから立ち上がり部52、61の上面までの距離T2、t2が0.2mmであれば、溝53、62の底から立ち上がり部52、61の高さT1,t1は、略同じ高さであり、0.05mm程度にするとよい。また、距離T2が1.0mmであれば、T1、t1は、略同じ高さであり、0.5mm程度にするとよい。なお、上述した寸法は、本実施形態における形状の具体例に例示したものであり、当該安全弁取付穴(開口)や安全弁(封口部材)の構造、形状などは種々の変更が可能である。
この実施形態では、電池容器11に安全弁取付穴31が形成されており、安全弁取付穴31には、安全弁取付穴31を塞ぐ安全弁32が嵌められ、安全弁取付穴31の周縁部と安全弁32の外周部とが溶接されている。安全弁取付穴31の周縁部は、周方向に連続して電池容器11の外側に向けて立ち上がった立ち上がり部52が設けられており、安全弁32の外周縁部は、安全弁取付穴31の立ち上がり部52の内側に立ち上がった立ち上がり部61が設けられている。そして、安全弁取付穴31に設けられた立ち上がり部52と安全弁32に設けられた立ち上がり部61とが溶接されている。この電池100によれば、安全弁取付穴31に設けられた立ち上がり部52と安全弁32に設けられた立ち上がり部61とが溶接されているので、図6に示すように、溶接された部分41は、溶融した部分と溶融しなかった部分との界面がより平坦になる。上述したように、凝固時は、空気及び金属に熱が奪われるが、金属の方へ熱が奪われ易いため、溶接部分41は溶融した部位の深い部位から凝固が進行していき易い。また、当該金属は凝固すると密度が高くなり、体積が減る。このため溶融している部分には、溶融する部分と溶融しない部分との界面pに向けて引っ張られるような力qが作用する。
この実施形態では、図6に示すように、溶接された部分41は、溶融した部分と溶融しなかった部分との界面がより平坦になる(典型的には従来よりも水平に近くなる)ので、界面に作用する力qのうち溶接部分41に対して幅方向に作用する力は、それほど大きくない。
また、この実施形態では、安全弁取付穴31の周縁部の内側に、安全弁32を着座させる着座部51が設けられている。斯かる着座部51が設けられていると、安全弁取付穴31に対して安全弁32が所定の高さに嵌るので、上記の幅方向に引っ張るように作用する力が低減される効果がより確実に得られる。
また、この実施形態では、安全弁取付穴31の周縁部に形成された立ち上がり部52の外側に、周方向に連続した溝53が形成されており、安全弁32の外周縁部に形成された立ち上がり部61の内側に、周方向に連続した溝62が形成されていている。この場合、立ち上がり部の形成が容易になるとともに、電池容器11の外表面に対して溶接部分41の盛り上がりを低くすることができる。
また、この実施形態では、安全弁取付穴31の周縁部に形成された立ち上がり部52と、安全弁32の外周縁部に形成された立ち上がり部61とが、安全弁32を安全弁取付穴31に嵌めたときに実質的に同じ高さになっている。両立ち上がり部52、61が実質的に同じ高さになっていれば、照射されたレーザー光40によって両立ち上がり部52、61が同じように溶融するので、溶融した部分と溶融しなかった部分との界面pがより平坦になる。溶融した部分と溶融しなかった部分との界面がより平坦になると(より水平に近付くと)、図6に示すように、凝固の際に作用する力qは、溶接部分41の幅方向(横方向)よりも厚さ方向(縦方向)に近い角度で作用するので、溶接部分41に幅方向に引っ張るように作用する力を低減することができる。
また、この実施形態では、安全弁取付穴31の周縁部の立ち上がり部52と安全弁32の外周縁部の立ち上がり部61の上面にレーザー光40を集光させている。これによって、レーザー光40のエネルギーによって両立ち上がり部52、61を適切に溶融させることができるので、溶接部分41に幅方向に引っ張るように作用する力を低減することができる。また、この実施形態では、レーザー光40の集光径w3が、立ち上がり部52と立ち上がり部61を合わせた幅よりも少し小さくしている。これにより、レーザー光40のエネルギーによって両立ち上がり部52、61を適切に溶融させることができるので、溶接部分41に幅方向に引っ張るように作用する力が低減される効果がより確実に得られる。
また、上述したような封口方法によって開口に封口部材を溶接すると、当該溶接された部分はその周囲よりも盛り上がって形成され易い。上述したように、溶接された部分は、溶融した部分と溶融しなかった部分とがより平坦になる。これにより、当該溶融部分が凝固する際に、溶融部分を幅方向に引っ張る方向に作用する力が低減される。
以上、本発明の一実施形態に係る電池および電池の封口方法を説明したが、本発明に係る電池および電池の封口方法は、上述した実施形態に限定されない。
上述した実施形態では、電池容器に形成された安全弁取付穴に安全弁を溶接する構造を例示したが、電池容器に形成される開口は、安全弁取付穴でなくてもよく、また、斯かる開口を塞ぐ封口部材は、安全弁でなくてもよい。例えば、本発明は、電池容器に形成される種々の開口を塞ぐ封口部材の溶接構造に適用することが可能である。また、電池構造としては、リチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)を例示したが、本発明は、電池容器に形成した開口に、封口部材を溶接する構造として広く適用でき、電池を構成する正極及び負極(電極体ユニット)或いは電解質の種類や形状に限定はない。このため、リチウム二次電池以外の電池へも広く適用し得る。
また、本発明は、上記のとおり、溶接部分に幅方向に引っ張るように作用する力を低減し、封口部材を安定して溶接する構造として優れている。かかる特性により、本発明に係る電池は、例えば、図7に模式的に示すように、自動車等の車両1に搭載されるモーター(電動機)用の電池100として好適に使用でき、具体的に一例を挙げれば、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車の電源(二次電池)として適用できる。
(a)は本発明の一実施形態に係る電池を示す平面図、(b)は(a)の正面図、(c)は開口が形成された部分を示す拡大平面図である。 (a)〜(f)は、電池の開口を塞ぐ工程を示す図である。 開口を塞ぐ封口部材の溶接部位を示す拡大図である。 (a)〜(f)は、本発明の一実施形態に係る電池の開口を塞ぐ工程を示す図である。 本発明の一実施形態に係る電池の開口を塞ぐ封口部材の溶接部位を示す拡大図である。 本発明の一実施形態に係る電池の開口を塞ぐ封口部材の溶接された部位を示す拡大図である。 電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
符号の説明
1 車両
11 電池容器
21 容器本体
22 蓋
31 安全弁取付穴(開口)
32 安全弁(封口部材)
40 レーザー光
41 溶接部分(溶融部分)
43 クラック
51 着座部
52 立ち上がり部
53 溝
61 立ち上がり部
62 溝
100 電池

Claims (14)

  1. 電池容器に開口が形成されており、前記開口には、前記開口を塞ぐ封口部材が嵌められ、前記開口の周縁部と前記封口部材の外周部とが溶接されており、当該溶接された部分がその周囲よりも盛り上がっていることを特徴とする、電池。
  2. 電池容器に開口が形成されており、前記開口には、前記開口を塞ぐ封口部材が嵌められ、前記開口の周縁部と前記封口部材の外周部とが溶接された電池であって、
    前記開口の周縁部は、周方向に連続して前記電池容器の外側に向けて立ち上がった立ち上がり部が設けられており、
    前記封口部材の外周縁部は、前記開口の立ち上がり部の内側に立ち上がった立ち上がり部が設けられており、
    前記開口の周縁部に設けられた立ち上がり部と、封口部材の外周縁部に設けられた立ち上がり部とが溶接されたことを特徴とする、電池。
  3. 前記開口の周縁部の内側に、前記封口部材を着座させる着座部が設けられている請求項2に記載の電池。
  4. 前記開口の周縁部に形成された立ち上がり部の外側に、周方向に連続した溝が形成されており、
    前記封口部材の外周縁部に形成された立ち上がり部の内側に、周方向に連続した溝が形成されている、請求項2又は3に記載の電池。
  5. 前記開口が安全弁取付穴であり、前記封口部材が安全弁取付穴に取り付けられた安全弁である、請求項1〜4のいずれかに記載の電池。
  6. 前記電池容器は、容器本体と、蓋とを備え、前記蓋に安全弁取付穴が形成されている、請求項5に記載の電池。
  7. 電池容器の開口に封口部材を嵌め、前記開口の周縁部と前記封口部材の外周部とを溶接する、電池の封口方法であって、
    前記電池容器の開口は、周縁部の外側に、周方向に連続して前記電池容器の外側に向けて立ち上がった立ち上がり部を有し、
    前記封口部材の外周縁部に立ち上がった立ち上がり部を有し、
    前記封口部材を前記電池容器の開口に嵌める工程と、
    前記開口の周縁部に設けられた立ち上がり部と封口部材の外周縁部に設けられた立ち上がり部とを溶接する工程とを備えた電池の封口方法。
  8. 前記開口の周縁部の内側に、前記封口部材を着座させる着座部が設けられている請求項7に記載の電池の封口方法。
  9. 前記開口の周縁部に形成された立ち上がり部と、前記封口部材の外周縁部に形成された立ち上がり部とは、前記封口部材を前記電池容器の開口に嵌めたときに実質的に同じ高さになる、請求項7又は8に記載の電池の封口方法。
  10. 前記開口の周縁部に形成された立ち上がり部の外側に、周方向に連続した溝が形成されており、
    前記封口部材の外周縁部に形成された立ち上がり部の内側に、周方向に連続した溝が形成されている、請求項7〜9のいずれかに記載の電池の封口方法。
  11. 前記溶接工程は、開口の周縁部の立ち上がり部と封口部材の外周縁部の立ち上がり部の上面にレーザー光を集光させることにより行われる、請求項7〜10のいずれかに記載の電池の封口方法。
  12. 前記レーザーによる溶接工程は、前記レーザー光の集光径が、開口の周縁部の立ち上がり部と封口部材の外周縁部の立ち上がり部を合わせた幅よりも小さくなるように行われる、請求項11に記載の電池の封口方法。
  13. 請求項1〜6のいずれかに記載の電池であって、前記電池容器内に、正極及び負極を備える電極体ユニットと、電解質とが収容された二次電池。
  14. 請求項13に記載の二次電池を備えた車両。
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